JP3982074B2 - 有害生物防除薬剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はエチレングリコールエステル誘導体を有効成分として含有することを特徴とする屋内ダニ類、土壌センチュウ類、マツノザイセンチュウ等の有害生物防除薬剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
本発明の様なエチレングリコールエステル誘導体は、特開平8−34760号公報に抗菌剤として、また、特開平6−128104号公報に防菌、防黴剤としての用途が知られている。しかしながら、難防除害虫である屋内ダニ類、マツノザイセンチュウ、土壌センチュウ類等の有害生物に対して有用であることは知られていなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
難防除害虫ついての課題は、次の通りである。
(屋内ダニ類)
屋内で生息するコナダニ、チリダニ、ホコリダニなどの屋内ダニ類は、居住環境の変化から、居住者に対して不快感を与えるだけでなく、アレルギーの一因になると考えられるようになってきている。
屋内ダニ類の防除薬剤としては、現在、スミチオン、ダイアジノンなどの有機リン剤やプロポキサール、カルバリルなどのカーバメート剤、ペルメトリン、レスメスリンなどのピレスロイド剤が知られている。しかしながら、これらの剤の効果は十分とはいえず、新剤が要望されている。
【0004】
(マツノザイセンチュウ)
いわゆる「松枯れ」は、日本では北海道を除く地域で広く認められる。その原因がマツノマダラカミキリを媒介昆虫としてマツノザイセンチュウで引き起こされることが、究明されて以来、媒介昆虫であるマツノマダラカミキリの防除とマツノザイセンチュウ防除の両面で進められてきた。前者では、空中散布による防除実施されて、ある程度の成果は認められるものの、人畜毒性、環境毒性など考慮する必要がある。後者は、樹幹注入剤による樹木ごと防除がなされてきた。しかしながら、何れの場合も十分な効果が得られず、新剤が要望されている。
【0005】
(土壌センチュウ類)
植物に寄生する線虫は、多くの作物に多大は被害を与える。このため、種々の殺線虫剤が使用されてきた。しかしながら、これらの薬剤の効力は以下の通り必ずしも十分とはいえない。殺線虫剤は、燻蒸剤と非燻蒸剤に大別され、燻蒸剤による防除が多くの場面で使用されてきた。しかし、近年環境汚染の問題から、燻蒸剤として使用されてきた多くの化合物が、オゾン層の破壊、地下水汚染及び土壌中の微生物への影響から、使用中止又は使用制限が提案されている。また、非燻蒸剤も接触粒剤の型で使用されてきたが、哺乳動物に対する毒性が高いものが多く、さらに効果の安定性で劣る点で、新剤が要望されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はエチレングリコールエステル誘導体を有効成分として含有することを特徴とする、難防除害虫である屋内ダニ類、マツノザイセンチュウ、土壌センチュウ類等の有害生物防除薬剤を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の課題を解決するために検討した結果、特開平8−34760号公報に抗菌剤として、また、特開平6−128104号公報に防菌、防黴剤としての用途が知られている
次式(1):
【0008】
【化2】
【0009】
(式中、R1は炭素原子数1〜10個のアルキル基を表し:R2は炭素原子数1〜10個のアルキル基、炭素原子数1〜10個のハロアルキル基又はハロゲン原子,炭素原子数1〜4個のアルキル基,炭素原子数1〜4個のハロアルキル基,炭素原子数1〜4個のアルコキシ基もしくは水酸基で置換されてもよいフェニル基を表し、nは1〜4の整数を表わす。)
で示されるエチレングリコールエステル誘導体が、屋内ダニ類、土壌センチュウ類、マツノザイセンチュウ等の有害生物防除剤として有効であることを見い出し、本発明を完成した。
【0010】
【発明実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
前記化合物(1)で表わした各種の置換基などは、以下の通りである。
R1は炭素原子数1〜10個のアルキル基を表わす。
R2は炭素原子数1〜10個のアルキル基、炭素原子数1〜10個のハロアルキル基又はハロゲン原子,炭素原子数1〜4個のアルキル基,炭素原子数1〜4個のハロアルキル基,炭素原子数1〜4個のアルコキシ基もしくは水酸基で置換されてもよいフェニル基を表わす。
nは1〜4の整数を表わす。
【0011】
R1における炭素原子数1〜10個のアルキル基としては、直鎖状又は分岐状のアルキル基を倣すが、エチル基、n-ブチル基、n-ヘキシル基が好ましい。
R2における炭素原子数1〜10個のアルキル基としては、直鎖状又は分岐状のアルキル基を表わすが、メチル基、n-ブチル基、t-ブチル基が好ましい。
R2における炭素原子数1〜10個のハロアルキル基としては、炭素原子数1〜3個のハロゲン原子で置換されて直鎖状又は分岐状のハロアルキル基を表わすが、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、ブロモメチル基、トリフルオロメチル基、2−クロロエチル基、1−ブロモエチル基が好ましい。
R2におけるハロゲン原子,炭素原子数1〜4個のアルキル基,炭素原子数1〜4個のハロアルキル基,炭素原子数1〜4個のアルコキシ基もしくは水酸基で置換されてもよいフェニル基としては、1〜2個の置換基で置換されてもよいフェニル基が挙げられるが、フェニル基,4−クロロフェニル基,4−トリフルオロメチルフェニル基,2,6−ジフルオロフェニル基,2−ヒドロキシフェニル基が好ましい。
nは1〜4の整数を表わすが、1、2及び3が好ましい。
【0012】
化合物(1)としては、前記の各種の置換基を組み合わせたものを挙げることができるが、薬効の面から好ましいものは、次の通りである。
(1)R1が炭素原子数1〜10個のアルキル基であり、R2が炭素原子数1〜10個のアルキル基であり、nが1又は2である化合物(1)。
(2)R1が炭素原子数1〜10個のアルキル基であり、R2がフェニル基であり、nが2である化合物(1)。
(3)R1が炭素原子数1〜10個のアルキル基であり、R2が炭素原子数1〜10個のハロアルキル基であり、nが1又は2である化合物(1)。
化合物(1)の製造は、以下に示す2つの方法によって行うことができる。
[製造法1]
【0013】
【化3】
(式中、R1、R2及びnは前記と同義である。)
【0014】
反応は、酸触媒の存在下に無溶媒又は溶媒を使用して行なうことができる。
原料のモル比は任意に設定できるが、通常、化合物(2)1モルに対して化合物(3)は0.5〜2モルの割合である。
溶媒の種類としては、本反応に直接関与しないものであれば特に限定されず、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルナフタリン、石油エーテル、リグロイン、ヘキサン、クロルベンゼン、ジクロルベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロルエタン、トリクロルエチレンのような塩素化された又はされていない芳香族、脂肪族、脂環式の炭化水素類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテルなどのようなエーテル類;及び前期溶媒の混合物などを挙げることができる。
溶媒の使用量は、化合物(2)が5〜100重量%になるようにして使用することができるが;50〜100重量%が好ましい。
【0015】
触媒として用いる酸の種類としては、特に限定されず、有機及び無機酸、例えばp-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸などのような芳香族或いは脂肪族スルホン酸、硫酸、塩酸などのような無機酸を挙げることができる。
酸の使用量は、触媒量である。
反応温度は、特に限定されないが、室温から溶媒の沸点以下の温度範囲内であり;好ましくは50〜110℃である。
反応時間は、前記の濃度、温度によって変化するが;通常0.5〜2時間である。
原料化合物(2)及び原料化合物(3)は、市販品として入手することができる。
[製造法2]
【0016】
【化4】
【0017】
(式中、R1、R2及びnは前記と同義であり、Xはクロル原子及びブロム原子などのハロゲン原子を表わす。)
原料のモル比は任意に設定できるが、通常、化合物(2)1モルに対して化合物(4)は0.5〜2モルの割合である。
溶媒の種類としては、本反応に直接関与しないものであれば特に限定されず、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルナフタリン、石油エーテル、リグロイン、ヘキサン、クロルベンゼン、ジクロルベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロルエタン、トリクロルエチレンのような塩素化された又はされていない芳香族、脂肪族、脂環式の炭化水素類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテルなどのようなエーテル類、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのようなニトリル類、アセトン、メチルエチルケトンなどのようなケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、N,N−ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルピロリドンなどのような非プロトン性極性溶媒;及び前記溶媒の混合物などを挙げることができる。
【0018】
溶媒の使用量は、化合物(2)が5〜80重量%になるようにして使用することができるが;10〜70重量%が好ましい。
塩基の種類としては、特に限定されず、有機及び無機塩基、例えばトリエチルアミンのような第3級アミン、ピリジン、ピペリジンなどのような芳香族或いは非芳香族のへテロ環、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の水素化物、水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、ナトリウムメチラート、カリウム−t−ブトキサイドなどのようなアルカリ金属アルコラートを挙げることができる。
塩基の使用量は、化合物(2)に対して1〜5倍モルであるが;好ましくは1.0〜1.5倍モルである。
【0019】
反応温度は、特に限定されないが、−20℃から溶媒の沸点以下の温度範囲内であり;好ましくは氷冷〜60℃である。
反応時間は、前記の濃度、温度によって変化するが;通常0.5〜2時間である。
原料化合物(2)及び原料化合物(3)は、市販品として入手することができる。
本発明の防除の対象となる屋内ダニ類としては、例えば、ヒョウヒダニ科のコナヒョウヒダニ、ヤケヒョウヒダニ、コナダニ科のケナガコナダニ、ムギコナダニ、動物寄生性としては、ニクダニ類、ツメダニ類、ホコリダニ類などを挙げることができる。
【0020】
本発明の防除の対象となる土壌センチュウ類としては、例えば、ネコブセンチュウ、シストセンチュウ、ネグサレセンチュウ、シンガレセンチュウなどを挙げることができる。
本発明の農園芸用の有害生物防除剤は、特に、屋内ダニ類、土壌センチュウ類、マツノザイセンチュウに対する効果が顕著であり、化合物(1)の1種以上を有効成分として含有するものである。
化合物(1)は、単独で使用することもできるが、通常は常法によって、希釈剤、界面活性剤、分散剤、補助剤などを配合し、例えば、扮剤、乳剤、微粒剤、粒剤、水和剤、顆粒水和剤、水性懸濁剤、油性の懸濁剤、乳濁剤、可溶化製剤、油剤、マイクロカプセル剤、エアゾールなどの組成物として調整して使用することが好ましい。
【0021】
固体希釈剤としては、例えば、タルク,ベントナイト,モンモリロナイト,クレー,カオリン,炭酸カルシウム,ケイソウ土,ホワイトカーボン,バーミキュライト,消石灰,ケイ砂,硫安,尿素などが挙げられる。液体希釈剤としては、例えば、炭化水素類、例えば、ケロシン,鉱油など;芳香族炭化水素、例えば、ベンゼン,トルエン,キシレン、ジメチルナフタレン、ジメチルキシリルエタンなど;塩素化炭化水素類、例えば、クロロホルム,四塩化炭素など;エーテル類、例えば、ジオキサン,テトラヒドロフランなど;ケトン類、例えば、アセトン,シクロヘキサノン,イソホロンなど;エステル類、例えば、酢酸エチル,エチレングリコールアセテート,マレイン酸ジブチルなど;アルコール類、例えば、メタノール,n−ヘキサノール,エチレングリコールなど;極性溶媒類、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド,ジメチルスルホキシド,N−メチルピロリドンなど;水などが挙げられる。個着剤及び分散剤としては、例えば、カゼイン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ベントナイト、ザンサンガム、アラビアガムなどが、挙げられる。エアゾール噴射剤としては、例えば、空気,窒素,炭酸ガス,プロパン,ハロゲン化炭化水素などが挙げられる。
安定剤としては、例えば、PAP,BHTなどが挙げられる。
【0022】
界面活性剤としては、例えば、アルキルサルフェート塩,アルキルスルホン酸塩,アルキルベンゼンスルホン酸塩,リグニンスルホン酸塩,ジアルキルスルホコハク酸塩,ナフタレンスルホン酸塩縮合物,ポリオキシエチレンアルキルエーテル,ポリオキシエチレンアリルエーテル,ポリオキシエチレンアルキルエステル,アルキルソルビタンエステル,ポリオキシエチレンソルビタンエステル,ポリオキシエチレンアルキルアミンなどを挙げることができる。
本剤の製造では、前記の希釈剤,界面活性剤,分散剤及び補助剤をそれぞれの目的に応じて、各々単独で又は適当に組み合わせて使用することができる。
本発明の化合物(1)を製剤化した場合の有効成分濃度は、乳剤では通常1〜50重量%,粉剤では通常0.3〜25重量%,水和剤及び顆粒水和剤では通常1〜90重量%,粒剤では通常0.5〜10重量%,懸濁剤では通常0.5〜40重量%,乳濁剤では通常1〜30重量%,可溶化製剤では通常0.5〜20重量%,油剤では0.1〜50重量%,エアゾールでは通常0.1〜5重量%である。
【0023】
これらの製剤を適当な濃度に希釈して、それぞれの目的に応じて、植物茎葉,土壌,水田の水面に散布するか、又は直接施用することによって各種の用途に供することができる。
【0024】
また、配合剤としては、乳化剤、分散剤、展着剤、噴射剤、浸透剤、界面活性剤、安定剤、塗膜形成剤、揮散調整剤などが適当であり、これらの1種又は2種以上の混合物を使用することができる。
更に、本発明の有害生物防除薬剤は、各種の殺虫剤、協力剤、酸化防止剤、殺菌剤、防かび剤、忌避剤、香料、着色料などと配合してもよい。
配合可能な殺虫剤としては、屋内ダニ類の場合はアレスリン、ペルメトリン、レスメスリンなどのピレスロイド剤、スミチオン、ダイアジノンなどの有機リン剤、プロポキザール、カルバリルなどのカーバメート剤などを挙げることができる。
マツノザイセンチュウの場合は酒石酸トランスモランテルやメスルフェンポス、エマメクチン、ミルベメクチンなどマクロライド系薬剤を挙げることができる。
本発明の有害生物防除薬剤の有効成分量及び使用量はその剤型や適用対象、適用方法、適用場所などに応じて適宜決定することができる。
【0025】
例えば、本発明化合物(1)を有効成分として屋内ダニを散布防除する場合、その施用量は、屋内の適用空間1m3あたり、有効成分が10mg以上であるのが望ましい。また、畳やカーペットに処理する場合は、処理面積1m2あたり、有効成分が1mg以上であるのが望ましい。
また、本発明化合物(1)を有効成分として基材に保持させてなるダニ防除剤を提供することもできる。
基材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルなどの合成樹脂シートや天然繊維、紙などを用いることができる。
本発明化合物(1)を有効成分としてマツノザイセンチュウを防除する場合の施用法としては、松類の樹幹に注射するなり、穴をあけた後、本組成物を埋め込んだり、注入したりする方法を取ることができる。
以下、本発明を参考例及び実施例によって具体的に説明する。なお、これらの実施例は、本発明を限定するものではない。
【0026】
【参考例】
参考例1〔化合物(1)の合成〕
(1)n-ヘキシルオキシエチルアセテート(化合物番号1)の合成
エチレングリコールモノn-ヘキシルエーテル(14.6g)と無水酢酸(20.2g)の混合液に硫酸1滴を加え、100℃で1時間加熱撹拌した。反応終了後、水(100ml)を加え、n-ヘキサン(50ml)で2回抽出した。抽出液を5%炭酸水素ナトリウム水溶液(100ml)で2回、水(100ml)で2回洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下に溶媒を留去し、得られた油状物をクーゲルロール蒸留装置を用いて蒸留し、無色液体である目的物10.5gをを得た(収率:56%)。
【0027】
(2)2−(n-ヘキシルオキシ)エチルクロロアセテート(化合物番号5)の合成クロロアセチルクロライド(11.3g)をn-ヘキサン(40ml)に溶解し、氷冷撹拌下にエチレングリコールモノn-ヘキシルエーテル(29.3g)とトリエチルアミン(30ml)の溶液を滴下した。滴下終了後、1時間撹拌し、水(100ml)を加え、n-ヘキサン(50ml)で2回抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下に溶媒を留去し、得られた油状物をクーゲルロール蒸留装置を用いて蒸留し、無色液体である目的物16.2gを得た(収率:73%)。
【0028】
(3)2−[2−(エチルオキシ)エチルオキシ]エチル4-トリフルオロメチルベンゾエート(化合物番号29)の合成
ジエチレングリコールモノエチルエーテル(2.5g)とトリエチルアミン(3g)をトルエン(30ml)に溶解し、氷冷撹拌下に4−トリフルオロメチルベンゾイルクロライド(4.1g)のトルエン(30ml)溶液を滴下した。滴下終了後、室温で1時間、50℃で1時間撹拌し反応を完結させた。水(100ml)を加え、トルエン層を分取し、5%炭酸水素ナトリウム水溶液(100ml)で2回、水(100ml)で2回洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下に溶媒を留去し、得られた油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコーゲルC−200,トルエン:酢酸エチル=4:1で溶出)で精製することにより、無色液体である目的物5.7gを得た(収率:93%)。
【0029】
(4)表1及び2中のその他の化合物(1)の合成
前記(1)〜(3)の方法に準じて、表1及び2中のその他の化合物(1)を合成した。
以上の様にして合成した化合物(1)及びそれらの物性を表1及び2に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
実施例1〔製剤の調製〕
(1)粒剤の調製
化合物(1)を5重量部、ベントナイト35重量部、タルク57重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ1重量部及びリグニンスルホン酸ソーダ2重量部を均一に混合し、次いで少量の水を添加して混練した後、押出し造粒、乾燥して粒剤を得た。
【0033】
(2)水和剤の調製
化合物(1)を10重量部、カオリンクレー70重量部、ホワイトカーボン18重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ1.5重量部及び無水マレイン酸イソブチレンコポリマーナトリウム塩0.5重量部を均一に混合し、次いでエアミル粉砕して水和剤を得た。
【0034】
(3)乳剤の調製
化合物(1)を10重量部、N−メチルピロリドン30重量部、キシレン10重量部、フェニルキシリルエタン40重量部及びソルポール3005X(商品名;東邦化学製)10重量部を加えて均一に混合し、溶解して乳剤を得た。
【0035】
(4)粉剤の調製
化合物(1)を5重量部、タルク50重量部及びカオリンクレー45重量部を均一に混合して粉剤を得た。
【0036】
(5)油剤
化合物(1)を0.2重量部、キシレン2重量部および白灯油97.8重量部を混合して油剤を得た。
【0037】
(6)シート剤
長さ2.5cm、幅0.5cmのろ紙に化合物(1)の所定量を適量のアセトンに溶解した溶液を均一に含浸し(ろ紙に1g/m2含浸させた)、風乾して防ダニシートを得た。
【0038】
実施例2〔効力試験〕
(1)室内ダニ(ケナガコナダニ)に対する効力試験
実施例1の(6)に記載の方法に準じて、表1及び2に示す化合物(1)の所定量を含浸させ、防ダニシートを調製した。
各ろ紙片2枚を6ml容の各スクリューキャップ付き管瓶に入れ、各々10頭のケナガコナダニを放って、1週間後にダニの生死虫数を数え死虫率を求めた。
殺虫効果の判定は、死虫率の範囲により4段階(100%=A、50〜99%=B、1〜49%=C、0%=D)で示した。
その結果を、表3に示す。
【0039】
【表3】
【0040】
(2)マツノザイセンチュウに対する効力試験(浸漬試験)
精白大麦25gと3%蔗糖水溶液25mlとを径9cmシャーレに入れてオートクレーブ滅菌し、これに灰色かび病菌を接種し、培地一面に広がるまで培養した。この培地にマツノザイセンチュウを接種し増殖させた後、ベールマン漏斗法で培地からマツノザイセンチュウを分離遊出させた。
次に、96穴マイクロプレートの各ウエルに、実施例1に準じて調製した表1及び2に示す化合物(1)の各水和剤を水で各々30ppmに希釈した薬液を入れ、各ウエルに上記マツノザイセンチュウ100頭を放った.
マイクロプレートは25℃の定温室に放置し、2日後に顕微鏡(40倍視野)下で生死虫数を数えて殺センチュウ率を求めた。
殺センチュウ効果の評価の結果は、殺センチュウ率の範囲によって、4段階(A:100%、B:100未満〜80%、C:80未満〜60%、D:60未満)で示した。
その結果を、表4に示す。
【0041】
【表4】
【0042】
(3)土壌センチュウ(サツマイモネコブセンチュウ)に対する効力試験
96穴プレートの各ウエルに、実施例1に準じて調製した表1及び2に示す化合物(1)の各水和剤を水で各々30ppmに希釈した薬液を入れ、各ウエルにサツマイモネコブセンチュウの2期幼虫100頭を放った。
次に、25℃の定温室に放置し、2日後に顕微鏡(40倍視野)で生死虫数を数えて殺センチュウ率を求めた。
殺センチュウ効果の評価の結果を、前記(2)に記載した4段階の評価方法で表5に示す。
【0043】
【表5】
【発明の効果】
本発明のエチレングリコールエステル誘導体を有効成分として含有することを特徴とする有害生物防除薬剤は、難防除害虫である屋内ダニ類、マツノザイセンチュウ、土壌センチュウ類を効果的に防除することができる。
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