JP4513298B2 - 吊り下げパウチ - Google Patents

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本発明は、たとえば樹脂フィルムを貼り合わせて製袋されるパウチに関し、特に注口部を下に向けて吊り下げて使用する吊り下げパウチに関する。
従来のこの種の吊り下げパウチとしては、たとえば特許文献1、2に記載されるようなものが知られている。
特許文献1に記載の吊り下げパウチは、周縁部をシールして内容物を収納する収納部を構成する略長方形状のパウチ本体の一角に内容物を注出する注口部が設けられ、注口部と対角位置の隅角部から長辺側に所定寸法ずらした位置に吊り下げ孔が設けられ、吊り下げ孔はパウチ本体の長辺に沿って形成されたサイドシール部を貫通する構成となっていた。吊り下げ孔をずらすことにより、吊り下げた際に注口部が可及的に垂直姿勢を保つようになっている。吊り下げ孔は収納部側に迫り出した構成で、収納部との境界となる内側縁を
局部的に収納部側に突出させていた。
一方、特許文献2に記載の吊り下げ容器は、サイドシール部の幅を底部から吊り下げ孔周辺部まで幅広としていた。
特開2002−362587号公報 実用新案登録第3093051号公報
しかし、特許文献1に記載の吊り下げ容器にあっては、吊り下げ孔形成部の内側縁が収納部側に突出しているので、内容物を充填してパウチ本体が膨らんだ際に、吊り下げ孔形成部の内側縁が膨らんだフィルム壁に食い込むことになる。落下時等において衝撃荷重が作用すると、剛性の低い取付孔形成部が上下に屈曲し、屈曲部の先端が収納部のフィルム壁に鋭く食い込んで応力が集中し、屈曲部先端を起点としてフィルム壁に亀裂が生じ破袋するおそれがある。
また、特許文献2に記載の吊り下げ容器にあっても、幅広部と幅狭部との境界部がほぼ直角に形成されていたので、幅広部の角部が膨らんだフィルム壁に食い込むことになり、落下時等の衝撃荷重が作用すると、やはり角部を起点としてフィルム壁に亀裂が生じるおそれがあった。
本発明は、上記した従来技術の問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、膨らんだパウチ本体の収納部を構成するフィルム壁にサイドシール部の内側縁が食い込みにくい形状とし、パウチ本体の破袋を防止し得る吊り下げパウチを提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、周縁部をシールして内容物を収納する収納部を構成する略長方形状のパウチ本体の一角に内容物を注出する注口部が設けられ、該注口部と対角位置の隅角部から長辺側に所定寸法ずらした位置に吊り下げ孔が設けられ、該吊り下げ孔はパウチ本体の長辺に沿って形成されたサイドシール部を貫通する構成で、前記サイドシール部の隅角部側の端部から吊り下げ孔形成部にかけて幅広となっている吊り下げパウチにおいて、
前記サイドシール部の収納部との境界となる内縁側の形状を、隅角部側の端部から吊り下げ孔形成部にかけて伸びる外側縁とほぼ平行な幅広の直線部と、幅広の吊り下げ孔形成部から前記隅角部と反対側の端部に向けて徐々に外側縁に近づけてシール幅を狭くし、充填用開口部に向かう最小幅まで傾斜する傾斜線部としたことを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、サイドシール部の収納部との境界となる内側縁の形状を、幅広の吊り下げ孔形成部から隅角部と反対側の端部に向けて徐々に外側縁に近づけてシール幅を狭くする形状としたので、内容物を充填してパウチ本体が膨らんだ際に、吊り下げ孔形成部の内側縁は直線に近く、膨らんだ収納部を構成するフィルム壁への食い込みが小さくなり、衝撃荷重が作用してもフィルム壁の亀裂の発生を防止できる。
以下に本発明を図示の実施の形態に基づいて詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態に係る吊り下げパウチを示している。この吊り下げパウチは、管を通して人体の消化管に直接栄養剤を投与する経腸栄養剤用のパウチとして使用するものである。
図において、1はパウチ本体を示しており、このパウチ本体1は略長方形状で、周縁部
をシールして内容物を収納する収納部11を構成している。このパウチ本体1の一角に内容物を注出する注口部としてのスパウト5が設けられている。また、パウチ本体1のスパウト5と対角位置には、スパウト5が下向きになるようにパウチ本体1を吊り下げるための吊り下げ孔7が設けられている。この吊り下げ孔7はパウチ本体1の反スパウト側の長辺に沿って形成されたサイドシール部21を貫通する構成で、パウチ本体1の隅角部1Aから長辺側に所定寸法Lだけずらした位置に設けられている。
また、サイドシール部21の隅角部1A側の端部から吊り下げ孔形成部71にかけては吊り下げ孔7の孔径に対応して幅広となっている。
パウチ本体1は、パウチ本体1と同一形状の2枚の側壁フィルム2,2と、側壁フィルムの底部側に二つ折りで挟み込まれる底部フィルム3とによって製袋される。側壁フィルム2、2の長辺に当たる左右の側縁は、熱溶着されてサイドシール部21,22となっている。また、側壁フィルム2,2の上縁は充填用の開口部23となっており、内容物充填後に熱溶着されて上シール部24が形成される。傾斜部4の辺縁は、所定幅でもってスパウト5が熱溶着されるスパウトシール部25となっている。
底部フィルム3は側壁フィルム2,2の間に稜線を上にして挟み込まれており、底部フィルム3と側壁フィルム2とは、二つ折りの底部フィルム3の前後下縁と各側壁フィルム2,2の下縁とをそれぞれ独立に熱溶着した前後2カ所の下シール部61,61が形成され、下シール部61、61の側縁には底部フィルム3を一部切り欠いて側壁フィルム2、2同士を熱溶着した半円状のスポットシール部62となっている。
傾斜部4は、側壁フィルム2の隣り合う上辺(短辺)と側辺(長辺)の対して斜め45度の角度で傾斜しており、この傾斜部4に対してほぼ直角に突出するように内容物を注出するためのスパウト5が熱溶着されている。スパウト5にはキャップ51がねじ嵌合方式で被着されている。
サイドシール部21の収納部11との境界となる内側縁21Aの形状は、幅広の吊り下げ孔形成部71から隅角部1Aと反対側の端部(上端)に向けて徐々に外側縁21Bに近づけてシール幅を狭くする形状となっている。この実施の形態では、サイドシール部21の外側縁21Bは全長に亘って直線状で、内側縁21Aの形状は、隅角部1A側の端部から吊り下げ孔形成部71にかけて延びる外側縁21Bとほぼ平行な幅広の直線部21A1と、隅角部1Aと反対側の端部(上端)の最小幅部まで傾斜する傾斜線部21A2とを備えた形状となっている。このサイドシール部21の最小幅は他方のサイドシール部31の幅と等しく設定されている。
図示例では、直線部21A1の長さが短いが、図2に示すように吊り下げ孔7の位置に応じて設定される。図2に示す例では、隅角部1Aからのずれ量L1が大きく、直線部21A1の長さが長くなっている。直線部21A1と傾斜線部21A2の角部21A3の位置は吊り下げ孔7付近であればよく、図1に示すように吊り下げ孔7の手前までとしてもよいし、図2に示すように、吊り下げ孔7を通り越した位置としてもよい。
パウチ本体1の材質としては、バリア性フィルム(例:シリカ蒸着フイルム、アルミラミネートフィルム)、ナイロン、ポリプロピレン等、内容物の種類に応じて適宜選択される。側壁フィルム2は、内容物の透視性の点で、バリヤー性フィルムとしては金属酸化物薄膜が好ましい。
本実施の形態の吊り下げパウチによれば、サイドシール部21の内側縁21Aを構成する直線部21A1と傾斜線部21A2の角部21A3の角度は180°に近く、内容物を充填してパウチ本体1が膨らんだ際に、膨らんだ収納部11を構成するフィルム壁への食い込みはほとんど無く、衝撃荷重が作用してもフィルム壁の亀裂の発生を防止できる。ま
た、食い込みが無いので、膨らんだフィルム壁に窪みが生じることも無く、見栄えもよい。
なお、スパウト5はねじ嵌合方式のキャップ51の代わりに、不図示の栓体を嵌合する打栓方式を用いても良い。
なお、上記各実施の形態ではスタンディングパウチに適用した場合について説明したが、スタンディングパウチに限定されるものではなく、底部フィルムの無い平面的なパウチ等種々の形態のパウチについて適用することができる。また、内容物に経腸栄養剤を用いる場合について説明したが、静脈中に薬剤等を投与する輸液用のパウチとしても適用できるし、他の内容物を収容してもよい。
従来の特許文献1に記載のように吊り下げ孔部が凸形状の従来のサンプル1,本件発明の実施の形態1のテーパ形状としたサンプル2を準備し、落下試験を行った。
各サンプルを構成するフィルムは、12μmアルミナPET(ポリエチレンテレフタレート)/25μm軸延伸NY(ナイロン)/70μmCPP(高密度ポリプロピレン)の積層フィルムを用い、サイズは150×250×41[mm]とし、内容量を500[ml]とした。
落下試験は、12袋(2袋×3行×2列)を箱詰めし、5℃で保管後、1.0及び0.8mから3面(底面)方向に連続1回落下させた。その結果が表1、表2である。
Figure 0004513298
Figure 0004513298
表1、表2から明らかなように、落下試験の結果、パウチ形状を本発明のテーパ形状、段差形状に変更することで、耐落下衝撃性が向上した。テーパ形状のものは吊り下げ孔部ではなく、吊り下げ孔と逆サイドの交点部を破袋した。
図1(A)は本発明の実施の形態1に係る吊り下げパウチの全体構成を示す図、同図(B)は吊り下げ孔近傍の部分破断斜視図である。 図2は図1の吊り下げパウチの変形例を示す図である。
1 パウチ本体、1A 隅角部
2 側壁フィルム
21 サイドシール部
21A 内側縁、21A1 直線部、21A2 傾斜線部、21A3 角部
21B 外側縁
22 サイドシール部
3 底部フィルム
4 傾斜部
5 スパウト(注口部)
7 吊り下げ孔、71 吊り下げ孔形成部
11 収納

Claims (1)

  1. 周縁部をシールして内容物を収納する収納部を構成する略長方形状のパウチ本体の一角に内容物を注出する注口部が設けられ、該注口部と対角位置の隅角部から長辺側に所定寸法ずらした位置に吊り下げ孔が設けられ、該吊り下げ孔はパウチ本体の長辺に沿って形成されたサイドシール部を貫通する構成で、前記サイドシール部の隅角部側の端部から吊り下げ孔形成部にかけて幅広となっている吊り下げパウチにおいて、
    前記サイドシール部の収納部との境界となる内縁側の形状を、隅角部側の端部から吊り下げ孔形成部にかけて伸びる外側縁とほぼ平行な幅広の直線部と、幅広の吊り下げ孔形成部から前記隅角部と反対側の端部に向けて徐々に外側縁に近づけてシール幅を狭くし、充填用開口部に向かう最小幅まで傾斜する傾斜線部としたことを特徴とする吊り下げパウチ。
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