JP4512546B2 - ベルトリトラクター - Google Patents

Description

本発明は、フレーム内に回転可能に取り付けられたベルトスプールと、減速歯車を介してベルトスプールに接続された駆動モータとを備えるベルトリトラクターに関する。

従来の技術

かかるベルトリトラクターの場合、従来のベルトリトラクターにて巻き取りばねによって行われる引戻し機能を駆動モータが担当することができる。駆動モータを適正に作動させることより、ベルトリトラクターの作動状態に相応してベルト力を変化させることができる。接触領域において、着用時の快適さを向上させ得るようにベルト力を減少させる。引戻し領域において、シートベルトを完全に巻き取ることを確実にするためベルト力を増大させる。更に、駆動モータは、火工技術によるベルト緊張器によってシートベルトを緊張させる必要な状態の準備をすべくシートベルトの予緊張化を行うことができる。

利用可能な技術は、緊張時に必要とされる大きいベルト力も、短い応答時間の何れも実現できないため、駆動モータ単独で直接、緊急時の緊張を行うことは、未だ１つの選択として考えられていない。このため、ベルトを緊張させるためには、一般に、１２０ｍｍのベルト弛緩部分を３０ｍｓ以内に引戻すことが必要とされる。一般に使用されている火工技術のベルト緊張器は１０００Ｎ以上のベルト力を発生させる。同様に大きい力を発生させることのできる利用可能な電気モータは、大き過ぎ且つ重過ぎて、３０ｍｓ以内という短時間で必要な速度に達することができない。

本発明は、専ら駆動モータによって緊張機能を確実化するための電気モータを有し、この駆動モータにより別個の火工技術の緊張駆動体を不要にすることができる、ベルトリトラクターを提供するものである。本発明によるベルトリトラクターにおいて、駆動モータは、減速歯車を介してベルトスプールに接続されている。該駆動モータは、内部ロータを有するブラシレス直流モータである。この直流モータは、少なくとも約２Ｎｍ、好ましくは、２Ｎｍ乃至５Ｎｍの範囲又はこれよりも僅かに大きい高始動トルクを有している。本発明は、短い応答時間及びベルト力を確実にするためには幾つかの措置を組み合わせることが必要であるとの認識に基づくものである。１つのこととして、駆動モータのロータは、小さい慣性モーメントを有しなければならない。この必要条件は、内部ロータを有するブラシレス直流モータによって充たされる。基本的に、外部ロータは、特に大きいトルクを有するが、これと同時に、大きい慣性モーメントも有する。このため、ロータは内部型式のものでなければならない。更に、ブラシレス直流モータは、少なくとも短時間だけ、極めて大きい電流負荷を許容し、このため、少なくとも２Ｎｍの比較的大きい始動トルクを困難なく実現することができる。低慣性モーメントと共に、直流モータの大きい始動トルクは、該モータが僅か数ミリ秒以内で分当たり数千回の回転数に加速することを許容する。

大きい引戻し能力が得られることになるもう1つの原因は、減速歯車がベルト駆動体としての形態とされ且つ丁度、１：３乃至１：５の減速比を有することによる。かかる減速歯車は、少なくとも９０％というその特に高効率の点にて卓越している。

ステータコイル内で必要とされる電流強度の程度を制限するためには、直流モータを４２Ｖの車両の電圧にて作動させることが好都合である。
追加的な特色及び特徴は、以下の説明及び参照する添付図面から明らかになる。

発明の実施の形態

ベルトリトラクターは、フレーム１０内に回転可能に取り付けられたベルトスプール１２を備えている。歯付きベルトディスク１４はベルトスプール１２の軸方向端部の一方に取り付けられる。外歯を有する係止ディスク１６がベルトスプール１２の軸方向他端に接続され、上記係止ディスク１６は電磁石１８によって作動可能な係止爪２０と相互作用する。歯付きベルトディスク１４は歯付きベルト２２を介してピニオン２４に接続され、該ピニオン２４は全体として参照番号２８で表示した直流モータの軸２６に取り付けられている。直流モータ２８は、ステータ３０と、軸２６が取り付けられるロータ３２を備えるブラシレス内部ロータである。ステータ３０はフレーム１０に横方向に配置されるプリント回路板３４の上に設置される。プリント回路板３４には、直流モータ２８の作動回路の１つの構成要素である出力半導体３６が存在する。電気モータ２８のロータ３２はフレーム１０の１つの脚部に取り付けられたベアリングブッシュ３８内に取り付けられる。

歯付きベルトディスク１４と、ピニオン２４と、歯付きベルト２２とから構成されるベルト駆動体は、１：３乃至１：５の減速比を有する減速歯車を形成し、また、該ベルト駆動体はフレーム１０の隣接する脚部に配置されるフード４０によって覆われている。

係止ディスク１６と、係止爪２０と、電磁石１８とから構成される阻止機構はフレーム１０の反対側脚部に配置されるフード４２によって覆われている。
最後に、電気モータ２８はまた、ステータ３０の上を摺動し且つプリント回路板３４の上に配置されるフード４４によっても覆われている。

電気モータ２８のロータ３２には、希土類永久磁石が設けられている。該ロータは好ましくは、１．６×１０^-5ｋｇｍ²の低慣性モーメントを有し且つ少なくとも２Ｎｍの大きい始動トルクにて迅速に始動することを許容する。約３．５×１０^-5ｋｇｍ²までの大きい慣性モーメントのとき、約５Ｎｍに至る大きい始動トルクが必要とされる。直流モータ２８のステータ３０は、４２Ｖの車両の電圧に対する形態とされ、必要な駆動電力のために必要とされるステータコイル中の電流が容易に制御可能な大きさの程度に止まるようにすることが好ましい。

１つの好ましい実施の形態にて使用される内部ロータを備えるブラシレス直流モータの性能曲線が図２の線図に図示されている。この図は、駆動モーメントと、ステータコイル内に供給される電流と、回転速度の関数として吸引される電力とを示す。注目すべき特徴は５Ｎｍ以上の高い始動トルクであり、これは、ロータの低慣性モーメントと組み合わさって、１２０ｍｍのベルトの弛緩部分を３０ｍｓ以内で引戻すことができるという駆動モータの迅速な始動を８００Ｎ以上のベルト力によって可能にする。この駆動体の着想によって実現可能なベルト力は火工技術による緊張装置の場合の力よりも小さい。駆動空気圧力が極めて迅速に蓄積するが、最大値に達した後、極めて急激に下降する、火工技術による緊張体の場合と相違して、電気モータの駆動トルクはその操作段階の全体に亙って保持され、このため低駆動力で十分である。

ベルトリトラクターの分解図である。 使用される直流モータの性能曲線を示す図である。

符号の説明

１０ フレーム １２ ベルトスプール
１４ 歯付きベルトディスク １６ 係止ディスク
１８ 電磁石 ２０ 係止爪
２２ 歯付きベルト ２４ ピニオン
２６ 軸
２８ 直流モータ／電気モータ／駆動モータ
３０ ステータ ３２ ロータ
３４ プリント回路板 ３６ 出力半導体
３８ ベアリングブッシュ ４０、４２、４４ フード

Claims (6)

1. フレーム内に回転可能に取り付けられたベルトスプールと、減速歯車を介してベルトスプールに接続された駆動モータとを有するベルトリトラクターにおいて、
   前記減速歯車が１：３乃至１：５の減速比を有するベルト駆動体にて構成され、
   前記駆動モータが、約１．５×１０^-5ｋｇｍ²乃至約３．５×１０^-5ｋｇｍ²の範囲の慣性モーメントを有する内部ロータを備えるブラシレス直流モータであり、前記駆動モータの始動時に回転速度が１７００ｒｐｍに到達するまで２４Ａから４０Ａ以上まで増加する電流が前記駆動モータに印加されて前記駆動モータが少なくとも２Ｎｍの始動トルクを有し、
   内部ロータの低慣性モーメントと組み合わせた高い始動トルクにより、ベルトの１２０ｍｍの弛緩を３０ｍｓ以内で引き戻すような８００Ｎを超えるベルト力で駆動モータの迅速な始動が許容されることにより、火工技術の緊張駆動体なしに前記駆動モータのみで緊急時のベルトの緊張を実行可能であるベルトリトラクター。
2. 請求項１に記載のベルトリトラクターにおいて、始動トルクが約２Ｎｍ乃至５Ｎｍの範囲にあり又はそれより僅かに大きいことを特徴とする、ベルトリトラクター。
3. 請求項１又は２に記載のベルトリトラクターにおいて、直流モータが４２Ｖの車両の電圧にて作動されることを特徴とする、ベルトリトラクター。
4. 請求項１乃至３のいずれかに記載のベルトリトラクターにおいて、直流モータのロータには希土類永久磁石が設けられることを特徴とする、ベルトリトラクター。
5. 請求項１乃至４のいずれかに記載のベルトリトラクターにおいて、直流モータのステータが作動回路の出力半導体を有するプリント回路板上に設置される一方、該作動回路がフレームの１つの脚部上に配置されることを特徴とする、ベルトリトラクター。
6. ベルトリトラクターによりベルトを巻き取り方法であって、
   フレーム内に回転可能に取り付けられたベルトスプールを、１：３乃至１：５の減速比を有するベルト駆動体にて構成された減速歯車を介して駆動モータに接続し、
   約１．５×１０^-5ｋｇｍ²乃至約３．５×１０^-5ｋｇｍ²の範囲の慣性モーメントを有する内部ロータを備えるブラシレス直流モータを前記駆動モータとして用い、前記駆動モータの始動時に回転速度が１７００ｒｐｍに到達するまで２４Ａから４０Ａ以上まで増加する電流を前記駆動モータに印加して前記駆動モータの始動トルクを少なくとも２Ｎｍとし、
   内部ロータの低慣性モーメントと組み合わせた高い始動トルクにより、ベルトの１２０ｍｍの弛緩を３０ｍｓ以内で引き戻すような８００Ｎを超えるベルト力で駆動モータを始動することにより、火工技術の緊張駆動体なしに前記駆動モータのみで緊急時のベルトの緊張を実行する、ベルトリトラクターによりベルトを巻き取り方法。

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