以下、本発明の一実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
図1はウィンチ装置が搭載された車両の概要図を、図2は図1の車両の後方側を上方から見た図を、図3(a)は操作パネルの平面図,(b)はリモコンの平面図を、図4は電動ウィンチの外観を示す斜視図を、図5は電動ウィンチの遊星歯車減速機周辺を示す断面図を、図6は電動ウィンチのドラム周辺を示す斜視図を、図7は電動ウィンチを構成する部材の接続関係を示す模式図を、図8はコントローラの周辺を示すブロック図を、図9は駆動回路部の詳細構造を示す回路図を、図10(a),(b),(c)は3種類の制動制御を説明する回路図を、図11は送り出し動作を説明するフローチャートを、図12は速度調整動作(送り出し)を説明するフローチャートを、図13は途中停止動作を説明するフローチャートを、図14は制動制御の制御効果を示すグラフを、図15は引き込み動作を説明するフローチャートを、図16は速度調整動作(引き込み)を説明するフローチャートをそれぞれ示している。
図1および図2に示される車両10は、小型の福祉車両である。車両10の車室内でかつ後方側(図中右側)には、車椅子(被牽引物)20を搭載する搭載スペース11が設けられている。搭載スペース11の車両前方側(図中左側)には、車両10の車幅方向(図2中上下方向)に、右側の電動ウィンチ30Rと左側の電動ウィンチ30Lとが所定間隔で並べられている。これら一対の電動ウィンチ30R,30Lは、それぞれ車両10の運転席DRおよび助手席ASの下部に配置されている。なお、図1においては、運転席DR側のみを示している。
一対の電動ウィンチ30R,30Lは互いに同じ構造となっており(図8参照)、先端側にフック31が設けられたベルト32を備えており、当該ベルト32は車椅子20を牽引するようになっている。そして、一対の電動ウィンチ30R,30Lからベルト32をそれぞれ引き出して、それぞれのフック31を車椅子20の左右側にある一対の前フレーム21に引っ掛ける。その後、当該状態で一対の電動ウィンチ30R,30Lを同期駆動して、一対のベルト32を引き込む。これにより車椅子20は、搭載スペース11に向けて移動される。
搭載スペース11の車両後方側には、地面Jと車両10の床面Fとを緩やかな傾斜角度で接続するスロープ12が設けられ、当該スロープ12は、合計3枚のアルミ板をスライド自在に連結して構成されている。そして、車両10の走行時には、スロープ12はコンパクトに畳まれて、搭載スペース11の車両後方側において、閉じられたバックドア13の内側等に立て掛けられる。
一対の電動ウィンチ30R,30Lを同期駆動し、一対のベルト32をそれぞれ引き込むことで、車椅子20は、図2に示される状態からスロープ12上を徐々に上っていき、やがて図1に示されるように床面F上に到達して、搭載スペース11内の所定位置に搬入される。そして、車椅子20は車両10に対してがたつかないように固定されて、車両10は走行可能な状態になる。
ここで、車椅子20を車両10の搭載スペース11に搬入する際には、まず、後部座席STを前方に倒した状態にする。これにより、車両10の車室内後方に比較的大きな搭載スペース11が出現する。なお、一対のベルト32は、運転席DRおよび助手席ASと前方に倒された後部座席STとの間から、それぞれ引き出されている。
また、一対の電動ウィンチ30R,30Lを同期駆動して一対のベルト32を送り出すことで、搭載スペース11内に搭載された車椅子20がスロープ12上を徐々に下りていき、やがて床面Fから地面Jに搬出される。このようにスロープ12を設けることで、地面Jと床面Fとの間で車椅子20を容易に移動可能としている。なお、一対の電動ウィンチ30R,30Lは、介助者によって操作するようにし、かつ一対の電動ウィンチ30R,30Lの操作中は、介助者は車椅子20を後方から支えるようにする。
ウィンチ装置40は、図2に示されるように構成されている。すなわち、ウィンチ装置40は、一対の電動ウィンチ30R,30L,1つのコントローラ50,操作パネル60およびリモコン70から構成されている。一対の電動ウィンチ30R,30Lとコントローラ50との間および操作パネル60とコントローラ50との間には、それぞれワイヤーハーネス14が電気的に接続して設けられている。なお、リモコン70はワイヤレス式であって、無線によりコントローラ50と通信可能となっている。よって、リモコン70を車室外に持ち出すことで、車室外において一対の電動ウィンチ30R,30Lを操作することができる。
また、図2に示されるように、車両10の床面Fにはフック15を備えた一対の固定ベルト16が設けられている。これらの固定ベルト16のフック15は、搭載スペース11にある車椅子20の車軸22にそれぞれ引っ掛けられる。これにより、搭載スペース11に搭載された車椅子20は、ベルト32のフック31および固定ベルト16のフック15の合計4箇所で支持される。よって、車両10の所定位置において、車椅子20は移動したりがたついたりすることがない。
操作パネル60は、図3(a)に示されるように、パネル本体61を備えている。パネル本体61は車両10の後方側に配置され、操作パネル60は車室外から容易に操作可能になっている。パネル本体61には、主電源スイッチ62,ベルトフリースイッチ63,速度切替スイッチ64およびブザー65が設けられている。
主電源スイッチ62は、ウィンチ装置40のシステム電源を入れるときに操作するスイッチである。そして、主電源スイッチ62をオン操作することでシステム電源が入り、インジケータ62aが点灯するようになっている。ここで、主電源スイッチ62は、ウィンチ装置40を初期化するときにも操作され、例えば、3秒以上の長押しをすることでウィンチ装置40が初期化される。
ベルトフリースイッチ63は、一対の電動ウィンチ30R,30Lをアンロック状態にするときに操作するスイッチである。そして、ベルトフリースイッチ63をオン操作することで、一対のベルト32をそれぞれ手動で自由に引き出したり収納したり(出し入れ)することができる。つまり、ベルトフリースイッチ63をオン操作し、一対のベルト32を引き出して、車室外にある車椅子20に一対のフック31を引っ掛けたり、一対の電動ウィンチ30R,30Lからそれぞれ引き出された一対のベルト32の長さを揃えたりできる。ここで、ベルトフリースイッチ63をオン操作すると、インジケータ63aが点灯するようになっている。
速度切替スイッチ64は、車椅子20を搭載スペース11に搬入したり搭載スペース11から搬出したりする際に、一対のベルト32の移動速度、つまり引き込み速度や送り出し速度を、低速(LOW)または高速(HIGH)に切り替えるときに操作するスイッチである。
また、ブザー65は、一対のベルト32の引き込み作動時や送り出し作動時(正常作動時)、さらには一対の電動ウィンチ30R,30Lの動作不良時(故障発生時)等において、電子音等の警告音を吹鳴するようになっている。つまり、ブザー65は、車椅子20の後退等を外部に知らせるようになっている。ここで、警告音としては電子音に限らず、音声によるアナウンスであっても良い。
リモコン70は、ワイヤレスリモートコントロールユニットで、操作パネル60の主電源スイッチ62が操作され、ウィンチ装置40のシステム電源が入っているときに使用可能となる。リモコン70は、図3(b)に示されるように、リモコン本体71を備えている。リモコン本体71には、リモコン電源スイッチ72,入スイッチ73および出スイッチ74が設けられている。リモコン70は、さらにインジケータ75を備えており、当該インジケータ75は、リモコン70の操作時等に点灯するようになっている。
なお、リモコン70の操作は、介助者が行うようにする。そして、介助者によりリモコン電源スイッチ72をオン操作し、その後、入スイッチ73または出スイッチ74を押すことで、一対の電動ウィンチ30R,30Lが同期して駆動される。具体的には、入スイッチ73を押している間は、一対の電動ウィンチ30R,30Lが継続して駆動され、車椅子20の搭載スペース11への搬入が補助される。一方、出スイッチ74を押している間は、一対の電動ウィンチ30R,30Lが逆回転して、車椅子20の搭載スペース11からの搬出が補助される。
ただし、リモコン70の操作中は、介助者は車椅子20のグリップGR(図1参照)を把持して、車椅子20を支持するとともに、その移動を誘導するようにする。このように、ウィンチ装置40は、一対の電動ウィンチ30R,30Lの駆動(制御)によって、介助者による車椅子20の移動を補助するようになっている。
一対の電動ウィンチ30R,30Lは、それぞれ同じ形状に形成されており、図4および図7に示されるような構造を採用する。以下、一対の電動ウィンチ30R,30Lのうち、右側の電動ウィンチ30Rを代表して、その詳細構造について説明する。
電動ウィンチ30Rは、電動モータ部80とドラム部90とを備えており、電動モータ部80が本発明におけるモータを構成している。そして、これらの電動モータ部80およびドラム部90は、複数の固定ボルトS(図4では2つのみ示す)によって互いに一体化されている。
図5に示されるように、電動モータ部80は、モータ部81とギヤ部82とを備えている。モータ部81は、U相コイルCu,V相コイルCv,W相コイルCwを備えた三相のブラシレスモータとなっている。モータ部81は、モータハウジング80aに固定された環状のステータ81aを備えている。そして、ステータ81aには、それぞれのコイルCu,Cv,Cwが、デルタ結線の巻き方により巻装されている(図9参照)。また、ステータ81aの径方向内側には、ロータ81bが回転自在に設けられている。
ロータ81bは、鋼板をプレス加工等することで略筒状に形成されている。ロータ81bの外周部分には、ロータ81bの周方向に向けて、複数極に着磁された筒状の永久磁石81cが固定されている。永久磁石81cは、ステータ81aの径方向内側と対向している。これにより、図8に示されるように、それぞれのコイルCu,Cv,Cwに駆動電流ID(R)を順次供給していくことで、ロータ81bが回転するようになっている。
ロータ81bの回転中心には、ロータシャフト81dの基端部分(図中上部)が固定されている。これにより、ロータシャフト81dは、ロータ81bの回転に伴って回転するようになっている。なお、ロータシャフト81dは、第1,第2ベアリングB1,B2を介して、モータハウジング80aに回動自在に支持されている。
ここで、モータハウジング80aの内部にはセンサ基板80bが収容されており、このセンサ基板80bには、ロータ81bの回転状態を検出するロータ回転センサ80cが実装されている。なお、ロータ回転センサ80cには、ホールセンサ等の磁気センサが採用される。また、ロータ回転センサ80cは、ロータシャフト81dの軸方向から永久磁石81cと対向している。
これにより、ロータ回転センサ80cは、永久磁石81cの磁極の変化を捉えて、矩形波からなるロータ回転信号RR(R)をコントローラ50に出力するようになっている(図8および図9参照)。そして、コントローラ50は、入力されたロータ回転信号RR(R)に基づいて、ロータ81bのステータ81aに対する回転位置を検出しつつ、ロータ81bの回転状態を制御するようになっている。
ロータシャフト81dの先端部分(図中下部)には、第3ベアリングB3を介して、遊星歯車減速機82aを形成するキャリア82dが回動自在に装着されている。そして、キャリア82dの回転中心には、ドラム軸92aが一体回転可能に固定されている。ここで、遊星歯車減速機82aは、ロータシャフト81dの回転速度を減速して高トルク化し、高トルク化された回転力をドラム軸92a(ドラム92)に出力する。これにより、モータ部81を正逆方向に回転させることで、ベルト32が開口部91a(図4参照)から出し入れされる。
図5に示されるように、ロータシャフト81dの軸方向先端側(図中下側)には、遊星歯車減速機82aが設けられている。遊星歯車減速機82aはギヤ部82を形成しており、サンギヤ82bと、3つのプラネタリギヤ82cと、これらのプラネタリギヤ82cを支持するキャリア82dと、リングギヤ82eと、を備えている。
サンギヤ82bは、ロータシャフト81dに一体に形成されており、リングギヤ82eは、ケーシング91に固定されている。そして、3つのプラネタリギヤ82cは、サンギヤ82bとリングギヤ82eとの間に、動力伝達可能に配置されている。具体的には、プラネタリギヤ82cは、サンギヤ82bおよびリングギヤ82eの双方に噛み合わされている。
キャリア82dは、3つのプラネタリギヤ82cを120度間隔で回動自在に支持している。また、キャリア82dは、第3ベアリングB3を介してロータシャフト81dの先端部分に回動自在に支持されている。さらに、キャリア82dには、ドラム軸92aが固定されており、これによりドラム92は、キャリア82dと共に回転する。すなわち、キャリア82dは、電動モータ部80の出力部としての機能を有する。そして、サンギヤ82bの回転速度は、所定の回転速度にまで減速されて高トルク化され、高トルク化された回転力が、キャリア82dから出力される。つまり、キャリア82dは、サンギヤ82bよりも低速かつ高トルクで回転される。
このように、電動ウィンチ30Rは、減速機構に遊星歯車減速機82aを採用し、かつモータ部81に三相のブラシレスモータを採用している。したがって、電動ウィンチ30Rの全体を薄型化することができる。よって、図5に示されるように、ドラム92を遊星歯車減速機82aおよびモータ部81に対して同軸上に配置しても、電動ウィンチ30Rをそれほど大型化させずに済む。
図4に示されるように、ドラム部90はケーシング91を備えている。ケーシング91は略箱形状に形成され、その内部には、図6に示されるドラム92,ラチェット機構93および弛み取り機構94が収納されている。ケーシング91の外部には、ドラム92に巻き掛けられるベルト32の弛みを取り除く弛み取りモータ95,ドラム92の回転状態を検出するドラム回転センサ96,電動モータ部80や弛み取りモータ95等に駆動電流を供給するための外部コネクタ(図示せず)が接続されるコネクタ接続部97等が設けられている。
ここで、ドラム回転センサ96は、ドラム92と共に回転されるセンサマグネットMG(図5および図6参照)と対向するようになっている。これにより、ドラム回転センサ96は、センサマグネットMG(ドラム92)の回転に伴って、矩形波からなるドラム回転信号RD(R)をコントローラ50に出力するようになっている(図8参照)。なお、ドラム回転センサ96においても、ロータ回転センサ80cと同様に、ホールセンサ等の磁気センサが採用される。ここで、ドラム回転センサ96は、本発明におけるセンサを構成している。
ケーシング91の側部には、開口部91aが形成され、当該開口部91aからは、ベルト32が出入り自在となっている。ベルト32は、ケーシング91の開口部91aの近傍に設けられた案内部材98により出入りが案内され、これによりベルト32の捻れが防止される。また、案内部材98はフック31の通過を許さず、これによりベルト32の全てがケーシング91内に引き込まれてしまうことが防止される。
ここで、図4および図5の符号FTは、電動ウィンチ30Rを車両10の床面F(図2参照)に固定するための取付ステーであって、当該取付ステーFTは、図示しない複数の締結ボルトによって床面Fに取り受けられる。これにより、電動ウィンチ30Rは、車両10に対してがたつくことなく強固に固定される。
ドラム92にはベルト32が巻き掛けられ、当該ドラム92の回転中心には、ドラム軸92aが装着されている。ドラム軸92aは、図5に示されるように、第4ベアリングB4および第5ベアリングB5を介してケーシング91に回動自在に支持されている。そして、ドラム軸92aには、遊星歯車減速機82aにより減速して高トルク化された回転力が、遊星歯車減速機82aから直に伝達される。これにより、ドラム軸92aおよびドラム92は、電動モータ部80の正逆方向への回転駆動に伴って正逆方向に回転駆動される。よって、ベルト32をケーシング91内に引き込んだりケーシング91外に送り出したりすることができる。
また、ドラム92とドラム軸92aとの間には、ワンウェイクラッチ92bが設けられている。ワンウェイクラッチ92bは、ドラム軸92aがベルト32の引き込み方向(図6において反時計回り方向)に向かって回転する際、そのままこの回転をドラム92に伝達するように構成されている。そして、例えば、ドラム軸92aに対してドラム92のみがベルト32の引き込み方向に向かって回転するような場合に、ドラム92の回転はドラム軸92aに伝達されず、ドラム92はドラム軸92aに対して空回りする。
ラチェット機構93は、ドラム92に一体に設けられたラッチギヤ93aと、ラッチギヤ93aに係合し、ドラム92のベルト32の引き込み方向への回転を許容し、ベルト32の送り出し方向への回転(図6において時計回り方向)を規制する揺動自在な歯止め93bと、歯止め93bを揺動駆動するソレノイド駆動部材93cとを備えている。ここで、ソレノイド駆動部材93cは、本発明における駆動部材を構成している。
ソレノイド駆動部材93cは駆動ピン93dを備えており、駆動部材制御部53(図8参照)の制御によりソレノイド駆動部材93cに駆動電流を供給することで、駆動ピン93dはピンの軸方向に移動して引っ込むようになっている。これにより、ラッチギヤ93aと歯止め93bとの噛み合いが外れてリリース状態となり、当該リリース状態では、ベルト32の引き込み方向(一方向)および送り出し方向(他方向)の双方向へのドラム92の回転が許容される。このように、ドラム92を双方向に回転自在とすることで、車椅子20を搭載スペース11から降ろせるようになる。
これに対し、駆動部材制御部53の制御によりソレノイド駆動部材93cへの駆動電流の供給を停止することで、図示しない復帰ばねのばね力により駆動ピン93dは突出するようになっている。これにより、ラッチギヤ93aに歯止め93bが噛み合ってロック状態となり、当該ロック状態では、ベルト32の引き込み方向(一方向)へのドラム92の回転を許容しつつ、ベルト32の送り出し方向(他方向)へのドラム92の回転が規制される。よって、スロープ12上での車椅子20の後退が防止される。
弛み取り機構94は、ドラム92に一体に設けられたスパーギヤ94aと、スパーギヤ94aと噛み合う小径ギヤ94bと、弛み取りモータ95により回転駆動される減速ギヤ機構94cとを備えている。弛み取りモータ95は、ドラム92がベルト32を巻き取る方向の回転力を発生し、弛み取りモータ95の回転力は、減速ギヤ機構94c,トルクリミッタ94d,小径ギヤ94bおよびスパーギヤ94aを介してドラム92に伝達される。
ここで、小径ギヤ94bと減速ギヤ機構94cとの間には、図7に示されるように、トルクリミッタ94dが設けられており、当該トルクリミッタ94dは、一定以上のトルクの伝達をカットするようになっている。これにより、弛み取りモータ95に過負荷が掛かるのを防止し、弛み取りモータ95が保護される。言い換えれば、弛み取りモータ95には、ベルト32の弛みを取ることができる程度の低トルクを発生し得る小型モータを採用することができる。
図8に示されるように、コントローラ50には、左右側の電動ウィンチ30R,30Lの他に、イグニッションスイッチIG,車速センサVS,シフトポジションセンサSP,操作パネル60およびブザー65が、ワイヤーハーネス14(図2参照)等を介して電気的に接続されている。また、コントローラ50には、リモコン70からの種々の操作信号を無線により受信可能となっている。
コントローラ50は、種々の入力信号に基づいて、電動ウィンチ30R,30Lの電動モータ部80の回転状態を制御するモータ制御部51を備えている。また、コントローラ50は、モータ制御部51からの制御信号H1,H2,H3,H4,H5,H6の入力に基づいて、電動ウィンチ30R,30Lの電動モータ部80をそれぞれ回転駆動する左右側の駆動回路部52R,52Lを備えている。つまり、モータ制御部51と駆動回路部52R,52Lとが協働して、車椅子20を牽引するベルト32の出し入れを制御するようになっている。
また、コントローラ50は、種々の入力信号に基づいて、ラチェット機構93を形成するソレノイド駆動部材93cを制御する駆動部材制御部53と、弛み取りモータ95を制御する弛み取りモータ制御部54と、を備えている。そして、これらの駆動部材制御部53および弛み取りモータ制御部54は、モータ制御部51による電動モータ部80の制御とは別に、それぞれソレノイド駆動部材93cおよび弛み取りモータ95を個別に制御可能となっている。
モータ制御部51には、左右側のドラム回転センサ96から、それぞれのドラム92の回転状態(低速回転)を示すドラム回転信号RD(R),RD(L)が入力される。なお、符号末尾の(R)は右側を、(L)は左側を、それぞれ示している。また、左右側のロータ回転センサ80cから、それぞれのロータ81bの回転状態(高速回転)を示すロータ回転信号RR(R),RR(L)が入力される。これにより、モータ制御部51は、ドラム回転信号RD(R),RD(L)およびロータ回転信号RR(R),RR(L)に基づいて、電動ウィンチ30R,30Lの駆動状態を把握する。
ここで、コントローラ50は、イグニッションスイッチIGからのON信号の入力により起動され、これにより電動ウィンチ30R,30Lはスタンバイ状態となる。このとき、モータ制御部51は、車速センサVSからの車速信号V(m/s)が入力され、車両10が走行中であると判断した場合には、電動ウィンチ30R,30Lの動作を禁止する。これに加えて、モータ制御部51は、シフトポジションセンサSPからの信号がパーキング信号(P信号)以外である場合にも、車両10が停車状態にないと判断して、電動ウィンチ30R,30Lの動作を禁止する。
このように、モータ制御部51は、車両10が確実に停車されていることをトリガとして、電動ウィンチ30R,30Lの動作を許可するようになっている。よって、ウィンチ装置40(図2参照)は、信頼性および安全性の高いものとなっている。
また、モータ制御部51は、ベルト32の引き出し量を記憶して、当該ベルト32の引き出し量から、車椅子20が車両10(図1参照)に対してどの位置にあるのかを把握する。そして、モータ制御部51は、ベルト32の引き出し量の情報(車椅子20の位置情報)に基づいて、電動ウィンチ30R,30Lをきめ細かく制御可能となっている。ここで、ベルト32の引き出し量は、矩形波からなるドラム回転信号RD(R),RD(L)のカウント数に比例した値となる。すなわち、ベルト32の引き出し量の増減は、カウント数の増減に比例する。
さらに、モータ制御部51は、入力されたドラム回転信号RD(R),RD(L)に基づいて、左右側のベルト32の現在の移動速度、つまりベルト32の実速度Vo(R),Vo(L)をそれぞれ算出するようになっている。具体的には、モータ制御部51は、パルス信号(矩形波)であるドラム回転信号RD(R),RD(L)の出現間隔を測り、当該出現間隔の長短、あるいは単位時間当たりの矩形波の出現数からベルト32の実速度Vo(R),Vo(L)を算出するようになっている。
また、モータ制御部51には、予め定められた目標速度閾値Vaと、第1速度閾値Vth1と、第2速度閾値Vth2とが格納されている。ここで、モータ制御部51は、これらの閾値Va,Vth1,Vth2と、ベルト32の実速度Vo(R),Vo(L)と、を比較する比較処理を実行する。なお、閾値の大小関係は、Va<Vth1<Vth2(図14参照)となっている。
そして、コントローラ50にリモコン70(図3(b)参照)から途中停止信号STPが入力されると、モータ制御部51は、停止用制動制御(強制動)を実行するようになっている。ここで、リモコン70から途中停止信号STPが出力されるタイミングは、例えば、介助者がリモコン70の出スイッチ74の操作を止めたとき、つまりリモコン70が無操作の状態となったときである。
このようにリモコン70が無操作の状態になると、モータ制御部51は、駆動回路部52R,52Lのそれぞれに対して、制御信号H1〜H6を所定のタイミングで出力する。これにより、左右側の電動モータ部80は最も強力は電気ブレーキ(停止用制動力)を発生するように制御される。具体的には、停止用制動力の発生時には、それぞれの駆動回路部52R,52Lは、後述する一相通電回路(図10(C)参照)を形成した状態となる。したがって、例えば、車椅子20がスロープ12上で移動している途中において、ラチェット機構93を作動させなくても、車椅子20をその場で停止させることができる。
また、モータ制御部51は、停止用制動制御(強制動)とは別に、速度調整用制動制御(弱制動,中制動,強制動)を実行するようになっている。具体的には、モータ制御部51は、目標速度閾値Va以上となった実速度Vo(R),Vo(L)を目標速度閾値Vaに近付けるようにすべく、左右側の駆動回路部52R,52Lに対して、所定のタイミングで制御信号H1〜H6をそれぞれ出力する。
そして、モータ制御部51は、左右側の電動モータ部80のそれぞれに所定の大きさでかつ同じ制動力(電気ブレーキ)を発生させるべく、それぞれの駆動回路部52R,52Lに同じ制御信号H1〜H6を出力する。これにより、それぞれの駆動回路部52R,52Lが、モータ制御部51により同じ制御内容で制動制御されて、左右側の電動モータ部80の双方が略同時に最適な制動力を発生するようになっている。
なお、モータ制御部51には、目標速度閾値Vaの他に、それよりも大きな第1速度閾値Vth1および第2速度閾値Vth2が格納されているが、これは、実速度Vo(R),Vo(L)と目標速度閾値Vaとの差が大きくなるに連れて、最適な制動制御を行うためである。
具体的には、実速度Vo(R),Vo(L)と目標速度閾値Vaとの差が小さい場合には「制動制御(弱)」を実行する。また、実速度Vo(R),Vo(L)と目標速度閾値Vaとの差が中くらいの場合には「制動制御(中)」を実行する。さらに、実速度Vo(R),Vo(L)と目標速度閾値Vaとの差が大きい場合には「制動制御(強)」を実行する(図10および図12参照)。つまり、モータ制御部51は、実速度Vo(R),Vo(L)と目標速度閾値Vaとの差に応じて、制動制御の制御内容を異ならせている。
図9に示されるように、左右側の駆動回路部52R,52Lには、車両10に搭載された電源Btがそれぞれ電気的に接続されている。そして、電源Btのプラス側(図中上側)には、複数の第1スイッチング素子F1,F2,F3が配置され、電源Btのマイナス側(図中下側)には、複数の第2スイッチング素子F4,F5,F6が配置されている。なお、左右側の駆動回路部52R,52Lは、それぞれ同じものであり、図9においては、右側の駆動回路部52Rおよび右側のモータ部81のみが示されている。
ここで、本実施の形態では、第1スイッチング素子F1,F2,F3および第2スイッチング素子F4,F5,F6が、それぞれ3つずつ対となるように設けられ、これらのスイッチング素子F1,F2,F3,F4,F5,F6は、それぞれMOS型FETにより構成されている。
これらのスイッチング素子F1〜F6には、モータ制御部51からの制御信号H1〜H6が所定のタイミングで入力される。これにより、スイッチング素子F1〜F6は、高速で順次オンオフ(スイッチング)される。よって、モータ部81のU相コイルCu,V相コイルCv,W相コイルCwに、次々に駆動電流ID(R)が供給されて、ひいてはモータ部81のロータ81bが回転駆動される。なお、駆動電流ID(R)の大きさは、PWM制御によりきめ細かく変化可能となっている。
図8に示されるように、駆動部材制御部53は、左右側のソレノイド駆動部材93cに対して、駆動電流を供給したり、駆動電流の供給を停止させたりするものであって、例えば、ウィンチ装置40のシステム電源がオフのときには、それぞれのソレノイド駆動部材93cへの駆動電流の供給が停止される。これにより、ラチェット機構93がロック状態となり、ドラム92のベルト32の送り出し方向への回転が規制される。これに対し、例えば、操作パネル60のベルトフリースイッチ63が操作された場合には、ソレノイド駆動部材93cに対して駆動電流が供給される。これにより、ラチェット機構93がリリース状態となって、ドラム92のベルト32の送り出し方向への回転が許容される。
これに加えて、駆動部材制御部53は、コントローラ50にリモコン70から途中停止信号STPが入力されたときにも作動するようになっている。すなわち、駆動部材制御部53は、途中停止信号STPの入力に伴って、モータ制御部51と一緒に(略同時に)作動するようになっている。
駆動部材制御部53は、停止用制動制御(強制動)を実行中の左右側の電動モータ部80を、それぞれ過熱等により焼損することから保護する機能を有している。駆動部材制御部53には、予め定められた速度閾値(所定値)Vth3と時間閾値(所定時間)Tthとが格納され、駆動部材制御部53は、速度閾値Vth3と、ベルト32の実速度Vo(R),Vo(L)と、を比較する比較処理と、停止用制動制御が開始されてからの経過時間Tを計測しつつ、当該経過時間Tと時間閾値Tthとを比較する比較処理と、を実行する。
ここで、停止用制動制御を実行中であるにも関わらず、実速度Vo(R),Vo(L)がある程度の値を示している(比較的小さな値のVth3以上となっている)場合とは、強い電気ブレーキでも車椅子20が移動しており、左右側の電動モータ部80がそれぞれ過熱され得る状態であることを意味する。また、経過時間Tが時間閾値Tth(焼損する時間よりも短い時間)以上になる場合とは、停止用制動制御を実行している時間が比較的長くなり、左右側の電動モータ部80がそれぞれ過熱して焼損する可能性が高くなっていることを意味する。
したがって、駆動部材制御部53は、上記2つの条件のうちのいずれか一方の条件が満たされた場合に、ソレノイド駆動部材93cへの駆動電流の供給を停止して、ラチェット機構93をロック状態とする。これにより、ベルト32の引き出し方向へのドラム92の回転が機械的に停止されて、電動モータ部80を焼損等から保護される。
なお、コントローラ50を形成する弛み取りモータ制御部54は、モータ制御部51の制御により左右側の電動モータ部80が停止している場合において、ベルト32をケーシング91(図4参照)に引き込んでベルト32を仕舞ったり、左右側のベルト32の引き出し量を互いに同じ引き出し量に揃えたりするときに、左右側の弛み取りモータ95をそれぞれ個別に駆動するようになっている。
次に、モータ部81の基本動作について説明する。なお、左側のモータ部81においても右側のモータ部81と同様に動作するため、図9を参照しつつ、右側のモータ部81についてのみ説明する。
モータ部81を回転駆動するには、3つのコイルCu,Cv,Cwに対して、次々に駆動電流ID(R)を供給していけば良い。ただし、モータ部81に掛かる負荷の大きさによっては、3つのコイルCu,Cv,Cwへの駆動電流ID(R)の供給に対して、ロータ81bの回転が追従しないことが起こり得る。
そこで、モータ制御部51は、ロータ回転センサ80cからのロータ回転信号RR(R)に基づいてロータ81bの回転状態を監視し、これによりそれぞれのコイルCu,Cv,Cwに対する駆動電流ID(R)の供給タイミングを調整している。言い換えれば、モータ制御部51は、駆動電流ID(R)の供給をロータ81bの回転状態に同期させて、モータ部81を最適な回転状態となるように制御している。
例えば、第1スイッチング素子F1を「ON」とし、第2スイッチング素子F5を「PWM制御」とすることで、U相コイルCuに所定の大きさの駆動電流ID(R)を供給する。次いで、第1スイッチング素子F2を「ON」とし、第2スイッチング素子F6を「PWM制御」とすることで、V相コイルCvに所定の大きさの駆動電流ID(R)を供給する。さらに引き続き、第1スイッチング素子F3を「ON」とし、第2スイッチング素子F4を「PWM制御」とすることで、W相コイルCwに所定の大きさの駆動電流ID(R)を供給する。
このように、それぞれのコイルCu,Cv,Cwに、駆動電流ID(R)を順次供給していくことで、それぞれのコイルCu,Cv,Cwに電磁力が順次発生して、これによりロータ81bが所定方向に回転駆動される。
また、モータ部81には、強さが異なる3種類(弱,中,強)の制動力を発生させることもできる。モータ部81にそれぞれの制動力を発生させる制動制御を行うには、例えば、以下のようにスイッチング素子F1〜F6の「ON」,「PWM制御」および「OFF」をそれぞれ切り換えるように制御すれば良い。
[閉回路制動(弱)]
図10(a)に示されるように、第1スイッチング素子F1を「ON」とし、第2スイッチング素子F2を「PWM制御」とすることで、破線のように、それぞれのコイルCu,Cv,Cwを通る閉回路を形成する。ここで、その他のスイッチング素子F3〜F6は全てを「OFF」とする。そして、モータ部81の回転を遅らせるように(止めるように)、順次スイッチング素子F1〜F6を切り換えて、V相コイルCvを通る閉回路およびW相コイルCwを通る閉回路を形成していくことで、比較的弱い制動力(弱制動)が発生する。
なお、上述のように次々と閉回路を形成することで発生する制動力は、永久磁石81c(図5参照)の回転に伴ってそれぞれのコイルCu,Cv,Cwに発生する誘導電流の大きさによって決まる。すなわち、ロータ81bの回転速度が速ければ速いほど、誘導電流が大きくなって制動力も大きくなる。
「回生制動(中)」
図10(b)に示されるように、プラス側(上段)の第1〜第3スイッチング素子F1〜F3の全てを「OFF」とし、マイナス側(下段)の第4〜第6スイッチング素子F4〜F6の全てを同じタイミングで「PWM制御」とすることで、破線のように、それぞれのコイルCu,Cv,Cwを通る回生回路を形成する。これにより、図10(a)で示される閉回路制動(弱)よりも大きな制動力(中制動)が発生する。
なお、上述の回生回路において、実速度Vo(R),Vo(L)と目標速度閾値Vaとの差に応じて、PWM制御のデューティー比を調整することで、制動力をきめ細かく調整することができる。例えば、実速度Vo(R),Vo(L)と目標速度閾値Vaとの差が大きめであれば、大きめの制動力を得るためにデューティー比を大きくし、実速度Vo(R),Vo(L)と目標速度閾値Vaとの差が小さめであれば、小さめの制動力を得るためにデューティー比を小さくすれば良い。
「一相通電制動(強)」
図10(c)に示されるように、第1スイッチング素子F1を「ON」とし、第5スイッチング素子F5を「PWM制御」とすることで、破線のように、電源BtおよびそれぞれのコイルCu,Cv,Cwを通る一相通電回路を形成する。ここで、その他のスイッチング素子F2〜F4,F6の全てを「OFF」とする。そして、通常の電動モータ部80の回転駆動時とは異なり、ロータ81bを回転させないようにすべく、第1〜第6スイッチング素子F1〜F6の「ON」,「PWM制御」,「OFF」の位置は固定状態とする。つまり、モータ部81の回転に合わせて「ON」,「PWM制御」,「OFF」の位置を変えないようにする。
ただし、「一相通電制動(強)」の開始時におけるモータ部81の回転位置(ロータ81bの回転位置)に合わせて、「ON」,「PWM制御」,「OFF」させるスイッチング素子を変えるようにする。すなわち、上述のように第1スイッチング素子F1を「ON」とし、第5スイッチング素子F5を「PWM制御」とするに限らない。
これにより、図10(b)で示される回生制動(中)よりも大きな制動力(強制動)が発生する。ここで、制動力の大小(強弱)について纏めると、閉回路制動(弱)<回生制動(中)<一相通電制動(強)となる。
次に、コントローラ50の動作について、図面を用いて詳細に説明する。
なお、図11ないし図13に示されるフローチャートは、ウィンチ装置40(図2参照)を作動させて、車両10の搭載スペース11に搭載された車椅子20を、車室外に搬出するときのコントローラ50の動作内容を示している。
まず、ステップS10において、介助者によりリモコン70の出スイッチ74(図3(b)参照)が操作され、これによりコントローラ50は、左右側のベルト32を送り出すように、両側の電動モータ部80(図5参照)の制御を開始する。つまり、送り出し動作が開始される。
ステップS11では、駆動部材制御部53の制御により、左右側のソレノイド駆動部材93c(図6参照)に駆動電流が供給されて、それぞれのソレノイド駆動部材93cがオン操作される。すると、両側のソレノイド駆動部材93cには、駆動ピン93d(図6参照)を引っ込めようとする推力がそれぞれ発生する。これにより、ラッチギヤ93aと歯止め93bとの係合が解かれる準備が完了する。
なお、この状態においては、両側のベルト32(図2参照)には、車椅子20から所定の引っ張り力が作用している。そのため、ラッチギヤ93aおよび歯止め93bは互いに噛み合ったままであり、両側のラチェット機構93は、未だリリース状態にはなっていない。
ステップS12では、コントローラ50が、両側のラッチギヤ93aを解除させる動作(リリース状態にする動作)を実行する。具体的には、モータ制御部51の制御により、両側の電動モータ部80を一旦引き込み方向に少しだけ回転駆動する。これにより、ラッチギヤ93aと歯止め93bとの係合が解かれて、両側のラチェット機構93が漸くリリース状態となる。よって、両側のベルト32の送り出し動作の準備が整う。
ステップS13では、両側の電動モータ部80が、それぞれのベルト32を送り出す方向に回転駆動される。これにより、両側のベルト32が送り出されて、車椅子20がスロープ12上を徐々に下り始める。このとき、例えば、車椅子20の使用者の体重が重い場合には、両側のベルト32の送り出し方向への移動速度が速くなるばかりか、左右側の重量バランスの違いにより、ベルト32の送り出し方向への移動速度が両側でばらつくようなことが起こり得る。そこで、コントローラ50では、左右側のベルト32の実際の移動速度、つまり実速度Vo(R),Vo(L)を、それぞれ監視している。
ステップS14では、モータ制御部51は、まず、ドラム回転信号RD(R),RD(L)の出現間隔から、左右側のベルト32の実速度Vo(R),Vo(L)を算出する。次いで、算出した実速度Vo(R),Vo(L)と、目標速度閾値Vaとを比較する比較処理を実行する。具体的には、モータ制御部51は、左右側の実速度Vo(R),Vo(L)のうちのどちらかが目標速度閾値Va以上になったか否かを判断する。
ステップS14でnoと判断された場合には、ステップS15に進み、当該ステップS15では、介助者によりウィンチ装置40が途中で停止されたか否かを判断する。具体的には、介助者によるリモコン70の出スイッチ74の操作が解除されて、リモコン70から途中停止信号STPが出力されたか否かを判断する。ステップS15でnoと判断された場合には、ステップS16に進み、ステップS15でyesと判断された場合には、ステップS17に進む。
ステップS16では、モータ制御部51により、両側のベルト32の送り出し量が最大値(max)になったか否かを判断する。すなわち、車椅子20がスロープ12上から下りたか否かを判断する。ステップS16でnoと判断、つまり車椅子20が未だスロープ12上にあると判断した場合には、ステップS14に戻る。一方、ステップS16でyesと判断、つまり車椅子20がスロープ12上から下りたと判断した場合には、ステップS18に進む。
ステップS18では、モータ制御部51による送り出し動作を終了させる。具体的には、モータ制御部51が両側の電動モータ部80の回転駆動を停止させつつ、駆動部材制御部53が両側のソレノイド駆動部材93cへの駆動電流の供給を停止し、ラチェット機構93をロック状態とする。これにより、ウィンチ装置40による送り出し動作が終了する。
ステップS15でyesと判断した場合、つまり介助者によりウィンチ装置40が途中で停止されたと判断した場合には、ステップS17に進んで「停止用制動制御」を開始する。すなわち、ステップS17では、モータ制御部51が、両側の電動モータ部80に途中停止用の強力な制動力(電気ブレーキ)を発生させる制御を実行する。
具体的には、モータ制御部51は、両側の駆動回路部52R,52Lに対して、制御信号H1〜H6を所定のタイミングで出力し、両側の駆動回路部52R,52Lを一相通電回路(図10(C)参照)を形成した状態にする。これにより、車椅子20がスロープ12上で移動している途中において、最も強力な電気ブレーキが発生して、その結果、車椅子20がその場で停止される。このとき、機械的なロック状態による急停止では無いので、車椅子20に与えられるショックは少なくて済む。
ステップS19では、駆動部材制御部53により、タイマー処理が実行される。つまり、停止用制動制御が開始されてからの経過時間Tの計測が開始される。ここで、1回目のステップS19での処理は、タイマーをスタートさせる処理となり、2回目以降のステップS19での処理(ステップS25においてnoと判断された場合)は、経過時間Tをインクリメントする処理となる。
ステップS20では、駆動部材制御部53が、経過時間Tが時間閾値(所定時間)Tth以上になったか否かを判断する。ステップS20でnoと判断された場合には、ステップS21に進み、ステップS20でyesと判断された場合には、ステップS22に進む。
ステップS22では、停止用制動制御を実行している時間が長くなり、両側の電動モータ部80が過熱して焼損する虞があることに基づき、駆動部材制御部53の制御により、左右側のソレノイド駆動部材93c(図6参照)への駆動電流の供給を停止する。これにより、ラッチギヤ93aと歯止め93b(図6参照)とが係合して、ラチェット機構93がロック状態となる。すなわち、ステップS22では、歯止め93bによりドラム92の回転が規制され、機械的なロック状態による途中停止が行われる。
ステップS23では、モータ制御部51による「停止用制動制御」が停止され、両側の電動モータ部80への通電(一相通電)が停止される。これにより、電気ブレーキによる途中停止から、機械的なロック状態による途中停止に切り替えられて、両側の電動モータ部80が過熱して焼損することが防止される。
ステップS24では、途中停止が解除されたか否か、具体的には、介助者によるリモコン70の出スイッチ74が再び操作(再始動)されたか否かを判断する。すなわち、リモコン70からの途中停止信号STPの出力が無くなったか否かを判断する。そして、途中停止が継続中の場合、つまりステップS24でnoと判断された場合には、ステップS24の処理が繰り返される。一方、ステップS24において、途中停止が解除されたと判断された場合(yesと判断された場合)には、ステップS11に戻る。
ここで、ステップS24において、介助者がリモコン70の入スイッチ73を操作する場合がある。この場合には、図12に示されるステップS24から、図15(引き込み動作のフローチャート)に示されるステップS11に進むことになる。
図12のステップS21では、駆動部材制御部53が、左右側の実速度Vo(R),Vo(L)のうちのどちらかが速度閾値Vth3以上であるか否かを判断する。ステップS21でyesと判断、つまり使用者の体重が重い等により、強い電気ブレーキを掛けても車椅子20が移動している場合には、左右側の電動モータ部80がそれぞれ過熱されて焼損する虞がある。したがって、ステップS21でyesと判断された後は、ステップS22ないしステップS24に進む。
一方、ステップS21でnoと判断した場合には、ステップS25に進む。ステップS25では、ステップS24と同様に、途中停止が解除されたか否かを判断する。そして、途中停止が継続中の場合、つまりステップS25でnoと判断された場合には、ステップS19に戻って経過時間Tをインクリメントする処理が行われる。一方、ステップS25において、途中停止が解除されたと判断された場合(yesと判断された場合)には、ステップS13に戻る。
ここで、ステップS25において、介助者がリモコン70の入スイッチ73を操作する場合がある。この場合には、図12に示されるステップS25から、図15(引き込み動作のフローチャート)に示されるステップS43に進むことになる。
図11のステップS14でyesと判断された場合、つまり左右側の実速度Vo(R),Vo(L)のうちのどちらかが目標速度閾値Va以上になったと判断した場合、つまり車椅子20を移動させている場合で、かつリモコン70から途中停止信号STPが入力されていない場合には、ステップS26に進んで、モータ制御部51が、両側の電動モータ部80の「速度調整用制動制御」を開始(実行)する。
ステップS26の速度調整用制動制御では、両側の電動モータ部80をそれぞれ個別に制御するのでは無く、両側の電動モータ部80のそれぞれに対して、同じ制御を略同時に行う。したがって、両側の電動モータ部80をそれぞれ個別に制御する場合に比して、コントローラ50の負荷が軽減される。また、両側の電動モータ部80の制御を行うタイミングがそれぞればらつくことが無いので、車椅子20の使用者や介助者に不安感を与えずに済む。
ステップS27では、ステップS14において、目標速度閾値Va以上であると判断した方の実速度Vo(R)または実速度Vo(L)(以下、単に実速度Voとする)が、目標速度閾値Va以上でかつ第1速度閾値Vth1未満であるか否かを判断する。そして、ステップS27でyesと判断された場合にはステップS28に進み、ステップS27でnoと判断された場合にはステップS29に進む。
ステップS28では、モータ制御部51が「制動制御(弱)」を実行する。具体的には、実速度Voと目標速度閾値Vaとの差が小さいこと(ステップS27でのyesの判断)に基づいて、モータ制御部51は、両側の駆動回路部52R,52Lを、それぞれ「閉回路制動(弱)」を発生するように制御する。これにより、両側の駆動回路部52R,52Lの双方が、略同時に図10(a)に示されるような回路(閉回路)となり、両側の電動モータ部80は、比較的弱い制動力を発生する。これにより、ドラム92の送り出し方向への回転に対して電気ブレーキ(弱)が掛かり、実速度Voが目標速度閾値Vaに近付いていく。
そして、ステップS30では、実速度Voが目標速度閾値Va未満になったか否かを判断する。ステップS30でnoと判断された場合にはステップS31に進み、ステップS30でyesと判断された場合にはステップS32に進む。ステップS31では、ステップS15と同様に、介助者によりウィンチ装置40が途中で停止されたか否かを判断する。ステップS31でnoと判断された場合には、ステップS33に進み、ステップS31でyesと判断された場合には、ステップS17に進む。
ステップS33では、ステップS16と同様に、モータ制御部51により、両側のベルト32の送り出し量が最大値(max)になったか否かを判断する。ステップS33でnoと判断された場合にはステップS27に戻る。一方、ステップS33でyesと判断された場合には、ステップS34に進む。そして、ステップS34では、ステップS18と同様に、モータ制御部51による送り出し動作を終了させる。これにより、ウィンチ装置40による送り出し動作が終了する。
ステップS32では、ステップS30でのyes判定、つまり、実速度Voが目標速度閾値Va未満になったとの判断に基づいて、モータ制御部51による「制動制御(弱)」の制御を停止する。つまり、速度調整用制動制御が停止する。その後、図11のステップS14に戻る。
ステップS29では、実速度Voが、第1速度閾値Vth1以上でかつ第2速度閾値Vth2未満であるか否かを判断する。そして、ステップS29でyesと判断された場合にはステップS35に進み、ステップS29でnoと判定された場合にはステップS36に進む。
ステップS35では、モータ制御部51が「制動制御(中)」を実行する。具体的には、実速度Voと目標速度閾値Vaとの差が中くらいであること(ステップS29でのyesの判断)に基づいて、モータ制御部51は、両側の駆動回路部52R,52Lを、それぞれ「回生制動(中)」を発生するように制御する。これにより、両側の駆動回路部52R,52Lの双方が、略同時に図10(b)に示されるような回路(回生回路)となり、両側の電動モータ部80は、「閉回路制動(弱)」よりも大きい中くらいの制動力を発生する。これにより、ドラム92の送り出し方向への回転に対して電気ブレーキ(中)が掛かり、実速度Voが目標速度閾値Vaに近付いていく。その後、ステップS31に進む。
また、ステップS36では、実速度Voが、第2速度閾値Vth2以上であるか否かを判断する。そして、ステップS36でyesと判定された場合にはステップS37に進み、ステップS36でnoと判定された場合にはステップS31に進む。
ステップS37では、モータ制御部51が「制動制御(強)」を実行する。具体的には、実速度Voと目標速度閾値Vaとの差が大きいこと(ステップS36でのyesの判断)に基づいて、モータ制御部51は、両側の駆動回路部52R,52Lを、それぞれ「一相通電制動(強)」を発生するように制御する。これにより、両側の駆動回路部52R,52Lの双方が、略同時に図10(c)に示されるような回路(一相通電回路)となり、両側の電動モータ部80は、「回生制動(中)」よりもさらに大きい制動力を発生する。これにより、ドラム92の送り出し方向への回転に対して電気ブレーキ(強)が掛かり、実速度Voが目標速度閾値Vaに近付いていく。その後、ステップS31に進む。
このように、本実施の形態では、実速度Voと目標速度閾値Vaとの差に基づいて、制動力を「弱」,「中」,「強」に切り換える。したがって、図14の実線で示されるような制御効果を得ることができる。具体的には、車椅子20の使用者の体重が重い場合であって、かつ上述のような速度調整用制動制御を行わない場合には、破線で示されるような挙動を示す。すなわち、電気ブレーキを掛けないため、傾斜したスロープ12上で、車椅子20の移動速度は直ぐに速くなってしまう。よって、車椅子20の使用者やこれに付き添う介助者等に不安感を与える。
これに対し、本実施の形態では、時間t1から時間t2の間(弱制動領域AR1)において、ベルト32の移動速度は上昇するものの、弱めの電気ブレーキ(閉回路制動)が掛かっているため、その上昇を緩やかにすることができる。また、時間t2から時間t3の間(中制動領域AR2)においても、ベルト32の移動速度は上昇するものの、中くらいの電気ブレーキ(回生制動)が掛かっているため、その上昇を緩やかにすることができる。そして、時間t3から時間t4の間(強制動領域AR3)においては、最も強い電気ブレーキ(一相通電制動)が掛かっているため、ベルト32の移動速度がそれ以上上昇してしまうことが抑えられ、かつベルト32の移動速度を目標速度閾値Vaに近付けていくことができる。
その後の時間t4から時間t5の間の中制動領域AR2や、時間t5から時間t6の弱制動領域AR1においても、「回生制動(中)」から「閉回路制動(弱)」へと変化していき、実速度Voが徐々に目標速度閾値Vaに近付いていく。
これにより、時間t1から時間t6における速度調整用制動制御の略全域において、ベルト32の移動速度(実速度Vo)を緩やかに変動させつつ、目標速度閾値Vaに近付けることができるため、車椅子20の使用者やこれに付き添う介助者等に対して、不安感を与えることが低減される。また、上述の速度調整用制動制御(3種)は、両側の電動モータ部80の双方に対して略同時に行うため、左右側でバランス良く制御をすることができ、これによっても車椅子20の使用者やこれに付き添う介助者等に対して、不安感を与えることが低減される。
次に、ウィンチ装置40(図2参照)を作動させて、車室外にある車椅子20を、車両10の搭載スペース11に搬入するときのコントローラ50の動作内容について、図15および図16に示されるフローチャートを用いて説明する。なお、当該引き込み動作における「停止用制動制御」は、送り出し動作で説明した図12と同じ制御となる。上述した送り出し動作と重複する説明を避けるため、図11および図13のフローチャートで示された送り出し動作に対して、異なる部分についてのみ説明する。
図15に示されるように、まず、ステップS40(網掛部分)において、介助者によりリモコン70の入スイッチ73(図3(b)参照)が操作され、これによりコントローラ50は、左右側のベルト32を引き込むように、両側の電動モータ部80(図5参照)の制御を開始する。つまり、引き込み動作が開始される。
そして、ステップS11に続くステップS43(網掛部分)では、両側の電動モータ部80が、それぞれのベルト32を引き込む方向に回転駆動される。これにより、両側のベルト32が引き込まれて、車椅子20がスロープ12上を徐々に上り始める。
ここで、ベルト32の引き込み動作においては、図11におけるステップS12の動作を省略している。これは、図15に示されるフローチャート(引き込み動作)では、両側の電動モータ部80を引き込み方向に回転駆動させるため、次のステップS43において、ラチェット機構93が自動的にリリース状態になるためである。
また、図15のステップS46(網掛部分)および図16のステップS53(網掛部分)では、モータ制御部51により、両側のベルト32の引き込み量が最大値(max)になったか否かを判断する。すなわち、車椅子20が車両10の搭載スペース11(図1参照)に搭載されたか否かを判断する。
そして、ステップS46およびステップS53でnoと判断、つまり車椅子20が未だスロープ12上にあると判断した場合には、ステップS14およびステップS27にそれぞれ戻る。一方、ステップS46およびステップS53でyesと判断、つまり車椅子20が搭載スペース11に搭載されたと判断した場合には、ステップS48(網掛部分)およびステップS54(網掛部分)にそれぞれ進む。
ステップS48およびステップS54では、モータ制御部51による引き込み動作を終了させる。具体的には、モータ制御部51が両側の電動モータ部80の回転駆動を停止させつつ、駆動部材制御部53が両側のソレノイド駆動部材93cへの駆動電流の供給を停止し、ラチェット機構93をロック状態とする。これにより、ウィンチ装置40による引き込み動作が終了する。
このように、図15および図16に示されるフローチャート(引き込み動作)においても、図11および図13に示されるフローチャート(送り出し動作)と略同様の制御効果を得ることができる。ここで、当該引き込み動作においてベルト32の移動速度(実速度Vo)が目標速度閾値Va以上に速くなってしまう場合とは、車椅子20の使用者の体重が、ウィンチ装置40の仕様で定められた標準体重よりも軽い場合等である。また、当該引き込み動作においてベルト32の移動速度(実速度Vo)が速度閾値Vth3以上になってしまう場合とは、車椅子20がスロープ12上を後退してしまう場合等である。
以上詳述したように、本実施の形態のウィンチ装置40によれば、モータ制御部51は、車椅子20の移動を途中で停止させる途中停止信号STPが入力されると、両側の電動モータ部80に停止用制動力(最も強力な電気ブレーキ)を発生させる停止用制動制御を実行する。また、駆動部材制御部53は、停止用制動制御が開始されてから所定時間(時間閾値Tth)以上となった場合、またはベルト32の移動速度(実速度Vo)が所定値(速度閾値Vth3)以上となった場合に、両側のソレノイド駆動部材93cを制御して歯止め93bによりドラム92の回転を規制する。
これにより、電気的な制動力を両側の電動モータ部80に発生させて、ウィンチ装置40を途中で停止させることができ、かつ速やかに再始動させることができる。また、両側の電動モータ部80に大きな負荷が掛かる場合には、歯止め93bによりドラム92の回転を規制するため、両側の電動モータ部80を焼損等から保護することができる。
また、本実施の形態のウィンチ装置40によれば、さらに、モータ制御部51は、途中停止信号STPが入力されていない場合で、かつ車椅子20を移動させている場合に、ベルト32の移動速度(実速度Vo)を所定の目標速度閾値Vaに近付けるように、両側の電動モータ部80に速度調整用制動力(弱,中,強)を発生させる速度調整用制動制御を実行する。
これにより、車椅子20の移動速度が急激に変化することを抑えることができ、車椅子20の使用者やこれに付き添う介助者等に対して不安感を与えることがさらに低減され、かつ実速度Vo(Vo(R),Vo(L)の双方)を、可能な限り速やかに目標速度閾値Vaに近付けることができる。よって、ウィンチ装置40の信頼性を向上させることが可能となる。
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記実施の形態では、図11のステップS14に示されるように、実速度Vo(R),Vo(L)の双方を、目標速度閾値Vaと比較する比較処理を実行し、実速度Vo(R),Vo(L)のうちのどちらかが目標速度閾値Va以上になったか否かを判断するようにしていた。しかしながら、別段これに限られることは無く、例えば、目標速度閾値Vaと比較する実速度Voを、予め右側か左側かに決めておき、当該決められた方の実速度Voと目標速度閾値Vaとを比較する比較処理のみを行うようにしても良い。この場合、制御ロジックを簡素化して、コントローラ50への負荷を低減することができる。
また、上記実施の形態では、左右側の電動ウィンチ30R,30Lと、コントローラ50と、をそれぞれ別体とした構造のウィンチ装置40を示したが、本発明はこれに限らず、コントローラを一対の電動ウィンチのうちの何れか一方に内蔵するようにして設け、両側の電動ウィンチを互いにワイヤーハーネスで電気的に接続しても良い。さらには、両側の電動ウィンチのそれぞれに対応するようにして個別にコントローラを設け、両側のコントローラを互いに通信線で繋いでも良い。この場合、それぞれのコントローラには、専用の駆動回路部を1つ設ければ良い。
また、上記実施の形態では、被牽引物が車椅子20であるものを示したが、本発明はこれに限らず、被牽引物がキャスター付きの担架等であっても良い。
さらに、上記実施の形態では、一対の電動ウィンチ30R,30Lを、運転席DRおよび助手席ASの下部にそれぞれ設置した場合を示したが、本発明はこれに限らず、車両10の後方下部等、他のデッドスペースに設置しても構わない。
その他、上記実施の形態における各構成要素の材質,形状,寸法,数,設置箇所等は、本発明を達成できるものであれば任意であって、上記実施の形態に限定されるものではない。