JP2001347922A - モータ式シートベルトリトラクター - Google Patents

モータ式シートベルトリトラクター

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Abstract

(57)【要約】 【課題】機械式ロック機構以外の方式で、ロックするこ
とができるリトラクタを実現する。 【解決手段】本発明に係るモータ式シートベルトリトラ
クター200は、車両緊急時に牽引されるウエビングの
引出しを阻止するロック機構を備えている。このロック
機構は、ウエビングの引き出し方向に回転するモータ2
1の回転軸の回転を阻止する回転抗力をモータ21の回
転軸に発生させるように構成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ロック機構を備
えたリトラクタ、特にはモーターを利用したロック機構
を備えたモータ式リトラクタに関する。
【0002】
【従来の技術】従来は、機械式ロック機構を備えたシー
トベルトリトラクタが用いられていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】機械式ロック機構以外
の方式で、ロック機能を行えるリトラクタの出現が望ま
れている。
【0004】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本発明に係るモータ式シートベルトリトラクター
よれば、車両緊急時に牽引されるウエビングの引出しを
阻止するロック機構を備えたモータ式シートベルトリト
ラクターにおいて、ロック機構は、ウエビングの引き出
し方向に回転するモータの回転軸の回転を阻止する回転
抗力をモータの回転軸に発生させるように構成されてい
ることを特徴とする。このように構成すれば、電気的に
ロック機構を作動させるので、適切なタイミングでのロ
ックが可能となる。
【0005】また、本発明の実施に当たり、回転抗力
は、少なくともモータの回転軸の回転トルクから構成さ
れることが好適である。このように構成すれば、電気的
にロック機構を作動させるので、適切なタイミングでの
ロックが可能となる。
【0006】また、本発明の実施に当たり、回転抗力
は、少なくとも短絡させたモータの回転軸の回転時に生
じる回転抗力から構成されるのが好ましい。このように
構成すれば、モータを短絡させた時の回転軸が回転する
時の回転抗力をロック機構として活用することができる
ので、モータの駆動制御が不要となる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態につ
いて、図面を参照して説明する。なお、図中、各構成成
分の大きさ、形状および配置関係は、この発明が理解で
きる程度に概略的に示してあるにすぎず、また、以下に
説明する数値的条件は単なる例示にすぎないことを理解
されたい。
【0008】本発明に係るリトラクターの実施例につき
説明する。図1は、本発明に係るリトラクターの実施例
を示す分解斜視図である。図2は、本実施例のリトラク
ターのギヤの係合関係を示す図である。なお、図1で
は、火薬式プリテンション機構については図面上省略さ
れている。以下、図1,2を用いて本実施例に係るリト
ラクターの構成につき説明する。このリトラクター20
0は、以下に示すような構成要素から構成される。
【0009】(1) リテーナ20 (2) リテーナ20に一体的に装着されたDCモータ
21 (3) DCモータ21のモータ軸に一体的に設けられ
たモータギヤ22 (4) リテーナ20に設けられた突片に軸支されてい
て、モータギヤ22と係合する第1ギヤ23(詳しくは
第1ギヤ23は、一体的な2段ギヤ(大ギヤ23aと小
ギヤ23b)から構成され、モータギヤ22は大ギヤ2
3aと係合する) (5) リテーナ20に設けられた突片に軸支されてい
て、第1ギヤ23(詳しくは小ギヤ23b)と係合する
第2ギヤ24(詳しくは第2ギヤ24は、一体的な2段
ギヤ(大ギヤ24aと小ギヤ24b)から構成され、小
ギヤ23bは大ギヤ24aと係合する)
【0010】(6) 第2ギヤ24(詳しくは小ギヤ2
4b)と係合する第3ギヤ25(詳しくは第3ギヤ25
は、一体的な2段ギヤ(大ギヤ25aと小ギヤ25b)
から構成され、小ギヤ24bは大ギヤ25aと係合す
る) (7) 第3ギヤ25(詳しくは小ギヤ25b)と係合
する3つのプラネタリーギヤ26 (8) 内側に形成された内歯27aに3つのプラネタ
リーギヤ26と係合するインターナルギヤ27 (9) インターナルギヤ27の外周面に形成された外
歯27b (10) 外歯27bに嵌合してインターナルギヤ27
の時計方向の回転を係止する係止片30 (11) 係止片30を一端で支持するバネからなるレ
バー31 (12) レバー31の他端をカール状に形成したリン
グ部材32 (13) リング部材32が巻き付く凸状の環状部材3
3(なお、環状部材33は第1ギヤ23と同一回転中心
に一体形成されている) (14) 環状部材33の頂面の周縁部に突設されてい
て、リング部材32を押圧して摩擦力を与える摩擦片3
【0011】(15) 3つのプラネタリーギヤ26を
載置するためのキャリヤー35 (16) 3つのプラネタリーギヤ26をキャリヤー3
5に回転自在に支持してキャリヤー35に固着する3つ
のピン36 (17) 3つのピン36と3つのプラネタリーギヤ2
6との間に揺動自在に挿入される減速プレート37 (18) キャリヤー35の回転中心穴に先端部38a
を貫通させて先端部38aの根元部で一体的に嵌合さ
せ、更に先端部38aが第3ギヤの回転中心穴に摺動回
転自在に挿入されるスプール38 (19) スプール38に一端が固定された身体を拘束
するためのウエビングW(矢印AはウエビングWの引き
出し方向、矢印BはウエビングWの引き込み方向) (20) ギヤ群全体を被覆するカバー39 (21) カバー39をリテーナ20に装着する複数の
ネジ40 (22) DCモータ21を短絡又は非短絡に接続制御
すると共にDCモータ21の回転軸を時計方向又は反時
計方向に回転させるように動作制御する制御回路(図示
せず)
【0012】以下、上述した構成要素を用いて本発明の
リテーナの動作につき説明する。図3は、本実施例の動
作を示す図であって、(A)はモータが時計方向(CW
方向)に回転する場合の状態を示す図であり、(B)は
モータが反時計方向(CCW方向)に回転する場合の状
態を示す図である。このリトラクター200は、通常時
(急ブレーキ時や衝突時等の緊急時以外)は、図2、図
3(B)に示すように係止片30は外歯27bから離間
していて、インターナルギヤ27は拘束されないので、
遊星歯車の特性上、キャリヤー35の回転力は、第3ギ
ヤには伝達されなくなる。したがって、キャリヤー35
に一体的に嵌合されたスプール38の回転力は、第3ギ
ヤに係合するDCモータ21の回転軸には伝達されなく
なる。
【0013】次に、急ブレーキ時や衝突時等の緊急時に
は、図示しないASB(アンチスキッドブレーキ)機構
や図示しない衝突予知装置等からの出力信号によってプ
リプリテンション機構(火薬式プリテンション機構に先
だってウエビングWを巻き上げてテンションを増加させ
る機構)を作動させてDCモータ21の回転軸を図3
(A)に示すように時計方向(矢印方向)に回転させ
る。するとモータギヤ22の時計方向の回転力が第1ギ
ヤ23に反時計方向(矢印方向)の回転力として伝達さ
れて、係止片30がインターナルギヤ27の外歯27b
に係合してインターナルギヤ27の時計方向(矢印方
向)の回転を係止する。これによって、第3ギヤ25の
回転力は、スプール38が一体的に嵌合されているキャ
リヤー35に伝達可能となる。また、第1ギヤ23の回
転力は、第2ギヤ24に時計方向(矢印方向)の回転力
として伝達され、第3ギヤ25に反時計方向(矢印方
向)の回転力が伝達される。したがって、第3ギヤ25
に反時計方向の回転は、第3ギヤ25と一体の小ギヤ2
5bを反時計方向に回転させ、3つのプラネタリーギヤ
26のそれぞれに時計方向(矢印方向)の回転力を伝達
させる。3つのプラネタリーギヤ26は、係止片30に
よって回転が拘束されたインターナルギヤ27の内歯2
7aに係合しながら小ギヤ25bの周囲を遊星のように
反時計方向(矢印方向)に回動し、3つのプラネタリー
ギヤ26を軸支するキャリヤー35を反時計方向(矢印
方向)に回転させる。よって、キャリヤー35に嵌合す
るスプール38は反時計方向に回転し、ウエビングWを
巻き取る(矢印B方向)。したがって、DCモータ21
の時計方向の回転力は、ウエビングWを巻き取る回転力
として伝達される。
【0014】次に、衝突によって車体に衝撃力が伝わ
り、図示しない加速度センサーや図示しないクラッシュ
センサーから衝撃検知信号が出力され、図示しない火薬
式のプリテンション機構が作動しウエビングWがリトラ
クターに200に引き込まれて乗員の初期拘束が確保さ
れる。次に、乗員の前方方向への慣性力によりウエビン
グWが引き出される(図3(A)の矢印A)。この際、
図3(A)に示すように、係止片30が外歯27bを係
止した状態にあるので、スプール38からウエビングW
が引き出される力は、DCモータ21の回転軸に反時計
方向(矢印と反対方向)に回転力が伝達される。DCモ
ータ21は、通電状態あるいは短絡状態にあれば、回転
軸の回転によって逆起電力が発生し、回転を妨げるよう
な回転抗力を生ずる。本発明では、この回転抗力をロッ
ク機構やEA機構に積極的に活用しようとするものであ
る。
【0015】以下、この回転抗力の特性について図を用
いて説明する。図4は、乗員が搭乗した車両が壁に衝突
した時点(図上0点)から完全に車両がクラッシュする
までの、短絡したDCモータの回転抗力F[Nm](単位
はニュートンメートル)と時間T[sec](単位は秒)と
の関係を示すグラフであって、体重別(Light、Middl
e、Heavy)のグラフを示している。図5は、乗員が搭乗
した車両が壁に衝突した時点(図上0点)から完全に車
両がクラッシュするまでの、短絡したDCモータの回転
抗力F[Nm](単位はニュートンメートル)と時間T[s
ec](単位は秒)との関係を示すグラフであって、衝突
速度別(Low Speed、Middle Speed、High Speed)のグ
ラフをそれぞれ示している。
【0016】図4に示すように、体重が軽い程、曲線の
立ち上がりの勾配が低く(図面上の実線のグラフ)、体
重が重いほど曲線の立ち上がりの勾配が高く(図面上の
二点鎖線のグラフ)、体重が中位だと曲線の立ち上がり
の勾配は体重が軽い場合と体重が重い場合の中間の勾配
となることが分かる。また、立ち下がりの勾配について
は、体重差に関わらず、なだらかに立ち下がる。この結
果から、回転抗力をEA機構に用いれば、体重が軽い乗員
に対しては、比較的なだらかにEA荷重が増加するので、
身体にかかる総荷重量が比較的少なくなる。一方、体重
が重い乗員に対しては、比較的急峻にEA荷重が増加する
ので、身体にかかる総荷重量が比較的多くなる。そし
て、EA荷重の減少勾配については、体重差に関わらずな
だらかに立ち下がり、ソフトランディングが可能とな
る。
【0017】また、図5に示すように、車両の壁に衝突
する時の衝突速度が速い程、回転抗力Fのロードリミッ
ト値(EA加重限界値)は高くなり(図面上の二点鎖線の
グラフ)、衝突速度が遅い程、回転抗力Fのロードリミ
ット値は低くなる(図面上の実線のグラフ)。すなわ
ち、衝突速度の速いか遅いかによって、ロードリミット
値が上下するので理想的な乗員拘束能力を発揮すること
ができる。なお、従来の機械式EA機構、例えばトーショ
ンバーでは、体重差や衝突速度差に何ら関係なく、EA加
重の立ち上がりの勾配は一定であり、また、ロードリミ
ット値も一定である。
【0018】また、このロードリミット値は、以下のよ
うに様々な手法で任意に設定することができる。例え
ば、スプール38の回転をDCモータ21に伝達するギ
ヤ比を変えることによって回転抗力Fのロードリミット
値、立ち上がり勾配、立ち下がり勾配を任意に設定する
ことが可能である。また、抵抗を介してDCモータ21
を通電あるいは短絡させれば、抵抗値を変えることによ
って、回転抗力のロードリミット値、立ち上がり勾配、
及び立ち下がり勾配を任意に調整することもできる。例
えば、抵抗値を高くするほど、ロードリミット値は低
く、立ち上がり勾配はなだらかに、及び立ち下がり勾配
は急峻になる。この場合、異なる抵抗値の抵抗を回路上
で選択可能に接続しておき、シビアリティの大小によっ
て最適な抵抗に自動的に接続できるように構成すること
もできる。これによってより理想的な拘束性能を期待す
ることが可能となる。
【0019】なお、抵抗値を接続する以外に、ヒューズ
を接続すると、所定の電流値を越えると、EA機構が解除
され、EA加重を下げることもできる。また、通電によっ
てDCモータ21の回転軸にウエビングWを引き込むよ
うにに弱い回転力(図3(A)の矢印方向)を与えてや
れば、回転抗力にプラスのモータアシスト負荷を与える
こともできるし、逆にDCモータ21の回転軸にウエビ
ングWを引き出すように弱い回転力(図3(A)の矢印
と反対方向)を与えてやれば、回転抗力にマイナスのモ
ータアシスト負荷を与えることもできる。また、出力の
異なるモーターを取り替えることによっても、ロードリ
ミット値、立ち上がり勾配、及び立ち下がり勾配を調整
することができる。また、ロードリミット値、立ち上が
り勾配、及び立ち下がり勾配を調整する別の手法として
は、DCモータ21を短絡する時間t1および非短絡t
2をそれぞれ任意に変えて、パルス状の矩形波を作り、
この矩形波でDCモータ21の短絡/非短絡を制御する
ことで、回転抗力のロードリミット値、立ち上がり勾
配、及び立ち下がり勾配を任意に設定することができ
る。例えば、t1をt2に比べて長くするほど、ロード
リミット値は高く、立ち上がり勾配は急峻に、及び立ち
下がり勾配はなだらかになる。また、t2をt1に比べ
て長くするほどロードリミット値は低く、立ち上がり勾
配はなだらかに、及び立ち下がり勾配は急峻になる。
【0020】なお、EA機構を始動するタイミングは、エ
アバッグの点火を指示するECUで行うこともできるし、
プリテンション用ECUで行うこともできる。また、ロー
ドリミット値、立ち上がり勾配、及び立ち下がり勾配を
調整は、ダミーを用いた実車による実験等のウエビング
Wの引き出し特性を見て適当に設定することが好まし
い。また、DCモータ21の代わりに銅管内に磁石を備
えた回転軸を設ければ、短絡する必要が無くなるので、
廉価かつ簡単な構造でEA機構を設けることもできる。ま
た、これらEA機構をバックルプリテン等の各種プリテン
機構と組み合わせて用いると更に効果的である。また、
ビークルセンサーをリトラクターに組み込んで、EAスイ
ッチとして使うこともできる。
【0021】また、上述した図1に示した実施例のよう
なリトラクターでも、本発明を適用して短絡されたモー
タの回転抗力をEA機構として利用する手法を加えること
も可能である。
【0022】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によると、電
気的にロック機構を作動させるので、適切なタイミング
でのロックが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るリトラクターの実施例を示す分解
斜視図である。
【図2】本発明に係るリトラクターの実施例におけるギ
ヤの係合関係を示す図である。
【図3】本発明に係るリトラクターの実施例の動作を示
す図であって、(A)はモータが時計方向(CW方向)
に回転する場合の状態を示す図であり、(B)はモータ
が反時計方向(CCW方向)に回転する場合の状態を示
す図である。
【図4】乗員が搭乗した車両が壁に衝突した時点(図上
0点)から完全に車両がクラッシュするまでの、短絡し
たDCモータの回転抗力F[Nm](単位はニュートンメ
ートル)と時間T[sec](単位は秒)との関係を示すグ
ラフであって、体重別(Light、Middle、Heavy)のグラ
フを示している。
【図5】乗員が搭乗した車両が壁に衝突した時点(図上
0点)から完全に車両がクラッシュするまでの、短絡し
たDCモータの回転抗力F[Nm](単位はニュートンメ
ートル)と時間T[sec](単位は秒)との関係を示すグ
ラフであって、衝突速度別(Low Speed、Middle Spee
d、High Speed)のグラフをそれぞれ示している。
【符号の説明】
1:スプール、2:トーションバー、3:リトラクタベ
ース、4:インターナルギヤ、5:プラネタリーギヤ、
6:キャリヤー、7:サンギヤ、8:ローター、9:マ
グネット、10:駆動コイル、11:カバー、12:ブ
ッシュシャフト、13:リターンスプリング、14:ス
プリングカバー、20: リテーナ、21:DCモー
タ、22:モータギヤ、23:第1ギヤ、24:第2ギ
ヤ、25:第3ギヤ、26:プラネタリーギヤ、27:
インターナルギヤ、27a:内歯、27b:外歯、3
0:係止片、31:レバー、32:リング部材、33:
環状部材、34:摩擦部材、35:キャリヤー、36:
ピン、37:減速プレート、38:スプール、23a、
24a,25a:大ギヤ、23b、24b、25b:小
ギヤ、200:リトラクター、
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤居弘昭 東京都港区六本木1丁目4番30号 タカタ 株式会社内 Fターム(参考) 3D018 DA07 HC01 MA02

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車両緊急時に牽引されるウエビングの引出
    しを阻止するロック機構を備えたモータ式シートベルト
    リトラクターにおいて、 前記ロック機構は、ウエビングの引き出し方向に回転す
    るモータの回転軸の回転を阻止する回転抗力をモータの
    回転軸に発生させるように構成されていることを特徴と
    するモータ式シートベルトリトラクター。
  2. 【請求項2】前記回転抗力は、少なくともモータの回転
    軸の回転トルクから構成されることを特徴とする請求項
    1に記載のモータ式シートベルトリトラクター。
  3. 【請求項3】前記回転抗力は、少なくとも短絡させたモ
    ータの回転軸の回転時に生じる回転抗力から構成される
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のモータ式シー
    トベルトリトラクター。
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