JP3558913B2 - ハイブリッド車両 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ハイブリッド車両に係るものであり、特に、前輪をエンジンで駆動し、後輪はモータで駆動する4WDタイプのハイブリッド車両に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、エンジンの駆動力をモータによりアシストするハイブリッド車両が知られている。この種のハイブリッド車両の中には、エンジンにモータ/ジェネレータを並列に設け、加速時にはモータ/ジェネレータをモータとして作動させてエンジンをアシストし、減速時にはモータ/ジェネレータをジェネレータとして作動させ、バッテリに充電を行うパラレルハイブリッド車両がある(例えば、類似技術として、特開平9−140006号公報参照)。
また、量産タイプのガソリン車に対して若干の改良を施し、従来の12Vバッテリによりモータで後輪をアシストする簡易的なハイブリッド車両も検討されている。
【0003】
そして、特開平8−237811号公報に示されているように、エンジンで発電機を駆動して得られた電力で12Vのバッテリを充電し、このバッテリ電力で後輪モータを駆動するものであって、前記バッテリを2個配置して、通常走行時は2つのバッテリを並列(12V)にして使用し、モータ高回転時は2つのバッテリを直列(24V)にして駆動電圧を高くするものもある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、第1の従来技術のモータ/ジェネレータを設けたものにあっては、モータ/ジェネレータは、モータあるいはジェネレータとして選択して使用されるため、発電と同時に駆動させることはできないという問題がある。また、例えば、フロントエンジン車ではフロントエンジンに連結したモータ/ジェネレータはフロント側に配置せざるを得ない等、レイアウトの自由度が低いという問題がある。
【0005】
一方、第2の従来技術の後輪をアシストする簡易的なハイブリッド車両においては、12Vでモータを駆動するためモータ電流が大きく、配線での電力損失が大きいため、配線を太くせざるを得ないという問題がある。
そして、第3の従来技術である後輪アシスト式ハイブリッド車両にあっては、モータ駆動電圧は高くできるが、ジェネレータは依然として低電圧であるため、上述した配線における電力損失が大きいという問題がある。
そこで、この発明は、ハイブリッド車両としてのレイアウトの自由度が高く、高電圧にすることで配線を太くする必要もなく、バッテリの異常時等においても電気負荷への電力供給を確保できるハイブリッド車両を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、第1の駆動輪(例えば、実施形態における前輪1)を駆動するエンジン(例えば、実施形態におけるエンジン2)と、該エンジンによって駆動され、第1の電圧(例えば、実施形態における42V)で発電する発電機(例えば、実施形態における発電機6)と、該発電機の発電電力によって充電される第1のバッテリ(例えば、実施形態におけるバッテリ11)と、該発電機の発電電力によって第2の駆動輪(例えば、実施形態における後輪7)を駆動するモータ(例えば、実施形態におけるモータ8)と、前記発電機による発電電圧を第1の電圧より低い第2の電圧(例えば、実施形態における12V)に降圧する直流電圧変換器(例えば、実施形態における直流電圧変換器12)と、該直流電圧変換器に接続されて前記降圧された電圧により電力が供給される第2のバッテリ(例えば、実施形態における補器用バッテリ13)および電気負荷(例えば、実施形態における電気負荷14)と、該電気負荷の使用電力を検出する消費電力センサ(例えば、実施形態における消費電力センサ16)と、前記第1のバッテリまたは第2のバッテリの異常あるいは前記電気負荷による消費電力が所定値以上となったことを検出する手段(例えば、実施形態におけるステップS13、ステップS14)と、前記第1のバッテリまたは第2のバッテリの異常時あるいは電気負荷による消費電力が所定値以上となったときに前記モータの駆動を停止すると共に第1のバッテリと第2のバッテリと電気負荷のうち少なくとも電気負荷へ発電電圧を供給する手段(例えば、実施形態におけるコントロールユニット15)を備えたことを特徴とする。
【0007】
このように構成することで、エンジンが駆動すると発電機によって第2の電圧よりも高い第1の電圧でモータが第2の駆動輪を駆動して、エンジンをアシストすることができる。この場合、発電機の発電電力は直流電圧変換器によって第2の電圧に降圧されて第2のバッテリに供給され各種電気負荷に供給することができる。
ここで、第1のバッテリまたは第2のバッテリに異常があった場合、もしくは、電気負荷の使用電力が多くなったことが検出されると、例えば、スイッチ10をOFFにして前記駆動モータを停止し、電気負荷に電力を供給することができる。
【0008】
請求項2に記載した発明は、第1の駆動輪(例えば、実施形態における前輪1)を駆動するエンジン(例えば、実施形態におけるエンジン2)と、該エンジンによって駆動される発電機(例えば、実施形態における発電機6)と、該発電機の発電電力によって第2の駆動輪(例えば、実施形態における後輪7)を駆動するモータ(例えば、実施形態におけるモータ8)と、該発電機の発電電圧で充電され電気負荷(例えば、実施形態における電気負荷14)に電力を供給するバッテリ(例えば、実施形態におけるバッテリ11)と、前記発電機の発電電圧の供給を前記モータと前記バッテリとで切り換える切換スイッチ(例えば、実施形態における3端子スイッチ17)と、前記発電機の発電電圧を可変の電圧に調整する発電電圧調整手段(例えば、実施形態におけるレギュレータ調整器9)と、記モータによるアシストが必要なときに前記発電機の発電電圧を第1の電圧(例えば、実施形態における42V)に調整すると共に切換スイッチをモータ側(例えば、実施形態におけるモータ側端子m)に切り換え、アシストが不要なときには、発電電圧を第1の電圧よりも低い第2の電圧(例えば、実施形態における12V)に調整すると共に切換スイッチをバッテリ側(例えば、実施形態におけるバッテリ側端子b)に切り換える第1の制御手段(例えば、実施形態におけるコントロールユニット15)と、前記バッテリの異常あるいは前記電気負荷による消費電力が所定値以上となったことを検出する手段(例えば、実施形態におけるステップS23、ステップS24)と、前記バッテリの異常時等に発電電圧を第2の電圧に調整し、所定時間経過後に切換スイッチをバッテリ側に切り換える第2の制御手段(例えば、実施形態におけるステップS28)を備えたことを特徴とする。
このように構成することで、アシストが必要な場合には、第1の制御手段によって発電機の発電電圧を発電電圧調整手段で第1の電圧に調整すると共に切換スイッチをモータ側に切り換えるため、エンジンが駆動すると発電機によって第2の駆動輪が駆動してエンジンをアシストできる。一方、アシストが不要な場合には、第1の制御手段によって発電機の発電電圧を発電電圧調整手段で第1の電圧より低い第2の電圧に調整すると共に切換スイッチをバッテリ側に切り換えるため、エンジンが駆動すると発電機によってバッテリに電力を供給できる。ここで、バッテリの異常あるいは電気負荷の消費電力が多くなったことが検出されると、第2の制御手段によって発電機の発電電圧を発電電圧調整手段で第2の電圧に調整し、所定時間後に切換スイッチをバッテリ側に切り換えるため、エンジンが駆動すると発電機によって、電気負荷に電力を供給できると共に、発電電圧が十分に低下していない状態で切換スイッチをバッテリ側に切り換えた場合に生ずるバッテリの破損を防止することができる。
【0009】
請求項3に記載した発明は、第1の駆動輪(例えば、実施形態における前輪1)を駆動するエンジン(例えば、実施形態におけるエンジン2)と、該エンジンによって駆動される発電機(例えば、実施形態における発電機6)と、該発電機の発電電力によって第2の駆動輪(例えば、実施形態における後輪7)を駆動するモータ(例えば、実施形態におけるモータ8)と、該発電機の発電電圧で充電され電気負荷(例えば、実施形態における電気負荷14)に電力を供給するバッテリ(例えば、実施形態におけるバッテリ11)と、前記発電機の発電電圧の供給を前記モータと前記バッテリとで切り換える切換スイッチ(例えば、実施形態における3端子スイッチ17)と、前記発電機の発電電圧を可変の電圧に調整する発電電圧調整手段(例えば、実施形態におけるレギュレータ調整器9)と、記モータによるアシストが必要なときに前記発電機の発電電圧を第1の電圧(例えば、実施形態における42V)に調整すると共に切換スイッチをモータ側(例えば、実施形態におけるモータ側端子m)に切り換え、アシストが不要なときには、発電電圧を第1の電圧よりも低い第2の電圧(例えば、実施形態における12V)に調整すると共に切換スイッチをバッテリ側(例えば、実施形態におけるバッテリ側端子b)に切り換える第1の制御手段(例えば、実施形態におけるコントロールユニット15)と、前記バッテリの異常あるいは前記電気負荷による消費電力が所定値以上となったことを検出する手段(例えば、実施形態におけるステップS23、ステップS24)と、前記バッテリの異常時等に発電電圧を第2の電圧に調整し、発電電圧が第2の電圧になったことを検出したときに切換スイッチをバッテリ側に切り換える第2の制御手段(例えば、実施形態におけるステップS28)を備えたことを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態を図面と共に説明する。
図1はこの発明の第1実施形態のハイブリッド車両のレイアウトを示す平面説明図である。
同図において1は前輪を示し、この前輪1はエンジン2にディファレンシャルギア3およびトランスミッション4を介して駆動される。エンジン2にはベルト5を介して発電機6が連結されている。一方、7は後輪を示し、この後輪7は、左右の後輪7に連結されたモータ8によって駆動するもので、前記発電機6によって発電された発電電力によって、モータ8を駆動し後輪7を駆動するようになっている。
【0011】
図2に示すのは、上記ハイブリッド車両の電気配線図である。同図において、発電機6は通常の車両に搭載されるオルタネータと同様の構成のもので、レギュレータ調整器9により出力電圧を、第1の電圧として、例えば、42Vに調整できるようになっている。
発電機6にはスイッチ10を介して接続されたモータ8と、42Vのバッテリ11と、直流電圧変換器12とが各々接続されている。そして、直流電圧変換器12には12Vの補器用バッテリ13と、例えば、ヘッドランプ、エンジン補器等の電気負荷14が各々接続されている。
【0012】
また、15はコントロールユニットを示し、このコントロールユニット15はスイッチ10、レギュレータ調整器9、バッテリ11、補器用バッテリ13、および、電気負荷14の消費電力センサ16に接続されており、バッテリ11、補器用バッテリ13、および、消費電力センサ16からの信号に基づいて、レギュレータ調整器9とスイッチ10を制御するものである。尚、Gはモータ8、バッテリ11、補器用バッテリ13および電気負荷14のアースを示す。
ここで、バッテリ11および補器用バッテリ13からは図示しない残容量センサ等により残容量と劣化に関する信号がコントロールユニット15に送られる。尚、劣化についてはバッテリ使用時の電圧の変化率によって判定することができる。
【0013】
したがって、アシストが必要である場合には、スイッチ10をONにしエンジン2が駆動すると、発電機6によって42Vの電圧で発電がなされモータ8が駆動する。これによってエンジン2は後輪7の駆動によってアシストされる。このとき発電機6に余裕があれば、発電機6の発電電力によって42Vのバッテリ11が充電され、12Vの補器用バッテリ13には直流電圧変換器12により降圧された電圧で充電がなされる。また、12Vの補器用バッテリ13を介して電気負荷14に電力が供給される。尚、発電機6に余裕がなければバッテリ11の電力を一部使用してモータ8を駆動する。ここで、モータ8の駆動電力はスイッチ10をトランジスタ等で構成してスイッチング制御することで調整できるが、他にモータ8への調整信号(他励モータの場合は界磁電流、交流モータの場合にはインバータのスイッチング制御等)によって制御できる。
【0014】
そして、回生が必要な場合には上記スイッチ10はONのままで、発電機6をバッテリ11と補器用バッテリ13を充電しない低電圧(例えば、0V)に調整すればモータ8による回生エネルギーによって上記バッテリ11と補器用バッテリ13を充電できる。尚、モータ8の発電電力はモータ8への調整信号(他励モータの場合は界磁電流、交流モータの場合にはインバータのスイッチング制御等)によって制御できる。
また、アシストも回生も必要ない通常走行の場合には、スイッチ10をOFFにしてモータ8を停止すれば、発電機6によって上記バッテリ11と補器用バッテリ13を充電できる。
【0015】
したがって、第1実施形態によれば、エンジン2を駆動することにより発電機6を駆動して発電を行うと同時に、この発電機6の発電電力によって後輪7を駆動することができるため、発電機6により発電をしている場合にも、モータ8によるエンジン2のアシストを行うことができる。また、フロント側にはエンジン2と発電機6を設け、リア側にはモータ8を配置できるため、フロント側にエンジン2と発電機6とモータ8を設けた場合に比較してレイアウトの自由度が高まる。
また、42Vで発電してモータ8を作動させることができるため、配線を細くでき電力損失を低減することができる。
そして、発電機6の発電電力でモータ8を駆動するため、42Vのバッテリ11には、バッファーとしての機能を持たせているに過ぎず、バッテリ11からの持ち出し電流が少なくなり、42Vのバッテリ11の劣化が少なくなる。
【0016】
次に、図3のフローチャートによってスリップ時のアシスト制御について説明する。
同図のステップS0において、エンジン2が始動して、モータ8、および、発電機6に異常がないことが確認され作動条件が成立すると、次のステップS1において、車輪速、エンジン回転数Ne、ギア位置が比較され、ステップS2において車両がスリップしているか否かが判定される。車両がスリップしていない場合にはリターンする。ステップS2において、車両がスリップしていると判定された場合にはステップS3においてスイッチ10がONとなり、ステップS4でスリップ量に応じて発電機6の出力増大、または、モータ8の入力が増大され、ステップS5において車両のスリップが終わったか否かが判定される。
【0017】
ステップS5において車両のスリップが終わったと判定された場合には、ステップS6において発電機6の出力を低減、または、モータ8の入力を減少させ、ステップS7においてスイッチ10をOFFにしてリターンする。ステップS5において車両のスリップが終わっていないと判定された場合には、ステップS4に進み、前述と同様の操作を繰り返す。
したがって、前輪1がスリップしている場合には、モータ8を駆動して4WDに切り替えて、車両のスリップ状態から速やかに脱却することができる。
【0018】
次に、図4のフローチャートによってバッテリ異常時等の制御について説明する。
同図のステップS10においてモータ8が作動しているか否かが判定され、作動していないと判定された場合にはリターンする。作動していると判定された場合には、ステップS11に進み、バッテリ11と補器用バッテリ13の状態を検出し、更にステップS12において電気負荷14の消費電力を消費電力センサ16によって検出する。
【0019】
次に、ステップS13において、バッテリ11と補器用バッテリ13の検出結果からバッテリ11と補器用バッテリ13の双方とも良好な状態か否かが判定される。ステップS13において双方とも、残容量が十分にあり劣化していないと判定された場合にはステップS14に進む。また、ステップS13において、バッテリ11と補器用バッテリ13のいずれかが残容量や劣化の点で問題がある場合にはステップS15に進む。
【0020】
ステップS14においては、消費電力センサ16によって検出された電気負荷14の消費電力が所定値より多いか否かが判定される。消費電力が多いと判定された場合には、ステップS13でバッテリ11と補器用バッテリ13に問題があると判定された場合と同様に、ステップS15においてスイッチ10がOFFとなりモータ8が停止してリターンする。
ステップS14において消費電力が少ないと判定された場合にはリターンする。尚、ステップS14における所定値とは、補器用バッテリ13の残容量が急速に低下してしまうような消費量である(第2実施形態でも同様)。
【0021】
したがって、バッテリ11や補器用バッテリ13が劣化したり、残容量が少ない等、バッテリ11や補器用バッテリ13に異常があった場合、あるいは、電気負荷14の消費電力が多くなった場合には、モータ8の駆動を停止し、発電機6の発電電力を直流電圧変換器12を介して補器用バッテリ13に送りこれを充電したり、直接電気負荷14に電力を供給できるため、電気負荷14の動作を確保できる。
【0022】
次に、この発明の第2実施形態を図5、図6によって説明する。尚、前記第1実施形態と同一部分には同一符号を付して説明する。
図5に示すのは、第2実施形態のハイブリッド車両の電気配線図である。同図において、発電機6はエンジン2によって駆動し、この発電機6はレギュレータ調整器9により出力電圧を可変(少なくとも12Vから42V)に調整できるようになっている。発電機6の出力側には3端子スイッチ17が接続され、この3端子スイッチ17によって発電機6の発電電圧をモータ8とバッテリ11とで切り換えるようになっている。
【0023】
3端子スイッチ17のバッテリ側端子bには12Vのバッテリ11が接続され、更に、このバッテリ11から電力を供給されるヘッドランプ、エンジン補器等の電気負荷14が接続されている。ここで、電気負荷14の手前には電気負荷14の消費電力を検出する消費電力センサ16が設けられている。3端子スイッチ17のモータ側端子mにはスイッチ10を介してモータ8が接続されている。尚、Gはモータ8、バッテリ11および電気負荷14のアースを示す。
【0024】
また、15はコントロールユニットを示し、このコントロールユニット15は、3端子スイッチ17、スイッチ10、レギュレータ調整器9、バッテリ11、および、電気負荷14の消費電力センサ16に接続されており、バッテリ11、および、消費電力センサ16からの信号に基づいて、レギュレータ調整器9と3端子スイッチ17とスイッチ10を制御するものである。尚、Gはモータ8、バッテリ11および電気負荷14のアースを示す。
ここで、バッテリ11からは図示しない残容量センサ等から残容量と劣化に関する信号がコントロールユニット15に送られる。
【0025】
したがって、モータ8によるアシストが必要な場合には、スイッチ10をONにしコントロールユニット15によってレギュレータ調整器9で発電機6の出力電圧を42Vに調整すると共に3端子スイッチ17をモータ側端子mに切り換えて、発電機6からの出力電圧によりモータ8を駆動して後輪7を駆動することができるため、前輪1がスリップした場合や、急加速したい場合に速やかに対応できる。尚、ここでモータ8の駆動電力はスイッチ10をトランジスタ等で構成してスイッチング制御することで調整できるが、他にモータ8への調整信号(他励モータの場合は界磁電流、交流モータの場合にはインバータのスイッチング制御等)によって制御できる。
【0026】
また、アシストが必要ない通常走行の場合には、スイッチ10をOFFにしてモータ8を停止し、コントロールユニット15によってレギュレータ調整器9で発電機6の出力電圧を12Vに調整すると共に3端子スイッチ17をバッテリ側端子bに切り換えて、発電機6からの出力電圧による電力をバッテリ11に供給し、上記バッテリ11を介して電気負荷14に電力を供給できる。
【0027】
したがって、第2実施形態によれば、エンジン2を駆動することにより発電機6を駆動して発電を行うと同時に、この発電機6の発電電力によって後輪7を駆動することができるため、発電機6により発電をしている場合にも、モータ8によるエンジン2のアシストを行うことができる。
そして、フロント側にはエンジン2と発電機6を設け、リア側にはモータ8を配置できるため、フロント側にエンジン2と発電機6とモータ8を設けた場合に比較してレイアウトの自由度が高まる。
また、42Vで発電してモータ8を作動させることができるため、配線を細くでき電力損失を低減することができる。
【0028】
次に、図6のフローチャートによってバッテリ異常時等の制御について説明する。尚、スリップ時のアシスト制御については第1実施形態の図3と同様であるので説明は省略する。
図6のステップS20においてモータ8が作動しているか否かが判定され、作動していないと判定された場合にはリターンする。作動していると判定された場合には、ステップS21に進み、バッテリ11の状態を検出し、更にステップS22において電気負荷14の消費電力を消費電力センサ16によって検出する。
【0029】
次に、ステップS23において、バッテリ11が良好な状態か否かが判定される。ステップS23において、バッテリ11の残容量が十分にあり、かつ劣化していないと判定された場合にはステップS24に進む。また、ステップS23において、バッテリ11が残容量や劣化の点で問題がある場合にはステップS25に進む。
【0030】
ステップS24においては、消費電力センサ16によって検出された電気負荷14の消費電力が多いか(所定値より)否かが判定される。消費電力が多いと判定された場合には、ステップS23でバッテリ11に問題があると判定された場合と同様に、ステップS25においてスイッチ10がOFFとなりモータ8が停止し、あるいは、モータ8が低出力化する。尚、ステップS24において消費電力が少ないと判定された場合にはリターンする。次に、ステップS26において発電機6の電圧をレギュレータ調整器9によって12Vに低減してステップS27に進む。
ステップS27においてタイマにより所定時間(発電電圧が12Vに低下するに十分な時間)経過したか、あるいは、発電電圧が低下したことが確認されたら、ステップS28において3端子スイッチ17をバッテリ側端子bに切り換えリターンする。
【0031】
したがって、バッテリ11が劣化したり、残容量が少ない等、バッテリ11に異常があった場合、あるいは、電気負荷14の消費電力が多くなった場合には、モータ8の駆動を停止する等し、3端子スイッチ17をバッテリ側端子bに切り換えることで、発電機6の発電電力をバッテリ11に送り、これを充電したり、あるいは、電気負荷14に直接電力供給できるため、電気負荷14の動作を確保できる。
また、ステップS27において、所定時間の経過あるいは発電電圧の低下が判定された場合には、発電電圧は確実に12Vに低下しているため、発電電圧が十分に低下していない状態で3端子スイッチ17をバッテリ側端子bに切り換えた場合に生ずるバッテリ11の破損を防止できる。
尚、この発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、後輪をエンジンで駆動し、前輪をモータで駆動する構成にしても良い。また、発電機の出力電圧は第1の電圧として42Vを例にして説明したが、モータ8をアシストできれば電圧値は42Vに限られない。
【0032】
【発明の効果】
以上説明してきたように、請求項1に記載した発明によれば、エンジンを駆動することにより発電機を駆動して発電を行うと同時に、この発電機の発電電力によって第2の駆動輪を駆動することができるため、発電機により発電をしている場合にも、モータによるエンジンのアシストを行うことができる効果がある。また、発電機とモータが別々に配置できるため、例えば、フロント側にはエンジンと発電機を設け、リア側にはモータを配置する等、ハイブリッド車両としてのレイアウトの自由度が高まるという効果がある。
【0033】
そして、第2の電圧よりも高い第1の電圧で発電してモータを作動させることができるため、配線を細くしても電力損失を低減することができる効果がある。更に、第1のバッテリや第2のバッテリが劣化したり、残容量が少ない等、第1のバッテリや第2のバッテリに異常があった場合、あるいは、電気負荷の消費電力が多くなった場合には、モータの駆動を停止して、発電機の発電電力を直流電圧変換器を介して第2のバッテリに送りこれを充電したり、あるいは、直接的に電気負荷に供給できるため、電気負荷の動作を確保できるという効果がある。
【0034】
請求項2に記載した発明によれば、エンジンを駆動することにより発電機を駆動して発電を行うと同時に、この発電機の発電電力によって第2の駆動輪を駆動することができるため、発電機により発電をしている場合にも、モータによるエンジンのアシストを行うことができる効果がある。また、発電機とモータが別々に配置できるため、例えば、フロント側にはエンジンと発電機を設け、リア側にはモータを配置する等、ハイブリッド車両としてのレイアウトの自由度が高まるという効果がある。
【0035】
更に、モータによるアシストが必要なときには第1の電圧でモータを作動させることができるため、配線を細くしても電力損失を低減することができる効果がある。
そして、バッテリの異常時、あるいは、電気負荷の消費電力が増大した場合にはモータの駆動を停止して、発電機を第2の電圧に切り換え、更に、切換スイッチをバッテリ側に切り換えて発電電力を電気負荷に供給できるため、電気負荷の動作を確保できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態のレイアウトを示す平面説明図である。
【図2】この発明の第1実施形態の電気配線図である。
【図3】この発明の第1実施形態及び第2実施形態のスリップ時のアシスト制御を示すフローチャート図である。
【図4】この発明の第1実施形態のバッテリ異常時の制御を示すフローチャート図である。
【図5】この発明の第2実施形態の電気配線図である。
【図6】この発明の第2実施形態のバッテリ異常時の制御を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
1 前輪(第1の駆動輪)
2 エンジン
6 発電機
7 後輪(第2の駆動輪)
8 モータ
9 レギュレータ調整器(発電電圧調整手段)
11 バッテリ(第1のバッテリ)
12 直流電圧変換器
13 補器用バッテリ(第2のバッテリ)
14 電気負荷
15 コントロールユニット(第1の制御手段)
16 消費電力センサ
17 3端子スイッチ(切換スイッチ)
42V 第1の電圧
12V 第2の電圧
b バッテリ側端子(バッテリ側)
m モータ側端子(モータ側)
S13,S14、S23,S24 消費電力が所定以上となったことを検出する手段
S15 モータの駆動を停止する手段
S28 第2の制御手段

Claims (3)

  1. 第1の駆動輪を駆動するエンジンと、
    該エンジンによって駆動され、第1の電圧で発電する発電機と、
    該発電機の発電電力によって充電される第1のバッテリと、
    該発電機の発電電力によって第2の駆動輪を駆動するモータと、
    前記発電機による発電電圧を第1の電圧より低い第2の電圧に降圧する直流電圧変換器と、
    該直流電圧変換器に接続されて前記降圧された電圧により電力が供給される第2のバッテリおよび電気負荷と、
    該電気負荷の使用電力を検出する消費電力センサと、
    前記第1のバッテリまたは第2のバッテリの異常あるいは前記電気負荷による消費電力が所定値以上となったことを検出する手段と、
    前記第1のバッテリまたは第2のバッテリの異常時あるいは電気負荷による消費電力が所定値以上となったときに、前記モータの駆動を停止すると共に第1のバッテリと第2のバッテリと電気負荷のうち少なくとも電気負荷へ発電電圧を供給する手段を備えたことを特徴とするハイブリッド車両。
  2. 第1の駆動輪を駆動するエンジンと、
    該エンジンによって駆動される発電機と、
    該発電機の発電電力によって第2の駆動輪を駆動するモータと、
    該発電機の発電電圧で充電され電気負荷に電力を供給するバッテリと、
    前記発電機の発電電圧の供給を前記モータと前記バッテリとで切り換える切換スイッチと、
    前記発電機の発電電圧を可変の電圧に調整する発電電圧調整手段と、
    前記モータによるアシストが必要なときに前記発電機の発電電圧を第1の電圧に調整すると共に切換スイッチをモータ側に切り換え、アシストが不要なときには、発電電圧を第1の電圧よりも低い第2の電圧に調整すると共に切換スイッチをバッテリ側に切り換える第1の制御手段と、
    前記バッテリの異常あるいは前記電気負荷による消費電力が所定値以上となったことを検出する手段と、
    前記バッテリの異常時等に発電電圧を第2の電圧に調整し、所定時間経過後に切換スイッチをバッテリ側に切り換える第2の制御手段を備えたことを特徴とするハイブリッド車両。
  3. 第1の駆動輪を駆動するエンジンと、
    該エンジンによって駆動される発電機と、
    該発電機の発電電力によって第2の駆動輪を駆動するモータと、
    該発電機の発電電圧で充電され電気負荷に電力を供給するバッテリと、
    前記発電機の発電電圧の供給を前記モータと前記バッテリとで切り換える切換スイッチと、
    前記発電機の発電電圧を可変の電圧に調整する発電電圧調整手段と、
    前記モータによるアシストが必要なときに前記発電機の発電電圧を第1の電圧に調整すると共に切換スイッチをモータ側に切り換え、アシストが不要なときには、発電電圧を第1の電圧よりも低い第2の電圧に調整すると共に切換スイッチをバッテリ側に切り換える第1の制御手段と、
    前記バッテリの異常あるいは前記電気負荷による消費電力が所定値以上となったことを検出する手段と、
    前記バッテリの異常時等に発電電圧を第2の電圧に調整し、発電電圧が第2の電圧になったことを検出したときに切換スイッチをバッテリ側に切り換える第2の制御手段を備えたことを特徴とするハイブリッド車両。
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