JP4509636B2

JP4509636B2 - 平行軸式自動変速機

Info

Publication number: JP4509636B2
Application number: JP2004123840A
Authority: JP
Inventors: 典子栃沢; 修治上田; 義道津幡
Original assignee: Honda Motor Co Ltd
Current assignee: Honda Motor Co Ltd
Priority date: 2004-04-20
Filing date: 2004-04-20
Publication date: 2010-07-21
Anticipated expiration: 2024-04-20
Also published as: JP2005308044A

Description

本発明は、一般的に平行軸式自動変速機に関し、特に、平行軸式自動変速機の給油構造に関する。

平行軸式自動変速機は、複数の入力軸が出力軸に対して平行に配置されており、各入力軸に設置された湿式多板クラッチを係合することにより、入力軸のトルクを出力軸に伝達する構成となっている。このような平行軸式自動変速機においては、各軸に効率的に潤滑油を供給でき、エアレーションの発生を抑制することが可能な構造が要望されている。

実公平６−３３２４０号公報には、トランスファーケース内において、出力分配装置の駆動側伝達歯車とファイナルギヤ機構との間に仕切り壁と一体的に形成されたバッフルプレートを設け、このバッフルプレートによりオイルの攪拌抵抗の低減及び必要な箇所でのオイルレベルの確保ができるようにした４輪駆動車両のトランスファ構造が開示されている。
実公平６−３３２４０号公報

上述した公告公報に記載された４輪駆動車両のトランスファ構造は、車軸と同等の低回転であることと構成機械要素が分割されていることから、バッフルプレートの形成や設置がやり易く、エアレーションへの対応が容易である。

しかし、複数の入力軸を有し、各入力軸に湿式多板クラッチが変速ギヤと同数配置されている平行軸式自動変速機においては、各入力軸及び出力軸がエンジン回転数とほぼ同等の高速回転をするので、複数の湿式多板クラッチからの潤滑オイルの飛沫がケース内に拡散してエアレーションの原因となり、ひいては各軸回転時のフリクションを増大させる一因となっていた。

よって、本発明の目的は、ケース内の飛沫オイルやファイナルギヤの攪拌抵抗を低減でき、ひいてはエアレーションの発生を抑制可能な平行軸式自動変速機を提供することである。

上記課題を解決するために、請求項１記載の発明は、平行軸式自動変速機であって、湿式多板クラッチと回転可能に取り付けられたドライブギヤをｍ個（ｍは２以上の整数）以上有する第１入力軸と、湿式多板クラッチと回転可能に取り付けられたドライブギヤをｎ個（ｎはｍより大きい３以上の整数）以上有する第２入力軸と、ｍ個未満の湿式多板クラッチ及び同数の回転可能に取り付けられたドライブギヤを有する第３入力軸と、固定されたファイナルドライブギヤと固定された複数のドリブンギヤとを有する出力軸と、前記ファイナルドライブギヤと噛合するファイナルドリブンギヤとを備え、前記各入力軸は、上下方向に最も高い位置に配置された前記第２入力軸、中間位置に配置された前記第１入力軸、最も低い位置に配置された前記第３入力軸と配設され、前記各入力軸は、前記ファイナルドリブンギヤに近い順に、前記第２入力軸、前記第１入力軸、前記第３入力軸と配設され、前記第１、第２、第３入力軸及び前記出力軸を下方から覆うように設置された一体型のバッフルプレートとを具備したことを特徴とする平行軸式自動変速機が提供される。

請求項１記載の発明によれば、入出力軸の下方に設置された、一体成形されたバッフルプレートとケースの内壁でオイルの流路が形成されるようになり、各入力軸上の湿式多板クラッチから排出されるオイル及び変速ギヤの噛み合いポイント等からの飛沫するオイルを集結させることができ、オイル液面近傍の位置に戻すことができる。その結果、ケース内の飛沫オイルやファイナルギヤの攪拌抵抗を低減でき、ひいてはエアレーションの発生を抑制することができる。

更に、上方に配置された入力軸上の湿式多板クラッチから排出されるオイルは、それより下方に配置された軸上の機械要素の潤滑油としても利用できるため、下方に配置された軸の軸内給油量を低減することが可能であり、フリクション低減も期待できる。

図１を参照すると、本発明実施形態に係る平行軸式自動変速機の正面図が示されている。図２はその側面図である。符号４は自動変速機２の変速機ケースである。

図２の側面図に最もよく示されているように、平行軸式自動変速機２は第１入力軸（メインシャフト）６と、第２入力軸８と、第３入力軸１０と、出力軸（カウンタシャフト）１２と、アイドル軸１４を有している。これらの軸は互いに平行に配置されている。１６はファイナルドリブンギヤである。

図１に示されるように、第１入力軸６上には３速ドライブギヤ１８と、トップ（又は最上段）ドライブギヤ２２が回転可能に取り付けられており、更にギヤ２６が固定的に取り付けられている。３速ドライブギヤ１８は湿式多板クラッチ２０を係合すると第１入力軸６に対して固定され、トップドライブギヤ２２は湿式多板クラッチ２４を係合すると入力軸６に対して固定される。

第２入力軸８上には１速ドライブギヤ２８と、２速ドライブギヤ３２と、５速ドライブギヤ３６が回転可能に取り付けられており、ギヤ４０が固定的に取り付けられている。湿式多板クラッチ３０を係合することにより、１速ドライブギヤ２８は第２入力軸８に対して固定され、湿式多板クラッチ３４を係合することにより、２速ドライブギヤ３２は第２入力軸８に対して固定され、湿式多板クラッチ３８を係合することにより、５速ドライブギヤ３６は第２入力軸８に対して固定される。

第３入力軸１０には、４速ドライブギヤ４０が回転可能に取り付けられ、ギヤ４４が固定的に取り付けられている。湿式多板クラッチ４２を係合することにより、４速ドライブギヤ４０は第３入力軸１０に対して固定される。

出力軸１２上には３個のドリブンギヤ４６，４８，５０とギヤ５２が固定的に取り付けられている。ドリブンギヤ４６は２速ドライブギヤ３２と３速ドライブギヤ１８に噛み合っており、ドリブンギヤ４８は５速ドライブギヤ３６とトップドライブギヤ２２に噛み合っており、ドリブンギヤ５０は１速ドライブギヤ２８に噛み合っている。

また、ギヤ５２はファイナルドライブギヤであり、ファイナルドリブンギヤ１６と噛み合っている。明瞭化のために、図１の正面図においては図２に示したアイドル軸１４は省略されている。

図２の側面図を参照すると、第１、第２、第３入力軸６、８、１０、出力軸１２及びアイドル軸１４を下方から覆うように一体型のバッフルプレート５４が設置されている。バッフルプレート５４は図５（Ａ）及び図５（Ｂ）に示すような形状を有しており、樹脂モールドにより一体成形されている。

図５（Ａ）はバッフルプレート５４の底面側斜視図、図５（Ｂ）はバッフルプレート５４の側面図である。図５（Ａ）に示されるように、バッフルプレート５４はシフトフォーク６８が挿入される切欠５５を有している。

図２に示すように変速機ケース４の底部にはオイルストレーナ５６が設置されている。図４の断面図に示すように、オイルストレーナ５６の連通口５８はオイルポンプ６６に接続されている。オイルポンプ６６はトルクコンバータ６２のケース６４を介して図示しないエンジンのクランクシャフト６０に連結されており、エンジンにより常時駆動される。

上述したように、第１入力軸６にはギヤ２６が回転不能に固定され、３速ドライブギヤ１８及びトップドライブギヤ２２が回転可能に取り付けられている。湿式多板クラッチ２０を係合することにより、３速ドライブギヤ１８は第１入力軸６に対して固定され、湿式多板クラッチ２４を係合することにより、トップドライブギヤ２２は第１入力軸６に対して固定される。

図２の側面図から明らかなように、第１、第２、第３入力軸６、８、１０の関係は、第２入力軸８が最も高い位置に配置され、第１入力軸６が中間位置に配置され、第３入力軸１０が最も低い位置に配置されている。

また、トランスミッション入力軸である第１入力軸６の回転に対して第２入力軸８は１．２〜１．３の減速比を有しており、第３入力軸１０は１．１〜１．２の減速比を有している。

よって、潤滑流量係数を、トランスミッション入力軸に対するある軸の減速比×ある軸上に配置された湿式多板クラッチ数と定義すると、本発明は潤滑流量係数が最も大きい第２入力軸８を最も高い位置に、潤滑流量係数が中間の第１入力軸６を中間位置に、潤滑流量係数が最も小さい第３入力軸１０を最も低い位置に配置したことを特徴とする。

トランスミッション入力軸に対する減速比は、その軸が伝達するトルクの大きさを示すものであるため、ここで定義された潤滑流量係数は、その軸上に設置された湿式多板クラッチが必要とする冷却及び潤滑用オイルの量の大きさを示すものとなる。

本実施形態によれば、変速機ケース４の底部に溜まったオイルはオイルストレーナ５６を通ってオイルポンプ６６に吸引されて、油圧制御弁及び各潤滑部に供給される。また、ファイナルドリブンギヤ１６の回転によっても上方に掻き上げられる。

各軸の回転によって飛散されたオイルは変速機ケース４の内壁によって矢印７０で示すように案内され、更に、一体成形されたバッフルプレート５４により矢印７２で示すようなオイル流路が形成される。

よって、各々の軸上の湿式多板クラッチから排出されるオイル及び変速ギヤの噛み合い点等から飛沫するオイルをこれら２つのオイル流路７０，７２を通して集結させることができ、オイル液面近傍の位置に戻すことができる。その結果、ケース内の飛沫オイルやファイナルドリブンギヤ１６の攪拌抵抗を低減でき、ひいてはエアレーションの発生を抑制することができる。

更に、潤滑流量係数の大きい第２入力軸８を高い位置に配置したことにより、第２入力軸８上に設置された湿式多板クラッチより排出されるオイルを低位置に配置された第１、第３入力軸６，１０上に飛沫散布する際の潤滑オイルとして有効利用することができ、そのために低位置側に配置された第１、第３入力軸６，１０の軸内給油量を少なくすることが可能となり、ひいてはオイルポンプ６６の負荷を低減することができる。

また、バッフルプレート５４の切欠５５から、軸内給油が困難なシフトフォーク６８等の機械要素にオイルを散布給油することができるため、これらの機械要素の磨耗や焼きつき等の防止を図ることができる。

本発明実施形態の平行軸式自動変速機の正面図である。図１に示した自動変速機の側面図である。図１のＩＩＩ−ＩＩＩ線断面図である。図２のＩＶ−ＩＶ線断面図である。図５（Ａ）はバッフルプレートの底面側斜視図、図５（Ｂ）はバッフルプレートの側面図である。

符号の説明

４変速機ケース
６第１入力軸（メインシャフト）
８第２入力軸
１０第３入力軸
１２出力軸（カウンタシャフト）
１４アイドル軸
１６ファイナルドリブンギヤ
１８３速ドライブギヤ
２２トップドライブギヤ
２８１速ドライブギヤ
３２２速ドライブギヤ
３６５速ドライブギヤ
４０４速ドライブギヤ
２０，２４，３０，３４，３８，４２湿式多板クラッチ
４６，４８，５０ドリブンギヤ
５４バッフルプレート
５６オイルストレーナ
６２トルクコンバータ
６６オイルポンプ

Claims

平行軸式自動変速機であって、
湿式多板クラッチと回転可能に取り付けられたドライブギヤをｍ個（ｍは２以上の整数）以上有する第１入力軸と、
湿式多板クラッチと回転可能に取り付けられたドライブギヤをｎ個（ｎはｍより大きい３以上の整数）以上有する第２入力軸と、
ｍ個未満の湿式多板クラッチ及び同数の回転可能に取り付けられたドライブギヤを有する第３入力軸と、
固定されたファイナルドライブギヤと固定された複数のドリブンギヤとを有する出力軸と、
前記ファイナルドライブギヤと噛合するファイナルドリブンギヤとを備え、
前記各入力軸は、上下方向に最も高い位置に配置された前記第２入力軸、中間位置に配置された前記第１入力軸、最も低い位置に配置された前記第３入力軸と配設され、
前記各入力軸は、前記ファイナルドリブンギヤに近い順に、前記第２入力軸、前記第１入力軸、前記第３入力軸と配設され、
前記第１、第２、第３入力軸及び前記出力軸を下方から覆うように設置された一体型のバッフルプレートと、
を具備したことを特徴とする平行軸式自動変速機。