JP2007216865A - ハイブリッド車両の動力伝達装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ギヤによる作動油の攪拌抵抗を減少させて燃費向上に寄与し得るハイブリッド車両用の動力伝達装置を提供する。
【解決手段】エンジン及びモータの少なくともいずれか一方の駆動力を駆動輪に伝達して走行可能に構成されたハイブリッド車両の動力伝達装置において、モータの駆動力を駆動輪に伝達するモータ動力伝達機構5の上部に設けられて油圧源から油路77を介して供給された余剰油を一時貯留するオイル溜め90と、オイル溜め90に一時貯留された余剰油をモータ動力伝達機構の被潤滑部51〜53に導く第1潤滑油路91とを有し、オイル溜め90に一時貯留された余剰油が、重力により第1潤滑油路91を流下して被潤滑部に供給されるように動力伝達装置を構成する。
【選択図】図1
【解決手段】エンジン及びモータの少なくともいずれか一方の駆動力を駆動輪に伝達して走行可能に構成されたハイブリッド車両の動力伝達装置において、モータの駆動力を駆動輪に伝達するモータ動力伝達機構5の上部に設けられて油圧源から油路77を介して供給された余剰油を一時貯留するオイル溜め90と、オイル溜め90に一時貯留された余剰油をモータ動力伝達機構の被潤滑部51〜53に導く第1潤滑油路91とを有し、オイル溜め90に一時貯留された余剰油が、重力により第1潤滑油路91を流下して被潤滑部に供給されるように動力伝達装置を構成する。
【選択図】図1
Description
本発明は、エンジン及び駆動用モータで走行可能に構成され、エンジンと駆動輪との間の動力伝達経路に配置された変速機の潤滑を油圧源で発生された作動油圧を用いて行うように構成されたハイブリッド車両の動力伝達装置に関する。
上記のようにエンジン及び駆動用モータの駆動力を駆動輪に伝達して走行可能なハイブリッド車両の中には、変速機の車軸側に駆動用モータを設け駆動用モータの駆動力により走行可能なものがある(例えば、特許文献1を参照)。この種のハイブリッド車両は、一般的に既存の変速機を利用し、その車軸側に駆動用モータの動力伝達系(モータ動力伝達機構)を追加して構成される。変速機に作動油を供給して潤滑する潤滑装置についても同様であり、従来の変速機で用いられていた潤滑装置の油圧回路に、モータ動力伝達機構を潤滑するモータ潤滑系の油圧回路を付加して構成されていた。すなわち、エンジン駆動のオイルポンプにより発生された作動油圧の余剰油を変速機の被潤滑部に供給するとともに、モータ動力伝達機構のギヤボックスに供給し、伝達ギヤの潤滑を行うように構成されていた。
確かに、従来の変速機の潤滑装置に対し、新たな潤滑対象の増加に応じてオイルポンプの容量を増大させ、モータギヤボックスへの供給油路を付加すれば、モータ駆動機構の潤滑自体は可能になる。しかしながら、ポンプ容量を増大させればコストアップ等を招く。通常オイルパンに戻されているクーラから排出されるオイルを用いて潤滑すると、オイルポンプにより発生される作動油の油量がエンジン回転数の高低により増減し、これに伴ってモータ動力伝達機構に供給される余剰油の油量も増減するため、エンジン回転数が高回転の走行状態では、モータ動力伝達機構への供給油量が過大になる。この結果、モータギヤボックス内の潤滑油量が過剰となって伝達ギヤによる作動油の攪拌抵抗が増大し、燃費向上を阻害する要因になっていた。
本発明は上記のような事情に鑑みてなされたものであり、モータ動力伝達機構における作動油の攪拌抵抗を減少させて燃費向上に寄与し得るハイブリッド車両の動力伝達装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、エンジン及び駆動用モータの少なくともいずれか一方の回転駆動力を駆動輪に伝達して走行可能に構成され、エンジンと駆動輪との間の動力伝達経路に配置された変速機(例えば、実施形態におけるトランスミッション2)の潤滑を、変速機に作動油を供給する油圧源(例えば、実施形態における第1オイルポンプP1,第2オイルポンプP2)で発生された作動油圧の余剰油を用いて行うように構成されたハイブリッド車両の動力伝達装置に関するものである。そのうえで、この動力伝達装置では、駆動用モータの回転駆動力を駆動輪に伝達するモータ動力伝達機構の上部に設けられて油圧源から供給された余剰油(作動油)を一時貯留するオイル溜めと、オイル溜めに一時貯留された余剰油をモータ動力伝達機構の被潤滑部に導く第1潤滑油路(例えば、実施形態における油路91)とを有し、油圧源から供給されてオイル溜めに一時貯留された余剰油が、重力により第1潤滑油路を流下してモータ動力伝達機構の被潤滑部に供給されるように構成される。
また、上記モータ動力伝達機構が変速機の上部に配設されるとともに、オイル溜めに一時貯留された余剰油を変速機の被潤滑部に導く第2潤滑油路(例えば、実施形態における油路92)が設けられ、油圧源から供給されてオイル溜めに一時貯留された余剰油が、重力により第2潤滑油路を流下して変速機の被潤滑部に供給されるように構成する。
なお、モータ動力伝達機構を収容するギヤボックスに、オイル溜めと、モータ動力伝達機構を構成する伝達ギヤ列が配設されたギヤ収容部(例えば、実施形態におけるギヤ室105)と、オイル溜めから溢れ出た余剰分を変速機の内部に流下させる環流油流路(例えば、実施形態における戻り油路95)とを有し、ギヤ収容部と環流油流路とが仕切壁を隔てて形成されるように構成することが好ましい。
また、油圧源から吐出された余剰油をオイル溜めを介することなく変速機の被潤滑部に導く第3潤滑油路(例えば、実施形態における油路93)を有し、変速機の被潤滑部には、第2潤滑油路及び第3油路がともに接続されて、オイル溜め及び第2潤滑油路を経由した作動油供給と、第3潤滑油路を経由した作動油供給のいずれもが可能に構成された共通被潤滑部(例えば、実施形態におけるセカンダリシャフトの軸内潤滑油路64)を有し、第3潤滑油路に、オイル溜めと共通被潤滑部との間の高さ位置を通り、水頭差によりオイル溜めに貯留された余剰油の重力による第3潤滑油路側への逆流を抑制する水頭差形成部を設けて構成することが好ましい。
本発明では、モータ動力伝達機構の上部に油圧源から供給された余剰油を一時貯留するオイル溜めが設けられ、オイル溜めに一時貯留された余剰油が重力により第1潤滑油路を流下してモータ動力伝達機構の被潤滑部に供給されるように構成される。このため、モータ動力伝達機構に供給される余剰油の流量は、オイル溜めに貯留された余剰油の油面高さと被潤滑部との高さの差(すなわち水頭)によって定まる略一定値になり、エンジン回転数の高低に伴うオイルポンプ吐出量の増減の影響を直接的に受けることがない。従ってモータ動力伝達機構に対する作動油供給が過剰になることがなく、伝達ギヤによる作動油の攪拌抵抗を減少させて燃費向上に寄与することができる。
また、上記モータ動力伝達機構を変速機の上部に配設するとともに、オイル溜めに一時貯留された余剰油が重力により第2潤滑油路を流下して変速機の被潤滑部に供給されるように構成すれば、モータ動力伝達機構に一箇所のオイル溜めを設けた簡明な構成で、上記同様の効果を変速機の被潤滑部についても得ることができる。またオイル溜めに貯留された余剰油の油面高さと変速機の被潤滑部との高低差を大きく取れるため、余剰油の供給圧を高めて供給量を確保することができる。
なお、モータ動力伝達機構のギヤボックスに、オイル溜めと伝達ギヤ列が配設されたギヤ収容部とオイル溜めから溢れ出た余剰分を流下させる環流油流路とを有し、ギヤ収容部と環流油流路とが仕切壁を隔てて形成されるように構成すれば、上記のように各被潤滑部に対して水頭により定まる一定量の作動油供給が行われて余剰となった作動油が、ギヤ収容部と仕切壁を隔てて形成された環流油流路を流下して変速機内部に戻される。このため、オイル溜めから溢れ出た余剰油がギヤ収容部に流入して供給過剰となることがなく、伝達ギヤによる作動油の攪拌抵抗の発生を抑止して燃費向上に寄与することができる。
さらに、オイル溜め及び第2潤滑油路を経由した作動油供給と、油圧供給源から直接導かれる第3潤滑油路を経由した作動油供給の両方が可能な共通被潤滑部を有する場合に、第3潤滑油路にオイル溜めと共通被潤滑部との間の高さ位置を通り、オイル溜めに貯留された余剰油の重力による逆流を水頭差によって抑制する水頭差形成部を設けた構成によれば、ワンウェイボールやシフトバルブなどの特別な機構を設けることなく、第3潤滑油路の一部がオイル溜めと共通被潤滑部との間の高さ位置を通るように油路を形成する簡明な構成で、オイル溜めに貯留された余剰油の第3潤滑油路側への逆流を抑制して共通被潤滑部への作動油供給を確実に行うことすることができる。
従って、本発明によれば、モータ動力伝達機構における作動油の攪拌抵抗を減少させて燃費向上に寄与し得るハイブリッド車両の動力伝達装置を提供することができる。
以下、本発明を実施するための好ましい形態について図面を参照しながら説明する。図2に本発明を適用した動力伝達装置1の全体構成を模式的に示し、図3に動力伝達装置1の正面図を示しており、まずこれらの図面を参照して動力伝達装置1の全体構成から説明する。
動力伝達装置1は、エンジンENGと、このエンジンの出力軸ESにトルクコンバータTCを介して連結された自動変速機(以下トランスミッションという)2と、トランスミッション2の車軸側に配設された第1駆動モータM1と、トランスミッション2とエンジンENGとの間に配設された第2駆動モータM2等を備えて構成され、エンジンENGの回転駆動力をトランスミッション2を介して左右の駆動輪WL,WRに伝達し車両を走行させる。また第1駆動モータM1及び第2駆動モータM2は、電気モータ・ジェネレータであり、車載のバッテリにより駆動されてエンジンENGの駆動力をアシストし、あるいはエンジンの停止時(休筒時)にモータの駆動力で走行することが可能であるとともに、エンジン走行時や減速走行時等に発電を行ってバッテリの充電を行うことができるようになっている。すなわち、動力伝達装置の駆動源は、エンジンENGとこれらの駆動モータM1,M2とからなり、ハイブリッド型になっている。
トランスミッション2は、後述する第1オイルポンプP1または第2オイルポンプP2(図4を参照)により発生された油圧を制御することで変速制御がなされる前進5速及び後進1速の平行軸式の変速機構であり、エンジンENGのクランクシャフトESにロックアップ機構LCを有するトルクコンバータTCを介して接続されたメインシャフト10と、このメインシャフト10と平行に延びて配設されるとともに、複数のギヤ列を介してメインシャフト10に接続されたセカンダリシャフト20、サードシャフト30、カウンタシャフト40を備え、トランスミッションケース3の内部に配設される。
メインシャフト10には、メイン3速ギヤ13が結合配設されるとともに、メイン4速ギヤ14、メイン5速ギヤ15、及びメイン5速ギヤ15と一体に連結されたメインリバースギヤ16が相対回転自在に配設されている。またメインシャフト10には、それぞれ相対回転自在に配設されたメイン4速ギヤ14をメインシャフト10に結合させる4速クラッチC4、メイン5速ギヤ15及びこれと一体のメインリバースギヤ16をメインシャフト10に結合させる5速クラッチC5が設けられている。
セカンダリシャフト20には、セカンダリ1速ギヤ21及びセカンダリ2速ギヤ22が相対回転自在に配設され、セカンダリアイドルギヤ23が結合配設されている。またセカンダリシャフト20には、相対回転自在に配設されたセカンダリ1速ギヤ21をワンウェイクラッチ27を介してセカンダリシャフト20に結合させる1速クラッチC1、セカンダリ1速ギヤ21をワンウェイクラッチ27を介することなく直接セカンダリシャフト20に結合させる1速ホールドクラッチCL、及び相対回転自在に配設されたセカンダリ2速ギヤ22をセカンダリシャフト20に結合させる2速クラッチC2が設けられている。
サードシャフト30には、メイン3速ギヤ13と噛合するサード3速ギヤ33が相対回転自在に配設され、メイン4速ギヤと噛合するサード4速ギヤ34が結合配設されるとともに、相対回転自在に配設されたサード3速ギヤ33をサードシャフトに結合させる3速クラッチC3が設けられている。
カウンターシャフト40には、セカンダリ1速ギヤ21と噛合するカウンタ1速ギヤ41、セカンダリ2速ギヤ22と噛合するカウンタ2速ギヤ42、及びメイン4速ギヤ14と噛合するカウンタ4速ギヤ44が結合配設される。またカウンターシャフト40には、メイン3速ギヤ13及びセカンダリアイドルギヤ23と噛合するカウンタアイドルギヤ43、メイン5速ギヤ15と噛合するカウンタ5速ギヤ45、及びリバースアイドルギヤ36を介してメインリバースギヤ16と噛合するカウンタリバースギヤ46がそれぞれ相対回転自在に配設されている。
カウンターシャフト40上におけるカウンター5速ギヤ45とカウンターリバースギヤ46との間にドグ歯機構を利用したリバースセレクタ47が設けられており、そのセレクタスリーブ47sを図示省略するサーボアクチュエータで軸方向に移動させて、カウンタ5速ギヤ45をカウンタシャフト40に結合させ、あるいはカウンタリバースギヤ46をカウンタシャフト40に結合させることができるようになっている。
このように構成されたトランスミッション2において、1速クラッチC1を係合させてセカンダリ1速ギヤ21をセカンダリシャフト20に結合させると、メインシャフト10の回転がメイン3速ギヤ13、カウンタアイドルギヤ43、セカンダリアイドルギヤ23、セカンダリ1速ギヤ21、カウンタ1速ギヤ41からなる1速ギヤ列を介してカウンタシャフト40に伝達される1速段が設定される。1速クラッチC1を係合させた1速段では、セカンダリ1速ギヤ21がワンウェイクラッチ27を介してセカンダリシャフト20に結合されるため、アクセルをオフにしたときにワンウェイクラッチ27が滑り急減速しないようになっている。一方、1速ホールドクラッチCLを係合させた1速ホールド段ではギヤ列は同一であるが、セカンダリ1速ギヤ21がワンウェイクラッチ27を介することなく直接セカンダリシャフト20に結合されるため、強力なエンジンブレーキを作動させることができる。
2速クラッチC2を係合させてセカンダリ2速ギヤ22をセカンダリシャフト20に結合させると、メインシャフト10の回転がメイン3速ギヤ13、カウンタアイドルギヤ43、セカンダリアイドルギヤ23、セカンダリ2速ギヤ22、及びカウンタ2速ギヤ42からなる2速ギヤ列を介してカウンタシャフト40に伝達される2速段が設定される。同様に、3速クラッチC3を係合させてサード3速ギヤ33をサードシャフト30に結合させると、メインシャフト10の回転がメイン3速ギヤ13、サード3速ギヤ33、サード4速ギヤ34、メイン4速ギヤ14、及びカウンタ4速ギヤ44からなる3速ギヤ列を介してカウンタシャフト40に伝達される3速段が設定される。また4速クラッチC4を係合させると、メインシャフト10の回転が、メイン4速ギヤ14とカウンタ4速ギヤ44とからなる4速ギヤ列を介してカウンタシャフト40に伝達される4速段が設定される。
一方、5速クラッチC5を係合させて一体に形成されたメイン5速ギヤ15及びメインリバースギヤ16をメインシャフト10に結合させると、メインシャフト10の回転がこれらのギヤと噛合するカウンタ5速ギヤ45及びカウンタリバースギヤ46に伝達される。但し、カウンタ5速ギヤ45及びカウンタリバースギヤ46はそれぞれカウンタシャフト40に相対回転自在に配設されており、リバースセレクタ47の作動に応じてカウンタシャフト40と選択的に係脱される。
すなわち、図示省略するサーボアクチュエータによりセレクタスリーブ47sを図2における右方に移動させてカウンタ5速ギヤ45をカウンタシャフト40に結合させると、メインシャフト10の回転がメイン5速ギヤ15及びカウンタ5速ギヤ45からなる5速ギヤ列を介してカウンタシャフト40に伝達される5速段が設定される。一方、セレクタスリーブ47sを図2における左方に移動させてカウンタリバースギヤ46をカウンタシャフト40に結合させると、メインシャフト10の回転がメインリバースギヤ16、リバースアイドルギヤ36、及びカウンタリバースギヤ46からなるリバースギヤ列を介してカウンタシャフト40に伝達されるリバース段が設定される。
以上のように、1速、2速、3速、4速、5速クラッチC1〜C5及び1速ホールドクラッチCLの係合制御と、サーボアクチュエータによるリバースセレクタ47のセレクタスリーブ47sの移動制御とにより1速〜5速、1速ホールド、及びリバース段の設定がなされ、各ギヤ列を介してメインシャフト10の回転がカウンタシャフト40に伝達される。カウンタシャフト40の回転は、このカウンタシャフト40に結合配設されたファイナルドライブギヤ48、及びファイナルドライブギヤ48と噛合するファイナルドリブンギヤ58を介してディファレンシャル機構DFに伝達され、左右のアクスルシャフトを介して左右の駆動輪WL,WRに伝達される。
一方、トランスミッション2の車軸側に、第1駆動モータM1の回転駆動力を駆動輪に伝達するモータ動力伝達機構5が配設されている。モータ動力伝達機構5は、トランスミッション2の上部に設けられており、第1駆動モータM1のスピンドルに結合配設されたモータ駆動ギヤ51、モータ駆動ギヤ51と噛合するモータアイドラギヤ52、モータセカンダリシャフト50に結合配設されてモータアイドラギヤ52と噛合するセカンダリ従動ギヤ53、モータセカンダリシャフト50に相対回転自在に配設されたセカンダリ駆動ギヤ54、モータカウンタシャフトに結合配設されてセカンダリ駆動ギヤ54と噛合するカウンタ従動ギヤ55、モータカウンタシャフトに結合配設されてファイナルドリブンギヤ58と噛合するモータファイナルドライブギヤ56、セカンダリ駆動ギヤ54をモータセカンダリシャフトに結合させるシンクロクラッチ57、などから構成される(カバーを取り外してモータギヤボックス6の内部構成を略示する図5を参照)。
シンクロクラッチ57は、図示省略するサーボアクチュエータによりシンクロスリーブ57sを軸方向に移動させて、セカンダリ駆動ギヤ54をモータセカンダリシャフト50に結合させ、あるいはセカンダリ駆動ギヤ54とモータセカンダリシャフト50との結合を切り離すことができるようになっている。このため、シンクロクラッチ57が係合されると、第1駆動モータM1の回転がモータ駆動ギヤ51、モータアイドラギヤ52、セカンダリ従動ギヤ53及びセカンダリ駆動ギヤ54、カウンタ従動ギヤ55及びモータファイナルドライブギヤ56からなるモータギヤ列を介して、ファイナルドリブンギヤ58を介してディファレンシャル機構DFに伝達され、左右のアクスルシャフトを介して左右の駆動輪WL,WRに伝達される。
従って、このハイブリッド車両では、第2駆動モータM2をエンジンENGのスタータとして使用しアイドル停止状態(休筒状態)のエンジンを始動させることができ、エンジンENGの駆動時にはエンジン駆動力をアシストさせてトランスミッション2において設定された速度段で車両を走行させることができる。またエンジンENGを停止させ、1速〜5速クラッチC1〜C5及び1速ホールドクラッチCLの係合を解除した状態で、モータ動力伝達機構5のシンクロクラッチ57を係合させ、第1駆動モータM1により走行が可能になっている。シンクロクラッチ57のサーボアクチュエータの作動制御、およびモータ動力伝達機構5の各部の潤滑も、トランスミッション2と同様に油圧制御装置7から供給される作動油により行われる。
油圧制御装置7は、トルクコンバータTCの入力軸側に設けられエンジンENGにより回転駆動される第1オイルポンプP1、図示省略するバッテリの電力を利用して電気モータにより回転駆動される第2オイルポンプP2、及びこれらのオイルポンプP1,P2から吐出された作動油を各油圧アクチュエータ(C1〜C5、CL、リバースセレクタ47及びシンクロクラッチ57のサーボアクチュエータ等)やベアリング等の潤滑部位に導くための複数の油圧制御バルブ、及びこれらの間を繋ぐ油路からなり、第2オイルポンプP2、各油圧制御バルブの作動がコントロールユニットECUにより制御される。
コントロールユニットECUには、運転席に設けられたシフトレバー装置において運転者が選択したシフトポジションの選択信号やスロットル開度の信号、車両の走行速度や傾斜角度等の走行状態を検出する検出信号が入力されており、コントロールユニットECUは、これらの信号に基づいた制御信号を油圧制御装置7に出力して1速〜5速クラッチC1〜C5等の作動を制御し、第1駆動モータM1、第2駆動モータM2に制御信号を出力して各駆動モータの作動を制御する。これによりトランスミッション2が選択されたシフトポジションに応じて自動変速されるとともに、第1,第2駆動モータM1,M2を利用した駆動力アシストやモータ走行、バッテリの充電が行われる。
さて、以上のように概要構成される動力伝達装置1において、トランスミッション2及びモータ動力伝達機構5の被潤滑部に作動油を供給する潤滑装置の構造に本発明が適用されている。図4に動力伝達装置1における潤滑装置の要部回路図を示す。
潤滑装置は、エンジンENGにより駆動される第1オイルポンプP1、電気モータM5により駆動される第2オイルポンプP2、これらのオイルポンプから吐出された作動油を調圧するレギュレータバルブ81、作動油の油温を調整する油温調整装置85、油温調整装置からオイルパンに戻る油路の途中に設けられたオイル溜め90、オイルポンプから排出された作動油を動力伝達装置1の各被潤滑部に導くための油路などから構成される。
第1オイルポンプP1には、ストレーナが設けられたオイルパンTから吸入した作動油を吐出する第1吐出油路71が接続され、レギュレータバルブ81の二つの入力ポート81a,81bに繋がっている。第1吐出油路71から分岐する油路74は、各油圧アクチュエータ(C1〜C5、CL、リバースセレクタ47及びシンクロクラッチ57のサーボアクチュエータ等)の作動を制御する変速機制御系の油圧回路に繋がっている。
レギュレータバルブ81は、バルブボディの内部に軸方向に摺動自在に配設されたスプールと、スプールを図における左方に付勢するスプリングとを備え、第1,第2入力ポート81a,81bと、第1,第2出力ポート81c,81dとを有する調圧弁である。スプールには左端のランド部を貫通して信号圧を反力油室に導入する内部油路が形成されており、第1入力ポート81aに供給された作動油圧に応じてスプールを右方に摺動させ、第1吐出油路71の油圧及びこの第1吐出油路から分岐する油路74の油圧を調圧する。すなわち、油路74はレギュレータバルブ81により一定圧(ライン圧)に調圧された作動油路になっている。レギュレータバルブ81の設定圧は、例えば9.5kgf/cm2程度に設定される。
レギュレータバルブの第1出力ポート81cは、油路75が接続されてトルクコンバータ系の油圧回路に繋がり、油路77を介して油温調整装置85に接続されている。油温調整装置85の下流側にはフィルタ86が設けられて後に詳述するオイル溜め90に繋がり、ここから溢れ出た作動油が戻り油路95を経由してトランスミッションケース下端のオイルパンTに戻るようになっている。オイル溜め90にはモータ駆動機構5の被潤滑部60に繋がる油路91が接続されるとともに、トランスミッション2の被潤滑部のひとつであるセカンダリシャフト20の軸内潤滑油路64に繋がる油路92が接続されている。油路75にはクーラチェックバルブ84が設けられている。
レギュレータバルブの第2出力ポート81dに油路93が接続されている。油路93には、リリーフバルブ87と潤滑コントロールバルブ88が接続されるとともに、途中から分岐して複数の油路93a、93b、93c、93d、93eに分割されており、トランスミッション各部の被潤滑部に導かれる。すなわち、油路77及び油路93はレギュレータバルブ81の調圧作用により排出された余剰油路になっており、余剰油が各被潤滑部に導かれるようになっている。トランスミッション2の被潤滑部としては、例えば、ファイナルドライブギヤ48の噛合部61、メインシャフト10、カウンターシャフト40、セカンダリシャフト20、及びサードシャフト30の各軸内潤滑油路62〜65などが例示される。
油路93dはオイル溜め90に繋がる油路92と合流されてセカンダリシャフト20の軸内潤滑油路64に繋がっている。すなわち、セカンダリシャフト20の軸内潤滑油路64は、油路92を通ってオイル溜め90から供給される作動油供給と、油路93を通ってオイルポンプから直接導かれる作動油供給の両方が可能な共通被潤滑部になっている。そして油路92には、オイル溜め90側からセカンダリシャフトの軸内潤滑油路64方向への作動油の流下を許容する一方、油路93d側からオイル溜め90方向への作動油の逆流を防止するチェック弁94が設けられている。また、油路93dには、セカンダリシャフト20の軸内潤滑油路64との高低差により油路92側から油路93d方向への作動油の逆流を抑制する水頭差形成部93hが形成されている。なお、油路93dと油路93eとの間に潤滑チェックバルブ89が設けられている。
一方、第2オイルポンプP2には、オイルパンTから吸入した作動油を吐出する第2吐出油路72が接続されてリリーフバルブ82に接続され、油路76を介して油路77に繋がっている。また第2吐出油路72は、途中で分岐する油路73を介して第1吐出油路71に接続されている。油路73には第1吐出油路71側から第2吐出油路72の方向に流れないように逆止弁73cが設けられている。リリーフバルブ82の設定圧は、比較的低吐出圧である第2オイルポンプP2の吐出圧に合わせて、レギュレータバルブ81の設定圧よりも低い圧力、例えば3kgf/cm2程度に設定される。
このため、第1オイルポンプP1から第1吐出油路71に吐出された高圧の作動油が、油路73及び油路75,76を介して油路72方向に流れることがない一方、第2オイルポンプP2から吐出された作動油が油路73,74を介して変速機制御系の油圧回路に供給されるとともに、油路76,77を介して油温調整装置85で温度調整された作動油がオイル溜め90に供給され、オイル溜め90から油路91を介してモータ動力伝達機構5の被潤滑部、油路92を介してセカンダリシャフト20の軸内潤滑油路64に供給される。
油温調整装置85は、エンジンの冷却水と熱交換を行う水:オイルの熱交換機であり、エンジン始動時にはエンジン冷却水の方が作動油よりも早期に温度上昇するため、作動油を暖めるオイルウォーマとして機能する。一方、通常走行時においては、大容量のラジエタ及びサーモスタット等からなる冷却回路によってエンジン冷却水が略一定温度に温度管理されるため、高温になった作動油を冷却するオイルクーラとして機能する。すなわち、油温調整装置85は、オイルクーラとオイルウォーマの両方の機能を併せ持ったオイルクーラ/ウォーマである。
さて、このような潤滑回路構成にあって、オイル溜め90がモータ動力伝達機構5のギヤボックス上部に形成されている。図5にギヤボックス6の前方を覆うカバー6aを取り外して内部構成を略示するとともに、カバー6aに形成された油路を含む潤滑油路の形成状況を図1に重ねて表示しており、これらの図面を参照してモータ動力伝達機構5に対する作動油供給の実体構造、及びセカンダリシャフトの軸内潤滑油路64への作動油供給の実体構造について説明する。
モータギヤボックス6には、前方(エンジン側)に開く前後に凹状に形成されたギヤ室形成部101と、仕切壁102を隔ててギヤ室形成部101に沿って右上方から左側方にかけて延びる油路形成部103とを有し、前方にカバー6aを取り付けて閉止した状態で、モータ駆動ギヤ51、モータアイドラギヤ52、セカンダリ従動ギヤ53が収容されるギヤ室105、仕切壁102の上端から右側の油路形成部にオイル溜め90、仕切壁の上端から左側の油路形成部に戻り油路95が形成される。
ギヤ室形成部101の後方の壁面及びカバー6aには、第1駆動モータの第1駆動モータM1のスピンドル、モータアイドラギヤ52のモータアイドラシャフト、モータセカンダリ従動ギヤ53が結合配設されたモータセカンダリシャフトをそれぞれ回転自在に支持するベアリングが配設される。またギヤ室形成部101の後方の壁面には、モータセカンダリシャフトを前後に挿通させるシャフト挿通孔が形成されており、後方のミッションケース3内にモータセカンダリ駆動ギヤ54及びシンクロクラッチ57が配設される。ギヤ室形成部101の下部にはギヤ室105内の作動油をミッションケース3に流下させる長孔状の開口部106が複数形成されている。
図5中のVI−VI矢視の断面図を図6に示すように、油路形成部103の下端部には、ミッションケース3に連通する油路開口104が形成されており、戻り油路95側に溢れ出た作動油が、この油路開口104を通ってミッションケース3に流下し、モータ動力伝達機構5の他のギヤ54〜56やシンクロクラッチ57、トランスミッション2の各変速のギヤ等に巻き込まれずにミッションケース下端のオイルパンTに戻るようになっている。
モータギヤボックス6の上部に、上下に延びてオイル溜め90に繋がる油路78が穿設されており、この油路78の上端部に油路77が接続される。モータギヤボックス6のカバー6aに、モータ駆動機構5の被潤滑部に繋がる油路91が形成されている。油路91は、オイル溜め90に繋がって左斜め下方に延びモータスピンドルの軸内潤滑油路に繋がる油路91a、この油路91aと繋がって略鉛直下方に延びモータセカンダリシャフトの軸内潤滑油路に繋がる油路91b、油路91bの中間部から右斜め下方に延びモータアイドラシャフトのベアリング部に作動油を供給する油路91c等から構成される。
一方、モータギヤボックス6の側部に、トランスミッション2におけるセカンダリシャフト20の軸内潤滑油路に繋がる油路92が設けられる。油路92は、モータギヤボックス6に左右に延びて穿設されオイル溜め90に繋がる油路92aと、この油路92aと繋がって上下に延びる油路92b、油路92bと繋がって前後に延びる油路92c、油路92cと繋がって斜め上下に延びトランスミッションケース内のセカンダリシャフト20の軸内潤滑油路に繋がる油路92dなどから構成される。油路92aに、オイル溜め90側から油路92b方向への作動油の流下を許容し、油路92b側からオイル溜め90方向への作動油の流入を防止するチェック弁94が設けられている。
セカンダリシャフト20には油路93dも接続されており、トランスミッションケース3に斜め上下に延びて形成された油路93d1、上下に延びる油路93d3、油路93d1と油路93d3との間を繋ぐ油路93d2を有してセカンダリシャフト20の軸内潤滑油路に接続されている。すなわち、油路93dは共通被潤滑部であるセカンダリシャフト20の軸内潤滑油路に接続される経路の途中で、一度オイル溜め90と共通被潤滑部64との間の高さ位置を通り、共通被潤滑部との間に図中「H」で示す水頭を有して接続される。この水頭Hを形成する部分が前述した水頭差形成部93hに該当する。
以上のように構成される潤滑回路構成では、エンジンENGが駆動し第1オイルポンプP1が作動しているときは、第1オイルポンプP1から吐出された作動油が、第1吐出油路71を通ってレギュレータバルブ81の第1及び第2入力ポート81a、81bに供給され、レギュレータバルブ81の調圧機能により調圧された作動油が油路74を介して変速機制御系の油圧回路に供給される。またレギュレータバルブ81の調圧作用に伴って排出される作動油(余剰油)のうち、第2出力ポート81dに排出された作動油は、油路93から分割油路93a〜93eを通り、前述したトランスミッション各部の被潤滑部61〜65に供給される。第1出力ポート81cに排出された作動油は、トルクコンバータの制御油圧回路を介して油温調整装置85に供給され、油温が調整されたのち油路77,78を介してオイル溜め90に供給され一時貯留される。
なお、第1吐出油路と第2吐出油路72とを連結する油路73に逆止弁73cが設けられ、第2吐出油路にリリーフバルブ82が設けられているため、第1オイルポンプP1から第1吐出油路71に吐出された高圧の作動油が、油路73及び油路75,76を介して油路72方向に流れることがない
オイル溜め90に貯留された作動油は、重力に従って油路91a,91b,91cを自然流下し、モータ駆動ギヤ51、モータアイドラギヤ52、モータセカンダリシャフト50の軸内潤滑油路を介してモータセカンダリ従動ギヤ53、モータセカンダリ駆動ギヤ54及びシンクロクラッチ57の各被潤滑部に供給される。これらの被潤滑部(モータ駆動機構の被潤滑部60)に供給される作動油の流量は、オイル溜め90の油面高さと各被潤滑部との高低差(水頭)、及び各被潤滑部までの流路抵抗によって定まる一定流量となる。そして、これらの被潤滑部を潤滑してギヤ室105を流下した作動油は、後方壁面の下端に形成された開口部106を通り、この壁面の後方に配設されたモータカウンタシャフトの被潤滑部を潤滑してオイルパンTに戻る。
オイル溜め90に供給された作動油のうち貯留容量を超えて余剰となった作動油は、仕切壁102の上端を越えて戻り油路95を流下し、この戻り油路95の下端に形成された油路開口104を通ってトランスミッションケース3に流入し、そのままオイルパンTに戻る。
従って、モータ動力伝達機構5の被潤滑部に供給される作動油の流量は、モータギヤボックス6の機構配置と、油路91の被潤滑部に対する開口径等とによって定まる一定流量となり、エンジン回転数の高低に伴って第1オイルポンプP1の吐出流量が変化し油路93を介して供給される作動油流量が増減したとしてもその影響を受けない。
また、オイル溜め90から溢れ出た作動油が、戻り油路95を流下して油路開口104からトランスミッションケース3に流入し、この戻り油路95とギヤ室105との間に形成された仕切壁102によりギヤ室105側に流入しないようになっている。これにより、オイル溜め90から溢れ出た余剰油がギヤ室105に流入して供給過剰となることがなく、ギヤによる作動油の攪拌抵抗の発生を防止することができる。
オイル溜め90は油路92を介してセカンダリシャフト20の軸内潤滑油路64に繋がっている。しかしながら、軸内潤滑油路64には油路93dも接続されており、エンジン駆動時には第1オイルポンプP1から吐出された作動油が油路93dに供給されている。油路93dを介して供給される作動油圧は、当然のことながら油路92を介して供給される作動油圧(重力による自然供給圧)よりも高く、セカンダリシャフト20の軸内潤滑油路64には油路93dから作動油が供給される。ここで、油路92にはチェック弁94が設けられており、油路93dから軸内潤滑油路64に供給された作動油が油路92を逆流してオイル溜め90に噴き出すようなことがない。
一方、アイドル停止制御によりエンジンENGが停止し、これに伴って第1オイルポンプP1の作動が停止したときには、コントロールユニットECUにより第2オイルポンプP2の電動モータM5が回転駆動され第2オイルポンプP2が作動する。第2オイルポンプP2が作動すると、第2オイルポンプP2から吐出された作動油が逆止弁73cを開弁させ油路73及び74を介して制御油圧が変速機制御系の油圧回路に供給される。また第2吐出油路72に設けられたリリーフバルブを開弁させた作動油(余剰油)が油路76,77を介して油温調整装置85に供給され、油温が調整されたのち油路77,78を介してオイル溜め90に供給され一時貯留される。
オイル溜め90に貯留された作動油は、重力に従って油路91a,91b,91cを自然流下し、モータ駆動ギヤ51、モータアイドラギヤ52、モータセカンダリ従動ギヤ53の各被潤滑部に供給される。このモータ駆動機構5に対するオイル溜め90からの作動油供給については前述したと同様であり、一定の適正流量による潤滑が行われ、攪拌抵抗を発生させることもない。
また、第2オイルポンプP2の吐出圧力は比較的低圧のため、レギュレータバルブ81を開弁させることができず、第1オイルポンプP1が停止した状態では、油路93dに作動油圧が立たない。一方、セカンダリシャフトの軸内潤滑油路64には、油路92を介してオイル溜め90の油面高さとセカンダリシャフト20との高低差(水頭)に応じた重力による自然供給圧が作用する。このため、オイル溜め90に貯留された作動油が、チェック弁94を開弁させ、油路92a,92b,92c,92dを通ってセカンダリシャフトの軸内潤滑油路64に供給される。この供給量もオイル溜め90の油面高さと被潤滑部64との高低差、及び流路抵抗によって定まる一定流量となる。
ここで、油路93dに作動油圧が立たないため、油路93d方向への作動油の逆流が懸念されるが、油路93dは共通被潤滑部であるセカンダリシャフトの軸内潤滑油路64に接続される経路の途中で、オイル溜め90と被潤滑部64との間の高さ位置を通り、高さHの水頭差形成部93hを有して構成されている。油路92から軸内潤滑油路64に供給された作動油が油路93方向に逆流するためには、この高さHを越える必要がある。しかしながらセカンダリシャフトの軸内潤滑油路64から軸上の各被潤滑部に流れ出る流路抵抗はさほど大きくなく、軸内潤滑油路64の入り口部に高さHを越えるほどの油圧が立たないため油路93d方向への逆流が生じない。高さHの大きさは軸内潤滑油路から流れ出る流路抵抗及び供給圧に応じて適宜設定すれば良い。
なお、セカンダリシャフト20は、トランスミッション2に配設された4本の平行軸10,20,30,40のうちで最も高い位置に配設されており、このセカンダリシャフト20の軸内潤滑油路から軸上の各被潤滑部を潤滑した作動油が、他の各軸上のギヤやクラッチに拡散滴下して、エンジン停止時において動力伝達を行っていないトランスミッション2に対して、再始動時に向けた最小限の潤滑が確保されるようになっている。
このように、以上説明した動力伝達装置1では、モータ動力伝達機構5の上部にオイル溜め90を設け、このオイル溜め90に一時貯留した作動油を重力により自然流下させてモータ動力伝達機構5の被潤滑部60に供給するように構成している。このため、被潤滑部60に供給する作動油の流量をエンジン回転数に拘わらず一定化して過剰な作動油供給を防止することができ、伝達ギヤ等による作動油の攪拌抵抗を減少させて燃費向上に寄与することができる。また、モータ動力伝達機構5をトランスミッション2の上部に配設して、オイル溜め90に一時貯留した作動油を重力により自然流下させてトランスミッション2の被潤滑部64に供給するように構成しているため、モータギヤボックス6に一箇所のオイル溜め90を設けた簡明な構成で、上記同様の効果をトランスミッションの被潤滑部64についても得ることができる。
また、モータギヤボックス6にオイル溜め90を設け、伝達ギヤ列51〜53が配設されたギヤ室105とオイル溜め90から溢れ出た作動油を流下させる戻り流路95とが仕切壁102を隔てて配設されるように構成しているため、各被潤滑部に一定量の作動油供給が行われて余剰となった作動油はギヤ室105に流入することなく戻り油路95を流下してトランスミッション内部に戻される。このため、オイル溜めから溢れ出た余剰油がギヤ室105に流入して供給過剰となることがなく、伝達ギヤによる作動油の攪拌抵抗の発生を抑止することができる。
さらに、オイル溜め90を経由した作動油供給と、オイルポンプから油路93を経由して直接導かれれる作動油供給の両方が可能な共通被潤滑部64を有する場合において、油路93に共通被潤滑部64よりも高い位置を通る水頭差形成部を設けているため、簡明な構成でオイル溜め90に貯留された作動油の油路93側への逆流を防止して、共通被潤滑部64への作動油供給を確実に行うことができる。
従って、以上説明した本発明によれば、モータ動力伝達機構における作動油の攪拌抵抗を減少させて燃費向上に寄与し得るハイブリッド車両の動力伝達装置を提供することができる。
ENG エンジン
M5 電気モータ(駆動用モータ)
P1 第1オイルポンプ(油圧源)
P2 第2オイルポンプ(油圧源)
1 動力伝達装置
5 モータ動力伝達機構
6 モータ動力伝達機構を収容するギヤボックス
2 トランスミッション(変速機)
60 モータ動力伝達機構の被潤滑部
61〜65 トランスミッションの被潤滑部
64 セカンダリシャフトの軸内潤滑油路(共通被潤滑部)
90 オイル溜め
91 油路(第1潤滑油路)
92 油路(第2潤滑油路)
93 油路(第3潤滑油路)
93d1〜93d3 油路(水頭差形成部)
95 戻り油路(環流油流路)
102 仕切壁
105 ギヤ室(ギヤ収容部)
M5 電気モータ(駆動用モータ)
P1 第1オイルポンプ(油圧源)
P2 第2オイルポンプ(油圧源)
1 動力伝達装置
5 モータ動力伝達機構
6 モータ動力伝達機構を収容するギヤボックス
2 トランスミッション(変速機)
60 モータ動力伝達機構の被潤滑部
61〜65 トランスミッションの被潤滑部
64 セカンダリシャフトの軸内潤滑油路(共通被潤滑部)
90 オイル溜め
91 油路(第1潤滑油路)
92 油路(第2潤滑油路)
93 油路(第3潤滑油路)
93d1〜93d3 油路(水頭差形成部)
95 戻り油路(環流油流路)
102 仕切壁
105 ギヤ室(ギヤ収容部)
Claims (4)
- エンジン及び駆動用モータの少なくともいずれか一方の回転駆動力を駆動輪に伝達して走行可能に構成され、前記エンジンと前記駆動輪との間の動力伝達経路に配置された変速機の潤滑及び前記駆動用モータと前記駆動輪との間の動力伝達機経路に配置されたモータ動力伝達機構の潤滑を、前記変速機に作動油を供給する油圧源で発生された作動油圧の余剰油を用いて行うように構成されたハイブリッド車両の動力伝達装置において、
前記モータ動力伝達機構の上部に設けられて前記油圧源から供給された余剰油を一時貯留するオイル溜めと、
前記オイル溜めに一時貯留された余剰油を前記モータ動力伝達機構の被潤滑部に導く第1潤滑油路とを有し、
前記油圧源から供給されて前記オイル溜めに一時貯留された前記余剰油が、重力により前記第1潤滑油路を流下して前記モータ動力伝達機構の被潤滑部に供給されるように構成したことを特徴とするハイブリッド車両の動力伝達装置。 - 前記モータ動力伝達機構は前記変速機の上部に配設されるとともに、
前記オイル溜めに一時貯留された前記余剰油を前記変速機の被潤滑部に導く第2潤滑油路が設けられ、
前記油圧源から供給されて前記オイル溜めに一時貯留された前記余剰油が、重力により前記第2潤滑油路を流下して前記変速機の被潤滑部に供給されるように構成したことを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の動力伝達装置。 - 前記モータ動力伝達機構を収容するギヤボックスに、
前記オイル溜めと、
前記モータ動力伝達機構を構成する伝達ギヤ列が配設されたギヤ収容部と、
前記オイル溜めから溢れ出た余剰分を前記変速機の内部に流下させる環流油流路とを有し、
前記ギヤ収容部と前記環流油流路とが仕切壁を隔てて形成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のハイブリッド車両の動力伝達装置。 - 前記油圧源から吐出された余剰油を前記オイル溜めを介することなく前記変速機の被潤滑部に導く第3潤滑油路を有し、
前記変速機の被潤滑部には、前記第2潤滑油路及び前記第3油路がともに接続されて、前記オイル溜め及び前記第2潤滑油路を経由した作動油供給と、前記第3潤滑油路を経由した作動油供給のいずれもが可能に構成された共通被潤滑部を有し、
前記第3潤滑油路に、前記オイル溜めと前記共通被潤滑部との間の高さ位置を通り、水頭差により前記オイル溜めに貯留された前記余剰油の重力による前記第3潤滑油路側への逆流を抑制する水頭差形成部を設けたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のハイブリッド車両の動力伝達装置。
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JP2006040741A JP2007216865A (ja) | 2006-02-17 | 2006-02-17 | ハイブリッド車両の動力伝達装置 |
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