JP4503763B2 - 住宅用排水システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、住宅用排水システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、アパートなどの小規模集合住宅や個人用住宅では、図17に示すように、建物2内に設置された台所25,トイレ21,洗面所22,洗濯機23,浴室24などの各種排水設備にて発生した排水は、それぞれの排水設備に接続された各排水枝管51を通じて建物の外側に埋設配管された各排水桝6に流れ込み、この排水桝6間を接続している宅地内の排水管路3を通じて公共桝7に流れ込み、この公共桝7を経て公道下に埋設された下水本管へ排水される排水システムとなっている。
【0003】
ところで、上記従来の排水システムの場合、宅地1内の排水管路3は建物2の基礎3の外側に埋設配管されており、この排水管路3の曲がり部や合流部に各種タイプの排水桝が設置されるようになっている。この排水桝としては、たとえばポリプロピレン樹脂製のものや硬質塩化ビニル樹脂製のものが用いられている。これらの排水桝の立ち上がり口径は、一般的には、ポリプロピレン樹脂製のものでは約300mm、一方、硬質塩化ビニル樹脂製のものでは約150〜200mmである。
【0004】
このように、従来の排水システムでは、建物の外郭と宅地の境界との間に、建物の外郭に沿って排水管路を埋設配管するとともに、この排水管路の途中に、各各種排水設備に接続したそれぞれの排水枝管の端部が接続される排水桝を設置するための空間が必要である。このため、宅地の狭小化によって、排水桝の設置が困難になってくるという問題があった。
【0005】
このような問題を解消する住宅用の排水システムとして、特開平10−331221号公報において、建物の床下に配管され、建物内の各排水設備にそれぞれ接続した排水枝管と、建物の外方に建物の外郭に沿って宅地内に配管され、前記排水枝管を接続する流入枝管口を有する排水桝を接続した排水管とを備え、前記排水枝管は、ほぼ同一方向に向けて建物の外側に導出して宅地内に配管された前記排水管に接続されている排水桝の流入枝管口に接続し、前記排水枝管は、建物の床下に向けて配管した縦枝管部と、床下に下流側を下方に向けた勾配をもって配管された横枝管部および縦枝管部と横枝管部とを接続する湾曲枝管部とにてそれぞれ形成し、前記各排水管の少なくとも各湾曲枝管部をフレキシブル管にてそれぞれ形成した住宅用の排水配管装置が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開平10−331221号公報に開示の排水配管装置の場合は、各排水設備に接続された排水枝管を形成している横枝管部のそれぞれを建物の外周基礎を貫通させて排水桝の流入枝管口と接続させなければならない。このため、建物の外周基礎が局部的に強度低下を生じたり、あるいは、貫通部の水密処理に手間を要するという問題があった。また、各横枝管部の端部と排水桝の流入枝管口との接続作業も工数を要するという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、建物の外周基礎に形成する挿通孔が一箇所で済み、その結果、建物の外周基礎の強度低下が生じず、排水管路内の点検や清掃などの維持管理を容易に行え、しかも、掘削工事などの土工費用を大幅に削減することができる住宅用排水システムを提供することである。
【0008】
また、本発明の目的は、狭小な宅地であっても、宅地を有効に活用できる住宅用排水システムを提供することである。
【0009】
さらに、本発明の目的は、良好な排水特性を有する住宅用排水システムを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の本発明は、建物の床下に、複数の流入側接続部と1個の流出側接続部を有するヘッダーが配置され、このヘッダーの各流入側接続部に、建物内に設置されている各種排水設備に接続されている排水枝管の流出側端部が接続されるとともに、ヘッダーの流出側接続部と接続されている排水主管の下流側端部が建物の外周基礎を貫通して屋外に突出されて建物の外周基礎の外側地中に埋設されている排水桝の流入側接続部と接続され、この排水桝の流出側接続部と接続されている排水主管の下流側端部が公共桝の流入側接続部と接続されている住宅用排水システムであって、前記ヘッダーおよび排水主管が、建物の床下面に対して、所定の排水勾配を有して配管され、前記排水枝管のうち、建物内の排水設備であるトイレと接続されている排水枝管のみが、外周基礎の内側に存在している内側基礎に設けられた挿通孔を挿通して、所定の排水勾配を有して配管されているものである。
【0011】
(削除)
【0012】
(削除)
【0013】
(作用)
請求項1記載の本発明の住宅用排水システムでは、建物の床下に、複数の流入側接続部と1個の流出側接続部を有するヘッダーが配置され、このヘッダーの各流入側接続部に、建物内に設置されている各種排水設備に接続されている排水枝管の流出側端部が接続されるとともに、ヘッダーの流出側接続部と接続されている排水主管の下流側端部が建物の外周基礎を貫通して屋外に突出されて建物の外周基礎の外側地中に埋設されている排水桝の流入側接続部と接続され、この排水桝の流出側接続部と接続されている排水主管の下流側端部が公共桝の流入側接続部と接続されているので、建物内の各種排水設備に接続されている排水枝管の流出側端部を、ヘッダーの各流入側接続部と接続することで、一箇所にて各種排水設備との間の配管接続を一箇所にて効率よく行える。また、建物の外周基礎に形成する挿通孔が一箇所で済み、建物の外周基礎の強度低下が生じない。
また、排水主管は建物の床下に配管されているので、掘削工事などの土工費用を削減できる。そして、排水主管が露出配管されていることで、排水主管の部分的補修を、たとえばやり取り継手などを用いて容易に行うことができる。しかも、建物の外周基礎の外側の宅地内に埋設する排水桝は一つで済むので、材料費や施工費を削減できる。さらに、従来のように、建物の外周基礎の外側の宅地内に排水主管や多数の排水桝を埋設する必要がないので、狭小な宅地であっても、宅地を有効に活用できる。
【0014】
(削除)
【0015】
(削除)
【0016】
(削除)
【0017】
また、ヘッダーの設置場所が決まることによって、配管ルートが明確になり、プレハブ配管が可能となる。その結果、配管作業者による施工差も解消できる。
【0018】
そして、ヘッダーおよび排水主管が、建物の床下面に対して所定の排水勾配を有して配管されているので、排水の流れ特性は良好である。
【0019】
また、排水枝管のうち、建物内の排水設備であるトイレと接続されている排水枝管のみが、外周基礎の内側に存在している内側基礎に設けられた挿通孔を挿通して、所定の排水勾配を有して配管されているので、排水の流れ特性は良好である。この場合、トイレと接続されている排水枝管が内側基礎に設けられた挿通孔を挿通して、所定の排水勾配を有して配管されているので、トイレ以外の建物内の排水設備(例えば洗面所、洗濯機、浴室、台所など)と接続されている排水枝管の場合のように、これらの排水枝管に所定の排水勾配を付与するために必要な管枕あるいは管継手が不要となる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の住宅用排水システムの第1実施例(参考例)を示す模式説明図、図2は図1の要部を示す横断面図、図3は図2の要部拡大図、図4は図3のX−X切断断面図、図5は図2の要部を示す縦断面図である。
【0021】
図1において、2は宅地1内に建てられている建物である。建物2の床下において、硬質塩化ビニル樹脂製の排水主管3が建物2の長辺側および短辺側の外周基礎4の内側に沿ってほぼL字状に配管されている。この排水主管3は、図2に示すように、4箇所の内側基礎41に設けられた各挿通孔41aを挿通して配管されている。具体的には、たとえば排水主管3の排水勾配が1/100の場合であれば、図5に示すように、下流側の排水主管3が挿通している挿通孔41aの中心は、上流側の排水主管3が挿通している挿通孔41aの中心に対して、排水主管3の排水勾配に対応した分だけ下方にずれている。このようにして、排水主管3は、外周基礎4の内側に沿って所定の排水勾配を有して配管されている。
【0022】
そして、排水主管3の所定位置に接着接続されている各90度大曲りY継手31の分岐流入側の受け口311に、建物2内に設置されているトイレ21,洗面所22,洗濯機23,浴室24,台所25などの排水設備に接続されている各排水枝管51の流出側端部が接着接続されている。
【0023】
排水主管3の曲がり部付近には、図3および図4に示すように、外周基礎4の内面に固定された2個の金属製の受け板42にて支持されるとともに、U字状の締め付けボルト43にて固定されている。なお、この場合、排水主管3は基本的には内側基礎41の各孔41aにて支持されているので、受け板42はあくまでも補助的なものであり、必要に応じて設置すればよい。なお、図4において、44は床板面材、45は根太、46は防湿コンクリートあるいは盛土である。
【0024】
排水主管3の下流側先端には90度エルボ継手32の一端が接続され、このエルボ継手32の他端に接着接続された短管33の一端が建物2の外周基礎4の孔4aを貫通して屋外に突出されている。そして、図6に示すように、短管33の他端と、建物2の外周基礎4の外側地中に埋設された排水桝6の流入側受け口61との間が、90度大曲りY継手34,短管35および90度エルボ継手36を介して接続されている。90度大曲りY継手34の上端受け口341内には栓体342が着脱自在に装着されている。
【0025】
地表面に露出している90度大曲りY継手34は、図6に示すように、配管カバー34aにて覆われて保護されている。排水桝6の流出側受け口62には排水管3Aの一端部が接着接続され、この排水管3Aの他端部が公共桝7の流入側接続部と接着接続されている。排水桝6の上端受け口63には短管64の下端が接続され、短管64の上端に掃除口用の蓋65が着脱自在に装着されている。
【0026】
一方、図2に示すように、排水主管3の上流側端部には90度エルボ継手37の一端が接着接続され、このエルボ継手37の他端開口内に栓体371が着脱自在に装着されることで掃除口とされている。エルボ継手37はその開口端が建物2の外周基礎4内面と相対峙するように配管接続され、この開口端に対応した外周基礎4には内外方向に貫通した孔4bが設けられている。建物2の外側から孔4bを通じてエルボ継手37の他端開口内に装着されている栓体371を外すことで、長片側の外周基礎4に沿って配管された排水主管3内の掃除を行えるようになっている。
【0027】
そして、排水主管3の曲がり部には90度大曲りY継手38が接着接続され、このY継手38の受け口381の開口端内に栓体382が着脱自在に装着されて掃除口とされている。この栓体382の形状はY継手38内にスムーズな流路が形成されるようになされている。Y継手38の掃除口と相対峙している外周基礎4には、図2および図3に示すように、内外方向に貫通した孔4cが設けられている。この孔4cの大きさは栓体382よりも大きくされており、建物2の外側から孔4cを通じてY継手38の受け口381内に装着されている栓体382を外すことで、短辺側の外周基礎4に沿って配管された排水主管3内の掃除を行えるようになっている。
【0028】
また、Y継手38の分岐流入側の受け口と相対峙している短片側の外周基礎4にも、図2および図3に示すように、内外方向に貫通した孔4dが設けられている。この孔4dの大きさは孔4cとほぼ同じとされている。この両孔4c,4dを利用して排水主管3の更新などを行えるようになっている。
【0029】
なお、図2の実施例では、排水主管3として、灰色に着色した不透明な硬質塩化ビニル樹脂管を用いたが、たとえば透明な硬質塩化ビニル樹脂管を用いることも可能である。排水主管3を透明なものとすることによって、排水管路内の点検を外部から目視にて行うことが可能となり、排水管路の点検作業を作業性よく簡単に行える。なお、排水主管3の断面形状は円形に限定されず、卵形であってもよい。
【0030】
その際、トイレ21,洗面所22,洗濯機23,浴室24,台所25などの排水設備に接続されている各排水枝管51も透明な硬質塩化ビニル樹脂管としてもよい。排水枝管51は内面が平滑な蛇腹管や螺旋管などの可撓性管であってもよい。また、排水主管3および各排水枝管51を不透明なものとし、この排水主管3と各排水枝管51と接続している各90度大曲りY継手31や曲がり部の90度大曲りY継手38を透明な硬質塩化ビニル樹脂製のものとしてもよい。
【0031】
上記実施例では、排水主管,90度大曲りY継手,排水枝管などの管路構成部材を硬質塩化ビニル樹脂製のものとしたが、ポリエチレン樹脂製のものとしてもよい。その際、接続方式として、ゴム輪方式、融着方式、溶着方式などを採用すればよい。
【0032】
また、上記図2の実施例では、掃除口を有している90度大曲りY継手34を建物2の外周基礎4の外側に露出させて配管接続したが、図7に示すように、外周基礎4の内側に形成した防湿コンクリート46の一部に窪み部461を形成し、この窪み部461を利用して、90度大曲りY継手34を建物2の外周基礎4の内側に配管接続するようにしてもよい。なお、図7において、図6と同一部材については同一符号を付している。
【0033】
さらに、上記図2の実施例では、掃除口を有する90度エルボ継手37の一端を排水主管3の上流側端部に存在している90度大曲りY継手31の受け口に接続するとともに、外周基礎4に孔4bを設けることで、この孔4bを通じて、長片側の外周基礎4に沿って配管した排水主管3内の掃除をできるようにしたが、この90度エルボ継手37を接続することなく、排水主管3の上流側端部に接続している90度大曲りY継手31の受け口内に栓体を着脱自在に装着して掃除口としてもよい。その際、栓体の形状は、90度大曲りY継手31内にスムーズな流路が形成されるようにするのが望ましい。
【0034】
このようにすることで、外周基礎4に孔4bを設けることなく、床下に作業者が入り込むか、あるいは、床面に設けた開口部を利用して排水主管3内の点検や掃除を行える。
【0035】
上記第1実施例では、排水主管3と各90度大曲りY継手31との接続方式は接着方式を採用したが、少なくとも一つの90度大曲りY継手31の接続部をゴム輪方式の受け口として、排水主管3と90度大曲りY継手31とをゴム輪方式にて接続するようにしてもよい。このように、長辺側および短辺側の外周基礎4に沿って配管されている排水主管3の一部にゴム輪接続部を設けることによって、温度差に起因する排水主管3の伸縮を吸収することができる。なお、90度大曲りY継手31とは別に、排水主管3の途中にゴム輪受け口を備えた管継手を配管接続してもよい。
【0036】
図8は本発明の住宅用排水システムの第2実施例(参考例)の要部を示す横断面図、図9は図8における集水桝を示す平面図および正面図である。
【0037】
図8において、建物2の床下の外周基礎4の内側の防湿コンクリートあるいは盛土46上に集水桝8が配置されている。この集水桝8は硬質塩化ビニル樹脂製のものであり、図9(a),(b)に示すように、有底円筒状のます本体81の壁部に5個の流入側受け口82と1個の流出側受け口83とが一体に突設され、ます本体81の上端開口には蓋84が着脱自在に装着されている。集水桝8の流入側および流出側の受け口82,83の口径はそれぞれ30〜75mm、100mmである。
【0038】
集水桝8の各受け口82に、建物2内に設置されているトイレ21,洗面所22,洗濯機23,浴室24,台所25などの排水設備に接続されている各排水枝管51の流出側端部が接着接続されている。なお、トイレ21と接続されている排水枝管51は、図8に示すように、内側基礎41に設けられた孔41aを貫通して配管されている。なお、各排水枝管51の一部は蛇腹状あるいは螺旋状とされ、曲げ配管ができるように可撓性が付与されている。
【0039】
集水桝8と台所25との間は、排水枝管51がL字状に配管されて接続されており、この排水枝管51の曲がり部には90度大曲りY継手52が接着接続され、このY継手52の受け口内に栓体53が着脱自在に装着されて掃除口とされている。この栓体53の形状はY継手52内にスムーズな流路が形成されるようになされている。
【0040】
同様に、集水桝8と浴室24との間を接続している排水枝管51の曲がり部にも90度大曲りY継手52が接着接続され、このY継手52の受け口内に上記と同一の栓体53が着脱自在に装着されて掃除口とされている。
【0041】
このように、浴室24および台所25と集水桝8との間を接続している両排水枝管51の曲がり部に掃除口を設けることによって、この掃除口を通じて両排水枝管51内の点検や掃除を行えるようになっている。
【0042】
そして、集水桝8の流出側受け口82に排水主管3の上流側端部が接着接続され、この排水主管3の下流側端部が建物2の外周基礎4の外側地中に埋設された排水桝6の流入側受け口61と接着接続されている。その際、排水主管3は、図10および図11に示すように、排水主管3の上流側および下流側の2箇所に配置された管枕9の凹部91にて支持され、床下の防湿コンクリート46上に、たとえば1/100の排水勾配を有して配管されている。この場合、排水主管3の下流側に配置されている管枕9のほうが、排水主管3の上流側に配置されている管枕9よりも、その底部高さ(H)が低くされている。管枕9は木,合成樹脂,コンクリートなどから所定形状に製されたものである。
【0043】
なお、浴室24および台所25と集水桝8との間を接続している両排水枝管51の部分にも、寸法的には小さい同様の管枕9が配置されることで、両排水枝管51は所定の排水勾配を有して配管されている。
【0044】
そして、排水桝6の流出側受け口62に排水主管3Aが接着接続され、この排水主管3Aの下流側端部が公共桝7の流入側受け口と接着接続され、この公共桝7を通じて建物2内の各排水設備21〜25にて生じた排水が下水道本管に排水されるようになっている。なお、排水主管3,3Aはともに口径100mmの灰色に着色した不透明な硬質塩化ビニル樹脂製のものである。
【0045】
そして、外周基礎4の孔4aを貫通して屋外に突出されている排水主管3の下流側先端と、建物2の外周基礎4の外側地中に埋設された排水桝6の流入側受け口61との間は、上記第1実施例の図6と同様に、90度大曲りY継手34,短管35および90度エルボ継手36を介して接着接続されている。
【0046】
上記図10の実施例では、排水主管3に所定の排水勾配を付与するために管枕9を用いたが、この管枕9に代えて、硬質塩化ビニル樹脂製の勾配付きの管継手9Aを用いてもよい。この管継手9Aは、図12に示すように、板状の支持脚部91Aの下面にはたとえば1/100の傾斜面が設けられている。同様に、浴室24および台所25と集水桝8との間を接続している両排水枝管51の部分にも、同様の管継手9Aを配置して、両排水枝管51に所定の排水勾配を付与するようにしてもよい。その際、集水桝8と浴室24(あるいは台所25)との間を接続している排水枝管51の曲がり部に接続している90度大曲りY継手52そのものを勾配付きのもの、あるいは、このY継手52に代えて勾配付きのベンド継手としてもよい。
【0047】
また、図13に示すように、管枕9に代えて、勾配付き支持板9Bを用いてもよい。この支持板9Bは木,合成樹脂,コンクリートなどから図14に示すような所定形状に製されたものであり、床下の防湿コンクリート46上に載置した状態で、支持板9Bの上面91Bがたとえば1/100の傾斜面を有している。
【0048】
図15は本発明の住宅用排水システムの第3実施例の要部を示す横断面図である。
【0049】
図15において、建物2の床下の外周基礎4の内側の防湿コンクリートあるいは盛土46上にヘッダー8が配置されている。このヘッダー8は、建物2内に設置されているトイレ21,洗面所22,洗濯機23,浴室24,台所25などの排水設備にて生じた排水を一箇所に集水して排水するための機能を有するものである。
【0050】
ヘッダー8は硬質塩化ビニル樹脂製のものであり、5個の90度大曲りY継手8aを管軸方向に短管を介して接着接続されている。その際、隣接する90度大曲りY継手8aの分岐流入側の各受け口81aが互いに反対方向を向くように接続されている。なお、分岐流入側の受け口81aの口径は、Y継手8aの両端部の受け口82aの口径よりも小径とされている。ヘッダー8の上流側の受け口82aには蓋84が着脱自在に装着されている。ヘッダー8の流入側および流出側の受け口81a,82aの口径はそれぞれ30〜75mm、100mmである。なお、ヘッダー8は灰色に着色した不透明なものである。
【0051】
ヘッダー8の分岐流入側の各受け口81aに、建物2内に設置されているトイレ21,洗面所22,洗濯機23,浴室24,台所25などの排水設備に接続されている各排水枝管51の流出側端部が接続されている。なお、トイレ21と接続されている排水枝管51は、内側基礎41に設けられた孔41aを貫通して配管されている。各排水枝管51の一部は蛇腹状あるいは螺旋状とされ、曲げ配管ができるように可撓性が付与されている。
【0052】
ヘッダー8と台所25との間は、排水枝管51がL字状に配管されて接続されており、この排水枝管51の曲がり部には90度大曲りY継手52が接着接続され、このY継手52の受け口内に栓体53が着脱自在に装着されて掃除口とされている。この栓体53の形状はY継手52内にスムーズな流路が形成されるようになされている。
【0053】
同様に、ヘッダー8と浴室24との間を接続している排水枝管51の曲がり部にも90度大曲りY継手52が接着接続され、このY継手52の受け口内に上記と同一の栓体53が着脱自在に装着されて掃除口とされている。
【0054】
このように、浴室24および台所25とヘッダー8との間を接続している両排水枝管51の曲がり部に掃除口を設けることによって、この掃除口を通じて両排水枝管51内の点検や掃除を行えるようになっている。
【0055】
そして、ヘッダー8の流出側受け口82aに、90度曲がり継手を介して、排水主管3の上流側端部が接着接続されている。その際、ヘッダー8および排水主管3は、図15に示すように、ヘッダー8の2箇所、排水主管3の上流側および下流側の2箇所の合計4箇所に配置された管枕9の凹部91にて支持され、床下の防湿コンクリート46上に、たとえば1/100の排水勾配を有して配管されている。この管枕9は上記第2実施例(参考例)のものと基本的には同一のものであり、下流側に配置されている管枕9のほうが、上流側に配置されている管枕9よりも、その底部高さ(H)が低くされている。
【0056】
また、浴室24および台所25と集水桝8との間を接続している両排水枝管51の部分にも、上記第2実施例(参考例)と同様の管枕9が配置されることで、両排水枝管51は所定の排水勾配を有して配管されている。
【0057】
そして、排水主管3の下流側端部が建物2の外周基礎4の外側地中に埋設された排水桝6の流入側受け口61と接着接続され、この排水桝6の流出側受け口62に排水主管3Aが接着接続され、この排水主管3Aの下流側端部が公共桝7の流入側受け口と接着接続され、この公共桝7を通じて建物2内の各排水設備21〜25にて生じた排水が下水道本管に排水されるようになっている。なお、排水主管3,3Aはともに口径100mmの灰色に着色した不透明な硬質塩化ビニル樹脂製のものである。
【0058】
外周基礎4の孔4aを貫通して屋外に突出されている排水主管3の下流側先端と、建物2の外周基礎4の外側地中に埋設された排水桝6の流入側受け口61との間は、上記第1実施例の図6と同様に、90度大曲りY継手34,短管35および90度エルボ継手36を介して接続されている。
【0059】
また、ヘッダー8を透明な合成樹脂製のものとすることで、ヘッダー8内の点検を外部から目視にて行うことが可能となり、ヘッダー8端部の掃除口を通じてヘッダー8内の掃除を行える。
【0060】
その際、トイレ21,洗面所22,洗濯機23,浴室24,台所25などの排水設備に接続されている各排水枝管51も透明な硬質塩化ビニル樹脂管としてもよい。また、排水主管3と各排水枝管51を不透明なものとし、ヘッダー8を透明なものとしてもよい。各排水枝管51は内面が平滑な蛇腹管や螺旋管などの可撓性管であってもよい。
【0061】
さらに、上記図15の実施例では、複数の90度大曲りY継手8aを管軸方向に接続することでヘッダー8を構成したが、図16に示すように、ヘッダーそのものを一体化したものであってもよい。その際、ヘッダーは合成樹脂製、金属製のいずれでもよい。
【0062】
図16のヘッダー8Aは、円筒状のヘッダー本体81の上側壁部に、所定の間隔をおいて、5個の流入側の接続部81aを形成し、ヘッダー本体81の一端開口を蓋体83にて閉塞することで掃除口とするとともに、他端部を流出側の受け口82aとしたものである。
【0063】
また、上記図15の実施例の場合でも、図12にて示した勾配付きの管継手9A、あるいは図14にて示した勾配付き支持板9Bを用いてヘッダー8および排水主管3に所定の排水勾配を付与するようにしてもよい。さらに、図16のようにヘッダー8Aが一体のものである場合は、ヘッダー本体81に支持脚部を設け、この支持脚部にて所定の排水勾配を付与するようにしてもよい。
【0064】
同様に、浴室24および台所25と集水桝8との間を接続している両排水枝管51の部分にも、同様の管継手9Aを配置して、両排水枝管51に所定の排水勾配を付与するようにしてもよい。その際、ヘッダー8と浴室24(あるいは台所25)との間を接続している排水枝管51の曲がり部に接続している90度大曲りY継手52そのものを勾配付きのもの、あるいは、このY継手52に代えて勾配付きのベンド継手としてもよい。
【0065】
【発明の効果】
請求項1記載の本発明の住宅用排水システムでは、建物の床下に、複数の流入側接続部と1個の流出側接続部を有するヘッダーが配置され、このヘッダーの各流入側接続部に、建物内に設置されている各種排水設備に接続されている排水枝管の流出側端部が接続されるとともに、ヘッダーの流出側接続部と接続されている排水主管の下流側端部が建物の外周基礎を貫通して屋外に突出されて建物の外周基礎の外側地中に埋設されている排水桝の流入側接続部と接続され、この排水桝の流出側接続部と接続されている排水主管の下流側端部が公共桝の流入側接続部と接続されているので、建物内の各種排水設備に接続されている排水枝管の流出側端部を、ヘッダーの各流入側接続部と接続することで、一箇所にて各種排水設備との間の配管接続を一箇所にて効率よく行える。また、建物の外周基礎に形成する挿通孔が一箇所で済み、建物の外周基礎の強度低下が生じない。
また、排水主管は建物の床下に配管されているので、掘削工事などの土工費用を削減できる。そして、排水主管が露出配管されていることで、排水主管の部分的補修を、たとえばやり取り継手などを用いて容易に行うことができる。しかも、建物の外周基礎の外側の宅地内に埋設する排水桝は一つで済むので、材料費や施工費を削減できる。さらに、従来のように、建物の外周基礎の外側の宅地内に排水主管や多数の排水桝を埋設する必要がないので、狭小な宅地であっても、宅地を有効に活用できる。
【0066】
(削除)
【0067】
(削除)
【0068】
(削除)
【0069】
また、ヘッダーの設置場所が決まることによって、配管ルートが明確になり、プレハブ配管が可能となる。その結果、配管作業者による施工差も解消できる。
【0070】
そして、ヘッダーおよび排水主管が、建物の床下面に対して所定の排水勾配を有して配管されているので、排水の流れ特性は良好である。
【0071】
また、排水枝管のうち、建物内の排水設備であるトイレと接続されている排水枝管のみが、外周基礎の内側に存在している内側基礎に設けられた挿通孔を挿通して、所定の排水勾配を有して配管されているので、排水の流れ特性は良好である。この場合、トイレと接続されている排水枝管が内側基礎に設けられた挿通孔を挿通して、所定の排水勾配を有して配管されているので、トイレ以外の建物内の排水設備(例えば洗面所、洗濯機、浴室、台所など)と接続されている排水枝管の場合のように、これらの排水枝管に所定の排水勾配を付与するために必要な管枕あるいは管継手が不要となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例(参考例)を示す模式説明図である。
【図2】図1の要部を示す横断面図である。
【図3】図1の排水主管の曲がり部を示す拡大説明図である。
【図4】図3のX−Xでの断面図である。
【図5】図2の排水主管の支持構造を示す拡大縦断面図である。
【図6】図2の要部を拡大して示す縦断面図である。
【図7】図6の変形例を示す縦断面図である。
【図8】本発明の第2実施例(参考例)の要部を示す横断面図である。
【図9】図8の集水桝を示す平面図および正面図である。
【図10】図8の排水主管の支持構造を示す拡大縦断面図である。
【図11】図10のY−Yでの拡大断面図である。
【図12】図10の変形例を示す要部説明図である。
【図13】図10の他の変形例を示す縦断面図である。
【図14】図13の傾斜板を示す斜視説明図である。
【図15】本発明の第3実施例の要部を示す横断面図である。
【図16】図12のヘッダーの変形例を示す正面図である。
【図17】従来の住宅用排水システムを示す模式説明図である。
【符号の説明】
1 宅地
2 建物
21 トイレ
22 洗面所
23 洗濯機
24 浴室
25 台所
3 排水主管
31,34 90度大曲りY継手
4 外周基礎
4a,4b,4c,4d 孔
41 内側基礎
41a 挿通孔
46 防湿コンクリート
5 排水枝管
6 排水桝
61 流入側受け口
8 集水桝(ヘッダー)
8a 90度大曲りY継手
82 流入側受け口
83 流出側受け口
8A ヘッダー
81a 流入側受け口
82a 流出側受け口
9 管枕
9A 勾配付き管継手
91A 支持脚部
9B 勾配付き支持板
Claims (1)
- 建物の床下に、複数の流入側接続部と1個の流出側接続部を有するヘッダーが配置され、このヘッダーの各流入側接続部に、建物内に設置されている各種排水設備に接続されている排水枝管の流出側端部が接続されるとともに、ヘッダーの流出側接続部と接続されている排水主管の下流側端部が建物の外周基礎を貫通して屋外に突出されて建物の外周基礎の外側地中に埋設されている排水桝の流入側接続部と接続され、この排水桝の流出側接続部と接続されている排水主管の下流側端部が公共桝の流入側接続部と接続されている住宅用排水システムであって、
前記ヘッダーおよび排水主管が、建物の床下面に対して、所定の排水勾配を有して配管され、前記排水枝管のうち、建物内の排水設備であるトイレと接続されている排水枝管のみが、外周基礎の内側に存在している内側基礎に設けられた挿通孔を挿通して、所定の排水勾配を有して配管されていることを特徴とする住宅用排水システム。
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