このような排水横管は定期的に洗浄を行うことが必要とされるが、その洗浄を行う際には、一例として、排水横管の下流側から高圧洗浄ノズルを挿入して、高圧洗浄ノズルから噴射した高圧水流により配管内の堆積物を掻き出し(除去し)ながら、その高圧洗浄ノズルを上流側に送り出す方法が採用される。
しかしながら、非特許文献1の技術では、図14に例示しているように、継手の掃除口に装着した蓋体の裏面側に凹状に窪んだ空間Sが生じてしまうこととなるので、洗浄を行う際にその掃除口の空間Sに高圧洗浄ノズルが入り込んでしまうということがあった。掃除口の空間Sに高圧洗浄ノズルが入り込んでしまうと、高圧洗浄ノズルをそこから上流側に送り出すことができなくなるので、その場合には、継手に形成された掃除口を開けるなどして、その掃除口から配管内に別の高圧洗浄ノズルを挿入して上流側を洗浄しなければならなかった。よって、その作業に手間や時間が必要となり、排水横管の維持管理性に難点が生じていた。
また、掃除口の空間Sに入り込むことがないように高圧洗浄ノズルを挿入していく作業には非常に高い技量(スキル)が求められるので、作業員ごとの技量に依存しなければならないのが現状であり、施工のより簡単化が求められていた。
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、横管用継手およびそれを用いた排水横管を提供することである。
この発明の他の目的は、排水横管の維持管理を容易に行うことができる、横管用継手およびそれを用いた排水横管を提供することである。
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用した。なお、括弧内の参照符号および補足説明などは、本発明の理解を助けるために後述する実施の形態との対応関係を示したものであって、本発明を何ら限定するものではない。
第1の発明は、建物の排水横管に接続して用いられ、所定の角度をなす流入口と流出口とを有する継手本体を備える横管用継手において、流入口から流出口までの流路から分岐しかつ継手本体における流出口と対向する位置に形成され、着脱自在な蓋体によって塞がれる掃除口を含み、蓋体の裏面側に、洗浄ノズルを継手本体内で流出口側から流入口側へ導くためのガイド部を設けたことを特徴とする、横管用継手である。
第1の発明では、横管用継手(10)は、建物の排水横管(100)に接続して用いられるものであり、継手本体(12)および蓋体(28)を備えている。継手本体には、所定の角度をなす流入口(18)と流出口(22)とが形成される。そして、流入口には、上流側から継手本体内に排水を流入させる流入管(104)が接続され、流出口には、継手本体内の排水を下流側に流出させる流出管(102)が接続される。また、継手本体には、流入口から流出口までの流路から分岐して、流出口と対向する位置に掃除口(26)が形成される。掃除口には、着脱自在に蓋体が装着され、使用時以外は塞がれている。さらに、蓋体の裏面側には、ガイド部(44)が設けられる。ガイド部は、蓋体の裏面から継手本体内側に突き出すように設けられ、排水横管の洗浄時に、洗浄ノズル(106)を継手本体内で流出口側から流入口側へ導く。たとえば、下流側の流出管から横管用継手内に挿入された洗浄ノズルは、ガイド部の先端面に衝突し、その先端面に沿って上流側、つまり流入管へ向けて移動することとなる。
第1の発明によれば、排水横管の洗浄時にガイド部によって洗浄ノズルを流出口側から流入口側へ不具合なく導くことができるので、作業員の技量に依存することなく、誰でも簡単に排水横管の洗浄作業を行うことができるようになる。したがって、排水横管の維持管理性を向上させることができる。
第2の発明は、第1の発明に従属し、ガイド部は、蓋体の裏面から継手本体内に向けて突出して設けられる支持部、および支持部の先端に設けられ、支持部の開口端を塞ぐ板部を含む。
第2の発明では、ガイド部(44)は、支持部(46)と板部(48)とによって構成される。たとえば、支持部は、合成樹脂からなる中空円筒状の短管であって、蓋体(28)の裏面から継手本体内に向けて突出するように設けられ、蓋体の裏面上に塩ビ溶接等によって接合される。また、たとえば、板部は、合成樹脂からなる円形の平板であって、支持部の先端に塩ビ溶接等により接合され、支持部の開口端を塞ぐ。
第2の発明によれば、たとえば別用途のために製造された汎用品を組み合わせてガイド部を構成して、そのガイド部を蓋体に設けるようにすれば、蓋体の製造コストを低減させることができ、延いては、横管用継手を簡単にかつ安価に製作することが可能になる。
第3の発明は、第2の発明に従属し、板部は、蓋体に対して平行になるように設けられる。
第3の発明では、ガイド部(44)の支持部(46)の先端には、板部(48)が蓋体(28)に対して平行になるように設けられる。こうすることにより、掃除口(26)に蓋体を装着する際に、蓋体の周方向に方向性が要求されないようになり、掃除口に装着した蓋体の周方向の位置に拘わらず、ガイド部が同様の効果を発揮することができるようになる。したがって、掃除口への蓋体の装着作業をより簡単に行えるようになる。
第4の発明は、第2の発明に従属し、板部は流出口側から流入口側へ傾斜するように設けられる。
第4の発明では、ガイド部(44)の支持部(46)の先端には、板部(48)が流出(22)口側から流入口(18)側へ向けて傾斜するように設けられる。こうすることにより、横管用継手(10)内に挿入された洗浄ノズル(106)をガイド部によってよりスムーズに流出口側から流入口側へ導くことが可能になる。
第5の発明は、第2または3の発明に従属し、ガイド部は、蓋体の裏面から掃除口が形成された分岐部分の基端までの所定範囲内に収まるように設けられる。
第5の発明では、掃除口(26)は、継手本体(12)において流入口(18)から流出口(22)までの流路から分岐した分岐部分(24)の先端に形成され、ガイド部(44)は、蓋体(28)の裏面から分岐部分の基端(24a)までの所定範囲内に収まるように設けられる。つまり、ガイド部は、その先端が分岐部分の基端と面一になるか、或いは、分岐部分の基端よりも継手本体の内部側に突き出さないように配置される。
第5の発明によれば、横管用継手内を流入口から流出口へと流れる排水にガイド部が干渉することを回避できるので、横管用継手の流量を確保することができ、かつ排水中のごみなどの異物がガイド部に引っ掛かって堆積等してしまうこともなくなる。
第6の発明は、第5の発明に従属し、ガイド部の先端と分岐部分の基端との間の距離が、洗浄ノズルの半径よりも小さくなるように設定される。
第6の発明では、継手本体(12)の分岐部分(24)の基端(24a)とガイド部(44)の先端との間の距離(d1)が、洗浄ノズル(106)の半径よりも小さくなるように設定される。こうすることにより、洗浄ノズルがガイド部の先端と分岐部分の基端との間に生じた高低差を乗り超えて流入口(18)側に移動し易くなるので、洗浄ノズル(106)をよりスムーズに流入口側へ導くことができるようになる。
第7の発明は、第1ないし6のいずれかの発明に従属し、継手本体が光透過性材料によって形成される。
第7の発明では、継手本体(12)が、ポリカーボネートやアクリルや透明塩化ビニルのような光透過性材料によって形成される。
第7の発明によれば、横管用継手の内部に不都合が起こった場合に、蓋体を取り外して掃除口を開けなくても、目視で継手本体の内部の状況を確認することができるようになる。
また、排水横管の内部に光を照射したときに、排水横管のうち横管用継手の部分のみを内部から光らせることができるので、床下ピット内でも横管用継手の位置を把握し易くなる。
第8の発明は、第1ないし7のいずれかの発明に従属し、継手本体の外面および蓋体の表面の少なくともいずれか一方に発光手段が設けられる。
第8の発明では、継手本体(12)の外面や蓋体(28)の天板(34)の表面には、たとえば蛍光部材や蓄光部材、または反射部材などの発光手段が設けられる。
第8の発明によれば、光を照射された横管用継手が発光手段により光るようになるので、横管用継手の位置を把握し易くなる。したがって、維持管理性をより向上させることができる。
第9の発明は、第1ないし8の発明の横管用継手を曲がり部分に用いた排水横管である。
第9の発明では、排水横管(100)は、建物の床下ピット内などに配設され、その曲り部分には、横管用継手(10)が接続されている。たとえば、横管用継手は、排水横主管(102)に排水立管(104)からの排水が流入する曲り部分や、排水横主管の配設高さが変わる曲り部分や、同じ配設高さで排水横主管の方向が変わる曲り部分などに接続される。
第9の発明によれば、排水横管の維持管理性が向上される。
この発明によれば、掃除口に装着した蓋体の裏面側にガイド部を設けるようにしたため、洗浄ノズルを継手本体内で不具合なく流出口から流入口側へ導くことが可能になり、排水横管の洗浄作業を簡単に行うことができるようになる。
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
図1を参照して、この発明の一実施例である横管用継手10は、マンション或いは戸建住宅などの建物の床下ピット内に配設された排水横管100に接続して用いられるものである。たとえば、この実施例においては、横管用継手10は、排水横主管102に排水立管104からの排水が流入する箇所(曲り部分)に用いられるが、これに限定される必要はなく、排水横主管102の配設高さが変わる曲り部分や、同じ配設高さで排水横主管102の方向が変わる曲り部分などに用いるようにしてもよい。
図2−4に示すように、横管用継手10は、塩化ビニルなどの合成樹脂からなる継手本体12を備えている。この実施例では、継手本体12は、90°大曲がりY継手であり、直管状の胴体部14と胴体部14の中央付近から外側に突き出す流入部16とを有している。
流入部16は、胴体部14から大曲がり形状に湾曲して形成され、短円筒形状の受口構造を有している。流入部16は、上流側に位置する流入管(つまり、排水立管)104の端部が接続される接続部であるとともに、その開口が上流側から継手本体12内に排水を流入させる流入口18として用いられる。流入口18の径は、たとえば200mmであり、流入部16に流入管104の管端を挿入し接着接合することによって、横管用継手10と流入管104とが接続される。
また、継手本体12には、流入部16と所定の角度をなすように流出部20が形成される。この実施例では、流出部20は、胴体部14の軸方向の一方端部であって、流入口18の軸線と直交または略直交し、短円筒形状の受口構造を有している。流出部20は、下流側に位置する流出管(つまり、排水横主管)102の端部が接続される接続部であるとともに、その開口が継手本体12内の排水を下流側に流出させる流出口22として用いられる。流出口22の径は、たとえば200mmであり、流出部20に流出管102の管端を挿入し接着接合することによって、横管用継手10と流出管102が接続される。
さらに、継手本体12には、流入口18および流出口22とは分岐して掃除口26が形成される。言い換えると、継手本体12には、流入口18から流出口22までの流路から分岐した分岐部分24が形成されており、その分岐部分24の先端開口が横管用継手10や排水横管100の維持管理のための掃除口26として用いられる。この実施例では、分岐部分24は、胴体部14の軸方向の他方端部、つまり流出口22と対向する位置に設けられ、短円筒形状の受口構造を有しており、掃除口26には、着脱自在に蓋体28が装着され、使用時以外は塞がれている。掃除口26の径は、たとえば200mmである。
具体的には、図5および図6に示すように、掃除口26(分岐部分24)には、直管状の短管30が挿入され、この短管30を介して、蓋体28が掃除口26に装着される。短管30は、水密性の接着剤などによって掃除口26に接着接合され、その内面には、ねじ部32が形成されている。
蓋体28は、掃除口26を覆う天板34を備えている。天板34は、硬質塩化ビニルなどの合成樹脂によって略円板状に形成され、その外径は、掃除口26の全体を覆うことができるように、掃除口26の径と同じかそれよりも大きく設定され、たとえば200mmである。
また、天板34の裏面、つまり継手本体12内側の面には、天板34の外周縁に沿って嵌合部36が形成される。嵌合部36は、短管状に形成され、その外面には、ねじ部38が形成されている。そして、この嵌合部36のねじ部38を、掃除口26に接着接合した短管30のねじ部32に螺合させることによって、蓋体28が掃除口26に固定される。さらに、嵌合部36の外側の所定位置には、円環状のシール部材40が設けられている。シール部材40は、スチレンブタジエンゴム(SBR)等のゴムからなり、蓋体28を掃除口26に固定した時に短管30の開口端面と当接し、短管30と蓋体28との間を水密的に閉塞(つまり、止水)する。
さらに、天板34の表面側には、把持部42が形成される。把持部42は、つまみ状に形成され、作業者がこの把持部42を掴むことによって、掃除口26に対する蓋体28の着脱が容易にされる。なお、この実施例では、継手本体12の天板34の一部を利用し、天板34に凹凸のつまみ形状を形成することによって把持部42を構成しているが、これに限定される必要はなく、別部材の把持部42を天板34の上面に接着接合等するようにしてもよい。
さらにまた、天板34の裏面側には、排水横管100などの排水管路の洗浄時に洗浄ノズル106をガイドするためのガイド部44が設けられる。
なお、ガイド部44の説明に先だって、排水管路内を洗浄する洗浄方法の概要について簡単に説明しておくと、図7に示すように、排水管路内の洗浄時には、排水管路の洗浄範囲の最下流側から高圧洗浄機の洗浄ノズル106を挿入する。一例として、洗浄ノズル106は、斜め後方に高圧水流を噴射する断面略円形の後方噴射ノズルであり、この洗浄ノズル106から噴射した高圧水流によって排水管路内の堆積物などが除去されるとともに、その噴射の反力によって洗浄ノズル106が自走、つまり排水管路の上流側に向けて推進する。洗浄ノズル106の直径は、たとえば8mm−12mmである。そして、洗浄範囲の最下流側から挿入した洗浄ノズル106を作業員の手作業(押し込み作業)および噴射による反力によって推進させて、洗浄範囲の最上流側まで到達させることによって、排水管路内の洗浄を行う。
図6に戻って、この実施例では、ガイド部44は、洗浄ノズル106を継手本体12内で流出口22側から流入口18側へ導くためのものであり、支持部46と板部48とによって構成される。
支持部46は、塩化ビニルなどの合成樹脂によって形成された中空円筒状の短管であって、蓋体28(の天板34)の裏面上かつ嵌合部36よりも内側に塩ビ溶接等によって接合される。たとえば、支持部46には、汎用の塩化ビニル管を所定の寸法に切断したものを使用することが可能である。支持部46は、蓋体28の裏面から継手本体12内に向けて突出するように設けられ、その内径は、たとえば150mmであり、その長さは、たとえば120mmである。支持部46と嵌合部36との隙間には、スポンジゴム(発泡ゴム)からなるスポンジゴム輪50が設けられ、支持部46と嵌合部36とスポンジゴム輪50とに囲まれた空間には、止水用コーキング材またはタフボンド(クボタシーアイ社製)などの接合材52が充填される。
また、板部48は、塩化ビニルなどの合成樹脂によって形成された円形の平板であって、支持部46の先端に塩ビ溶接等により接合される。板部48は、支持部46の開口端を塞ぎ、蓋体28に対して平行になるように配置される。たとえば、板部48には、汎用の塩化ビニル板を所定の寸法に切断したものを使用することが可能である。板部48の径は、たとえば190mmであり、その厚みは、たとえば5mmである。
なお、ガイド部44は、継手本体12内を流入口18から流出口22へと流れる排水に干渉することを回避できるように、分岐部分24の基端24aまでの所定範囲内に収まるようにされる。たとえば、この実施例では、分岐部分24は、上述したように、流入口18から流出口22までの流路から分岐した部分であり、この分岐部分24が流入部16と交わる部分が、分岐部分24の基端24aに該当する。したがって、ガイド部44の長さ寸法(つまり、支持部46の軸方向長さと板部48の厚みとの合計寸法)は、ガイド部44の先端が分岐部分24の基端24aと面一になるか、或いは、分岐部分24の基端24aよりも継手本体12の内部側に突き出さない所定範囲内の値に設定される。
さらに、これに加えて、図6に一点鎖線で示す分岐部分24の基端24aとガイド部44の先端つまり板部48の先端面との間の距離d1が、洗浄ノズル106の半径よりも小さくなるように設定される。たとえば、この実施例では、ガイド部44の長さ寸法は、その先端と分岐部分24の基端24aとの間の距離d1が2mm程度になるように設定されている。詳細は後に説明するが、こうすることにより、洗浄ノズル106がガイド部44の先端の板部48と分岐部分24の基端24aとの間に生じた高低差を乗り超えて流入部16側に移動し易くなる。
また、排水管路内の洗浄時に洗浄ノズル106が分岐部分24とガイド部44との隙間に入り込んでしまうことがないように、分岐部分24の基端24aの内周面とガイド部44の先端の外周縁つまり板部48の外周縁との隙間の大きさ(距離)が、洗浄ノズル106の直径よりも小さくなるように設定されており、たとえば、この実施例では、2mm程度になるように設定されている。
図8を参照して、このような横管用継手10を曲り部分に接続した排水横管100内を、上述した洗浄方法によって洗浄するときには、図8(a)に示すように、作業員の手作業(押し込み作業)および噴射による反力によって下流側の流出管102から横管用継手10内に挿入した洗浄ノズル106を、そのまま進行方法に直進させ、ガイド部44の板部48に衝突させる。すると、図8(b)に示すように、洗浄ノズル106は、その水流の推進力により板部48に接触したまま、板部48に沿って移動(滑動)することとなる。そして、板部48の側方においては、流入部16の方向以外に進むことができないので、板部48に沿って移動している洗浄ノズル106は、進行可能な唯一の経路である流入部16の方向へ自然に移動し、図8(c)に示すように、流入部16の中を上流側、つまり流入管104へ向けて推進する。
このように、この実施例によれば、掃除口26に装着した蓋体28の裏面側にガイド部44を設けるようにしたため、排水横管100などの洗浄時に横管用継手10内に挿入された洗浄ノズル106を、ガイド部44によって継手本体12内で流出口22側から流入口18側へ導くことが可能になる。このため、図14に示す管継手のように掃除口の分岐部分に生じた空間Sに洗浄ノズル106が入り込んでしまい、それよりも上流側に推進することができなくなるなどの不具合がなくなり、流出口22側から流入口18側へと洗浄ノズル106をスムーズに導くことができるようになるので、作業員の技量に依存することなく、誰でも簡単に排水横管100の洗浄作業を行うことができる。したがって、排水横管10の維持管理性を向上させることができる。
また、この実施例では、ガイド部44が、塩化ビニル管などを使用した支持部46と、塩化ビニル板などを使用した板部48とによって構成される。すなわち、別用途のために製造された従来品(汎用品)を組み合わせ、それを塩ビ溶接等により蓋体28に接合することで、蓋体28にガイド部44を設けることが可能である。このように、ガイド部44が一体的に設けられた蓋体28を専用品として製作するのではなく、従来品のみを用いてガイド部44を製造するようにすれば、新たな金型などを製作する必要がなくなる等、蓋体28の製造コストを低減させることができ、延いては、横管用継手10を簡単にかつ安価に製作することが可能になる。
しかも、蓋体28に対してガイド部44を後付けすることも可能であるので、既に排水横管の曲り部などに使用されている横管用継手の掃除口の蓋体に対して塩ビ溶接等によりガイド部44を設けることによっても、本実施例と同様の効果を奏する横管用継手を製作することが可能になる。すなわち、既設の横管用継手に対してガイド部44を適用することによっても、本実施例の横管用継手10を製作することが可能である。
さらに、この実施例では、ガイド部44の板部48を蓋体28に対して平行に設けるようにしているので、継手本体12の掃除口26に蓋体28を装着する際に、蓋体28の周方向に方向性が要求されることがない。つまり、たとえばガイド部44の板部48が蓋体28に対して平行に設けられていなければ、蓋体28を掃除口26に装着する際に、蓋体28の周方向に正確な方向性が要求されるので、短管30のねじ部32と蓋体26(の嵌合部36)のねじ部38とを螺合させるときに少しでも螺合量が違ってしまうと、ガイド部44がその機能を果たさなくなってしまう可能性があるが、この実施例のように、ガイド部44の板部48を蓋体28に対して平行に設けるようにすることで、継手本体12の掃除口26に装着した蓋体28の周方向の位置に拘わらず、ガイド部44が同様の効果を発揮することが可能である。したがって、この実施例によれば、掃除口26への蓋体28の装着作業をより簡単に行えるようになる。
さらにまた、この実施例では、ガイド部44が、掃除口26が形成された分岐部分24の基端24までの所定範囲内に収まるように設けられ、ガイド部44の先端が分岐部分24の基端24aと面一になるか、或いは、分岐部分24の基端24aよりも継手本体12内側に突き出さないようにされる。このため、横管用継手10内を流入口22から流出口18へと流れる排水にガイド部44が干渉することを回避できるので、横管用継手10の流量を確保することができるとともに、排水中のごみなどの異物がガイド部44に引っ掛かって堆積等してしまうことがない。
その上、この実施例では、ガイド部44の長さ寸法を、ガイド部44の先端と分岐部分24の基端24aとの間の距離d1が洗浄ノズル106の半径よりも小さくなるように設定している。
ここで、ガイド部44をその先端が分岐部分24の基端24aよりも窪むように配置すると、ガイド部44の先端の板部48と分岐部分24の基端24aとの間に高低差が生じてしまうが、この実施例のように、ガイド部44の先端と分岐部分24の基端24aとの間の距離d1を洗浄ノズル106の半径よりも小さくなるようにすることにより、排水管路の洗浄時にガイド部44の先端の板部48の面上を動く洗浄ノズル106が、板部48と分岐部分24の基端24aとの間に形成された高低差を乗り超えて上流側、つまり流入部18側に移動し易くなる。したがって、この実施例によれば、よりスムーズに洗浄ノズル106を流出口22側から流入口18側へ導くことができるようになる。
なお、上述の実施例では、支持部46と板部48とによってガイド部44を構成し、そのガイド部44を塩ビ溶接等により蓋体28に接合するようにしたが、これに限定される必要はなく、蓋体28とガイド部44とを一体的に製造するようにしてもよい。
さらに、必ずしもガイド部44を支持部46と板部48とによって構成する必要もなく、ガイド部44は、蓋体28の裏面から継手本体12内に向けて突出し、掃除口26が形成された分岐部分24に生じた空間に洗浄ノズル106が入り込んでしまうことを防止できるのであれば、その形状・素材は特に限定されるものではない。
また、上述の実施例では、ガイド部44の板部48を蓋体28に対して平行に設けるようにしたが、これに限定される必要はない。ただし、この場合には、短管30のねじ部32と蓋体28(の嵌合部36)のねじ部38とを螺合させることによって蓋体28を掃除口26に固定するのではなく、蓋体28を掃除口26に固定した時に蓋体26の周方向の位置も固定化されるバヨネット接合などの接合方法を採用すると好適である。こうすることにより、蓋体26の周方向の位置に拘わらず、ガイド部44が同様の効果を発揮することができるようになる。
さらに、ガイド部44の板部48を、流出口22側から流入口18側へ傾斜するように形成してもよい。
一例を挙げると、図9に示すように、ガイド部44の支持部46の先端の開口端面を流出口22側から流入口18側へ向けて傾斜するように形成し、そこに流出口22側から流入口18側へ向けて傾斜する湾曲板状に形成した板部48を設ける。こうすることにより、横管用継手10内に挿入された洗浄ノズル106をガイド部44によってよりスムーズに流出口22側から流入口18側へ導くことが可能になる。なお、図8の実施例においては、ガイド部44が、分岐部分24の基端24aよりも継手本体12内側に突き出しているものの、流入口18から流出口22までの流路には干渉していないので、横管用継手10の流量を確保することができ、かつ排水中のごみなどの異物がガイド部44に引っ掛かって堆積等してしまうことがない。また、必ずしも板部48を湾曲板状に形成する必要はなく、平板状に形成した板部48を流出口22側から流入口18側へ向けて傾斜するように設けてもよい。
さらにまた、上述の実施例では、横管用継手10の継手本体12として90°大曲がりY継手を適用したが、これに限定される必要はなく、所定の角度をなす流入口18と流出口22とを有しかつそれらとは分岐して掃除口26が形成された継手本体12を備えていれば、横管用継手10の形状は特に限定されるものではない。
一例として、図10に示すこの発明の他の一実施例である横管用継手10の継手本体12は、塩化ビニルなどの合成樹脂からなる45°Y継手であり、直管状の胴体部14と胴体部14の中央付近から外側に突き出す流入部16とを有している。以下、図1の実施例における横管用継手10と同様である部分に関しては、詳細な説明は省略する。
図10および図11に示すように、流入部16は、胴体部14の軸線に対して45°の角度で交わるように形成され、その先端開口が上流側から継手本体12内に排水を流入させる流入口18として用いられる。また、流出部20は、胴体部14の軸方向の一方端部であって、流入口18と所定の鈍角をなすように、つまりの流入口18の軸線に対して135°の角度で交わるようにされ、その先端開口が継手本体12内の排水を下流側に流出させる流出口22として用いられる。さらに、継手本体12には、流入口18から流出口22までの流路から分岐しかつ流出口22と対向する位置に分岐部分24が形成される。つまり、分岐部分24は、胴体部14の軸方向の他方端部であって、その分岐部分24の先端開口が掃除口26として用いられる。掃除口26には、図1の実施例と同じ蓋体28が装着されている。
また、図12に示すように、蓋体28の裏面側には、排水管路の洗浄時に洗浄ノズル106を継手本体12内で流出口22側から流入口18側へ導くためのガイド部44が設けられている。そして、この横管用継手10においても、ガイド部44は、分岐部分24の基端24aまでの所定範囲内に収まるように配置されている。さらに、図12に一点鎖線で示す分岐部分24の基端24aとガイド部44の先端つまり板部48の先端面との間の距離d2は、洗浄ノズル106の半径よりも小さくなるように設定され、たとえば2mm程度である。
図10の実施例においても、図1の実施例と同じように、掃除口26に装着した蓋体28の裏面側にガイド部44を設けるようにしているので、流出口22側から流入口18側へと洗浄ノズル106を不具合なくスムーズに導くことが可能である。したがって、排水横管10の維持管理性を向上させることができる。
また、図1の実施例の横管用継手10および図10の実施例の横管用継手10のように、継手本体12の形状が異なる横管用継手10どうしであっても、ガイド部44を分岐部分24の基端24aまでの所定範囲内に収まるように配置することができるのであれば、共通の蓋体28を利用することが可能である。同径の掃除口が形成された複数種類の横管用継手どうしで、分岐部分の寸法が一番大きい横管用継手に対応させて蓋体を製作するようにすれば、その蓋体を他の横管用継手にも共通で利用することが可能である。このようにすれば、蓋体を大量生産するのに好都合であり、蓋体の製造コストを抑えることができるようになる。
さらにまた、上述の実施例ではいずれも、斜め後方に高圧水流を噴射する後方噴射型の洗浄ノズル106をガイド部44によって流出口22側から流入口18側へと導いたが、洗浄ノズル106は必ずしも後方噴射型のものでなくてもよい。たとえば、前方に高圧水流を噴射する洗浄ノズルであれば、作業員が手作業で洗浄ノズルを挿入する際に、ただ単純に洗浄ノズルを進行方向に押し込んで直進させるだけの作業で、横管用継手10内を洗浄ノズルが不具合なく上流側に推進させることができるようになる。
さらに、図示は省略するが、横管用継手10の継手本体12の外面や蓋体28の天板34の表面に対し、発光手段を設けるようにしてもよい。
たとえば、発光手段は、蛍光部材や蓄光部材、または反射部材などであり、一例として、反射材を利用したテープや反射板などを継手本体12の外面や蓋体28の天板34の表面に貼り付けるようにしてもよいし、継手本体12の外面や蓋体28の天板34の表面に蛍光材、蓄光材からなる塗料を塗布するようにしてもよいし、蛍光材、蓄光材を利用したテープを継手本体12の外面や蓋体28の天板34の表面に貼り付けるようにしてもよい。
なお、建物の床下ピット内は薄暗いので、作業者は懐中電灯などで照らしながら維持管理・点検を行う必要があるが、点検対象である横管用継手10に発光手段を設けることにより、懐中電灯の光が照射された横管用継手10が光るようになるので、横管用継手10の位置を把握し易くなる。したがって、維持管理性をより向上させることができる。
さらにまた、継手本体12の材料として、ポリカーボネートやアクリルや透明塩化ビニルのような光透過性材料(透明樹脂)を採用するようにしてもよい。こうすることにより、横管用継手10の内部に不都合が起こった場合に、蓋体28を取り外して掃除口26を開けなくても、目視で継手本体12の内部の状況を確認することができるようになるので、メンテナンスなどの際にも、有効な手段を講じやすくなる。また、排水横管100内に光源を設置したり、懐中電灯の光を排水横管100の内部に対して照射するようにすれば、排水横管100のうち横管用継手10の部分のみを内部から光らせることができるので、床下ピット内でも横管用継手10の位置を把握し易くなる。したがって、維持管理性をより向上させることができる。
また、上述した径や高さ等の具体的数値は、いずれも単なる一例であり、製品の仕様などの必要に応じて適宜変更可能である。