JP4501007B2 - 光干渉断層装置 - Google Patents
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Description
光干渉断層装置は、網膜等の被検査物に光を照射し、被検査物から反射される反射光を検出することで被検査物の断層像を取得する。光干渉断層装置は、通常、被検査物に光を照射するための光源を備える。光源からの光は、ビームスプリッターによって二分され、一方は反射鏡に照射され、他方は被検査物に照射される。被検査物に入射した光は、被検査物内で吸収、反射、散乱され、残りが透過光となって深層に進んでゆく。網膜等の被検査物は複数の層で構成され、各層で組織密度や組織配列が異なる。このため、各層での散乱、反射の程度も異なり、またそれぞれの層の境界で強い反射、散乱が生じる。したがって、被検査物から反射される光には各層(層内及びその境界)で反射された反射光が含まれる。各層で反射される反射光は、その強度が各層固有の強度となり、また、各層の深度によって時間差が生じる。光検出器は、各層で反射された反射光の強度と時間差を検出する。具体的には、被検査物から反射された反射光と、反射鏡で反射された光(基準光)を干渉させ、その干渉波を光検出器に入射させる。光検出器は入射する干渉波を電気信号に変換する。光検出器によって変換された電気信号は、コンピュータによって映像化され、その映像は表示装置等に表示される。
被検査物を構成する各層の厚みは、被検査物の状態を定量的に把握するための指標として有用である。例えば、被検査物が網膜である場合、網膜の厚みは網膜浮腫(黄斑浮腫)による網膜厚の増減を診断する際に有用であり、また、網膜神経線維層の厚みは緑内障の進行の程度を診断する際に有用となる。
このため、従来の光干渉断層装置は、被検査物の表面で光を走査することで得られる2次元断層像から、各走査位置における各層の厚みを算出し、各層の厚みと位置の関係をグラフとして表示する機能を装備している。図26は従来の光干渉断層装置によって表示される「位置−厚み」グラフを模式的に示している。図26に示すように、従来の「位置−厚み」グラフは、走査位置を横軸で表示し、その厚みを縦軸にプロットしている。
一方、被検査物の表面で光を走査する方法には種々の方法があり、被検査物の状態を把握するためには直線状の走査方法以外の方法が有効な場合がある。例えば、前述した緑内障の診断・病状の把握・治療効果の判定には、視神経乳頭の周囲をリング状に走査し、視神経乳頭周囲の神経線維層の厚みを測定することが有効である。しかしながら、従来の光干渉断層装置では、被検査物をリング状に走査したときでも、「位置−厚み」グラフが図26に示すように直線状に表示される。このため、被検査物のどの部位で層厚が厚く(又は薄く)なっているのかを直感的に把握することが困難であるという問題があった。
このような問題は、光干渉断層装置に固有の問題ではなく、上述した神経線維層の厚みを計測する装置(例えば、GDxVCC(カール・ツァイス・メディテック社製),HRT(ハイデルベルグ社製))においても問題となっている。
この光干渉断層装置は、(1)被検査物の2次元又は3次元断層情報に基づいて、被検査物を構成する少なくとも1つの層について、被検査物上に設定された設定ライン上の各位置における層厚を算出し、(2)設定ライン上の位置を表す軸線を設定ラインの形状と相似する形状で表示すると共に、算出された層厚を前記軸線からその法線方向に所定のスケールでプロットした「位置−層厚」の関係を示すグラフを出力する演算装置(例えば、プロセッサ,コンピュータ等)をさらに備える。
ここで、上記「相似する」は、設定ラインと軸線が完全に相似する場合の他、軸線上の位置から設定ライン上の概略の位置を直感的に把握できる程度に近似している場合をも含む意味で用いている。従って、円状に設定ラインを設定した場合に軸線を楕円状に表示することも、上記「相似する」に相当する。
なお、この装置では、オペレータがポインティングデバイス(例えば、マウス等)を操作して設定ラインを設定するようにしてもよい。そして、オペレータによって設定ラインが設定された後に、その設定ラインに沿って光を走査し、これによって得られる二次元断層情報に基づいて「位置−層厚」グラフを出力することができる(すなわち、設定ラインと走査ラインが同一となる)。あるいは、予め面状に光を走査することで3次元断層情報を取得しておき、その後に、光を走査した領域内に設定ラインを設定するようにしてもよい(例えば、オペレータがマウス等によって希望する形状にラインを設定する。)。
なお、表示手段に表示する被検査物の撮影像上には、さらに、設定ラインを表示するようにしてもよい。例えば、リング状に設定ラインを設定した場合は、撮影像上に設定ラインが表示され、さらに、その設定ラインと同心となるように位置を表す軸線(リング)が表示される。設定ラインを被検査物の撮影像上に表示することで、より直感的に層厚の状態を把握することができる。
また、表示手段は、基準値を種々の態様で表示することができる。例えば、表示手段は、被検査物の「位置−層厚」グラフと、「位置−層厚の平均値」のグラフ又は「位置−層厚の正常値」のグラフとを併せて表示することができる。基準値を、被検査物の「位置−層厚」グラフと同一形式で表示するため、被検査物のどの部分が異常であるかを容易に判断することができる。
したがって、光干渉断層装置は、被検査物の2次元又は3次元断層情報に基づいて、設定ラインに沿った断面の2次元断層像を表示する第2表示手段(例えば、ディスプレイ)と、第2表示手段に表示される画像中の任意の点を指定する手段(例えば、マウス等)と、指定された点を結ぶ仮想線を設定する手段(例えば、プロセッサ等の演算装置)をさらに備えることが好ましい。かかる構成によると、2次元断層像から各層の境界が明瞭に判定できないときでも、医師等が第2表示手段に表示される2次元断層像を見ながら指定手段を操作して、各層の境界と思われる点を複数指定する。境界上の点が指定されると、設定手段が仮想線(境界線)を設定し、これによって、各層の境界線を設定することができる。
この場合、さらに、演算装置(プロセッサ、コンピュータ等)が、設定手段で設定された複数の仮想線のうち隣接する仮想線間の距離から各層の厚みを算出することが好ましい。これによって、各層の境界を明瞭に判定できないときでも、各層の厚みを算出することができる。
図1に示すように光干渉断層装置10(すなわち、OCT)は、被検眼Aを検査するための光学機器12と、光学機器12を制御すると共に、光学機器12によって得られた検査データを解析・処理するコンピュータ14を備えている。
眼底モニター光学系は、モニター用CCD32、照明用光源34、ハーフミラー30、ダイクロックミラー26(可視光反射/赤外光透過)、対物レンズ28等を備える。モニター用CCD32は、被検眼Aの眼底を撮像するCCDである。照明用光源34は、被検眼Aを照明する可視光光源である。照明用光源34より出射する光(可視光)はハーフミラー30及びダイクロックミラー26で反射され、対物レンズ28を介して被検眼Aを照明する。被検眼Aで反射された光(可視光)は、対物レンズ28を介してダイクロックミラー26で反射され、モニター用CCD32によって検知される。モニター用CCD32によって得られた被検眼Aの映像はコンピュータ14に送られ、モニター18に映し出される。
光ファイバー31へ導かれた光は、プローブ38を介して被検眼Aに照射される。プローブ38は、被検眼Aに対してX軸及びY軸方向(上下左右方向)に移動可能となっている。これによって、被検眼Aへの光の照射位置をX軸及びY軸方向に走査(上下左右方向に変化)させることができる。被検眼Aから反射された光は、再び光ファイバー31によって光ファイバー連結装置36に導かれる。
一方、光ファイバー46に導かれた光は、レンズ40を介して反射鏡42に照射される。反射鏡42は図の矢印の方向に進退動可能となっている。反射鏡42が図の矢印の方向に進退動すると、反射鏡42と光ファイバー連結装置36との距離(光路長)が変化する。反射鏡42で反射された光は、再び光ファイバー46によって光ファイバー連結装置36に導かれる。
光ファイバー31によって導かれた光と光ファイバー46によって導かれた光は、光ファイバー連結装置36内で干渉波となる。この干渉波は光ファイバー45によって光検出器34に導かれる。光検出器34は、光ファイバー45によって導かれた干渉波の強度を検出する。光検出器34で検出された光強度は、コンピュータ14に送られる。
既に説明したように、反射鏡42とビームスプリッター37との距離(反射基準光の光路長)は、反射鏡42の位置を変えることで変化する。被検眼Aの各層で反射される反射光も、被検眼Aのどの位置(深さ)で反射されたかによって、その光路長が変化している。従って、反射鏡42の位置を変化させることで反射基準光の光路長を変化させると、光検出器45で検出される干渉波も変化する。光の干渉現象が網膜の深さ方向のどの位置で反射された反射波によるものであるのかが変化するためである。従って、反射鏡42の位置を変えることで(走査することで)、網膜の深さ方向(Z軸方向)に関する反射強度分布(断層情報)を得ることができる。
また、プローブ38をX軸及び/又はY軸方向に移動することで、被検眼Aに照射される光の位置を変えることができる。このため、測定光学系24は、被検眼Aの網膜の2次元及び/又は3次元断層情報を得ることができる。
コンピュータ14には、その他、入力部16、モニター18及びデータ記憶部20等が接続されている。入力部16はマウス等のポインティングデバイスやキーボードから構成される。検査者は入力部16を操作して、被検眼Aのどの部分に光を走査するかを指定することができる。モニター18は、モニター用CCD32で取得された映像や、測定光学系24で取得された網膜断層情報を画像化した網膜断層像等を表示する。データ記憶部20には、測定光学系24で取得された網膜断層情報等が記憶される。
図4に示すように、まず、検査者は入力部16を操作して、被検者のIDを入力する(S10)。被検者のIDを入力すると、検査者は光学機器12と被検眼Aとの位置調整を行う(S12)。例えば、モニター18には、モニター用CCD32によって撮影された被検眼Aの映像と、位置合わせ用の指標光が表示されている。検査者はモニター18に表示される被検眼Aの映像を見ながらジョイステック(図示省略)を操作し、被検眼Aの所望の位置に指標光が表示されるよう光学機器12の位置調整を行う。同時に、被検眼Aの眼底が鮮明に表示されるよう光学機器12の調整を行う。
次いで、コンピュータ14は照射光の走査が終了したか否か(すなわち、照射光を走査終了位置まで走査したか否か)を判定する(S20)。照射光の走査が終了していない場合(ステップS20でNO)は、プローブ38を移動して照射位置を変更し(S22)、ステップS16からの処理を繰り返す。
照射光の走査が終了している場合(ステップS20でYES)は、コンピュータ14は被検眼Aの眼底写真を撮影する(S23)。具体的には、モニター用CCD32で取得される画像データをコンピュータ14内のメモリに格納する。
次いで、ステップS18を繰返すことで得られた光干渉断層情報(2次元の断層情報)と、ステップS23で撮影した眼底写真を、被検者のIDと関連付けてデータ記憶部20に格納する(S24)。
図5に示すように、まず、検査者(医師等)はグラフ化対象となっている被検者(患者)のIDを入力部16より入力する(S26)。次いで、検査者は入力部16を操作して、グラフ化する光干渉断層情報を選択する(S28)。すなわち、データ記憶部20には、同一被検者に係る複数の光干渉断層情報が格納されている。例えば、検査日時が異なる光干渉断層情報や、走査部位(例えば、視神経乳頭部又は黄斑部)や走査方法(例えば、直線状又は円形)が異なる光干渉断層情報などの複数の光干渉断層情報が格納されている。ステップS28では、それらの中からグラフ化する光干渉断層情報を選択する。
既に説明したように、被検眼Aの網膜に入射した光は層と層の境界で強く反射される。従って、層と層の境界では干渉波の光強度もピーク的に大きくなる。このため、図6に示すような光干渉断層情報が得られれば、その光強度がピーク的に変化する位置を、層と層の境界であると特定することができる。具体的な判断手法としては、例えば、光強度の微分値を算出し、その微分値が予め設定された設定値(正の値)より大きくなるときに、その位置を層と層の境界であると決定することができる。層と層の境界が特定できると、その差を算出することで各層の層厚を算出することができる(図中、T1,T2等)。
なお、算出された層厚がどの層の層厚であるかは、網膜の構造が既知であるため、検査者は容易に判断することができる。例えば、1番目に算出された層厚は、網膜神経線維層と判断することができる。
また、各層の層厚の算出には、既販の光干渉断層装置に搭載されているプログラムを利用することができる。例えば、公知の光干渉断層装置(カール・ツァイス・メディテック社製)には、測定された光干渉断層情報に基づいて各層の厚みを数字として出力する機能(プログラム)が搭載されている。このプログラムを利用することで各層の層厚を得ることができる。
あるいは、検査者(医師等)がマニュアルで各層の境界面を指定し、その指定に基づいて各層の層厚を算出することもできる。例えば、コンピュータ14は測定された光干渉断層情報を映像化し、その断層像をモニター18に表示する。検査者はマウス等を操作してモニター18内のポインタを移動し、表示される断層像中に各層の境界を指定する。各層の境界が指定されると、コンピュータ14は指定された各層の境界の位置座標から各層のピクセル数を算出し、その算出されたピクセル数を実際の層厚に換算する。
なお、上述した各層の層厚の算出は、光干渉断層装置10のコンピュータ14で行う必要は必ずしもない。例えば、コンピュータ14から別のコンピュータに断層像(画像)を出力し、別のコンピュータで各層の層厚の算出を行うことができる。同様に、以下に説明するステップS32以降の処理も別のコンピュータで行うことができる。
なお、このようなグラフを表示するためには、市販されている種々のソフトを用いることができる。例えば、2次元数値データ群[走査ステップ毎の(位置,層厚)の2次元データ]を入力し、その入力された2次元数値データ群をグラフに変換するグラフ化ソフトを用いることができる。あるいは、ソフト作成ソフト(例えば、Microsoft(登録商標) visual studio)を利用して独自にグラフ化ソフトを作成してもよい。このようなグラフ化ソフト又は独自作成ソフトには、別途撮影した画像をオーバラップして表示するための機能を備えることが好ましい。図9に示すように、「位置−層厚」グラフに別途撮影した眼底写真をオーバラップして表示することができるためである(図9については、後で詳述する)。
図8にはモニター18に表示されるグラフが模式的に示されている。図8中、視神経乳頭等の眼底を模式的に表示する線は2点鎖線で表示されており、走査線は点線で表示されている。また、層厚は網膜神経線維層の厚みだけが表示されている。なお、層厚は走査線上の一部の点についてのみ表示している。
図8に示すように、走査線の位置を表す軸線は走査線と同心の円として表示されている。軸線には、適宜の走査角度(例えば、30°,60°等)に、円の中心から放射状に伸びる補助線が描かれている。また、軸線の外側には、軸線と同心の2つの円が目盛として描かれている。図8の例では、内側の円が層厚100μmを表しており、外側の円が層厚200μmを表している。各走査位置における層厚は、軸線から外側(その法線方向)にプロットされており、隣接する点同士が直線で結ばれている。
また、本実施形態では層厚を定量的に評価するための100μm,200μmといった目盛が描かれているため、治療効果の判定や、病状の進行の程度を的確に判断することができる。
また、入力部16を操作してモニター18に表示する層を選択できるようにしてもよい。病気によって層厚が変化する層が異なるからである。例えば、緑内障では神経線維層の層厚が変化し、網膜色素変性症では外顆粒層の層厚が変化する。検査者(医師)は被検者の症状等に応じてモニター18に表示する層を選択し、被検者の病気を診断することができる。
なお、特定の種類の層(例えば、網膜神経線維層)のみをグラフ表示する場合は、図5のステップS30において、該当する層についてのみ層厚を算出するようにしてもよい。
さらに、図12に示すように、検査によって得られた層厚と、層厚の正常上限値(例えば、正常眼の平均値の+10%)と正常下限値(例えば、正常眼の平均値の−10%)を併せて表示するようにしてもよい。このような構成によると、測定によって得られた層厚が正常範囲に属するのか否かを一目で判断することができる。また、図12に示すように、走査線上の各位置における正常上限値と正常下限値を表示すれば、測定された層厚のどの部分が正常で、どの部分が異常であるかを、容易に判断することができる。
さらに、上述した各グラフは別途設けたプリンタ等によって印刷(出力)するようにしてもよい。また、被検眼に設定する走査線は任意の形状とすることができ、例えば、円弧、合成円等とすることもできる。さらに、上述した各グラフの目盛を省略して描くこともできる。
例えば、図9に示すように、モニター用CCD32で撮影された眼底画像に「位置−層厚」グラフを重ね合わせて表示するようにしてもよい。この場合は、眼底画像上に走査線を併せて描くことが好ましい。このような構成によると、走査線と眼底画像との位置関係が一目で分かり、かつ、走査線と軸線が同心であるため、走査線のどの位置(眼底のどの位置)がどのような層厚になっているかを、より直感的に把握することができる。
そして、図15に示すように、その走査領域内に別途ラインを設定し、その設定ライン上の位置と層厚の関係を取得するようにしてもよい。設定ライン上の位置と層厚の関係は、図16に示すように位置を横軸として表示し、層厚を縦軸として表示することができるし(従来の方式)、あるいは、図17に示すように、位置を表す軸線を設定ラインと相似する形状(すなわち、リング状)とし、その軸線から法線方向に層厚をプロットするようにしてもよい。
あるいは、図18に示すように、視神経乳頭から両側に放射状に伸びる複数本の走査線を設定し、得られた断層情報から視神経乳頭周りの各層の厚みの分布を簡易に検査することもできる。例えば、まず、各走査線について得られた断層情報に基づいて、視神経乳頭から等距離の位置におけるグラフ化したい層の層厚を算出する。これによって、走査線の位置に応じた層厚が判明する。
次に、図19に示すように、位置を表す軸線を視神経乳頭の周囲にリング状に表示すると共にその軸線から法線方向に層厚をプロットし、プロットした点を連結した直線にスムージング処理を施す。このようにしても、視神経乳頭周りの層厚の概略の傾向を把握することができる。なお、図18に示す6本の走査線の上の光の走査は、どちらの方向に行ってもよい。
図20に示すように、コンピュータ14は、まず、測定光学系24で測定された光干渉断層情報を映像化し、その光干渉断層画像をモニター18に表示する(S36)。次に、検査者(医師等)は、入力部16(マウス等)を操作して、モニター18に表示される光干渉断層画像中の境界と思われる点を指定する(S38)。検査者が解剖学的な知識を有している場合、各層の境界が不明瞭な状態(例えば、各層の境界が不連続にしか判別できない状態)あっても、境界が判別できる部位において各層の境界を指定することができるためである。
光干渉断層画像中に複数の点が指定されると、コンピュータ14は、その指定された複数の点を直線で接続し(S40)、次いで、その直線にスムージング処理を施して曲線とする(S42)。これにより、指定された各点が接続され、仮の境界線が設定される。図21は光干渉断層画像中に指定された複数の点を直線で接続した状態を示しており、図22は複数の点を接続する直線にスムージング処理を施した状態を示している。
次に、検査者は入力部16を操作して、上述した手順で設定された境界線を確定するか否かを入力する(S44)。検査者が設定された境界線を確定しない場合(ステップS44でNO)、ステップS38に戻って、ステップS38からの処理を繰り返す。このため、検査者は、適切な境界線が設定されるよう、さらに多くの点を指定することとなる。
一方、設定された境界線を確定する場合(ステップS44でYES)、設定された境界線を最終的な境界線として確定し(S46)、次いで、必要な境界線を全て設定したか否かを判断する(S48)。全ての必要な境界線を設定していない場合(ステップS48でNO)、ステップS38に戻って、ステップS38からの処理を繰り返す。これによって、必要な全ての層の境界に境界線が設定される。全ての層に境界線を設定している場合(ステップS48でYES)、コンピュータ14は設定された境界線の間隔から各層の層厚を算出する(S50)。すなわち、コンピュータ14は、隣接する各層の境界線の位置座標から各層のピクセル数を算出し、その算出されたピクセル数を実際の層厚に換算する。各層の層厚が算出されると、コンピュータ14は、「位置−層厚」グラフをモニター18に表示する(S52)。
このような構成によると、測定光学系24で得られた光干渉断層画像の各層の境界が不明瞭であっても、検査者が各層の境界を複数指定することによって各層の厚みを算出することができる。なお、上述した形態と異なり、検査者が入力部16を操作して、各層の境界線を直接引くような形態で実施することもできる。
上述した方法によって網膜の各層の厚みをマッピングできると、網膜神経線維層以外の層であって、網膜の特定の層だけが強く障害をうけるような疾患の診断に役立てることができる。また、この方法によると、網膜だけでなく、網膜よりも強膜側にある脈絡膜、脈絡膜毛細血管板等の厚みのマッピング、また、角膜の各層のマッピング、さらには後部硝子体剥離や網膜剥離の範囲を示すマッピングも可能となる。なお、網膜を構成する各層から複数の層を選択し、それらの層の厚みの合計をマッピングすることもできる。例えば、同時に変化すると思われる外顆粒層と視細胞外節と視細胞内節の各層の厚みの合計をマッピングすることができる。これによって、関連する複数の層を総合的に判断することができる。
さらには、上述したように検査者の手動によって境界線を確定する手法を用いると、被検眼に病変が存在するときや、白内障などで網膜の輝度が低いときや、あるいは硝子体混濁が画面上に写っているとき等の場合であっても、網膜の厚みの計測や、網膜を構成する各層の厚みをマッピングすることが可能となる。すなわち、手動で境界線を特定するため、上述のような場合であっても正しく境界線を引くことができるためである。
また、本発明の技術は光干渉断層装置に限られず、被検眼を透過した偏向光の位相変化を計測することで網膜の神経線維層の厚みを測定する装置(例えば、GDxVCC(カール・ツァイス・メディテック社製)や、レーザ光で網膜をスキャニングして網膜からの反射光を計測することで網膜の3次元構造を測定する装置(例えば、HRT(ハイデルベルグ社製))等にも適用することができる。
Claims (12)
- 1又は複数の層から構成される被検査物に光を照射し、被検査物の各層で反射される反射光と基準光とを干渉させ、その干渉光の強度を検出することで被検査物の深さ方向の1次元断層情報を取得する光干渉断層計と、
光干渉断層計による照射光を被検査物の表面でライン状又は面状に走査することで取得される被検査物の2次元又は3次元断層情報に基づいて、被検査物を構成する少なくとも1つの層について、被検査物の表面に設定された設定ライン上の各位置における層厚を算出する手段と、
設定ライン上の位置を表す軸線を設定ラインの形状と相似する形状で表示し、算出された層厚を前記軸線からその法線方向に所定のスケールでプロットした「位置−層厚」の関係を示すグラフを出力する手段と、を備えることを特徴とする光干渉断層装置。 - 前記グラフ出力手段によって出力される「位置−層厚」グラフを表示する手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の光干渉断層装置。
- 被検査物を撮影する手段をさらに有し、前記表示手段は、撮影手段によって撮影された被検査物の撮影像を表示すると共に、その表示された撮影像上に前記「位置−層厚」グラフを重ね合わせて表示することを特徴とする請求項2に記載の光干渉断層装置。
- 被検査物の2次元又は3次元断層情報を、その取得した日時と共に当該被検査物を識別するための識別情報と関連付けて記憶する手段をさらに備え、前記表示手段は、記憶手段に記憶されている2次元又は3次元断層情報が複数ある場合は、それら2次元又は3次元断層情報から得られる複数の「位置−層厚」グラフのうち取得日時の異なる少なくとも2つのグラフを併せて表示することを特徴とする請求項2に記載の光干渉断層装置。
- 前記表示手段は、「位置−層厚」の関係が正常であるか否かを判断するための基準値と前記「位置−層厚」グラフとを併せて表示することを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の光干渉断層装置。
- 前記の正常であるか否かを判断するための基準値は、複数の被検査物に対して取得した「位置−層厚」の関係を統計的に処理した「位置−層厚の平均値」又は「位置−層厚の正常値」であることを特徴とする請求項5に記載の光干渉断層装置。
- 前記表示手段は、被検査物の「位置−層厚」グラフと、「位置−層厚の平均値」のグラフ又は「位置−層厚の正常値」のグラフとを併せて表示することを特徴とする請求項6に記載の光干渉断層装置。
- 前記算出手段は、被検査物を構成する複数の層のそれぞれについて、設定ライン上の各位置における層厚を算出するものであり、算出された各層の中から1又は複数の層を選択する手段をさらに備え、前記表示手段は、選択された層についての「位置−層厚」グラフを表示することを特徴とする請求項2に記載の光干渉断層装置。
- 被検査物の2次元又は3次元断層情報に基づいて、設定ラインに沿った断面の2次元断層像を表示する第2表示手段と、第2表示手段に表示される画像中の任意の点を指定する手段と、指定された点を結ぶ仮想線を設定する手段をさらに備え、
前記算出手段は、被検査物を構成する複数の層のそれぞれについて、設定ライン上の各位置における層厚を算出するものであって、前記設定手段で設定された複数の仮想線のうち隣接する仮想線間の距離から各層の厚みを算出することを特徴とする請求項1に記載の光干渉断層装置。 - 1又は複数の層から構成される被検査物に光を照射し、被検査物からの光を検出することで被検査物を構成する少なくとも1つの層の厚みを測定する測定装置と、
測定装置による照射光を被検査物の表面でライン状又は面状に走査することで取得される被検査物の1次元又は2次元の層厚情報に基づいて、被検査物を構成する少なくとも1つの層について、被検査物の表面に設定された設定ライン上の各位置における層厚を算出する手段と、
設定ライン上の位置を表す軸線を設定ラインの形状と相似する形状で表示し、算出された層厚を前記軸線からその法線方向に所定のスケールでプロットした「位置−層厚」の関係を示すグラフを出力する手段と、を備えることを特徴とする光層厚測定装置。 - 被検査物の表面をライン状に光を走査することで光干渉断層計により取得される被検査物の2次元断層情報に基づいて、被検査物を構成する少なくとも1つの層の層厚と走査ライン上の位置との関係を表示装置に表示するためのプログラムであって、
被検査物を構成する少なくとも1つの層について、取得された2次元断層情報から走査ライン上の各位置における層厚を算出する層厚算出手段、
走査ライン上の位置を表す軸線を走査ラインの形状と相似する形状で表すと共に、算出された層厚を前記軸線からその法線方向に所定のスケールでプロットしたグラフを表示装置に表示する表示装置制御手段、としてコンピュータを機能させるためのプログラム。 - 被検査物の表面をライン状に光を走査することで光干渉断層計により取得される被検査物の2次元断層情報に基づいて、被検査物を構成する少なくとも1つの層の層厚と走査ライン上の位置との関係を表示装置に表示する方法であって、
被検査物を構成する少なくとも1つの層について、2次元断層情報から走査ライン上の各位置における層厚を算出する工程と、
走査ライン上の位置を表す軸線を走査ラインの形状と相似する形状で表示すると共に、算出された層厚を前記軸線からその法線方向に所定のスケールでプロットしたグラフを表示装置に表示する工程と、を有する表示方法。
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