JP4499907B2 - 無機高分子化合物の製造方法、無機高分子化合物、および無機高分子化合物膜 - Google Patents
無機高分子化合物の製造方法、無機高分子化合物、および無機高分子化合物膜 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、無機高分子化合物に係り、詳しくはガラス、金属(ステンレス、銅、アルミニウムなど)、セラミックスなどの基板上に金属酸化物等の被膜を形成することのできる、無機高分子化合物の製造方法、無機高分子化合物、および無機高分子化合物膜に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、無機高分子化合物としては、テトラエトキシシリケートやアルキルアルコキシシリケートを利用したシリカ縮重合物、ZrアルコキシドやTiアルコキシドを利用して縮重合反応で得られた組成物、さらには種々の金属アルコキシドを複合的に利用して得られたものまで、数多くのものが知られている。ところが、これらの無機高分子化合物では、目的に応じてそれぞれに工夫され利用されてきているものの、一つの組成物であらゆる用途に利用できる性状を有したものは得られていない。
【0003】
また、このような無機高分子化合物の製造方法については、部分加水分解や縮重合反応を行うだけであり、反応としては単一である。しかしながら、得られる無機高分子化合物の性状は、周知のように材料、反応手順などによって大きく変化してしまうのである。
【0004】
例えばシリカ系の高分子化合物については、通常、テトラエトキシシリケートやアルキルアルコキシシリケート、あるいはある程度縮重合された化合物を用い、縮重合反応を行うことにより、目的とする高分子化合物を得るようにしている。しかしながら、このようにして得られる高分子化合物は特にアルカリに対する耐食性が弱く、したがって他の元素が添加されることにより、その改善がなされている。
【0005】
また、酸化物として耐食性のあるチタン、ジルコニウムなどでは、その原料であるアルコキシドの反応性が高いため、アセチルアセトン、アルカノールアミンなどのキレート剤を添加して反応性を抑え、その後、縮重合反応を起こさせるのが一般的な方法とされている。この場合に300℃以下の温度では、有機物であるキレート剤が、得られる無機高分子化合物中に含有されたものとなってしまう。
【0006】
金属アルコキシドを原料として製造されたケイ素、チタン、ジルコニウムなどの無機高分子化合物では、ガラス、セラミックス、金属(表面は薄い酸化物となっている)などの基板に塗布されて膜形成が行われる。このようにして得られた膜は、表面のシラノール基が基板表面と化学結合することにより、基板との間で高い密着強度が得られる。しかしながら、表面にシラノール基が少ない場合やほとんど存在しないような化合物の場合には、得られる膜の密着強度が小さくなってしまう。
【0007】
その他、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸リチウムなどのいわゆる水ガラスに類するものは、無機の高分子化合物として従来よりよく知られているものである。これらは、無機塗料の材料として利用されているものの、水に溶解する欠点を有している。また、これらの場合にも、他の元素が加えられることによって性状の改善が図られているものの、満足なものが得られていないが現状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、金属アルコキシドを原料とする無機高分子化合物は、縮重合反応が利用されることによって製造される。したがって、これら無機高分子化合物は、基板に塗布し、乾燥あるいは焼成することによって膜を形成するのに便利な材料となっている。
しかしながら、基板の種類、基板や得られる膜の表面の種類や状態により、無機高分子化合物を基板に塗布する際の濡れが異なったり、得られた膜の密着性や硬度などの膜性状が大いに異なってしまうことがある。
【0009】
また、形成された膜の耐食性も酸には比較的強いものが得られるものの、アルカリには弱いものが多く、耐食性のある無機高分子化合物の開発が期待されている。さらに、無機高分子化合物を無機顔料粉末のバインダーとして利用することもできるものの、その場合、無機顔料粉末の種類などによっては凝集や無機顔料粉末の機能低下などを生ずることがある。
【0010】
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、金属アルコキシドの種類を選択し、縮重合反応における添加方法や温度のコントロールを行うことにより、基板に対する濡れの向上、密着性、耐食性などの諸機能を有する膜を形成することのできる、無機高分子化合物とこれの製造方法、およびこれによって得られた無機化合物膜を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の無機高分子化合物の製造方法では、[1]一般式Si(OR1)4:(式中R1は炭素数1〜4のアルキル基を示す)で表されるテトラアルキルシリケートと、一般式R2Si(OR3)3:(式中R2は炭素数1〜8のアルキル基(有機基)、R3は炭素数1〜4のアルキル基を示す)で表されるアルキルアルコキシシリケートと、テトラアルキルシリケートの部分縮重合物であるシリカ縮重合物とから少なくともアルキルアルコキシシリケートを含む2種以上を選択し、これら選択した2種以上の総モル数を1モルとした場合に、アルキルアルコキシシリケートを0.02〜0.2モルとし、さらにこれら選択した2種以上の総モル数のうちの1モルに対し、
[2]一般式Zr(OR4)4:(式中R4は炭素数2〜4のアルキル基を示す)で表されるZrアルコキシド及び一般式B(OR5)3:(式中R5は炭素数1〜2のアルキル基を示す)で表されるBアルコキシドを、Bアルコキシドの添加量がZrアルコキシドの添加量に対してモル比で(1/3)〜3の範囲になるようにして、その合計量を0.01〜0.2モルと、
[3]塩酸、硝酸、p−トルエンスルホン酸から選択された一種あるいは複数種からなる酸及び/又は金属塩を1/100〜1/30モルと、
[4]水及び酢酸のうち少なくとも酢酸を1〜4モルと、
[5]炭素数4以下のアルコール及び/又はエーテル結合を有するアルコールからなる親水性有機溶剤と、
を用意した後、
これら[1]〜[5]の原料のうち、少なくとも[1]、[4]、[5]の全量又は一部を混合して得られた混合物を環流し、その後、前記[1]〜[5]の原料のうち残った原料がある場合には、前記環流後の混合物に前記残った原料を混合して再度環流し、前記[1]〜[5]の原料の全量から得られた環流操作中の混合物におけるシリカの骨格振動の吸収ピークを確認し、シリカの骨格振動の1200cm −1 の吸収ピークが確認された時点を反応終点とし、少なくともこの反応終点まで環流を続けた後、環流操作を終了させて無機高分子化合物を得ることを前記課題の解決手段とした。
【0012】
また、本発明の無機高分子化合物では、前記の製造方法によって得られたことを前記課題の解決手段とした。
さらに、本発明の無機高分子化合物膜では、前記の無機高分子化合物が基板上に塗布され、乾燥及び/又は焼成されて形成された膜であることを前記課題の解決手段とした。
【0013】
以下、本発明を詳しく説明する。
前記[1]における、一般式Si(OR1)4で表されるテトラアルキルシリケートは、R1が炭素数1〜4のアルキル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基のいずれかである。 このようなテトラアルキルシリケートの具体例としては、テトラメトキシシリケート、テトラエトキシシリケート、テトラプロポキシシリケート、テトラブトキシシリケートが挙げられる。好ましくはテトラメトキシシリケート、テトラエトキシシリケートである。
【0014】
一般式R2Si(OR3)3で表されるアルキルアルコキシシリケートは、R2が炭素数1〜8のアルキル基(有機基)であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ビニル基、γ−グリシドキシプロピル基、γ−メタクリルオキシプロピル基、アミノプロピル基、フェニル基などがである。また、R3は炭素数1〜4のアルキル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基のいずれかである。
【0015】
このようなアルキルアルコキシシリケートの具体例としては、メチルトリメトキシシリケート、メチルトリエトキシシリケート、エチルトリメトキシシリケート、エチルトリエトキシシリケート、プロピルトリメトキシシリケート、プロピルトリエトキシシリケート、ブチルトリメトキシシリケート、ブチルトリエトキシシリケート、ビニルトリメトキシシリケート、ビニルトリエトキシシリケート、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシリケート、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシリケート、γ−メタクリルプロポキシトリメトキシシリケート、γ−メタクリルプロポキシトリエトキシシリケート、フェニルトリメトキシシリケート、フェニルトリエトキシシリケート、3−アミノプロピルトリメトキシシリケート、3−アミノプロピルトリエトキシシリケートなどを挙げることができる。好ましくは、メチルトリメトキシシリケート、メチルトリエトキシシリケート、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシリケート、γ−メタクリルプロポキシトリメトキシシリケート、3−アミノプロピルトリメトキシシリケート、である。
【0016】
シリカ縮重合物としては、テトラメチルシリケートやテトラエチルシリケートなどを部分縮重合したものがあり、市販品のエチルシリケート40などを利用することができる。
【0017】
前記[1]の原料としては、テトラアルキルシリケート、アルキルアルコキシシリケート、シリカ縮重合物の3種のうちから、少なくともアルキルアルコキシシリケートを含む2種以上が選択され用いられる。また、これら選択した2種以上の総モル数を1モルとした場合に、アルキルアルコキシシリケートは0.02〜0.2モルの範囲、好ましくは0.02〜0.1モルの範囲で用いられる。アルキルアルコキシシリケートが0.2モルを越えると、膜の硬度が低くなる傾向が顕著となって好ましくなく、0.02モル未満では、膜の硬度が高くなりすぎたり基板に対する密着性が悪くなる傾向があるからである。また、0.1モルを越えると、特に得られる無機高分子化合物を基板上への膜形成用とした場合に、成膜の際の基板に対する濡れが悪くなってしまうおそれがあるからである。
【0018】
テトラアルキルシリケートおよびシリカ縮重合物は、得られる膜の硬度を高くする性質を有したものである。これらテトラアルキルシリケートとシリカ縮重合物とについては、いずれか一方のみを用いてもよく、両方を併用してもよい。両方を併用する場合、その相対比(テトラアルキルシリケート:シリカ縮重合物)については、(1:1/10)以下とするのが好ましい。シリカ重合物が1/10より多いと、後述するように金属アルコキシドを加え、さらに加水分解や縮重合を起こさせて得られる無機高分子化合物の、基板への密着性が悪くなる場合があるからである。
なお、後述する[1]以外の原料については、[1]の総モル数(合計のモル数)を基準にして用いられる。
【0019】
このような[1]の原料において、特に得られる無機高分子化合物を基板上への膜形成用とした場合に、この基板に対する密着性を改善するためには、アルキルアルコキシシリケートを基板の種類に応じて適宜に選択する。例えば基板表面にシラノール基が少ない場合には、アルキルアルコキシシリケートの中でもγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシリケート、γ−メタクリルプロポキシトリメトキシシリケート、3−アミノプロピルトリメトキシシリケートなどが、添加効果が大きく好適とされる。
【0020】
前記[2]における、一般式Zr(OR4)4で表されるZrアルコキシドは、R4が炭素数2〜4のアルキル基であり、エチル基、プロピル基、ブチル基のいずれかである。また、一般式B(OR5)3で表されるBアルコキシドは、R5が炭素数1〜2のアルキル基であり、メチル基、エチル基のいずれかである。
【0021】
Zrアルコキシドの具体例としては、ジルコニウムテトラエトキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラn−プロポキシド、ジルコニウムテトラn−ブトキシド、ジルコニウムテトラsec−ブトキシド、ジルコニウムテトラtert−ブトキシドが挙げられる。好ましくはジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラn−ブトキシドである。
Bアルコキシドの具体例としては、ホウ素メトキシド、ホウ素エトキシドが挙げられる。
【0022】
このような[2]の原料は、主に耐食性の改善のために添加されるものであり、ZrアルコキシドとBアルコキシドとを併用する場合には、Bアルコキシドの添加量はZrアルコキシドの添加量に対して1/3〜3の範囲、好ましくは1/2〜3の範囲とすることが望ましい。3を超えると耐食性が十分に改善されず、1/3未満では液の安定性が悪くなり、粉末の析出があったり、ゲル化が起こるおそれがあるからである。
また、[2]の原料の使用量(添加量)としては、[1]の原料1モルに対して0.01〜0.2モル、好ましくは0.01〜0.1モルの範囲とされる。すなわち、[1]の原料の総モル数のうちの1モルに対し、使用するZrアルコキシド及び/又はBアルコキシドのモル数は、前記の範囲とされる。0.2モルを越えると液の安定性が悪くなってしまい、また、0.01未満では得られる膜の耐食性が悪くなってしまうからである。
【0023】
[3]の原料である酸としては、塩酸、硝酸、p−トルエンスルホン酸が挙げられ、中でも硝酸、p−トルエンスルホン酸が好ましい。また、金属塩としては、塩化物、硝酸塩、酢酸塩が挙げられる。具体的には、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、四塩化チタン、四塩化スズ、硝酸亜鉛、硝酸ビスマス、酢酸亜鉛が挙げられ、中でも、硝酸亜鉛、酢酸亜鉛、硝酸ビスマス、四塩化チタン、四塩化スズが好ましい。
【0024】
このような[3]の原料の使用量(添加量)としては、[1]の原料1モルに対して、すなわち、[1]の原料の総モル数のうちの1モルに対して、1/100〜1/30モル、好ましくは1/100〜1/50モルの範囲とされる。
[3]の原料は、縮重合反応を促進するための触媒として添加されるもので、溶液中でのアルキルシリケートなどの加水分解反応や縮重合反応の促進と、膜形成時における縮重合反応の促進の働きを担うものである。
【0025】
[4]の原料である水及び/又は酢酸の使用量(添加量)としては、[1]の原料1モルに対して、すなわち、[1]の原料の総モル数のうちの1モルに対して、1〜4モル、好ましくは2〜4モルの範囲とされる。
【0026】
一般に加水分解反応、縮重合反応と呼ばれる反応は、水の作用によって進行する。これらの反応の制御により、生成する無機高分子化合物は、その膜形成能と得られる膜の特性とに影響が与えられる。例えば、同一組成である場合には、均一な加水分解反応と縮重合反応とを起こさせるのがよい。酢酸の添加は、アルコールとのエステル化反応によって副生する水を利用することにより、水そのものを添加するより系全体の反応を均一にすることができることから、好ましい。酢酸とアルコールとの反応によって得られる水を100%利用することも可能であるが、得られる無機高分子化合物の膜形成能が使用する材料の組み合わせによって悪くなる場合があるので、酢酸と水とを共に(複合的に)使用するのが好ましい。その場合、(水/酢酸)比については、1/1を基準にしてその前後2割の範囲とするのが好ましい。ただし、いずれかを100%使用するようにしても、無機高分子化合物を製造することは可能である。
【0027】
[5]の原料であるの有機溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノールなどが挙げられるが、親水性の溶剤であればどの溶剤でも使用することが可能である。ただし、溶剤の選択については、得られる無機高分子化合物との相性もあるので、実際に使用する基板に塗布するなどして、判断し選択するのが好ましい。一般に、エーテル結合のある2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノールなどは、高分子化合物の安定化に寄与し、しかも比較的高沸点溶剤であるので好適とされる場合が多い。
【0028】
このような各原料を用意したら、これらを用いて以下のようにして無機高分子化合物を製造する。
[1]におけるテトラアルキルシリケート、アルキルアルコキシシリケート、シリカ縮重合物の3種のうちから、少なくともアルキルアルコキシシリケートを含む2種以上を選択する。選択した全種の合計のモル数(総モル数)を1モルとして換算すると、アルキルアルコキシシリケートを0.02〜0.2モルの範囲、テトラアルキルシリケートとシリカ縮重合との合計量(あるいは一方のみの量)を0.8〜0.98モルとする。なお、テトラアルキルシリケートとシリカ縮重合とについては、その相対比を適宜に選択することができる。また、アルキルアルコキシシリケートを0.02〜0.1モルとし、テトラアルキルシリケートとシリカ縮重合物との合計量(あるいは一方のみの量)を0.9〜0.98モルとするのが好ましく、その場合に、テトラアルキルシリケートとシリカ縮重合との相対比については、1:1/10以下とするのが好ましい。
【0029】
この[1]の原料1モルに対して、[2]の原料を0.01〜0.2モル、好ましくは0.01〜0.1モルの範囲で添加する。0.2モルを超えると得られる液の安定性が悪くなり、0.01モル未満であると、得られる無機高分子化合物から形成される膜の耐食性が悪くなるからである。すなわち、[2]の原料は膜の耐食性のために添加されるもので、その添加量については、得られた無機高分子化合物の耐食性を確認することによって決定するのが好ましい。Zrアルコキシドの添加量としては、これの水に対する反応性が高いことから、キレート剤などの安定化剤の添加なしで使用できる範囲とされ、具体的には各種アルキルシリケートの全種の合計のモル数(総モル数)のうちの1モルに対して、0.2モル以下の範囲とされる。
【0030】
[1]と[2]の原料に[3]の原料を、[1]の原料の合計のモル数(総モル数)のうちの1モルに対して、1/100〜1/30モル、好ましくは1/100〜1/50モルの範囲で加える。1/30モルを超えると、反応液に溶解しない場合や、反応が促進されてゲル化や沈殿物が生ずることがあるからであり、また1/100モル未満では、添加することによる加水分解反応や縮重合反応の促進が十分に認められないからである。
【0031】
さらに、[4]の原料である水及び/又は酢酸を、[1]の原料の合計のモル数(総モル数)のうちの1モルに対して、1〜4モル、好ましくは2〜4モルの範囲で加える。4モルを超えると得られる混合液の安定性が悪くなる傾向にあり、場合によっては反応段階でゲル化してしまうことがある。また、1モル未満では、縮重合反応が十分に行われず、得られる無機高分子化合物の基板に対する濡れも、乾燥、焼成後に得られる膜の密着性も悪くなる。水と酢酸との比については任意とされるが、特に(水/酢酸)比を0.4〜0.6の範囲とするのが好ましい。なお、この範囲外であっても使用可能ではあるが、基板に対する濡れが悪くなったり、特に水が多い場合にはゲル化することがあることから、好ましくない。
【0032】
[1][2][3][4]を混合し、[5]の有機溶剤にて得られる混合物の酸化物濃度を2〜20wt%、好ましくは5〜15wt%に調製した後、この混合物を還流する。還流温度は使用する有機溶剤に応じた適宜温度とするが、基本的にはその混合系における沸点近くの温度で還流操作を行う。
反応の終点については、IR測定によってシリカの骨格振動である吸収ピークを確認することで行う。[1]の原料としてテトラエチルシリケートを用いた場合では、1200cm-1付近の吸収ピークの位置が1時間変化しなくなる点とする。
【0033】
なお、反応手順については、液が均一な状態であり反応が進むのであれば、特に前述した手順に限定されることなく、適宜手順を変更してもよい。
例えば、[1]と[2]の原料を混合した後、[3]の原料を加え、さらに[4]の原料の一部(例えば半分)を加える。続いて、[5]の有機溶剤を加えることにより、得られた混合物の濃度が酸化物換算濃度で15〜5wt%となるように調整し、この状態で還流処理を行う。
【0034】
次いで、これに[4]の原料の残りを加え、還流処理を続ける。反応の終点については、先の反応手順の場合と同様に、IR測定によってシリカの骨格振動である吸収ピーク、すなわち1200cm−1の吸収ピークを確認することで行う。
【0035】
また、例えば、[1][3][4]の原料を混合した後還流し、その後[2]の原料を添加して還流してもよい。また、[1][2]の原料と[4]の原料の一部(例えば半分)とを混合し、還流した後、[3]の原料を加え、次いで[4]の原料の残りを加えて還流するようにしてもよい。いずれの場合にも反応終点については、IR測定によってシリカの骨格振動のピークを確認することで行う。
【0036】
以上のように、本発明の無機化合物の製造方法においては、[1]〜[5]の原料が均一な溶液である限り、これらを比較的任意に混合して製造することができる。
また、この製造方法によって得られた本発明の無機高分子化合物に無機顔料粉末を分散し、得られた分散塗布液を基板に塗布し、乾燥及び/又は焼成すれば、これらの無機顔料が分散した無機質の膜、すなわち無機高分子化合物膜を得ることができる。ここで、無機顔料粉末としては、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、シリカ、酸化アルミニウム、さらには導電性無機粉末である酸化亜鉛、酸化インジウムなどが用いられる。
なお、前記無機高分子化合物については、これに無機顔料粉末を分散させることなく、これを単独で各種の基板に塗布し乾燥及び/又は焼成することにより、無機質の膜を形成することもできる。
【0037】
【実施例】
次に、実施例によって本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はその要旨を逸脱しない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0038】
(実施例1)
テトラエチルシリケート1.0モル、3−アミノプロピルトリメトキシシリケート0.015モル、ホウ素メトキシド0.09モル、ジルコニウムテトラn−ブトキシド0.025モルを、エタノール300gと2−エトキシエタノール90gとの混合溶剤に溶解した。
次に、得られた混合溶液に酢酸2.9モルと60%硝酸0.03モルとを添加し、還流した。還流温度は80〜85℃とし、その状態に4時間保持した。
次いで、水1モルを2−エトキシエタノール200gで希釈し、この希釈物を前記還流物に添加した。
さらに還流を続け、1時間毎にIR測定を行った。その後、シリカの骨格振動である1200cm−1付近に吸収ピークを確認し、確認した時点からさらに1時間還流を続けた後、反応を終了して無機高分子化合物を得た。得られた無機高分子化合物に1−メトキシ−2−プロパノールを添加し、無機高分子化合物中のシリカ濃度を5wt%に調製した。
【0039】
(実施例2)
エチルシリケート40を0.4モル、テトラエチルシリケート0.5モル、γ−メタクリルプロポキシトリメトキシシリケート0.005モル、3−アミノプロピルトリメトキシシリケート0.01モルを、1−メトキシ−2−プロパノール100gとイソプロパノール240gとの混合溶剤に溶解した。
次に、得られた混合溶液に酢酸3.6モルとp−トルエンスルホン酸0.01モルとを加えた。そして、これを攪拌しつつ、イソプロパノール50gで希釈した水1.7モルをこれに添加し、還流した。還流温度は80〜85℃とし、その状態で4時間保持した。
次いで、得られた還流物に、ジルコニウムテトラn−ブトキシド0.02モルと、ホウ素エトキシド0.01モルと、酢酸1モルと、60%硝酸0.01モルとを混合してなる混合液を加えた。
さらに還流を続け、1時間毎にIR測定を行った。その後、シリカの骨格振動である1200cm−1付近に吸収ピークを確認した。確認した時点から1時間還流を続けた後、反応を終了した。そして、最後に酢酸亜鉛0.02モルを添加溶解し、無機高分子化合物を得た。得られた無機高分子化合物にイソプロパノールを添加し、無機高分子化合物中のシリカ濃度を5wt%に調製した。
【0040】
(実施例3)
テトラエチルシリケート1.5モル、メチルトリメトキシシリケート0.01モル、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシリケート0.01モル、3−アミノプロピルトリメトキシシリケート0.015モル、ジルコニウムテトライソプロポキシド0.05モルを、イソプロパノール200gに混合し、さらにこれを攪拌しつつ、水2.8モル、酢酸1.2モル、四塩化スズ0.005モルをイソプロパノール200gで溶解した混合溶液を加え入れ、還流した。還流温度は80〜85℃とし、その状態で4時間保持した。
次いで、1時間毎にIR測定を行った。その後、シリカの骨格振動である1200cm−1付近に吸収ピークを確認し、確認した時点からさらに1時間還流を続けた後、反応を終了して無機高分子化合物を得た。得られた無機高分子化合物にイソプロパノールを添加し、無機高分子化合物中のシリカ濃度を5wt%に調製した。
【0041】
(実施例4)
テトラエチルシリケート0.8モル、メチルトリエトキシシリケート0.01モル、MS51(三菱化学社製シリカ縮重合物)0.2モル(SiO2換算)、γ−メタクリルプロポキシトリメトキシシリケート0.05モル、ジルコニウムテトラn−ブトキシド0.08モルを、エタノール200gに混合し、さらにこれに酢酸2.4モル、四塩化チタン0.02モルを添加し、還流した。還流温度は80〜85℃とし、その状態で4時間保持した。
次いで、水1.2モルを加えて還流を続け、1時間毎にIR測定を行った。その後、シリカの骨格振動である1200cm−1付近に吸収ピークを確認した。確認した時点から1時間還流を続けた後、反応を終了して無機高分子化合物を得た。得られた無機高分子化合物に1−メトキシ−2−プロパノールを添加し、無機高分子化合物中のシリカ濃度を5wt%に調製した。
【0042】
(実施例5)
テトラエチルシリケート0.9モル、3−アミノプロピルトリメトキシシリケート0.02モル、γ−メタクリルプロポキシトリメトキシシリケート0.005モル、ホウ素メトキシド0.05モル、ジルコニウムテトラn−ブトキシド0.02モルを、メタノール300gと2−メトキシエタノール100gとの混合溶剤に溶解した。
次に、得られた混合溶液に酢酸1.5モルと四塩化チタン0.03モルとを添加し、還流した。還流温度は80〜85℃とし、その状態に4時間保持した。
次いで、水1.5モルを2−メトキシエタノール200gで希釈し、この希釈物を前記還流物に添加した。
さらに還流を続け、1時間毎にIR測定を行った。その後、シリカの骨格振動である1200cm−1付近に吸収ピークを確認し、確認した時点からさらに1時間還流を続けた後、反応を終了して無機高分子化合物を得た。得られた無機高分子化合物に1−メトキシ−2−プロパノールを添加し、無機高分子化合物中のシリカ濃度を5wt%に調製した。
【0043】
(実施例6)
エチルシリケート40を1モル、フェニルトリエトキシシリケート0.01モル、γ−メタクリルプロポキシトリエトキシシリケート0.01モル、3−アミノプロピルトリエトキシシリケート0.05モルを、1−メトキシ−2−プロパノール100gとイソプロパノール240gとの混合溶剤に溶解した。
次に、得られた混合溶液に酢酸3.6モルと60%硝酸0.01モルとを加えた。そして、これらを攪拌しつつ、イソプロパノール50gで希釈した水1.7モルをこれに添加し、還流した。還流温度は80〜85℃とし、その状態で4時間保持した。
次いで、得られた還流物に、ジルコニウムテトラn−ブトキシド0.05モルと、ホウ素エトキシド0.05モルと、酢酸1モルと、60%硝酸0.01モルとを混合してなる混合液を加えた。
さらに還流を続け、1時間毎にIR測定を行った。その後、シリカの骨格振動である1200cm−1付近に吸収ピークを確認した。確認した時点から1時間還流を続けた後、反応を終了した。そして、最後に酢酸亜鉛0.02モルを添加溶解し、無機高分子化合物を得た。得られた無機高分子化合物にイソプロパノールを添加し、無機高分子化合物中のシリカ濃度を5wt%に調製した。
【0044】
(実施例7)
テトラメチルシリケート1.5モル、フェニルトリエトキシシリケート0.10モル、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシリケート0.01モル、3−アミノプロピルトリエトキシシリケート0.02モル、ジルコニウムテトライソプロポキシド0.08モルを、イソプロパノール200gに混合し、さらにこれを攪拌しつつ、水2.8モル、酢酸1.2モル、四塩化スズ0.005モルをイソプロパノール200gで溶解した混合溶液を加え入れ、還流した。還流温度は80〜85℃とし、その状態で4時間保持した。
次いで、1時間毎にIR測定を行った。その後、シリカの骨格振動である1200cm−1付近に吸収ピークを確認し、確認した時点からさらに1時間還流を続けた後、反応を終了して無機高分子化合物を得た。得られた無機高分子化合物に1−メトキシ−2−プロパノールを添加し、無機高分子化合物中のシリカ濃度を5wt%に調製した。
【0045】
(比較例1)
実施例1において、酸触媒としての60%硝酸を加えずに反応を行った。これ以外は実施例1と同じとした。
このようにしてIR測定を行ったところ、実施例1での反応終了の時間にはSiO2の吸収ピークである1200cm−1付近に吸収ピークが認められなかった。また、得られた液は、ガラス基板への濡れが悪いものであった。
【0046】
(比較例2)
実施例2において、エチルシリケート40を1モルとし、アルキルアルコキシシリケートを加えずに反応を行った。これ以外は実施例2と同じとした。
反応終了後、フッ素樹脂およびアクリル樹脂の塗装をした基板への膜密着性を調べたところ、剥離が観察された。
【0047】
(比較例3)
実施例3において、ジルコニウムテトライソプロポキシドを添加せず、その他は同じにして反応を行った。反応終点はIR測定で確認した。
得られた無機高分子化合物をステンレス基板に塗布し、100℃で20分乾燥して膜を形成した。この膜に0.5%水酸化ナトリウム溶液を接触させてその耐食性(24時間)を調べたところ、膜の溶解が認められた。
【0048】
(比較例4)
実施例4において、MS51を加えず反応を行った。これ以外は実施例4と同じとした。
得られた無機高分子化合物をガラス基板に塗布し、100℃で20分乾燥して膜を形成した。この膜の鉛筆硬度を鉛筆硬度試験(JIS K 5400)によって調べたところ、4Hであった。
【0049】
(比較例5)
実施例5において、ホウ素メトキシドの添加量を0.4モルとし、その他は同じにして反応を行った。
得られた無機高分子化合物をガラス基板に塗布し、100℃で20分乾燥して膜を形成した。この膜の鉛筆硬度を鉛筆硬度試験(JIS K 5400)によって調べたところ、3Hであった。この膜に0.5%水酸化ナトリウム溶液を接触させてその耐食性(24時間)を調べたところ、膜の溶解が認められた。
【0050】
(比較例6)
実施例6において、これの反応条件で還流を行わず、常温で反応を行わせた。
得られた液をIR測定したところ、SiO2の吸収ピークである1200cm−1付近に吸収ピークが認められなかった。また、得られた溶液には酢酸臭があり、反応が進行していないことが確認された。
【0051】
(比較例7)
実施例7において、フェニルトリメトキシシリケートの添加量を0.4モル、3−アミノプロピルトリエトキシシリケートの添加量を0.2モルとした。これ以外は実施例7と同じとした。
得られた無機高分子化合物をガラス基板に塗布し、100℃で20分乾燥して膜を形成した。この膜の鉛筆硬度を鉛筆硬度試験(JIS K 5400)によって調べたところ、2Hであった。
【0052】
(実験例1)
実施例1〜7で得られた無機高分子化合物を用い、これらをガラス基板、ステンレス基板、およびフッ素樹脂塗膜を形成した基板の上にそれぞれ塗布し、100℃で20分間乾燥して無機高分子化合物膜を形成した。
得られた無機高分子化合物膜に対して、それぞれテープ剥離試験(JIS K 5400)と鉛筆硬度試験(JIS K 5400)とを行った。得られた結果を表1に示す。
また、比較のため、比較例1〜7で得られた化合物によっても同様にしてそれぞれ膜を形成し、同じ試験を行った。得られた結果を表1に併記する。
【0053】
【表1】
【0054】
表1に示したように、実施例1〜7のものは全てテープ剥離試験結果が良好であり、ガラス、ステンレス、フッ素樹脂塗膜のいずれに対してもその膜の密着性が優れていることが確認された。また、鉛筆硬度についても、全て6H以上であり、十分な膜硬度を有していることが確認された。
一方、比較例1〜7のものでは、特にステンレス、フッ素樹脂塗膜に形成した膜の硬度が低いことが分かった。
【0055】
(実験例2)
実施例1〜7で得られた無機高分子化合物に、無機顔料粉末としてITO粉末、酸化チタン、酸化亜鉛の各無機酸化物粉末をそれぞれ分散し、以下、実験例1と同様にして無機高分子化合物膜を形成した。なお、本例では基板としてガラス基板のみを用いた。また、無機高分子化合物への無機酸化物粉末の添加量は、重量換算で、無機高分子化合物中のSiO2:無機酸化物粉末=1:1となるようにした。
得られた無機高分子化合物膜に対して、実験例1と同様にそれぞれテープ剥離試験(JIS K 5400)と鉛筆硬度試験(JIS K 5400)とを行った。得られた結果を表2に示す。
また、比較のため、比較例1〜7で得られた化合物によっても同様にしてそれぞれ膜を形成し、同じ試験を行った。得られた結果を表2に併記する。
【0056】
【表2】
【0057】
表2に示したように、実施例1〜7のものは全てテープ剥離試験結果が良好であり、ITO粉末、酸化チタン、酸化亜鉛のいずれを分散させてもその膜の密着性が優れていることが確認された。また、鉛筆硬度についても、全て5H以上であり、十分な膜硬度を有していることが確認された。
一方、比較例1〜7のものでは、実施例1〜7のものに比較してテープ剥離試験結果の悪いものがあり、また、全般的に膜の硬度が低いことが分かった。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の無機高分子化合物の製造方法は、[1]〜[5]の各原料を所定量用いてこれらを部分的にあるいは全量を還流し、最終的に全量が混合されたものとする方法であるから、得られる無機高分子化合物の基板に対する濡れを向上することができる。
【0059】
また、この方法によって得られた本発明の無機高分子化合物にあっては、これを基板に塗布し、乾燥及び/又は焼成することにより、密着性、耐食性などの諸機能に優れた膜を形成することができる。
【0060】
また、この無機高分子化合物から得られた本発明の無機高分子化合物膜にあっては、密着性、耐食性などの諸機能に優れたものとなり、さらには、無機顔料粉末を良好に分散させることができることから、例えば導電性無機粉末を分散させることによって導電性の無機膜を得ることができるなど、多様な特性を備えることによって種々の用途を提供することができる。
Claims (4)
- [1]一般式Si(OR1)4:(式中R1は炭素数1〜4のアルキル基を示す)で表されるテトラアルキルシリケートと、一般式R2Si(OR3)3:(式中R2は炭素数1〜8のアルキル基(有機基)、R3は炭素数1〜4のアルキル基を示す)で表されるアルキルアルコキシシリケートと、テトラアルキルシリケートの部分縮重合物であるシリカ縮重合物とから少なくともアルキルアルコキシシリケートを含む2種以上を選択し、これら選択した2種以上の総モル数を1モルとした場合に、アルキルアルコキシシリケートを0.02〜0.2モルとし、さらにこれら選択した2種以上の総モル数のうちの1モルに対し、
[2]一般式Zr(OR4)4:(式中R4は炭素数2〜4のアルキル基を示す)で表されるZrアルコキシド及び一般式B(OR5)3:(式中R5は炭素数1〜2のアルキル基を示す)で表されるBアルコキシドを、Bアルコキシドの添加量がZrアルコキシドの添加量に対してモル比で(1/3)〜3の範囲になるようにして、その合計量を0.01〜0.2モルと、
[3]塩酸、硝酸、p−トルエンスルホン酸から選択された一種あるいは複数種からなる酸及び/又は金属塩を1/100〜1/30モルと、
[4]水及び酢酸のうち少なくとも酢酸を1〜4モルと、
[5]炭素数4以下のアルコール及び/又はエーテル結合を有するアルコールからなる親水性有機溶剤と、
を用意した後、
これら[1]〜[5]の原料のうち、少なくとも[1]、[4]、[5]の全量又は一部を混合して得られた混合物を環流し、その後、前記[1]〜[5]の原料のうち残った原料がある場合には、前記環流後の混合物に前記残った原料を混合して再度環流し、前記[1]〜[5]の原料の全量から得られた環流操作中の混合物におけるシリカの骨格振動の吸収ピークを確認し、シリカの骨格振動の1200cm −1 の吸収ピークが確認された時点を反応終点とし、少なくともこの反応終点まで環流を続けた後、環流操作を終了させて無機高分子化合物を得ることを特徴とする無機高分子化合物の製造方法。 - 請求項1記載の無機高分子化合物の製造方法によって得られたことを特徴とする無機高分子化合物。
- 請求項2記載の無機高分子化合物が基板上に塗布され、乾燥及び/又は焼成されて形成された膜であることを特徴とする無機高分子化合物膜。
- 前記無機高分子化合物に無機顔料粉末が分散せしめられ、その状態で基板上に塗布されたことを特徴とする請求項3記載の無機高分子化合物膜。
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