JP4499100B2 - 電気二重層キャパシタの電極用活性炭の製造方法 - Google Patents

電気二重層キャパシタの電極用活性炭の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は電気二重層キャパシタの電極用活性炭の製造方法に関する。
本出願人は,本特許出願の前に,この種の活性炭として,BET比表面積と細孔容積をそれぞれ特定したものに関し特許出願を行った(特願2003−150869)。
しかしながら,本願発明者らが前記関連技術について種々検討を加えたところ,静電容量については問題が無いものの,耐久性について改良の余地があることが判明した。
本発明は前記に鑑み,優れた耐久性を備え,高い静電容量を長期に亘り維持することが可能な活性炭を得ることができる前記製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成すべく本発明は,炭素化物にアルカリ賦活処理を施して,電気二重層キャパシタの電極用活性炭を製造するに当り,前記炭素化物として,合成メソフェーズピッチ,石油メソフェーズピッチ,石炭メソフェーズピッチ,石油コークス,石炭コークスまたは石油ピッチを,酸素架橋処理及び炭素化処理を施してなり、かつ、平均真比重が1.450〜1.650であり,且つ真比重の最大値と最小値との差が0.025以下であるものを用いることを特徴とする電気二重層キャパシタの電極用活性炭の製造方法を提供する。
本発明によれば,前記のような手段を採用することによって,優れた耐久性を備え,高い静電容量を長期に亘り維持することが可能な前記活性炭を得ることができる。前記活性炭を有する分極性電極を備えた電気二重層キャパシタの場合,耐久テストにおける電圧印加時間が1200時間に達した後も,静電容量維持率が78%以上である,といった耐久性を示す。
円筒型電気二重層キャパシタの正面図である。 図1の2−2線断面図である。 電極巻回体の構造説明用要部破断斜視図である。 図1の4矢視図である。 図1の5矢視図である。 ボタン型電気二重層キャパシタの要部縦断正面図である。 電圧印加時間と静電容量との関係を示すグラフである。 体積静電容量密度の変化を示すグラフである。
本発明の適用対象である円筒型電気二重層キャパシタは図1〜5に示されており,またボタン型電気二重層キャパシタは図6に示されている。
図1,2において,円筒型電気二重層キャパシタ1は円筒状密閉容器2を有し,その密閉容器2内に電極巻回体3,2つの円盤状集電板4,5および電解液が収容されている。
電極巻回体3は次のように構成されている。即ち,図3に示すように,帯状正極6,帯状負極7およびそれらの一方,実施例では帯状正極6を挟む2つの帯状セパレータ8,9よりなり,且つ帯状正極6におけるAl製帯状集電箔10の長手方向に沿う一端縁部10aおよび帯状負極7におけるAl製帯状集電箔11の長手方向に沿う他端縁部11aをそれぞれ両帯状セパレータ8,9の長手方向に沿う両端縁部から突出させた重合せ物を,帯状正極6の内側に在る一方の帯状セパレータ8が最も内側に位置するようにAl製巻心12を中心に渦巻状に巻回したものである。この場合,帯状正,負極6,7間に存する他方の帯状セパレータ9は,最外周の帯状負極7を覆うべく略一巻分だけ帯状負極7の終端より延出している。
帯状正,負極6,7において,それらの帯状集電箔10,11の両面に一対の分極性電極13がそれぞれ積層形成されている。ただし,両集電箔10,11において,両セパレータ8,9から突出する,長手方向に沿う前記一,他端縁部10a,11aには電極は存在せず,それら両端縁部10a,11aは巻回によって集電板4,5との接続部14,15を形成する。
図1,2,4に示すように,密閉容器2はAl製有底筒形本体2aと,その開口を閉鎖する蓋体16とよりなり,その蓋体16は次のように構成される。蓋体16はAl合金製短円筒体17を有し,その一端部が筒形本体2aの開口に嵌合され,その一端部近傍外周面に存する環状突出部18が筒形本体2aにレーザ溶接される。また短円筒体17の一端部近傍内周面に存する環状突出部19に電気絶縁性樹脂製環状板20の外周溝21が嵌着され,またその環状板20の内周溝22にAl合金製筒状正極端子23の外周面に存する環状突出部24が嵌着されている。
一方のAl合金製円盤状集電板4において,その中心に在るボス26は筒状正極端子23の中心孔27に挿入されてそれにレーザ溶接されている。また円盤部28は,放射状に配列されて下方に突出する複数の横断面U字形をなす凹条29を有し,それら凹条29の底部に帯状正極6の接続部14が押し潰された状態にてレーザ溶接されている。
他方のAl合金製円盤状集電板5において,その中心に在るボス30は,図5にも示すように,負極端子32である有底筒形本体2aの底壁にある中心孔33に挿入されてレーザ溶接されている。また円盤部34は,放射状に配列されて上方へ突出する複数の横断面逆U字形をなす凸条35を有し,それら凸条35の稜線状部分に帯状負極7の接続部15が前記と同様に押し潰された状態にてレーザ溶接されている。底壁外面には,中心孔33を囲む環状突出部36が存する。
正極側集電板4と負極側集電板5の両円盤部28,34は同一の形状を有し,相隣る両凹条29間および両凸条35間には電解液を通すための貫通孔(図示せず)が形成されている。電解液は,負極側円盤状集電板5のボス30に形成された注入孔38から密閉容器2内に注入され,その後,注入孔38は,図示しないゴム栓により封鎖される。
図6において,ボタン型電気二重層キャパシタ41は,ケース42と,そのケース42内に収容された一対の分極性電極43,44およびそれらの間に挟まれたスペーサ45と,ケース42内に充填された電解液とを有する。ケース42は開口部46を有するAl製器体47およびその開口部46を閉鎖するAl製蓋板48よりなり,その蓋板48の外周部および器体47の内周部間はシール材49によりシールされている。
分極性電極用活性炭の製造方法に当っては,炭素原料を紡糸により繊維状に成形するか,または粉砕により粉末状に形成する工程と,炭素原料に酸素架橋処理を施す工程と,酸素架橋後の炭素原料に炭素化処理を施して炭素化物を得る工程と,炭素化物に粉砕処理を施す工程と,粉砕後の炭素化物にアルカリ賦活処理を施し,次いで洗浄・ろ過・乾燥を行って活性炭を得る工程とを順次行うものである。
炭素原料として,合成メソフェーズピッチ,石油メソフェーズピッチ,石炭メソフェーズピッチ,石油コークス,石炭コークス,石油ピッチを用いる。炭素原料の粉砕は一般的な方法で行われ,その際,ボールミル,ジェットミル,高速回転ミル等が用いられる。
酸素架橋処理は,炭素原料において,相隣る両縮合多環芳香族化合物の両ベンゼン環相互を酸素を介し架橋するために行われる。これにより炭素化処理において炭素原料を溶融させることなく炭素化させる,つまり固相炭素化を実現することができる。炭素原料が溶融すると,再配向が発生すると共にメソーゲンの縮合が起こるため好ましくない。処理に当っては,酸素気流中にて,加熱温度Tを140℃≦T≦350℃に,また加熱時間tを10-3時間≦t≦10時間にそれぞれ設定する。なお,酸素架橋処理を行わなくても活性炭を得ることは可能である。
炭素化処理は,連続ベルト炉,連続式ロータリキルン等を用い,不活性ガス中にて,加熱温度Tを500℃≦T≦1000℃に,好ましくは600℃≦T≦1000℃に,また処理時間tを10-3時間≦t≦10時間に,好ましくは10分≦t≦300分に,それぞれ設定して行われる。その際,特に,炉内温度を調節して,炭素原料全体の温度の均一化を図り,これにより,平均真比重MG が1.450≦MG ≦1.650であり,且つ真比重の範囲(真比重の最大値と真比重の最小値との差)rがr≦0.025である炭素化物を得る。この場合,平均真比重が1.450未満では活性炭の低密度化に伴い,電極成形密度が小さくなるため,電気二重層キャパシタの静電容量を向上させることができない。一方,平均真比重が1.650超ではアルカリ賦活処理において処理剤の炭素化物への浸透が不均一となるため活性炭の品質も不均一となる。また真比重の範囲rがr>0.025では活性炭の品質ばらつきが大となるため電気二重層キャパシタの静電容量を安定化させることができない。連続ベルト炉等を用いると炭素化物の生産性を高めることが可能である。
炉内の上部と下部との温度差が1℃〜50℃であることが好ましく、20℃であることがより好ましい。更に,繊維集合体の厚さは1cm〜50cmが好ましく、3cm〜20cmがより好ましい。
粉砕処理においては,ボールミル,ジェットミル,高速回転ミル(例えばラボカッタミル)等の粉砕機が用いられる。粉末状炭素化物の平均粒径Adは1μm≦Ad≦50μmに設定され,このような整粒を行うことによりアルカリ賦活処理の効率を向上させることができる。なお,アルカリ賦活後において,粉砕処理を行うようにしてもよい。
粉末状炭素化物に関するアルカリ賦活処理において,その処理剤としてはKOH,NaOH等が用いられ,粉末状炭素化物と処理剤との重量比は,1:1.5〜2.5,好ましくは,1:1.7〜2.2である。またその処理に当っては,不活性ガス雰囲気中にて,加熱温度Tを600℃≦T<1000℃,好ましくは700℃≦T≦850℃に,また処理時間tを10-3時間≦t≦10時間にそれぞれ設定する。加熱温度は設定温度±10℃程度に制御される。アルカリ賦活後,前記諸作業を行うことによって,所定の活性炭が得られる。この活性炭は,700℃での強熱灰分が300ppm 以下,特に,ICP発光分析によるカリウム量は200ppm 以下,元素組成分析による酸素含有量が2wt%以下,滴定法による全官能基量は1.0meq /g以下であった。アルカリ賦活処理においては,必要に応じその前段にて脱水の目的で,加熱温度Tを400℃≦T≦450℃に,また加熱時間tを10-1時間≦t≦10時間にそれぞれ設定した加熱処理が行われる。
以下,具体例について説明する。
A.次のような方法で活性炭の実施例(1),(2),(3),(4)を製造した。
〔I〕炭素原料の製造
100%光学異方性合成メソフェーズピッチを用いてメルトブロー法により紡糸を行い繊維状物を得た。次いで,この繊維状物を堆積して,炭素原料としての,厚さ5cmの帯状繊維集合体を得た。
〔II〕酸素架橋処理
繊維集合体を,ステンレス鋼製金網よりなるベルトコンベヤに載せて処理炉内に導入し,空気供給量1500m3 /min,昇温速度20℃/min,320℃にて30分間保持の条件で酸素架橋処理を行った。
〔III 〕炭素化処理
繊維集合体をベルトコンベヤに載せて連続ベルト炉内を通過させ,その間に繊維集合体の炭素化を行った。この場合,炉内上部の温度が790℃に,炉内中央部の温度が780℃に,炉内下部の温度が770℃にそれぞれなるように温度調節を行い,また処理時間を30分間に設定した。
これにより,炭素化物集合体が得られ,その上面側における炭素化物の真比重は1.585であり,また厚さのほぼ2分の1位置における炭素化物の真比重は1.570であり,さらに下面側における炭素化物の真比重は1.560であった。よって,炭素化物の平均真比重MG は1.572であり,また真比重の範囲rは0.025である。
炭素化物集合体に,高速回転ミルを用い粉砕処理を施して平均粒径Adが15μmの粉末状炭素化物を得た。
〔IV〕アルカリ賦活処理
(a)300gの粉末状炭素化物と,570g(重量で粉末状炭素化物の1.9倍量)の純度85%のKOHペレットとを十分に混合し,次いでその混合物をNi製円筒形反応管に充填した。
(b)その円筒形反応管を電気炉内に設置して,窒素気流中,昇温速度200℃/h,450℃にて3時間保持,それに次ぎ,730℃にて3時間保持した。次いで,円筒形反応管を電気炉から取出して処理粉末を常温まで冷却し,さらに蒸留水により処理粉末をスラリ状にして円筒形反応管より排出した。爾後,90℃の温水による洗浄,HClによる洗浄,ろ過および150℃以下の温度での乾燥を行って平均粒径Adが15μmの活性炭の実施例(1)を得た。
また前記アルカリ賦活処理において,KOHペレットの量を600g(重量で粉末状炭素化物の2倍量)に設定した,ということ以外は前記と同一条件にて活性炭の実施例(2)を得た。
さらに前記アルカリ賦活処理において,KOHペレットの量を630g(重量で粉末状炭素化物の2.1倍量)に設定した,ということ以外は前記と同一条件にて活性炭の実施例(3)を得た。
さらにまた前記アルカリ賦活処理において,KOHペレットの量を660g(重量で粉末状炭素化物の2.2倍量)に設定した,ということ以外は前記と同一条件にて活性炭の実施例(4)を得た。
前記連続ベルト炉を用いた炭素化処理において,炉内上部の温度が790℃に,炉内中央部の温度が780℃に,炉内下部の温度が770℃にそれぞれなるように温度調節を行い,また処理時間を30分間に設定して炭素化物集合体を得た。この炭素化物集合体の上面側における炭素化物の真比重は,前記同様に1.585であり,また厚さのほぼ2分の1位置における炭素化物の真比重は,前記同様に1.570であり,さらに下面側における炭素化物の真比重は,前記同様に1.560であった。よって,前記同様に,炭素化物の平均真比重MG は1.572であり,また真比重の範囲rは0.025である。
B.比較のため,次のような方法で活性炭の比較例(1a),(2a),(3a),(4a)を製造した。
〔I〕炭素原料の製造
前記同様に,100%光学異方性合成メソフェーズピッチを用いてメルトブロー法により紡糸を行い繊維状物を得た。次いで,この繊維状物を堆積して,炭素原料としての,厚さ5cmの帯状繊維集合体を得た。
〔II〕酸素架橋処理
前記同様に,繊維集合体をステンレス鋼製金網よりなるベルトコンベヤに載せて処理炉内に導入し,空気供給量1500m3 /min ,昇温速度20℃/min ,320℃にて30時間保持の条件で酸素架橋処理を行った。
〔III 〕炭素化処理
繊維集合体をベルトコンベヤに載せて連続ベルト炉内を通過させ,その間に繊維集合体の炭素化を行った。この場合,炉内上部の温度が850℃に,炉内中央部の温度が790℃に,炉内下部の温度が740℃にそれぞれなるように温度調節を行い,また処理時間を30分間に設定した。
これにより,炭素化物集合体が得られ,その上面側における炭素化物の真比重は1.690であり,また厚さのほぼ2分の1位置における炭素化物の真比重は1.590であり,さらに下面側における炭素化物の真比重は1.460であった。よって,炭素化物の平均真比重MG は1.580であり,また真比重の範囲rは0.230であって,前記0.025に比べてほぼ1桁大であった。
前記同様に,炭素化物集合体に,高速回転ミルを用い粉砕処理を施して平均粒径Adが15μmの粉末状炭素化物を得た。
〔IV〕アルカリ賦活処理
(a)前記同様に,300gの粉末状炭素化物と,570g(重量で粉末状炭素化物の1.9倍量)の純度85%のKOHペレットとを十分に混合し,次いでその混合物をNi製円筒形反応管に充填した。
(b)その円筒形反応管を電気炉内に設置して,窒素気流中,昇温速度200℃/h,450℃にて3時間保持,それに次ぎ,730℃にて3時間保持した。次いで,円筒形反応管を電気炉から取出して処理粉末を常温まで冷却し,さらに蒸留水により処理粉末をスラリ状にして円筒形反応管より排出した。爾後,90℃の温水による洗浄,HClによる洗浄,ろ過および150℃以下の温度での乾燥を行って平均粒径Adが15μmの活性炭の比較例(1a)を得た。
また前記アルカリ賦活処理において,KOHペレットの量を600g(重量で粉末状炭素化物の2倍量)に設定した,ということ以外は前記と同一条件にて電極用活性炭の比較例(2a)を得た。
さらに前記アルカリ賦活処理において,KOHペレットの量を630g(重量で粉末状炭素化物の2.1倍量)に設定した,ということ以外は前記と同一条件にて電極用活性炭の比較例(3a)を得た。
さらにまた前記アルカリ賦活処理において,KOHペレットの量を660g(重量で粉末状炭素化物の2.2倍量)に設定した,ということ以外は前記と同一条件にて電極用活性炭の比較例(4a)を得た。
前記連続ベルト炉を用いた炭素化処理において,炉内上部の温度が850℃に,炉内中央部の温度が750℃に,炉内下部の温度が650℃にそれぞれなるように温度調節を行い,また処理時間を30分間に設定して炭素化物集合体を得た。この炭素化物集合体の上面側における炭素化物の真比重は1.670であり,また厚さのほぼ2分の1位置における炭素化物の真比重は1.550であり,さらに下面側における炭素化物の真比重は1.390であった。よって,炭素化物の平均真比重MG は1.537であり,また真比重の範囲rは0.280,といったように大であった。
C.活性炭の比表面積および細孔容積
活性炭の実施例(1)〜(4)および比較例(1a)〜(4a)について,それらの比表面積を窒素吸着によるBET法により測定し,またそれらの細孔容積をt−プロット法により測定した。
表1は,活性炭の実施例および比較例の比表面積と細孔容積を示す。
Figure 0004499100
活性炭において,高い静電容量と耐久性を持つためには,前記比表面積Aが1200m2 /g以上であり,また前記細孔容積Vが0.3ml/g以下であることが望ましい。表1より,活性炭の実施例および比較例はこれらの要件を満たしていることが判る。
また活性炭の実施例(1)と比較例(1a),実施例(2)と比較例(2a),実施例(3)と比較例(3a)および実施例(4)と比較例(4a)とはそれぞれ異なった炭素化物を用いて得られたものであるにも拘らず,比表面積および細孔容積はほぼ同じであることが判る。
D−1.円筒型電気二重層キャパシタの製作
活性炭の実施例(1),カーボンブラック(導電フィラ)およびPTFE(結着剤)を85.6:9.4:5の重量比となるように秤量し,次いでその秤量物を混練し,その後,混練物を用いて圧延を行うことによって,密度が0.8〜1.0g/mlで厚さが150μmの電極シートを製作した。電極シートから2枚の分極性電極を切出し,これら2枚の分極性電極を用いて,図1〜5に示した円筒型電気二重層キャパシタの実施例(1)を製作した。電解液としては,1.8M/Lのトリエチルメチルアンモニウム・テトラフロオロボーレイト[(C2 5 3 CH3 NBF4 ]のプロピレンカーボネート溶液を用いた。活性炭の実施例(2)〜(4),比較例(1a)〜(4a)を用い,前記同様の方法で,7種の円筒型電気二重層キャパシタの実施例(2)〜(4),比較例(1a)〜(4a)を製作した。
D−2.ボタン型電気二重層キャパシタの製作
活性炭の実施例(1),カーボンブラック(導電フィラ)およびPTFE(結着剤)を85.6:9.4:5の重量比となるように秤量し,次いでその秤量物を混練し,その後,混練物を用いて圧延を行うことによって,密度が0.8〜1.0g/mlで厚さが150μmの電極シートを製作した。電極シートから直径20μmの2枚の分極性電極を切出し,これら2枚の分極性電極と,直径20mm,厚さ75μmのPTFE製スペーサ,電解液等を用いて図6のボタン型電気二重層キャパシタの実施例(1)を製作した。電解液としては,1.8M/Lのトリエチルメチルアンモニウム・テトラフロオロボーレイト[(C2 5 3 CH3 NBF4 ]のプロピレンカーボネート溶液を用いた。活性炭の実施例(2)〜(4),比較例(1a)〜(4a)を用い,前記同様の方法で,7種のボタン型電気二重層キャパシタの実施例(2)〜(4),比較例(1a)〜(4a)を製作した。
E.活性炭の体積静電容量密度
ボタン型電気二重層キャパシタの実施例および比較例等について,次のような充放電サイクルを行い,次いでエネルギ換算法にて各活性炭の単位体積当りの静電容量密度,つまり体積静電容量密度(F/cm3 )を求めた。充放電では,2.7Vまで90分間の定電流定電圧充電を行い,次いで90分間の定電流放電を,2mA/cm2 の電流密度で0Vまで行った。
表2は,活性炭の実施例及び比較例の体積静電容量密度(F/cm3 )を示す。
Figure 0004499100
表2より,活性炭の実施例の体積静電容量密度は,対応する活性炭の比較例の体積静電容量密度よりも大きく、例えば実施例(1)の値は比較例(1a)の値に比べて大きい。
F.耐久性テスト
円筒型電気二重層キャパシタの実施例および比較例について,25℃にて2.7Vの定電圧印加を24時間行い,次いで静電容量を測定して,これを初期値とした。次いで,円筒型電気二重層キャパシタの実施例および比較例について,45℃の恒温槽内で2.7Vの定電圧印加を48,200,400,800,1000および1200時間行い,各時間経過毎に静電容量を測定した。表3は測定結果を示す。
Figure 0004499100
図7は,表3に基づき円筒型電気二重層キャパシタの実施例および比較例について電圧印加時間と静電容量との関係をグラフ化したものである。図7より,円筒型電気二重層キャパシタ,つまり活性炭について,実施例(1)は比較例(1a)に,実施例(2)は比較例(2a)に,実施例(3)は比較例(3a)に比べて優れた耐久性を有することが判る。実施例(4)は比較例(4a)に比べて僅かではあるが耐久性の向上が認められる。
また円筒型電気二重層キャパシタの実施例および比較例について,(測定値/初期値)×100(%)として静電容量維持率を求めたところ,表4の結果を得た。
Figure 0004499100
表2および表4に基づき,活性炭の実施例(1)〜(4)および比較例(1a)〜(4a)について,電圧印加1000時間経過後の体積静電容量密度を算出し,それらの値と表2の初期値との関係をグラフ化したところ,図8の結果を得た。図8からも,実施例(1)は比較例(1a)に,実施例(2)は比較例(2a)に,実施例(3)は比較例(3a)に比べて体積静電容量密度の減少率が低く,優れた耐久性を有することが判る。実施例(4)は比較例(4a)に比べて僅かではあるが耐久性の向上が認められる。
円筒型電気二重層キャパシタ1においては,帯状正,負極6,7の幅および長さの調整を行って任意の大きさの電極巻回体3を簡単に製作することができ,また巻回強さを高めて帯状正,負極6,7を圧密化し,活性炭の充填率の向上を図ることが可能である。円筒状密閉容器2は容積当りのエネルギー密度W・h/Lを高めたものであり,容器2の内容積に対する活性炭の体積分率は44%であった。容器としては充放電による体積変化が1%以下であるものが好ましく,その構成材料には,Al,Ti,Mg,Fe,Cr,Ni,Mn,CaおよびZr,またはこれらのうちの少なくとも一種を含む合金が該当するが,これらに限定されることはない。電気二重層キャパシタを,複数のセルを積み重ねて,立方体,直方体等のスタック型に構成することが可能である。このように構成すると,キャパシタモジュールの体積効率を円筒型のものを用いた場合よりも向上させることができる。
電解液は,前記のものに限定されることはなく,高濃度の電解液が得られる,電解質および溶媒の組み合わせが望ましい。例えば,電解質としては,前記以外の四級アンモニウムカチオン,ピロリジニウムカチオン,イオン性液体,例えばアルキルイミダゾリウム類を挙げることができる。また,溶媒としては,プロピレンカーボネート,エチレンカーボネート等の環状カーボネート類,鎖状カーボネート類,置換基としてハロゲン(Cl,F等)を含んだカーボネート誘導体等を挙げることができる。誘電率が小さいジメチルカーボネート,エチルメチルカーボネート,ジエチルカーボネート等の鎖状カーボネート類はイオン性液体の溶媒に適している。また溶媒は単一物または混合物として用いられる。

Claims (6)

  1. 炭素化物にアルカリ賦活処理を施して,電気二重層キャパシタの電極用活性炭を製造するに当り,前記炭素化物として,合成メソフェーズピッチ,石油メソフェーズピッチ,石炭メソフェーズピッチ,石油コークス,石炭コークスまたは石油ピッチを,酸素架橋処理及び炭素化処理を施してなり、かつ、平均真比重が1.450〜1.650であり,且つ真比重の最大値と最小値との差が0.025以下であるものを用いることを特徴とする電気二重層キャパシタの電極用活性炭の製造方法。
  2. 前記炭素化処理は炉内で600℃〜1000℃の加熱温度で行われ,且つ炉内上部と炉内下部との温度差が1℃〜50℃であることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
  3. 前記炉内上部と前記炉内下部との温度差が20℃であることを特徴とする請求項記載の製造方法。
  4. 前記炭素化処理が前記炉内で10分〜300分の範囲で行われ,炉内上部の温度が790℃,炉内中央部の温度が780℃,炉内下部の温度が770℃であることを特徴とする請求項3記載の方法。
  5. 炭素原料が1cm〜50cmの厚さを有する繊維集合体であることを特徴とする請求項記載の製造方法。
  6. 前記厚さが3cm〜20cmであることを特徴とする請求項記載の製造方法。
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