JP2009260177A - 電気二重層キャパシタ電極用活性炭およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】易黒鉛化性炭素材を、焼成処理後、アルカリ金属水酸化物を用いて賦活処理を行い、しかる後、径が異なる2種類のボールを用いて湿式粉砕処理することを特徴とする、平均粒子径が0.5〜5μmであり、かつBET比表面積が1500〜2500m2/gである電気二重層キャパシタ電極用活性炭の製造方法。
【選択図】図1
Description
アルカリ賦活して得られる活性炭は比較的比表面積が大きく、しかも電気二重層キャパシタ用電極を作製するに当たっては、活性炭の平均粒径が小さく、活性炭の粒度が揃っており、粗大粒子を含まないことが求められる。
また本発明は、易黒鉛化性炭素材の平均粒子径が0.5〜8μmであることを特徴とする前記の電気二重層キャパシタ電極用活性炭の製造方法に関する。
また本発明は、焼成処理温度が500〜700℃であることを特徴とする前記の電気二重層キャパシタ電極用活性炭の製造方法に関する。
また本発明は、径が異なる2種類のボールは、大きいボールの径が1〜30mmであり、小さいボールの径は大きいボールの径の1/10〜1/2であることを特徴とする前記の電気二重層キャパシタ電極用活性炭の製造方法に関する。
また本発明は、前記の製造方法により得られる電気二重層キャパシタ電極用活性炭に関する。
さらに本発明は、前記の電気二重層キャパシタ電極用活性炭を用いた電気二重層キャパシタに関する。
本発明において出発原料として用いる易黒鉛化性炭素材としては、石油コークスや石炭コークス等を炭素化したもの、メソフェーズピッチやそれを紡糸したメソフェーズピッチ繊維を不融化・炭素化したもの等を挙げることができるが、本発明においては石油コークスが好ましく、石油生コークスが特に好ましい。
本発明で出発原料として好ましく使用される石油生コークスは、アルキル側鎖を持つ多環芳香族化合物の積層した集合体で、熱不融の固体である。
本発明においては、上記易黒鉛化性炭素材を焼成処理したのち、アルカリ金属水酸化物を用いて賦活工程で賦活処理を行う。
その際、少なくとも賦活工程の前の易黒鉛化性炭素材の平均粒子径を0.5〜8μm、好ましくは1〜6μmに調整する。易黒鉛化性炭素材の粒子径が0.5μm未満では、粒子同士の融着による粒子径の増大を招くため好ましくなく、易黒鉛化性炭素材の粒子径が8μmを超えると、目的とする活性炭の粒子径より大きくなるため好ましくない。
易黒鉛化性炭素材の粒子径を調整する方法としては特に限定されないが、通常、ジェットミル等の粉砕手段で粉砕する。粉砕は、通常、後述する焼成処理の後に行うが、焼成処理の前に行っても良い。
賦活工程における賦活処理の反応条件は、この反応を充分に進行させることができれば特に限定されず、通常の活性炭の製造で行われる公知の賦活処理と同様の反応条件のもとで賦活反応を行うことができる。例えば、賦活工程における賦活反応は、通常の活性炭の製造で行われるアルカリ金属水酸化物を焼成後の炭化物に混合し、好ましくは400℃以上、より好ましくは600℃以上、更に好ましくは700℃以上の高温の温度条件のもと加熱することにより行うことができる。なお、この加熱温度の上限は賦活反応が支障なく進行する温度であれば特に限定されないが、通常900℃以下が好ましい。
アルカリ賦活方法は、通常、アルカリ金属水酸化物等の賦活剤と炭化物を混合し、加熱することにより行われる。炭化物と賦活剤との混合割合は特に限定されるものではないが、通常、両者の質量比(炭化物:賦活剤)が1:0.5〜1:5の範囲が好ましく、1:1〜1:3の範囲がより好ましい。
スラリー濃度は2〜40%の範囲が好ましく、5〜20%の範囲がより好ましい。スラリー濃度が2%未満の場合は粉砕の効率が悪くなるため好ましくなく、スラリー濃度が40%を超えると流動性が損なわれてボールによる衝撃力が低下するため好ましくない。
湿式粉砕に用いる装置は、本発明の目的が達成されれば特に限定されるものではなく、例えば、ボールミル、アトライタ、サンドミル、ビーズミル等が挙げられるが、ボールミルが好ましく採用される。
ボールとしては、アルミナボール、ジルコニアボール、ステンレスボール、窒化ケイ素ボール、タングステンカーバイドボール等が挙げられる。
本発明では、粉砕時の衝撃を和らげるために、ボール径が異なる少なくとも2種類のボールを用いることが必要である。その場合、融着粒子の解砕が主で、粒子の粉砕は比較的少なくなるようなボールの組合せが重要である。
大きいボールの径(直径)は1〜30mmが好ましく、5〜20mmがより好ましい。小さいボールの径は、大きいボールのボール径に対して1/10〜1/2の範囲が好ましい。
大きいボールの総重量と小さいボールの総重量の比は、1/10〜10/1の範囲であることが好ましく、2/8〜8/2の範囲がより好ましい。
粉砕時間は、あまり長すぎても、また短かすぎても目的の粒子径、表面積をもつ活性炭が得られないため30分〜5時間が好ましく、より好ましくは60分〜3時間である。また、回転数は10〜100rpmが好ましく、より好ましくは30〜60rpmである。
洗浄液としては、水および酸水溶液を用いることが好ましく、例えば、水による洗浄、酸水溶液による洗浄、さらに水による洗浄などを適宜組み合わせて用いることができる。 酸水溶液としては、塩酸、ヨウ化水素酸、臭化水素酸等のハロゲン化水素酸、硫酸、炭酸等の無機酸を好ましい例として挙げることができる。酸水溶液の濃度は、例えば、0.01〜3Nを挙げることができる。これらの洗浄液による洗浄は、必要に応じて、複数回反復して行うことができる。
本発明の電気二重層キャパシタは、前記のように調製された活性炭を含む電極を備えることを特徴とするものである。
該電極は、例えば、活性炭と結着剤、さらに好ましくは導電剤を加えて構成され、またさらに集電体と一体化した電極であっても良い。
ここで使用する結着剤としては、公知のものを使用することができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、フルオロオレフィン/ビニルエーテル共重合体架橋ポリマー等のフッ素化ポリマー、カルボキシメチルセルロース等のセルロース類、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等のビニル系ポリマー、ポリアクリル酸等が挙げられる。電極中における結着剤の含有量は特に限定されないが、活性炭と結着剤の合計量に対して、通常0.1〜30質量%程度の範囲内で適宜選択される。
なお、活性炭、結着剤、導電剤を混合する方法としては、公知の方法が適宜適用され、例えば、結着剤を溶解する性質を有する溶媒を上記成分に加えてスラリー状としたものを集電体上に均一に塗布する方法や、あるいは溶媒を加えないで上記成分を混練した後に常温または加熱下で加圧成形する方法が採用される。
また、集電体としては、公知の材質および形状のものを使用することができ、例えば、アルミニウム、チタン、タンタル、ニッケル等の金属、あるいはステンレス等の合金を用いることができる。
電解液としては、公知の水系電解液、有機系電解液を使用することができるが、有機系電解液を用いることがより好ましい。このような有機系電解液としては、電気化学の電解液の溶媒として使用されているものを用いることができ、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、スルホラン、スルホラン誘導体、3−メチルスルホラン、1,2−ジメトキシエタン、アセトニトリル、グルタロニトリル、バレロニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、メチルフォルメート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等を挙げることができる。なお、これらの電解液を混合して使用してもよい。
電気二重層キャパシタのより具体的な構成は特に限定されないが、例えば、厚さ10〜500μmの薄いシート状またはディスク状の一対の電極(正極と負極)の間にセパレータを介して金属ケースに収容したコイン型、一対の電極をセパレータを介して捲回してなる捲回型、セパレータを介して多数の電極群を積み重ねた積層型等が挙げられる。
なお、水素/炭素原子比、揮発分、真密度、比表面積、粒度分布測定、静電容量は以下の方法で求めた。
(1)水素/炭素原子比
有機元素分析装置(住化分析センター社製SUMIGRAPH HCN−22F)を用いて試料中の炭素質量%、水素質量%を求め、水素/炭素原子比を算出した。
(2)揮発分
JIS M8812「石炭類及びコークス類−工業分析法」に記載の方法に準拠して測定した。
(3)真密度
JIS K2151に準拠して測定した。
(4)比表面積
窒素ガス吸着法(BET法)により測定した。
(5)粒度分布測定
レーザー回折式粒度分布測定装置(堀場製作所社製、LA−950型)を用いて水を分散媒として少量の界面活性剤を添加し超音波を照射した後、測定した。得られた体積基準の粒度積分曲線より10%粒子径(D10)、50%粒子径(平均粒子径(D50))、90%粒子径(D90)を求めた。
(6)静電容量
上記コイン型セルに1F当たり2mAの定電流で2.7Vまで充電した。充電終了後30分2.7Vに保持した後、1mAの定電流放電を20℃で行った。そして、放電カーブにおいて、充電電圧の80%をV1、40%をV2、80%から40%まで電圧が降下するまでにかかる時間をΔT、放電電流値をIとしたとき、以下の式に従って静電容量C[F]を算出し、これを電極に含まれる活性炭の質量(正極、負極の合計)で割ると、質量あたり静電容量[F/g]が算出される。このF/gに、電極密度[g/cc]を掛けてF/ccを算出した。
静電容量C[F]=IΔT/(V1−V2)
原料として石油生コークスを使用した。その物性を表1に示す。
上記生コークスを窒素ガス雰囲気中、550℃で1時間焼成した。その際、昇温速度は、200℃/時間とした。焼成後の炭化物の物性を表1に示す。この炭化物をジェットミルで粉砕したときの粒度分布を図1に示す。粉砕物の平均粒子径(D50)は2.5μmであった。次に、この粉砕物100質量部に対して水酸化カリウムが220重量部となるように混合し、窒素ガス雰囲気中、700℃で1時間賦活反応を行った。反応後に反応物を水中に投じアルカリスラリーを得た。
このスラリー500g(固形分/水=1/20重量比)を内径234mm、高さ234mmのボールミルポットにアルミナボール(直径17mmのもの5kg、直径5mmのもの5kg)とともに投入し、60rpmの回転速度で1時間、粉砕処理した。この粉砕物を水洗及び酸洗浄(塩酸を使用)を繰り返して残存カリウムを除去したものを、乾燥して活性炭を得た。得られた活性炭の粒度分布を図1に示す。この活性炭の平均粒子径は3.9μmであり、比表面積は2220m2/gであった。結果を表2に示す。
上記電極シートから直径16mmの円盤状ディスクを2枚打ち抜き、120℃、13.3Pa(0.1Torr)で2時間真空乾燥した後、露点−85℃の窒素雰囲気下のグローブボックス中にて、有機電解液(トリエチルメチルアンモニウムテトラフルオロボレートのプロピレンカーボネート溶液、濃度:1モル/リットル)を真空含浸せしめた。次に、2枚の電極を各々正極、負極とし、両極間にセルロース系セパレータ(ニッポン高度紙工業社製、商品名:TF40−50、厚さ:50μm)、両端にはアルミ箔の集電体を取り付け、宝泉社製の2極式セルに組み込んで電気二重層キャパシタ(コイン型セル)を作製した。得られた各キャパシタについて静電容量を測定した。結果を表3に示す。
実施例1で用いた原料生コークスを650℃で1時間焼成した。昇温速度や雰囲気ガスは実施例1と同様とした。焼成後の炭化物の物性を表1に示す。
この炭化物をジェットミルで粉砕した。粉砕物の粒度分布を図2に示す。平均粒子径(D50)は0.9μmであった。この粉砕物を実施例1と同様にして賦活処理し、アルカリスラリーを得た。
このスラリー500g(固形分/水=1/10重量比)を実施例1と同様のボールミルを用いて60rpmの回転速度で3時間、粉砕処理した。この粉砕物を水洗及び酸洗浄(塩酸を使用)を繰り返して残存カリウムを除去したものを、乾燥して活性炭を得た。得られた活性炭の粒度分布を図2に示す。この活性炭の平均粒子径は1.0μmであり、比表面積は1680m2/gであった。結果を表2に示す。
次に、この活性炭を用いて実施例1と同様にして電気二重層キャパシタを作製し、静電容量を測定した。結果を表3に示す。
実施例1で用いた生コークス焼成物をジェットミルで粉砕した。粉砕物の粒度分布を図3に示す。平均粒子径(D50)は4.7μmであった。この粉砕物を実施例1と同様にして賦活し、アルカリスラリーを得た。
このスラリー500g(固形分/水=1/20重量比)を実施例1と同様のボールミルを用いて60rpmの回転速度で4時間、粉砕処理した。この粉砕物を水洗及び酸洗浄(塩酸を使用)を繰り返して残存カリウムを除去したものを、乾燥して活性炭を得た。得られた活性炭の粒度分布を図3に示す。この活性炭の平均粒子径は4.0μmであり、比表面積は2120m2/gであった。結果を表2に示す。
次に、この活性炭を用いて実施例1と同様にして電気二重層キャパシタを作製し、静電容量を測定した。結果を表3に示す。
実施例1で用いた原料生コークスのジェットミル粉砕物を実施例1と同様にして賦活処理し、アルカリスラリーを得た。
このスラリーについて、水洗及び酸洗浄(塩酸を使用)を繰り返して残存カリウムを除去し、洗浄スラリーを得た。このスラリー500g(固形分/水=1/20重量比)を実施例1と同様のボールミルを用いて60rpmの回転速度で1時間、粉砕処理した。得られた活性炭の平均粒子径は3.6μmであり、比表面積は2260m2/gであった。結果を表2に示す。
次に、この活性炭を用いて実施例1と同様にして電気二重層キャパシタを作製し、静電容量を測定した。結果を表3に示す。
実施例1で用いた原料生コークスのジェットミル粉砕物を実施例1と同様にして賦活処理し、アルカリスラリーを得た。
このスラリーについて、水洗及び酸洗浄(塩酸を使用)を繰り返して残存カリウムを除去し、乾燥して活性炭を得た。得られた活性炭の粒度分布を図4に示す。この活性炭の平均粒子径は15.1μmであり、比表面積は2320m2/gであった。結果を表2に示す。
次に、この活性炭を用いて実施例1と同様にして電気二重層キャパシタを作製し、静電容量を測定した。結果を表3に示す。
比較例1で得た乾燥した活性炭20gを、実施例1で用いたボールミルポットとアルミナボールに投入し、60rpmの回転速度で3時間、粉砕処理した。得られた活性炭の平均粒子径は3.8μmであり、比表面積は1460m2/gであった。結果を表2に示す。
次に、この活性炭を用いて実施例1と同様にして電気二重層キャパシタを作製し、静電容量を測定した。結果を表3に示す。
実施例4と同様の操作で得た洗浄スラリー500gを、アルミナボールに直径17mmのものを10kg用いた以外は同様にして湿式粉砕処理した。得られた活性炭の平均粒子径は6.7μmであり、比表面積は2190m2/gであった。結果を表2に示す。
次に、この活性炭を用いて実施例1と同様にして電気二重層キャパシタを作製し、静電容量を測定した。結果を表3に示す。
実施例4と同様の操作で得た洗浄スラリー500gを、アルミナボールに直径5mmのものを10kg用いた以外は同様にして湿式粉砕処理した。得られた活性炭の平均粒子径は7.4μmであり、比表面積は2040m2/gであった。結果を表2に示す。
次に、この活性炭を用いて実施例1と同様にして電気二重層キャパシタを作製し、静電容量を測定した。結果を表3に示す。
Claims (6)
- 易黒鉛化性炭素材を、焼成処理後、アルカリ金属水酸化物を用いて賦活処理を行い、しかる後、径が異なる2種類のボールを用いて湿式粉砕処理することを特徴とする、平均粒子径が0.5〜5μmであり、かつBET比表面積が1500〜2500m2/gである電気二重層キャパシタ電極用活性炭の製造方法。
- 易黒鉛化性炭素材の平均粒子径が0.5〜8μmであることを特徴とする請求項1に記載の電気二重層キャパシタ電極用活性炭の製造方法。
- 焼成処理温度が500〜700℃であることを特徴とする請求項1または2に記載の電気二重層キャパシタ電極用活性炭の製造方法。
- 径が異なる2種類のボールは、大きいボールの径が1〜30mmであり、小さいボールの径は大きいボールの径の1/10〜1/2であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電気二重層キャパシタ電極用活性炭の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法により得られる電気二重層キャパシタ電極用活性炭。
- 請求項5に記載の電気二重層キャパシタ電極用活性炭を用いた電気二重層キャパシタ。
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