JP4496957B2 - 車両用交流発電機の整流器、およびこれを用いた車両用交流発電機 - Google Patents

車両用交流発電機の整流器、およびこれを用いた車両用交流発電機 Download PDF

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Description

本発明は、自動車等に搭載される車両用交流発電機の整流器、およびこれを用いた車両用交流発電機に関する。
〔従来の技術〕
従来より、車両用交流発電機の整流器は、正極側整流素子を内蔵するとともに、正極側整流素子の整流作用に伴い発生する熱を放熱する正極側放熱フィンと、負極側整流素子を内蔵するとともに、負極側整流素子の整流作用に伴い発生する熱を放熱する負極側放熱フィンと、正極側整流素子と負極側整流素子とに接続して整流回路を構成する導電部材を保持する端子台とを備える。そして、整流器は、整流回路の作用により、ステータコイルに誘起された交流電圧を直流電圧に変換する。
このような従来の整流器100の正極側放熱フィンおよび負極側放熱フィンの少なくとも一方の放熱フィン101は、図5に示すように、他の電気部品(例えば、電圧調整器)の端子102とネジ締めにより接続されている。そして、この接続は、例えば図5(a)および図6に示すように、放熱フィン101に雌ネジ穴103を設け、この雌ネジ穴103と雄ネジ部材104とを締結させることにより行われている。
また、図5(b)に示すように、端子台105を接続部分まで延長するとともに、放熱フィン101には雄ネジ部材104の軸部が貫通する貫通穴106を設け、端子台105には雄ネジ部材104と締結されるナット等の雌ネジ部材107を収容する収容穴108を設けた構造も提案されている。この構造を用いた技術では、収容穴108が雌ネジ部材107の形状に応じた形状に設けられ、雌ネジ部材107の回動が防止される。そして、収容穴108に雌ネジ部材107を収容し雌ネジ部材107と雄ネジ部材104とを締結することで、放熱フィン101と端子102とを接続している。
〔従来技術の不具合〕
しかし、図5(a)に示す技術では、整流作用に伴う発熱により放熱フィン101の温度が上昇すると、雄ネジ部材104と雌ネジ穴103との締結が緩み、雄ネジ部材104が脱落してしまう虞がある。そして、近年のように電気負荷の増加が著しい状況では、このような発熱による雄ネジ部材104と雌ネジ穴103との締結の緩み、雄ネジ部材104の脱落の虞がますます高まっている。
また、図5(b)に示す技術では、雌ネジ部材107と雄ネジ部材104とを締結する際、雌ネジ部材107に大きなトルクが作用する。このため、端子台105の樹脂部分が割れてしまう虞がある。
なお、端子台105に雌ネジを有する固定金具を装着し、固定金具と雄ネジ部材104とを締結させる技術が提案されている。しかし、この技術は、放熱フィン101と端子台105との締結を強化して振動を低減することを主目的としており、固定金具と雄ネジ部材104とを締結する際、固定金具に作用するトルクにより、図5(b)に示す技術と同様に、端子台105の樹脂部分が割れてしまう虞がある(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−169457号公報
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、車両用交流発電機の整流器の放熱フィンと他の電気部品の端子とのネジ締め接続部分において、昇温によるネジ締めの緩み、ネジ部材の脱落を防止するとともに、ネジ締め時のトルク負荷による端子台の樹脂割れを防止することができる構造を提供することにある。
〔請求項1の手段〕
請求項1に記載の車両用交流発電機の整流器は、正極側整流素子を内蔵するとともに、正極側整流素子の整流作用に伴い発生する熱を放熱する正極側放熱フィンと、負極側整流素子を内蔵するとともに、負極側整流素子の整流作用に伴い発生する熱を放熱する負極側放熱フィンと、正極側整流素子と負極側整流素子とに接続して整流回路を構成する導電部材を保持する端子台とを備え、正極側放熱フィンおよび負極側放熱フィンの少なくとも一方の放熱フィンが、ネジ締めにより他の電気部品の端子と接続される。そして、一方の放熱フィンは、雌ネジ部材または雌ネジ部材に締結する雄ネジ部材の頭部を収容し、雌ネジ部材または雄ネジ部材の頭部の回動を阻止する収容部、および、収容部に開口し、雄ネジ部材の軸部が貫通する貫通部を有するように、アルミダイカストにより設けられている。
これにより、放熱フィンに、直接、雌ネジ穴を設ける場合よりも、雌ネジと雄ネジとの締結部への熱伝達が緩和される。このため、発熱によるネジ締めの緩み、ネジ部材の脱落を防止することができる。
また、端子台にはネジ締めによりトルクが負荷される部分が存在しなくなる。このため、ネジ締め時のトルク負荷による端子台の樹脂割れを防止することができる。
また、収容部、一方の放熱フィンの一方面に凹状に設けられ、貫通部、一方の放熱フィンの他方面と収容部をなす凹面とに開口している。
これにより、収容部および貫通部を、アルミダイカストにて同時成型することができる。このため、放熱フィンの製造工数を低減することができる。
また、端子台、収容部が設けられている位置まで延長されている。
これにより、収容部を端子台で封鎖することができる。このため、収容部に雌ネジ部材を収容して、収容部を端子台により封鎖することにより、雌ネジ部材を安定して保持することができる。
〔請求項の手段〕
請求項に記載の車両用交流発電機は、請求項1に記載の整流器を用いて構成される。
最良の形態1の車両用交流発電機の整流器は、正極側整流素子を内蔵するとともに、正極側整流素子の整流作用に伴い発生する熱を放熱する正極側放熱フィンと、負極側整流素子を内蔵するとともに、負極側整流素子の整流作用に伴い発生する熱を放熱する負極側放熱フィンと、正極側整流素子と負極側整流素子とに接続して整流回路を構成する導電部材を保持する端子台とを備え、正極側放熱フィンおよび負極側放熱フィンの少なくとも一方の放熱フィンが、ネジ締めにより他の電気部品の端子と接続される。そして、一方の放熱フィンは、雌ネジ部材または雌ネジ部材に締結する雄ネジ部材の頭部を収容し、雌ネジ部材または雄ネジ部材の頭部の回動を阻止する収容部、および、収容部に開口し、雄ネジ部材の軸部が貫通する貫通部を有するように、アルミダイカストにより設けられている。
また、収容部、一方の放熱フィンの一方面に凹状に設けられ、貫通部、一方の放熱フィンの他方面と収容部をなす凹面とに開口している。
また、端子台は、収容部が設けられている位置まで延長されている。
〔実施例1の構成〕
実施例1の整流器1の構成を図面を用いて説明する。
まず、整流器1が用いられる車両用交流発電機2の構成を、図1を用いて説明する。車両用交流発電機2は、界磁極として機能するロータ3、ロータ3の回転に伴い交流電圧が誘起されるステータ4、誘起された交流電圧を直流電圧に変換する整流器1、整流器1から出力される直流電圧を適正な大きさに規制する電圧調整器5、ロータ3に界磁電流を供給するブラシ6、ロータ3およびステータ4を包囲収容するフロントフレーム7、リアフレーム8、リアフレーム8の端面に取り付けられて整流器1、電圧調整器5、ブラシ6等を覆う保護カバー9などを備える。
ロータ3は、励磁電流の通電を受けるロータコイル13、励磁電流の通電により励磁され磁極をなすポールコア14を有する。また、ロータ3は、シャフト15に組み付けられ、シャフト15の一端に組み付けられたプーリ16を介してエンジン(図示せず)の回転が伝達されるとともに、シャフト15の他端に設けられたスリップリング17を介して、ブラシ6から励磁電流の供給を受ける。なお、シャフト15はフロントフレーム7、リアフレーム8に保持される軸受け18、19により、支持されている。また、ポールコア14の両端面には、冷却フィン20、21が取り付けられている。
ステータ4は、交流電圧が誘起されるステータコイル25と、ステータコイル25を保持するとともに、ポールコア14から出た磁束を通すステータコア26とを有する。
次に、整流器1の構成を、図2を用いて説明する。整流器1は、正極側整流素子28を内蔵するとともに、正極側整流素子28による整流作用に伴い発生する熱を放熱する正極側放熱フィン29、負極側整流素子30を内蔵するとともに、負極側整流素子30による整流作用に伴い発生する熱を放熱する負極側放熱フィン31、および正極側整流素子28と負極側整流素子30とを接続して整流回路を構成する導電部材(図示せず)を保持する端子台32等からなる。なお、正極側、負極側放熱フィン29、31には、通気性を向上させ放熱性能を改善するために多数の通気孔33が設けられている。
〔実施例1の特徴〕
実施例1では、図3に示すように、正極側放熱フィン29が、ネジ締めにより電圧調整器5の正極端子36と接続されている。このネジ締めは、雄ネジ部材としてのボルト38と雌ネジ部材としてのナット39とを締結させることにより行われる。
正極側放熱フィン29には、六角状のナット39を収容し、ナット39の回動を阻止する収容部41、および、収容部41に開口し、ナット39に締結するボルト38の軸部が貫通する貫通部42が設けられている。
収容部41は、図4に示すように、ナット39の形状に応じた六角状に設けられナット39の回動を阻止する。また、収容部41は、正極側放熱フィン29の一方面44に凹状に設けられ一方面44に開口し、開口部45からナット39を差し入れることができる。また、端子台32が開口部45を覆って収容部41を封鎖できるような形状に成型されている。すなわち、端子台32の樹脂部分において、電圧調整器5の正極端子36と正極側放熱フィン29とのネジ締め位置に近い部分が、延長成型されている。これにより、収容部41は、ナット39を収容した状態で端子台32により封鎖される。また、貫通部42は、正極側放熱フィン29の他方面46と収容部41をなす凹面47に開口している。
なお、正極側放熱フィン29と端子台32とはスペーサ50とともにパイプリベット51を用いた固定手段により、リアフレーム8に積層固定される。
〔実施例1の効果〕
実施例1の整流器1は、正極側放熱フィン29が、ボルト38とナット39を用いたネジ締めにより、電圧調整器5の正極端子36と接続される。そして、正極側放熱フィン29は、ナット39を収容し、ナット39の回動を阻止する収容部41、および、収容部41に開口し、ボルト38の軸部が貫通する貫通部42が設けられている。
これにより、正極側放熱フィン29に、直接、雌ネジ穴を設ける場合よりも、ナット39の雌ネジとボルト38の雄ネジとの締結部への熱伝達が緩和される。このため、整流作用の発熱によるネジ締めの緩み、ボルト38の脱落を防止することができる。
また、端子台32にはネジ締めによりトルクが負荷される部分が存在しなくなる。このため、ネジ締め時のトルク負荷による端子台32の樹脂割れを防止することができる。
また、収容部41は、正極側放熱フィン29の一方面44に凹状に設けられ、一方面44に開口する。また、貫通部42は、正極側放熱フィン29の他方面46と収容部41をなす凹面47とに開口している。
これにより、収容部41および貫通部42を、アルミダイカストにて同時成型することができる。このため、正極側放熱フィン29の製造工数を低減することができる。
また、端子台32の樹脂部分において、電圧調整器5の正極端子36と正極側放熱フィン29とのネジ締め位置に近い部分が、延長成型されている。
これにより、収容部41を端子台32で封鎖することができる。このため、収容部41にナット39を収容して、収容部41を端子台32により封鎖することにより、ナット39を安定して保持することができる。
〔変形例〕
本実施例では、電圧調整器5の正極端子36と正極側放熱フィン29とのネジ締め部分に本発明が適用されたが、電圧調整器5の負極端子と負極側放熱フィン31とのネジ締め部分に本発明を適用することもできる。また、ブラシ6の端子と正極側、負極側放熱フィン29、31とのネジ締め部分に本発明を適用することもできる。
本実施例では、収容部41に雌ネジ部材であるナット39が収容されていたが、雄ネジ部材であるボルト38の頭部を収容部41に収容してもよい。
頭部収容の例。
車両用交流発電機の断面図である(実施例)。 整流器の平面図である(実施例)。 図2のAA断面図である(実施例)。 整流器の要部平面図である(実施例)。 整流器の要部断面図である(従来例)。 整流器の要部平面図である(従来例)。
符号の説明
1 整流器
2 車両用交流発電機
5 電圧調整器(他の電気部品)
6 ブラシ(他の電気部品)
28 正極側整流素子
29 正極側放熱フィン
30 負極側整流素子
31 負極側放熱フィン
32 端子台
36 正極端子(他の電気部品の端子)
38 ボルト(雄ネジ部材)
39 ナット(雌ネジ部材)
41 収容部
42 貫通部
44 一方面
46 他方面
47 凹面

Claims (2)

  1. 正極側整流素子を内蔵するとともに、前記正極側整流素子の整流作用に伴い発生する熱を放熱する正極側放熱フィンと、負極側整流素子を内蔵するとともに、前記負極側整流素子の整流作用に伴い発生する熱を放熱する負極側放熱フィンと、前記正極側整流素子と前記負極側整流素子とに接続して整流回路を構成する導電部材を保持する端子台とを備え、
    前記正極側放熱フィンおよび前記負極側放熱フィンの少なくとも一方の放熱フィンが、ネジ締めにより他の電気部品の端子と接続される車両用交流発電機の整流器において、
    前記一方の放熱フィンは、
    雌ネジ部材またはこの雌ネジ部材に締結する雄ネジ部材の頭部を収容し、前記雌ネジ部材または前記雄ネジ部材の頭部の回動を阻止する収容部、
    および、この収容部に開口し、前記雄ネジ部材の軸部が貫通する貫通部を有するように、アルミダイカストにより設けられ、
    前記収容部は、前記一方の放熱フィンの一方面に凹状に設けられ、前記貫通部は、前記一方の放熱フィンの他方面と前記収容部をなす凹面とに開口し、
    前記端子台は、前記収容部が設けられている位置まで延長されていることを特徴とする車両用交流発電機の整流器。
  2. 請求項1に記載の整流器を用いた車両用交流発電機。
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