JP4496601B2 - ゴム貼り合わせ用二軸延伸フィルム及び積層体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴムと貼り合せて使用される二軸延伸フィルム及びその二軸延伸フィルムを用いた積層体に関するものであり、さらに詳しくは、本発明は、タイヤや免振板などのゴムとの貼り合せ用二軸延伸フィルム及びその二軸延伸フィルムを用いた積層体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、素材としてゴムを中心としたタイヤや成形品では、成形性や耐久性を重視するため、ゴムに添加剤などを混入し、比較的厚みの大きい素材として使用されてきた。しかしながら、ゴムに添加剤を混入して厚みを大きくした場合、成形性と耐久性は向上するものの重量が増加し、軽量性の点では改善が求められている。
【0003】
このような課題に対し、タイヤなどの用途では、ゴムの厚みを薄くすると、空気圧の低下やゴムの摩耗時の信頼性の低下などが問題となり、その他の用途の成形品でも、ゴムの厚みを薄くすると機械特性が低下したり信頼性が低下するなどの問題点があった。
【0004】
これら課題の改善方法としては、通常の二軸延伸ポリエステルフィルムなどを接着剤を用いて成形品に貼り合せる方法などが考えられるが、成形性が大きく低下したり、フィルム自体が成形後に高い応力を有するため接着剤との間に大きな残留応力を生じて接着層が破壊したり、使用時にフィルム自体が破断し易いという欠点を有していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記した従来技術の問題点を解消することにあり、特に成形性と耐久性に優れたゴム貼り合わせ用二軸延伸フィルム及びその二軸延伸フィルムを用いた積層体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成せんとするものであって、本発明のゴム貼り合わせ用二軸延伸フィルムは、融点が150〜280℃の熱可塑性ポリマーからなり、25℃でのフィルムの降伏時応力が150MPa以下であり、フィルムの面配向係数が0.06〜0.145であることを特徴とするゴム貼り合わせ用二軸延伸フィルムであり、本発明においては、さらに、25℃での破断伸度が150%以上であること、および少なくとも片面の表面濡れ張力が50mN/m以上であることが、特に好ましい態様として含まれている。
【0007】
また、本発明のゴム貼り合わせ用二軸延伸フィルムは、少なくとも1層以上の接着剤層を介して、ゴムと貼り合わせて積層体とすることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明における二軸延伸フィルムでは、成形性と耐久性の点で、融点が150〜280℃の熱可塑性ポリマーを使用することが必要である。すなわち、二軸延伸フィルムとゴムとの貼り合わせの前後、または二軸延伸フィルムとゴムとの積層体を同時に成形する際の成形性および使用時の耐久性の点で、融点が150〜280℃であることが必要であり、成形性と耐久性を両立させる上では160〜270℃であることが好ましい。
【0009】
ここで融点とは、いわゆる示差温度熱量法(DSC)の1次昇温(1st・Run)時に検出される融解時の吸熱ピーク温度のことである。
【0010】
本発明で好適に使用することができる熱可塑性ポリマーとしては、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、エチレンビニルアルコール共重合体、エチレンビニルアセテート共重合体、アイオノマー、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ系ポリマー、アクリル酸系ポリマー、メタクリル酸系ポリマー、ポリスチレン、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミド、ポリ塩化ビニル及びそれらの共重合体および/または混合体などが挙げられるが、成形性と耐熱性の点では、ポリプロピレン、ポリエステルおよびポリアミドが好ましく用いられる。成形性と耐熱性が特に要求される用途では、ポリエステルが特に好ましい。ここでいうポリエステルとは、エステル結合により構成されるポリマーの総称である。 このエステル結合を形成する際に使用されるジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フタル酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキシンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、p−オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸、及びそれらのエステル化合物等を使用することができる。
【0011】
本発明のポリエステルでは、これらのジカルボン酸成分のうち、テレフタル酸の占める割合が80モル%以上であることが、耐熱性と耐久性の点で好ましい。
【0012】
また、エステル結合を形成する際に使用されるグリコール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS等の芳香族グリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール等のポリグリコール等を使用することができる。本発明のポリエステルでは、これらのグリコール成分のうち、エチエングリコール成分が50%以上であることが、耐熱性の点で好ましく、特に70モル%以上であることが好ましい。
【0013】
なお、これらのジカルボン酸成分とグリコール成分は、それぞれ2種以上を併用してもよい。
【0014】
さらに、本発明では、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、ポリエステルにトリメリット酸、トリメシン酸あるいはトリメチロールプロパン等の多官能化合物を共重合したポリエステルを使用することもできる。
【0015】
本発明では、接着性と製膜安定性をより向上させるために、ポリエステルの固有粘度が、好ましくは0.50dl/g以上、さらに好ましくは0.55dl/g以上、特に好ましくは0.60dl/g以上であるポリエステルが使用される。固有粘度が0.50dl/g未満では、接着性が低下する傾向があるため好ましくない。さらに固有粘度の上限としては、成形性の点で1.0dl/g以下が好ましく、0.8dl/g以下であれば特に成形性が良好となるので好ましい。
【0016】
さらに、耐久性の点で、ポリエステルのカルボキシル末端基量が10〜45当量/トンであることが好ましく、さらに好ましくは10〜40当量/トンである。
【0017】
本発明のポリエステルを製造する際に使用される触媒は特に限定されないが、アルカリ土類金属化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、アルミニウム化合物、アンチモン化合物、チタン化合物、チタン/ケイ素複合酸化物あるいはゲルマニウム化合物などを使用することができる。
【0018】
例えば、触媒としてチタン/ケイ素触媒を添加する場合には、テレフタル酸成分とエチレングリコール成分を反応させた後、次にチタン/ケイ素複合酸化物、リン化合物を添加し、引き続き高温、減圧下で一定のジエチレングリコール含有量になるまで重縮合反応させ、特定の触媒金属量、リン量を有するポリエステルを得る方法などが好ましく採用される。熱安定剤として添加されるリン化合物は特に限定されないが、リン酸あるいは亜リン酸などが好ましい。
【0019】
本発明の二軸延伸フィルムは、耐久性を良好とする上で、フィルム中の触媒金属残存量(M:単位ミリモル%)と、リン元素残存量(P:単位ミリモル%)の関係が下記式Iを満足することが好ましい。
【0020】
0.1≦M/P≦5 ・・・式I
さらに、耐久性を極めて良好とする点で、上記式Iに示したM/Pの値は0.2以上3以下であることが好ましい。
【0021】
本発明の二軸延伸フィルムは、耐熱性と耐久性の点から、熱可塑性ポリマーを二軸延伸化することが必要である。二軸延伸の方法としては、同時二軸延伸または逐次二軸延伸のいずれであってもよい。このとき、厚み斑の抑制を重視する用途では、同時二軸延伸が好ましい。
【0022】
さらに、本発明の二軸延伸フィルムは、成形性と耐久性の点で25℃でのフィルムの降伏時応力が、150MPa以下であることが必要である。フィルムの降伏時応力は、好ましくは10〜150MPa、さらに好ましくは20〜140MPa、特に好ましくは20〜130MPaである。このように降伏時応力が低いと、成形時の応力が小さく成形性が向上するとともに、成形後の残留応力が小さくなり、接着界面が安定し、耐久性が向上するものと考えられる。ここで、降伏時応力とはフィルムを伸長した際の降伏上点の応力を意味し、長手方向と幅方向で各10点測定し、長手方向の平均値と幅方向の平均値をさらに平均化した値を示すものである。降伏時応力が10未満であると成形性は良好となるが、耐久性が低下する場合がある。
【0023】
降伏応力を150MPa以下にする手段としては、ポリマーのガラス転移温度や結晶性を低下させる方法、二軸延伸時に延伸倍率を低下させたり、延伸速度を低くしたり、高温予熱後に高温で延伸する方法などが挙げられる。
【0024】
これらの方法を用いて、二軸延伸フィルムの面配向係数を、0.06〜0.145とすることが、降伏時応力を150MPa以下とする点で重要である。面配向係数(fn)とは、アッベ屈折計などを用いて測定されるフィルムの長手方向屈折率(Nx)、幅方向屈折率(Ny)、厚み方向屈折率(Nz)により下記定義式IIから算出される値である。
【0025】
fn=(Nx+Ny)/2−Nz ・・・式II
このときfnは、好ましくは0.07〜0.14であり、特に好ましくは0.08〜0.135である。
【0026】
このときフィルムの長手方向および幅方向が明らかでない場合は、配向の主軸方向、配向の主軸方向と垂直な方向、厚み方向の屈折率をそれぞれNx、Ny、Nzとして面配向係数を求めることができる。上記面配向係数を得る方法としては、ポリエステルの場合、縦延伸時にガラス転移温度+20℃〜ガラス転移温度+60℃以下で1〜5秒予熱後に延伸速度1000%/分〜200000/分、縦延伸倍率を2〜3.5倍とし、冷却後に横延伸の予熱を80〜120℃で行い、縦延伸温度+10℃〜縦延伸温度+40℃以下の温度で行なうことが好ましい。さらに、同時二軸延伸についても好適に行なうことができる。このとき、フィルムの厚み斑が好ましくは20%以下、さらに好ましくは10%以下となるように延伸温度と延伸倍率を最適化する必要がある。
【0027】
本発明の二軸延伸フィルムの厚みは、ゴムとの成形性、空気圧の保持、表面保護性、耐久性の点で、10〜500μmであることが好ましく、さらに好ましくは12〜300μmであり、特に好ましくは15〜200μmである。
【0028】
また、フィルムの成形性の点からは、本発明の二軸延伸フィルムの25℃での破断伸度は、150%以上であることが好ましく、さらに好ましくは160%以上600%以下、特に好ましくは170%以500%以下である。ここで、破断伸度は、フィルムの長手方向の平均破断伸度と幅方向の平均破断伸度を平均した値として定義される。このときフィルムの長手方向および幅方向が明らかでない場合は、配向の主軸方向と、配向の主軸方向と垂直な方向について破断伸度を求め、平均した値として定義してもよい。
【0029】
また、成形性と耐久性の点でフィルムの厚み斑は、好ましくは25%以下、さらに好ましくは20%以下、特に好ましくは15%であることがよい。厚み斑の測定方法としては、フィルムを長手方向に20m用意し、連続式の厚み測定器で厚みを測定し、平均厚みと最大厚み、最小厚みにより、厚み斑(%)=100×(最大厚み−最小厚み)/平均厚みにより求めた。また厚み斑をコントロールする方法としては、特に限定されないが、延伸条件を最適化する方法、延伸ロールの精度を向上させる方法、非粘着性のシリコーンやテフロンロールを使用する方法、延伸方式として1段延伸とし、ロールとロールの間の区間にラジエーションヒーターを設ける方法などがある。
【0030】
本発明の二軸延伸フィルムでは、耐久性と接着性などの点から、少なくとも片面の表面濡れ張力が50mN/m以上であることが好ましく、さらに好ましくは55mN/m以上である。一方、70mN/mを超えるとブロッキングなどを生じ易くなる場合がある。
【0031】
表面濡れ張力を50mN/m以上の二軸延伸フィルムを得る方法としては、フィルムに表面処理を施すことにより達成可能であり、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理、紫外線照射処理、電子線照射処理、化学薬品処理、物理的粗面化処理、表面塗布処理などが挙げられるが、本発明の効果を損なわない範囲であれば、特に限定されない。中でも、コロナ放電処理は簡便かつ有効な手法であり、好ましく行なうことができる。
【0032】
また、本発明の二軸延伸フィルムには、各種のコーティングを施してもよく、その塗布化合物、方法および厚みは、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に限定されない。
【0033】
本発明の二軸延伸フィルムは、成形性、接着性、耐久性等を向上させるために積層構造とすることができる。積層フィルムの形態は、特に限定されないが、例えば、A/B、B/A/B、A/B/A、C/A/B、A/B/C、A/C/Bなど2〜3層の積層構造が挙げられるが、4層以上の積層構成としてもよい。
ここで、A、B、Cとは、熱可塑性ポリマーを示し、同組成であってもよいし、異なる組成であってもよいが、基本的に別々の溶融流路により積層される。
【0034】
本発明においては、二軸延伸フィルムとゴム等の基材との接着性を向上させるために、150℃でのフィルム長手方向の熱収縮応力は好ましくは0.1〜5.0MPa、さらに好ましくは0.2〜3.0MPaである。ここで、熱収縮応力が0.1未満とするような方法を採った場合、フィルムの平面性が低下し、成形性を低下させる場合がある。
【0035】
次に、本発明の二軸延伸フィルムの製造方法について、ポリエステルを使用する場合について説明する。まず、ポリエステル原料を必要に応じて乾燥した後、公知の溶融押出機に供給し、スリット状のダイからシート状に押出し、静電印加などの方式によりキャスティングドラムに密着させ、冷却固化し、未延伸シートを得た後、その未延伸シートを延伸する。延伸方式としては、同時二軸延伸または逐次二軸延伸のいずれでもよいが、要するに未延伸シートをフィルムの長手方向及び幅方向に延伸し、熱処理し、目的とする面配向度のフィルムを得る方法が採用される。これらの方式の中でも、フィルムの品質の点で、テンター方式による方式が好ましく、長手方向に延伸した後、幅方向に延伸する/または幅方向に延伸した後、長手方向に延伸する逐次二軸延伸方式、長手方向、幅方向をほぼ同時に延伸していく同時二軸延伸方式が望ましい。
【0036】
二軸延伸の延伸倍率は、長手方向と幅方向にそれぞれ2〜7倍、好ましくは2.2〜6倍である。この場合、長手方向と幅方向の延伸倍率は、どちらを大きくしてもよく同一としてもよい。また、延伸速度は1,000%/分〜200,000%/分であることが望ましく、延伸温度は好ましくは80〜180℃の範囲で延伸することが好ましい。更に、二軸延伸の後には通常フィルムの熱処理を行なうが、この熱処理は、オーブン中あるいは加熱されたロール上等、従来公知の任意の方法で行なうことができる。熱処理温度は、120℃以上245℃以下の任意の温度とすることができるが、好ましくは120〜240℃である。また、熱処理時間も任意とすることができるが、好ましくは1〜60秒間行なうことが好ましい。かかる熱処理はフィルムをその長手方向および/または幅方向に弛緩させつつ行なってもよい。さらに、再延伸を各方向に対して1回以上行なってもよく、その後再度熱処理を行なってもよい。
【0037】
本発明において、熱可塑性ポリマーの中には、好ましくは平均粒子径0.01〜20μmの無機粒子および/または有機粒子を含有させることができる。ここで20μmを超える平均粒子径を有する粒子を使用すると、フィルムの欠陥が生じ易くなり、耐久性が低下する点からも好ましくない。このような粒子としては、例えば、湿式および乾式シリカ、コロイダルシリカ、珪酸アルミ、酸化チタン、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、マイカ、カオリン、クレー、ヒドロキシアパタイト等の無機粒子およびスチレン、シリコーン、アクリル酸類等を構成成分とする有機粒子等を使用することができる。なかでも、乾式、湿式および乾式コロイド状シリカ、アルミナ等の無機粒子およびスチレン、シリコーン、アクリル酸、メタクリル酸、ポリエステル、ジビニルベンゼン等を構成成分とする有機粒子等が好ましく使用される。これらの内部粒子、無機粒子および/または有機粒子は二種以上を、特性を損ねない範囲内で併用してもよい。 これら粒子の添加量は0.01重量%〜30重量%の範囲であることが好ましい。0.01重量%未満では、フィルム巻き取りが困難となり取り扱い上好ましくない。また30重量%を超えると粗大突起や製膜性の悪化などを引き起こすとともに、耐久性を低下させるため好ましくない。
【0038】
滑り性改善のために、上記のような明確な径を有する粒子以外に、ワックスなどの有機成分および/または無機成分を添加してもよい。
【0039】
本発明の二軸延伸フィルムは、天然ゴム、合成ゴム、シリコーンゴムあるいはこれらにカーボンなどの添加物を混合したり、または加硫したゴム層と積層して積層体として用いることができる。さらに詳しくは、これらの素材同士を、熱接着または接着剤を介して接着して用いることができる。特に、接着性と耐久性の点で、1層以上の接着層を介してこれらの素材同士を接着させることが好ましい。接着層の付与の方法としては、二軸延伸フィルムに予めコーティングや熱ラミネートなどの手段により接着層を設けてもよく、予めゴム層の方に接着層を設けてもよく、ゴムと二軸延伸フィルムを貼り合せる際に間に直接接着層を設けてもよい。
【0040】
二軸延伸フィルムとゴムを、少なくとも1層以上の接着剤層を介して貼り合わせてなる積層体は、タイヤなどの成形複合材料として好ましく用いられる。
【0041】
ここで接着剤としては、例えば、ユリア樹脂系接着剤、メラミン樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、α−オレフィン樹脂接着剤等、水酸基を有するポリマーとイソシアネート化合物、エポキシ化合物、メラミン化合物などの架橋剤との混合物による接着剤等、エポキシ系接着剤、溶液型酢酸ビニル樹脂系接着剤、エマルジョン型酢酸ビニル樹脂系接着剤、アクリルエマルジョン系接着剤、ホットメルト接着剤、シアノアクリレート系接着剤、ポリウレタン系接着剤、クロロプレンゴム系接着剤、ニトリルゴム系接着剤、SBR系接着剤、変性ゴムエマルジョン系接着剤、エチレン共重合樹脂系接着剤、レゾルシン系接着剤、天然ゴム系接着剤、セルロース系接着剤、でんぷん質糊料およびデキストリン等が挙げられる。
【0042】
ゴムとしては、特に限定されないが、天然ゴム、合成ゴム、シリコーンゴムおよびそれらにカーボンなどの添加物を混合したり、加硫したゴム等が好ましく用いられる。
【0043】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を詳細に説明する。なお、各特性は以下の方法により測定、評価した。
【0044】
(1)融点(℃)
試料フィルム5mgサンプリング採取し、セイコー電子工業(株)製:示差走査熱量計(RDC220)により、10℃/分の昇温速度で測定し、融解の主ピーク温度を融点とした。なお、融解ピークが現れにくいものは、熱処理により結晶化させたポリマーを測定した。
【0045】
(2)固有粘度
使用する熱可塑性ポリマーがポリエステルの場合、ポリエステルをオルソクロロフェノ−ルに溶解し、25℃において測定した。
【0046】
(3)ポリエステルのカルボキシル末端基量
ポリエステルをo−クレゾール/クロロホルム(重量比7/3)に100℃, 20分の条件で溶解し、アルカリで電位差滴定を行ない求めた。なお、積層フィルムの場合は、各層を削り取るなどして、層を分離して求めた。
【0047】
(4)触媒金属元素量、リン元素量
試料フィルムを融点+20℃に加熱して溶融させ、円形ディスクを作成し、蛍光X線分析により、触媒金属元素量とリン元素量を求めた。なお、量の決定の際には予め各金属元素の添加量を変更したサンプルから求めた蛍光X線での検量線を使用した。
【0048】
試料フィルム中の粒子による金属成分は、該粒子を除去して求めた。なお、粒子を除去する方法としては、例えば、試料フィルムを80〜100℃に熱したオルソクロロフェノールに溶解させ、遠心分離操作を行ない、粒子を取り除き、溶液中のポリマーを析出した後に上記の蛍光X線分析を行なう方法による。
【0049】
積層フィルムの場合は、各層を削り取るなどして層を分離して求めた。
【0050】
(5)平均粒子径
試料フィルム断面を切断し超薄切片を作成し、透過型電子顕微鏡を用いて倍率5,000〜20,000倍程度で写真撮影を50枚撮影し、ポリエステル中に分散した各粒子の円相当径を測定し、平均粒子径を求めた。
【0051】
(6)面配向係数
ナトリウムD線(波長589nm)を光源として、アッベ屈折計を用いて、フィルムの長手方向屈折率(Nx)、幅方向屈折率(Ny)、厚み方向屈折率(Nz)により下記式IIIから算出した。
【0052】
fn=(Nx+Ny)/2−Nz ・・・式III
(7)降伏応力、破断伸度
二軸延伸フィルムから長さ150mm、幅10mmの試料を切り出し、この試料をオリエンテック社製引っ張り試験器を用い、初期長50mm、引っ張り速度300mm/min、25℃の条件で引っ張り、得られた荷重−歪曲線から、降伏応力(上点)、長手方向、幅方向の破断伸度を各10点求め平均化し、さらに長手方向と幅方向を平均化して求めた。
【0053】
(8)表面濡れ張力
ASTM−D−2578(67T)に従い、20℃、65RH%雰囲気にて測定した。
【0054】
(9)成形性
二軸延伸フィルムとゴムの間にエポキシ系接着剤(東レ(株)ケミットエポキシTE2220)を塗布し乾燥後、温度40〜200℃の間で20℃刻みでJIS−K6251に準じて200%延伸後、最もよいフィルムの状態を下記のとおり目視で判定した。
◎:フィルムの外観に傷や亀裂は見られず、問題ない。
○:フィルムに傷が見られるが、問題はない。
△:フィルムに亀裂が見られ、問題あり。
×:フィルムに破断が認められ、問題あり。
【0055】
(8)接着性
上記の成形後にフィルムとゴムの接着力を測定し、下記の判定を行なった。
◎:剥離なし。
○:剥離がわずかに見られるが問題ない。
△:剥離が大きく見られ問題あり。
×:完全に剥離してしまい、問題あり。
【0056】
(9)耐久性
成形後のゴム/接着剤/フィルム積層体10cmを、頭が5cm出るように水平に固定し、温度120℃、湿度100%RHの雰囲気下でフリーの端部が固定位置に対して±45°になるように上下動を1万回繰り返した後に、フィルムの状態を下記のとおり目視で判定した。
◎:フィルムの外観に傷や亀裂は見られず、問題ない。
○:フィルムに傷が見られるが、問題はない。
△:フィルムに亀裂が見られ、問題あり。
×:フィルムに破断が認められ、問題あり。
【0057】
(実施例1)
ジメチルテレフタレートとエチレングリコールを原料とし、150℃で溶融混合後、酢酸マグネシウムを添加し、235℃に徐々に昇温し、メタノールを留出させ、エステル交換反応を終了させた。次いで、コロイダルシリカ(平均粒子径0.6μm)のエチレングリコールスラリー(コロイダルシリカ10重量%)を添加してエチレングリコールを留出させた(ポリマー中の粒子:0.15重量%)。次に、三酸化アンチモンを重合触媒として添加し、熱安定剤としてリン酸を所定量添加した後で、徐々に高真空、290℃まで昇温し、ポリエチレンテレフタレートを重合した(固有粘度0.65dl/g、カルボキシル末端基30当量/トン、M/P=2)。得られたポリエステルを170℃で4時間真空乾燥後、単軸の溶融押出機に供給し、280℃で溶融したポリマーをスリット状のダイからシート状に押出し、静電印加(10kV)により鏡面冷却ドラムに密着、冷却固化して未延伸シートを作成した。この未延伸シートを温度60℃、80℃、110℃に加熱したロールにて搬送後、105℃で長手方向に3.0倍の延伸を行ない、さらに延伸温度125℃で幅方向に3.1倍延伸した後、195℃で、幅方向に4%の弛緩、6秒間の熱処理を行ない、厚さ15μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。次いで、得られたフィルムの片面に、コロナ放電処理を行ない評価を行なった。得られた二軸延伸ポリエステルフィルムは、25℃でのフィルムの降伏時応力が、110MPa、面配向係数0.136、融点257℃であり、表1に示したとおり優れた成形性、接着性、耐久性を示した。
【0058】
(実施例2)
実施例1のポリエステルをイソフタル酸12モル%共重合ポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.66dl/g、カルボキシル末端基38当量/トン、M/P=3.6)とし、延伸条件を表1に示すように変更して製膜を行なった。得られた二軸延伸ポリエステルフィルム特性は、25℃でのフィルムの降伏時応力が、139MPa、面配向係数0.139、融点226℃であり、表1に示したとおりであり、表1に示したとおり優れた成形性、接着性、耐熱性を示した。
【0059】
(実施例3)
ゲルマニウム化合物を触媒とし、リン酸、湿式シリカ(平均粒子径1.8μm、0.08重量%)を添加し重合したイソフタル酸12モル%共重合ポリエチレンテレフタレート(融点225℃、固有粘度0.65dl/g、カルボキシル末端基36当量/トン、M/P=0.8)を、実施例1のポリエチレンテレフタレートと積層(PETと共重合PETの積層比は4:1)し、表1に示した延伸条件にて製膜し、コロナ放電処理を行なった。得られた二軸延伸ポリエステルフィルムは25℃でのフィルムの降伏時応力が、112MPa、面配向係数0.123(PET面)であり、表1に示したとおり、優れた成形性、接着性、耐熱性を示した。
【0060】
(実施例4)
実施例1において、重合温度を5℃高くし、カルボキシル末端基量を42当量/トンとし、表1の条件で実施した。得られた二軸延伸フィルムは表1に示したとおり、優れた成形性、接着性、耐熱性を示した。
【0061】
【表1】
(実施例5)
製膜条件とフィルム厚みを表2のように変更し、破断伸度を158%としたところ、得られた二軸延伸フィルムは表2に示したとおり、優れた成形性、接着性、耐熱性を示した。
【0062】
(実施例6)
実施例1において、コロナ放電処理の強度を低下させて表面濡れ張力を低下させ、表2の条件で実施したところ、得られた二軸延伸フィルムは実施例1に比較して成形性、接着性、耐久性はやや低下したが優れた特性を示した。
【0063】
(比較例1)
ポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.61dl/g、カルボキシル末端基46当量/トン,M/P=4)を使用し、延伸条件を表2に示すように変更して製膜を行った。得られたフィルムは25℃でのフィルムの降伏時応力が、162MPa、面配向係数0.159、融点257℃である。成形性、接着性、耐久性のいずれについても劣るものであった。結果を表2に示す。
【0064】
(比較例2)
比較例1のポリエステルを未延伸フィルムとしたが、耐久性が大きく低下した。 結果を表2に示す。
【0065】
【表2】
なお、表中の記号は次のとおりである。
【0066】
PET:ポリエチレンテレフタレート
PET/I12:イソフタル酸12モル%共重合ポリエチレンテレフタレート
【0067】
【発明の効果】
本発明のゴムと貼り合せて使用される二軸延伸フィルム及びそれらの積層体は、二軸延伸フィルムの25℃の降伏応力を制御することにより、軽量性に優れるだけでなく、成形性、接着性および耐久性に優れた、タイヤや免振板などのゴムとの貼り合せ用二軸延伸フィルム及びそれらの積層体を得ることができる。
Claims (4)
- 融点が150〜280℃の熱可塑性ポリマーからなり、25℃でのフィルムの降伏時応力が150MPa以下であり、フィルムの面配向係数が0.06〜0.145であることを特徴とするゴム貼り合わせ用二軸延伸フィルム。
- 25℃での破断伸度が150%以上であることを特徴とする請求項1記載のゴム貼り合わせ用二軸延伸フィルム。
- 少なくとも片面の表面濡れ張力が50mN/m以上であることを特徴とする請求項1または2記載のゴム貼り合わせ用二軸延伸フィルム。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の二軸延伸フィルムとゴムとを少なくとも1層以上の接着剤層を介して貼り合わせてなる積層体。
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