JP4496030B2 - 改質ポリエステル組成物及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は改質ポリエステル組成物に関し、更に詳細にはカチオン染料に対して従来技術に比較して格段に優れた深色かつ鮮明な染色が可能であると共に強度等の力学的性質が改良された繊維、フィルム又はシート等の成形物を与えることのできる改質ポリエステル組成物に関する。
ポリエステルは多くの優れた特性を有しているため繊維やフィルムとして広く用いられているが、染色性が低く、特に分散染料以外の染料には染色困難であり、その改善が求められていた。
染色性を改良する方法としては、例えばポリエステル主鎖中に5−Naスルホイソフタル酸のような、スルホン酸金属塩基を有するイソフタル酸成分を共重合することによってカチオン染料で染色可能とする方法が古くから知られている(例えば特許文献1参照。)。しかしながら、この方法ではカチオン染料で染色した際の深色性や鮮明発色性が不充分であるのみならず、該成分の共重合によってポリマーの溶融粘度が著しく増大し、重合度を充分に上げることが困難になると同時に紡糸等の成形が困難となるため低強度の成形物しか得られない欠点があった。
かかるカチオン染料可染性ポリエステルの欠点を解消するため、スルホン酸ホスホニウム塩基を有するイソフタル酸成分を共重合した改質ポリエステルの製造法及び改質ポリエステル繊維が提案されている(例えば特許文献2参照。)。この方法によれば、ポリマーの増粘作用が抑制されるため、高重合度でかつ低溶融粘度のポリエステルが容易に得られ、高強度の成形物が製造できるようになるだけでなく、カチオン染料で染色した際の深色性や鮮明発色性が改良される。しかしこの方法によっても、例えば繊維の場合、特に異形断面繊維や1デニール以下の極細繊維になした時には、繊維表面での光の反射が増大するため、カチオン染料で染色した際の深色性や鮮明発色性が不足するようになり、また強度等の力学的性質も不充分となる傾向があった。
一方、前記したスルホン酸金属塩基を有するイソフタル酸成分を共重合したポリエステルにアルキルスルホン酸金属塩やアルキルベンゼンスルホン酸金属塩の如く該ポリエステルとは非反応性の有機スルホン酸金属塩を配合した組成物に関する提案がいくつかなされている。上記組成物を中空繊維となして、これをアルカリ減量処理することによって形成させた、繊維表面から中空部まで連通した多数の微細孔を有する吸水性ポリエステル繊維が提案されている(例えば特許文献3参照。)。また、かかる組成物から高強力のカチオン染料可染性ポリエステル繊維が得られることが示されている(例えば特許文献4参照。)。しかしながら、これらの方法によって得られる繊維では、繊維の強度等の力学的性質とカチオン染料で染色した際の深色性や鮮明発色性とが二律背反的な関係にあり、両者を同時に満足することができない。
他方、スルホン酸ホスホニウム塩基を有するイソフタル酸成分を共重合したポリエステルに、該ポリエステルに不溶性のポリエーテルと該ポリエステルと非反応性の有機スルホン酸金属塩とを配合した制電性ポリエステル繊維が知られている(例えば特許文献5及び6参照。)。しかしながら、これらの方法で得られる繊維では、該繊維を構成するポリエステル中に該ポリエステルに不溶性のポリエーテルが白濁状態で分散含有されているため、カチオン染料で染色した際に白っぽく、くすんだ色しか得られない。
以上述べたように、異形断面繊維や1デニール以下の極細繊維になした場合においても、カチオン染料によって深色かつ鮮明に染色することができると共に、通常の未改質ポリエステル繊維と同等の強度を示すカチオン染料可染性ポリエステル繊維を得ることのできる改質ポリエステル(組成物)は従来皆無であった。一方この種のポリエステルの製造方法についてバッチ生産方式では、長い熱履歴により剤が劣化する、特に反応槽を熱保持すると著しい劣化色を呈する、生産性が悪く、コスト競争力に劣るなどの問題点があった。
特公昭34−10497号公報 特公平3−61766号公報 米国特許第4336307号明細書 特開平4−264126号公報 特開平1−192823号公報 特開平4−149269号公報
そこで、本発明者は、異形断面繊維や1デニール以下の極細繊維になした場合でも、カチオン染料で深色かつ鮮明に染色可能であると共に通常の未改質ポリエステル繊維と同等の強度を有するカチオン染料可染性ポリエステル繊維を製造することのできる改質ポリエステルを得ることを目的として鋭意検討を行った。その結果、特定のスルホン酸ホスホニウム塩基を共重合した改質ポリエステルに、該改質ポリエステルと非反応性の安息香酸及び/又は安息香酸誘導体を配合し、特定構造の環状三量体を含有させた改質ポリエステル組成物は、カチオン染料で染色した際の深色性及び鮮明発色性が同時に向上し、強度等の力学的性質を維持することができるカチオン染料可染性ポリエステル繊維を与えることを究明した。さらに本発明者は、高い撹拌効率を有するベント付き押出機を用いて溶融混練したとき、目標とする前記の改質ポリエステル組成物を製造できる可能性を見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の課題は、下記一般式(I)
Figure 0004496030
[上記式中、Aは芳香族基又は脂肪族基であり、Xはエステル形成性官能基であり、XはXと同一若しくは異なるエステル形成性官能基又は水素原子であり、R、R、R及びRはそれぞれ互いに独立に脂肪族基及び芳香族基よりなる群から選ばれる同一又は異なる基である。そしてnは正の整数を示す。nが2以上の時、複数個のR〜Rは互いに同一であっても異なっていてもかまわない。]
で表わされるスルホン酸ホスホニウム塩が共重合された改質ポリエステルを含む組成物であって、
(A)該スルホン酸ホスホニウム塩の共重合量が改質ポリエステルを構成する酸成分に対して0.1〜10モル%であり、
(B)(1)安息香酸
及び/又は
(2)パラヒドロキシ安息香酸、ジヒドロキシ安息香酸、炭素原子数1〜30のアルキル基含有ヒドロキシ安息香酸、炭素原子数6〜40のアリール基含有ヒドロキシ安息香酸、炭素原子数6〜40のアルキルアリール基含有ヒドロキシ安息香酸
の合計量を該スルホン酸ホスホニウム塩に対して0.1モル%以上20モル%以下となる量含有し、
(C)上記一般式(I)成分1単位とアルキレンテレフタレート2単位から構成される環状3量体を改質ポリエステル組成物の全重量に対して0.1〜1重量%含有する改質ポリエステル組成物、
及び(A)上記一般式(I)で表わされるスルホン酸ホスホニウム塩が全繰返し単位当たり0.1〜20モル%共重合された改質ポリエステルと
(B)安息香酸及び/又はパラヒドロキシ安息香酸の合計量を、上記改質ポリエステルに共重合されたスルホン酸ホスホニウム塩の共重合量に対して0.1〜10モル%以下となる量含有するポリエステル組成物とを、
得られる改質ポリエステル組成物が上記一般式(I)で表されるスルホン酸ホスホニウム塩がポリエステルの繰り返し単位当たり0.1〜10モル%含有するように、予め混合してから又は別々にベント付き押出機に投入し、該ベント付き押出機中でエステル交換反応させる改質ポリエステル組成物の製造方法によって達成することができる。
本発明の改質ポリエステル組成物によれば、カチオン染料で染色した際に改善された深色性や鮮明発色性が得られると共に強度等の物性を維持することができるという従来例を見ない効果が奏される。従って、本発明の改質ポリエステル組成物は特に繊維になした場合に有用である。とりわけ、従来深色かつ鮮明なカチオン染色が困難であり、その上強度等の物性が得られ難かった異形断面繊維や1デニール以下の極細繊維に本発明の改質ポリエステル組成物を用いると特に大きな効果が得られる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明でいう改質ポリエステルは、産業上において通常用いられているものを主成分とするものであれば特に限定はないが、主成分がポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートからなる群の少なくとも1種よりなるポリエステルであることが好ましい。具体的にはテレフタル酸又はその誘導体を主たる酸成分とし、少なくとも1種のグリコール、好ましくはエチレングリコール、トリメチレングリコール及びテトラメチレングリコールよりなる群から選ばれる少なくとも1種のアルキレングリコールをグリコール成分として製造されたポリエステルを主たる対象とする。ここで主成分及び主たる対象とは、ポリエステルの全繰り返し単位中70モル%以上であることを表し、また主たる酸成分とは、ポリエステルを構成するジカルボン酸成分若しくはジカルボン酸誘導体成分のうち、70モル%以上であることを表している。
また本発明でいう改質ポリエステルは、テレフタル酸成分の一部を他の二官能性カルボン酸成分で置換したポリエステルであってもよく、及び/又はグリコール成分の一部を主成分以外の上記グリコール若しくは他のジオール成分で置換したポリエステルであってもよい。ここで使用されるテレフタル酸以外の二官能性カルボン酸としては、例えばイソフタル酸、ナフタリンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、β−ヒドロキシエトキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、アジピン酸、セバシン酸又は1,4−シクロヘキサンジカルボン酸の如き芳香族、脂肪族又は脂環族の二官能性カルボン酸をあげることができる。また、上記グリコール以外のジオール化合物としては、例えばシクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA又はビスフェノールSの如き脂肪族、脂環族又は芳香族ジオール化合物及びポリオキシアルキレングリコール等をあげることができる。
更に、本発明の改質ポリエステルが実質的に線状である範囲でトリメリット酸若しくはピロメリット酸の如きポリカルボン酸又はグリセリン、トリメチロールプロパン若しくはペンタエリスリトールの如きポリオールを使用することができる。
かかる改質ポリエステルは任意の方法によって製造される。例えばポリエチレンテレフタレートについて具体的に説明すると、二段階で反応させる製造方法が挙げられる。第一段階の反応は通常テレフタル酸とエチレングリコールとを直接エステル化反応させる、テレフタル酸ジメチルの如きテレフタル酸の低級アルキルエステルとエチレングリコールとをエステル交換反応させる、又はテレフタル酸とエチレンオキサイドとを反応させることによりテレフタル酸のグリコールエステル及び/又はその低重合体を生成させる反応である。第二段階の反応は、第一段階の反応生成物を減圧下加熱して所望の重合度になるまで重縮合反応させる反応である。
本発明において改質ポリエステルに共重合成分として使用するスルホン酸ホスホニウム塩は下記一般式(I)
Figure 0004496030
[上記式中、Aは芳香族基又は脂肪族基であり、Xはエステル形成性官能基であり、XはXと同一若しくは異なるエステル形成性官能基又は水素原子であり、R、R、R及びRはそれぞれ互いに独立に脂肪族基及び芳香族基よりなる群から選ばれる同一又は異なる基である。そしてnは正の整数を示す。nが2以上の時、複数個のR〜Rは互いに同一であっても異なっていてもかまわない。]
で表わされる。上記一般式中、Aは芳香族基又は脂肪族基を示し、好ましくは炭素数6〜14の芳香族基又は炭素数1〜14の脂肪族基である。なかでも炭素数6〜14の芳香族基がより好ましい。X1はエステル形成性官能基を示し、具体例として以下のような官能基群等を挙げることができる。
Figure 0004496030
[上記式中、R’は低級脂肪族基又はフェニル基を表し、a及びdは1以上の整数、bは2以上の整数である。]
このうちa,dは1以上10以下の整数であり、bは2以上10以下の整数であることが好ましい。更に好ましくはa,dが1以上6以下の整数であり、bが2以上6以下の整数であることである。
はXと同一若しくは異なるエステル形成性官能基又は水素原子を示し、なかでもエステル形成性官能基であることが好ましい。R、R、R及びRは脂肪族基及び芳香族基よりなる群から選ばれた同一又は異なる基を示す。より好ましくは炭素数1〜10の脂肪族基又は炭素数6〜10の芳香族基である。nは正の整数であり、好ましくは6以下の正の整数である。
かかるスルホン酸ホスホニウム塩は、一般に対応するスルホン酸とホスフィン類との反応、又は対応するスルホン酸金属塩とホスホニウムハライド類との反応により容易に合成できる。
上記スルホン酸ホスホニウム塩の好ましい具体例としては、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホスニウム塩、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸エチルトリブチルホスホニウム塩、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸ベンジルトリブチルホスホニウム塩、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸フェニルトリブチルホスホニウム塩、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラフェニルホスホニウム塩、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸ブチルトリフェニルホスホニウム塩、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸ベンジルトリフェニルホスホニウム塩、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸エチルトリブチルホスホニウム塩、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸ベンジルトリブチルホスホウニム塩、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸フェニルトリブチルホスホニウム塩、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸テトラフェニルホスホニウム塩、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸エチルトリフェニルホスホニウム塩、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸ブチルトリフェニルホスホニウム塩、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸ベンジルトリフェニルホスホニウム塩、3−カルボキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、3−カルボキシベンゼンスルホン酸テトラフェニルホスホニウム塩、3−カルボメトキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、3−カルボメトキシベンゼンスルホン酸テトラフェニルホスホニウム塩、3,5−ジ(β−ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、3,5−ジ(β−ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸テトラフェニルホスホニウム塩、3−(β−ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、3−(β−ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸テトラフェニルホスホニウム塩、4−ヒドロキシエトキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、2,6−ジカルボキシナフタレン−4−スルホン酸テトラブチルホスホニウム塩又はα−テトラブチルホスホニウムスルホコハク酸等をあげることができる。上記スルホン酸ホスホニウム塩は1種のみを単独で用いても、2種以上併用してもよい。
上記スルホン酸ホスホニウム塩を改質ポリエステルに共重合する1つの方法は、前述した改質ポリエステルの製造が完了する以前の任意の段階で、好ましくは第二段階の反応の初期以前の任意の段階で添加する方法である。スルホン酸ホスホニウム塩をポリエステルに共重合させる量は、改質ポリエステルを構成する酸成分に対して0.1〜10モル%の範囲であり、0.5〜8モル%の範囲が好ましい。共重合量が0.1モル%より少ないと、得られる改質ポリエステル組成物をカチオン染料で染色した際の深色性や鮮明発色性が不十分になり、また後述の本発明の改質ポリエステル組成物の製造方法を実施する際にベント付き押出機で再分配反応させるに際し、反応速度が極めて遅くなる。共重合量が10モル%より多くなると改質ポリエステル組成物の深色性や鮮明発色性は最早著しい向上を示さず、かえって改質ポリエステル組成物の力学的物性が低下し、劣化着色が著しく、本発明の目的を達成し難くなる。
本発明の改質ポリエステル組成物は、上述のスルホン酸ホスホニウム塩を共重合した改質ポリエステルを含み、安息香酸及び/又は安息香酸誘導体が配合されていることが必要である。安息香酸誘導体としては、パラヒドロキシ安息香酸、ジヒドロキシ安息香酸、炭化水素基含有ヒドロキシ安息香酸等が例示される。その炭化水素基の具体例としては炭素原子数1〜30のアルキル基又は炭素原子数6〜40のアリール基若しくはアルキルアリール基であり、アルキル基のときは直鎖状であっても分枝した側鎖を有していてもよい。これらの炭化水素基の中で、炭素原子数6〜40のアリール基又はアルキルアリール基がより大きな効果が奏されるのでより好ましい。
上記安息香酸及び/又は安息香酸誘導体(以下安息香酸類と称することがある。)は1種のみを単独で用いてもよく、あるいはその2種以上を併用してもよい。その配合量は前記したスルホン酸ホスホニウム塩に対して0.1〜20モル%の範囲であり、なかでも2〜18モル%の範囲が好ましい。より好ましいのは3〜10モル%である。この配合量が0.1モル%より少ないと、得られる改質ポリエステル組成物をカチオン染料で染色した際の深色性や鮮明発色性が不十分になると共に強度等の物性を改良する効果が不十分になる。逆に、この量が20モル%より多くなると、もはや著しいカチオン染色性の向上は見られず、かえって強度等の物性が低下するようになる。
本発明の改質ポリエステル組成物は、下記一般式(I)成分1単位と、
Figure 0004496030
[上記式中、Aは芳香族基又は脂肪族基であり、Xはエステル形成性官能基であり、XはXと同一若しくは異なるエステル形成性官能基又は水素原子であり、R、R、R及びRはそれぞれ互いに独立に脂肪族基及び芳香族基よりなる群から選ばれる同一又は異なる基である。そしてnは正の整数を示す。nが2以上の時、複数個のR〜Rは互いに同一であっても異なっていてもかまわない。]
アルキレンテレフタレート2単位から構成される環状3量体を改質ポリエステル組成物の全重量に対して0.1〜1重量%含有することが必要である。環状3量体の含有量が0.1重量%より少ないと、染料浸透部が少なくなるためか染色性に劣るようになり、1重量%より多いと紡糸他成形時に口金異物の発生が多くなり、断糸が多発するようになる。
なお、本発明の組成物には、必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、蛍光増白剤、艶消剤、着色剤又はその他の添加剤等を配合してもよい。
次に本発明の製造方法を説明する。
上記一般式(I)で表されるスルホン酸ホスホニウム塩化合物を共重合したポリエステル(以下マスターポリマーと称することがある。)は任意の方法によって製造することができる。例えばポリエチレンテレフタレートについて詳細に説明すれば、以下に述べるような2段階の反応によって製造することができる。まず第1段階の反応はテレフタル酸とエチレングリコールとを直接反応させる、又はテレフタル酸ジメチルのような低級アルキルエステルと反応させて、テレフタル酸のグリコールエステル及び/又はその低重合体を生成させる。次いで第1段階の反応生成物を重合触媒存在下減圧加熱して所望の重合度になるまで重縮合反応させる第2段階の反応によって製造される。この場合、共重合成分であるイソフタル酸成分や添加剤は第1段階の反応の前、後ないし第2段階の反応の前、後半等の任意の段階で添加することができ、一度にあるいは数回に分けて系内へ添加してもよい。
安息香酸及び/又は安息香酸誘導体を含有するポリエステル(以下ベースポリマーと称することがある。)を製造するにはベースポリマーの製造が終了するまでの任意の段階、例えばベースポリマーの重縮合反応開始前、重縮合反応途中、又は重縮合反応終了時であってまだ溶融状態にある時点、粉粒状態、又は成形段階等において、上記の安息香酸類を添加混合すればよい。添加に際しては1回の操作で添加しても、又は2回以上に分割添加してもよい。また、重縮合反応終了前に添加するときは、安息香酸類をグリコール等の溶媒に溶解又は分散させて添加することもできる。
本発明の製造方法は、(A)マスターポリマーとして上記一般式(I)で表されるスルホン酸ホスホニウム塩が全繰返し単位当たり0.1〜20モル%共重合された改質ポリエステルと、(B)ベースポリマーとして安息香酸類の合計量を、マスターポリマー中に共重合されたスルホン酸ホスホニウム塩の共重合量に対しての0.1〜10モル%含有するポリエステル組成物とを、得られる改質ポリエステル組成物において上記一般式(I)で表されるスルホン酸ホスホニウム塩がポリエステルの繰返し単位当たり0.1〜10モル%含有するように、予め混合してから又は別々にベント付き押出機に投入し、該ベント付き押出機中でエステル交換反応させる改質ポリエステル組成物の製造方法である。またベースポリマーを溶融ポリマーで押出機へ供給することも一向にかまわない。
ここで、ベント付き押出機へのマスターポリマーとベースポリマーとの投入方法としては、両者をチップ化して別々に該ベント付き押出機へ供給しても、あるいは予め混合してから該押出機へ供給してもよいし、一方を該ベント付き押出機内で溶融した状態で他方を添加してもよいし、両者を溶融させた状態で混合してもよい。
また、これらのポリマーをベント付き押出機へ供給するにあたり、艶消し剤、熱安定剤、消泡剤、整色剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、結晶核剤又は蛍光増白剤等が別途、あるいは同時に添加してもよい。
本発明において、ベント付き押出機とは、ガスの投入、排出、減圧吸引のいずれかが可能であるベント機能を有する押出機である。押出機機能に特に制限はないが、混練性能が高く、短時間に反応が完結できるため、2軸スクリュー型押出機を用いることが好ましい。また、不活性ガスの添加や減圧保持が可能であるようベント機能を2箇所以上有する押出機であることが好ましい。
また本発明の製造方法において用いるベント付き押出機には、その混練性能を高めるために少なくともニーディングディスク及び/又はローターディスクが装着されていることが好ましい。ニーディングディスクとは、略楕円形のディスクを数枚、一定の位相でずらしながら組み合わせた混練用のスクリューセグメントであり、スクリューの回転にともなって溶融したポリマーの混合物を細いクリアランスへ通すことで極めて高い剪断力を付与することができる。この結果エステル交換反応をいっそう促進することができる。
一方、ローターディスクとは、多角形の稜線を回転軸に対して一定の角度でねじってあるスクリューセグメントであり、クリアランスがセグメントの全位置で一定であるという特徴がある。スクリュー軸に対する稜線のねじりの向きに順送りと逆送りのセグメントがあり、これらを組み合わせることで、高い剪断力を均質に付与することができ、剪断によるポリエステルの劣化を抑制しつつ、再分配反応を進めることが可能となる。
ニーディングセグメント及び/又はローターディスクは、再分配反応及び固有粘度等の目標とする所望のポリエステル物性により、適切に選ぶことができ、その範囲に特に制限はないが、装着数をディスク又はセグメント長(L)とスクリュー径(D)との比L/Dで表したとき、ニーディングディスク及びローターディスクの装着量はそれぞれ、L/D=1〜30の範囲が好ましく、より好ましくはL/D=2〜20の範囲である。L/Dが上記の範囲にあるときには、十分な混練効果を発揮して、再分配反応がさらに促進される。
また、押出機内の温度は供給するマスターポリマー及びベースポリマーの融点より10〜40℃高い温度に設定すればよく、好ましくは融点より20〜40℃高い温度である。
本発明の製造方法においては、マスターポリマー及びベースポリマーが溶融混合している領域におけるベント孔の少なくとも一箇所は、真空ポンプ、スチームエジェクター等を用いて減圧下にすることが好ましく、通常は10kPa以下、好ましくは5kPa以下、更に好ましくは1kPa以下である。同時に重縮合反応の進行と共に生成する水、メタノール等のアルコール、あるいは極少量生成する副反応物であるアリルアルコール、アクロレイン等を留去することが好ましい。
また、エステル交換反応の反応時間は1〜60分、特に5〜30分であることが好ましい。通常重縮合反応は90〜250分程度かかるが、本発明の製造方法によれば、上述のような短時間で反応を完結することが可能である。その結果、副生成物が激減すると同時に、色相が改善された改質ポリエステル組成物を得ることができる。ここで、ベント付き押出機のスクリューの回転数は、20〜500rpm程度に設定すればよく、好ましくは50〜300rpmである。ベント付き押出機として2軸型の押出機を用いる場合には、2軸の回転方向は同一方向でも逆方向でもよいが、同一方向の回転とした方が熱劣化を抑える観点から好ましい。
本発明の製造方法においては、ベント付き押出機内へ供給されたマスターポリマー及び/又はベースチップが溶融状態にあるときに不活性ガスを添加し、次いで、該マスターポリマーとベースチップとの両者を溶融状態としつつ、減圧下にエステル交換反応させることが更に好ましい。
ここで、不活性ガスのベント付き押出機内への供給・添加方法は、1個所からとしても、複数箇所からとしてもよく、また不活性ガスとしては窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス又は二酸化炭素ガス等を挙げることができ、これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもどちらでもよいが、経済性の観点から窒素ガスを用いることが好ましい。
更に、これら不活性ガスの添加量は特に制限されないが、改質ポリエステルの製造量に対する不活性ガスの添加量として、該不活性ガスの27℃、大気圧下における体積に換算して、0.001〜100体積倍程度に設定しておくことが好ましい。上記の操作を行うことによって、オリゴマーの生成が制御されるとともに、既存オリゴマーの除去も促進される結果、熱劣化の発生が抑制され、良好な製糸性及び改善された色相を有する改質ポリエステル組成物を得ることができる。
上記の操作によって、上記一般式(I)で表されるスルホン酸ホスホニウム塩がポリエステルの繰り返し単位当たり0.1〜10モル%共重合されている改質ポリエステル組成物を得ることができる。次いで、ベント式押出機から押し出された改質ポリエステル組成物は、水冷バス等の冷却工程を通過後に、チップカッターを用いてチップ化するか、あるいは、そのまま紡糸機に繋いでもよい。
本発明の改質ポリエステル組成物から繊維を製造する場合には、任意の製糸条件を何等の支障なく採用することができる。例えば500〜2500m/分の速度で溶融紡糸し、延伸・熱処理する方法、1500〜5000m/分の速度で溶融紡糸し延伸と仮撚加工とを同時に又は続いて行う方法、又は5000m/分以上の高速で溶融紡糸し用途によっては延伸を省略する方法などの任意の製糸条件を採用することができる。この際、得られる繊維の断面形状及び繊度は任意でよいが、なかでも断面形状が円形以外の異形断面である場合や単繊維繊度が1デシテックス以下の極細繊維である場合に、本発明の効果が特に顕著に発揮される。
また、本発明の組成物は、フィルムやシートの製造にも使用することができ、この際任意の成形条件を何等の支障なく採用することができる。例えば製膜後一方向のみに張力を作用させて異方性膜を製造する方法、同時に又は任意の順序で膜を二方向に延伸する方法、又は膜を2段以上に多段延伸する方法等を任意の条件で採用することができる。
本発明を具体的な実施例をあげて、更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例中の部及び%は重量部及び重量%を示す。ポリマーの固有粘度[η]は35℃のオルトクロルフェノール溶液で測定した値から求めた。また、染色布の視感染色性は染色布のL*値、a*値、b*値をミノルタ色彩色差計CR−200(ミノルタカメラ販売(株))を用いて測定し、深色度(L*)及び彩度{(a*+b*1/2}により深色性と鮮明発色性を求めた。深色度が小さいほど深色性が大きく、また彩度が大きいほど鮮明発色性が大きいことを示す。
[実施例1]
・スルホン酸ホスホニウム塩含有マスターポリマーの製造:
テレフタル酸ジメチル100部、エチレングリコール60部、酢酸マンガン4水塩0.03部(テレフタル酸ジメチルに対して0.024モル%)、整色剤として酢酸コバルト4水塩0.009部(テレフタル酸ジメチルに対して0.007モル%)、カチオン染料可染化剤としてテレフタル酸ジメチルに対して10モル%となる量の3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸テトラ−n−ブチルホスホニウム塩(一般式(I)においてX及びXが共にカルボメトキシ基の化合物に対応している。)及び安定剤としてテレフタル酸ジメチルに対して0.050モル%の量のテトラエチルアンモニウムハイドロオキサイドをエステル交換反応器に仕込んだ。次に窒素ガス雰囲気下3時間かけて140℃から220℃まで昇温して生成するメタノールを系外に留去しながらエステル交換反応させた。続いて得られた生成物にエステル交換触媒失活剤として正リン酸の56%水溶液0.03部(テレフタル酸ジメチルに対して0.033モル%)及び消泡剤としてジメチルポリシロキサン0.03部を添加し、同時に過剰のエチレングリコールの昇温追出しを開始した。10分後重縮合触媒として三酸化アンチモン0.04部(テレフタル酸ジメチルに対して0.027モル%)を添加した。内温が240℃に達した時点でエチレングリコールの追出しを終了し、反応生成物を重合反応器に移した。
昇温しながら内温が260℃に到達するまで常圧反応させた後、1時間かけて常圧から133Paまで減圧し、同時に1時間30分かけて内温を280℃まで昇温した。133Pa以下の減圧下、重合温度280℃で更に2時間重合した時点で窒素ガスで真空を破って重合反応を終了し、窒素ガス加圧下にポリマーを吐出し、冷却してチップ化した。得られたポリマーの固有粘度[η]は表1に記載のとおりであった。
・安息香酸類含有べースポリマーの製造:
連続重合装置において、テレフタル酸ジメチル100部/h、エチレングリコール60部/h、酢酸マンガン4水塩0.03部/h(テレフタル酸ジメチルに対して0.024モル%)、整色剤として酢酸コバルト4水塩0.009部/h(テレフタル酸ジメチルに対して0.007モル%)、窒素ガス雰囲気下3時間かけて140℃から220℃まで昇温して生成するメタノールを系外に留去しながらエステル交換反応させた。続いて得られた生成物に安息香酸0.06部/h(0.10ミリモル%、スルホン酸ホスホニウム塩に対して1モル%)、エステル交換触媒失活剤として正リン酸の56%水溶液0.03部/h(テレフタル酸ジメチルに対して0.033モル%)を添加し、同時に過剰のエチレングリコールの昇温追出しを開始し、さらに重縮合触媒として三酸化アンチモン0.04部/h(テレフタル酸ジメチルに対して0.027モル%)を添加した。内温が240℃に達した時点でエチレングリコールの追出しを終了し、反応生成物を重合反応器に移送し、昇温しながら内温が260℃に到達するまで常圧反応させた後、常圧から133Paまで減圧し、同時に130分かけて内温を280℃まで昇温した。133Pa以下の減圧下、重合温度280℃で時点で溶融粘度を測定することによって重合反応を終了し、ポリマー配管を通じてポリマーを送出した。得られたポリマーの固有粘度[η]は表1に記載のとおりであった。
・ベント付き押出機における練込み及び再分配反応
重量フィーダーを備え、チップ投入口から下流へ向けてオープンベントを2箇所、ベント孔を2箇所備え、かつL/D換算で5のニーディングディスクと、L/D換算で5のローターディスクを有する同方向回転型二軸ベント付き押出機に、溶融状態にある上述の安息香酸類含有ベースポリマーを供給した。別に予め製造しておいた上述のスルホン酸ホスホニウム塩含有マスターポリマー重量フィーダーで計量しつつ供給し、265℃で溶融させた。
ここで、供給割合は、最終的に得られる改質ポリエステル組成物中の上記一般式のスルホン酸ホスホニウム塩成分(I)の共重合比率が1.5モル%になるように設定した。更にベント付き押出機運転中は、供給した2種のポリマーが溶融状態となる部分に設置したオープンベントより、改質ポリエステル組成物総重量に対して、27℃、大気圧下での体積比率が等倍に相当する体積の窒素を連続的に吹き込みつつ、他方のオープンベントから、押出機内へ供給した窒素を排出して系内を窒素置換した後、押出機に備え付けられたベント孔から吸引を開始して、ベント付き押出機内の圧力が20Paとなるように減圧処理を行った。
押出機内部のポリマーの平均滞留時間は15分、回転数は200rpmであり、この間2種のポリマー間でエステル交換反応が行われた。ポリマーを押出機から押出す事によりエステル交換反応完結させた後、得られた改質ポリエステルはストランド状に押し出され、水冷バスで固化された後、チップカッターでチップ化した。得られた改質ポリエステル組成物の固有粘度、環状3量体含有量を表1に示す。
このポリマーチップを常法により乾燥した後、285℃で溶融し、スリット幅0.15mmのY字型孔を24個穿設した紡糸口金を使用して紡糸速度1100m/分にて紡出した。次いで、得られる延伸糸の伸度が35%になるような延伸倍率で、延伸速度1200m/分にて、84℃の加熱ローラーと180℃のプレートヒーターを使って延伸・熱処理を行い、50デニール/24フィラメントの三葉型断面の延伸糸を得た。得られた延伸糸の強度を表2に示した。
得られた延伸糸を常法に従ってメリヤス編地に製編し、常法により精練、プリセットした後 Cathilon Blue CD−FRLH/Cathilon Blue CD−FBLH=1/1(保土谷化学(株)製)2%owfで、芒硝3g/L、酢酸0.3g/Lを含む染浴中にて130℃で60分間染色し、その後常法に従ってソーピングして青色布を得た。表2に染色布の深色度及び彩度を示した。
[実施例2、3、比較例1、2]
実施例1において、スルホン酸ホスホニウム塩10モル%、安息香酸を0.1モル%添加する代わりに表1に記載した種類の化合物及び量を使用し、表1に記載の固有粘度になるように重合時間等を調製した他は実施例1と同様の手法にて、改質ポリエステル組成物を製造した。次いで実施例1と同様の手法にて溶融紡糸、延伸、製編、精錬、染色を行った。その延伸糸の物性と染色の結果を表2に示す。
Figure 0004496030
Figure 0004496030
以上説明したように、本発明の改質ポリエステル組成物によれば、カチオン染料で染色した際に改善された深色性や鮮明発色性が得られると共に強度等の物性を維持することができるという従来例を見ない効果が奏される。従って、本発明の改質ポリエステル組成物は特に繊維になした場合に有用である。とりわけ、従来深色かつ鮮明なカチオン染色が困難であり、その上強度等の物性が得られ難かった異形断面繊維や1デニール以下の極細繊維に本発明の改質ポリエステル組成物を用いると特に大きな効果が得られる。本発明の改質ポリエステル組成物から得られる繊維はナイロンを凌駕する色彩の鮮明発色性と強度と柔らかさとを合わせ持つため、スキーウエア、ウインドブレーカー又は水着等のスポーツ用途の衣料において特に有用に使用することができる。
また、本発明の改質ポリエステル組成物から得られるフィルムやシートは、強度に優れると共に優れた制電性、吸水性、印刷性及び接着性等を有するので極めて有用である。

Claims (4)

  1. 下記一般式(I)
    Figure 0004496030
    [上記式中、Aは芳香族基又は脂肪族基であり、Xはエステル形成性官能基であり、XはXと同一若しくは異なるエステル形成性官能基又は水素原子であり、R、R、R及びRはそれぞれ互いに独立に脂肪族基及び芳香族基よりなる群から選ばれる同一又は異なる基である。そしてnは正の整数を示す。nが2以上の時、複数個のR〜Rは互いに同一であっても異なっていてもかまわない。]
    で表わされるスルホン酸ホスホニウム塩が共重合された改質ポリエステルを含む組成物であって、
    (A)該スルホン酸ホスホニウム塩の共重合量が改質ポリエステルを構成する酸成分に対して0.1〜10モル%であり、
    (B)(1)安息香酸
    及び/又は
    (2)パラヒドロキシ安息香酸、ジヒドロキシ安息香酸、炭素原子数1〜30のアルキル基含有ヒドロキシ安息香酸、炭素原子数6〜40のアリール基含有ヒドロキシ安息香酸、炭素原子数6〜40のアルキルアリール基含有ヒドロキシ安息香酸
    の合計量を該スルホン酸ホスホニウム塩に対して0.1モル%以上20モル%以下となる量含有し、
    (C)上記一般式(I)成分1単位とアルキレンテレフタレート2単位から構成される環状3量体を改質ポリエステル組成物の全重量に対して0.1〜1重量%含有する改質ポリエステル組成物。
  2. 改質ポリエステルの主成分がポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートからなる群の少なくとも1種よりなる請求項1記載の改質ポリエステル組成物。
  3. (A)下記一般式(I)
    Figure 0004496030
    [上記式中、Aは芳香族基又は脂肪族基であり、Xはエステル形成性官能基であり、XはXと同一若しくは異なるエステル形成性官能基又は水素原子であり、R、R、R及びRはそれぞれ互いに独立に脂肪族基及び芳香族基よりなる群から選ばれる同一又は異なる基である。そしてnは正の整数を示す。nが2以上の時、複数個のR〜Rは互いに同一であっても異なっていてもかまわない。]
    で表わされるスルホン酸ホスホニウム塩が全繰返し単位当たり0.1〜20モル%共重合された改質ポリエステルと
    (B)(1)安息香酸
    及び/又は
    (2)パラヒドロキシ安息香酸、ジヒドロキシ安息香酸、炭素原子数1〜30のアルキル基含有ヒドロキシ安息香酸、炭素原子数6〜40のアリール基含有ヒドロキシ安息香酸、炭素原子数6〜40のアルキルアリール基含有ヒドロキシ安息香酸
    の合計量を、上記改質ポリエステルに共重合されたスルホン酸ホスホニウム塩の共重合量に対して0.1〜10モル%となる量含有するポリエステル組成物とを、
    得られる改質ポリエステル組成物において上記一般式(I)で表されるスルホン酸ホスホニウム塩がポリエステルの繰り返し単位当たり0.1〜10モル%含有するように、予め混合してから又は別々にベント付き押出機に投入し、該ベント付き押出機中でエステル交換反応させる改質ポリエステル組成物の製造方法。
  4. 上記一般式(I)で表されるスルホン酸ホスホニウム塩0.1〜20モル%が共重合された改質ポリエステルにおいて、官能基X及びXの合計量の20〜100モル%がカルボキシル基又はその誘導体であるスルホン酸ホスホニウム塩が共重合されている改質ポリエステルを使用することを特徴とする請求項3記載の改質ポリエステル組成物の製造方法。
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