JP2006321846A - ポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステル - Google Patents

ポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステル Download PDF

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Abstract

【課題】溶融成形時のカラーb*値の増大を停止し、さらにはカラーb*値を減少させることによって、溶融成形後のポリマーの黄変を改良し、染色工程での品質管理に優れた性能を有する、ポリエステルを提供すること。
【解決手段】主たる繰り返し単位がトリメチレンテレフタレート単位であるポリエステルであって、140℃、2時間熱処理後のL***表色系におけるカラーb*値が2以下であり、かつ固有粘度が0.5〜1.5dL/gの範囲にあるポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステル、およびこれから得られるポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステル繊維。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステルに関し、さらに詳しくは、熱分解などによる着色を防ぎ、染色工程での品質管理に優れた性能を有する、ポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステルおよび繊維に関する。
ポリエステルは、その機械的、物理的、化学的性能が優れているため、繊維、フィルム、その他の成形物に広く利用されている。
中でも、ポリトリメチレンテレフタレート繊維は、近年、従来のポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステル繊維にはなかったソフトな風合い、優れた弾性回復性、易染性といった特性から注目されている。
このポリトリメチレンテレフタレートは、耐熱性が低く、重合温度は、通常のポリエチレンテレフタレートが280℃〜300℃であるのに対し、250℃〜270℃と低温である。このような低温での重合触媒としては、アンチモンは活性が低く適さない。そこで、一般的には活性温度領域が比較的低温であるチタン触媒を重合触媒として使用する。しかしながら、このチタン触媒を含有すると黄色味の強くL***表色系におけるカラーb*値が高いポリマーとなり、繊維などの加工品へと加工した際に着色性が強く商品としての見た目も悪くなるという問題を有している。このような問題を解決するために、整色剤としてコバルト金属を含む化合物を添加する方法が提案されている(例えば特許文献1参照。)。この方法を用いれば、確かにカラーb*値が低めのポリマーを重合することができるが、溶融成形のための再溶融時に熱分解が起こりカラーb*値が増大するため、根本的な改善には至っておらず、色相改善のためには不十分である。
特許第3109053号
本発明の目的は、溶融成形時のカラーb*値の増大を停止し、さらにはカラーb*値を減少させることによって、溶融成形後のポリマーの黄変を改良し、染色工程での品質管理に優れた性能を有する、ポリエステルを提供することにある。
本発明は、主たる繰り返し単位がトリメチレンテレフタレート単位であるポリエステルであって、140℃、2時間熱処理後のL***表色系におけるカラーb*値が2以下であり、かつ固有粘度(o-クロロフェノール、35℃)が0.5〜1.5dL/gの範囲にあるポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステルに関する。
本発明によれば、溶融成形後のポリマーの黄変を防止し、優れた色相へと改善され、染色工程での品質管理に優れた性能を有する、ポリエステルを提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のポリエステルは、トリメチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルからなる。このポリエステルは、トリメチレンテレフタレート単位を構成する成分以外の第3成分を共重合した、共重合ポリトリメチレンテレフタレートであってもよい。上記第3成分(共重合成分)は、ジカルボン酸成分またはグリコール成分のいずれでもよい。ここで、「主たる」とは、全繰り返し単位中、90モル%以上であることを表す。
第3成分として好ましく用いられる成分としては、ジカルボン酸成分として、2,6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸もしくはフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸もしくはデカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸など、また、グリコール成分として、エチレングリコール、テトラメチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノールもしくは2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパンなどが例示され、これらは単独または二種以上を使用することができる。
本発明に用いるポリエステルの製造方法については特に限定はなく、テレフタル酸をトリメチレングリコールと直接エステル化させた後、重合させる方法、テレフタル酸のエステル形成性誘導体をトリメチレングリコールとエステル交換反応させた後、重合させる方法、のいずれを採用しても良い。
本発明に用いるポリエステルの重合触媒は特に限定はないが、チタン化合物を重合触媒として用いて用いることが好ましい。ここで、触媒として用いるチタン化合物とは、ポリマーに可溶性の有機系チタン化合物であることが好ましい。上記チタン化合物の含有量としては特に制限はないが、重縮合反応性、得られるポリエステルの色相、耐熱性の観点から、全ジカルボン酸成分に対し、チタン金属元素として2〜150ミリモル%程度含有されていることが好ましい。
ここで、テレフタル酸のエステル形成性誘導体をトリメチレングリコールとエステル交換反応させた後、重合させる方法を採用する場合、エステル交換反応触媒として、カルシウム化合物、マグネシウム化合物、マンガン化合物、亜鉛化合物など、通常、ポリエステルのエステル交換反応触媒として用いられる触媒を併用してもよい。しかし、通常は上述のチタン化合物をエステル交換反応触媒および重合触媒の両方の役割で用いる方法が好ましく採用される。
本発明に用いられるチタン化合物は、触媒起因の異物低減の点で、ポリエステル中に可溶なチタン化合物を使用することが好ましい。チタン化合物としては、特に限定されず、ポリエステルの重縮合触媒として一般的なチタン化合物、例えば、酢酸チタン、テトラ−n−ブトキシチタンなどのアルコキシチタンなどが挙げられるほか、これらチタン化合物と芳香族多価カルボン酸またはその無水物とを反応させた生成物などが好ましく挙げられる。
本発明のポリエステルは、140℃、2時間熱処理後のL***表色系におけるカラーb*値が2以下である必要がある。カラーb*値が2より大きな値の場合、これを成形加工した際に着色性が高くなってしまい好ましくない。カラーb*値は1以下の範囲が好ましく、0.5以下の範囲がさらに好ましい。
ここで、上記カラーb*値を2以下にするには、コバルト元素量がポリエステル(組成物)中に1〜100ppm、リン元素量がポリエステル(組成物)中に10〜1,000ppmの範囲で含有することが効果的である。
また、本発明のポリエステルは、固有粘度(o-クロロフェノール、35℃)が0.5〜1.5dL/gの範囲にある必要がある。上記固有粘度が0.5dL/g未満の場合、最終的に得られる繊維の機械的強度が不十分となり、一方、1.5dL/gを超える場合、取り扱い性が低下するため好ましくない。
上記固有粘度は0.55〜1.45dL/gの範囲にあることが好ましく、特に0.6〜1.4dL/gの範囲にあることが最も好ましい。
本発明のポリエステルの固有粘度を上記の適切な範囲とするために、固相重合されたポリエステルチップが好ましく使用される。この固相重合の具体例としては、ポリエステル(組成物)のペレットを融点以下の高温状態下、好ましくは190〜210℃の範囲に保持し、150Pa以下の高真空化、または窒素気流化にて、数時間から数十時間攪拌または静置させておく方法が挙げられる。また、この固相重合は、連続式であっても回分式であってもよい。
本発明のポリエステルは、含有されているコバルト元素量がポリエステルに対して1〜100ppmの範囲にあることが好ましい。上記コバルト元素量が1ppmより少ない場合、カラーb*値を低減させる効果が現れず好ましくない。一方、コバルト元素量が100ppmを超える場合、得られるポリエステルの耐熱性が低下するため好ましくない。本発明のポリエステル中のコバルト元素量は、3〜80ppmの範囲が好ましく、5〜50ppmの範囲が特に好ましい。
ここで、本発明のポリエステルに含有されるコバルト元素は、コバルト化合物に起因するものであり、コバルト化合物の例としては、酢酸コバルト、塩化コバルトなどが挙げられる。
また、本発明のポリエステルは、含有されているリン元素量がポリエステルに対して10〜1,000ppmの範囲にあることが好ましい。上記リン元素量が10ppmより少ない場合、再生環状ダイマー量が多くなり好ましくない。一方、リン元素量が1,000ppmを超える場合、得られるポリエステルの耐熱性が低下するため好ましくない。本発明でのポリエステル中のリン元素の量は、15〜700ppmの範囲が好ましく、20〜500ppmの範囲がさらに好ましい。
本発明のポリエステルは、上述したリン元素含有量を満たすために、下記式(I)〜(III)で表されるリン化合物のうち少なくとも1種を含み、リン化合物の合計が0.01〜0.5重量%含有されていることが好ましい。ここで、下記リン化合物の含有量が0.01重量%未満の場合、再生環状ダイマー量が多くなり好ましくなく、一方、0.5重量%を超える場合、得られるポリエステルの耐熱性が低下するため好ましくない。上記リン化合物の含有量は、0.03〜0.3重量%の範囲がさらに好ましい。
Figure 2006321846
[上記式中、R,RおよびRは炭素数1〜10の炭化水素基であり、それぞれ同一でも異なっていても良い。また、nは1〜5の整数である。Mはアルカリ金属またはアルカリ土類金属原子であり、Mがアルカリ金属の場合、m=1、Mがアルカリ土類金属の場合、m=2である。]



Figure 2006321846
[上記式中、R,RおよびRは水素原子、または炭素数1〜10の炭化水素基であり、それぞれ同一であっても異なっていても良い。xは1である。]
Figure 2006321846
[上記式中、RおよびRは水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基であり、yは0または1である。]
上記一般式(I)において、R,RおよびRにおける炭素数1〜10の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ターシャリーブチル基、フェニル基、ベンジル基などが挙げられ、好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基、ターシャリーブチル基である。また、nは1〜5の整数であり、好ましくは1または2である。さらに、Mはアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属原子であり、アルカリ金属としてはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、アルカリ土類金属としてはカルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウムなどが挙げられ、好ましくはカルシウムである。また、Mがアルカリ金属の場合、m=1、Mがアルカリ土類金属の場合、m=2である。
上記一般式(I)の具体例は、カルシウムジエチルビス(((3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル)ホスホネート)、マグネシウムジエチルビス(((3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル)ホスホネート)、カルシウムジエチルビス(((3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル)メチル)ホスホネート)、マグネシウムジエチルビス(((3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル)メチル)ホスホネート)、カルシウムジエチルビス(((3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル)エチル)ホスホネート)、マグネシウムジエチルビス(((3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル)エチル)ホスホネート)、ナトリウムエチル(((3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル)ホスホネート)、カリウムエチル(((3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル)ホスホネート)、ナトリウムエチル(((3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル)メチル)ホスホネート)、カリウムエチル(((3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル)メチル)ホスホネート)、ナトリウムエチル(((3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル)エチル)ホスホネート)、カリウムエチル(((3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル)エチル)ホスホネート)などが例示される。
上記式(II)において、R,RおよびRは水素原子か炭素数1〜10の炭化水素基であるが、炭素数1〜10の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ターシャリーブチル基、フェニル基、ベンジル基などが挙げられ、好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基、ターシャリーブチル基である。また、xは1である。これらの中でもR,RおよびRはいずれも水素原子、いずれもメチル基、またはいずれもエチル基が最も好ましい。
上記一般式(II)で表されるリン化合物の具体例は、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリイソプロピル、亜リン酸トリ−n−ブチル、亜リン酸トリデシル、亜リン酸トリフェニルなどが例示される。
上記式(III)において、RおよびRは、水素原子または炭素数1〜10の炭化水素である。炭素数1〜10の炭化水素基として、好ましくはメチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基、フェニル基、ベンジル基などが挙げられる。なお、上記式(III)では、リン原子が5価の化合物として表しているが、リン原子の5価とリン原子の3価の互変異性がある化合物の場合には、その3価のリン化合物も上記式(III)で表されるリン化合物に含まれる。
一般式(III)で表されるリン化合物の具体例としては、亜リン酸、亜リン酸ジメチル、亜リン酸ジエチル、亜リン酸ジイソプロピル、亜リン酸ジブチル、亜リン酸ジフェニル、フェニルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸メチル、フェニルホスフィン酸エチル、フェニルホスフィン酸フェニル、ベンジルホスフィン酸、ベンジルホスフィン酸メチル、ベンジルホスフィン酸エチル、ベンジルホスフィン酸フェニルなどが例示される。
なお、上記リン化合物のポリエステル中の含有量は、リン元素の定量分析のほか、核磁気共鳴スペクトルによって定量することができる。
本発明のポリエステル中に好ましく含有される上記式(I)〜(III)で表されるリン化合物のポリエステル中への添加方法については特に限定はないが、例えば、ポリエステル重合時の任意の段階で重合工程に添加する方法、製造されたポリトリメチレンテレフタレートポリマーに粉体、あるいは溶媒に溶解・分散させたリン化合物を、二軸押出機などを用いて溶融ブレンドする方法、マスターバッチ方式での溶融ブレンド方法などが挙げられる。
本発明のポリエステル繊維を製造する時の製造方法としては特に限定はなく、従来公知のポリエステルを溶融紡糸する方法を用いることができる。例えば、本発明のポリエステル(組成物)を240℃〜280℃の範囲で溶融紡糸して製造することが好ましく、溶融紡糸の速度は400〜5,000m/分で紡糸することが好ましい。紡糸速度がこの範囲にあると、得られるポリエステル繊維の強度も十分なものであると共に、安定して巻き取りを行うこともできる。また、延伸は、ポリエステル(未延伸)繊維を巻き取ってから、あるいは一旦巻き取ることなく連続的に処理することができる。この処理操作によって、延伸糸を得られる。さらに、本発明のポリエステル繊維は、風合いを高めるために、アルカリ減量処理も好ましく実施される。
本発明のポリエステル繊維を製造する際において、紡糸時に使用する口金の形状について制限は無く、円形、異形、中実、中空などのいずれも採用することができる。
さらに、本発明のポリエステル(チップ)および繊維は、必要に応じて少量の添加剤、例えば滑剤、顔料、染料、酸化防止剤、固相重縮合促進剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、遮光剤または艶消剤などを含んでいてもよい。特に、艶消剤としての酸化チタンは、好ましく添加され、酸化チタンとしては、平均粒径が0.01〜2μmの酸化チタンを最終的に得られるポリエステル(組成物)中に0.01〜10質量%含有させるよう添加することが好ましい。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例により何ら限定されるものではない。なお、実施例中の各値は、下記記載の方法により測定した。
(1)固有粘度:
ポリエステル繊維の固有粘度は、オルトクロロフェノール溶液中、35℃において測定した粘度の値から求めた。
(2)ポリエステル中のリン量、コバルト量の測定:
サンプルを加熱溶融して、円形ディスクを作成し、(株)リガク製、蛍光X線装置ZSX100e型を用いて定量した。
(3)結晶化後のL***表色系におけるカラーb*値:
チップの色相は140℃で2時間乾燥後、繊維の色相はメリアス編地ついて、ミノルタ色彩色差計(型式:CR−200)を用いて測定した。
(4)環状ダイマー含有量:
Waters社製、486型液体クロマトグラフにWaters社製GPCカラム TSKgel G2000H8を2本接続した装置を用いた。展開溶剤としてクロロホルムを使用し、サンプル1mgをヘキサフルオロイソプロパノール1mlに溶解してクロロホルムで10mlに希釈したサンプルを注入して、標準の環状ダイマーの検量線からポリマー中の重量百分率を求めた。
(5)引張強度、引張伸度:
JIS L1070記載の方法に準拠して測定を行った。
実施例1
テレフタル酸ジメチル100重量部とトリメチレングリコール70.5重量部との混合物に、テトラ−n−ブチルチタネート0.053重量部を攪拌機、精留塔およびメタノール留出コンデンサーを設けた反応器に仕込み、140℃から徐々に昇温しつつ、反応の結果生成するメタノールを系外に留出させながら、エステル交換反応を行った。反応開始後3時間で内温は210℃に達した。
次いで、得られた反応生成物を攪拌機およびグリコール留出コンデンサーを設けた別の反応器に移し、210℃から265℃に徐々に昇温すると共に、常圧から70Paの高真空に圧力を下げながら重合反応を行った。反応系の溶融粘度をトレースしつつ、固有粘度が0.65dL/gとなる時点で重合反応を打ち切った。
溶融ポリマーを反応器底部よりストランド状に冷却水中に押し出し、ストランドカッターを用いて切断してチップ化した。
得られたチップは、120℃で4時間予備結晶化後、タンブラー型固相重合装置に仕込み、窒素雰囲気下中、200℃に昇温させた後、70Paの高真空化で固有粘度1.05dL/gになるまで固相重合反応させ、環状二量体含有量1.1重量%のポリエステルチップを得た。
このポリエステルチップを、二軸押出機を用いて260℃で再溶融後、サイドフィーダーからカルシウムジエチルビス(((3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル)メチル)ホスホネート)(別名:カルシウムビス{エチル((3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル)メチル)ホスホネート})(商品名:イルガノックス1425、チバスペシャリティケミカルズ社製、上記式(I)においてR=R=t−ブチル基、R=エチル基、n=1、M=Ca)を含有量が0.1質量%、酢酸コバルトを含有量がコバルト元素量として15ppmとなるように調節しながら添加し、再びストランドカッターを用いて切断して固有粘度0.93dL/gのポリエステルチップを得た。得られたポリエステルの結果を表2に示す。
得られたチップは、さらに120℃で4時間乾燥した後、得られたチップを孔径0.27mmの円形紡糸孔を36個備えた紡糸口金を有する押出紡糸機を用いて260℃で溶融し、吐出量34g/分、引取速度2,400m/分で紡糸し、未延伸糸を得た。得られた未延伸糸を、60℃の加熱ローラーと160℃のプレートヒーターとを有する延伸処理機に供し、延伸倍率1.7倍で延伸処理し、83dtex/36フィラメントの延伸糸を得た。得られたポリエステル繊維の結果を表3に示す。
実施例2〜4
実施例1において、溶融重合、固相重合を行うまでは同様に行い、その後、サイドフィーダーから添加するリン化合物を、カルシウムジエチルビス(((3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル)メチル)ホスホネート)の代わりに表1に示す化合物を用いたこと以外は、実施例1と同様に行った。得られたポリエステルの結果を表2に示し、ポリエステル繊維の結果を表3に示す。
実施例5
テレフタル酸ジメチル100重量部とトリメチレングリコール70.5重量部との混合物に、テトラ−n−ブチルチタネート0.053重量部、酢酸コバルトをコバルト元素量として15ppmを攪拌機、精留塔およびメタノール留出コンデンサーを設けた反応器に仕込み、140℃から徐々に昇温しつつ、反応の結果生成するメタノールを系外に留出させながら、エステル交換反応を行った。反応開始後3時間で内温は210℃に達した。
次いで、得られた反応生成物を撹拌機およびグリコール留出コンデンサーを設けた別の反応器に移し、210℃から265℃に徐々に昇温すると共に、常圧から70Paの高真空に圧力を下げながら重合反応を行い、反応終了30分前にカルシウムジエチルビス(((3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル)メチル)ホスホネート)(別名:カルシウムビス{エチル((3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル)メチル)ホスホネート})(商品名:イルガノックス1425、チバスペシャリティケミカルズ社製、上記式(I)においてR=R=t−ブチル基、R=エチル基、n=1、M=Ca)0.106重量部を添加後(リン化合物として0.106質量%に相当する)、反応系の溶融粘度をトレースしつつ、固有粘度が0.70dL/gとなる時点で重合反応を打ち切った。
溶融ポリマーを反応器底部よりストランド状に冷却水中に押し出し、ストランドカッターを用いて切断してチップ化した。
得られたチップは、120℃で4時間予備結晶化後、タンブラー型固相重合装置に仕込み、窒素雰囲気下中、200℃に昇温させた後、70Paの高真空化で、固有粘度0.93dL/gになるまで固相重合反応させ、ポリエステルチップを得た。得られたポリエステルの結果を表2に示す。
得られたチップは実施例1と同様に紡糸、延伸し、ポリエステル繊維を得た。結果を表3に示す。
実施例6
実施例1において、二軸押出機を用いて、サイドフィーダーにより、表1に示すリン化合物のみを添加し、コバルト化合物は添加しなかったこと以外は同様に行った。得られたポリエステルの結果を表2に示し、ポリエステル繊維の結果を表3に示す。
実施例7
実施例5において、溶融重合の反応終了20分前にリン化合物を添加しなかったこと以外は、同様に行った。得られたポリエステルの結果を表2に示し、ポリエステル繊維の結果を表3に示す。
比較例1
実施例1において、二軸押出機を用いて、サイドフィーダーによりリン化合物およびコバルト化合物を添加する操作のみを行わないこと以外は、同様に行った。得られたポリエステルの結果を表2に示し、ポリエステル繊維の結果を表3に示す。
Figure 2006321846
CDHMP:カルシウムジエチルビス(((3,5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル)メチル)ホスホネート)
PPA:フェニルホスフィン酸
PEHMP:カリウムエチル(((3,5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル)メチル)ホスホネート)
Figure 2006321846
CD:環状ダイマー含有量
Figure 2006321846
表2からも明らかなように、本発明の請求項1を満たすポリエステル(実施例1〜7)は、カラーb*値が低く外観が良好なものであった。また、請求項2および3も満たすポリエステル(実施例1〜5)は、さらに良好なものであった。さらに、実施例1〜6については、環状ダイマー発生量も少なく、溶融紡糸時の工程調子が安定し、染色工程での品質管理に優れた性能を有するものであった。
本発明によれば、これまでの黄色味の強い色相が改善され、溶融成形時の再生環状ダイマーの生成量が少なく、溶融紡糸時の工程調子が安定し、染色工程での品質管理に優れた性能を有する、ポリエステルおよび繊維を提供することができる。なお、得られた繊維は、通常の機械的物性を保持しており、従来から用いられているポリトリメチレンテレフタレート繊維の用途に充分使用することができる。

Claims (4)

  1. 主たる繰り返し単位がトリメチレンテレフタレート単位であるポリエステルであって、140℃、2時間熱処理後のL***表色系におけるカラーb*値が2以下であり、かつ固有粘度(o-クロロフェノール、35℃)が0.5〜1.5dL/gの範囲にあることを特徴とするポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステル。
  2. コバルト元素量が1〜100ppm、リン元素量が10〜1,000ppmの範囲にある請求項1記載のポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステル。
  3. ポリエステル中にリン化合物として下記式(I)〜(III)で表されるリン化合物のうち少なくとも1種を含み、かつリン化合物の合計が0.01〜0.5質量%含有されている請求項1または2記載のポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステル。
    Figure 2006321846
    [上記式中、R,RおよびRは炭素数1〜10の炭化水素基であり、それぞれ同一でも異なっていても良い。また、nは1〜5の整数である。Mはアルカリ金属またはアルカリ土類金属原子であり、Mがアルカリ金属の場合、m=1、Mがアルカリ土類金属の場合、m=2である。]
    Figure 2006321846
    [上記式中、R,RおよびRは水素原子、または炭素数1〜10の炭化水素基であり、それぞれ同一であっても異なっていても良い。xは1である。]
    Figure 2006321846
    [上記式中、RおよびRは水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基であり、yは0または1である。]
  4. 請求項1〜3のいずれか1項記載のポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステルを溶融紡糸して得られる、ポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステル繊維。
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