JP3022037B2 - 改質ポリエステル組成物 - Google Patents

改質ポリエステル組成物

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JP3022037B2
JP3022037B2 JP5068454A JP6845493A JP3022037B2 JP 3022037 B2 JP3022037 B2 JP 3022037B2 JP 5068454 A JP5068454 A JP 5068454A JP 6845493 A JP6845493 A JP 6845493A JP 3022037 B2 JP3022037 B2 JP 3022037B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は改質ポリエステル組成物
に関し、更に詳細にはカチオン染料に対して従来技術に
比較して格段に優れた濃色かつ鮮明な染色が可能である
と共に強度等の物理的性質が改良された繊維、フィル
ム、シート等の成形物を与えることのできる改質ポリエ
ステル組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルは多くの優れた特性を有し
ているため繊維やフィルムとして広く用いられている
が、染色性が低く、特に分散染料以外の染料には染色困
難であり、その改善が求められていた。
【0003】染色性を改良する方法としては、例えばポ
リエステル主鎖中に、5−Naスルホイソフタル酸の如
きスルホン酸金属塩基を有するイソフタル酸成分を共重
合することによってカチオン染料で染色可能とする方法
が古くから知られている(特公昭34−10497号公
報参照)。しかしながら、この方法ではカチオン染料で
染色した際の濃色性や鮮明発色性が不充分であるのみな
らず、該成分の共重合によってポリマーの溶融粘度が著
しく増大し、重合度を充分に上げることが困難になると
同時に紡糸等の成形が困難となるため低強度の成形物し
か得られない欠点があった。
【0004】かかるカチオン染料可染性ポリエステルの
欠点を解消するため、本発明者は先にスルホン酸ホスホ
ニウム塩基を有するイソフタル酸成分を共重合した改質
ポリエステルの製造法および改質ポリエステル繊維を提
案した(特公平3−61766号公報参照)。この方法
によれば、ポリマーの増粘作用が抑制されるため、高重
合度でかつ低溶融粘度のポリエステルが容易に得られ、
高強度の成形物が製造できるようになるだけでなく、カ
チオン染料で染色した際の濃色性や鮮明発色性が改良さ
れる。しかし、この方法によっても、例えば繊維の場
合、異形断面繊維や1デニール以下の極細繊維になした
時には、繊維表面での光の反射が増大するため、カチオ
ン染料で染色した際の濃色性や鮮明発色性が不足するよ
うになり、また強度等の物理的性質も不充分となる傾向
があった。
【0005】一方、前記したスルホン酸金属塩基を有す
るイソフタル酸成分を共重合したポリエステルにアルキ
ルスルホン酸金属塩やアルキルベンゼンスルホン酸金属
塩の如く該ポリエステルとは非反応性の有機スルホン酸
金属塩を配合した組成物に関する提案がいくつかなされ
ている。米国特許第4336307号明細書には、上記
組成物を中空繊維となして、これをアルカリ減量処理す
ることによって形成させた、繊維表面から中空部まで連
通した多数の微細孔を有する吸水性ポリエステル繊維が
提案されている。また、特開平4−264126号公報
には、かかる組成物から高強力のカチオン染料可染性ポ
リエステル繊維が得られることが示されている。しかし
ながら、これらの方法によって得られる繊維では、繊維
の強度等の物理的性質とカチオン染料で染色した際の濃
色性や鮮明発色性とが二律背反的な関係にあり、両者を
同時に満足することができない。
【0006】他方、スルホン酸ホスホニウム塩基を有す
るイソフタル酸成分を共重合したポリエステルに、該ポ
リエステルに不溶性のポリエーテルと該ポリエステルと
非反応性の有機スルホン酸金属塩とを配合した制電性ポ
リエステル繊維が知られている(特開平1−19282
3号公報および特開平4−149269号公報参照)。
しかしながら、これらの方法で得られる繊維では、該繊
維を構成するポリエステル中に該ポリエステルに不溶性
のポリエーテルが白濁状態で分散含有されているため、
カチオン染料で染色した際に白っぽく、くすんだ色しか
得られない。
【0007】以上述べたように、異形断面繊維や1デニ
ール以下の極細繊維になした場合においても、カチオン
染料によって濃色かつ鮮明に染色することができると共
に通常の未改質ポリエステル繊維と同等の強度を示すカ
チオン染料可染性ポリエステル繊維を得ることのできる
改質ポリエステル(組成物)は従来皆無であった。
【0008】
【発明が解決すべき課題】そこで、本発明者は、異形断
面繊維や1デニール以下の極細繊維になした場合でも、
カチオン染料で濃色かつ鮮明に染色可能であると共に通
常の未改質ポリエステル繊維と同等の強度を有するカチ
オン染料可染性ポリエステル繊維を製造することのでき
る改質ポリエステルを得ることを目的として鋭意検討を
行った。その結果、スルホン酸ホスホニウム塩基を有す
るイソフタル酸成分を共重合した改質ポリエステルに、
該改質ポリエステルと非反応性の有機スルホン酸金属塩
を配合した改質ポリエステル組成物は、カチオン染料で
染色した際の濃色性や鮮明発色性と強度等の物理的性質
とが同時に向上したカチオン染料可染性ポリエステル繊
維を与えることを究明して上記目的が達成できることを
知った。その作用機構については未だ明らかではない
が、スルホン酸ホスホニウム塩基を有するイソフタル酸
成分を共重合した改質ポリエステルと上記有機スルホン
酸金属塩との相溶性が、スルホン酸金属塩基を有するイ
ソフタル酸成分を共重合した改質ポリエステルと該有機
スルホン酸金属塩との相溶性に比較して格段に優れてい
ることを知見しており、前者の組み合せにおいてのみ、
該有機スルホン酸金属塩が紡糸助剤として有効に機能す
ると共に、ブレンド型のカチオン染料可染化剤としても
有効に機能しているためと推定される。本発明者はこれ
らの知見に基づいて更に重ねて検討した結果本発明を完
成した。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明者は、
(A)下記一般式(I)
【0010】
【化2】
【0011】式中、Aは芳香族基または脂肪族基であ
り、X1はエステル形成性官能基であり、X2はX1と同
一若しくは異なるエステル形成性官能基または水素原子
であり、R1、R2、R3およびR4のそれぞれは、アルキ
ル基およびアリール基よりなる群から選ばれる同一また
は異なる基であり、そしてnは正の整数を示す、で表わ
されるスルホン酸ホスホニウム塩が0.1〜10モル%
(改質ポリエステルを構成する、スルホン酸ホスホニウ
ム塩を除く全酸成分に対して)共重合された改質ポリエ
ステルおよび
【0012】(B)前記スルホン酸ホスホニウム塩に対
して1.0〜100モル%となる量の下記一般式(I
I) RSO3M ...(II) 式中、Rは炭素原子数3〜30のアルキル基あるいは炭
素原子数6〜40のアリール基またはアルキルアリール
基であり、Mはアルカリ金属を示す、で表される有機ス
ルホン酸金属塩を含有し且つ水不溶性ポリオキシエチレ
ン系ポリエーテルを実質的に含有しないことを特徴とす
る改質ポリエステル組成物。
【0013】本発明でいうポリエステルは、テレフタル
酸を主たる酸成分とし、少なくとも1種のグリコール、
好ましくはエチレングリコール、トリメチレングリコー
ル、テトラメチレングリコールから選ばれる少なくとも
1種のアルキレングリコールをグリコール成分とするポ
リエステルを主たる対象とする。また、テレフタル酸成
分の一部を他の二官能性カルボン酸成分で置換えたポリ
エステルであってもよく、および/またはグリコール成
分の一部を主成分以外の上記グリコール若しくは他のジ
オール成分で置換えたポリエステルであってもよい。
【0014】ここで使用されるテレフタル酸以外の二官
能性カルボン酸としては、例えばイソフタル酸、ナフタ
レンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノ
キシエタンジカルボン酸、β−ヒドロキシエトキシ安息
香酸、p−オキシ安息香酸、アジピン酸、セバシン酸、
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸の如き芳香族、脂
肪族、脂環族の二官能性カルボン酸をあげることができ
る。
【0015】また、上記グリコール以外のジオール化合
物としては、例えばシクロヘキサン−1,4−ジメタノ
ール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA、ビ
スフェノールSの如き脂肪族、脂環族、芳香族ジオール
化合物およびポリオキシアルキレングリコール等をあげ
ることができる。
【0016】更に、ポリエステルが実質的に線状である
範囲でトリメリット酸、ピロメリット酸の如きポリカル
ボン酸、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタ
エリスリトールの如きポリオールを使用することができ
る。
【0017】かかるポリエステルは任意の方法によって
合成される。例えばポリエチレンテレフタレートについ
て説明すれば、通常テレフタル酸とエチレングリコール
とを直接エステル化反応させるか、テレフタル酸ジメチ
ルの如きテレフタル酸の低級アルキルエステルとエチレ
ングリコールとをエステル交換反応させるかまたはテレ
フタル酸とエチレンオキサイドとを反応させるかしてテ
レフタル酸のグリコールエステルおよび/またはその低
重合体を生成させる第一段階の反応と、第一段階の反応
生成物を減圧下加熱して所望の重合度になるまで重縮合
反応させる第二段階の反応によって製造される。
【0018】本発明において共重合成分として使用する
スルホン酸ホスホニウム塩は下記一般式(I)
【0019】
【化3】
【0020】で表わされる。式中、Aは芳香族基または
脂肪族基を示し、なかでも芳香族基が好ましい。X1
エステル形成性官能基を示し、具体例として
【0021】
【化4】
【0022】(但し、R’は低級アルキル基またはフェ
ニル基、aおよびdは1以上の整数、bは2以上の整数
である)
【0023】等をあげることができる。X2はX1と同一
若しくは異なるエステル形成性官能基または水素原子を
示し、なかでもエステル形成性官能基であることが好ま
しい。R1、R2、R3およびR4はアルキル基およびアリ
ール基よりなる群から選ばれた同一または異なる基を示
す。nは正の整数である。
【0024】かかるスルホン酸ホスホニウム塩は、一般
に対応するスルホン酸とホスフィン類との反応、または
対応するスルホン酸金属塩とホスホニウムハライド類と
の反応により容易に合成できる。
【0025】上記スルホン酸ホスホニウム塩の好ましい
具体例としては、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホ
ン酸テトラブチルホスホニウム塩、3,5−ジカルボキ
シベンゼンスルホン酸エチルトリブチルホスホニウム
塩、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸ベンジル
トリブチルホスホニウム塩、3,5−ジカルボキシベン
ゼンスルホン酸フェニルトリブチルホスホニウム塩、
3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラフェニ
ルホスホニウム塩、3,5−ジカルボキシベンゼンスル
ホン酸ブチルトリフェニルホスホニウム塩、3,5−ジ
カルボキシベンゼンスルホン酸ベンジルトリフェニルホ
スホニウム塩、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスル
ホン酸テトラブチルホスホニウム塩、3,5−ジカルボ
メトキシベンゼンスルホン酸エチルトリブチルホスホニ
ウム塩、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸
ベンジルトリブチルホスホウニム塩、3,5−ジカルボ
メトキシベンゼンスルホン酸フェニルトリブチルホスホ
ニウム塩、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン
酸テトラフェニルホスホニウム塩、3,5−ジカルボメ
トキシベンゼンスルホン酸エチルトリフェニルホスホニ
ウム塩、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸
ブチルトリフェニルホスホニウム塩、3,5−ジカルボ
メトキシベンゼンスルホン酸ベンジルトリフェニルホス
ホニウム塩、3−カルボキシベンゼンスルホン酸テトラ
ブチルホスホニウム塩、3−カルボキシベンゼンスルホ
ン酸テトラフェニルホスホニウム塩、3−カルボメトキ
シベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、3
−カルボメトキシベンゼンスルホン酸テトラフェニルホ
スホニウム塩、3,5−ジ(β−ヒドロキシエトキシカ
ルボニル)ベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウ
ム塩、3,5−ジ(β−ヒドロキシエトキシカルボニ
ル)ベンゼンスルホン酸テトラフェニルホスホニウム
塩、3−(β−ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼ
ンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、3−(β−
ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸テ
トラフェニルホスホニウム塩、4−ヒドロキシエトキシ
ベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、2,
6−ジカルボキシナフタレン−4−スルホン酸テトラブ
チルホスホニウム塩、α−テトラブチルホスホニウムス
ルホコハク酸等をあげることができる。上記スルホン酸
ホスホニウム塩は1種のみを単独で用いても、2種以上
併用してもよい。
【0026】上記スルホン酸ホスホニウム塩をポリエス
テルに共重合するには、前述したポリエステルの合成が
完了する以前の任意の段階で、好ましくは第2段階の反
応の初期以前の任意の段階で添加すればよい。スルホン
酸ホスホニウム塩をポリエステルに共重合させる割合
は、ポリエステルを構成する酸成分(スルホン酸ホスホ
ニウム塩を除く)に対して0.1〜10モル%の範囲で
あり、0.5〜5モル%の範囲が好ましい。共重合割合
で0.1モル%より少ないと、得られる改質ポリエステ
ル組成物をカチオン染料で染色した際の濃色性や鮮明発
色性が不十分になり、10モル%より多くなると濃色性
や鮮明発色性は最早著しい向上を示さず、かえって改質
ポリエステル組成物の物性が低下し、本発明の目的を達
成し難くなる。
【0027】本発明の組成物において、上記したスルホ
ン酸ホスホニウム塩を共重合した改質ポリエステルに配
合される有機スルホン酸金属塩は下記一般式(II) RSO3M ...(II) で表わされる。式中、Rは炭素原子数3〜30のアルキ
ル基あるいは炭素原子数6〜40のアリール基またはア
ルキルアリール基であり、Mはアルカリ金属を示す。R
がアルキル基のときはRは直鎖状であってもまたは分枝
した側鎖を有していてもよい。Rとしては、なかでも炭
素原子数6〜40のアリール基またはアルキルアリール
基がより大きな効果が奏されるのでより好ましい。Rが
アルキルアリール基の場合のアルキルは直鎖状であって
もまたは分枝した側鎖を有していてもよい。MはNa、
K、Li等のアルカリ金属であり、なかでもLi、N
a、Kが好ましい。
【0028】上記式(II)で表わされる化合物の好ま
しい具体例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸Na
(ハード型、ソフト型)、ドデシルベンゼンスルホン酸
Li(ハード型、ソフト型)、ドデシルベンゼンスルホ
ン酸K(ハード型、ソフト型)、ペンタデシルベンゼン
スルホン酸Na、ペンタデシルベンゼンスルホン酸L
i、ペンタデシルベンゼンスルホン酸K、ヘキシルベン
ゼンスルホン酸Na、ヘキシルベンゼンスルホン酸L
i、ヘキシルベンゼンスルホン酸K、n−ブチルベンゼ
ンスルホン酸Na、t−ブチルベンゼンスルホン酸N
a、ジブチルベンゼンスルホン酸Na、エチルベンゼン
スルホン酸Na、キシレンスルホン酸Na、トルエンス
ルホン酸Na、ベンゼンスルホン酸Na、シブチルナフ
チレンスルホン酸Na、ジブチルナフタレンスルホン酸
Li、炭素原子数の平均が14であるアルキルスルホン
酸Na混合物、炭素原子数の平均が15であるアルキル
スルホン酸Na混合物、炭素原子数の平均が22である
アルキルスルホン酸Na混合物、炭素原子数の平均が1
1であるアルキルスルホン酸Na、炭素原子数の平均が
12であるアルキルスルホン酸Na、オクチルスルホン
酸Na、ブチルスルホン酸Na、プロピルスルホン酸N
a、ステアリルスルホン酸Na等をあげることができ
る。
【0029】上記有機スルホン酸金属塩は1種のみを単
独で用いてもよく、あるいはその2種以上を併用しても
よい。その配合量は前記したスルホン酸ホスホニウム塩
に対して1.0〜100モル%の範囲であり、なかでも
5〜80モル%の範囲が好ましい。この配合量が1.0
モル%より少ないと、得られる改質ポリエステル組成物
をカチオン染料で染色した際の濃色性や鮮明発色性が不
十分になると共に強度等の物性を改良する効果が不十分
になる。逆に、この量が100モル%より多くなると、
もはや著しいカチオン染色性の向上は見られず、かえっ
て強度等の物性が低下するようになる。
【0030】かかる有機スルホン酸金属塩と前記した改
質ポリエステルとから本発明の改質ポリエステル組成物
を製造するには、該改質ポリエステルの成形が終了する
までの任意の段階、例えば改質ポリエステルの重縮合反
応開始前、重縮合反応途中、重縮合反応終了時であって
まだ溶融状態にある時点、粉粒状態、成形段階等におい
て、上記有機スルホン酸金属塩を添加混合することが推
奨される。添加に際しては1回の操作で添加しても、ま
たは2回以上に分割添加してもよい。また、上記有機ス
ルホン酸金属塩を予め通常の未改質ポリエステルに配合
し、その後成形前等において、この配合物を改質ポリエ
ステルに混合することもできる。更に、重縮合反応終了
前に添加するときは、有機スルホン酸金属塩をグリコー
ル等の溶媒に溶解または分散させて添加することもでき
る。
【0031】なお、本発明の組成物には、必要に応じて
酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、蛍光増白剤、艶消
剤、着色剤、その他の添加剤等を配合してもよい。しか
しながら、本発明の組成物は水不溶性ポリオキシエチレ
ン系ポリエーテルを実質的に含有しない。
【0032】本発明の改質ポリエステル組成物から繊維
を製造する場合には、任意の製糸条件を何等の支障なく
採用することができる。例えば500〜2500m/分
の速度で溶融紡糸し、延伸・熱処理する方法、1500
〜5000m/分の速度で溶融紡糸し、延伸と仮撚加工
とを同時にまたは続いて行う方法、5000m/分以上
の高速で溶融紡糸し、用途によっては延伸を省略する方
法、などの任意の製糸条件を採用することができる。こ
の際、得られる繊維の断面形状および繊度は任意でよい
が、なかでも断面形状が円形以外の異形断面である場合
や単繊維繊度が1デニール以下の極細繊維である場合
に、本発明の効果が特に顕著に発揮される。
【0033】また、本発明の組成物は、フィルムやシー
トの製造にも使用することができ、この際任意の成形条
件を何等の支障なく採用することができる。例えば製膜
後一方向のみに張力を作用させて異方性膜を製造する方
法、同時にまたは任意の順序で膜を二方向に延伸する方
法、および膜を2段以上に多段延伸する方法等を任意の
条件で採用することができる。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の改質ポリ
エステル組成物によれば、カチオン染料で染色した際に
改善された濃色性や鮮明発色性が得られると共に強度等
の物性が同時改良されるという従来例を見ない効果が奏
される。従って、本発明の改質ポリエステル組成物は特
に繊維になした場合に有用である。とりわけ、従来濃色
かつ鮮明なカチオン染色が困難であり、その上強度等の
物性が得られ難かった異形断面繊維や1デニール以下の
極細繊維に本発明の改質ポリエステル組成物を適用する
と特に大きな効果が得られる。本発明の改質ポリエステ
ル組成物から得られる繊維はナイロンを凌駕する色彩の
鮮明発色性と強度と柔らかさとを合わせ有するため、ス
キーウエア、ウインドブレーカー、水着などのスポーツ
用途において特に有用に使用することができる。
【0035】また、本発明の改質ポリエステル組成物か
ら得られるフィルムやシートは、強度に優れると共に優
れた制電性、吸水性、印刷性、接着性等を有するので極
めて有用である。
【0036】
【実施例】本発明を具体的な実施例をあげて、更に詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるも
のではない。実施例中の部および%は重量部および重量
%を示す。ポリマーの固有粘度[η]は35℃のオルソ
クロロフェノール溶液で測定した値から求めた。また、
染色布の視感染色性は染色布の * 値、a * 値、b * 値を
ミノルタ色彩色差計CR−200(ミノルタカメラ販売
(株))を用いて測定し、深色度(L * および彩度
{(a *2 +b *2 1/2 により深色性と鮮明発色性を求
めた。深色度が小さいほど深色性が大きく、また彩度が
大きいほど鮮明発色性が大きいことを示す。
【0037】実施例1〜5および比較例1〜2 テレフタル酸ジメチル100部、エチレングリコール6
0部、酢酸マンガン4水塩0.03部(テレフタル酸ジ
メチルに対して0.024モル%)、整色剤として酢酸
コバルト4水塩0.009部(テレフタル酸ジメチルに
対して0.007モル%)、カチオン染料可染化剤とし
てテレフタル酸ジメチルに対して1.5モル%となる量
の3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸テトラ
−n−ブチルホスホニウム塩および安定剤としてテレフ
タル酸ジメチルに対して0.050モル%の量のテトラ
エチルアンモニウムハイドロオキサイドをエステル交換
缶に仕込み、窒素ガス雰囲気下3時間かけて140℃か
ら220℃まで昇温して生成するメタノールを系外に留
去しながらエステル交換反応させた。続いて得られた生
成物にエステル交換触媒失活剤として正リン酸の56%
水溶液0.03部(テレフタル酸ジメチルに対して0.0
33モル%および消泡剤としてジメチルポリシロキサン
0.03部を添加し、同時に過剰のエチレングリコール
の昇温追出しを開始した。10分後重縮合触媒として三
酸化アンチモン0.04部(テレフタル酸ジメチルに対
して0.027モル%)を添加した。内温が240℃に
達した時点でエチレングリコールの追出しを終了し、反
応生成物を重合缶に移した。
【0038】次いでハード型ドデシルベンゼンスルホン
酸Naを表1記載の量(テレフタル酸ジメチルに対する
モル%で表示)添加した後、昇温しながら内温が260
℃に到達するまで常圧反応させた後、1時間かけて76
0mmHgから1mmHgまで減圧し、同時に1時間3
0分かけて内温を280℃まで昇温した。1mmHg以
下の減圧下、重合温度280℃で更に2時間重合した時
点で窒素ガスで真空を破って重合反応を終了し、窒素ガ
ス加圧下にポリマーを吐出し、冷却してチップ化した。
得られたポリマーの固有粘度[η]は表1に記載のとお
りであった。
【0039】このポリマーチップを常法により乾燥した
後、285℃で溶融し、スリット幅0.15mmのY字
型孔を24個穿設した紡糸口金を使用して紡糸速度11
00m/分にて紡出し、次いで、得られる延伸糸の伸度
が35%になるような延伸倍率で、延伸速度1200m
/分にて、84℃の加熱ローラーと180℃のプレート
ヒーターを使って延伸・熱処理を行い、50デニール/
24フィラメントの三葉型断面の延伸糸を得た。得られ
た延伸糸の強度を表1に示した。
【0040】得られた延伸糸を常法に従ってメリヤス編
地に製編し、常法により精練、プリセットした後 Cathi
lon Blue CD−FRLH/Cathilon Blue CD−FB
LH=1/1(保土谷化学(株)製)2%owfおよび
10%owfのそれぞれで、芒硝3g/L、酢酸0.3
g/Lを含む染浴中にて130℃で60分間染色し、そ
の後常法に従ってソーピングして青色布を得た。表1に
染色布の深色度および彩度を示した。
【0041】実施例6 実施例3において使用したハード型ドデシルベンゼンス
ルホン酸Naに代えてハード型ヘキシルベンゼンスルホ
ン酸Naを等モル量使用する以外は実施例3と同様に行
った。結果を表1に示した。
【0042】実施例7 実施例3において使用したハード型ドデシルベンゼンス
ルホン酸Naに代えてペンタデシルベンゼンスルホン酸
Naを等モル量使用する以外は実施例3と同様に行っ
た。結果を表1に示した。
【0043】実施例8 実施例3において使用したハード型ドデシルベンゼンス
ルホン酸Naに代えてキシレンスルホン酸Naを等モル
量使用する以外は実施例3と同様に行った。結果を表1
に示した。
【0044】実施例9 実施例3において使用したハード型ドデシルベンゼンス
ルホン酸Naに代えてベンゼンスルホン酸Naを等モル
量使用する以外は実施例3と同様に行った。結果を表1
に示した。
【0045】実施例10 実施例3において使用したハード型ドデシルベンゼンス
ルホン酸Naに代えて炭素原子数が8〜22で、平均の
炭素原子数が14であるアルキルスルホン酸Naを等モ
ル量使用する以外は実施例3と同様に行った。結果は表
1に示した。
【0046】実施例11 実施例3において使用したハード型ドデシルベンゼンス
ルホン酸Naに代えてn−ブチルスルホン酸Naを等モ
ル量使用する以外は実施例3と同様に行った。結果を表
1に示した。
【0047】実施例12 実施例3において使用したハード型ドデシルベンゼンス
ルホン酸Naに代えてn−ブチルスルホン酸Liを等モ
ル量使用する以外は実施例3と同様に行った。結果を表
1に示した。
【0048】実施例13および比較例3 実施例3および比較例1で製造したポリマーチップをそ
れぞれ常法に従って乾燥し、孔径0.15mmの円形吐
出孔を72個穿設した紡糸口金を使用して286℃で溶
融し、紡糸速度1390m/分で紡出した。次いで実施
例3および比較例1と同様にして、得られる延伸糸の伸
度が35%になるように延伸・熱処理して72デニール
/72フィラメントの単繊維繊度1.0デニールの丸断
面延伸糸を得た。これらの延伸糸を用いて以下実施例3
および比較例1と同様に行い、表1に示す結果を得た。
【0049】
【表1】
【0050】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 67/02

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)下記一般式(I) 【化1】式中、Aは芳香族基または脂肪族基であり、X
    1はエステル形成性官能基であり、X2はX1と同一若し
    くは異なるエステル形成性官能基または水素原子であ
    り、R1、R2、R3およびR4のそれぞれは、アルキル基
    およびアリール基よりなる群から選ばれる同一または異
    なる基であり、そしてnは正の整数を示す、で表される
    スルホン酸ホスホニウム塩が0.1〜10モル%(改質
    ポリエステルを構成する、スルホン酸ホスホニウム塩を
    除く全酸成分に対して)共重合された改質ポリエステル
    および (B)前記スルホン酸ホスホニウム塩に対して1.0〜
    100モル%となる量の下記一般式(II) RSO3M ...(II) 式中、Rは炭素原子数3〜30のアルキル基あるいは炭
    素原子数6〜40のアリール基またはアルキルアリール
    基であり、Mはアルカリ金属を示す、で表される有機ス
    ルホン酸金属塩を含有し且つ水不溶性ポリオキシエチレ
    ン系ポリエーテルを実質的に含有しないことを特徴とす
    る改質ポリエステル組成物。
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