JPH0892819A - 改質ポリエステル - Google Patents

改質ポリエステル

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JPH0892819A
JPH0892819A JP23094594A JP23094594A JPH0892819A JP H0892819 A JPH0892819 A JP H0892819A JP 23094594 A JP23094594 A JP 23094594A JP 23094594 A JP23094594 A JP 23094594A JP H0892819 A JPH0892819 A JP H0892819A
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Japan
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polyester
group
polymerization
isophthalic acid
groups
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JP23094594A
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Tsunetaka Yamamoto
経孝 山本
Satoshi Yanase
聡 柳瀬
Mitsuyuki Yamamoto
満之 山本
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 金属スルホネート基含有イソフタル酸成分を
1モル%以上共重合したポリエステルに、ホスホン酸型
アニオンとホスホニウムカチオンとからなる特定の非反
応性のリン化合物を0.01〜0.3重量%配合した改
質ポリエステル。 【効果】 増粘現象が抑制され、重合度を十分高くする
ことができ、ポリエステルの優れた機械的特性を損なう
ことなく繊維、フィルム等に溶融成形することができ
る。例えば高強度のカチオン染料可染型ポリエステル繊
維、或いは分割型複合繊維のアルカリ易溶解性成分に用
いることができ、その工業的意義は極めて大である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、改質ポリエステルに関
する。更に詳しくは、従来の金属スルホネート基含有イ
ソフタル酸成分共重合ポリエステルに不可避であった重
合時の増粘現象を生じることなく、重合度を十分高くす
ることができ、繊維やフィルムの溶融成形、特に溶融紡
糸に適した改質ポリエステルに関する。
【0002】
【従来の技術】繊維の染色に関して、ポリエステルは染
色性が低く、分散染料以外の染料では染色が困難なた
め、ポリエステルの染色性改良を目的として種々の提案
がなされている。その一つとして、従来から、金属スル
ホネート基を含有するイソフタル酸成分、例えば5−ナ
トリウムスルホイソフタル酸成分をポリエステル中に共
重合させた、カチオン染料で染色可能なポリエステルが
知られている。
【0003】ところが、十分な染色性が得られる量のス
ルホン酸金属塩を含有するイソフタル酸成分を共重合さ
せたものにおいては、該イソフタル酸成分の増粘作用の
ため重合反応物の溶融粘度が著しく増大し、反応物の重
合度を十分に上げることが困難になるという問題があ
る。従って、十分な染色性が得られる量の金属スルホネ
ート基を含有するイソフタル酸成分を共重合させる場合
は、共重合ポリエステルの溶融粘度を、重合が容易で、
且つ紡糸可能な範囲にまで低下させておくために、共重
合ポリエステルの重合度を低くしておく必要がある。そ
の結果、得られる繊維の強度が低下し、得られるカチオ
ン染料可染性ポリエステル繊維の用途は著しく制限され
る。
【0004】この増粘作用を防止するために、金属スル
ホネート基含有イソフタル酸成分に代わるカチオン可染
化剤として、スルホン酸4級ホスホニウム塩を有するイ
ソフタル酸成分を共重合したポリエステル(特公昭47
−22334号公報、米国特許第3732183号明細
書)及び、m−金属スルホ安息香酸化合物の如き1個の
エステル形成性官能基を有するスルホネート化合物を共
重合したポリエステル(特公平3−23648号公報)
が提案されている。
【0005】前者のスルホン酸4級ホスホニウム塩を有
するイソフタル酸成分を共重合したポリエステルについ
ては、重合反応過程や溶融成形過程等の高温加熱条件下
で、スルホン酸4級ホスホニウム塩が自ら分解し、生成
ポリエステルや紡出糸等の成形品を黄褐色に着色させる
という重大な問題点があり、これに対する改良技術も種
々提案されている(特公平3−61766号公報、特公
平4−15259号公報、特公平4−55606号公
報、特公平4−66255号公報、特開平1−1036
23号公報、特開平1−103650号公報、特開平1
−192822号公報、特開平1−192823号公
報、特開平5−287174号公報)が、未だ十分であ
るとは言い難い。
【0006】また、後者のm−金属スルホ安息香酸化合
物の如き1個のエステル形成性官能基を有するスルホネ
ート化合物を共重合したポリエステルについては、スル
ホネート化合物の官能基が1個のため、ポリエステル重
合反応の末端停止剤として働き、目的とする高重合度ポ
リエステルを得ることが難しいという問題点がある。一
方、金属スルホネート基含有イソフタル酸成分を共重合
したポリエステルに対し、溶融粘度を低下せしめる非反
応性の低分子有機化合物、いわゆる減粘剤を配合した例
も提案されている。例えば、ポリエステルの0.5〜1
0重量%の、C6 5-C(CH3 2-C6 4-O- (C
2 CH2 O)5-C(O)- C1225の如きポリエチレ
ングリコール誘導体を配合する方法(特開平4−340
15号公報)、ポリエステルの二官能性カルボン酸成分
に対して0.1〜10モル%のC2 5-C6 4-SO3
Naの如き有機スルホン酸化合物を配合する方法(特開
平4−264126号公報)、ポリエステルの0.5〜
10重量%の、C8 17- O- C6 4-SO2-C6 4-
O- C8 17の如き芳香族グリコール誘導体を配合する
方法(特開平4−285656号公報)等が提案されて
いる。
【0007】しかし、これらの化合物が金属スルホネー
ト基含有イソフタル酸成分共重合ポリエステルの増粘現
象を抑制する効果は小さく、満足できる減粘効果を得る
ためには、比較的多量の減粘剤を添加することが必要で
ある。そのため、ポリエステルが劣化し易く、ポリマー
の着色現象や、重合度の低下が生じる。また、添加減粘
剤が、ポリエステルの溶融成形時に昇華、分解したり、
異臭が発生したりする等の問題、更には染色、アルカリ
減量処理等の高次加工処理における添加減粘剤のブリー
ドアウト、汚染等の問題も生じる。
【0008】更に、ポリエステルに対して0.1〜10
重量部の分子量1,000〜20,000のポリエチレ
ングリコールの如きポリオキシアルキレングリコールを
配合することによって、金属スルホネート基含有イソフ
タル酸成分を共重合したポリエステルの増粘現象を抑制
しようとする提案も行われている(特開平2−1458
12号公報)。しかしながら、かかるポリオキシアルキ
レングリコールの配合による減粘効果は、先に示した低
分子有機化合物と同程度であり、格段の減粘効果の改善
は認められず、満足できる減粘効果を得るためには、や
はり比較的多量の減粘剤を添加することが必要であり、
低分子有機化合物の場合と同様の問題が生じてくる。
【0009】また、特定のポリエーテルエステル(反応
性か非反応性かは不明)を配合することによって、金属
スルホネート基含有イソフタル酸成分を共重合したポリ
エステルの増粘現象を抑制しようとする提案も行われて
いる(特開平6−184415号公報)。この提案で
は、ポリエーテルエステルの具体例として、分子量1,
000〜50,000(好ましくは3,000〜20,
000)のポリエチレングリコール等のポリアルキレン
グリコールとフタル酸やイソフタル酸等のジカルボン酸
とのエステルであるポリエーテルエステルが示されてい
る。
【0010】しかしながら、減粘効果は十分であるとは
言っても、かかるポリエーテルエステルの添加量は0.
5〜10重量%と比較的多量であり、製糸後の耐光堅牢
度、染色堅牢度等をも含めて、やはり低分子有機化合物
の場合と同様の問題が生じる可能性が非常に大きい。更
に、該ポリエーテルエステル自体の耐熱性が悪いために
添加時期が共重合ポリエステルの重合後期から製糸(又
は製膜)時までの段階に限定されている。
【0011】なお、金属スルホネート基含有イソフタル
酸成分を共重合したポリエステルの重合時に特定の4級
ホスホニウム化合物等を配合するという提案、即ち、エ
ステル交換反応を促進するために(C254POH等
の4級ホスホニウムヒドロキサイド化合物等を金属スル
ホネート基含有イソフタル酸成分の0.1〜20モル%
配合するという提案(特開昭48−102195号公
報)、及び副生エーテルの生成量を抑制し且つ加熱や漂
白時の変色を防止するために(CH34POH等の4級
ホスホニウム化合物等を金属スルホネート基含有イソフ
タル酸成分の0.05〜5モル%配合するという提案
(特開昭50−138093号公報)がなされている
が、いずれの場合にも、これらの4級ホスホニウム化合
物は増粘現象を抑制する効果は全然有していず、まして
や本発明で用いる特定のリン化合物に関しては全然言及
されていない。
【0012】以上述べた如く、金属スルホネート基含有
イソフタル酸成分共重合ポリエステルの高い溶融粘度を
下げるため、各種減粘剤等の検討が行われているが、い
ずれの場合にも、減粘効果が不十分であったり、着色、
ブリードアウト、耐光堅牢度や染色堅牢度の低下等の問
題を生じたりして、本来のポリエステルの有している優
れた性能が大幅に低下している可能性が大きい。即ち、
ポリエステルの有している種々の優れた特性を殆ど損な
わないように極微量の添加で減粘させることができる減
粘剤に関しては、未だ見出されていない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来技術の問題点を解消し、ポリエステルの優れた特性
を損なうことなく、金属スルホネート基含有イソフタル
酸成分共重合ポリエステルの重合時の増粘現象を抑制
し、該ポリエステルの重合度を十分高くすることがで
き、繊維、フィルム等への溶融成形に適し、特に溶融紡
糸で高い強度の繊維が得られる、新規な改質ポリエステ
ルを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するため鋭意検討した結果、金属スルホネート基
含有イソフタル酸成分共重合ポリエステルに、特定のリ
ン化合物を極微量配合せしめることによって、該ポリエ
ステルの増粘現象を抑制できることを見出し、本発明に
到達した。
【0015】即ち、本発明は、金属スルホネート基を含
有するイソフタル酸成分を1モル%以上共重合したポリ
エステルであって、ホスホン酸型アニオンとホスホニウ
ムカチオンとからなる下記一般式(I)及び/又は一般
式(II)で表わされる非反応性のリン化合物が0.0
1〜0.3重量%配合されていることを特徴とする改質
ポリエステル、である。
【0016】
【化3】
【0017】
【化4】
【0018】本発明で用いる金属スルホネート基を含有
するイソフタル酸成分(以下SIPM成分と称する)
は、次の一般式(III)で示される2官能性の化合物
であり、具体的にはジメチル(5−ナトリウムスルホ)
イソフタレート、ビス−2−ヒドロキシエチル(5−ナ
トリウムスルホ)イソフタレート、ビス−4−ヒドロキ
シブチル(5−ナトリウムスルホ)イソフタレート等が
挙げられる。
【0019】
【化5】
【0020】特に好ましいSIPM成分としては、ジメ
チル(5−ナトリウムスルホ)イソフタレート、ビス−
2−ヒドロキシエチル(5−ナトリウムスルホ)イソフ
タレートが挙げられる。また、本発明において用いられ
るポリエステルは、芳香族ジカルボン酸を主たる酸成分
とするものであり、該芳香族ジカルボン酸としては、テ
レフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、
ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボ
ン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェノキシ
エタンジカルボン酸、メチルテレフタル酸、メチルイソ
フタル等が例示できる。またグリコール成分としては、
エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラ
メチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキ
サメチレングリコール、オクタメチレングリコール、デ
カメチレングリコール等の脂肪族グリコール、1,4−
シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコールを用
いることができる。上記ジカルボン酸成分及びグリコー
ル成分以外にオキシカルボン酸成分を用いてもよく、該
オキシカルボン酸成分としては、オキシ安息香酸、オキ
シナフトエ酸、β−ヒドロキシエトキシ安息香酸等が例
示できる。
【0021】また、本発明において用いるポリエステル
は、上記成分以外に、小割合(通常、全酸成分に対して
10モル%以下)のアジピン酸、セバシン酸等の如き脂
肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸等の如き
脂環族ジカルボン酸、及びハイドロキノン、メチルハイ
ドロキノン、ブチルハイドロキノン、アミルハイドロキ
ノン、レゾルシン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スル
フォン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル等の
如き芳香族ジヒドロキシ化合物等を含有することがで
き、また少量(通常、10重量%以下)のポリオキシア
ルキレングリコールが共重合されていてもよい。 更に
芳香族ポリエステルが実質的に線状である範囲(通常、
1モル%以下)のトリメリット酸、ピロメリット酸の如
きポリカルボン酸、グリセリン、トリメチロールプロパ
ン、ペンタエリスリトール等の如きポリオールが共重合
されていても差し支えない。
【0022】本発明において用いるポリエステルは、
上記ポリエステルの中で、下記一般式(IV)で表わさ
れる繰返し単位を主とするポリエステルが好ましく、な
かでもポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレ
フタレートが特に好ましい。
【0023】
【化6】
【0024】かかる芳香族ポリエステルは、任意の方法
によって合成することが出来る。例えば、ポリエチレン
テレフタレートについて説明すれば、通常、テレフタル
酸とエチレングリコールとを直接エステル化反応させる
か、テレフタル酸ジメチルの如きテレフタル酸の低級ア
ルキルエステルとエチレングリコールとをエステル交換
反応させるか、又はテレフタル酸とエチレンオキサイド
とを反応させるかしてテレフタル酸のグリコールエステ
ル及び/又はその低重合体を生成させる第一段階の反応
と、第一段階の反応生成物を減圧下加熱して、所望の重
合度になるまで重縮合反応させる第二段階の反応によっ
て製造される。
【0025】SIPM成分は、かかるポリエステルに対
して1.0モル%以上、より好ましくは1.3モル%以
上共重合させることが必要である。SIPM成分が1.
0モル%より少ない場合は、SIPM成分を共重合させ
たことの効果、例えば満足すべき染色性が得られない。
SIPM成分を共重合させるには、ポリエステルの製造
反応が完結するまでの任意の段階で、SIPM成分を反
応系に添加すればよいが、添加されたSIPM成分が十
分にポリエステル鎖中に共重合されるためには、重縮合
反応初期以前の段階で添加するのが好ましい。
【0026】本発明の改質ポリエステルに配合されるリ
ン化合物は、前記の如く一般式(I)及び/又は一般式
(II)で示されるものである。式中のR1は同一又は
異なる一価の非反応性基(Hは除く)、例えば4−ノニ
ルフェニル基、ドデシルフェニル基、フェニル基、ノニ
ル基、t−ブチル基、メチル基、シクロアルキル基等の
炭化水素基等を示し、もちろん酸素や硫黄等を含有する
炭化水素基以外の一価の非反応性基でもよい。R2は同
一又は異なる二価の非反応性基、例えばエチレン基、プ
ロピレン基、ブチレン基、フェニレン基等を示す。R3
は同一又は異なる一価の非反応性基(R3全てがHであ
る場合は除く)、例えばH、メチル基、n−ブチル基、
フェニル基、シクロヘキシル基等を示す。mは0以上の
整数、即ち0、1、2、3、4、5、6、7、8、9等
を示す。
【0027】特に好ましいのは、R1が4−ノニルフェ
ニル基、R2がエチレン基、R3がn−ブチル基、mが
6、即ち下記の式(W)及び/又は式(X)の化合物、
【0028】
【化7】
【0029】
【化8】
【0030】或いは、R1がメチル基、R3がn−ブチル
基、mが0、即ち下記の式(Y)及び/又は式(Z)の
化合物である。
【0031】
【化9】
【0032】
【化10】
【0033】一般式(I)及び/又は一般式(II)で
表されるリン化合物をSIPM成分共重合ポリエステル
に添加する時期は特に限定されないが、該リン化合物は
水溶性なので、水溶液又は含水状態のままで前記の如く
重縮合反応初期以前の段階で添加するのが好適である。
また、該一般式(I)及び/又は一般式(II)で表さ
れるリン化合物は、SIPM成分含有共重合ポリエステ
ルに対して0.01〜0.3重量%配合されていること
が必要である。SIPM成分の種類や共重合量、R1
2・R3の種類及びmの値等によっても異なるが、0.
3重量%よりも多い量を配合すると重縮合反応自体がか
なり阻害され、SIPM成分共重合ポリエステルの重合
度は該リン化合物無配合の場合と比べて、同等又は寧ろ
低くなったり、又は十分に高くできなかったり、例えか
なり高くできたとしても重縮合時間が非常に長くなるた
めにSIPM成分共重合ポリエステルが着色したりす
る。逆に該リン化合物の配合量が0.01重量%よりも
少ない場合には、十分な増粘抑制効果が得られないため
に、重合度を十分に高くすることができず、製糸性等の
溶融成形性や強度等の機械的特性を向上せしめることが
できない。
【0034】即ち、該リン化合物の配合量は、SIPM
成分の共重合量、従ってSIPM成分共重合ポリエステ
ルの増粘の程度によって増減することが望ましい。従っ
て、SIPM成分の共重合量が多くなればなるほど、該
リン化合物の配合量も多くすることが望ましい。本発明
の改質ポリエステルは、特に溶融紡糸で得られる繊維の
強度を十分高くするうえで、固有粘度(35℃のオルソ
クロロフェノール中で測定)が0.55以上であること
が望ましい。固有粘度が0.55以上の改質ポリエステ
ルを得るには、重縮合反応のみで得てもよいし、固相重
縮合反応を併用してもよい。
【0035】なお、本発明の改質ポリエステルは、必要
に応じて、任意の添加剤、例えばエステル交換触媒、重
合触媒、本発明のリン化合物以外のリン化合物やアルカ
リ金属塩等の副反応防止剤、二酸化チタン等の艶消剤、
着色防止剤、酸化防止剤、アニオン系・カチオン系・非
イオン系の界面活性剤、帯電防止剤、易染化剤、無機微
粒子着色剤、難燃剤等を含んでいてもよい。
【0036】以上説明した本発明の改質ポリエステル
を、繊維、フィルム等に成形するには、従来公知の製
糸、製膜装置を用い、通常の製糸、製膜条件を何等の支
障なく採用することができる。例えば、本発明の改質ポ
リエステルから繊維を製造する場合は、500〜2,5
00m/分の速度で溶融紡糸し、延伸、熱処理する方
法、1,500〜5,000m/分の速度で溶融紡糸
し、延伸と延撚加工とを同時に又は続いて行う方法、
5,000m/分以上の高速で溶融紡糸し、用途によっ
ては延伸工程を省略する方法等において任意の製糸条件
を採用することができる。また、得られた繊維又はこの
繊維から製造された織編物を、100℃以上の温度で熱
処理して、構造の安定性を向上させても良いし、更に必
要に応じて、弛緩熱処理等を併用してもよい。
【0037】なお、本発明の改質ポリエステルは、単独
で使用できることは勿論、他のポリマーと混合したり、
或いは他のポリマーと積層、複合して用いることもでき
る。例えば、本発明の改質ポリエステルは、カチオン染
料に対する染色性に優れているだけでなく、アルカリに
溶解し易いため、分割型複合繊維のアルカリ易溶解性成
分として使用するのにも適している。
【0038】本発明の改質ポリエステルを単独で溶融紡
糸し、得られたポリエステル繊維をアルカリ溶液中で約
10〜30%アルカリ減量処理し、処理後の繊維表面を
走査型電子顕微鏡で観察したところ、繊維表面は平坦で
あり、通常のポリオキシアルキレングリコール類を配合
したポリエステル繊維のアルカリ減量処理後に繊維表面
に認められるような、筋状の分散は認められなかった。
このことから、本発明の改質ポリエステル中に配合され
ているリン化合物は、ポリエチレングリコールに代表さ
れるポリオキシアルキレングリコールのポリエステル中
での筋状マクロ分散とは異なり、分子オーダーで微分散
化されていると考えられる。
【0039】更に、このリン化合物はSIPM成分と同
様に親水性物質であるので、ポリエステル中のSIPM
成分の金属スルホネート基同志のイオン性架橋構造に対
して、このリン化合物が近づき、イオン性架橋の一部を
ブロック化して切断し、SIPM成分共重合ポリエステ
ルの分子間相互作用を低下せしめて、溶融粘度を低下さ
せるものと考えられる。
【0040】このように溶融粘度の上昇を抑制できるた
め、重合度を十分高くすることができ、その結果、特に
溶融紡糸で得られる繊維の強度等の機械的特性が優れて
いる。
【0041】
【実施例】以下実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説
明するが、本発明はこれに限定されるものではない。な
お、実施例における物性評価は、下記の方法により測定
した。 (1)固有粘度(IV) 0.6g/mlのオルソクロロフェノール溶液により、
35℃で測定した値から固有粘度(IV)を算出した。 (2)溶融粘度(MV) 回転円筒粘度計を使用し、温度280℃、剪断速度1〜
10/秒でポリマーの溶融粘度(MV)を測定した。 (3)カチオン染料染色性 延伸糸を一口編した布帛を、カチオン染料 Cathi
lon CD−FRLHとCathilon Blue
CD−FBLH(共に保土谷化学(株)製商品名)と
の比率1:1のものを2%owf含む染浴(助剤として
芒硝3g/リットル、酢酸0.3g/リットルを含む)
で、120℃で60分間染色し、鮮明であるか、くすん
でいるかを評価した。
【0042】
【実施例1〜11、比較例1〜5】テレフタル酸ジメチ
ル100部、エチレングリコール60部、表1に記載し
たSIPM成分の表1記載量、表1に記載したリン化合
物の表1記載量、酢酸ナトリウム0.14部(テレフタ
ル酸ジメチルに対して0.20モル%)、酢酸マンガン
四水塩0.03部(テレフタル酸ジメチルに対して0.
24モル%)及び整色剤として酢酸コバルト四水塩0.
009部(テレフタル酸ジメチルに対して0.007モ
ル%)をエステル交換缶に仕込み、窒素ガス雰囲気下、
3時間かけて140℃から220℃まで昇温して、生成
するメタノールを系外に留出しながらエステル交換反応
させた。
【0043】その後、220℃で20分間撹拌した後、
安定剤として正リン酸の56%水溶液0.03部(テレ
フタル酸ジメチルに対して0.033モル%)を添加
し、同時に過剰エチレングリコールの昇温追出しを開始
した。10分後、重縮合触媒として三酸化アンチモン
0.04部(テレフタル酸ジメチルに対して0.027
モル%)を添加した。内温が240℃に到達した時点で
エチレングリコールの昇温追出しを終了し、反応生成物
を重合缶に移した。
【0044】次いで、昇温しながら内温が260℃に到
達するまで常圧反応させた後、1時間かけて760mm
Hgから1mmHgまで減圧し、同時に1時間30分か
けて内温280℃まで昇温した。1mmHg以下の減圧
下、重合温度280℃で更に2時間30分重合し、反応
終了時点で窒素ガスにより真空を破って重合反応を終了
し、窒素ガス加圧下に280℃で吐出を行なった。
【0045】
【表1】
【0046】表1の組成で重合して得られたポリマーを
常法に従ってチップ化、乾燥し、孔径0.3mmの円形
紡糸孔を24個穿孔した紡糸口金から、285℃で溶融
吐出して、1,100m/分の引取速度で溶融紡糸し
た。次いで、得られた未延伸糸を、最終的に得られる延
伸糸の伸度が29〜31%になる延伸倍率で、85℃の
供給ローラーと180℃のプレートヒーターを使って、
延伸、熱処理して75デニール/24フィラメントの延
伸糸を得た。
【0047】得られた延伸糸を一口編した布帛を、助剤
として芒硝3g/リットル、酢酸0.3g/リットルを
含む、前記したカチオン染料染浴により、120℃で6
0分間染色し、カチオン染料染色性を評価した。表1の
組成で重合して得られたポリマーの品質、及び各ポリマ
ーから得られた延伸糸の品質、並びに各延伸糸のカチオ
ン染料染色性を表2に示した。
【0048】
【表2】
【0049】これらの結果から明らかなように、本発明
の改質ポリエステル(実施例1〜11)は、溶融粘度の
上昇が抑制され、重合度が十分高いものであって、得ら
れた繊維の強度も優れている。これに対して、SIPM
成分の共重合量が1.0モル%未満である場合(比較例
1)は、重合度が十分高いものであって、得られる繊維
の強度も高くても、カチオン染料に対する鮮明な染色性
が得られない。
【0050】また、リン化合物を配合しない場合(比較
例2)、該リン化合物の配合量が0.01重量%よりも
少ない場合(比較例3)、該リン化合物の配合量が0.
3重量%よりも多い場合(比較例4、比較例5)は、十
分な増粘抑制効果が得られなかったり、重合反応が阻害
されたりするために、重合度が十分に高いものてなく、
その結果、得られる繊維は、例えカチオン染料で鮮明に
染色されても、その強度は低い。
【0051】
【実施例12〜21、比較例6〜8】式(Y)及び/又
は式(Z)で表される化合物を使用して、実施例1〜1
1と同様にして重合、紡糸、延伸し、フィラメントの延
伸糸を得た。得られた延伸糸の物性測定、染色等を行な
った(実施例12〜21)。また、比較のために4級ホ
スホニウムヒドロキサイド化合物(C2 5 4 POH
を使用して、実施例1〜11と同様にして重合、紡糸、
延伸、物性測定、染色等を行なった(比較例6〜8)。
【0052】これらの結果を下記表3及び表4に示し
た。
【0053】
【表3】
【0054】
【表4】
【0055】これらの結果から明らかなように、実施例
12〜21の改質ポリエステルは、前記実施例1〜11
と同じく溶融粘度の上昇が抑制された、重合度が十分高
いもので、得られた繊維の強度も優れ、カチオン染料で
鮮明に染色されるものである。また、本発明のリン化合
物とは異なる4級ホスホニウムヒドロキサイド化合物
(C254POHを使用した場合には溶融粘度の上昇
抑制効果は全然認められない(比較例6〜8)。
【0056】
【発明の効果】本発明の改質ポリエステルは、重合時の
増粘現象が抑制された、重合度が十分高いもので、ポリ
エステルの優れた機械的特性を損なうことなく繊維、フ
ィルム等に溶融成形することができる。かかる本発明の
改質ポリエステルは、例えば高強度のカチオン染料可染
型ポリエステル繊維、或いは分割型複合繊維のアルカリ
易溶解性成分に用いることができ、その工業的意義は極
めて大である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D01F 6/92 301 K

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属スルホネート基を含有するイソフタ
    ル酸成分を1モル%以上共重合したポリエステルであっ
    て、ホスホン酸型アニオンとホスホニウムカチオンとか
    らなる下記一般式(I)及び/又は一般式(II)で表
    わされる非反応性のリン化合物が0.01〜0.3重量
    %配合されていることを特徴とする改質ポリエステル。 【化1】 【化2】
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001123336A (ja) * 1999-10-25 2001-05-08 Toray Ind Inc 潜在捲縮発現性ポリエステル繊維および製造方法
US6599966B2 (en) 2000-12-15 2003-07-29 General Electric Company Polycarbonate-polyester compositions with enhanced flow
WO2021249521A1 (zh) * 2020-06-12 2021-12-16 东丽纤维研究所(中国)有限公司 阳离子可染聚酯组合物及其制备方法和应用

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