JP3973575B2 - 易フィブリル性ポリエステル繊維 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、易フィブリル性ポリエステル繊維に関するものである。さらに詳しくは、色調に優れ、かつ、均一で高品質なものが長期間安定して提供することができる易フィブリル性ポリエステル繊維に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、織編物表面に毛羽状外観を付与する方法として、有機スルホン酸金属塩などを添加配合したポリエステルからなる繊維を織編物となし、織編物表面にアルカリ処理を施してバッフィング処理を行うか、又はバッフィング処理を施した後アルカリ加水分解処理を行うことにより、ポリエステル繊維をミクロフィブリル化して織編物表面に毛羽を形成せしめる方法(例えば、特開昭58−298457号公報)、ポリエステルと非相溶の長鎖状有機化合物及び/又は有機スルホン酸金属塩を添加配合したポリエステルからなる繊維を織編物となし、織編物に凹凸加工又はエンボス加工などとアルカリ処理とを組み合わせて織物表面のポリエステル繊維を部分的にフィブリル化する方法(例えば、特開平7−197375号公報、特開平11−36181号公報))が提案されている。しかしながら、これら方法ではいずれも、通常のポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートを溶融紡糸する際、ポリエステル中に存在するアンチモン系触媒に起因して、紡糸時間の経過と共に紡糸口金吐出孔周辺に異物(口金異物と称することがある)が付着堆積し、安定に紡糸することができなくなるだけでなく、得られるポリエステル繊維も長期間防止するにしたがって品質が低下するという問題があった。
【0003】
かかるアンチモン化合物に起因する問題は、チタンテトラブトキシドのようなチタン化合物を用いれば減少するものの、ポリエステル自身の黄色味が強くなるため、得られるポリエステル繊維の色調が低下して衣料用途には使用できなくなるという問題がある。
【0004】
【特許文献1】
特開昭58−298457号公報
【特許文献2】
特開平7−197375号公報
【特許文献3】
特開平11−36181号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術を背景になされたもので、その目的は、色調に優れ、かつ、均一で高品質なものが長期間安定して提供することができる易フィブリル性ポリエステル繊維を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らの研究によれば、上記本発明の目的は、下記式(I)で表されるチタンアルコキシド及び下記一般式(I)で表されるチタンアルコキシドと下記一般式(II)で表される芳香族多価カルボン酸又はその無水物とを反応させた生成物からなる群から選ばれた少なくとも一種のチタン化合物と、下記一般式(III)で表されるリン化合物との存在下に芳香族ジカルボキシレートエステルを重縮合して得られる、チタンとリンの含有濃度が下記数式(1)及び(2)を同時に満足するポリエステルからなるポリエステル繊維であって、
【0007】
【化8】
【0008】
【化9】
【0009】
【化10】
【0010】
【数2】
【0011】
該繊維中には、繊維重量を基準として、下記式(IV)で表されるポリオキシエチレン系ポリエーテルを0.5〜2.0重量%及び下記式(V)で表される有機スルホン酸金属塩を0.1〜1.0重量%含有することを特徴とする易フィブリル性ポリエステル繊維により達成される。
【0012】
【化11】
【0013】
(j,j’は13〜38の整数であり、m,m’,pは、0.2≦{(44m+14j+17)+(44m’+14j’+1)}/(44p)≦1.2を満足する整数である。)
【0014】
【化12】
【0015】
(Rは、炭素原子数3〜30のアルキル基又は炭素原子数7〜40のアリール基もしくはアルキルアリール基であり、Mは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属である。)
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明では、芳香族ジカルボキシレートエステルを重縮合して得られるポリエステルの重縮合用触媒としては、上記式(I)で表されるチタンアルコキシド及び上記式(I)で表されるチタンアルコキシドと上記式(II)で表される芳香族多価カルボン酸又はその無水物とを反応させた生成物からなる群から選ばれた少なくとも一種のチタン化合物を用いる。
【0017】
該チタンアルコキシドとしては、具体的には、チタンテトラブトキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトラエトキシドに例示されるチタンテトラアルコキシド、オクタアルキルトリチタネート、ヘキサアルキルジチタネートなどを挙げることができ、なかでもチタンテトラアルコキシドが好ましく、特にチタンテトラブトキシドが好ましい。
【0018】
また、該チタンアルコキシドと反応させる一般式(II)で表される芳香族多価カルボン酸又はその無水物としては、フタル酸、トリメリット酸、ヘミメリット酸、ピロメリット酸及びこれらの無水物が好ましく用いられる。
【0019】
上記チタンアルコキシドと芳香族多価カルボン酸又はその無水物とを反応させる条件は特に限定する必要はなく、例えば、適当な溶媒に芳香族多価カルボン酸又はその無水物の一部又は全部を溶解し、この溶液中にチタンアルコキシドを滴下し、0〜200℃の温度で少なくとも30分間、好ましくは30〜150℃の温度で40〜90分間加熱すればよい。この際、反応圧力も特に制限はなく、常圧で十分である。なお、芳香族多価カルボン酸又はその無水物を溶解させる溶媒としては、エタノール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ベンゼン、キシレン等、所望に応じて任意の溶媒を適宜選択して用いればよい。
【0020】
ここで、チタンアルコキシドと芳香族多価カルボン酸又はその無水物との反応モル比も特に限定する必要はないが、芳香族多価カルボン酸又はその無水物の割合が少なくなりすぎると、得られるポリエステルの色調改善効果が小さくなり、逆に多くなりすぎると重縮合反応が進みにくくなる場合がある。このため、チタンアルコキシドと芳香族多価カルボン酸又はその無水物との反応モル比は、2/1〜2/5の範囲内とすることが好ましい。
【0021】
本発明におけるポリエステルは、上記のチタン化合物に加えて、上記式(III)で表されるリン化合物の存在下で、芳香族ジカルボキシレートエステルを重縮合することにより得られるものである。好ましく用いられる該リン化合物(ホスホネート化合物)としては、カルボメトキシメタンホスホン酸、カルボエトキシメタンホスホン酸、カルボプロポキシメタンホスホン酸、カルボブトキシメタンホスホン酸、カルボメトキシフェニルメタンホスホン酸、カルボエトキシフェニルメタンホスホン酸、カルボプロポキシフェニルメタンホスホン酸、カルボブトキシフェニルメタンホスホン酸等のホスホン酸誘導体のジメチルエステル類、ジエチルエステル類、ジプロピルエステル類、ジブチルエステル類等から選ばれることが好ましい。
【0022】
このようなホスホネート化合物は、通常ポリエステルの重縮合反応時に安定剤として使用されるリン化合物と比較すると、前記チタン化合物との反応がより緩やかに進行するため、反応中における該チタン化合物の触媒活性持続時間が長くなり、結果として該チタン化合物の存在量を少なくすることができる。また、前記チタン化合物に対して該ホスホネート化合物を比較的多量に用いても、得られるポリエステルの熱安定性を低下させることがなく、その色調も悪化させることもない。
【0023】
このように重縮合して得られる本発明にかかるポリエステルは、チタン金属元素濃度及びリン元素濃度が、下記数式(1)及び(2)を同時に満足する必要がある。
【0024】
【数3】
【0025】
ここで、(P/Ti)が1未満の場合には、重縮合時に着色が進み、得られるポリエステルの色相が黄味を帯びたものとなるので好ましくない。一方、(P/Ti)が15を越える場合には、ポリエステルの重縮合反応性が大幅に低下するため、目的とするポリエステルを得ることが困難となる。
【0026】
また、(Ti+P)が10未満の場合には、製糸工程における生産性が大きく低下するため、満足な性能を有する繊維が得られなくなるので好ましくない。一方、(Ti+P)が100を越える場合には、重縮合反応時に、触媒に起因する異物が少量ではあるが発生しているので好ましくない。
【0027】
なお、前記(1)式の(P/Ti)は2〜15の範囲が好ましく、特に4〜10の範囲が好ましい。また、(2)式の(Ti+P)は20〜70の範囲がより好ましい。
また、Ti金属元素濃度は、ポリエステルの全酸成分を基準として2〜15ミリモル%の範囲が適当である。
【0028】
本発明で用いられているポリエステルは、上記のチタン化合物とリン化合物との存在下に芳香族ジカルボキシレートエステルを重縮合して得られるものであるが、該芳香族ジカルボキシレートエステルは、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとからなるジエステルであることが好ましい。
【0029】
ここで芳香族ジカルボン酸は、テレフタル酸を主とすることが好ましい。より具体的には、テレフタル酸が全芳香族ジカルボン酸を基準として70モル%以上、なかでも80モル%以上を占めていることが好ましい。ここでテレフタル酸以外の好ましい芳香族ジカルボン酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸等を挙げることができる。
【0030】
また、脂肪族グリコールはアルキレングリコールが好ましく、具体的には、エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンメチレングリコール、ドデカメチレングリコール等を例示することができる。なかでも、エチレングリコールが好ましい。
【0031】
なかでも、全繰り返し単位の70モル%以上がエチレンテレフタレートからなるポリエステルが好ましく、特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0032】
本発明にかかるポリエステルは、上記の芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコール以外の酸成分又はジオール成分が、少なくとも1種共重合された共重合ポリエステルであってもよい。
【0033】
好ましく用いられる共重合成分としては、酸成分として、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸などの二官能性カルボン酸をあげることができる。また、ジオール成分として、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環式グリコール、ビスフェノール、ハイドロキノン、2,2−ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン類などの芳香族ジオールなどをあげることができる。
【0034】
さらに、トリメシン酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールメタン、ペンタエリスリトールなどの多官能性化合物を、得られるポリエステルが実質上線状である範囲で少量共重合したものであってもよい。
【0035】
本発明においては、上記の芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとからなる芳香族ジカルボキシレートエステルが用いられるが、該芳香族ジカルボキシレートエステルは、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとのジエステル化反応によって得てもよいし、芳香族ジカルボン酸のジアルキルエステルと脂肪族グリコールとのエステル交換反応により得てもよく、その製造方法は任意である。しかしながら、後者のエステル交換反応による方法の方が、前者のジエステル化反応による方法よりも、重縮合反応中に存在させる前記リン化合物の飛散がより少なくなるので好ましい。
【0036】
なお、前記チタン化合物の一部及び/又は全量を、該エステル交換反応開始前に添加し、エステル交換反応触媒と重縮合反応触媒との両反応の触媒として兼用させることが好ましい。このようにすることにより、得られるポリエステル中の金属触媒の含有量を低減することができる。
【0037】
以下、ポリエチレンテレフタレートを例として、好ましい態様をさらに具体的に説明する。まず、テレフタル酸のジアルキルエステルとエチレングリコールとのエステル交換反応を、前記一般式(I)で表されるチタンアルコキシド、及び、該チタンアルコキシドと前記一般式(II)で表される芳香族多価カルボン酸又はその無水物とを反応させた生成物からなる群から選ばれた少なくとも1種のチタン化合物の存在下に行う。得られたテレフタル酸とエチレングリコールとのジエステルを含有する反応混合物に、さらに前記一般式(III)で表されるリン化合物を添加し、これらの存在下に重縮合する。
【0038】
なお、該エステル交換反応は、通常常圧下で実施されるが、0.05〜0.20MPaの加圧下に実施すると、チタン化合物の触媒作用による反応がさらに促進され、かつジエチレングリコールの副生も低減するので、得られるポリエステルの熱安定性などの特性が良好となるので好ましい。温度は160〜260℃の範囲が適当である。
【0039】
次に、前記チタン化合物とリン化合物との存在下に、上記で得られたエチレングリコールエステル又はその低重合体を、減圧下で、得られるポリエステルの融点以上分解点未満の温度(通常240℃〜280℃)に加熱することにより重縮合させる。この重縮合反応では、未反応のエチレングリコール及び重縮合で発生するエチレングリコールを反応系外に留去させながら行うことが望ましい。
【0040】
重縮合反応は、1槽で行ってもよく、複数の槽に分けて行ってもよい。例えば、重縮合反応が2段階で行われる場合には、第1槽目の重縮合反応は、反応温度が245〜290℃、好ましくは260〜280℃、圧力が100〜1kPa、好ましくは50〜2kPaの条件下で行われ、最終第2槽での重縮合反応は、反応温度が265〜300℃、好ましくは270〜290℃、反応圧力は通常10〜1000Paで、好ましくは30〜500Paの条件下で行われる。
【0041】
本発明で用いられるポリエステルは、上記のようにして製造することができるが、得られたポリエステルは、通常、粒状(チップ状)にされる。なお、得られるポリエステルの固有粘度は0.40〜0.80、好ましくは0.50〜0.70であることが望ましい。所望により、固相重縮合によりさらに固有粘度をあげても構わない。
【0042】
該固相重縮合工程に供給される粒状ポリエステルは、予め、固相重縮合を行う場合の温度より低い温度に加熱して予備結晶化を行った後、固相重縮合工程に供給してもよい。
【0043】
このようにして得られる本発明にかかるポリエステルは、必要に応じて少量の添加剤、例えば滑剤、顔料、染料、酸化防止剤、固相重合促進剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、遮光剤、艶消剤等を含んでいてもよい。なかでも艶消剤としての酸化チタン、安定剤としての酸化防止剤は好ましく添加され、通常酸化チタンは、平均粒径が0.01〜2μmのものを、最終的に得られるポリエステル組成物中に占める割合が0.01〜10重量%となるように添加される。
【0044】
また、酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系の酸化防止剤が好ましく添加される。該ヒンダードフェノール系酸化防止剤の添加量は、通常1重量%以下とされる。1重量%を越える場合には製糸時にスカム発生の要因となるだけでなく、1重量%を越えて添加しても溶融安定性向上の効果が飽和してしまう。かかる酸化防止剤の添加量は0.005〜0.5重量%の範囲が特に好ましい。なお、ヒンダードフェノール系酸化防止剤に加えて、チオエーテル系二次酸化防止剤を併用することがさらに好ましい。
【0045】
これらの酸化防止剤のポリエステルへの添加方法は特に制限されないが、好ましくはエステル交換反応又はエステル化反応終了後であって、重合反応が完了するまでの間の任意の段階で添加する。
【0046】
本発明のポリエステル繊維は、上記のポリエステルから構成されるが、該繊維中には、前記式(IV)で表されるポリオキシエチレン系ポリエーテル及び前記式(V)で表される有機スルホン酸金属塩を含有している必要がある。
【0047】
ここで用いられるポリオキシエチレン系ポリエーテルは、式(IV)から明らかなように、−CjH2j+1及びCj'H2j'+1で表される枝わかれ部分を持つ鎖(以下おのおのA鎖ブロック及びA’鎖ブロックと称する)と枝分かれの無い直鎖(以下B鎖ブロックと称する)からなる非ランダム共重合ポリオキシエチレン系ポリエーテルである。式中、J,J’は、それぞれ13〜28、好ましくは14〜20の範囲の整数である。J,J’のいずれかが13未満の場合には、得られる繊維をアルカリ処理等してフィブリルを発現させる際のフィブリル発現性が不均一となり、織編物表面に筋状の斑が発生しやすくなるので好ましくない。一方、J,J’のいずれかが28を超える場合には、アルカリ処理等してフィブリル発現処理しても充分なフィブリル化が起こらなくなるので好ましくない。
【0048】
さらに、B鎖ブロックの分子量(MwB:44p)と、A鎖ブロック及びA’鎖ブロックの合計分子量(MwA:44m+14j+17+44m’+14j’+1)との比(MwA/MwB)は、0.2〜1.2、好ましくは0.25〜1.0の範囲である必要がある。MwA/MwBが0.2未満の場合には、B鎖ブロックが長くなりすぎ、又は、A及びA’鎖ブロックの枝の長さが短くなりすぎて、フィブリル化処理しても繊維のフィブリル化が発現し難くなるので好ましくない。一方、MwA/MwBが1.2を超える場合には、A及びA’鎖ブロックが長くなりすぎ、又は、B鎖ブロックの枝の長さが短くなりすぎて、フィブリル化処理した際の繊維のフィブリル化が不均一となりやすく、織編物表面に筋状の斑が発生するので好ましくない。
【0049】
このようなポリオキシエチレン系ポリエーテルの繊維フィブリル化効果は、次のようなメカニズムによって発現すると推定される。すなわち、ポリエステル中に微分散したポリオキシエチレン系ポリエーテルが、ポリエステルの繊維化過程で伸張を受けて引き伸ばされた状態に細化するものと推定される。そして、このような分散状態で細化されたポリエステル繊維は、アルカリ処理等のフィブリル化処理を受けた時、引き伸ばされたポリオキシエチレン系ポリエーテル分子に沿って繊維軸方向に、均一なフィブリルが生じるものと推定される。
【0050】
また、本発明では前記チタン化合物とリン化合物との存在下に重縮合して得られるポリエステルを用いることにより、従来のアンチモン系触媒使用のポリエステルに比べて、より均一で繊細なフィブリル繊維を得ることができる。この詳細な理由は明確ではないが、同一紡糸速度での繊維内部の微細構造に違いがあること、すなわち、繊維の複屈折率(Δn)に関して、本発明にかかるポリエステルの方が従来のアンチモン系ポリエステルに比べて低い数値を示すことから、非晶部配向の乱れが大きくなっており、このためポリオキシエチレン系ポリエーテルがより均一に分散しやすい状態となっているものと推定される。
【0051】
このようなポリオキシエチレン系ポリエーテルの含有量は、繊維重量を基準として0.5〜2.0重量%、好ましくは1.0〜2.0重量%の範囲とする必要がある。この含有量が0.5%重量%未満の場合には、繊維のフィブリル化を充分に発現させることが困難になる。一方、2.0重量%を超える場合には、過度のフィブリル化が起こり、フィブリルの脱落や、繊維の強度低下が起こりやすくなるだけでなく、紡糸時の工程安定性も低下するので好ましくない。
【0052】
なお、該ポリオキシエチレン系ポリエーテルの重量平均分子量は、5000〜16000、より好ましくは5500〜14000の範囲が適切である。
【0053】
次に、上述のポリオキシエチレン系ポリエーテルとともに併用される、前記式(V)で表される有機金属スルホン酸塩は、単一の化合物であっても、各種のアルキル基、アリール基又はアルキルアリール基を有する有機スルホン酸金属塩の混合物であってもよい。
【0054】
好ましく用いられる有機スルホン酸金属塩としては、ステアリルスルホン酸ナトリウム、ドデシルスルホン酸カリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクチルベンゼンスルホン酸カリウム、ステアリルスルホン酸マグネシウム及びこれらの混合物などを例示することができる。このような有機スルホン酸金属塩は、アルカリ処理等によるフィブリル化処理工程で、繊維の分子構造中でフィブリル化の基点となり、繊維全体にわたり均一なフィブリル化を進行させる役割を果たしているものと推定される。
【0055】
かかる有機スルホン酸金属塩の含有量は、繊維重量を基準として0.1〜1.0重量%、好ましくは、0.2〜0.7重量%の範囲とする必要がある。該有機スルホン酸金属塩の含有量が0.1%未満の場合には、繊維のフィブリル化が充分に進行しなかったり、不均一なフィブリルが発生したりするので好ましくない。一方、含有量が1.0重量%を越える場合には、過度のフィブリル化が起こり、フィブリルの脱落や、繊維の強度低下が起こりやすくなるだけでなく、紡糸時の工程安定性も低下するので好ましくない。
【0056】
上述のポリオキシエチレン系ポリエーテル及び有機スルホン酸金属塩をポリエステル繊維中に配合するには、ポリエステルが繊維化される前の任意の段階で、任意の方法が採用できる。例えば、ポリエステルの重縮合反応開始前、重縮合反応途中、あるいは重縮合反応終了時に、粉粒体又はグリコール等の溶媒に溶解又は分散した状態で添加してもよい。また、ポリオキシエチレン系ポリエーテル及び有機スルホン酸金属塩を規定量含有したマスターチップを予め作成し、乾燥工程あるいは溶融紡糸工程で、重縮合が終わったポリエステルと固体混合あるいは溶融混合してもよい。
【0057】
上記の任意の方法で、ポリオキシエチレン系ポリエーテル及び有機金属スルホン酸塩が混合されたポリエステルは、常法の溶融紡糸法にしたがって易フィブリル性ポリエステル繊維とすることができる。例えば、270〜300℃の紡糸温度で紡糸口金より吐出し、冷却固化し、油剤を付与した後、800〜2500m/minの速度で紡糸引取りし、ポリエステル未延伸糸となす。該ポリエステル未延伸は、一端巻取った後に紡糸工程とは別途に延伸を行ってもよく、一端巻取ることなく紡糸引取りに連続して延伸を行ってもよい。
【0058】
本発明の易フィブリル性ポリエステル繊維の繊度は、通常の衣料用ポリエステル繊維の範囲であればよい。すなわち、総繊度は、30〜200dtex、好ましくは50〜150dtexの範囲が適当であり、単糸繊度は1〜4dtex、好ましくは2〜3dtexの範囲が適当である。繊維断面形状も特に規定する必要は無く、円形、多葉形又は中空断面など、用途に応じて任意に設定すればよい。
【0059】
なお、上記易フィブリル性ポリエステル繊維は、該繊維よりも沸水収縮率が4〜40%高いポリエステル繊維と混繊することにより、より高度で均一な繊維のフィブリル化を発現させることができる。すなわち、易フィブリル性ポリエステル繊維より高い沸水収縮率を有するポリエステル繊維を高収縮糸として混繊することにより、易フィブリル性ポリエステル繊維を糸条表面に浮き出させることが可能となり、より高度で、均一なフィブリル化が達成できる。両ポリエステル繊維の沸水収縮率差が4%未満の場合には、易フィブリル性ポリエステル繊維単独からなる糸条とフィブリル化の程度は変わらない。一方、沸水収縮率差が40%を越える場合には、このような繊維を安定に生産することが難しくなり、しかも得られる織編物の熱収縮性も過大なものとなるので好ましくない。なお、易フィブリル性ポリエステル繊維と高収縮繊維との混繊比率は20/80〜80/20の範囲が適当である。
【0060】
以上に説明した本発明の易フィブリル性ポリエステル繊維又はポリエステル混繊糸を使用した織編物は、常法のカレンダー加工機を用いて140〜200℃に加熱されたローラーで押圧処理した後にアルカリ処理を施すことにより、押圧された表面が主体的にフィブリル化されたものとなる。
【0061】
【実施例】
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。なお、実施例、比較例における各特性値の測定は下記方法により行った。
【0062】
(1)チタン金属元素含有量、リン元素含有量
粒状のポリエステル試料をアルミ板上で加熱溶融した後、圧縮プレス機で平坦面を有する試験成型体を作成し、理学電気工業株式会社製蛍光X線測定装置3270Eを用いてチタン金属元素含有量およびリン元素含有量を測定した。
ただし、艶消し剤として酸化チタンを添加したポリマー中のチタン原子濃度については、サンプルをヘキサフルオロイソプロパノールに溶解し、遠心分離機で前記溶液から酸化チタン粒子を沈降させ、傾斜法により上澄み液のみを回収し、溶剤を蒸発させて供試サンプルを調整し、このサンプルについて測定した。
【0063】
(2)固有粘度
オルソクロロフェノールを溶媒とし、常法にしたがい温度35℃で測定した。
【0064】
(3)重量平均分子量
ゲル透過クロマトグラフィーSHODEX GPC−101(昭和電工(株)製)を用いて測定した。
【0065】
(4)フィブリル品位
ポリエステル繊維又はポリエステル混繊糸(試料)に400回/mの撚りを掛け、経緯使いの平織り組織で製織し、80℃で精錬・リラックス処理、160℃・45秒でプレセット乾熱処理を行った。この織物を、常法のカレンダー加工機に通し、160℃に加熱されたローラーで押圧した後、10%のアルカリ減量処理を行い、押圧された織編物表面を主体的にフィブリル化した。ついで120℃・30分で染色を行い、自然乾燥した後、160℃・45秒でファイナルセットを行い、フィブリル品位評価用織物とした。3人の検査員により、フィブリル化した織物表面の目視検査を行い、以下の格付けを行った。
レベル1:織物表面が均一な細かい毛羽状態となっており、経筋は認められない状態。
レベル5:織物表面の毛羽状態が不均一で、長短の明瞭な経筋が一面に認められる状態。
レベル2〜4:織物表面の毛羽状態及び経筋の発生状況が上記レベル1とレベル5の間に格付けされる。
【0066】
(5)沸水収縮率
JIS L1013 8.18.1 B法に従い測定した。
【0067】
(6)強度、伸度
JIS−L1013の方法に従い引張試験を行い、破断時の強度、伸度を測定した。
【0068】
[実施例1〜5、比較例1〜2]
テレフタル酸ジメチルとエチレングリコールとをトリメリットチタンを触媒としてエステル交換反応し、テレフタル酸のジグリコールエステル(低重合体を含む)を得た。
【0069】
このジグリコールエステル225部を重縮合反応槽に移し、得られるポリエステル中のトリメリットチタン及びトリエチルホスホノ酢酸が各々表1に示す割合となるように投入した。次にこの反応混合物に、式(IV)で表され、式中のj、j’、m、m’、p、MwA/MwB及び重量平均分子量が各々表1に記載の値を有するポリオキシエチレン系ポリエーテルを、ポリマー重量基準で1.4重量%となる割合で添加し、反応缶内の圧力を1時間かけて大気圧から400Paまで減圧し、10分後にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムをポリマー重量基準で0.5重量%となるように添加した。次いで133Paまで減圧し、以下常法にしたがって重合を行い、ペレット状に裁断し、固有粘度0.63のポリエステルチップを得た。
【0070】
得られたポリエステルチップを各々常法にしたがって乾燥し、スクリュー押出機を装備した溶融紡糸装置に導入し、温度286℃で溶融し、20個の円形吐出孔を穿設した紡糸口金を通して吐出し、冷却固化し、油剤を付与した後、一対のゴデットローラーを介して1200m/minで紡糸引取りし、ワインダーで巻取りポリエステル未延伸糸を得た。該ポリエステル延伸糸を別途延伸装置に掛け、伸度が約30%となるように延伸倍率を設定し、90℃で延伸し、205℃で熱セットし、表1に示す繊維物性(強度、伸度、沸水収縮率)を有する50dtex/20フィラメントのポリエステル繊維を得た。得られた繊維の評価結果を表1に示す。
【0071】
【表1】
【0072】
表1から明らかなように、本発明にかかるポリエステル繊維から得られる織物表面には極めて良好なフィブリル品位が発現しているのに対し(実施例1〜5)、本発明の範囲外であるポリエステル繊維(比較例1〜2)からの織物表面には経筋が多く、レベル4〜5の品位に劣るものであった。
【0073】
[比較例3]
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを添加しない以外は実施例1と同じ方法、条件でポリエステルチップを作成した後、溶融紡糸してポリエステル繊維となしてフィブリル品位を評価した。その結果、フィブリル品位はレベル5と品位に劣るものであった。
【0074】
[比較例4]
重合触媒として三酸化アンチモンをテレフタル酸成分に対して27ミリモル%使用する以外は実施例1と同じ方法、条件でポリエステルチップを作成した後、溶融紡糸してポリエステル繊維となしてフィブリル品位を評価した。その結果、溶融紡糸開始後期間を経過したポリエステル繊維はフィブリル品位が低下し、レベル5まで低下するものであった。また色調も実施例1のものと比較すると劣ったものであった。
【0075】
[実施例6]
実施例1で得られたポリエステル繊維(沸水収縮率8.5%)と、イソフタル酸が10モル%共重された固有粘度0.64のポリエチレンテレフタレート系個ポリエステルからなる沸水収縮率が35.2%のポリエステル高収縮繊維糸(33dtex/12フィラメント)とを、エアーノズルを通して混繊交絡してポリエステル混繊糸を得た。得られた混繊糸を実施例1と同様にしてフィブリル品位を評価した。その結果、フィブリル品位はレベル1であり、極めて良好なフィブリル品位を有する織物が得られた。
【0076】
【発明の効果】
本発明によれば、色調に優れ、かつ、均一で高品質な易フィブリル性ポリエステル繊維を長期間安定して提供することができる。
Claims (4)
- 下記式(I)で表されるチタンアルコキシド及び下記一般式(I)で表されるチタンアルコキシドと下記一般式(II)で表される芳香族多価カルボン酸又はその無水物とを反応させた生成物からなる群から選ばれた少なくとも一種のチタン化合物と、下記一般式(III)で表されるリン化合物との存在下に芳香族ジカルボキシレートエステルを重縮合して得られる、チタンとリンの含有濃度が下記数式(1)及び(2)を同時に満足するポリエステルからなるポリエステル繊維であって、
- ポリエステルが、ポリエチレンテレフタレートである請求項1又は2記載の易フィブリル性ポリエステル繊維。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の易フィブリル性ポリエステル繊維と、該易フィブリル性ポリエステル繊維より沸水収縮率が4〜40%高いポリエステル繊維とを混繊してなるポリエステル混繊糸。
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