JP2004225184A - ポリエステル異形断面繊維 - Google Patents

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Abstract

【課題】粗野なキシミ感を呈し、ふくらみ感、柔軟性、軽量感に優れたシルキー調布帛を得ることができ、しかも、毛羽が少なく、繊度斑、染斑といった品質斑のないポリエステル異形断面繊維を提供する。
【解決手段】単繊維の横断面形状が、三角形状部分(A)と該三角形状の一つの頂点から延出している突出部(B)とからなる形状であり、該三角形状部分(A)内に3〜15%の中空部を有し、且つ、L1/L2が0.7〜3.0、h2/h1が3.0〜10.0である異型断面繊維とし、該繊維を構成するポリエステルを、特定のチタン化合物とリン化合物との反応生成物からなる触媒の存在下に重縮合して得られるポリエステルとする。但し、L1は三角形状部分と突出部との連結点から突出部他端までの距離、L2は三角形状部分と突出部との連結点と、該連結点に対する三角形状部分の対辺との間の距離、h1は突出部の幅、h2は三角形状部分と突出部との連結点に対する三角形状部分の対辺の長さを示す。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエステル異型断面繊維に関する。詳しくは、シルキー調布帛を得ることができ、毛羽が少なく、繊度斑、染色斑といった品質斑のないポリエステル異型断面繊維に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、合成繊維、特にポリエステル繊維をシルキー様の風合に近づけるべく、繊維の横断面形状を異型断面とすることは多数提案されている。例えば、三角形状にして光沢を向上したもの、マルチローバルにしてドライ感を向上したもの、茸状にしてドライ感やキシミ感を向上したものなどが提案されている。また、このような異型断面糸を用いて異収縮混繊糸を形成し、布帛に膨らみ感や柔軟性(ソフト感)を付与することも提案されている。しかしながら、このような従来のシルキー調ポリエステル繊維は、絹の中でもどちらかといえば家蚕糸風合に似せたものが多く、野蚕絹、中でも柞蚕絹に分類される絹織編物が有する粗野なキシミ感の点では未だ不十分であり、ふくらみ感、柔軟性、軽量感といった特性を同時に満足できるものでもなかった。
【0003】
これに対して、特許文献1には、単繊維の横断面形状が、三角形状部分と該三角形状の一つの頂点から延出している突出部とからなる特殊な形状である異型断面繊維を用いることで、野蚕調キシミ風合い織編物が得られることが提案されている。さらに、かかる織編物はふくらみ感、柔軟性、軽量感といった特性にも優れたものであった。
【0004】
しかしながら、通常のポリエステルを用い、上記のように高度に異形化された繊維が得られる特殊な吐出孔形状を有する紡糸口金を使用して異型断面繊維を紡糸した場合、紡糸初期においては問題ないが、時間の経過とともに、紡糸吐出孔周辺に異物が付着し、時間と共にその堆積量が多くなり、吐出糸条の屈曲、ピクツキ、旋回等が進行し、短時間内にポリエステル異型断面繊維の品質斑(繊度斑、染色斑など)となって現れる。さらには、該異形断面繊維には毛羽が多発し、かかる毛羽が製編織工程での生産性を低下させ、得られた布帛も品質の悪いものとなるといった問題がある。
【0005】
このような口金異物の付着・堆積原因は、ポリエステル中に存在するアンチモンに起因することが知られているが、そのアンチモンは、ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートの触媒として、優れた重縮合触媒性能を有する、また色調の良好なポリエステルが得られるなどの理由から、実際に最も広く使用されているのが現状である。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−146635号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術を背景になされたもので、その目的は、粗野なキシミ感を呈し、ふくらみ感、柔軟性、軽量感に優れたシルキー調布帛を得ることができ、しかも、毛羽が少なく、繊度斑、染斑といった品質斑のないポリエステル異形断面繊維を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究したところ、ポリエステルの重縮合触媒を適正化することにより、シルキー調の風合いを発現できる、特殊な異形断面形状を有する繊維を、長時間にわたり該断面形状を損なうことなく安定して製造できることを見出した。しかも、上記繊維は、毛羽が少なく、繊度斑、染斑といった品質斑が小さく、極めて品位の高いものであった。
【0009】
かくして、本発明によれば、単繊維の横断面形状が、三角形状部分(A)と該三角形状の一つの頂点から延出している突出部(B)とからなる形状であり、該三角形状部分(A)内に3〜15%の中空部を有し、且つ、下記式(1)及び(2)を共に満足する異型断面繊維であって、該繊維が、下記式(I)で表されるチタン化合物と下記式(II)で表されるリン化合物との反応生成物からなる触媒の存在下に重縮合して得られるポリエステルからなることを特徴とするポリエステル異型断面繊維が提案される。
【0010】
【化5】
Figure 2004225184
【0011】
(R、R、R、Rは、それぞれ同一もしくは異なって、アルキル基またはフェニル基であり、kは1〜4の整数である。なお、kが2〜4の場合には、複数のRおよびRは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
【0012】
【化6】
Figure 2004225184
【0013】
(Rは、炭素原子数1〜20個のアルキル基または炭素原子数6〜20個のアリール基であり、nは1または2である。)
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明のポリエステル異形断面繊維は、単繊維の横断面形状が、三角形状部分(A)と該三角形状の一つの頂点から延出している突出部(B)とからなる形状であり、該三角形状部分(A)内に3〜15%の中空部を有し、且つ、下記式(1)及び(2)を共に満足している必要がある。
(1)0.7≦L1/L2≦3.0
(2)3.0≦h2/h1≦10.0
ここで突出部(B)の延出している位置が三角形状の頂点と異なり、例えば三角形状の辺の中央から延出している場合には安定に製糸することが困難になり、また、突出部が複数の頂点から延出している場合には安定に製糸することが困難になるだけでなく、得られる布帛の風合いも野蚕調でなくなるので好ましくない。また、突出部の形状が偏平状でない場合、例えば丸断面のような形状では得られる布帛のキシミ感が低下するので好ましくない。なお、ここでいう偏平状とは、厚さが全体に亘って均一である必要はなく、一部が他の部分よりも厚くなっていてもよい。要するに、後述する突出部の長さ(L1)と幅(h1)の比(L1/h1)が2以上、特に5以上であればよい。この比が2未満の場合には偏平状とはいえず、得られる布帛のキシミ感および柔軟性が欠けることとなるので好ましくない。
【0015】
突出部(B)の三角形状部分(A)からの延出方向は、該頂角を挟む三角形状の2辺を延長した線で挟まれる角内に有ることが好ましく、特に頂角の二等分線方向が最も好ましい。
【0016】
次に、図面を参照しながら本発明をさらに詳細に説明する。図1は、本発明のポリエステル異型断面繊維の単繊維の横断面形状を説明するための模式図である。図1において、三角形状部分(A)の外周と偏平状突出部点の外周とが交わる2点間の中点Oを三角形状部分と偏平状突出部との連結点とする(図では便宜上小さい白丸で示した)。この連結点から突出部の他端までの距離を突出部の長さL1とし、また該連結点から三角形状部分(A)の対辺までの距離をL2とする。なお、該対辺が外側に膨らんでいたり内側に凹んでいる場合には、連結点以外の三角形状の2頂点を結ぶ直線に平行で該対辺に接する直線までの距離をL2とする。
【0017】
さらに、突出部(B)の延出方向に垂直な方向における偏平状突出部の最大幅を突出部(B)の幅h1とし、前記対辺に垂直な直線で該三角形状部分(A)に接する2直線の間隔を対辺の長さh2とする。
【0018】
前記式(1)は、三角形状部分(A)の大きさと偏平状突出部(B)の長さとの関係を規定するもので、得られる布帛のキシミ感、柔軟性およびふくらみ感を総合的に達成するために重要であって、特にL1/L2が1.5〜2.5の範囲内にあることが好ましい。この値が0.7未満の場合には得られる布帛のキシミ感およびや柔軟性を総合的に達成することが困難になり、一方、3.0を超える場合には安定に製糸することが難しくなると同時に得られる布帛のふくらみ感も欠けることとなるので好ましくない。
【0019】
また前記式(2)は、三角形状部分(A)の大きさと偏平状突出部(B)の幅との関係を規定するもので、得られる布帛のふくらみ感を達成するために重要であり、特にh2/h1が4.0〜7.0の範囲内にあることが好ましい。この値が3.0未満の場合には得られる布帛のふくらみ感が不十分となり、一方、10.0を超える場合には紡糸時の吐出安定性が低下し、安定に製糸することが困難になるので好ましくない。
【0020】
布帛に軽量感、ふくらみ感等を付与するために三角形状部分(A)には中空率3%以上の中空部が存在していることが必要である。しかし、中空率があまりに大きくなりすぎると安定製糸性が低下するので、該三角形状部分(A)に対する中空率は15%以下とする。該中空率は、好ましくは3〜10%の範囲とするのが適当である。
【0021】
本発明においては、異形断面繊維が、上記式(I)で表されるチタン化合物と上記式(II)で表されるリン化合物との反応生成物からなる触媒の存在下に重縮合して得られるポリエステルからなることが肝要である。これにより、上記のように高度に異形化された繊維を、その断面形状を損なうことなく安定して製造できるため、粗野なキシミ感を呈し、ふくらみ感、柔軟性、軽量感に優れた高いシルキー調布帛となる異形断面繊維が得られる。また、同時に、該異形断面繊維を、毛羽が少なく、繊度斑や染斑といった品質斑のない、極めて品位の高いものとすることができる。
【0022】
上記チタン化合物(I)としては、具体的には、チタンテトラブトキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトラエトキシドに例示されるチタンテトラアルコキシド、オクタアルキルトリチタネート、ヘキサアルキルジチタネートなどのアルキルチタネートを挙げることができるが、なかでも本発明において使用されるリン化合物との反応性の良好なチタンテトラアルコキシドを用いることが好ましく、特にチタンテトラブトキシドを用いることが好ましい。
【0023】
一方、上記リン化合物(II)としては、具体的には、モノメチルホスフェート、モノエチルホスフェート、モノ−n−プロピルホスフェート、モノ−n−ブチルホスフェート、モノヘキシルホスフェート、モノヘプチルホスフェート、モノオクチルホスフェート、モノノニルホスフェート、モノデシルホスフェート、モノドデシルホスフェート、モノラウリルホスフェート、モノオレイルホスフェート、モノテトラコシルホスフェート、モノフェニルホスフェート、モノベンジルホスフェート、モノ(4−メチルフェニル)ホスフェート、モノ(4−エチルフェニル)ホスフェート、モノ(4−プロピルフェニル)ホスフェート、モノ(4−ドデシルフェニル)ホスフェート、モノトリルホスフェート、モノキシリルホスフェート、モノビフェニルホスフェート、モノナフチルホスフェートおよびモノアントリルホスフェートなどのモノアルキルホスフェートまたはモノアリールホスフェート、並びに、ジエチルホスフェート、ジプロピルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジヘキシルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジデシルホスフェート、ジラウリルホスフェート、ジオレイルホスフェート、ジテトラコシルホスフェート、ジフェニルホスフェートなどのジアルキルホスフェートまたはジアリールホスフェートを例示することができる。なかでも、上記式(II)においてnが1であるモノアルキルホスフェートまたはモノアリールホスフェートが好ましい。
【0024】
これらのリン化合物は、混合物として用いてもよく、例えばモノアルキルホスフェートとジアルキルホスフェートの混合物、モノフェニルホスフェートとジノフェニルホスフェートの混合物を、好ましい組み合わせとして挙げることができる。特に混合物中、モノアルキルホスフェートが全混合物量を基準として50%以上、特に90%以上を占めるような組成とするのが好ましい。
【0025】
上記式(I)のチタン化合物と上記式(II)のリン化合物との反応生成物の調整方法は特に限定されず、例えば、グリコール中で加熱することにより製造することができる。すなわち、該チタン化合物と該リン化合物とを含有するグリコール溶液を加熱すると、グリコール溶液が白濁して析出物が発生する。この析出物をポリエステル製造用の触媒として用いればよい。
【0026】
ここで用いることのできるグリコールとしては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等を例示することができるが、得られた触媒を用いて製造するポリエステルを構成するグリコール成分と同じものを使用することが好ましい。例えば、ポリエステルがポリエチレンテレフタレートである場合にはエチレングリコール、ポリトリメチレンテレフタレートである場合には1,3−プロパンジオール、ポリテトラメチレンテレフタレートである場合にはテトラメチレングリコールをそれぞれ用いることが好ましい。
【0027】
なお、前記触媒は式(I)のチタン化合物、式(II)のリン化合物及びグリコールの3者を同時に混合し、加熱する方法によっても製造することができる。しかし、加熱により式(I)のチタン化合物と式(II)のリン化合物とが反応してグリコールに不溶の析出物が反応生成物として析出するので、この析出までの反応は均一な反応であることが好ましい。したがって、効率よく反応析出物を得るためには、式(I)のチタン化合物と式(II)のリン化合物とのそれぞれについて予めグリコール溶液を調整し、その後、これらの溶液を混合し加熱する方法により製造することが好ましい。
【0028】
また、加熱時の温度は、反応温度が余りに低すぎると、反応が不十分となったり反応に過大な時間を要したりするので、均一な反応により効率よく反応析出物を得るには、50℃〜200℃の温度で反応させることが好ましく、反応時間は1分間〜4時間が好ましい。なかでも、グリコールとしてエチレングリコールを用いる場合には50℃〜150℃、ヘキサメチレングリコールを用いる場合には100℃〜200℃の範囲がより好ましい温度であり、また、反応時間は30分間〜2時間がより好ましい範囲である。
【0029】
グリコール中で加熱する式(I)のチタン化合物と式(II)のリン化合物との配合割合は、チタン原子を基準として、リン原子のモル比率として1.0〜3.0の範囲にあることが好ましく、さらに1.5〜2.5であることが好ましい。該範囲内にある場合には、リン化合物とチタン化合物とがほぼ完全に反応して未完全な反応物が存在しなくなるので、該反応生成物をそのまま使用しても得られるポリエステルの色相改善効果は良好であり、また、過剰な未反応のリン化合物もほとんど存在しないので、ポリエステル重合反応性を阻害することがなく生産性も高いものとなる。
【0030】
上記の触媒においては、前記式(I)(但し、k=1)のチタン化合物と、式(II)のリン化合物成分との反応生成物は、下記(V)により表される化合物を含有するものが好ましい。
【0031】
【化7】
Figure 2004225184
【0032】
(ただし、式(V)中のRおよびR基は、それぞれ独立に、前記チタン化合物のR、R、R、Rおよび前記リン化合物のRのいずれか1つ以上に由来する2〜10個の炭素原子を有するアルキル基、または、6〜12個の炭素原子を有するアリール基である。)
式(V)で表されるチタン化合物とリン化合物との反応生成物は、高い触媒活性を有しているので、これを用いて得られるポリエステルは、良好な色調(低いb値)を有し、実用上十分に低いアセトアルデヒド、残留金属および環状三量体の含有量を有し、かつ実用上十分なポリマー性能を有する。なお、該式(V)で表される反応生成物は50質量%以上含まれていることが好ましく、70質量%以上含まれることがより好ましい。
【0033】
本発明においては、チタン化合物を予め下記一般式(III)で表される多価カルボン酸および/またはその酸無水物と反応モル比(2:1)〜(2:5)の範囲で反応させた後、リン化合物と反応させた反応生成物を用いることがより好ましい。
【0034】
【化8】
Figure 2004225184
【0035】
(ただし、mは2〜4の整数である。)
かかる多価カルボン酸およびその無水物としては、フタル酸、トリメリット酸、ヘミメリット酸、ピロメリット酸およびこれらの無水物を好ましく、特にチタン化合物との反応性がよく、また得られる反応生成物とポリエステルとの親和性が高いことから、トリメリット酸無水物が好ましい。
【0036】
該チタン化合物と多価カルボン酸またはその無水物との反応は、前記多価カルボン酸またはその無水物を溶媒に混合してその一部または全部を溶媒中に溶解し、この混合液にチタン化合物を滴下し、0℃〜200℃の温度で少なくとも30分間、好ましくは30〜150℃の温度で40〜90分間行われる。この際の反応圧力には特に制限はなく、常圧で充分である。なお、このときの溶媒としては、多価カルボン酸またはその無水物の一部または全部を溶解し得るものから適宜選択すればよい。なかでも、エタノール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ベンゼン、キシレンなどが好ましく使用される。
【0037】
この反応におけるチタン化合物と式(III)の化合物またはその無水物とのモル比は適宜に選択することができるが、チタン化合物の割合が多すぎると、得られるポリエステルの色調が悪化したり軟化点が低下したりする傾向があり、逆にチタン化合物の量が少なすぎると重縮合反応が進みにくくなる傾向があるため、チタン化合物と多価カルボン酸化合物またはその無水物との反応モル比は、(2:1)〜(2:5)とすることが好ましい。
【0038】
この反応によって得られる反応生成物は、そのまま前述のリン化合物との反応に供してもよく、あるいはこれをアセトン、メチルアルコールおよび/または酢酸エチルなどで再結晶して精製した後にリン化合物と反応させてもよい。
【0039】
本発明において、上記反応生成物の存在下にポリエステルを重縮合するにあたっては、上記のようにして得た析出物を含むグリコール液は、析出物とグリコールとを分離することなくそのままポリエステル製造用触媒として用いてもよく、遠心沈降処理または濾過などの手段により析出物を分離した後、該析出物を再結晶剤、例えばアセトン、メチルアルコールおよび/または水などにより再結晶して精製した後、この精製物を該触媒として用いてもよい。なお、該触媒は、固体NMRおよびXMAの金属定量分析で、その構造を確認することできる。
【0040】
本発明において、ポリエステルポリマーを得るに当たっては、上記析出物は重縮合反応時に反応系内に存在していればよい。このため該析出物の添加は、原料スラリー調製工程、エステル化工程、液相重縮合工程等のいずれの工程で行ってもよい。また、触媒全量を一括添加しても、複数回に分けて添加してもよい。
【0041】
また、重縮合反応では、必要に応じてトリメチルホスフェートなどのリン安定剤をポリエステル製造における任意の段階で加えてもよく、さらに酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、蛍光増白剤、艶消剤、整色剤、消泡剤その他の添加剤などを配合してもよい。
【0042】
さらに、得られるポリエステルの色相の改善補助をするために、ポリエステルの製造段階において、アゾ系、トリフェニルメタン系、キノリン系、アントラキノン系、フタロシアニン系等の有機青色顔料等、無機系以外の整色剤を添加することもできる。
【0043】
次に、前記の触媒を用いて、芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体と、脂肪族グリコール(アルキレングリコール)又はそのエステル形成性誘導体とから芳香族ジカルボン酸のアルキレングリコールエステル及び/又はその低重合体を製造し、前記の触媒を用い、これを重縮合させてポリエステルを製造する方法について説明する。
【0044】
ポリエステルの出発原料となる芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体を用いることができる。
【0045】
もう一方の出発原料となる脂肪族グリコールとしては、例えば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンメチレングリコール、ドデカメチレングリコールを用いることができる。
【0046】
また、ジカルボン酸成分として、芳香族ジカルボン酸とともに、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸など又はそのエステル形成性誘導体を原料として使用することができ、ジオール成分としても脂肪族ジオールとともに、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環式グリコール、ビスフェノール、ハイドロキノン、2,2−ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン類などの芳香族ジオールなどを原料として使用することができる。
【0047】
さらに、トリメシン酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールメタン、ペンタエリスリトールなどの多官能性化合物を原料として使用することができる。
【0048】
上記の芳香族ジカルボン酸のアルキレングリコールエステル及び/又はその低重合体は、いかなる方法によって製造されたものであってもよいが、通常、芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体とアルキレングリコール又はそのエステル形成性誘導体とを加熱反応させることによって製造される。
【0049】
例えば、ポリエチレンテレフタレートの原料であるテレフタル酸のエチレングリコールエステル及び/又はその低重合体について説明すると、テレフタル酸とエチレングリコールとを直接エステル化反応させるか、テレフタル酸の低級アルキルエステルとエチレングリコールとをエステル交換反応させるか、又はテレフタル酸にエチレンオキサイドを付加反応させる方法が一般に採用される。
【0050】
なお、出発原料としてテレフタル酸及びテレフタル酸ジメチルを用いる場合には、ポリアルキレンテレフタレートを解重合することによって得られた回収テレフタル酸ジメチル又はこれを加水分解して得られる回収テレフタル酸を、ポリエステルを構成する全酸成分の質量を基準として70質量%以上使用したものであってもよい。この場合、前記アルキレンテレフタレートは、ポリエチレンテレフタレートであることが好ましく、特に回収されたPETボトル、回収された繊維製品、回収されたポリエステルフィルム製品、さらには、これら製品の製造工程において発生するポリマー屑などをポリエステル製造用原料源として用いることは、資源の有効活用の観点から好ましいことである。
【0051】
ここで、回収ポリアルキレンテレフタレートを解重合してテレフタル酸ジメチルを得る方法には特に制限はなく、従来公知の方法をいずれも採用することができる。例えば、回収ポリアルキレンテレフタレートを用いて解重合した後、解重合生成物を、低級アルコール、例えばメタノールによるエステル交換反応に供し、この反応混合物を精製してテレフタル酸の低級アルキルエステルを回収し、これをアルキレングリコールによるエステル交換反応に供し、得られたテレフタル酸/アルキレングリコールエステルを重縮合すればポリエステルを得ることができる。また、上記、回収された、テレフタル酸ジメチルからテレフタル酸を回収する方法にも特に制限はなく、従来方法をいずれを用いてもよい。例えばエステル交換反応により得られた反応混合物からテレフタル酸ジメチルを再結晶法及び/又は蒸留法により回収した後、高温高圧化で水とともに加熱して加水分解してテレフタル酸を回収することができる。この方法によって得られるテレフタル酸に含まれる不純物において、4−カルボキシベンズアルデヒド、パラトルイル酸、安息香酸及びヒドロキシテレフタル酸ジメチルの含有量が、合計で1ppm以下であることが好ましい。また、テレフタル酸モノメチルの含有量が、1〜5000ppmの範囲にあることが好ましい。上述の方法により回収されたテレフタル酸と、アルキレングリコールとを直接エステル化反応させ、得られたエステルを重縮合することによりポリエステルを製造することができる。
【0052】
次に、本発明における重縮合触媒の存在下に、上記で得られた芳香族ジカルボン酸のアルキレングリコールエステル及び/又はその低重合体を、減圧下で、かつポリエステルポリマーの融点以上分解点未満の温度(通常240℃〜280℃)に加熱することにより重縮合させる。この重縮合反応では、未反応の脂肪族グリコール及び重縮合で発生する脂肪族グリコールを反応系外に留去させながら行われることが望ましい。
【0053】
重縮合反応は、1槽で行ってもよく、複数の槽に分けて行ってもよい。例えば、重縮合反応が2段階で行われる場合には、第1槽目の重縮合反応は、反応温度が245〜290℃、好ましくは260〜280℃、圧力が100〜1kPa、好ましくは50〜2kPaの条件下で行われ、最終第2槽での重縮合反応は、反応温度が265〜300℃、好ましくは270〜290℃、反応圧力は通常10〜1000Paで、好ましくは30〜500Paの条件下で行われる。
【0054】
このようにして、本発明の触媒を用いてポリエステルを製造することができるが、この重縮合工程で得られるポリエステルは、通常、溶融状態で押し出しながら、冷却後、粒状(ペレット状)のものとなす。
【0055】
本発明においては、上記ポリエステル中に、下記一般式(IV)で表される有機スルホン酸金属塩がポリエステル重量に対して0.5〜2.5重量%含有されていることが、アルカリ減量処理して、異形断面繊維の表面に繊維軸方向に配列した微細孔を形成することができ、ドライ感及びキシミ感が向上して極めて柞蚕絹に類似した布帛が得られるので好ましい。
【0056】
【化9】
SOM (IV)
(Rは炭素数3〜30のアルキル基または炭素数7〜40のアリール基もしくはアルキルアリール基、Mはアルカリ金属またはアルカリ土類金属を示す。)
上記式において、Rがアルキル基またはアルキルアリール基であるときは、該アルキルは直鎖状でも分岐した側鎖を有していてもよい。特にポリエステルとの相溶性の点からRがアルキル基であるアルキルスルホン酸金属塩が好ましい。Mはナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属、またはカルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属であり、なかでもナトリウム、カリウムが好ましい。このような有機スルホン酸金属塩としては、具体的には、ステアリルスルホン酸ナトリウム、オクチルスルホン酸ナトリウム、ラウリルスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0057】
以上に説明した異形断面繊維は、例えば、以下の方法によって製造することができる。図2は、本発明の異型断面繊維を製造するに用いられる紡糸口金の吐出孔形状の一例を示す模式図である。
【0058】
本発明の異型断面繊維は、上述のような吐出孔を有する紡糸口金を用いて、通常の紡糸延伸法により製造することができる。すなわち、前述のポリエステルを例えば280〜300℃で紡糸口金から溶融吐出し、冷却固化した紡出糸条に油剤を付与し、必要に応じてインターレース付与装置でインターレースを付与した後、室温に設定した一対の引取ローラーを介して未延伸糸を一旦ワインダーに捲き取る。次いで、得られた未延伸糸を、延伸速度600〜1400m/分で、80〜110℃に加熱した予熱ローラーおよび170〜240℃に設定した非接触式ヒータを経て、1.5〜3.0倍の延伸倍率で延伸し、さらに必要に応じてインターレースを付与することにより得られる。
【0059】
溶融紡糸温度は、275〜300℃の範囲が、紡糸安定性の観点より、好ましい。紡糸引き取り速度および延伸倍率は、ポリエステル複合繊維の強度が2.0〜5.0cN/dtexの範囲、伸度が30〜50%の範囲となるように適宜設定する。
【0060】
なお、本発明にかかる異型断面繊維は、単繊維繊度が1.5〜5.0dtex、糸条の総繊度が50〜170dtexであることが好ましく、また沸水収縮率は5.0〜12.0%の範囲が適当である。
【0061】
本発明の異型断面繊維を用いて布帛を製造するには、必要に応じて適度な撚りを施し、所望の組織に織編すればよい。得られた布帛は、必要に応じてアルカリ減量処理を施すことにより、従来の織編物では発現できなかった、優れたキシミ感とふくらみ、柔軟性、軽量感を備えたものが得られる。
【0062】
なお、本発明においては軽量・キシミ感を意図しているので、複雑な組織に織成・編成するのは好ましくなく、平織もしくはその変化組織、簡単な綾織もしくはその変化組織、サテン織等に織編成するのが好ましい。また、布帛中に占める本発明の異型断面繊維の割合は、必ずしも100%である必要はないが、優れたキシミ感とふくらみ、柔軟性、軽量感を得るためにはその割合が多いほど好ましい。
【0063】
【実施例】
以下、実施例により、本発明を更に具体的に説明する。なお、実施例における各項目は次の方法で測定した。
【0064】
(1)固有粘度
オルソクロロフェノールを溶媒として使用し35℃で測定した。
【0065】
(2)ポリマー吐出状態
紡糸中に、紡糸口金より吐出されているポリマーの吐出状態を観察し、次の基準で吐出状態を格付けした。複合紡糸開始1時間後、3日後および、7日後に観察を行った。
レベル1:吐出糸条がほぼ一定の流下線を描いて、安定に走行している。
レベル2:吐出糸条に小さな屈曲、ピクツキ、旋回等が見られる。
レベル3:吐出糸条が大きく屈曲、ピクツキあるいは旋回している。一部ポリマーが紡糸口金面に接触し、断糸が頻発している。
【0066】
(3)中空率(%)
ポリエステル繊維断面顕微鏡写真で、各単糸断面の中空部面積(A)および断面を囲む面積(B)を測定し、下記式で計算し、測定した全単糸横断面についての平均値を中空率(%)とした。
中空率(%)=A/B×100
【0067】
(4)繊度斑(U%)
ツェルベーガーウースター社製のUSTER TESTER 4型を用い400m/minの走行速度で測定した。
【0068】
(5)毛羽数(個/10m)
パッケージ巻き(あるいはパーン巻き)としたポリエステル繊維250個を、毛羽検出装置付きの整経機に掛けて、400m/minの速度で、42時間整経引き取りした。整経機が停止するごとに、目視で毛羽の有無を確認し、確認された毛羽の全個数を繊維糸条長10m当たりに換算し、毛羽数とした。
【0069】
(6)染斑
ポリエステル繊維を12ゲージ丸編機で30cm長の筒編みとし、染料(テラシールブルーGFL)を用い、100℃、40min染色し、均染性を検査員が目視にて下記基準で格付けした。
レベル1:均一に染色されており、染斑がほとんど認められない
レベル2:縞状あるいは斑点状の染斑が少し認められる
レベル3:縞状あるいは斑点状の染斑が一面に認められる
【0070】
(7)強度・伸度
JIS−L1013に準拠して測定した。
【0071】
(8)風合い
キシミ感、とふくらみ、柔軟性、軽量感の面から、熟練者5名により極めて良好(優)、良好(良)、不良(不可)の三段階にランク付けを行い、その平均値から算出した。
【0072】
[実施例1]
チタン化合物の調製:
内容物を混合撹拌できる機能を備え付けた2Lの三口フラスコを準備し、その中にエチレングリコール919gと酢酸10gを入れて混合撹拌した中に、チタンテトラブトキシド71gをゆっくり徐々に添加し、チタン化合物のエチレングリコール溶液(透明)を得た。以下、この溶液を「TB溶液」と略記する。本溶液のチタン原子濃度は1.02%であった。
リン化合物の調製:
内容物を加熱し、混合撹拌できる機能を備え付けた2Lの三口フラスコを準備し、その中にエチレングリコール656gを入れて撹拌しながら100℃まで加熱した。その温度に達した時点で、モノラウリルホスフェートを34.5g添加し、加熱混合撹拌して溶解し、透明な溶液を得た。以下、この溶液を「P1溶液」と略記する。
触媒の調製:
引き続き、100℃に加熱コントロールした上記のP1溶液(約690g)の撹拌状態の中に、先に準備したTB溶液310gをゆっくり徐々に添加し、全量を添加した後、100℃の温度で1時間撹拌保持し、チタン化合物とリン化合物との反応を完結させた。この時のTB溶液とP1溶液との配合量比は、チタン原子を基準として、リン原子のモル比率が2.0に調整されたものとなっていた。この反応によって得られた生成物は、エチレングリコールに不溶であったため、白濁状態で微細な析出物として存在した。以下、この溶液を「TP1−2.0触媒」と略記する。
【0073】
得られた反応析出物を分析する為、一部の反応溶液を目開き5μのフィルターでろ過し、その析出反応物を固体として採取した後、水洗、乾燥した。得られた析出反応物をXMA分析法で、元素濃度の分析を行った結果、チタン12.0%,リン16.4%であり、チタン原子を基準として、リン原子のモル比率は、2.1であった。さらに、固体NMR分析を行ったところ、次のような結果を得た。C−13 CP/MAS(周波数75.5Hz)測定法で、チタンテトラブトキシドのブトキシド由来のケミカルシフト14ppm、20ppm、36ppmピークの消失が認められ、また、P−31 DD/MAS(周波数121.5Hz)測定法で、従来モノラウリルホスフェートでは存在しない新たなケミカルシフトピーク−22ppmを確認した。これらより、本条件で得られた析出物は、明らかにチタン化合物とリン化合物とが反応して新たな化合物となっていることを示す。
【0074】
さらに、予め225部のオリゴマーが滞留する反応器内に、撹拌下、窒素雰囲気で255℃、常圧下に維持された条件下に、179部の高純度テレフタル酸と95部のエチレングリコールとを混合して調製されたスラリーを一定速度供給し、反応で発生する水とエチレングリコールを系外に留去ながら、エステル化反応を4時間し反応を完結させた。この時のエステル化率は、98%以上で、生成されたオリゴマーの重合度は、約5〜7であった。
【0075】
このエステル化反応で得られたオリゴマー225部を重縮合反応槽に移し、重縮合触媒として、上記で作成した「TP1−2.0触媒」を3.34部投入した。引き続き系内の反応温度を255から280℃、また、反応圧力を大気圧から60Paにそれぞれ段階的に上昇及び減圧し、反応で発生する水,エチレングリコールを系外に除去しながら重縮合反応を行い、炭素数が8〜20で平均炭素数が14であるアルキルスルホン酸ナトリウムを0.6重量%添加し、反応終了後、系内の反応物を吐出部からストランド状に連続的に押し出し、冷却、カッティングして、約3mm程度の粒状ペレットを得た。得られたポリエチレンテレフタレートの固有粘度は0.63であった。
【0076】
得られたポリエステルペレットを常法で乾燥した後、溶融押出機(スクリュウーエクストルーダー)を装備した紡糸機に導入し、溶融し、290℃に保たれたスピンブロックに装備された紡糸パックに導入し、溶融吐出し、該吐出糸条を冷却固化させた後に油剤を付与し、次いでインターレースを付与した後に1400m/分の速度で引取り巻き取った。得られた未延伸糸を、予熱ローラー温度90℃、熱セットヒーター(非接触式)温度200℃、延伸倍率2.3倍、延伸速度800m/分で延伸した後、インターレースを付与して83dtex/24フィラメント、中空率5%のポリエステル異形断面繊維を得た。紡糸では、口金吐出孔周辺に異物の蓄積が認められず、ポリマー吐出状態は長期間にわたり安定していた。
【0077】
得られた繊維を経糸及び緯糸に用い、羽二重に製織し、常法にしたがって清廉、熱セット、アルカリ減量加工(減量率15%)、染色を施して無地の染め織物を得た。得られた繊維及び織物の評価結果を表1に示す。
【0078】
[比較例1]
実施例1において、重縮合触媒を、三酸化アンチモンの1.3%濃度エチレングリコール溶液に変更し、その投入量を4.83部とし、さらに安定剤としてトリメチルホスフェートの25%エチレングリコール溶液0.121部を投入したこと以外は同様の操作を行い固有粘度0.63のポリエステルを得た。このポリエステルを実施例1と同じ方法、条件で紡糸、延伸を行い、83dtex/24フィラメントのポリエステル異形断面繊維を得た。紡糸では、時間の経過にとともに紡糸口金吐出孔周辺に異物が成長し、吐出糸条の屈曲、ピクツキおよび旋回が認められた。さらに実施例1と同様にして染め織物を得た。得られた繊維及び織物の結果を表1に示す。
【0079】
【表1】
Figure 2004225184
【0080】
[実施例2〜3、比較例2〜3]
単繊維の横断面形状を各々表2に示す値とする以外は実施例1と同じ方法、条件で紡糸、延伸を行い、ポリエステル異形断面繊維を得た。さらに実施例1と同様にして染め織物を得た。得られた織物の風合いを表2に示す。
【0081】
[比較例4]
単繊維の横断面形状を丸断面とする以外は実施例1と同じ方法、条件で紡糸、延伸を行い、ポリエステル異形断面繊維を得た。さらに実施例1と同様にして染め織物を得た。得られた織物の風合いはキシミ感が全く無いものとなった。
【0082】
【表2】
Figure 2004225184
【0083】
[実施例4〜6]
繊維の中空率を各々表3に示す値とする以外は実施例1と同じ方法、条件で紡糸、延伸を行い、ポリエステル異形断面繊維を得た。さらに実施例1と同様にして染め織物を得た。得られた繊維及び織物の結果を表3に示す。
【0084】
【表3】
Figure 2004225184
【0085】
【発明の効果】
本発明によれば、粗野なキシミ感を呈し、ふくらみ感、柔軟性、軽量感に優れたシルキー調布帛が得られるポリエステル異形断面繊維を提供することができる。しかも、該異形断面繊維は、毛羽が少なく、繊度斑、染斑といった品質斑が少ない、極めて品位の優れたものであり、さらに高級な衣料用途などに展開できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリエステル異形断面繊維の横断面形状の一例を示す模式図である。
【図2】本発明のポリエステル異形断面繊維を製造するのに使用される紡糸口金吐出孔の一例を示す模式図である。

Claims (5)

  1. 単繊維の横断面形状が、三角形状部分(A)と該三角形状の一つの頂点から延出している突出部(B)とからなる形状であり、該三角形状部分(A)内に3〜15%の中空部を有し、且つ、下記式(1)及び(2)を共に満足する異型断面繊維であって、該繊維が、下記式(I)で表されるチタン化合物と下記式(II)で表されるリン化合物との反応生成物からなる触媒の存在下に重縮合して得られるポリエステルからなることを特徴とするポリエステル異型断面繊維。
    (1)0.7≦L1/L2≦3.0
    (2)3.0≦h2/h1≦10.0
    (L1は三角形状部分と突出部との連結点から突出部他端までの距離、L2は三角形状部分と突出部との連結点と、該連結点に対する三角形状部分の対辺との間の距離、h1は突出部の幅、h2は三角形状部分と突出部との連結点に対する三角形状部分の対辺の長さを示す。)
    Figure 2004225184
    (R、R、R、Rは、それぞれ同一もしくは異なって、アルキル基またはフェニル基であり、kは1〜4の整数である。なお、kが2〜4の場合には、複数のRおよびRは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
    Figure 2004225184
    (Rは、炭素原子数1〜20個のアルキル基または炭素原子数6〜20個のアリール基であり、nは1または2である。)
  2. チタン化合物とリン化合物との配合割合が、チタン原子を基準として、リン原子のモル比率として1.0〜3.0の範囲にある、請求項1記載のポリエステル異形断面繊維。
  3. ポリエステルが、チタン化合物を予め下記一般式(III)で表される多価カルボン酸および/またはその酸無水物と反応モル比(2:1)〜(2:5)の範囲で反応させた後にリン化合物と反応させた反応生成物を触媒として重縮合して得られるポリエステルである、請求項1または2に記載のポリエステル異形断面繊維。
    Figure 2004225184
    (mは2〜4の整数である。)
  4. リン化合物がモノアルキルホスフェートである、請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル異形断面繊維。
  5. ポリエステル中に、下記一般式(IV)で表される有機スルホン酸金属塩がポリエステル重量に対して0.5〜2.5重量%含有されている、請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステル異形断面繊維。
    Figure 2004225184
    (Rは炭素数3〜30のアルキル基または炭素数7〜40のアリール基もしくはアルキルアリール基、Mはアルカリ金属またはアルカリ土類金属を示す。)
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