JP2004270112A - ポリエステル斑糸 - Google Patents

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Abstract

【課題】毛羽などの品質斑が少ないため製編織性に優れており、色調が良好であり鮮明な濃淡差が得られるポリエステル斑糸を提供する。
【解決手段】延伸工程において、長さ方向に太繊度部と細繊度部とが形成された単繊維からなるポリエステル斑糸であって、該斑糸を構成するポリエステルポリマーを、特定のチタン化合物成分とリン化合物とを含む触媒の存在下に芳香族ジカルボキシレートエステルを重縮合して得られるポリエステルポリマーとする。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエステル斑糸に関するものである。さらに詳しくは、鮮明な濃淡差を発現し、かつ製編織工程通過性に優れたポリエステル斑糸に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステルはその優れた特性を生かし衣料用布帛素材として広く使用されている。近年、衣生活の多様化、高級化、個性化と共に、天然繊維が持つ繊維物性の不規則性によりもたらされる色相、色明度の変化、あるいは複雑な繊維構造によりもたらされる様々な触感をポリエステルで発現する試みがなされている。
【0003】
例えば、ポリエステル未延伸糸を不完全に延伸したポリエステル斑糸は、その布帛において、ドライ感およびスパナイズ外観を表現することができるので、従来多くのポリエステル斑糸が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2など)。
【0004】
しかしながら、通常のポリエステルを製糸した場合、紡糸工程にて紡糸時間の経過とともに紡糸吐出孔周辺に異物が発生することが知られており、こうした異物の蓄積量が時間と共に多くなると、吐出糸条の屈曲、ピクツキ、旋回等が進行し、紡糸した糸に力学的な欠点が内在することになる。かかる力学的欠点を有する糸に斑延伸を施すと、延伸張力変動が大きいため、該欠点部で単繊維の一部が切断され、毛羽が多く発生することになる。そして、こうした毛羽のため、撚糸や製織準備、製織の工程で停台等の不具合が頻発し、布帛の品質が著しく損なわれたり、生産の歩留りが極めて悪くなったりするという問題がある。
【0005】
上述したような突出孔周辺の異物の発生原因は、ポリエステル中に存在するアンチモンに起因することが知られているが、そのアンチモンは、ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートの触媒として、優れた重縮合触媒性能を有する、また色調の良好なポリエステルが得られるなどの理由から、最も広く使用されているアンチモン系触媒に由来するものであり、通常のポリエステル中には必然的に存在している。
【0006】
これに対して、該アンチモン化合物以外の重縮合触媒、例えば、チタンテトラブトキシドのようなチタン化合物を用いることも考えられるが、このようなチタン化合物を使用した場合、上記のような、口金異物の付着・堆積は減少するものの、ポリエステル自身の黄色味が強くなり、ポリエステル繊維として衣料用途に使用できない色調となるという問題がある。
【0007】
【特許文献1】
特公昭51−7207号公報
【0008】
【特許文献2】
特開昭58−70711号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術を背景になされたもので、その目的は、毛羽などの品質斑が少ないため製編織性に優れており、色調が良好であり鮮明な濃淡差が得られるポリエステル斑糸を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究したところ、適正な重縮合触媒を用いて得られたポリエステルからなる未延伸糸を斑延伸したときは、毛羽の発生が著しく少なく高品質の斑糸が得られることを見出した。しかも該斑糸は色調にも優れていおり、良好な濃淡差を呈することがわかった。
【0011】
すなわち、本発明は、長さ方向に太繊度部と細繊度部とが形成された単繊維からなる糸であって、該糸が、チタン化合物成分とリン化合物とを含む触媒の存在下に芳香族ジカルボキシレートエステルを重縮合して得られるポリエステルポリマーからなり、該チタン化合物成分が下記一般式(I)で表されるチタンアルコキシド及び下記一般式(I)で表されるチタンアルコキシドと下記一般式(II)で表される芳香族多価カルボン酸又はその無水物とを反応させた生成物からなる群から選ばれた少なくとも一種を含む成分であり、該リン化合物が下記一般式(III)で表される化合物であり、チタンとリンの含有濃度が下記数式(1)及び(2)を同時に満足することを特徴とするポリエステル斑糸である。
【0012】
【化6】
Figure 2004270112
【0013】
【化7】
Figure 2004270112
【0014】
【化8】
Figure 2004270112
【0015】
【数2】
Figure 2004270112
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリエステル斑糸は、長さ方向に太繊度部と細繊度部とが形成された単繊維からなる糸である。
【0017】
本発明においては、上記斑糸が、チタン化合物成分とリン化合物とを含む触媒の存在下に芳香族ジカルボキシレートエステルを重縮合して得られるポリエステルポリマーからなり、該チタン化合物成分が下記一般式(I)で表されるチタンアルコキシド及び下記一般式(I)で表されるチタンアルコキシドと下記一般式(II)で表される芳香族多価カルボン酸又はその無水物とを反応させた生成物からなる群から選ばれた少なくとも一種を含む成分であり、該リン化合物が後述する一般式(III)で表される化合物であることが肝要である。これにより、毛羽などの品質斑が少なく製織性に優れており、色相が良好で好ましい濃淡差を呈するポリエステル斑糸とすることができる。
【0018】
この本発明で用いられる、重縮合反応に触媒として用いられるチタン化合物成分は、最終製品の触媒に起因する異物を低減する観点から、ポリマー中に可溶なチタン化合物であることが必要であり、該チタン化合物成分としては、下記一般式(I)で表される化合物、若しくは一般式(II)で表される化合物と下記一般式(II)で表される芳香族多価カルボン酸又はその無水物とを反応させた生成物である必要がある。
【0019】
【化9】
Figure 2004270112
【0020】
【化10】
Figure 2004270112
【0021】
ここで、一般式(I)で表されるチタンアルコキシドとしては、具体的にはテトライソプロポキシチタン、テトラプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラフェノキシチタン、オクタアルキルトリチタネート、及びヘキサアルキルジチタネートなどが好ましく用いられる。
【0022】
また、本発明の該チタンアルコキシドと反応させる一般式(II)で表される芳香族多価カルボン酸又はその無水物としては、フタル酸、トリメリット酸、ヘミメリット酸、ピロメリット酸及びこれらの無水物が好ましく用いられる。
【0023】
上記チタンアルコキシドと芳香族多価カルボン酸又はその無水物とを反応させる場合には、溶媒に芳香族多価カルボン酸又はその無水物の一部または全部を溶解し、この混合液にチタンアルコキシドを滴下し、0〜200℃の温度で少なくとも30分間、好ましくは30〜150℃の温度で40〜90分間加熱することによって行われる。この際の反応圧力については特に制限はなく、常圧で十分である。なお、芳香族多価カルボン酸またはその無水物を溶解させる溶媒としては、エタノール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ベンゼン及びキシレン等から所望に応じていずれを用いることもできる。
【0024】
ここで、チタンアルコキシドと芳香族多価カルボン酸またはその無水物との反応モル比には特に限定はないが、チタンアルコキシドの割合が高すぎると、得られるポリエステルの色調が悪化したり、軟化点が低下したりすることがあり、逆にチタンアルコキシドの割合が低すぎると重縮合反応が進みにくくなることがある。このため、チタンアルコキシドと芳香族多価カルボン酸又はその無水物との反応モル比は、2/1〜2/5の範囲内とすることが好ましい。
【0025】
本発明で用いられる重縮合用の触媒系は、上記のチタン化合物成分と、下記一般式(III)により表されるリン化合物とを含むものであり、両者の未反応混合物から実質的になるものである。
【0026】
【化11】
Figure 2004270112
【0027】
上記一般式(III)のリン化合物(ホスホネート化合物)としては、カルボメトキシメタンホスホン酸、カルボエトキシメタンホスホン酸、カルボプロポキシメタンホスホン酸、カルボブトキシメタンホスホン酸、カルボメトキシフェニルメタンホスホン酸、カルボエトキシフェニルメタンホスホン酸、カルボプロトキシフェニルメタンホスホン酸、カルボブトキシフェニルメタンホスホン酸等のホスホン酸誘導体のジメチルエステル類、ジエチルエステル類、ジプロピルエステル類、ジブチルエステル類等から選ばれることが好ましい。
【0028】
上記のホスホネート化合物は、通常安定剤として使用されるリン化合物に比較して、チタン化合物との反応が比較的緩やかに進行するので、反応中における、チタン化合物の触媒活性持続時間が長く、結果として該チタン化合物のポリエステルへの添加量を少なくすることができる。また、一般式(III)のリン化合物を含む触媒系に多量に安定剤を添加しても、得られるポリエステルの熱安定性を低下させることがなく、その色調、さらには濃淡差を不良化することが無い。
【0029】
本発明では、上記のチタン化合物成分とリン化合物とを含む触媒が、下記数式(1)及び(2)を同時に満足するものである必要がある。
【0030】
【数3】
Figure 2004270112
【0031】
ここで、(P/Ti)は1以上15以下であるが、2以上15以下であることが好ましく、さらには10以下であることが好ましい。この(P/Ti)が1未満の場合、ポリエステルの色相が黄味を帯びたものであり、好ましくない。また、(P/Ti)が15を越えるとポリエステルの重縮合反応性が大幅に低下し、目的とするポリエステルを得ることが困難となる。この(P/Ti)の適正範囲は通常の金属触媒系よりも狭いことが特徴的であるが、適正範囲にある場合、本発明のような従来にない効果を得ることができる。
【0032】
一方、(Ti+P)は10以上100以下であるが、20以上70以下であることがより好ましい。(Ti+P)が10に満たない場合は、製糸プロセスにおける生産性が大きく低下し、満足な性能が得られなくなる。また、(Ti+P)が100を越える場合には、触媒に起因する異物が少量ではあるが発生し好ましくない。
【0033】
上記式中、Tiの量としては2〜15ミリモル%程度が適当である。本発明で用いられているポリエステルポリマーは、上記のチタン化合物成分とリン化合物とを含む触媒の存在下に芳香族ジカルボキシレートエステルを重縮合して得られるポリマーであるが、本発明においては、芳香族ジカルボキシレートエステルが、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールからなるジエステルであることが好ましい。
【0034】
ここで芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸を主とすることが好ましい。より具体的には、テレフタル酸が全芳香族ジカルボン酸を基準として70モル%以上を占めていることが好ましく、さらには該テレフタル酸は、全芳香族ジカルボン酸を基準として80モル%以上を占めていることが好ましい。ここでテレフタル酸以外の好ましい芳香族ジカルボン酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸等を挙げることができる。
【0035】
もう一方の脂肪族グリコールとしては、アルキレングリコールであることが好ましく、例えば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンメチレングリコール、ドデカメチレングリコールを用いることができるが、特にエチレングリコールであることが好ましい。
【0036】
本発明ではポリエステルが、ポリエチレンテレフタレートであることが特に好ましい。ここでポリエステルが、テレフタル酸とエチレングリコールからなるエチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルであることも好ましい。ここで「主たる」とは該エチレンテレフタレート繰り返し単位がポリエステル中の全繰り返し単位を基準として70モル%以上を占めていることをいう。
【0037】
また本発明で用いるポリエステルは、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールからなる主たる繰り返し単位以外に、酸成分またはジオール成分としてポリエステルを構成する成分を共重合した、共重合ポリエステルとしてもよい。
【0038】
共重合する成分としては、酸成分として、上記の芳香族ジカルボン酸はもちろん、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸などの二官能性カルボン酸成分又はそのエステル形成性誘導体を原料として使用することができる。また、共重合するジオール成分としては上記の脂肪族ジオールはもちろん、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環式グリコール、ビスフェノール、ハイドロキノン、2,2−ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン類などの芳香族ジオールなどを原料として使用することができる。
【0039】
さらに、トリメシン酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールメタン、ペンタエリスリトールなどの多官能性化合物を原料として共重合させ使用することができる。
これらは一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0040】
本発明においては、上記のような芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールからなる芳香族ジカルボキシレートエステルが用いられるが、この芳香族ジカルボキシレートエステルは、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとのジエステル化反応により得ることもできるし、あるいは芳香族ジカルボン酸のジアルキルエステルと脂肪族グリコールとのエステル交換反応により得ることもできる。ただし、芳香族ジカルボン酸のジアルキルエステルを原料とし、エステル交換反応を経由する方法とした方が、芳香族ジカルボン酸を原料としジエステル化反応させる方法に比較し、重縮合反応中に安定剤として添加したリン化合物の飛散が少ないという利点がある。
【0041】
さらに、チタン化合物の一部及び/又は全量をエステル交換反応開始前に添加し、エステル交換反応触媒と重縮合反応触媒との二つの触媒として兼用させることが好ましい。このようにすることにより、最終的にポリエステル中のチタン化合物の含有量を低減することができる。ポリエチレンテレフタレートの例で、さらに具体的に述べると、テレフタル酸を主とする芳香族ジカルボン酸のジアルキルエステルとエチレングリコールとのエステル交換反応を、下記一般式(I)で表されるチタンアルコキシド、及び下記一般式(I)で表されるチタンアルコキシドと下記一般式(II)で表される芳香族多価カルボン酸又はその無水物とを反応させた生成物からなる群から選ばれた少なくとも1種を含むチタン化合物成分の存在下に行い、このエステル交換反応により得られた、芳香族ジカルボン酸とエチレングリコールとのジエステルを含有する反応混合物に、更に下記一般式(III)により表されるリン化合物を添加し、これらの存在下に重縮合することが好ましい。
【0042】
【化12】
Figure 2004270112
【0043】
【化13】
Figure 2004270112
【0044】
【化14】
Figure 2004270112
【0045】
なお、該エステル交換反応を行う場合には通常は常圧下で実施されるが、0.05〜0.20MPaの加圧下に実施すると、チタン化合物成分の触媒作用による反応が更に促進され、かつ副生物のジエチレングリコールが大量に発生することもないので、熱安定性などの特性が更に良好なものとなる。温度としては160〜260℃が好ましい。
【0046】
また、本発明において、芳香族ジカルボン酸がテレフタル酸である場合には、ポリエステルの出発原料としてテレフタル酸及びテレフタル酸ジメチルが用いられるが、その場合にはポリアルキレンテレフタレートを解重合することによって得られた回収テレフタル酸ジメチル又はこれを加水分解して得られる回収テレフタル酸を、ポリエステルを構成する全酸成分を基準として70重量%以上使用することもできる。この場合、前記ポリアルキレンテレフタレートは、ポリエチレンテレフタレートであることが好ましく、特に回収されたPETボトル、回収された繊維製品、回収されたポリエステルフィルム製品、さらには、これら製品の製造工程において発生するポリマー屑などをポリエステル製造用原料源とする再生ポリエステルを用いることは、資源の有効活用の観点から好ましいことである。
【0047】
ここで、回収ポリアルキレンテレフタレートを解重合してテレフタル酸ジメチルを得る方法には特に制限はなく、従来公知の方法をいずれも採用することができる。また、上記、回収された、テレフタル酸ジメチルからテレフタル酸を回収する方法にも特に制限はなく、従来方法のいずれを用いてもよい。テレフタル酸に含まれる不純物については、4−カルボキシベンズアルデヒド、パラトルイル酸、安息香酸及びヒドロキシテレフタル酸ジメチルの含有量が、合計で1ppm以下であることが好ましい。また、テレフタル酸モノメチルの含有量が、1〜5000ppmの範囲にあることが好ましい。回収されたテレフタル酸と、アルキレングリコールとを直接エステル化反応させ、得られたエステルを重縮合することによりポリエステルを製造することができる。
本発明では、ポリエステルが上記のような再生ポリエステルであることがより好ましい。
【0048】
本発明で用いられるポリエステルの固有粘度は、0.40〜0.80の範囲にあることが好ましく、さらに0.45〜0.75、特に0.50〜0.70の範囲が好ましい。固有粘度が0.40未満であると、繊維の強度が不足するため好ましくない。他方、固有粘度が0.80を越えると、原料ポリマーの固有粘度を過剰に引き上げる必要があり不経済である。
【0049】
本発明で用いるポリエステルは、必要に応じて少量の添加剤、例えば滑剤、顔料、染料、酸化防止剤、固相重合促進剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、遮光剤、艶消剤等を含んでいてもよく、特に艶消剤として酸化チタン、安定剤としての酸化防止剤は好ましく添加され、酸化チタンとしては、平均粒径が0.01〜2μmの酸化チタンを、最終的に得られるポリエステル組成物中に0.01〜10重量%含有させるように添加することが好ましい。
【0050】
また、酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系の酸化防止剤が好ましいが、ヒンダードフェノール系酸化防止剤の添加量は1重量%以下であることが好ましい。1重量%を越えると製糸時のスカムの原因となり得る他、1重量%を越えて添加しても溶融安定性向上の効果が飽和してしまう為好ましくない。ヒンダードフェノール系酸化防止剤の添加量は0.005〜0.5重量%の範囲が更に好ましい。またこれらヒンダードフェノール系酸化防止とチオエーテル系二次酸化防止剤を併用して用いることも好ましく実施される。
【0051】
該酸化防止剤のポリエステルへの添加方法は特に制限はないが、好ましくはエステル交換反応、またはエステル化反応終了後、重合反応が完了するまでの間の任意の段階で添加する方法が挙げられる。
【0052】
本発明の斑糸は繊維軸方向に次のような太細斑分布を有していることが好ましい。すなわち、ノーマルテストで得られるスペクトログラフ上に、周期4〜10cmと周期50〜150cmにそれぞれピーク値(Pmax1、Pmax2)を有しており、かつそのピーク値比(Pmax1/Pmax2)が1.5〜4.0であることが好ましい。
【0053】
本発明でいうスペクトログラフとは、スイスのツエルベーガ社で開発されたウスタースペクトログラフのことであり、斑内容の迅速な分析を可能とするもので、特に斑のピッチを知るのに有用である(その詳細は繊維機械学会発行の「むらの理論と実際」第255頁〜第372頁に詳述されている)。測定条件はノーマルテストとし、測定速度は400m/分とした。
【0054】
上記のような斑糸と従来の斑糸のスペクトログラフの例を図1及び図2に示し、図をもって詳細に説明する。ここで図1は後記する本発明実施例1で得た斑糸のスペクトログラフであり、一方図2は従来の斑糸のスペクトログラフである。図1と図2とを比較すると、ピークの数に特徴的な差があることがわかる。つまり、本発明の斑糸は、斑の周期が50〜150cmの長い部分と4〜10cmの短い部分との2箇所に極大値が存在するように斑が分散しているので、従来の長周期領域に極大値が存在しない斑糸と比較してよりナチュラルなスパナイズ外観を呈することができ、好ましい。
【0055】
次に、本発明のポリエステル斑糸は、熱収縮応力が、80〜200℃の間で温度上昇とともに増大し、かつ80〜100℃において10cN/dtex以下であることが好ましく、より好ましくは8cN/dtex以下である。また、熱収縮率の標準偏差(σ)が、80〜200℃の間で温度上昇とともに増大し、かつ80〜100℃において0.5%以下であることが好ましく、より好ましくは0.4%以下である。
【0056】
通常、ポリエステル斑糸は撚糸後80〜100℃で撚り止めセットが行われる。80〜100℃における熱収縮応力および熱収縮率の標準偏差(σ)が、各々10cN/dtex以下および0.5%以下であるポリエステル斑糸は、80〜100℃の撚り止めセットにおいては、太繊度部と細繊度部の熱収縮斑の発現が少なく、撚り止めセット後も、単糸の乱れが起こることが無く安定したマルチフィラメント構造を維持しており、好ましい。このような乱れの無いマルチフィラメント構造は、以降の整経、製織工程で安定した工程通過性を示す。
【0057】
さらに、本発明のポリエステル斑糸の熱収縮応力平均および熱収縮率の標準偏差(σ)は、80〜200℃の範囲で温度上昇と共に大きくなる特性を有している場合は、製織後の精練、染色、仕上げ工程において、より高い温度で熱処理が行われると、太繊度部と細繊度部の熱収縮斑が強く発現し、布帛でスパナイズ外観とドライ感とが発現するようになり、より好ましい。
【0058】
また、より優れたドライ感を布帛で発現するために、布帛のアルカリ処理が行われる。この際、繊維表面又は繊維内部に、微細孔又は微細溝を形成させる微細孔形成剤をポリエステルに含有させれば、該孔又は溝の形状によって、ドライ感のみならず吸水性、天然絹様風合、鮮明性、等の各種効果を発現させることができるので好ましい。例えば、該微細孔形成剤として下記式(IV)で表わされるスルホン酸金属塩を含有している場合には、ドライ感が向上して綿に類似した性能を得ることができる。
【0059】
【化15】
Figure 2004270112
【0060】
(ここで、M及びM′は金属であり、アルカリ金属、アルカリ土類金属、マンガン、コバルト、亜鉛が好ましく、M及びM′は同一でも異なっていてもよい。Rは水素原子又はエステル形成性官能基であり、nは1又は2を示す。)
かかるスルホン酸金属塩は、例えば特公昭61−31231号公報にあげられているものが好ましく用いられ、具体的には3−カルボメトキシベンゼンスルホン酸ナトリウム−5−カルボン酸ナトリウム、3−ヒドロキシエトキシカルボニルベンゼンスルホン酸ナトリウム−5−カルボン酸1/2マグネシウムをあげることができる。
【0061】
上記スルホン酸金属塩のポリエステルへの添加時期は、ポリエステルを溶融紡糸する以前の任意の段階でよく、例えばポリエステルの原料中に添加配合しても、ポリエステルの合成中に添加してもよい。また、上記化合物の添加量は、少ないと最終的に得られるポリエステル繊維の綿様風合が低下し、一方多いと紡糸時にトラブルを発生しやすくなるので、ポリエステル重量を基準として0.5〜2.5重量%、特に0.6〜1.2重量%の範囲が適当である。
【0062】
本発明の斑糸の見かけ単繊維繊度(太細を長さ方向に平均したもの)や糸条としての総繊度は特に限定されるものではないが、単繊維繊度としては1.5〜5.0dtex、総繊度としては40〜170dtexの範囲が適当である。
【0063】
斑糸の単繊維の横断面形状については特に限定する必要はないが、三角断面とするとよりドライ感やスパナイズ外観が向上するので好ましい。
【0064】
また、本発明の斑糸の熱水(100℃)収縮率は4〜10%、より好ましくは5〜8%であることが、精練、染色工程で布帛の収縮を制御する上で好ましい。
【0065】
本発明のポリエステル斑糸は例えば、次の方法で製造することができる。
すなわち、ペレット状となした前述のポリエステル(好ましくは微細孔形成剤を含有したポリエステル)を常法で乾燥し、スクリュウ押出機を備えた溶融紡糸設備に導入し、溶融混練し、紡糸口金から溶融吐出し、冷却固化した紡出糸条に油剤を付与し、ポリエステルのガラス転移点付近の温度に設定した予熱ローラーで紡糸引き取りしつつ延伸ローラーを介して低倍率で延伸し、半延伸糸として巻き取る(予熱ローラー引取速度:1500〜2500m/分、延伸倍率:1.1〜1.5、が望ましい条件)。
【0066】
本発明においては、紡糸油剤付着前の紡出糸条にかかる紡糸張力を0.1〜0.3cN/dtexの範囲とするのが好ましく、より好ましくは0.1〜0.2cN/dtexの範囲である。かかる紡糸張力とすることにより、前述した好ましいスペクトログラフの形状を有する斑糸が得られる。なお、紡糸張力は、糸条を集束する位置(集束距離:紡糸口金面から集束装置までの距離)を変えることによって調整する。メタリングノズル式の給油集束装置は、油剤付与と集束を同時に行うことができるので、好ましく用いられる。
【0067】
次に、本発明においては、油剤付与後、3〜6個の空気噴射孔を有するインターレースノズルを用いて、ノズル圧空圧力を0.1〜0.3MPaの範囲に設定し、走行糸条に交絡を付与することが好ましい。これにより、前述した好ましい熱収縮応力、熱収縮率の標準偏差(σ)、スペクトログラフの形状が得られる。
【0068】
得られた半延伸糸は、更に、60〜90℃に加熱した予熱ローラーおよび170〜240℃に設定した非接触ヒーターを経て、1.1〜1.5倍の延伸倍率で延伸(延伸速度500〜1400m/min)し、20%以下、より好ましくは1〜10%のオーバーフィードを掛けながら接触式ヒーター160〜180℃にて熱セットし、ポリエステル斑糸として巻き取る。
【0069】
この時、オーバーフィード率を20%以下とすることにより、熱セット斑が起こりにくく、熱収縮応力および熱収縮率の標準偏差(σ)を温度上昇と共に増大させることができる。また、オーバーフィード率が1%以上とすることで、前述した好ましい熱収縮応力および熱収縮率の標準偏差(σ)とすることができる。
【0070】
かくして得られた本発明のポリエステル斑糸は、必要に応じて適度な撚りを施し撚り止めセットした後、ウォータージェットルーム等高速で製織することができる。得られた布帛は、必要に応じてアルカリ減量処理を施し、染色、仕上げされ優れたスパナイズ外観とドライ感とを備えたものとなる。
【0071】
なお、スパナイズ外観およびドライ感を意図した場合、複雑な組織に製織するのは好ましくなく、平織もしくはその変化組織、簡単な綾織もしくはその変化組織、サテン織等に製織するのが好ましい。また、布帛中に占める本発明の斑糸の割合は、必ずしも100%である必要はないが、その割合が多いほど好ましい。
【0072】
本発明の斑糸は、婦人紳士衣料用として、具体的にはブラウス、ジャケット、スーツ、パンツ等の一般衣料、ブラックフォーマル用衣料、トーブ、アバヤ等の民族衣装、ランジェリー、ファンデーション、肌着等のインナー衣料などの製品形態として使用されることが好ましい。
【0073】
【実施例】
以下、実施例により、本発明を更に具体的に説明する。なお、実施例における各項目は次の方法で測定した。
(1)固有粘度
オルソクロロフェノールを溶媒として使用し35℃で測定した。
(2)ポリエステル中のチタン、リン含有量
サンプルをアルミ板上で加熱溶融した後、圧縮プレス機で平面を有する成型体に形成し、蛍光X線測定装置(理学電機工業株式会社製3270型)に供して、定量分析した。
(3)ジエチレングリコール(DEG)量
抱水ヒドラジンを用いてポリマーを分解し、ガスクロマトグラフィ−(株式会社日立製作所製「263−70」)を用い、常法に従って測定した。
(4)スペクトログラフ(Pmax1、Pmax2)
スイスツエルベーガ社のウスタースペクトログラフにて、測定モード:ノーマルテスト、測定速度:400m/分でポリエステル糸のスペクトログラフを記録し、周期4〜10cmと周期50〜150cmとのピーク値を各々Pmax1およびPmax2とした。
(5)熱収縮応力
試料繊維をサンプリング治具を用いて5cmの輪をとし、熱応力測定器の上部と下部のフックに掛けて2.94mN×表示テックス(1/30gf×表示デニール)の初荷重を掛け、一定温度にて熱応力を測定した。測定は3回行い、その平均の値を使用した。測定温度は80℃、100℃、150℃、200℃とした。
(6)熱収縮率
東レエンジニアリング(株)熱収縮斑システムFTA−500を用い、試料繊維を糸速度5m/分でフィードローラーから供給し、走行糸条の張力が0.5gの定荷重(一定張力)となるようにドローローラー速度を制御し、該速度を2分間連続して測定し、一定温度に設定された長さ20cm加熱域中を通過させ、ドローローラーで引き取った。これらのローラーの速度差から試料繊維の収縮率を計算した。この測定を10回繰り返し、その標準偏差(σ)を計算した。測定温度は80℃、100℃、150℃、200℃とした。
(7)製織性
各実施例、比較例で得られたポリエステル斑糸に1000回/mのS撚を掛けた後、80℃で撚り止めセットを行い、該撚糸糸の経糸、緯糸使いとして、ウォータージェットルームで下記条件で製織を実施し、糸要因による停台回数(回/台・日)を調査した。
織組織: 幅1.3mの平織(経糸34本/cm、緯糸31本/cm)
緯糸打ち込み速度: 500rpm
(8)ドライ感、スパナイズ外観
上記(4)で製織した生機を、ボイルオフ(98℃、10sec)、リラックス(120℃、20min)、プレセット(190℃、60sec)、アルカリ減量(減量率15%)、染色(染料:カヤロンポリエステルネイビーブルー2GN−SF200(日本化薬社製))、130℃、20min)および仕上げ(170℃、60sec)処理を行い風合い評価用の織物を得た。該織物を検査員が目視および触感にてスパナイズ外観およびドライ感を下記基準で格付けした。
(スパナイズ外観)
レベル1: 適度に分散し、ナチュラルなカスリ状の濃淡筋が認められる。
レベル2: カスリ状の濃淡筋の分散にやや偏りがあるが、全体として満足できるカスリ状濃淡筋となっている。
レベル3: 一面に短すぎる濃淡筋あるいは長すぎる濃淡筋が認められる。あるいは明瞭な濃淡筋が認められない。
(ドライ観)
レベル1: 綿布帛に似たサラットした手触りが感じられる。
レベル2: サラットした感覚がやや弱く感じられる。
レベル3: プラスチックライクなプレーンな感触である。
(9)熱水(100℃)収縮率
JIS L1013にしたがって測定した。
(10)毛羽数(個/10m)
パッケージ巻き(あるいはパーン巻き)としたポリエステル複合繊維250個を、毛羽検出装置付きの整経機に掛けて、400m/min.の速度で、42時間整経引き取りした。整経機が停止するごとに、目視で毛羽の有無を確認し、確認された毛羽の全個数を繊維糸条長10m当たりに換算し、毛羽数とした。
【0074】
[実施例1]
テレフタル酸ジメチル100部とエチレングリコール70部との混合物に、テトラ−n−ブチルチタネート(TBT)0.009部を加圧反応が可能なステンレス製容器に仕込み、0.07MPaの加圧を行い140℃から240℃に昇温しながらエステル交換反応させた後、トリエチルホスホノアセテート(TEPA)0.035部を添加し、エステル交換反応を終了させた。その後、反応生成物を重合容器に移し、3−ヒドロキシエトキシカルボニル・ベンゼンスルホン酸ナトリウム−5−カルボン酸1/2マグネシウム2部を添加し、290℃まで昇温し、26.67Pa以下の高真空にて重縮合反応を行って、固有粘度0.64、ジエチレングリコール量が1.5%であるポリエステルを得、これを常法に従いペレット化した。
【0075】
得られたペレットを乾燥して紡糸口金から溶融吐出し、該吐出糸条を冷却固化させた後に、紡糸張力が0.13cN/dtexとなるようにメタリングノズル位置で集束距離を調整し、該メタリングノズルで油剤を付与し、0.15MPaで圧空が噴射している噴射孔が3個のインターレースノズルを通し、60℃に設定した回転ローラーで2250m/分の速度で引取り、3030m/分の速度で半延伸し(延伸倍率1.35)巻き取った。得られた半延伸糸を、予熱ローラー温度70℃、熱セットヒーター(非接触式)温度200℃、延伸倍率1.4倍、延伸速度800m/分で延伸した後、2%のオーバーフィードをかけつつ、175℃に設定した熱セットヒーター(接触式)で熱セットして巻き取り、表1に示す物性のポリエステル斑糸(120デシテックス/36フィラメント)を得た。
【0076】
【表1】
Figure 2004270112
【0077】
得られたポリエステル斑糸を前述の方法で製織およびスパナイズ外観、ドライ感の評価を実施した。表2から明らかな如く、製織工程では極めて安定した通過性に示し、布帛は優れたスパナイズ外観およびドライ感を呈していた。
【0078】
【表2】
Figure 2004270112
【0079】
本例においては、紡糸口金吐出孔周辺に異物の蓄積が認められず、ポリマー吐出状態は長期間にわたり安定であり、得られたポリエステル繊維は、毛羽が少なく、後加工での取扱いに優れるものであった。また、染色した布帛(上記(4)のドライ感、スパナイズ感で評価した布帛)は色調に優れ、鮮明な濃淡差を有していた。
【0080】
[実施例2]
ノズル圧空圧力を0.15MPaから0.3MPaに変更した以外は、実施例1と同じ方法、条件で紡糸、延伸を行い、ポリエステル斑糸を得た。表1に各々の物性を示す。得られたポリエステル斑糸を前述の方法で製織し、ドライ感およびスパナイズ外観の評価を実施し、表2に示す結果を得た。また、染色した布帛は色調に優れ、鮮明な濃淡差を有していた。
【0081】
[比較例1]
テレフタル酸ジメチル100部とエチレングリコール70部との混合物に、酢酸カルシウム一水和物0.064重量部を加圧反応が可能なステンレス製容器に仕込み、0.07MPaの加圧を行い140℃から240℃に昇温しながらエステル交換反応させた後、56重量%濃度のリン酸水溶液0.044重量部を添加し、エステル交換反応を終了させた。その後、反応生成物を重合容器に移し、三酸化二アンチモンを表1の量となるよう加え、さらに、3−ヒドロキシエトキシカルボニル・ベンゼンスルホン酸ナトリウム−5−カルボン酸1/2マグネシウム2部を添加し、290℃まで昇温し、26.67Pa以下の高真空にて重縮合反応を行ってポリエステルを得、これを常法に従いペレット化した。
【0082】
このポリエステルのペレットを用いた以外は、実施例1と同じ方法、条件で紡糸、延伸を行い、ポリエステル斑糸を得た。表1に各々の物性を示す。得られたポリエステル斑糸を前述の方法で製織し、ドライ感およびスパナイズ外観の評価を実施し、表2に示す結果を得た。
【0083】
本例においては、紡糸時間の経過にともなう紡糸口金吐出孔周辺異物の成長により、吐出糸条の屈曲、ピクツキおよび旋回が認められた。得られたポリエステル繊維は、毛羽が多く、衣料用として使用できる品質を有していなかった。また、染色した布帛は、実施例1と比較して、色調が若干劣り、濃淡差の鮮明性はやや悪かった。
【0084】
【発明の効果】
本発明によれば、毛羽が少なく、高い製織性を有するポリエステル斑糸を提供することができる。また、本発明の斑糸からは、色調に優れ、鮮明な濃淡差を有する布帛を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリエステル斑糸のスペクトログラフの1例を示す図。
【図2】従来のポリエステル斑糸のスペクトログラフの1例を示す図。

Claims (5)

  1. 長さ方向に太繊度部と細繊度部とが形成された単繊維からなる糸であって、該糸が、チタン化合物成分とリン化合物とを含む触媒の存在下に芳香族ジカルボキシレートエステルを重縮合して得られるポリエステルポリマーからなり、該チタン化合物成分が下記一般式(I)で表されるチタンアルコキシド及び下記一般式(I)で表されるチタンアルコキシドと下記一般式(II)で表される芳香族多価カルボン酸又はその無水物とを反応させた生成物からなる群から選ばれた少なくとも一種を含む成分であり、該リン化合物が下記一般式(III)で表される化合物であり、チタンとリンの含有濃度が下記数式(1)及び(2)を同時に満足することを特徴とするポリエステル斑糸。
    Figure 2004270112
    Figure 2004270112
    Figure 2004270112
    Figure 2004270112
  2. 芳香族ジカルボキシレートエステルが、チタン化合物成分を含む触媒の存在下で、芳香族ジカルボン酸のジアルキルエステルと脂肪族グリコールとのエステル交換反応により得られたジエステルであり、該チタン化合物成分が下記一般式(I)で表されるチタンアルコキシド及び下記一般式(I)で表されるチタンアルコキシドと下記一般式(II)で表される芳香族多価カルボン酸又はその無水物とを反応させた生成物からなる群から選ばれた少なくとも一種を含む成分である請求項1記載のポリエステル斑糸。
    Figure 2004270112
    Figure 2004270112
  3. ポリエステルがポリエチレンテレフタレートである請求項1または2に記載のポリエステル斑糸。
  4. ポリエステル斑糸が、ノーマルテストで得られるスペクトログラフ上に、周期4〜10cmと周期50〜150cmにそれぞれピーク値(Pmax1、Pmax2)を有しており、かつそのピーク値比(Pmax1/Pmax2)が1.5〜4.0である請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル斑糸。
  5. ポリエステル斑糸の熱収縮応力および熱収縮率の標準偏差(σ)が、80〜200℃の間で温度上昇とともに増大し、かつ80〜100℃において各々10cN/dtex以下および0.5%以下である請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステル斑糸。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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