JP5319075B2 - ポリプロピレン系繊維及び織編物 - Google Patents

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Description

本発明は、後加工工程の染色加工で分散染料による染色物を得ることが可能なポリプロピレン系繊維及びその繊維を含む織編物に関する。
従来より、ポロプロピレン繊維は、軽量性、撥水性、易リサイクル性に優れることから、養生シート、建築工事用メッシュシート、カーペット原糸等様々な産業用途に用いられている。しかしながら、ポリプロピレン繊維を構成するポリプロピレン系樹脂は、ポリエステル系繊維で汎用されている分散染料による染色ができないため、ポリプロピレン繊維を衣料用等の後加工工程で染色加工を行う用途に用いることは困難であった。
このため、後加工工程で染色が可能なポリプロピレン繊維の開発が従来より行われている。例えば、特許文献1又は2には、ポリオレフィン繊維を構成するポリオレフィン樹脂中に可染性の樹脂を分散させる方法が提案されており、可染性の樹脂としてポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂が示されている。
しかしながら、これらの提案の方法では、十分な染色性を得るために必要なポリエステル系樹脂を添加すると、紡糸安定性が低下するために、ポリエステル系樹脂の添加量を増やすことが困難であり、紡糸安定性を確保すると、充分な染色性が得られず、また、ポリオレフィン系樹脂とポリエステル系樹脂の相溶性が悪いために、紡糸安定性が不充分であった。さらに、染色物の耐光堅牢度も衣料用テキスタイルとして満足できるレベルにはなく、長期に使用していると変色、退色が発生する等の問題があった。
また、特許文献3又は4には、芯鞘複合化したポリプロピレン繊維或いはポリオレフィン繊維を使用することが提案されているが、その染色物の耐光堅牢度も衣料用テキスタイルとして満足できるレベルにはなく、長期に使用していると変色、退色が発生する等の問題があった。
特開平4−209824号公報 特開平6−25912号公報 特開平7−48720号公報 特開2002−214019号公報
本発明は、ポリプロピレン繊維を構成するポリプロピレン系樹脂自体を改質することなく、芯鞘複合化によって染色における課題を解決するべく検討の結果なされたものであり、本発明の目的は、後加工工程の染色加工で分散染料による濃色でかつ耐光・耐塩素堅牢度が良好な染色物を得ることが可能なポリプロピレン系繊維及びその繊維を含む織編物を提供することにある。
本発明の第1の要旨は、芯鞘複合構造を有し、以下の要件(1)〜(4)を備えたポリプロピレン系繊維にある。
(1)芯部を構成する樹脂が分散染料可染性を示す熱可塑性樹脂
(2)鞘部を構成する樹脂がポリプロピレン系樹脂であって、ポリプロピレンとポリエステル系樹脂を含み、かつポリプロピレンとポリエステル系樹脂との質量比が99.5/0.5〜90/10の範囲の混合樹脂
(3)単繊維繊度が1.5〜10dtex
(4)繊維断面における鞘部の厚みが12μm以下
また、本発明の第2の要旨は、前記のポリプロピレン系繊維を含む織編物にある。
本発明のポリプロピレン系繊維は、紡糸工程の安定性にも問題がなく得ることができ、本発明によれば、原着によることなく、後加工工程の染色加工で分散染料により濃色でかつ耐光堅牢度に優れた染色物を得ることが可能なポリプロピレン系繊維を提供することができ、本発明のポリプロピレン系繊維は、カーペットやその他椅子張り地等の織編地又は衣料用途等の素材として用いることが可能であり、特に、細繊度の繊維を容易に得ることが可能となるので、靴下、スポーツ用インナー等の衣料用途の素材に好適に用いることができる。さらに、耐塩素堅牢度にも優れることから、水着用途にも好適に用いることができる。
本発明のポリプロピレン系繊維は、芯鞘複合構造を有し、芯部が分散染料可染性を示す熱可塑性樹脂にて構成され、鞘部が分散染料では通常染色されないポリプロピレン系樹脂にて構成されることが必要である。芯部を構成する熱可塑性樹脂としては、分散染料による可染性を示す熱可塑性樹脂であり、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂等が挙げられるが、濃染性を得る面からポリエステル系樹脂であることが好ましい。
ポリエステル系樹脂としては、芳香族ポリエステル、脂肪族ポリエステルのいずれであってもよい。本発明でいう芳香族ポリエステルとは、テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体をジカルボン酸成分とし、エチレングリコール、1,4−ブタンジオールから選ばれた少なくとも1種又はそのエステル形成性誘導体をジオール成分とするポリエステルが代表的なものであるが、ジカルボン酸成分の一部を他のジカルボン酸に置き換えたものてもよく、またジオール成分の一部を他のジオールで置き換えたものでもよい。
置き換え可能な他のジカルボン酸としては、イソフタル酸、S−スルホイソフタル酸のモノアルカリ金属塩、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等のジカルボン酸類又はそのエステル及びp−オキシ安息香酸、p−β−オキシエトキシ安息香酸等のオキシカルボン酸類又はそのエステル等が挙げられる。
また、置き換え可能な他のジオールとしては、炭素数2〜10のアルキレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、1,4−ビス(β−オキシエトキシ)ベンゼン、ビスフェノールAのビスグリコールエーテルポリアルキレングリコール等が挙げられる。
さらに、ポリエステル系樹脂が、実質的に線状である範囲で、トリメリット酸、ピロメリット酸等のポリカルボン酸、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、グリセリン等のポリオール、モノハイドリックポリアルキレンオキサイド、フェニル酢酸等の重合停止剤を用いたものであっても差し支えない。
また、本発明でいう脂肪族ポリエステルとは、脂肪族アルキル鎖がエステル結合で連結されたポリマーのことをいい、例えばポリ乳酸、ポリヒドロキシブチレート、ポリブチレンサクシネート、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン等が挙げられる。
かかるポリエステル系樹脂は、公知の方法で合成したものでよい。例えばポリエチレンテレフタレートについて説明するならば、テレフタル酸とエチレングリコールとを直接エステル化反応させるか、テレフタル酸ジメチルの如きテレフタル酸の低級アルキルエステルとエチレングリコールとをエステル交換反応させるか、又はテレフタル酸にエチレンオキサイドを付加反応させるなどして、テレフタル酸のグリコールエステル及び/又はその低重合体を合成し、次いで常法により重縮合させる方法が一般的である。さらに、ポリエステルの合成にあたっては、公知の触媒、抗酸化剤、着色防止剤、エーテル結合副生防止剤、難燃剤等を適宜使用することができる。
芯部を構成する熱可塑性樹脂は、分散染料に対する可染性を有するのであれば、分散染料以外の染料、例えば塩基性染料等のカチオン染料や酸性染料等のアニオン染料に対し可染性とした改質ポリエステル系樹脂、アニオン染料に対する可染性を有するポリアミド系樹脂等の熱可塑性樹脂であってもよい。しかしながら、分散染料に対し可染性を示さない熱可塑性樹脂である場合は、この樹脂で芯部を構成した繊維を後加工工程でカチオン染料やアニオン染料で染色しようとしても、鞘部を構成するポリプロピレン系樹脂が疎水性であるため、カチオン性染料やアニオン染料は芯部まで浸透せず、芯部を構成する熱可塑性樹脂は染色されることはない。
鞘部を構成するポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンを主成分とする、好ましくはプロピレンを90質量%以上含む樹脂が用いられ、かかるポリプロピレン系樹脂として、例えばプロピレンホモポリマーであるポリプロピレン、プロピレンとエチレン、ブテン−1等との共重合体、或いはこれらの2種以上の組み合わせの混合重合体が挙げられ、特に好ましいものとしてポリプロピレンの単独樹脂が挙げられる。これらのポリプロピレン系樹脂には、ヒンダードフェノール系化合物、リン系化合物、ヒドロキシルアミン系化合物、ヒンダードアミン系化合物等の酸化防止剤、安定剤等が添加されていてもよく、或いは繊維の風合い、つや等の改善のため酸化チタン、シリカ、硫酸バリウム等の微粒子が添加されていてもよい。また、これらのポリプロピレン系樹脂は、製糸性の点からメルトフローレート値が7〜60g/10分であることが好ましい。
また、鞘部を構成するポリプロピレン系樹脂が、ポリプロピレンとポリエステル系樹脂との質量比が99.5/0.5〜90/10の範囲の混合樹脂であってもよく、かかる混合樹脂であるときには、鞘部に対して分散染料可染性を付与する補助的或いは直接的な役割を果たし、本発明の繊維を分散染料で染色加工するときに、より濃色な染色物を得ることができる。混合されるポリエステル系樹脂は、芯部を構成するポリエステル系樹脂と同一でもよいし異なっていてもよい。ポリエステル系樹脂の割合が前記範囲を超えて多くなると、分散染料可染性の付与効果は増すが、製糸の際の延伸時にポリエステル系樹脂の剥離或いは脱落が発生し製糸上問題となる。
本発明のポリプロピレン系繊維は、芯鞘複合構造を有するものであり、その単繊維繊度は、1.5〜10dtexの範囲であることが必要であり、好ましくは2〜5dtexである。また、本発明のポリプロピレン系繊維は、特に、繊維断面におけるポリプロピレン系樹脂からなる鞘部の厚みが12μmを超えない範囲であることが必要であり、さらに、仮撚加工等の加工工程の通過性を確保する上で、2〜6μmであることが好ましい。鞘部の厚みが2μm未満となると仮撚加工等の加工工程で鞘部の剥落等の擦過損傷が生じ易くなる。また、本発明のポリプロピレン系繊維の断面形状は、特に限定はないが、円形断面であることが染色加工での濃色の着色効果を得るうえで好ましい。
本発明のポリプロピレン系繊維は、後加工工程での分散染料を用いる染色加工で、芯部を構成する熱可塑性樹脂、好ましくはポリエステル系樹脂からなる繊維並みの染色濃度の染色物が得られる。かかる染色効果を示すのは、鞘部が分散染料では染着しないポリプロピレン系樹脂で構成されていながら、鞘部の厚みが極めて薄いことから、分散染料が薄膜を通過して芯部にまで浸透して芯部を構成する熱可塑性樹脂、好ましくはポリエステル系樹脂を染着し、また鞘部のポリプロピレン系樹脂に各種添加剤が含まれていたとしても、鞘部が極めて薄いことによりその透明度が高くなり、芯部の染着せる色濃度がそのまま外部から視認できることによる。
分散染料を用いる染色加工は、芯部を構成する熱可塑性樹脂、好ましくはポリエステル系樹脂からなるポリエステル系繊維の染色条件に準じて行われる。例えば、芯部がポリエステル系樹脂で構成されるときは、分散染料での常圧染色を採用することができ、染色温度が98〜100℃の沸騰温度、染色時間が30〜60分の条件で染色加工を行うことができる。
本発明のポリプロピレン系繊維を製造するには、例えば、芯成分として分散染料可染性を示す熱可塑性樹脂、好ましくは分散染料可染性のポリエステル系樹脂を用い、鞘成分としてポリプロピレン系樹脂を用い、芯鞘複合溶融紡糸機の各成分の押出機にそれぞれ芯成分、鞘成分を投入して、押出機温度を融点の高い側の成分が溶融する温度として押し出してホール直径0.4〜0.6mm、ホール数12〜30の芯鞘複合紡糸ノズルより芯成分と鞘成分の合計吐出量7〜29g/分でポリマーを吐出させ、吐出量にもよるが好ましくは巻取り速度800〜1500m/分で巻取り未延伸糸とし、未延伸糸を温度80〜120℃の加熱体との接触下で1.8〜3.0倍に延伸し、単繊維繊度が1.5〜10dtex、好ましくは2〜5dtexのマルチフィラメント糸として得る。紡糸に際しては、均一な鞘部厚みを得るうえで円形の繊維断面形状に紡糸することが好ましい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、実施例における繊維の鞘部厚みの測定、染色物色濃度測定、堅牢度測定は次の方法に拠った。
(染色性等評価試料)
繊維の筒編地を作成し、下記の条件で分散染料により常圧染色した後、エマルゲン900(花王社製、界面活性剤)1g/Lでソーピングし、水洗、風乾し、この染色物を評価試料とした。
染色条件:
ダイアニックス ブラック BG−FS200%01(ダイスタージャパン社製、黒色 分散染料) 2%(対繊維質量)
ディスパ−TL(明成化学工業社製、染色助剤) 0.7cc/L
ウルトラMT(大和化学工業社製、染色助剤(中和剤))0.55cc/L
浴比 1:30
温度 98〜100℃
時間 30分
(繊維の鞘部厚みの測定)
前記の評価試料より単繊維を採取し、単繊維の繊維断面を光学顕微鏡で倍率400倍で観察し、単繊維の直径と芯部の直径の計測値より求めた。
(染色物色濃度(L値)の測定)
前記の評価試料をColor−Eye 7000A(Gretag Macbeth社製色差計測機)を用いてL値を測定した。測定は3回行い、その平均値をL値として求めた。なお、L値は明度を表し、濃色である程その数値が小さくなる。
(耐光堅牢度の測定)
前記の評価試料をJIS L−0841の7.2(c)第3露光法に準拠して露光し、JIS L−0842による紫外線カーボンアーク灯光での試験を行い、試験試料をグレースケールにより比較判定した。
(耐塩素堅牢度の測定)
前記の評価試料をJIS L−0884の塩素処理水による試験であるD法に準拠して試験を行い、試験試料をグレースケールにより比較判定した。
参考例1
芯成分としてポリブチレンテレフタレート(長春社製)(PBT)を用い、鞘成分としてポリプロピレン(PP)を用い、芯鞘複合溶融紡糸機の各成分の一軸押出機にそれぞれ芯成分、鞘成分を供給して、押出機温度を260℃として押出し、紡糸ノズル温度260℃、ホール直径0.6mm、ホール数24の芯鞘複合紡糸ノズルより吐出量13.6g/分(芯成分吐出量3.4g/分、鞘成分吐出量10.2g/分)でポリマーを吐出させ、巻取り速度1000m/分で巻取り未延伸糸を得た。この未延伸糸を温度90℃の加熱ローラー、温度120℃の熱板で最終延伸速度400m/分にて2.45倍に延伸し、56dtex/24フィラメントのマルチフィラメントを得た。このマルチフィラメントを得るに当たっての製糸性は良好で、得られたマルチフィラメントの単繊維繊度(dpf)、単繊維の鞘部厚み、染色物色濃度(L値)、堅牢度の測定結果を表1に示した。表1中、堅牢度の○は優れることを意味する。
参考例2
参考例1において、芯鞘複合紡糸ノズルをホール直径0.4mm、ホール数12の芯鞘複合紡糸ノズルに、吐出量を8.8g/分(芯成分吐出量2.2g/分、鞘成分吐出量6.6g/分)に、また巻取り速度を1400m/分に、それぞれ代えた以外は、参考例1と同様にして未延伸糸を得た。この未延伸糸を温度90℃の加熱ローラーで最終延伸速度400m/分にて1.93倍に延伸し、33dtex/12フィラメントのマルチフィラメントを得た。このマルチフィラメントを得るに当たっての製糸性は良好で、得られたマルチフィラメントのdpf、単繊維の鞘部厚み、染色物L値、堅牢度の測定結果を表1に示した。表1中、堅牢度の○は優れることを意味する。
実施例1
芯成分としてポリエチレンテレフタレートに5−ナトリウムスルホイソフタル酸2.3モル%及びアジピン酸9モル%共重合させた固有粘度0.58、融点234℃の変性ポリエチレンテレフタレート(変性PET)を用い、鞘成分として、PPに、PBTにイソフタル酸30モル%共重合させた変性PBTを10質量%、及びカルボン酸エステルと芳香族ビニル化合物がグラフト重合された変性ポリオレフィン系樹脂(三菱化学社製)を5質量%混合した樹脂(PPアロイ)を用い、芯鞘複合溶融紡糸機の各成分の一軸押出機にそれぞれ芯成分、鞘成分を供給して、押出機温度を265℃として押出し、紡糸ノズル温度265℃、ホール直径0.6mm、ホール数30の芯鞘複合紡糸ノズルより吐出量28.0g/分(芯成分吐出量4.8g/分、鞘成分吐出量23.2g/分)でポリマーを吐出させ、巻取り速度900m/分で巻取り未延伸糸を得た。この未延伸糸を温度90℃の加熱ローラーで最終延伸速度400m/分にて2.10倍に延伸し、145dtex/30フィラメントのマルチフィラメントを得た。このマルチフィラメントを得るに当たっての製糸性は良好で、得られたマルチフィラメントのdpf、単繊維の鞘部厚み、染色物L値、堅牢度の測定結果を表1に示した。表1中、堅牢度の○は優れることを意味する。
(比較例1)
芯成分としてポリエチレン(PE)を用い、鞘成分としてPPを用い、芯鞘複合溶融紡糸機の各成分の一軸押出機にそれぞれ芯成分、鞘成分を供給して、押出機温度を220℃として押出し、紡糸ノズル温度220℃、ホール直径0.6mm、ホール数24の芯鞘複合紡糸ノズルより吐出量13.6g/分(芯成分吐出量3.4g/分、鞘成分吐出量10.2g/分)でポリマーを吐出させ、巻取り速度1000m/分で巻取り未延伸糸を得た。この未延伸糸を温度90℃の加熱ローラーで最終延伸速度400m/分にて2.45倍に延伸し、56dtex/24フィラメントのマルチフィラメントを得た。このマルチフィラメントを得るに当たっての製糸性は良好であったが、前記評価試料の作成と同様に、このマルチフィラメントの編地で分散染料による染色を行ったが、編地への汚染程度で着色とは認められなかった。得られたマルチフィラメントのdpf、単繊維の鞘部厚みの測定結果を表1に示した。
(比較例2)
実施例3で得たマルチフィラメントを用い、前記評価試料の作成と同様に、このマルチフィラメントの編地を、アイゼン カチロン マリンブルー GPLH(保土谷化学工業社製、青色カチオン染料)2%(対繊維質量)により、通常のカチオン染料の染色条件で沸騰温度30分の常圧染色を行ったが、編地への着色は認められなかった。
(比較例3)
実施例1において、吐出量を45.8g/分(芯成分吐出量3.4g/分、鞘成分吐出量42.4g/分)に代えた以外は、実施例1と同様にして未延伸糸を得、この未延伸糸から同様に延伸して187dtex/24フィラメントのマルチフィラメントを得た。このマルチフィラメントを得るに当たっての製糸性は良好ではあるが、前記評価試料の作成と同様に、このマルチフィラメントの編地で分散染料による染色を行ったところ、得られた染色物は淡色で満足できる色濃度の染色物ではなかった。得られたマルチフィラメントのdpf、単繊維の鞘部厚み、染色物L値、堅牢度の測定結果を表1に示した。表1中、堅牢度の×は劣ることを意味する。
(比較例4)
芯成分及び鞘成分としてともにPPを用い、芯鞘複合溶融紡糸機の各成分の一軸押出機にそれぞれ同じPPを供給して、押出機温度を220℃として押出し、紡糸ノズル温度220℃、ホール直径0.6mm、ホール数24の芯鞘複合紡糸ノズルより吐出量13.6g/分(芯成分吐出量3.4g/分、鞘成分吐出量10.2g/分)でポリマーを吐出させ、巻取り速度1000m/分で巻取り未延伸糸を得た。この未延伸糸を温度90℃の加熱ローラーで最終延伸速度400m/分にて2.45倍に延伸し、56dtex/24フィラメントのマルチフィラメントを得た。このマルチフィラメントを得るに当たっての製糸性は良好であったが、前記評価試料の作成と同様に、このマルチフィラメントの編地で分散染料による染色を行ったところ、得られた染色物は極淡色で満足できる色濃度の染色物ではなかった。得られたマルチフィラメントのdpf、単繊維の鞘部厚み、染色物L値、堅牢度の測定結果を表1に示した。表1中、堅牢度の×は劣ることを意味する。
本発明のポリプロピレン系繊維は、後加工工程の染色加工で満足すべき濃度、堅牢度の染色物が得られることから、従来の産業用途から衣料用途へと使用可能な範囲を拡大し得るものであり、糸の形態で或いは織編物の形態で衣料用素材として有用かつ広く使用可能なるものである。

Claims (3)

  1. 芯鞘複合構造を有し、以下の要件(1)〜(4)を備えたポリプロピレン系繊維。
    (1)芯部を構成する樹脂が分散染料可染性を示す熱可塑性樹脂
    (2)鞘部を構成する樹脂がポリプロピレン系樹脂であって、ポリプロピレンとポリエステル系樹脂を含み、かつポリプロピレンとポリエステル系樹脂との質量比が99.5/0.5〜90/10の範囲の混合樹脂
    (3)単繊維繊度が1.5〜10dtex
    (4)繊維断面における鞘部の厚みが12μm以下
  2. 分散染料可染性を示す熱可塑性樹脂が、ポリエステル系樹脂である請求項1に記載のポリプロピレン系繊維。
  3. 請求項1または2に記載のポリプロピレン系繊維を含む織編物。
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