JP2009299213A - 2層構造織物および繊維製品 - Google Patents

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孝幸 片岡
Kazuhiro Morishima
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Abstract

【課題】各層が織組織を有する2層構造織物であって、防透性と速乾性とを兼備した2層構造織物および該2層構造織物を用いてなる繊維製品を提供する。
【解決手段】各層が織組織を有する2層構造織物であって、下記式で定義する、各層のカバーファクターCFが互いに異なり、かつ各層の少なくとも一方に、特定の変性シリコーン化合物をポリマー重量に対し2.0〜20.0重量%含有するポリエステルからなる撥水性ポリエステル繊維が含まれる2層構造織物および該2層構造織物を用いてなる繊維製品。
【選択図】なし

Description

本発明は、各層が織組織を有する2層構造織物であって、防透性と速乾性とを兼備した2層構造織物および該2層構造織物を用いてなる繊維製品に関する。
ユニフォーム、白衣、シャツなどの用途では、着用時に肌が透けてみえない防透性と速乾性とが同時に求められている。しかしながら、防透性と速乾性とは、通常相反する特性である。例えば、速乾性を得るために布帛の織編密度を小さくすると、隣りあう糸条間に空隙ができ、この空隙から肌が透けて十分な防透性が得られない。特に、シャツなどの薄地織物は雨や汗で濡れると、下着や肌が余計に透けやすくなるといった問題があった。逆に、防透性を得るために布帛の織物密度を大きくすると、空気の通りが阻害され速乾性が低下してしまう。
このような相反する特性を満足させるために、例えば、特許文献1では、繊維中に艶消し剤を十分に練り込み、該繊維を用いて繊維構造体を構成することが提案されている。かかる方法によれば、繊維自身を透過する光線が艶消し剤によって散乱するため、ある程度防透性は向上する。しかるに、糸条間からの光の通過が避けられないため、やはり織編密度をあげざるを得ず、速乾性が低下してしまうという問題があった。
また、特許文献2では、2層構造を有する織物が提案されているが、該2層構造織物は、織物に吸水性重合体を付着させることにより制電性や吸汗性を向上させることを目的とするものであり、防透性及び速乾性の点で満足とはいえなかった。
また、特許文献3では、各層のカバーファクターCFが互いに異なる2層構造織物が提案されているが、防透性は良好であるが、該2層構造織物では速乾性の点で満足とはいえなかった。
なお、本出願人は、特願2007−149357号において、特定の変性シリコーン化合物を含有するポリエステルからなる撥水性ポリエステル繊維を提案した。
特許第2888504号公報 特開平10−273881号公報 特開2005−082918号公報
本発明は上記の背景に鑑みなされたものであり、その目的は、各層が織組織を有する2層構造織物であって、防透性と速乾性とを兼備した2層構造織物および該2層構造織物を用いてなる繊維製品を提供することにある。
本発明者らは上記の課題を達成するため鋭意検討した結果、2層構造織物において、各層のカバーファクターを互いに異ならせ、かつ少なくとも一層に、特定の変性シリコーン化合物を含有するポリエステルからなる撥水性ポリエステル繊維を配すと、防透性と速乾性とが両立することを見出し、さらに鋭意検討を重ねることにより本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば「各層が織組織を有する2層構造織物であって、下記式で定義する、各層のカバーファクターCFが互いに異なり、かつ少なくとも一層に、下記一般式(1)で示される変性シリコーン化合物をポリマー重量に対し2.0〜20.0重量%含有するポリエステルからなる撥水性ポリエステル繊維が含まれることを特徴とする2層構造織物。」が提供される。
Figure 2009299213
[上記式(1)中、R1、2、は同一もしくは異なっても良く、一部もしくは全部がハロゲン原子で置換されていても良い炭素数18個以下のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基又はアルキルアリール基を表す。R、R、Rは同一もしくは異なっても良い炭素数10個以下のアルキレン基、アリーレン基、アラルキレン基又はアルキルアリーレン基を表す。Rは炭素数10個以下のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基又はアルキルアリール基を表わし、Xはカルボキシル基及び水酸基よりなる群から選ばれた少なくとも1種の基であり、nは1〜100である。]
CF=(DWp/1.1)1/2×MWp+(DWf/1.1)1/2×MWf
ただし、DWpは経糸総繊度(dtex)、MWpは経糸織密度(本/2.54cm)、DWfは緯糸総繊度(dtex)、MWfは緯糸織密度(本/2.54cm)である。
その際、各層のカバーファクターCFのうち、大きい方のカバーファクターCFをCF1とし、小さい方のカバーファクターCFをCF2とするとき、CF1が1000〜2500の範囲内であり、かつCF2が150〜1600の範囲内であることが好ましい。特に、前記CF1とCF2とが下記式を満足することが好ましい。
0.05≦((CF2/(CF1+CF2))≦0.45
本発明の2層構造織物において、高CF側の層の織組織が平組織またはツイル組織であることが好ましい。また、低CF側の層の織組織がギシャ組織であることが好ましい。また、低CF側の層の厚みが0.1〜5mmの範囲内であることが好ましい。また、前記撥水性ポリエステル繊維が仮撚捲縮加工糸であることが好ましい。
また、本発明によれば、前記の2層構造織物を用いてなる、スポーツ衣料、インナー衣料、ファッション衣料、ユニフォーム衣料、繊維資材からなる群より選択されるいずれかの繊維製品が提供される。
本発明によれば、各層が織組織を有する2層構造織物であって、防透性と速乾性とを兼備した2層構造織物および該2層構造織物を用いてなる繊維製品が得られる。
本発明において、撥水性ポリエステル繊維は、撥水剤として前記式(1)の構造を有する変性シリコーン化合物を、ポリエステル組成物重量を基準として、2.0〜20.0重量%含有させたポリエステル組成物からなる。含有量が下限未満では、得られるポリエステル繊維を織物としたときに十分な撥水性が発現されがたく、他方上限を越えると、得られるポリエステル繊維の強度が乏しくなり、糸切れが発生しやすくなる。好ましい変性シリコーン化合物の含有量は、5.0〜15.0重量%、さらに7.0〜12.0重量%の範囲である。なお、本発明における変性エシリコーンが含有されているとは、変性シリコーン化合物がポリエステルに対して化学結合により分子鎖に取り込まれて共重合されている状態と、ポリエステルとは化学結合せずにブレンド状態で存在する状態の両方を意味する。
本発明で使用される変性シリコーン化合物は、前述の式(1)で示されるものであり、上記式(1)中、R1、2、は同一もしくは異なっても良く、一部もしくは全部がハロゲン原子で置換されていても良い炭素数18個以下のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基又はアルキルアリール基を表す。また、R4、、Rは同一若しくは異なっても良い炭素数10個以下のアルキレン基、アリーレン基、アラルキレン基又はアルキルアリーレン基を表す。Rは炭素数10個以下のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基又はアルキルアリール基を表わし、Xはカルボキシル基または水酸基を表し、nは1〜100である。
公知の変性シリコーン化合物には、上記の片末端二反応性官能基変性型構造のほかに、長鎖状に延びているシロキサン構造の両末端にそれぞれ1個のカルボキシル基又はヒドキシル基等のポリエステル原料と反応しうる官能基を有する両末端変性型、同シロキサン構造の片末端に1個の上記の官能基を有する片末端一反応性官能基変性型、側鎖に複数個の官能基を有する側鎖変性型があるが、両末端変性型はポリエステル主鎖に直線上に組み込まれるため、成形した際にポリエステル成形品表面に撥水機能を有する官能基が現れにくいことから、望むべき撥水性を得ることができない。また、片末端一反応性官能基変性型及び側鎖変性型は、重縮合反応に関与する官能基と、変性シリコーン化合物の末端又は側鎖と反応するため、重縮合反応を阻害することがある上、ポリエステルと相溶性が悪く、均一にブレンドすることが困難であるため、製糸時の断糸発生や、毛羽の原因となり好ましくない。さらにブリードアウトしやすいという問題を有しているため好ましくない。
また、上記一般式(1)においてR〜Rが上記のような官能基でない場合には、望むべき撥水性を得ることができなかったり、変性シリコーン化合物がポリエステルと充分に混和しないことがある。また混合できても、当該ポリエステル組成物を紡糸した繊維を染色他加熱加工、洗濯処理をしている間に変性シリコーン化合物がポリエステル組成物からブリードアウトしたりする事があるので好ましくない。これらの官能基の中でもR〜Rは置換されていない炭素数1〜6個のアルキル基であること、R、R、Rは置換されていない炭素数1〜4個のアルキレン基であること、Rは炭素数4個以下のアルキル基であることが好ましい。
該変性シリコーン化合物の数平均分子量は10000以下が好ましく、更に好ましくは300以上8000以下、特に好ましくは500以上6000以下である。数平均分子量が上限より大きい場合は、ポリエステルとの相溶性が悪化し、ポリエステル中に均一にブレンドすることが困難であり、ポリエステル繊維とした場合に断糸、毛羽、ブリードアウトなどの問題を有しており好ましくない。
また、ポリエステル組成物中に含有されている変性シリコーン化合物は、変性シリコーン化合物の重量を基準として、20〜50重量%が、ポリエステルに共重合されていることが好ましい。共重合されている変性シリコーン化合物の量が下限より少ないとポリエステル組成物中でブレンドされている変性シリコーン化合物の分散性が悪化しやすく、他方上限より多い場合は得られるポリエステルの強度などの機械的物性が、同じ含有量対比では低くなりやすい。好ましい共重合されている変性シリコーン化合物の割合は、20〜50重量%の範囲である。
共重合されている変性シリコーン化合物とブレンド状態にある変性シリコーン化合物の量および構造は後述のように、H−NMR測定により区別・特定する事ができる。また上述の片末端二反応性官能基変性型、すなわち変性シリコーン化合物のシロキサン構造の片末端に2つの反応性官能基がある構造であることは、特開2002−48777号公報に記載されているように分子中に3個のイソシアネート基を有するポリイソシアネートとを反応させて得られるポリウレタン樹脂反応物をゲル浸透クロマトグラフィーにて分析することなど確認することができる。
本発明において、撥水性ポリエステル繊維を構成するポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどの芳香族ポリエステルを好ましく挙げることができ、これらのなかでも機械的性質、成形性等のバランスのとれたポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートが好ましい。なお、これらのポリエステルは、本発明の効果を損なわない範囲で、目的に応じて他の成分が共重合されていても良い。例えば、共重合成分としては、イソフタル酸、5−ナトリウムイソフタル酸、アジピン酸、トリメリット酸、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールまたはペンタエリスリトールなどを挙げることができる。また、トリメリット酸、トリメシン酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、トリメリット酸モノカリウム塩などの多価カルボン酸、グリセリン、ジメチロールエチルスルホン酸ナトリウム、ジメチロールプロピオン酸カリウムなどの多価ヒドロキシ化合物、p−ヒドロキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸などを共重合してもよい。
本発明におけるポリエステルの製造方法としては、公知の任意の方法で合成すればよい。例えば、ジカルボン酸成分がテレフタル酸の場合、テレフタル酸とアルキレングリコールとを直接エステル化反応させる方法、テレフタル酸ジメチルのようなテレフタル酸の低級アルキルエステルとアルキレングリコールとをエステル交換反応させる方法、またはテレフタル酸とアルキレンオキサイドを反応させる方法によってテレフタル酸のグリコールエステルを生成させる第一段の反応を行い、引続いて重合触媒の存在下に減圧加熱して所望の重合度になるまで重縮合させる第二段の反応によって製造できる。なお、上述の変性シリコーン化合物の添加時期は、前述のような共重合の割合を満足させる観点から、このポリエステルの重縮合反応の前から重縮合反応の終了以前に行なうのが好ましく、複数回に分けて添加しても良い。そして、この添加時期や添加量によって上記共重合している変性成シリコーン化合物の割合を調整することができる。
なお、第一段階の反応がエステル交換反応の場合、反応温度は180〜230℃であり、反応圧力は常圧〜0.3MPaの範囲が好ましく、また第二段階の反応(重縮合反応)時の反応温度は200〜260℃、反応圧力は60〜0.1kPaの範囲であることが好ましい。このようなエステル交換反応および重縮合反応は一段で行っても、複数段階に分けて行っても良い。
これらの反応段階で用いるエステル交換触媒としては、ナトリウム等のアルカリ金属塩、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属塩、チタン、亜鉛またはマンガン等の金属化合物を使用するのが好ましい。重縮合触媒としては、ゲルマニウム化合物、アンチモン化合物、チタン化合物、コバルト化合物またはスズ化合物を使用するのが好ましい。触媒の使用量は、エステル交換反応、重縮合反応を進行させるために必要な量であるならば、特に限定されるものではなく、また複数の触媒を併用することも可能である。また第一段階の反応が直接エステル化反応の場合、触媒を用いなくでも直接エステル化反応を進行することもできるが、必要に応じて上記の触媒を用いても良い。
また、第一段階の反応の途中、第二段階の反応の途中若しくは反応終了後のいずれかにおいて安定剤を添加することも好ましい。その安定剤としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート等のリン酸エステル類、トリフェニルホスファイト等の亜リン酸エステル類、メチルアシッドホスフェート、ジブチルホスフェート、モノブチルホスフェート等の酸性リン酸エステル、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、若しくはポリリン酸等のリン化合物、ヒンダートフェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤が好ましい。
重縮合段階においては溶融粘度のモニターすること等の手法により目的とするポリエステルの重合度(分子量、固有粘度)であることを確認できるまで、上記の条件にて重縮合反応を行う。そして目的とする分子量に到達したことを確認した後、重縮合反応を終了し、反応槽から吐出し冷却後チップ状にカットすることによりポリエステルを得ることができる。そのチップを乾燥後、後述のポリエステル繊維等の製造に用いる事ができる。また一旦チップ状に成形することなく、重縮合反応終了後のポリエステルからそのままポリエステル繊維を製造しても良い。
ところで、本発明のポリエステル繊維は、繊維とした状態での固有粘度(溶媒:1,1,2,2−テトラクロルエタン40重量%とフェノール60重量%の混合溶媒)が0.61以上であることが必要である。好ましい固有粘度の下限は0.63dl/g以上である。他方、固有粘度の上限は特に制限はされないが、紡糸安定性などの点から0.80dl/g以下であることが好ましく、さらに固相重合などの追加の固有粘度を高くする工程を省略または時間を短縮できることから0.70dl/g以下であることが好ましい。そして、本発明の特徴の一つは、固有粘度を下限以上にすることで、前述の変性シリコーン化合物を含有させたことによる強度などの機械的物性の低下を抑制でき、実用に十分な、すなわち製造工程や使用時の糸切れなどを防ぐのに十分な強度などを得られる繊維に具備させたことにある。このような繊維とした状態での固有粘度を満足させるには、一つには繊維状に押出す際の溶融押出機での温度をなるべく低くし、かつそこでの滞留時間を短くして、ポリマーの固有粘度の低下を小さくすることが挙げられるが、そのような条件を採用したとしても0.2〜0.3dl/gの固有粘度の低下は避けられないことから、さらに使用するポリマーの固有粘度を繊維とした状態での固有粘度よりも0.3dl/g以上高いものとすることが好ましい。
本発明に係る撥水性ポリエステル繊維は、それ自体公知の方法で製造することができる。例えば、紡糸方法も特に限定はなく、例えば前述のようにして得られたポリエステル組成物を溶融状態で繊維状に押出し、それを500〜3500m/分の速度で溶融紡糸し、延伸、熱処理する方法、1000〜5000m/分の速度で溶融紡糸し、延伸、仮撚加工を同時に又は続いて行う方法、5000m/分以上の高速で溶融紡糸し、用途によっては延伸工程を省略する方法などが好ましく挙げられる。また、そのようにして得られる繊維を所望の長さに切断して短繊維としても良いし、さらにスパンボンドやメルトブロー紡糸といった方法も好ましく採用できる。繊維の断面形状は特に限定されるものではなく、円形断面のほか、楕円形断面、三角断面、星型断面であってもよい。また、本発明における撥水性ポリエステル繊維は、前述の変性シリコーン化合物を含有するポリエステル組成物だけを用いて紡糸した繊維に限られず、該変性シリコーン化合物を含有するポリエステル組成物が得られる繊維の表面配置するように、例えば該変性シリコーン化合物を含有するポリエステル組成物が鞘に、該変性シリコーン化合物を含有しないか鞘のポリエステル組成物よりも含有量が少ないポリエステル組成物を芯に配置した芯鞘構造の複合繊維であってもよいし、芯が多数ある海島型の複合繊維であってもよい。このような複合繊維化は、繊維の機械的物性をさらに保持しやすいことから好ましい。
前記撥水性ポリエステル繊維は、前述のとおり、変性シリコーン化合物を含有することにより優れた撥水性を有する。ここで、織物とした際に、十分な撥水性を発現させる観点からは、ポリエステル繊維の表面の水との接触角は110°以上、さらに好ましくは115°以上であることが好ましい。このような高い接触角をポリエステル繊維自体に具備させることで、織物にしたときに優れた撥水性を発現させることができる。
また、前記撥水性ポリエステル繊維は、撥水性とその後の加工工程などの取扱い性の観点から、単糸繊度は0.5〜5.0dtexの範囲、さらには1.0〜3.0dtexの範囲にあることが好ましい。また、長繊維として用いる場合は、同様な理由から繊維束としての総繊度(単子繊度×単糸数)が10〜200dtex、さらには50〜100dtexの範囲にあることが好ましい。また、前記撥水性ポリエステル繊維は仮撚捲縮加工糸であることが好ましい。
前記撥水性ポリエステル繊維は、変性シリコーン化合物を含有することにより優れた撥水性を有する。特に織物とした際に、十分な撥水性を発現させる観点からは、ポリエステル繊維の表面の水との接触角は110°以上、さらに好ましくは115°以上であることが好ましい。このような高い接触角をポリエステル繊維自体に具備させることで、織物にしたときにべとつき感を低減させることができる。
本発明の2層構造織物は各層が織組織を有する2層構造織物であって、下記式で定義する、各層のカバーファクターCFが互いに異なり、かつ少なくとも一層に、前記撥水性ポリエステル繊維が含まれる2層構造織物である。
CF=(DWp/1.1)1/2×MWp+(DWf/1.1)1/2×MWf
ただし、DWpは経糸総繊度(dtex)、MWpは経糸織密度(本/2.54cm)、DWfは緯糸総繊度(dtex)、MWfは緯糸織密度(本/2.54cm)である。
ここで、前記の撥水性ポリエステル繊維が含まれる層において、当該層の重量対比30重量%以上(より好ましくは40重量%以上)含まれることが好ましい。
また、前記の撥水性ポリエステル繊維は表裏の両層に含まれていてもよいが、表裏のどちらか一方にのみ配されていることが好ましい。特に前記の撥水性ポリエステル繊維が低CF側の層にのみ配されていることが好ましい。撥水性ポリエステル繊維を含む、低CF側の層が肌側に、撥水性ポリエステル繊維を含まない、高CF側の層が外気側に位置するように織編物を衣料などの繊維製品として使用すると、防透性だけでなく、肌側面で吸った汗が速やかに外気側に移行するためべとつき感が低減し好ましい。
また、織物に他の繊維が含まれる場合、かかる他の繊維の種類としては、変性シリコーン化合物を含有しないこと以外は前記撥水性ポリエステル繊維と同様のポリエステル繊維であることが好ましい。
また、高CF側の層のカバーファクターCF1が1000〜2500(好ましくは、1500〜2300)の範囲であり、一方、低CF側の層のカバーファクターCF2が150〜1600(好ましくは、200〜800)の範囲であることが好ましい。特に、該CF1とCF2とが下記式を満足するとより好ましい。
0.05≦((CF2/(CF1+CF2))≦0.45
(より好ましくは、0.08≦((CF2/(CF1+CF2))≦0.4)
(特に好ましくは、0.1≦((CF2/(CF1+CF2))≦0.3)
ここで、高CF側の層のカバーファクターCF1が1000よりも小さいと、織物を構成する糸条間で空隙ができやすく防透性が低下するためおそれがある。逆に、高CF側の層のカバーファクターCF1が2500よりも大きいと速乾性が低下するおそれがある。一方、低CF側の層のカバーファクターCF2が1600よりも大きいと、高CF側の層のカバーファクターCF1との差が小さくなり、前記のスペーサー効果が得られにくく十分な防透性が得られないおそれがある。低CF側の層のカバーファクターCF2が150よりも小さいと、低CF側の層で形成される空気層が保持されにくく、十分なスペーサー効果が得られにくくなるおそれがある。また、CF2/(CF1+CF2)が0.45より大であれば、スペーサー効果が得られず十分な防透性が得られないおそれがある。逆に、CF2/(CF1+CF2)が0.05よりも小さいと製造が困難となるおそれがある。
各層の織物組織としては特に限定されないが、高CF側の層の織組織としては、平組織、ツイル組織など組織点の多い織組織が、織構造が安定であり防透性の点で好適である。一方、低CF側の層は、表面層と肌との距離を一定以上に保つスペーサーの役割を果たす層であるため、ギシャ組織(緯糸1本ごとに、隣接の経糸でからみ織りしたもの)が、容易に厚みを持たせることができ好適である。該低CF側の層の厚みとしては、0.1〜5mm(特に好ましくは0.5〜2.0mm)の範囲内であることが好ましい。
前記の高CF側の層と低CF側の層とは、高CF側の層を構成するおよび/または低CF側の層を構成する糸条により一部連結されている。ここで、高CF側の層と低CF側の層とが接着剤などで接着されたもものでは、十分な速乾性が得られず好ましくない。
本発明の2層構造織物は、少なくとも前記撥水性ポリエステル繊維を用いて、1ビームまたは2ビームを有する通常の織機を用いて、各層を構成する糸条が一部互いに交錯するよう連結させて2層構造織物を製織し、その際、各層のカバーファクターCFを異ならせることにより容易に製造することができる。
かくして得られた2層構造織物を、低CF側の層が内側(肌側)に位置するように使用すると、外部から高CF側の層を透過して入光した光は肌で反射された後、低CF側の層のスペーサー効果により、肌と高CF側の層との間(すなわち、低CF側の層)に閉じ込められ優れた防透性が得られる。かかる防透性としては、JIS Z 8729−1994、L表色系において、供試織物を白色板上に載置したときのL値(L と記す)と、それと黒色板上に載置したときのL値(L と記す)との差ΔL(=L −L )で12以下(より好ましくは5〜11)であることが好ましい。
また、かかる2層構造織物には前記の速乾性ポリエステル繊維が含まれるので優れた速乾性を呈する。かかる速乾性としては、下記で測定する乾燥速度が30分以内であることが好ましい。すなわち、温度20℃、湿度65%RHに調整した室内において、10cm角に裁断した試料に蒸留水を1cc滴下後、生地重量を経時的に計測し滴下した水分が0.1cc以下になるよう乾くまでの時間により乾燥速度を評価する。
かかる2層構造織物には、アルカリ減量加工や常法の染色仕上げ加工が施されてもよい。さらには、常法の吸水加工、撥水加工、起毛加工、紫外線遮蔽あるいは制電剤、抗菌剤、消臭剤、防虫剤、蓄光剤、再帰反射剤、マイナスイオン発生剤等の機能を付与する各種加工を付加適用してもよい。
次に、本発明の繊維製品は2層構造織物を用いてなる、スポーツ衣料、インナー衣料、ファッション衣料、ユニフォーム衣料、繊維資材からなる群より選択されるいずれかの繊維製品である。かかる繊維製品は、前記の2層構造織物を用いて、低CF側の層が内側に位置するように縫製されたものである。かかる繊維製品において、低CF側の層を内側(肌側)に配することにより、優れた防透性と速乾性が発揮される。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(1)固有粘度:
1,1,2,2−テトラクロルエタン40重量%とフェノール60重量%の混合溶媒中に試料を溶解して定法に従って35℃にて測定した。
(2)強度・伸度
20℃、65%RHの雰囲気下で引張試験機により、試料長20cm、速度20cm/分の条件で破断時の強度および伸度を測定した。測定数は10とし、その平均をそれぞれの強度および伸度とした。
(3)接触角:
後述の(6)撥水性の試験において、アルカリ減量する前の試験片から単糸を採取し、協和界面科学(株)社製 自動微小接触角測定装置「MCA−2」を使用し、蒸留水500ピコリットルを使用して単糸表面の接触角を測定した。接触角が大きいほど、撥水性に優れると判断した。
(4)含有シリコーン化合物量:
H−NMR法にてポリエステル組成物中に含有している変性シリコーン量を定量した。更にポリエステル試料を適切な溶媒に溶解させて貧溶媒を加えて再沈殿操作を行い、濾過により得られた固形物についてもH−NMR測定を行った。後者の再沈殿操作後の測定結果の値からポリエステル中に共重合している変性シリコーン化合物の量を定量し、前者の再沈殿前の測定結果の値と、後者の測定結果の値との差からブレンドしているシリコーン化合物量を定量した。また変性シリコーン化合物の化学構造においてはブレンドしている成分については再沈殿操作の溶媒中の成分を回収成分を、共重合されている成分については再沈殿後のポリエステルを加水分解後の残渣成分を測定することにより行うことができる。
(5)紡糸性:
紡糸工程における紡糸性について、以下の4段階評価で表した。
◎:毛羽発生・糸切れが無く、非常に良好。
○:やや毛羽の発生があるものの糸切れが無く良好。
△:やや毛羽の発生があり、糸切れが発生(1〜2回/hr)
×:毛羽が発生・糸切れが多発(3回/hr以上)
これらの評価の中で○以上が実用的に使用可能な評価結果である。
(6)撥水性:
各実施例および比較例で得られたポリエステル繊維を経糸及び緯糸に使用して、平織物を製織し、この布帛を常法により精錬、乾燥したのち、180℃でヒートセットした。また、その一部を常法により減量率が30重量%となるようにアルカリ減量した。このようにして得られたアルカリ減量後の布帛を、JIS−L−1092(スプレー法)(1992)により測定した。その測定後の布帛の状態から該JIS規格に記載の以下の基準で0〜100点の点数で評価を行った。
100点:表面に湿潤や水滴の付着が無いもの。
90点:表面に湿潤しないが、小さな水滴の付着を示すもの。
80点:表面に小さな個々の水滴状の湿潤を示すもの。
70点:表面の半分以上に湿潤を示し、小さな個々の湿潤が布を浸透する状態を示すも
の。
50点:表面全体に湿潤を示すもの。
0点:表面及び裏面が全体に湿潤を示すもの。
(7)通気性
JIS L 1096−1998、6.27.1、A法(フラジール形通気性試験機法)により通気性(cc/cm2・s)を測定した。
(8)防透性
JIS Z 8729−1994、L*a*b*表色系において、供試織物を白色板上に載置したときのL*値(L*wと記す)と、それと黒色板上に載置したときのL*値(L*bと記す)との差ΔL(=L*w−L*b)を求め、このΔLをもって、供試織物の防透性を表した。ΔLの値が小さいほど防透性が良好である。
(9)乾燥速度
温度20℃、湿度65%RHに調整した室内において、10cm角に裁断した試料に蒸留水を1cc滴下後、生地重量を経時的に計測し滴下した水分が0.1cc以下になるよう乾くまでの時間により乾燥速度を評価した。
(10)各層のカバーファクターCF
各層のカバーファクターCFを下記式により算出した。
CF=(DWp/1.1)1/2×MWp+(DWf/1.1)1/2×MWf
ただし、DWpは経糸総繊度(dtex)、MWpは経糸織密度(本/2.54cm)、DWfは緯糸総繊度(dtex)、MWfは緯糸織密度(本/2.54cm)である。
[参考例1]
テレフタル酸ジメチル100重量部、エチレングリコール60重量部、変性シリコーン化合物(一般式(1)で示され、Xが水酸基、R乃至Rがメチル基、Rがトリメチレン基、R及びRがメチレン基、Rがエチル基、n=9である化合物:チッソ株式会社製、商品名:FM−DA11、平均分子量:1000)2重量部、酢酸マンガン4水塩0.031部を反応器に仕込み、窒素ガス雰囲気下で3時間かけて140℃から240℃まで昇温して、生成するメタノールを系外に留出しながらエステル交換反応を行った。エステル交換反応を終了させた後、安定剤としてリン酸0.024部及び重縮合反応触媒として三酸化アンチモン0.04部を添加した後、285℃まで昇温して、減圧下で重縮合反応を実施してポリエステル組成物を得た。このポリエステル組成物の固有粘度を測定した所、0.654dl/gであった。また、該ポリエステル組成物中の含有変性シリコーン化合物量は2重量%であった。 該ポリエステル組成物を乾燥させた後、一軸押出機にて285℃で溶融し、孔径0.3mmφのランド長0.6mmの丸孔押出ノズルホールを24個を有する紡糸口金から紡糸押出し温度290℃でトータル吐出量24g/分の条件で吐出させ、1000m/分の速度で引き取り、未延伸糸を得た。この得られた未延伸糸を80℃で3.3倍に延伸し、180℃で熱処理を施し、77.6dtex/24フィラメントのポリエステル繊維を得た。
得られたポリエステル組成物、ポリエステル繊維および布帛の特性を表1に示す。
[参考例2および3、参考例8および9]
変性シリコーン化合物の含有量を表1に記載の量となるように変性シリコーン化合物(FM−DA11)の添加量を調整したこと以外は、実施例1と同様な操作を繰り返した。
得られたポリエステル組成物、ポリエステル繊維および布帛の特性を表1に示す。
[参考例10]
参考例1において、変性シリコーン化合物を分子鎖の末端に1官能のカルボン酸基を有
する変性シリコーン化合物(信越化学株式会社製、商品名:X22−3710)に変更し
、その含有量が10重量%になるように添加量を変更した以外は、参考例1と同様な操作
を繰り返した。
得られたポリエステル組成物、ポリエステル繊維および布帛の特性を表1に示す。
[参考例11]
参考例1において、変性シリコーン化合物を分子鎖の分子の両末端に2官能のカルボン酸有する変性シリコーン化合物(信越化学株式会社製、商品名:X22−162C)に変更し、その含有量が10重量%になるように添加量を変更した以外は、参考例1と同様な操作を繰り返した。
[参考例4および5]
参考例2において、ポリマーの固有粘度を0.672dl/gおよび0.615dl/gとした以外は、実施例2と同様な操作を繰り返した。
[参考例6]
参考例2において、変性シリコーンの平均分子量を5000の変性シリコーン化合物チッソ株式会社製、商品名:FM−DA21(一般式(1)で示され、Xが水酸基、R乃至Rがメチル基、Rがトリメチレン基、R及びRがメチレン基、Rがエチル基、n=約63である化合物:チッソ(株)社製、平均分子量5,000))とした以外は、参考例2と同様な操作を繰り返した。
[参考例7]
参考例2において、変性シリコーン化合物の添加量を5重量部とした以外は、参考例2と同様な操作を繰り返した。
[参考例12]
参考例2において、ポリマーの固有粘度を0.602dl/gとした以外は、参考例2と同様な操作を繰り返した。
[参考例13]
テレフタル酸ジメチル100重量部、エチレングリコール60重量部、酢酸マンガン4水塩0.031部を反応器に仕込み、窒素ガス雰囲気下で3時間かけて140℃から240℃まで昇温して、生成するメタノールを系外に留出しながらエステル交換反応を行った。エステル交換反応を終了させた後、安定剤としてリン酸0.024部及び重縮合反応触媒として三酸化アンチモン0.04部を添加した後、285℃まで昇温して、減圧下で重縮合反応を実施してポリエステル組成物を得た。このポリエステル組成物の固有粘度を測定した所、0.641dl/gであった。該ポリエステル組成物を乾燥させた後、一軸押出機にて285℃で溶融し、孔径0.3mmφのランド長0.6mmの丸孔押出ノズルホールを24個を有する紡糸口金から紡糸押出し温度290℃でトータル吐出量24g/分の条件で吐出させ、1000m/分の速度で引き取り、未延伸糸を得た。この得られた未延伸糸を80℃で3.3倍に延伸し、180℃で熱処理を施し、81.1dtex/24フィラメントのポリエステル繊維を得た。
[参考例14]
参考例13において、ポリマーの固有粘度を0.605dl/gとした以外は、参考例13と同様の操作を繰り返した。
Figure 2009299213
[実施例1]
テレフタル酸ジメチル100重量部、エチレングリコール60重量部、エステル反応性シリコーン化合物(一般式(1)で示され、Xが水酸基、R乃至Rがメチル基、Rがトリメチレン基、R及びRがメチレン基、Rがエチル基、n=9である化合物:チッソ株式会社製、商品名:FM−DA11、平均分子量:1000)10重量部、酢酸マンガン4水塩0.031重量部を反応器に仕込み、窒素ガス雰囲気下で3時間かけて140℃から240℃まで昇温し、精製するメタノールを系外に除去しながらエステル交換反応を行った。エステル交換反応を終了させた後、安定剤としてリン酸0.024重量部および重縮合反応触媒として三酸化アンチモン0.04重量部を添加した後、285℃まで昇温して、減圧下で重縮合反応させ、シリコーン含有ポリエステルを得た。得られたポリエステルの固有粘度は0.65であった(35℃、オルソクロロフェノール中)。
このポリエステルを、水分率70ppm以下となるまで乾燥した後、溶融温度300℃で押出機にて溶融し、36孔の円形の吐出孔を有する口金を用い、紡糸速度1000m/分にて引き取った後、一旦巻き取ることなく、予熱温度90℃、熱セット温度120℃、延伸倍率3.7倍で延伸し、3700m/分の速度で巻き取り、延伸糸を得た。得られた撥水性ポリエステル繊維は、繊度84dtexであった。この撥水性ポリエステル繊維に仮撚り加工を行い捲縮加工糸とした。
ついで、通常のレピア織機(1ビーム)を使用し、前記撥水性ポリエステル繊維捲縮加工糸と、艶消し剤として公知の酸化チタンが2.5重量%添加された、通常のポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント仮撚捲縮加工糸(無撚)84dtex/36filを用い、図1に示す織物組織図に従って、経糸として、前記撥水性ポリエステル繊維捲縮加工糸を左から4本目、6本目、8本目、12本目、14本目、16本目に配し、前記通常のポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント仮撚捲縮加工糸を左から1本目、2本目、3本目、5本目、7本目、9本目、10本目、11本目、13本目、15本目に配し、緯糸として、前記撥水性ポリエステル繊維捲縮加工糸を上から4本目、6本目、8本目、12本目、14本目、16本目に配し、前記通常のポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント仮撚捲縮加工糸を上から1本目、2本目、3本目、5本目、7本目、9本目、10本目、11本目、13本目、15本目に配し、高CF側の層の織組織が平組織、低CF側の層の織組織がギシャ組織で、かつ高CF側の層のカバーファクターCF1が染色仕上げ加工後に2000、低CF側の層のカバーファクターCF2が染色仕上げ加工後に500となるように完全2重組織織物を製織した。
次いで、通常の染色仕上げ加工を施し、CF1が2000、CF2が500(((CF2/(CF1+CF2))=0.2)、低CF側の層の厚みが1mmの2層構造織物を得た。かかる織物において、高CF側の層(平組織の層)は経および緯に、前記通常のポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント仮撚捲縮加工糸が配され、低CF側の層(ギシャ組織の層)は経および緯に、前記撥水性ポリエステル繊維捲縮加工糸が配されていた。
かかる2層構造織物の通気性と防透性を評価したところ、通気性が92cc/cm・s、防透性ΔLが10と、満足な防透性と通気性を持ち、且つ乾燥速度が24分と速乾性に優れるものであった。
次いで、該2層構造織物を用い、低CF側の層が肌側となるようTシャツを縫製した後着用したところ、満足な防透性と通気性を有し、また、汗をかいてもすぐに乾燥して快適であった。
[実施例2]
実施例1において織物の密度のみを変更することにより、高CF側の層のカバーファクターCF1が染色仕上げ加工後に2200、低CF側の層のカバーファクターCF2が染色仕上げ加工後に170となるように製織し、通常の染色仕上げ加工を施し、CF1が2500、CF2が170(((CF2/(CF1+CF2))=0.07)とした以外は実施例1と同様に行った。
この結果、低CF側の厚さ0.3mmの2層構造織物となり、通気性は63cc/cm・s、防透性ΔLが10と、満足な防透性と通気性を持ち、且つ乾燥速度が20分と速乾性に優れるものであった。
[比較例1]
実施例1において、実施例1で用いた撥水性ポリエステル繊維捲縮加工糸の代わりに、実施例1で用いた酸化チタンが2.5重量%添加された、通常のポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント仮撚捲縮加工糸(無撚)84dtex/36filを用いること以外は、実施例1と同様にして製織、染色仕上げ加工し、CF1が2000、CF2が500(((CF2/(CF1+CF2))=0.2)、低CF側の層の厚みが1mmの2層構造織物を得た。かかる2層構造織物の通気性と防透性を評価したところ、通気性が88cc/cm・s、防透性ΔLが10と、満足な防透性と通気性を持つが、乾燥速度が32分と速乾性が不十分なものであった。
本発明によれば、各層が織組織を有する2層構造織物であって、防透性と速乾性とを兼備した2層構造織物および該2層構造織物を用いてなる繊維製品が提供され、その工業的価値は極めて大である。
実施例1で用いた織物組織図である。

Claims (8)

  1. 各層が織組織を有する2層構造織物であって、下記式で定義する、各層のカバーファクターCFが互いに異なり、かつ少なくとも一層に、下記一般式(1)で示される変性シリコーン化合物をポリマー重量に対し2.0〜20.0重量%含有するポリエステルからなる撥水性ポリエステル繊維が含まれることを特徴とする2層構造織物。
    Figure 2009299213
    [上記式(1)中、R1、2、は同一もしくは異なっても良く、一部もしくは全部がハロゲン原子で置換されていても良い炭素数18個以下のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基又はアルキルアリール基を表す。R、R、Rは同一もしくは異なっても良い炭素数10個以下のアルキレン基、アリーレン基、アラルキレン基又はアルキルアリーレン基を表す。Rは炭素数10個以下のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基又はアルキルアリール基を表わし、Xはカルボキシル基及び水酸基よりなる群から選ばれた少なくとも1種の基であり、nは1〜100である。]
    CF=(DWp/1.1)1/2×MWp+(DWf/1.1)1/2×MWf
    ただし、DWpは経糸総繊度(dtex)、MWpは経糸織密度(本/2.54cm)、DWfは緯糸総繊度(dtex)、MWfは緯糸織密度(本/2.54cm)である。
  2. 各層のカバーファクターCFのうち、大きい方のカバーファクターCFをCF1とし、小さい方のカバーファクターCFをCF2とするとき、CF1が1000〜2500の範囲内であり、かつCF2が150〜1600の範囲内である、請求項1に記載の2層構造織物。
  3. 前記CF1とCF2とが下記式を満足する、請求項2に記載の2層構造織物。
    0.05≦((CF2/(CF1+CF2))≦0.45
  4. 高CF側の層の織組織が平組織またはツイル組織である、請求項1〜3のいずれかに記載の2層構造織物。
  5. 低CF側の層の織組織がギシャ組織である、請求項1〜4のいずれかに記載の2層構造織物。
  6. 低CF側の層の厚みが0.1〜5mmの範囲内である、請求項1〜5のいずれかに記載の2層構造織物。
  7. 前記撥水性ポリエステル繊維が仮撚捲縮加工糸である、請求項1〜6のいずれかに記載の2層構造織物。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の2層構造織物を用いてなる、スポーツ衣料、インナー衣料、ファッション衣料、ユニフォーム衣料、繊維資材からなる群より選択されるいずれかの繊維製品。
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JP2020180390A (ja) * 2019-04-24 2020-11-05 帝人フロンティア株式会社 織物および繊維製品

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