JP4492235B2 - サーミスタ組成物及びサーミスタ素子 - Google Patents

サーミスタ組成物及びサーミスタ素子 Download PDF

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本発明は、サーミスタ組成物及びサーミスタ素子に関する。
NTCサーミスタ(以下、「サーミスタ素子」と略す)は、温度の上昇とともに抵抗が低くなる特性を有する素子であり、電子機器等に搭載されて温度検知や温度補償等の用途に用いられている。サーミスタ素子としては、これらの用途における正確な動作を可能とするため、抵抗値の経時変化、特に高温高湿といった厳しい条件に晒された場合における抵抗値の経時変化が小さいものが求められている。このような特性は、高温高湿条件に置かれる前後の抵抗値の変化(以下、「抵抗変化率」という)によって表すことができる。
高温高湿下での抵抗変化率が小さいサーミスタ素子用の材料としては、マンガン、コバルト及び銅の酸化物を主成分とし、添加物として鉄及びクロムの酸化物を含むもの(特許文献1参照)、ジルコニウムの酸化物を含むもの(特許文献2参照)、ニッケル及びクロムの酸化物を含むもの(特許文献3参照)等が開示されている。
特開平3−271153号公報 特開平3−271154号公報 特開平6−231905号公報
上記従来技術のサーミスタ組成物は、高温高湿下における抵抗変化率が十分に小さいものであった。ところが、近年、サーミスタ素子は、多様な電子機器に搭載されるなど、その使用範囲が拡大していることから、今まで以上に正確に動作可能であることが求められる傾向にある。このような状況下、サーミスタ素子としては、従来にも増して高温高湿下での抵抗変化率が小さいものが要求されている。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、高温高湿下における抵抗変化率が小さいサーミスタ組成物、及び、これを用いたサーミスタ素子を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明のサーミスタ組成物は、マンガン酸化物、コバルト酸化物、アルミニウム酸化物、鉄酸化物及びジルコニウム酸化物を含み、マンガン酸化物及びコバルト酸化物は、これらの金属元素だけの比率が、合計100モル%中、マンガン30〜70モル%及びコバルト30〜70モル%である関係を満たしており、マンガン酸化物及びコバルト酸化物の合計100質量部に対する、アルミニウム酸化物、鉄酸化物及びジルコニウム酸化物の含有量は、これらをAl、Fe及びZrOに換算したとき、それぞれ0.01〜30質量部、0.1〜50質量部及び0.01〜10質量部であることを特徴とする。
上記構成を有するサーミスタ組成物は、マンガン、コバルト、アルミニウム、鉄及びジルコニウムの酸化物を特定の割合で含有するものである。このようなサーミスタ組成物は、高温高湿条件に晒された場合であっても、抵抗値の変化が極めて小さいものとなる。よって、かかるサーミスタ組成物を備えるサーミスタ素子は、高温高湿の厳しい条件下で用いられる電子機器等に搭載された場合であっても正確に動作することができる。
ところで、サーミスタ素子に求められる特性としては、上述した抵抗変化率が小さいことのほか、B定数の値を広範囲に調整可能であることが挙げられる。ここで、B定数とは、温度変化に対する抵抗値の変化の程度を表す値であり、このB定数の好適な値はサーミスタ素子の用途に応じて異なっている。そして、上述の如く、近年においてはサーミスタ素子の使用範囲が広がっているため、サーミスタ素子としては、このB定数の値を従来以上に広範囲でとり得るものが求められている。特に、例えば−40〜25℃といった低い温度域において広いB定数の値をとり得るサーミスタ素子は、幅広い用途に適用可能であることから切望されている。
これに関し、上記組成を有する本発明のサーミスタ組成物は、特に−40〜25℃の低温域において広範なB定数の値をとり得るものである。よって、このようなサーミスタ組成物によれば、当該組成物中の各成分の配合量を適宜調整することにより、高温高湿下における抵抗変化率に優れるばかりでなく、多様な要求特性に対応し得るサーミスタ素子を提供することが可能となる。
本発明のサーミスタ組成物は、上記組成に加えてニッケル酸化物を更に含有していると好ましい。この場合、上記マンガン酸化物及び前記コバルト酸化物の合計100質量部に対するニッケル酸化物の含有量は、NiOに換算して0.01〜100質量部であるとより好ましい。このように上記組成に加えて更にNi酸化物を含有させると、より詳細にB定数の値を調整することが可能となり、広範な用途に適したサーミスタ組成物を得ることが更に容易となる。
また、本発明によるサーミスタ素子は、互いに対向する一対の電極と、この一対の電極間に設けられたサーミスタ組成物から構成されるサーミスタ層とを備えるサーミスタ素子であって、サーミスタ組成物は、マンガン酸化物、コバルト酸化物、アルミニウム酸化物、鉄酸化物及びジルコニウム酸化物を含み、マンガン酸化物及びコバルト酸化物は、これらの金属元素だけの比率が、合計100モル%中、マンガン30〜70モル%及びコバルト30〜70モル%である関係を満たしており、マンガン酸化物及びコバルト酸化物の合計100質量部に対する、アルミニウム酸化物、鉄酸化物及びジルコニウム酸化物の含有量は、これらをAl、Fe及びZrOに換算したとき、それぞれ0.01〜30質量部、0.1〜50質量部及び0.01〜10質量部であることを特徴とする。
かかるサーミスタ素子においても、サーミスタ組成物が、ニッケル酸化物を更に含有していると好ましく、しかも、ニッケル酸化物の含有量は上記マンガン酸化物及び上記コバルト酸化物の合計100質量部に対して、NiOに換算して0.01〜30質量部であるとより好ましい。
このように、本発明のサーミスタ素子は、上記本発明のサーミスタ組成物から構成されるサーミスタ層を有している。このため、高温高湿下であっても抵抗変化率が小さく、しかも、広範なB定数の値をとり得るという特性を有するものとなる。よって、かかるサーミスタ素子は、高温高湿等の厳しい条件下であっても正確に動作することが可能であり、しかも、様々な電子機器に対して広く適用することができる。
本発明によれば、高温高湿下における抵抗変化率が小さく、しかもB定数の値を広範囲に調整可能なサーミスタ組成物を提供することが可能となる。また、本発明によれば、このようなサーミスタ組成物を備えており、高温高湿等の厳しい条件下であっても正確に動作することができ、種々の電子機器に対して好適に用いることができるサーミスタ素子を提供することが可能となる。
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、実施形態のサーミスタ素子の断面構造を模式的に示す図である。サーミスタ10は、複数積層されたサーミスタ層14と、各サーミスタ層14を挟むように設けられた内部電極12a,12b,12cとを有するサーミスタ素体11、及び、このサーミスタ素体11の対向する端面に設けられた外部端子20を備えている。外部端子20は、サーミスタ素体11側から順に、外部電極22、Niめっき層24及びSnめっき層26を備える3層構造を有している。
サーミスタ10において、一方の外部電極22に3層の内部電極12aが接続されており、また、他方の外部電極22に3層の内部電極12bが接続されている。内部電極12aと内部電極12bとは、これらの各層が、積層方向においてそれぞれ同じ位置(高さ)となるように配置されている。また、3層のうち積層方向において中央に位置する内部電極12a,12bの長さは、その両側に位置する内部電極12a,12bの長さよりも短くされている。
さらに、3層の内部電極12a,12bのうち中央の内部電極12a,12bの間には、積層方向においてこれらと同じ高さとなる位置に内部電極12cが設けられている。この内部電極12cは、その端部121a及び121bが、3層のうち両側に位置する内部電極12a,12bにおける端部120a,120bと対向している。すなわち、積層方向から見て、端部120aと121aとが重なりあっており、端部120bと端部121bとが重なり合っている。
内部電極12の構成材料としては、積層型のサーミスタにおいて内部電極に用いられる電極材料であれば特に制限なく適用でき、例えば、Ag、Pd、Au、Pt等の貴金属やこれらの合金(例えばAg−Pd合金)、或いは、Cu、Ni等の卑金属が挙げられる。サーミスタ10の製造コストを低減する観点からは、Ag−Pd合金が好ましく、Ag単体がより好ましい。
また、外部電極22の構成材料としては、内部電極12と同様の電極材料が挙げられ、例えばAgが好適である。この外部電極22のサーミスタ素体11に対して外側の表面上には、Niめっき層24及びSnめっき層26が順に形成されている。これらのめっき層24,26により、サーミスタ10を外部機器と接続する際のはんだ付け等が容易となる。
サーミスタ層14は、内部電極12a,12b,12cの各層間、及び、3層の内部電極12のうち両側に位置する内部電極12a,12bの外側に設けられている。このサーミスタ層14は、サーミスタ組成物から構成されるものである。
以下、このサーミスタ組成物について説明する。実施形態のサーミスタ組成物は、主成分としてマンガン(Mn)酸化物及びコバルト(Co)酸化物を含有し、添加物として鉄(Fe)酸化物、アルミニウム(Al)酸化物及びジルコニウム(Zr)酸化物を含有するセラミック材料である。
上記主成分中、Mn酸化物は、Mnに換算して30〜70モル%、好ましくは35〜55モル%、より好ましくは40〜50モル%含まれている。また、Co酸化物は、Coに換算して30〜70モル%、好ましくは45〜65モル%、より好ましくは50〜60モル%含まれている。この主成分において、各酸化物の含有量が上記範囲外であると、高温高湿下での抵抗変化率が不都合に大きくなる傾向にある。
また、サーミスタ組成物において、Al酸化物は、上記主成分の100質量部に対して、Al換算で0.01〜30質量部、好ましくは0.01〜10質量部含まれている。さらに、Fe酸化物は、上記主成分100質量部に対して、Fe換算で0.1〜50質量部、好ましくは30〜45質量部含まれている。さらに、Zr酸化物は、上記主成分100質量部に対して、ZrO換算で0.01〜10質量部、好ましくは0.01〜3質量部含まれている。Al酸化物、Fe酸化物又はZr酸化物の含有量が上記範囲外であると、高温高湿下における抵抗変化率が過度に大きくなる傾向にある。
実施形態のサーミスタ組成物は、上述した各成分に加えて、ニッケル(Ni)酸化物を更に含有していると好ましい。この場合、Ni酸化物の含有量は、上記主成分100質量部に対して、NiOに換算して0.01〜30質量部であると好ましく、5〜15質量部であるとより好ましい。なお、サーミスタ組成物は、これらの成分以外に、不可避的な不純物等をさらに含んでいてもよく、このような不純物としては、Si、K、Na、Ca等の金属元素が挙げられる。
上記各成分を含むサーミスタ組成物においては、添加物であるFe酸化物、Al酸化物、Zr酸化物又はNi酸化物が、Mn酸化物及びCo酸化物を主成分として含むサーミスタ組成物の特性に大きく影響しているものと考えられる。まず、これらの添加物は、当該サーミスタ組成物のB定数を大きく変化させる傾向にある。なかでも、Fe酸化物は、このB定数の値に大きく影響を与える特性を有している。このため、これらの各成分、特にFe酸化物の含有量を、上述した組成の範囲内で変化させれば、サーミスタ組成物のB定数を広い範囲で調整することが可能となる。その結果、実施形態のサーミスタ組成物は、広範なB定数の値をとり得るものとなる。
また、添加物中のAl酸化物は、サーミスタ組成物の抵抗値及びB定数を増大させる特性を有している。ここで、従来のMn、Co及びCuの酸化物を含むサーミスタ組成物は、この抵抗値及びB定数が低い傾向にあり、高い抵抗値及びB定数が求められる用途に対しては、適用することが困難であった。これに対し、本実施形態のサーミスタ組成物は、上述の如く、Al酸化物を含有していることから、従来に比して大きな抵抗値及びB定数の値を有し得るものとなる。よって、本実施形態のサーミスタ組成物によれば、従来品では達成できなかった要求特性を満たし得るサーミスタ素子を提供することもできる。
さらに、実施形態のサーミスタ組成物は、上述した特性を有するFe酸化物及びAl酸化物を組み合わせて含有することを特徴としている。このようにFe酸化物及びAl酸化物の両方を含むサーミスタ組成物は、これらを単独で含有させた場合に比して、より広い範囲のB定数をとり得るものとなる。よって、実施形態のサーミスタ組成物によれば、従来品ではカバーしきれなかった範囲を含む広い範囲のB定数が得られるようになる。
また、実施形態のサーミスタ組成物は、好適な場合、Ni酸化物を更に含有している。Ni酸化物は、上記組成のサーミスタ組成物に含有されて、当該組成物のとり得るB定数の範囲をより微細に調整することができる。よって、このようなNi酸化物を更に含有するサーミスタ組成物によれば、種々の用途に適したサーミスタ素子を容易に作製できるようになる。
次に、上記構成を有するサーミスタ10を製造する方法の一例について説明する。
まず、内部電極12の原料である電極ペースト、及び、サーミスタ層(サーミスタ組成物)の原料であるスラリーを調製する。電極ペーストは、例えば、上述した内部電極12用の金属材料に有機ビヒクル等を添加することにより得ることができる。
また、スラリーの調製においては、まず、サーミスタ組成物の原料として、例えば、Mn、CoO、Al、Fe、ZrO、NiO等を用い、これらをボールミル等により湿式混合して原料混合物を調製する。なお、この原料混合物中には、上述したような不可避的な不純物が含まれていてもよい。この原料混合物を乾燥した後、800〜1200℃程度で仮焼成を行い、仮焼成物を得る。得られた仮焼成物を、再びボールミル等により湿式粉砕する。そして、この粉砕物にバインダー等を加えて、スラリーを得る。
次に、得られたスラリーを、ドクターブレード法やスクリーン印刷法等の公知の方法によりシート状に成形して乾燥した後、所望のサイズに切断してグリーンシートを得る。このグリーンシートを所要の枚数準備し、得られた各グリーンシート上に、印刷法等の公知の方法により所望の形状となるように電極ペーストを塗布し、電極ペースト層を形成させる。この際、電極ペーストは、サーミスタ10における各層の内部電極12に対応した形状となるように塗布することが望ましい。
その後、電極ペースト層が形成されたグリーンシートを、グリーンシートと電極ペースト層とが交互に配置されるように積層し、一面に露出した電極ペースト層上に更にグリーンシートを積層した後、これらに圧力を加えて圧着させ、積層体を得る。それから、得られた積層体を乾燥した後、所望のサイズに切断してグリーンチップを得る。
次いで、このグリーンチップに対して、大気中、1100〜1500℃、数時間の本焼成を行い、サーミスタ素体11を得る。その後、得られたサーミスタ素体11の両端面に、外部電極22を形成するためのAgペースト等を焼き付け、外部電極22を形成する。さらに、この外部電極22を覆うように、Niめっき層24及びSnめっき層26を電気めっき等により形成して、図1に示す構成を有するサーミスタ10を得る。
このような構成を有するサーミスタ10は、サーミスタ層14が、上述したような特性を有するサーミスタ組成物により構成されるものであるため、高温高湿等の厳しい条件に晒された場合であっても、抵抗変化率が極めて小さいものとなる。また、上記サーミスタ組成物は、そのB定数の値を広範囲に変化させることができることから、実施形態のサーミスタ10は、電子機器に求められる特性に合わせたB定数の値に調整することが容易である。このように、本実施形態のサーミスタ10は、高温高湿下でも正確な動作が可能であり、また、B定数の値を広い範囲で調整可能であることから、様々な電子機器に対して好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(サーミスタ素子の製造)
まず、サーミスタ組成物の原料として、市販の四三酸化マンガン、酸化コバルト、酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム及び酸化ニッケルを準備し、これらを焼結後の組成が表1〜3に示す試料1〜59の組成となるように秤量した。なお、表1〜3において、主成分であるMn酸化物及びCo酸化物の含有量は、これらの金属元素のみのモル比で表した。また、添加物であるFe酸化物、Al酸化物、Zr酸化物及びNi酸化物の含有量は、上記主成分100質量部に対する量であり、これらをそれぞれFe、Al、ZrO及びNiOに換算したときの値である。
次に、これらの原料を、ボールミルにより16時間湿式混合して原料混合物を得た。この原料混合物中には、Si、K、Na、Ca等の金属元素がわずかに含まれていた。得られた原料混合物を脱水及び乾燥した後、乳鉢及び乳棒を用いて紛体とし、さらに、この紛体をアルミナこう鉢に入れ、800〜1200℃で2時間の仮焼成を行った。次に、得られた仮焼成物をボールミルにより湿式粉砕した後、脱水及び乾燥を行った。この仮焼成物にバインダーとしてポリビニルアルコール(PVA)を加え、乳鉢及び乳棒を用いて顆粒となるように造粒した後、直径16mm、厚さ2.5mmの円盤状に加工してグリーンシートを得た。
次いで、得られたグリーンシートを、600℃で2時間加熱してバインダーを除去した後、大気中、1100〜1500℃で2時間の本焼成を行い、サーミスタ層を形成するためのシートを得た。その後、これらのシートの両面に、スクリーン印刷法等によりAgペーストを塗布した後、800℃で焼付けて外部電極を形成し、一対の電極間にサーミスタ層を備えた構造を有する各種のサーミスタ素子(試料1〜59)を得た。
(特性評価)
試料1〜59の各サーミスタ素子を用い、以下に示す方法により各温度条件における抵抗値を求め、これらの値に基づいて低温側及び高温側の温度域におけるB定数、及び、煮沸処理前後の抵抗変化率を求めた。
すなわち、まず、直流4端子法により、各試料のサーミスタ素子による25℃の抵抗値(R25)(Ω)、−40℃の抵抗値(R−40)(Ω)、及び、85℃の抵抗値(R85)(Ω)を測定した。そして、これらの値を、下記式(1)及び(2)に代入して、試料1〜59の各サーミスタ素子における低温側(−40〜25℃)のB定数(B25/−40)、及び、高温側(25〜80℃)のB定数(B25/85)を算出した。
また、試料1〜59の各サーミスタ素子を、100℃の沸騰水中に入れて50時間煮沸する処理を行った後に、上記と同様にして25℃における抵抗値(R25´)を測定した。そして、煮沸処理前における抵抗値(初期抵抗値)であるR25と、煮沸処理後における抵抗値であるR25´の値を、下記式(3)に代入して、R25に対するR25´の変化率(抵抗変化率(ΔR25))を算出した。
Figure 0004492235
試料1〜59のサーミスタ素子についてそれぞれ得られたB定数(B25/85及びB25/−40)、高温側のB定数から低温側のB定数を引いた値(ΔB)、並びに、抵抗変化率(ΔR25)を、各試料におけるサーミスタ組成物の組成とともに表1〜表3に示した。なお、各試料のうち、試料3〜6、9〜11、13〜15、18、19、22〜25、28〜30、32〜34、37、38、41〜44、47〜49、51〜53、56及び57は、サーミスタ組成物の組成が本発明の範囲であることから実施例に該当し、表1〜3において○で表記した。また、これら以外の試料は比較例に該当し、表1〜3において×で表記した。
Figure 0004492235
Figure 0004492235
Figure 0004492235
表1〜表3より、以下のことが確認された。すなわち、まず、主成分におけるMnの比率が30モル%未満である(例えば、試料1)か、又は70モル%を超える(例えば試料59)ものは、抵抗変化率がいずれも5%以上となることが確認された。また、主成分におけるCoの比率が30モル%未満である(例えば、試料59)か、又は70モル%を超える(例えば、試料1)ものも、抵抗変化率がいずれも5%以上であった。
また、Al酸化物の含有量が、主成分100質量部に対して、Alに換算して0.01質量部未満である(例えば、試料8)か、又は30質量部を超える(例えば、試料12)ものは、抵抗変化率がいずれも5%以上であった。さらに、Fe酸化物の含有量が、主成分100質量部に対して、Feに換算して0.1質量部未満である(例えば、試料2)か、又は、50質量部を超える(例えば、試料7)ものは、抵抗変化率が5%を超えることが判明した。
またさらに、Zr酸化物の含有量が、主成分100質量部に対して、ZrOに換算して0.01質量部未満である(例えば、試料17)か、又は10質量部を超える(例えば、試料20)ものは、抵抗変化率が5%以上となった。
さらにまた、Ni酸化物を含有する組成物は、いずれも抵抗変化率が小さい傾向にあったものの、その含有量が、主成分100質量部に対してNiOに換算して30質量部を超えるもの(例えば、試料16)は、抵抗変化率の値がやや大きくなった。
また、表1〜表3より、サーミスタ組成物において、各成分の含有量が上述した範囲内である試料は、これらがこの範囲外であった試料に比して、大きなΔBの値を示す傾向にあることが確認された。このことから、各成分の含有量が上述した範囲内であるサーミスタ組成物は、広範なB定数の値をとり得ることが判明した。
実施形態のサーミスタの断面構造を模式的に示す図である。
符号の説明
10…サーミスタ、11…サーミスタ素体、12a,12b,12c…内部電極、14…サーミスタ層、20…外部端子、22…外部電極、24…Niめっき層、26…Snめっき層。

Claims (4)

  1. マンガン酸化物、コバルト酸化物、アルミニウム酸化物、鉄酸化物及びジルコニウム酸化物を含み、
    前記マンガン酸化物及び前記コバルト酸化物は、これらの金属元素だけの比率が、合計100モル%中、マンガン30〜70モル%及びコバルト30〜70モル%である関係を満たしており、
    前記マンガン酸化物及び前記コバルト酸化物の合計100質量部に対する、前記アルミニウム酸化物、前記鉄酸化物及び前記ジルコニウム酸化物の含有量は、これらをAl、Fe及びZrOに換算したとき、それぞれ0.01〜30質量部、0.1〜50質量部及び0.01〜10質量部である、
    ことを特徴とするサーミスタ組成物。
  2. ニッケル酸化物を更に含有しており、前記マンガン酸化物及び前記コバルト酸化物の合計100質量部に対する、該ニッケル酸化物の含有量は、NiOに換算して0.01〜30質量部であることを特徴とする請求項1記載のサーミスタ組成物。
  3. 互いに対向する一対の電極と、該一対の電極間に設けられ、サーミスタ組成物から構成されるサーミスタ層と、を備えるサーミスタ素子であって、
    前記サーミスタ組成物は、マンガン酸化物、コバルト酸化物、アルミニウム酸化物、鉄酸化物及びジルコニウム酸化物を含み、
    前記マンガン酸化物及び前記コバルト酸化物は、これらの金属元素だけの比率が、合計100モル%中、マンガン30〜70モル%及びコバルト30〜70モル%である関係を満たしており、
    前記マンガン酸化物及び前記コバルト酸化物の合計100質量部に対する、前記アルミニウム酸化物、前記鉄酸化物及び前記ジルコニウム酸化物の含有量は、これらをAl、Fe及びZrOに換算したとき、それぞれ0.01〜30質量部、0.1〜50質量部及び0.01〜10質量部である、
    ことを特徴とするサーミスタ素子。
  4. 前記サーミスタ組成物は、ニッケル酸化物を更に含有しており、前記マンガン酸化物及び前記コバルト酸化物の合計100質量部に対する、該ニッケル酸化物の含有量は、NiOに換算して0.01〜30質量部であることを特徴とする請求項3記載のサーミスタ素子。
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