JP4489434B2 - コルチコトロピン放出因子レセプター2アゴニスト - Google Patents

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Description

本発明は、CRF2R調節性障害を治療するための新規なペプチド、及びそのペプチドをコードする核酸の使用に関する。
(CRFR及びリガンド類)
現在までに、少なくとも2つのコルチコトロピン放出因子(CRF)レセプター(CRF1R及びCRF2R)が同定されており、これは、Gタンパク質結合レセプター(GPCR)クラスに属する。CRF1R及びCRF2Rのアゴニスト活性化によって、アデニレートサイクラーゼのGαS活性化がもたらされる。アデニレートサイクラーゼは、cAMPの形成を触媒し、次にこれがプロテインキナーゼAの活性化、細胞内カルシウム放出、及びマイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPキナーゼ)の活性化を含む多様な効果を有する。他の研究では、CRFレセプターのアゴニスト活性化後の細胞内イノシトールトリホスフェート合成の増強によって、CRFRもGαqに結合することが示唆される。
CRF1R及びCRF2Rは、ヒト、ラット、マウス、ニワトリ、ウシ、ナマズ、カエル及びヒツジからクローニングされている。CRF1R及びCRF2Rは各々が、特有の分布パターンを有する。ヒトでは、CRF2Rレセプターの3つのアイソフォームであるα、β及びγがクローニングされている。α及びβのCRF2Rについてのホモログがラットにおいて同定されている。
CRFRのいくつかのリガンド/アゴニストが公知であり、そしてこれには、コルチコトロピン放出因子(又はホルモン、CRF、CRH)、ウロコルチンI、ウロコルチンII(又はストレスコピン関連ペプチド)、ウロコルチンIII(又はストレスコピン)、ウロテンシンI、ソーバジン及び他の関連ペプチドが挙げられる。コルチコトロピン放出因子は、CRF1R及びCRF2Rに結合し、且つ活性化する。CRFはストレスに対する身体の反応の主な調節因子である。この41アミノ酸のペプチドは、視床下部−下垂体−副腎ホルモン系(HPA系)の主な調節因子として、一連の神経、内分泌及び免疫のプロセスを統括する。さらに、CRFRの公知の全てのリガンドの間には実質的な配列相同性が存在する。さらに、2つのCRF2R選択性リガンドである、ウロコルチンII(又はストレスコピン関連ペプチド)及びウロコルチンIII(ストレスコピン)が同定されている。これらのペプチドは、多数の哺乳動物及び魚類の種から同定されている。
CRFレセプターは、レセプター選択性のアゴニスト及びアンタゴニストの使用を通じて、薬理学的に非CRFRから識別可能である。これらの選択的なアゴニスト及びアンタゴニストは、CRFRノックアウトマウスとともに、どのCRFレセプターが特定の生物学的応答を媒介するかを決定するのに有用であった。
CRF1Rの役割は、かなり十分に確立されている。CRF1R遺伝子が除去されている(CRF1Rノックアウト)マウスは、ストレス応答の障害及び不安様挙動の低下を示す。CRF1Rは、HPA系の主なメディエータである。詳細には、視床下部から放出されて、視床下部−下垂体門脈系を介して下垂体前葉に輸送されるCRFは、下垂体前葉に位置する細胞上に存在するCRF1Rと相互作用する。CRF1Rのアゴニスト活性化によって、下垂体前葉の細胞から全身の循環へのACTHの放出が生じる。この放出されたACTHは、副腎皮質に位置する細胞上に存在するACTHレセプターと結合して、コルチコステロイドを含む副腎ホルモンの放出を生じる。コルチコステロイドは、全身及び脾臓の萎縮を含む機構を介する免疫系の抑制を含むがこれに限定されない多くの影響を媒介する。CRF1Rの活性化によって、HPA系の活性化を介する免疫系のダウンレギュレーション(下方制御)が間接的に生じる。
CRF2Rの役割は、十分には確立されていない。CRF2R遺伝子が除去されている(CRF2Rノックアウト)マウスは、ウロコルチンでの刺激後食物摂取の障害又は低下、血管拡張の喪失を示すが、正常なストレス応答を示す。CRF2Rでの実験によって、CRF2Rは、CRFRアゴニストの低血圧/血管拡張効果、及びCRFRアゴニストでのマウスの治療後に観察される食物摂取の減少の原因であることが実証された。
(骨格筋萎縮及び肥大)
加えて、CRF2Rは、骨格筋萎縮の調節及び肥大の誘導に関与する。骨格筋は、作業又は代謝要件についての生理学的要求の変化に容易に適応する形成組織である。肥大とは、骨格筋量の増大をいうが、骨格筋萎縮とは、骨格筋量の減少をいう。急性の骨格筋萎縮の様々な原因としては:外科手術、ベッド上療養又は骨折に起因する非活動;脊椎損傷、自己免疫疾患又は感染性疾患に起因する除神経/神経障害;無関係の状態でのグルココルチコイドの使用;感染又は他の原因に起因する敗血症;疾病又は飢餓に起因する栄養制限;及びスペーストラベルが挙げられるが、これらに限定されない。骨格筋萎縮は、正常な生物学的プロセスを通じて生じるが、特定の医学的状況では、この正常な生物学的プロセスは結果として、筋萎縮のレベルを減弱することになる。例えば、急性の骨格筋萎縮は、整形処置に付随する固定が挙げられるが、それに限定されない固定のある患者のリハビリテーションに大きな限界を呈する。このような場合、骨格筋萎縮を逆転させるのに必要なリハビリテーション期間は、もとの傷害から回復するために必要な期間よりもかなり長いことが多い。このような急性の非活動性萎縮は、筋肉の機能及び量の実質的な加齢関連欠損を既に被っている可能性のある高齢者では特に問題である。なぜならこのような萎縮は、永続的な身体障害及び早発性の死亡をもたらし得るからである。
骨格筋萎縮はまた、癌悪液質、慢性炎症、AIDS悪液質、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、うっ血性心不全、遺伝病、例えば、筋ジストロフィー、神経変性性疾患及びサルコペニア(年齢に関連した筋の損失)のような慢性の状態からも生じ得る。これらの慢性症状において、骨格筋萎縮は、機動力の早期喪失をもたらし得、これによって疾患に関連した罹患率が追加される。
骨格筋の萎縮又は肥大を制御する分子プロセスに関してはほとんど知られていない。骨格筋萎縮の誘発因子は、種々の萎縮開始事象で異なるが、罹患した骨格筋繊維において、いくつかの共通の生物化学的変化が存在する。この変化としては:遅筋繊維(高度に酸化的な代謝/遅収縮タンパク質アイソフォーム)から速筋繊維(高度に解糖性の代謝/速収縮タンパク質アイソフォーム)への切り換えに特有の収縮性及び代謝性の酵素タンパク質イソザイムの両方における、タンパク質合成の減少、ならびにタンパク質の分解及び変化の増大が挙げられる。生じる骨格筋におけるさらなる変化としては、血管の喪失及び細胞外マトリックスの再モデリングが挙げられる。速筋及び遅筋の切り換えの両方とも、適切な条件下で萎縮を示しており、これには特定の萎縮刺激又は条件に依存する相対的な筋喪失を伴う。重要なことは、これらの変化すべてが調和して調節され、生理的及び代謝的需要の変化に応じて始動又は停止するということである。
萎縮及び肥大が生じるプロセスは、哺乳動物の種類にわたって観察される。げっ歯類及びヒトの両方における萎縮の間に、同じ基礎的な分子、細胞及び生理学的なプロセスが生じることが、多数の試験によって実証された。従って、骨格筋萎縮のげっ歯類モデルを上手く利用して、ヒトの萎縮応答を理解し且つ予測することができた。例えば、げっ歯類及びヒトの両方において様々な手段によって誘導される萎縮は、筋の解部、断面積、機能、繊維タイプ切り替え、収縮性タンパク質発現及び組織学において同様の変化を生じる。加えて、いくつかの薬剤は、げっ歯類及びヒトの両方において骨格筋萎縮を調節することが実証されている。これらの薬剤としては、アナボリックステロイド、成長ホルモン、インスリン様成長因子I、βアドレナリン作動性アゴニスト及びCRF2Rアゴニストが挙げられる。まとめると、これらのデータによって、骨格筋萎縮は、げっ歯類及びヒトの両方における共通の機構から生じることが実証される。
いくつかの薬剤は、骨格筋萎縮を調節することが示されており、この適応症(効能)についてヒトにおける使用が承認されているが、これらの薬剤は、心筋の肥大、新生物形成、多毛症、女性の男性化、罹患率及び死亡率の増大、肝臓障害、低血糖症、骨格筋系疼痛、組織のトルゴール(turgor)の増大、頻脈及び浮腫のような望ましくない副作用を有する。現在、急性又は慢性の骨格筋萎縮のいずれかについての高度に有効な治療且つ選択的な治療はない。従って、骨格筋萎縮を治療する他の治療薬剤を同定する必要は依然として存在している。
(筋ジストロフィー)
筋ジストロフィーとは、骨格筋衰弱の選択的分布によって臨床的に識別される、ある群の遺伝性、進行性の筋障害を包含する。筋ジストロフィーの2つの最も一般的な形態は、デュシェンヌ(Duchenne)型筋ジストロフィー及びベッカー(Becker)型筋ジストロフィーであり、その各々はXp21遺伝子座に位置するジストロフィー遺伝子における変異の遺伝から生じる。他のジストロフィーとしては、以下が挙げられるがそれらに限定されない:p94カルパイン、アドハリン(adhalin)、γサルコグリカン及びβサルコグリカンの遺伝子座を含む多数の遺伝子座の変異から生じる肢帯型筋ジストロフィー;顔面肩甲上腕筋ジストロフィー(ランドゥジー・デジュリン(Landouzy-Dejerine)筋ジストロフィー)、筋強直緊張性ジストロフィー及びエメリードレイフュス(Emery-Dreifus)筋ジストロフィー。ほぼ独占的に男性で生じるデュシェンヌ型筋ジストロフィーの症状としては、アヒル歩行、つま先歩行、脊柱前弯症、頻繁な転倒、ならびに起立及び着席の困難性が挙げられる。症状は3〜7歳で始まり、ほとんどの患者は10〜12年間車椅子に拘束されて、多くは呼吸の合併症によってほぼ20歳で死ぬ。デュシェンヌ型筋ジストロフィーに対する現在の治療としては、治癒的ではないが、筋の強度の低下を遅らせて、身体障害を遅らせる、プレドニゾン(コルチコステロイド薬)の投与が挙げられる。プレドニゾンのようなコルチコステロイドは、疾患から生じる筋繊維障害によって誘発される免疫細胞の活性化及び浸潤をブロックすることによって作用すると考えられる。残念なことに、コルチコステロイド治療は骨格筋の萎縮をも生じ、これはこれらの患者の免疫応答をブロックする潜在的利益の一部を打ち消してしまう。従って、筋ジストロフィーを有する患者において筋繊維障害を遅らせて、身体障害の発生を遅らせるが、現在の治療法よりも骨格筋萎縮を生じる程度が低い治療薬剤を同定する必要性は依然として存在する。
(発明の概要)
本発明は、CRF2Rアゴニストである、単離されたペプチドを提供する。具体的に本発明は、CRF、ウロコルチンI、ウロコルチンII、ウロコルチンIII、ソーバジン、ウロテンシンI又は関連のペプチド誘導体である、単離されたペプチド又はこのペプチドをコードする核酸を提供する。本発明また、本発明の単離されたペプチドの安全且つ有効な量、及び薬学的に受容可能な賦形剤を含む薬学的組成物を提供する。本発明はさらに、単位投薬形態の単離されたペプチド、及び使用説明書を備えるキットを提供する。
ペプチド、又はこのペプチドをコードする核酸、薬学的組成物、又は本発明のキットをその必要な被験体に投与することは、筋萎縮又は消耗のようなCRF2R調節性障害の治療に有効である。本発明はまた、本発明のペプチドに特異的である抗体を提供する。最後に、本発明はCRF2R調節障害の治療の必要な被験体におけるその治療のための医薬の製造において、本発明のペプチド、又はこれをコードする核酸の使用を提供する。
本発明は、以下を包含する:
式(I):
α−β−γ−δ−ε−ζ−η−θ (I)
に従う、単離された非天然型ペプチドであって、ここで:
(a)αは、式X123456の配列を含み;ここで:
1、X2及びX3は各々、無(nil)、A、E、D、G、N、P、Q、S、T、及びZからなる群より選択され;
4は、F、I、L、P、T、及びVからなる群より選択され;
5は、A、I、P、S、T、及びVからなる群より選択され;
6は、I、L、M、及びNからなる群より選択され;
(b)βは、式SX8DX10の配列を含み、ここでX8及びX10は各々が、I、L及びVからなる群より独立して選択され;
(c)γは、X111213の配列を含み;ここでX11は、P、T、V、及びSからなる群より選択され、そしてX12及びX13は、各々独立して、A、ナフチルアラニン(Naphthylalanine)(Bとして示される)、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、及びYからなる群より選択され;
(d)δは、式X141516の配列を含み、ここで:
14は、I、L、及びMからなる群より選択され;
15は、L及びMからなる群より選択され;そして
16は、S、N、Q、及びRからなる群より選択され;
(e)εは、式X1718192021の配列を含み、ここで:
17は、V、I、L、T、K、E、N、及びQからなる群より選択され;
18は、L、M、V、A、及びTからなる群より選択され;
19は、I、F、L、及びMからなる群より選択され;
20は、D、E、N、及びHからなる群より選択され;そして
21は、L、V、I、Q、M、及びRからなる群より選択され;
(f)ζは、式X22232425の配列を含み、ここで:
22は、無、A、D、E、S、及びTからなる群より選択され;
23は、無、K、及びRからなる群より選択され;
24は、無、A、H、M、N、Q、T、及びYからなる群より選択され;
25は、無、E、D、I、K、N、Q、及びRからなる群より選択され;
(g)ηは、式X262728293031の配列を含み、ここで:
26は、A、D、G、H、K、N、Q、及びSからなる群より選択され;
27は、A、E、I、L、M、及びQからなる群より選択され;
28は、A、H、K、Q、R、及びVからなる群より選択され;
29は、A、E、K、N、M、及びQからなる群より選択され;
30は、H、K、N、Q、及びRからなる群より選択され;
31は、A及びKからなる群より選択され;
(h)θは、式X3233NX35363738394041の配列を含み、ここで:
32は、A、E、H、及びTからなる群より選択され;
33は、A、D、E、I、L、N、Q、R、S、及びTからなる群より選択され;
35は、A及びRからなる群より選択され;
36は、E、H、I、K、L、N、Q、及びRからなる群より選択され;
37は、F、I、L、M、及びYからなる群より選択され;
38は、L、F、及びMからなる群より選択され;
39は、A、D、E、N、及びQからなる群より選択され;
40は、A、D、E、H、I、K、N、Q、R、S、及びTからなる群より選択され;
41は、A、F、I、及びVからなる群より選択される、
ペプチド;
ならびにそれらの変異体。
参考として本明細書において関連の場所に援用される、全ての引用された文書;任意の文書の引用は、それが本発明に関して先行技術であるということの承認として解釈されるべきではない。
(配列表の説明)
表1は、CRFレセプターに結合する種々のタンパク質及びタンパク質フラグメントの配列を記載する。これらの選択された配列は、対応するジーンバンク(Genbank)又はダーウェント(Derwent)のアクセッション番号及びそれが報告されている動物種、ならびに同一又はほぼ同一のアミノ酸配列をコードする関連のヌクレオチド配列のアクセッション番号とともに含まれる。本発明のこれらの公知の配列及び新規な配列をさらに配列表に示す。
Figure 0004489434
(用語の語彙解説)
以下は、本明細書において用いた用語の定義のリストである。
「アゴニスト」とは、レセプターを活性化する抗体が挙げられるがこれらに限定されない任意の化合物を意味する。例えば、CRFRアゴニストとしては、CRF、ウロコルチン、ウロコルチンII、ウロコルチンIII、ウロテンシンI、ソーバジン及び関連のアナログが挙げられるがこれらに限定されない。
「抗体」とは、その種々の文法上の形態で、免疫グロブリン分子及び免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分、すなわち抗原に特異的に結合する抗原結合部位を含む分子を意味する。本明細書において用いる場合、「単離された抗体(isolated antiboy)」とは、その抗体に天然に付随する、タンパク質及び天然に存在する有機分子から部分的に又は完全に分離された抗体を意味する。
「結合親和性(binding anninity)」とは、リガンドがレセプターと相互作用する傾向を意味しており、特定のCRFリガンド−CRFR相互作用についての解離定数に反比例する。解離定数は標準的な飽和、競合又は反応速度論的結合技術を介して直接的に、又は機能的なアッセイ及び終点を含む薬理学的技術を介して間接的に測定することができる。
「キメラ抗体(chimeric antibody)」とは、2つ以上の異なる抗体分子に由来する、すなわち異なる動物種に由来する構造エレメントを含む抗体を意味する。キメラ抗体としては、「ヒト化抗体(humanized antibodies)」として既知の抗体が挙げられるがこれらに限定されない。ヒト化抗体としては、相補性決定領域移植として公知の技術によって作製されたキメラ抗体が挙げられるがこれらに限定されない。
「CRF」は、コルチコトロピン放出ホルモン(CRH)と同じであるコルチコトロピン放出因子を意味する。CRFペプチドの例としては、r/hCRF及びヒツジCRF(米国特許第4,415,558号を参照のこと)などが挙げられる。
「CRFアナログ(CRF analog)」とは、CRFRのリガンドとして作用する物質を意味する。適切なCRFアナログは、様々な脊椎動物種から得ることができ、:ソーバジン(例えば、米国特許第4,605,642号を参照のこと)、ウロテンシン(例えば、米国特許第号4,908,352号;及び同第4,533,654号を参照のこと)、マウスウロコルチンII、ヒトウロコルチン関連ペプチド(レイエス・ティー・エム(Reyes,T.M.)ら、プロシーディング・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス(Proc.Natl.Acad.Sci)98:2843〜2848(2001))、ウロコルチン(例えば、PCT国際公開特許WO97/00063を参照のこと)、ヒトウロコルチンII(ストレスコピン関連ペプチド)、ヒトウロコルチンIII(ストレスコピン)、フグ(pufferfish)URP1、フグURPII、ウロテンシンI、及びCRFアナログ(米国特許第4,415,558号;同第4,489,163号;同第4,594,329号;同第4,605,642号;同第5,109,111号;同第5,235,036号;同第5,278,146号;同第5,439,885号;同第5,493,006号;同第5663292号;同第5,824,771号;同第5,844,074号;及び同第5,869,450号に記載)のような物質が挙げられるがこれらに限定されない。特定のCRFアナログとしては、以下が挙げられる:hUcnI(ヒトウロコルチンI、AF038633(GB));hUroII(ヒトウロコルチンII又はストレスコピン関連ペプチド)(AF320560);hUroIII(ヒトウルコルチンIII又はストレスコピン、AF361943);hCRF(ヒトコルチコトロピン放出因子)(V00571(GB));oCRF(ヒツジコルチコトロピン放出因子E00212(GB));Svg(ソーバジン、P01144(SP))。
「CRFRアゴニスト(CRFR agonist)」とは、CRF1R、CRF2R、又はその両方を活性化する能力を有する化合物又は分子を意味する。
「CRFR」とは、CRF1R、又はCRF2Rを意味する。「CRFR」という用語はまた、短縮型のタンパク質及び/又は変異型のタンパク質であって、ここでリガンド結合又はシグナル伝達のために必要でないレセプター分子の領域が、欠失されているか又は改変されているタンパク質を含む。
「CRF1R」とは、任意の動物種由来のCRF1Rの任意のアイソフォームを意味する。CRF1Rは以前には、CRF−RA、PC−CRF、CRFとして言及されている(パーリン・エム・エイチ(Perrin,M.H.)ら、エンドクリノロジー(Endocrinology)133:3058〜3061(1993)、チェン・アール(Chen,R.)ら、プロシーディング・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・オブ・ザ・USA(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)90:8967〜8971(1993)、チャン・シーピー(Chang,C-P.)ら、ニューロン(Neuron)11:1187〜1195(1993)、キシモト・ティー(Kishimoto,T.)ら、プロシーディング・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・オブ・ザ・USA(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)、92:1108〜1112(1995)ならびにビータ・エヌ(Vita,N.)ら、フェデレーション・オブ・ヨーロピアン・バイオケミカル・ソサイエティ・レターズ(FEBS Lett.)335:1〜5(1993))、又はCRHレセプター。
CRF1Rの定義としては、レセプターであってこのレセプターをコードするcDNA又はゲノム配列が、配列データベースに寄託されているレセプターが挙げられるがこれらに限定されない。これらの配列としては:X72304、E11431、L23332、I92584、T37068、T28968、Q81952、L23333、NM_004382、AF180301、T28970、L25438、L24096、I92586、Q81954、AH006791、NM_007762、X72305、AF054582、Y14036、AF229359、AF229361、AB055434、及びL41563のアクセッション番号が挙げられる。これらのレセプターのヌクレオチド配列及びタンパク質配列は、ジーンバンク(GenBank)又はダーウェント(Derwent)から入手可能である。
「CRF2R」とは、任意の動物種由来のCRF2Rのあらゆるアイソフォームを意味する。CRF2Rはまた、HM−CRF、CRF−RBとも呼ばれている(キシモト・ティー(Kishimoto,T.)ら、プロシーディング・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・オブ・ザ・USA(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)92:1108〜1112(1995)及びパーリン・エム(Perrin,M.)ら、プロシーディング・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・オブ・ザ・USA(Proc. Natl.Acad.Sci.USA)92:2969〜2973(1995))。
CRF2Rレセプターの定義としては、レセプターであってこのレセプターをコードするゲノム配列が、配列データベースに寄託されているレセプターが挙げられるがこれらに限定されない。これらの配列としては:U34587、E12752、NM_001883、T12247、T66508、AF011406、AF019381、U16253、T12244、T28972、U17858、NM_009953、Y14037、及びAF229360のアクセッション番号が挙げられる。これらのレセプターのヌクレオチド配列及びタンパク質配列は、ジーンバンク(GenBank)又はダーウェント(Derwent)から入手可能である。
「阻害する(Inhibit)」とは、特定のプロセス又は活性を部分的に又は完全にブロックすることを意味する。例えば、ある化合物は、それが完全に又は部分的に筋萎縮を防止する場合、骨格筋萎縮を阻害する。
「単離されたペプチド(Isolated peptide)」が意味するのは、ペプチド分子であって、物理的、機械的又は化学的方法を使用して、そのタンパク質に正常に付随する細胞性成分からこのペプチドを取り出す場合、この分子を「単離された(isolated)」という。当業者は、標準的な精製方法を容易に使用して、単離されたペプチドを得ることができる。
「単離された核酸(isolated nucleic acid)」とは、核酸分子であって、他のポリペプチドをコードする混入している核酸分子から実質的に分離されている核酸分子を意味する。精製及び配列同定の技術は当該分野で周知である。
本明細書において用いる場合、2つのDNA配列は、この2つのDNA配列の間の連鎖の性質が(1)フレームシフト変異の導入を生じず、(2)プロモーター領域がこのコード配列の転写を指向する能力を妨害せず、(3)対応するRNA転写物がタンパク質に翻訳される能力を妨害しない場合に「作動可能に会合している(operably associated)」といわれる。例えば、コード配列及び調節配列は、それらが調節配列の影響又は制御下にコード配列の転写を置くような方式で共有結合されている場合に、作動可能に会合されている。従って、プロモーター領域は、このプロモーター領域がそのDNA配列の転写を達成し得る場合にコード配列と作動可能に会合され、その結果得られた転写物は、所望のペプチドへと翻訳され得る。
「選択的なアゴニスト(selective agonist)」とは、このアゴニストが一般に、他のレセプターと比べて、特定のレセプターに対して大きい活性、好ましくは有意に大きい活性を有するということを意味するのであって、他のレセプターに関して完全に不活性であるという意味ではない。
アミノ酸配列又はヌクレオチド配列のレベルでの「配列同一性(sequence identity)」又は「ホモロジー(homology)」は、配列類似性検索のために仕立てられている、プログラムblastp、blastn、blastx、tblastn及びtblastx(アルトシュル(Altschul)ら(1997)ヌクレイック・アシッド・リサーチ(Nucleic Acids Res.)25、3389〜3402、及びカーリン(Karlin)ら(1990)プロシーディング・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・オブ・ザ・USA(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)87、2264〜2268)によって使用されるアルゴリズムを用いるBLAST(ベーシック・ローカル・アラインメント・サーチ・ツール(Basic Local Alignment Search Tool)解析によって決定される。ブラスト(BLAST)プログラムによって用いられるアプローチは、最初は、クエリー(問い合わせ)配列とデータベース配列との間に、ギャップ有り(非連続的)、及びギャップなし(連続的)の類似のセグメントを考慮して、次いで同定される全てのマッチの統計的な有意性を評価し、最後に予め選択した有意性の閾値を満たすマッチのみをまとめる。配列データベースの類似性検索における基本的な問題の考察については、アルトシュル(Altschul)ら(1994)ネイチャージェネティックス(Nature Genetics)6,119〜129を参照のこと。ヒストグラム、ディスクリプション、アラインメント、期待値(すなわち、データベース配列に対するマッチを報告するための統計的有意性閾値)、且つトオフ、マトリックス及びフィルター(低複雑性)の検索パラメーターは、デフォールト設定である。blastp、blastx、tblastn、及びtblastxによって用いられるデフォールトスコアリングマトリックスは、ヌクレオチド又はアミノ酸の長さが85を上回るクエリー(問い合わせ)配列に対して推奨される、BLOSUM62マトリックスである(ヘニコフ(Henikoff)ら(1992)プロシーディング・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・オブ・ザ・USA(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)89,10915〜10919)。
blastnについて、スコアリングマトリックスは、M(すなわち、マッチする残基の対についてのリウォードスコア)対N(すなわちミスマッチする残基についてのペナルティースコア)の比で設定され、ここでM及びNについてのデフォールトスコアは、それぞれ+5及び−4である。4つのblastnパラメーターを以下のとおり調節した:Q=10(ギャップ作製ペナルティー);R=10(ギャップ伸長ペナルティー);wink=1(クエリーにそったあらゆるwinkth位置でワードヒットを生じる);及びgapw=16(ギャップアラインメントが作製される範囲内のウインドウ幅を設定する)。等価なBlastpパラメーター設定は以下であったQ=9;R=2;wink=1;及びgapw=32。GCGパッケージバージョン10.0において利用可能な配列の間のベストフィット(Bestfit)比較は、DNAパラメーターGAP=50(ギャップ作製ペナルティー)及びLEN=3(ギャップ伸長ペナルティー)を使用し、タンパク質比較における等価な設定はGAP=8及びLEN=2である。
「骨格筋肥大(skeletal muscle hypertrophy)」とは、骨格筋の量もしくは骨格筋の機能、又はその両方の増大を意味する。
「骨格筋萎縮(skeletal muscle atrophy)」とは、筋消耗「(muscle wasting)」と同じことを意味し、骨格筋の量もしくは骨格筋の機能、又はその両方の減少を意味する。
タンパク質の構造及び機能を記載するのにおいて、このタンパク質を構成するアミノ酸について言及する。アミノ酸はまた、以下に示されるように、その従来の省略形によって言及することができる:A=Ala=アラニン;T=Thr=トレオニン(スレオニン);V=Val=バリン;C=Cys=システイン;L=Leu=ロイシン;Y=Tyr=チロシン;I=Ile=イソロイシン;N=Asn=アスパラギン;P=Pro=プロリン;Q=Gln=グルタミン;F=Phe=フェニルアラニン;D=Asp=アスパラギン酸;W=Trp=トリプトファン;E=Glu=グルタミン酸;M=Met=メチオニン;K=Lys=リジン;G=Gly=グリシン;R=Arg=アルギニン;S=Ser=セリン;H=His=ヒスチジン。文字Z=Glx=ピロジノンカルボン酸であり、これを用いて、内部環状ラクタムを形成したN末端グルタミン酸又はグルタミンを示す。これは、必要に応じて、「MODIFIED_RES」の項目として配列表に記載される。文字Bは、本明細書において、特定のペプチドにおけるアラニンの改変であるナフチルアラニンを示すために用いられ、それが存在するペプチド配列中で配列表において「雑多な項目(miscellaneous feature)」として配列表に示されている。省略形である「Ac」は、本明細書において修飾されたアセチル化NH2末端を示すために用いられており、そして必要に応じて「MODIFIED_RES」の項目に記載されている。本発明のペプチドはまた、カルボキシル末端でアミド基を有するように改変される。これは、「MODIFIED_RES」の項目で配列表に示される。天然のホモログの状況でアミノ酸の欠失又は非存在を指定するために、本出願を通じて「−」又は「無」を用いている。
他に規定されない限り、本明細書において用いた全ての技術的用語及び科学的用語は、タンパク質化学、薬理学又は分子生物学の当業者に通常理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載される方法、材料及び実施例は限定することを意図しない。本明細書に記載されるのと類似又は等価である他の方法及び材料を、本発明の実践又は試験において用いることができる。
(ペプチド)
本発明は、式(I)
α−β−γ−δ−ε−ζ−η−θ (I)
に従う、単離された非天然型ペプチドを包含する。
式(I)において、αは、式X123456の配列を含み;ここで:X1、X2及びX3は各々、無、A、E、D、G、N、P、Q、S、T、及びZからなる群より選択され;X4は、F、I、L、P、T、及びVからなる群より選択され;X5は、A、I、P、S、T、及びVからなる群より選択され;そしてX6は、I、L、M、及びNからなる群より選択される。本発明の1つの局面において、αは、式X123456の配列を含み;ここで:X1は、無であり、X2はD、E及びZからなる群より選択され;X3は、D、G及びNからなる群より選択され;X4は、L及びPからなる群より選択され;X5は、P及びSからなる群より選択され;そしてX6は、I、L、M及びNからなる群より選択される。1つの実施形態において、αは−EDLPL(配列番号388)、−DNPSL(配列番号389)、−DDPPL(配列番号390)、−ZGPPI(配列番号391)、−−−PSL及び−−−IVLからなる群より選択される配列をさらに含み、ここで「−」は、無を意味する。別の実施形態において、αは配列−ZGPPIを含む。別の実施形態において、αは、配列−DNPSLを含む。別の実施形態において、αは配列−−−IVLを含む。別の実施形態において、αは、配列−−−PSLを含む。
本発明の別の局面において、αは式X123456を含み;ここで:X1は、無であり、X2は無であり、X3は無であり;X4は、F、I、L、P及びVからなる群より選択され;X5は、A、I、S、T及びVからなる群より選択され;X6は、Lである。1つの実施形態において、αは、−−−IVL、−−−FTL、−−−LTL、−−−FAL、−−−VIL及び−−−PSLからなる群より選択される配列を含む。別の実施形態において、αは配列−−−IVLを含む。
本発明のさらに別の局面において、αは、SQEPPI(配列番号392)、SEEPPI(配列番号393)、−DNPSL、−−−IVL、−TKFTL(配列番号394)、−ZGPPI、SQEIVL(配列番号395)、SEEIVL(配列番号396)、DNPIVL(配列番号397)、TKIVL(配列番号398)、ZGIVL(配列番号399)、SDNPSL(配列番号401)、STKFTL(配列番号402)、SZGPPI(配列番号403)及びNDDPPI(配列番号404)からなる群より選択される配列を含む。
本発明の別の局面において、ポリシスチジン(HHHHHH,配列番号400)又は本発明のペプチドの精製もしくは検出に有用であり得る他のペプチドタグがαに先行してもよい。
式(I)において、βは、式SX8DX10の配列を含み、ここでX8及びX10は各々が、I、L及びVからなる群より選択される。1つの実施形態において、βは、SIDL(配列番号405)、SLDV(配列番号406)、SLDL(配列番号407)、SIDI(配列番号408)及びSIDV(配列番号409)からなる群より選択される配列を含む。別の実施形態において、βは、SIDL及びSLDVからなる群より選択される配列をさらに含む。さらに別の実施形態において、βは、配列SIDLを含む。さらに別の実施形態において、βは、配列SLDVを含む。さらに別の実施形態において、βは、SIDVを含む。
式(I)において、γは、式は、X111213の配列を含み;ここでX11は、P、T、V又はSであり、そしてX12及びX13は、各々が、A、B(ナフチルアラニン)、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、及びYからなる群より選択される。本発明の1つの実施形態において、X11は、Pである。別の実施形態において、γは、PAB、PAF、PAH、PAQ、PAY、PFB、PFE、PFF、PFG、PFH、PFI、PFL、PFQ、PFV、PFW、PFY、PGY、PHB、PHF、PHH、PHQ、PHW、PHY、PIA、PIB、PID、PIE、PIF、PIG、PIH、PII、PIL、PIQ、PIR、PIT、PIV、PIW、PIY、PKY、PLB、PLE、PLF、PLG、PLH、PLI、PLL、PLQ、PLV、PLW、PLY、PNY、PQB、PQF、PQH、PQI、PQL、PQQ、PQV、PQW、PQY、PRY、PSY、PTB、PTE、PTF、PTH、PTI、PTL、PTV、PTW、PTY、PVB、PVY、PWF、PWH、PWQ、PWW、PWY、PYB、PYF、PYH、PYI、PYL、PYQ、PYT、PYV、PYW、PYY、SLE、SLG、SIG及びVIGからなる群より選択される配列を含む。本発明のさらに別の実施形態において、γは、PFE、PFG、PFH、PFQ、PFY、PLE、PLG、PLH、PLQ、PLY、PTE、PTH、PTY、PIE、PIH、PIQ、PIY、PIG、PTN及びPTSからなる群より選択される配列を含む。さらに別の実施形態において、γは、PFE、PFG、PFH、PFQ、PFY、PLE、PLG、PLH、PLQ、PLY、PTE、PTH、PTY、PIE、PIH、PIQ、PIY、PYY、PFE、PTW、PQY、PHY、PII、PIL、PTI、PTF、PTL、PIV、PIT、PTV及びPIEからなる群より選択される配列を含む。さらに別の実施形態において、γは、PIG、PTN、PTS及びPIGからなる群より選択される配列を含む。さらに別の実施形態において、γは、PFQ、PYW、PLQ、PIG、PLY、PUY、PTY、PIG、PLL、PLF及びPFFより選択される配列からなる。さらに別の実施形態において、γは、配列PIGを含む。さらに別の実施形態において、γはPFQを含む。
式(I)において、δは、式X141516の配列を含み、ここで:X14は、I、L、及びMからなる群より選択され;X15は、L及びMからなる群より選択され;そしてX16は、S、N、Q、及びRからなる群より選択される。1つの実施形態において、δは、ILS、IMN、LLQ、LLR及びMLRからなる群より選択される配列を含む。1つの実施形態において、δは、配列LLQ又はLLRを含む。
式(I)において、εは、式X1718192021の配列を含み、ここでX17は、V、I、L、T、K、E、N及びQからなる群より選択され;X18は、L、M、V、A、及びTからなる群より選択され;X19は、I、F、L、及びMからなる群より選択され;X20は、D、E、N、及びHからなる群より選択され;そしてX21は、L、V、I、Q、M、及びRからなる群より選択される。1つの実施形態において、εは、VLIDL(配列番号410)、VLFDV(配列番号411)、VLIEI(配列番号412)、ILFNI(配列番号413)、LLIEI(配列番号414)、LLFNI(配列番号415)、ILLEQ(配列番号416)、ILIEI(配列番号417)、ILLEI(配列番号418)、TLLEL(配列番号419)、KMIEI(配列番号420)、KVIEI(配列番号421)、EVLEM(配列番号422)、EMIEI(配列番号423)、EVIEI(配列番号424)、EAIEI(配列番号425)、ETIEI(配列番号426)、EIIEI(配列番号427)、ELIEI(配列番号428)、NMIEM(配列番号429)、NMIHR(配列番号430)、NMIHM(配列番号431)、QMMEM(配列番号432)及びLLFNI(配列番号433)からなる群より選択される配列を含む。本発明の1つの実施形態において、εは、VLIDL、VLFDV、ILFNI、LLFNI、ILLEQ、TLLEL及びKMIEIからなる群より選択される配列を含む。別の実施形態において、εは、VLIDL、VLFDV、ILFNI及びILLEQからなる群より選択される配列を含む。別の実施形態において、εは、KMIEI又はILLEQからなる群より選択される配列を含む。さらに別の実施形態において、εは、配列KVIEI、KMIEI、ILLEI、ILLEQ、又はTLLELを含む。さらに別の実施形態において、εは配列KMIEIを含む。さらに別の実施形態において、εは、配列ILLEQを含む。
式(I)において、ζは、式X22232425の配列を含み、ここでX22は、無、A、D、E、S、及びTからなる群より選択され;X23は、無、K、及びRからなる群より選択され;X24は、無、A、H、M、N、Q、T、及びYからなる群より選択され;そしてX25は、無、E、D、I、K、N、Q、及びRからなる群より選択される。本発明の1つの実施形態において、ζは、式X22232425の配列を含み、ここでX22は、無、D及びEからなる群より選択され;X23は、無、K、及びRからなる群より選択され;X24は、無、A、H、M、N、Q、T、及びYからなる群より選択され;X25は、無、E、D、I、K、N、Q、及びRからなる群より選択される。別の実施形態において、ζは、SRAE(配列番号434)、EKAR(配列番号435)、ERAR(配列番号436)、EKQE(配列番号437)、TKDR(配列番号438)、TKAD(配列番号439)、AKAR(配列番号440)、AKQR(配列番号441)、ERQR(配列番号442)、AKAE(配列番号443)、ERAE(配列番号444)、ARQR(配列番号445)、EKQR(配列番号446)、TKAN(配列番号447)、TKAR(配列番号448)、EAAR(配列番号449)、ERQE(配列番号450)、ARAD(配列番号451)、EKTQ(配列番号452)、ARAR(配列番号453)、ARAE(配列番号454)、ARQE(配列番号455)、AKQE(配列番号456)、TRAD(配列番号457)、AKAD(配列番号458)、TRAR(配列番号459)、EKQQ(配列番号520)、−−RR、−−AA、−AAR、−−−R、−RAR、−−−A、−−AR、−ARA、−R−R、A−AR、A−A−、A−−−、ARA−及び−−−からなる群より選択される配列を含む。さらに別の実施形態において、ζは、EKAR、ERAR、EKQE及びTKDRからなる群より選択される配列を含む。さらに別の実施形態において、ζは、EKQE、EKTQ、ARAR、又はEKARを含む。
式(I)において、ηは、式X262728293031の配列を含み、ここでX26は、A、D、G、H、K、N、Q、及びSからなる群より選択され;X27は、A、E、I、L、M、及びQからなる群より選択され;X28は、A、H、K、Q、R、及びVからなる群より選択され;X29は、A、E、K、N、M、及びQからなる群より選択され;X30は、H、K、N、Q、及びRからなる群より選択され;X31は、A及びKからなる群より選択される。本発明の1つの実施形態において、ηは、AAREQA(配列番号460);KEKKRK(配列番号461);SQRERA(配列番号462)、KEKQQA(配列番号463)及びQLAQQA(配列番号464)AARNQA(配列番号521)、KERNQA(配列番号522)、KEKNQA(配列番号523)、KQRERA(配列番号524)、KERERA(配列番号525)、KEKERA(配列番号526)、KEKQRA(配列番号527)、AEAAAK(配列番号528)、AAHAAA(配列番号529)及びHAHAHA(配列番号530)からなる群より選択される配列を含む。さらに別の実施形態において、ηは、AAREQA及びKEKKRKからなる群より選択される配列を含む。なおさらに別の実施形態において、ηは、配列AAREQAを含む。なおさらに別の実施形態において、ηは、SQRERA及びKEKQQAからなる群より選択される配列を含む。なおさらに別の実施形態において、ηは、配列KEKQQAを含む。
式(I)において、θは、式X32333435363738394041の配列を含み、ここでX32は、A、E、H、及びTからなる群より選択され;X33は、A、D、E、I、L、N、Q、R、S、及びTからなる群より選択され;X35は、A及びRからなる群より選択され;X36は、E、H、I、K、L、N、Q、及びRからなる群より選択され;X37は、F、I、L、M、及びYからなる群より選択され;X38は、L、F、及びMからなる群より選択され;X39は、A、D、E、N、及びQからなる群より選択され;X40は、A、D、E、H、I、K、N、Q、R、S、及びTからなる群より選択され;X41は、A、F、I、及びVからなる群より選択される。本発明の1つの実施形態において、θは、式X3233NX35363738394041の配列を含み、ここでX32は、A、E、及びTからなる群より選択され;X33は、A、D、E、N、Q、S、及びTからなる群より選択され;X35は、A及びRからなる群より選択され;X36は、H、I、L、N、Q、及びRからなる群より選択され;X37は、F、I、L、M、及びYからなる群より選択され;X38は、L、F、及びMからなる群より選択され;X39は、A、D、E、N、及びQからなる群より選択され;X40は、無、A、D、H、Q、R、S、及びTからなる群より選択され;X41は、I及びVからなる群より選択される。別の実施形態において、θは、AANRLLLDTV(配列番号465)、AAQEQILAHV(配列番号466)、ANNAELLAEI(配列番号467)、ANNAHLLAHI(配列番号468)、ANNAKLLAKI(配列番号469)、ANNALLLATI(配列番号470)、ANNALLLDTI(配列番号471)、ANNANLLANI(配列番号472)、ANNAQLLAHI(配列番号473)、ANNAQLLAQI(配列番号474)、ANNARILARV(配列番号475)、ANNARLLARI(配列番号476)、ANNARLLDTI(配列番号477)、ANNRLLLATI(配列番号478)、ANNRLLLDTI(配列番号479)、EQNAHIFAHV(配列番号480)、EQNAQIFAHV(配列番号481)、EQNARIFARV(配列番号482)、EQNRIIFDSV(配列番号483)、ETNARILARV(配列番号484)、HAQAHILAHV(配列番号485)、HSNRKIIDIA(配列番号486)、HSNRKLLDIA(配列番号487)、HSNRKLMEII(配列番号488)、HTNARILARV(配列番号489)、TNNRLLLATV(配列番号490)、TNNRLLLDTI(配列番号491)、TSNRKLMEII(配列番号492)、TTNARILARN(配列番号493)、TTNARILARV(配列番号494)、TTNARLLATV(配列番号495)、TTNARLLDRV(配列番号496)、TTNARLLDTV(配列番号497)、TTNRLLLARV(配列番号498)、TTNRLLLATV(配列番号499)、TTNRLLLDTV(配列番号500)、TTQARILARV(配列番号501)及びTTVARILARV(配列番号502)からなる群より選択される配列を含む。さらに別の実施形態において、θは、TTNARILARV、ANNALLLDTI、ANNALLLATI、TTNARLLDTV及びTTNARLLDRVからなる群より選択される配列を含む。さらに別の実施形態において、θは、配列ANNARLLDTI、ANNARLLARI、ANNALLLDTI、ANNALLLATI、TTNARLLDRV、TTNARILARV、ANNRLLLDTI、EQNARIFARV、EQNAHIFAHV及びEQNAQIFAHVを含む。当業者は、θがこのペプチドのC末端を包含することを容易に理解する。
本発明のペプチドはまた、特定の好ましい配列を有する41個のアミノ酸のペプチドとして記載されている。以下のペプチドのストリングが特に例示されている:残基X2−X11について、ZGPPISIDLP(配列番号503)、残基X14−X17について、LLRK(配列番号504)、残基X19−X31について、IEIEKQEKEKQQA(配列番号505)、残基X4−X9について、PSLSID(配列番号506)、残基X14−X35についてLLRTLLELEKTQSQRERAEQNA(配列番号507)。
開示されたペプチドの変異体及びこのペプチドをコードするヌクレオチド配列もまた本発明に包含される。本明細書において用いる場合、「変異体(variants)」とは、ペプチド、ポリペプチドもしくはタンパク質、又はこれらをコードするヌクレオチド配列であって、式(I)に記載されるペプチドに対して実質的に類似であり、そしてCRF2Rアゴニストとして用いることができるものを意味する。式(I)のペプチドは、アミノ酸置換、欠失、短縮、挿入及び改変を含む、種々の方法で変更されて、本発明によって包含されるペプチドの変異体を生じてもよい。このような操作のための方法は一般に当該分野で既知である。例えば、変異体は、これをコードするヌクレオチド配列における変異によって調製することができる。突然変異誘発及びヌクレオチド配列変更のための方法は、当該分野で周知である。例えば、クンケル(Kunkel)(1985)プロシーディング・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・オブ・ザ・USA(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)82:488〜492;クンケル(Kunkel)ら(1987)メソッド・イン・エンザイモル(Methods in Enzymol.)154:367−382;米国特許第4,873,192号;ウォーカー(Walker)及びガストラ(Gasstra)編、(1983)分子生物学技術(Techniques in Molecular Biology)(マクミラン・パブリッシング・カンパニー(MacMillan Publishing Company)、ニューヨーク)、ならびにそこに引用された参考文献を参照のこと。この変異体の1つの実施形態において、式(I)のペプチドの置換(単数又は複数)は、この変異体の生化学的な特性の破壊が最小限であるという点で保存的である。従って、変異を導入してアミノ酸残基を置換する場合、正に荷電された残基(H、K及びR)は好ましくは、正に荷電された残基で置換され;負に荷電された残基(D及びE)は好ましくは、負に荷電された残基で置換され;そして中性の非極性残基(A、F、I、L、M、P、V及びW)は好ましくは、中性の非極性残基で置換される。この変異体の別の実施形態では、このペプチドの全体的な電荷、構造又は疎水性/親水性特性は、CRF2Rアゴニズムに実質的に有害に影響することなく、変更することができる。なお別の実施形態において、この変異体は、式(I)のペプチドの活性フラグメントである。変異体のさらに別の実施形態において、式(I)のペプチドは、アセチル化、カルボキシル化、リン酸化、グリコシル化、ユビキチン結合及び標識によって修飾される。その修飾は、このタンパク質のインビボもしくはインビトロの酵素処理によって、又は修飾されたアミノ酸を用いるこのペプチドの合成によって達成される。アミノ酸に対する修飾の通常の非限定的な例としては:チロシン、セリン及びトレオニン残基のリン酸化;リジン残基のメチル化;リジン残基のアセチル化;プロリン及びリジン残基の水酸化;グルタミン酸残基のカルボキシル化;セリン、トレオニン又はアスパラギン残基のグリコシル化;ならびにリジン残基のユビキチン結合。この変異体はまたエピトープタグ及びHisタグのような他のドメインを含んでもよい(例えば、このペプチドは融合タンパク質であってもよい)が挙げられる。
さらに別の実施形態において、式(I)のペプチドのペプチド模倣物は、変異体の意味に包含される。本明細書において用いる場合、「模倣物(mimic)」とは、あるアミノ酸の同じか又は類似の機能的特徴を有するアミノ酸又はアミノ酸アナログを意味する。従って、例えば、アルギニンアナログは、このアナログがアルギニンのグアニジウム側鎖反応性基の特徴であるように、生理学的なpHで陽性の電荷を有する側鎖を含む場合、アルギニンの模倣物であり得る。適切な模倣物であり得る有機分子の例は、米国特許第5,807,819号の表1に列挙される。一般に、本発明の変異体、又はこれをコードする核酸配列は、その各々のネイティブなアミノ酸配列に対して、少なくとも70%、一般には80%、好ましくは90%に及ぶ、より好ましくは95%、さらにより好ましくは97%、なおさらにより好ましくは98%、そして最も好ましくは99%の配列同一性を有する。このペプチド配列の融合タンパク質、又はN末端、C末端もしくは内部の伸長、欠失、又は挿入は、ホモロジーに影響すると解釈されるべきではない。
(CRF2Rアゴニストとしての本発明のペプチドの使用)
本発明のペプチドは、CRF2Rによって又はCRF2R活性によって調節される様々な疾患、障害及び状態の処置のために有用である。本明細書において用いる場合、「疾患(disease)」、「障害(disorder)」及び「状態(condition)」という用語は、交換可能に用いられる。本明細書において用いる場合、「CRF2Rによって調節された(modulated by CRF2R)」又は「CRF2R活性によって調節された(modulated by CRF2R activity)」という用語によって記載される障害は、障害、状態又は疾患であって、CRF2R活性が、この障害、又は疾患もしくは障害の生物学的兆候の1つ以上を緩和する有効な手段であるか;又は障害をもたらすかもしくは基礎にある障害の原因であるかのいずれかである生物学的カスケードの1つ以上の点を妨害する;又はこの障害の1つ以上の症状を緩和する、障害、状態又は疾患をいう。従って、「調節(modulation)」に供される障害としては、以下に関する障害が挙げられる:(1)CRF2R活性が、感染によって、照射によって、内部刺激によって、又は他のいくつかの原因によって遺伝的に変更されていようといまいと、CRF2R活性の欠失が、この障害又は1つ以上の生物学的兆候の「原因(cause)」である障害;(2)この疾患もしくは障害、又はこの疾患もしくは障害の観察可能な兆候(単数又は複数)が、CRF2R活性によって緩和される障害(CRF2R活性の欠失は、この疾患もしくは障害、又はその観察可能な兆候に原因として関連している必要はない);(3)CRF2R活性が、その疾患もしくは障害を生じるか又はその疾患もしくは障害に関連する生化学的カスケード又は細胞的カスケードの一部を妨害する障害。これに関して、CRF2R活性は、このカスケードを変更し、それによってこの疾患、状態又は障害を制御する。
本発明の1つの実施形態において、本発明のペプチドは、CRF1Rアゴニスト活性を有さないか、又はごく弱いCRF1Rアゴニスト活性を有する。従って、本発明のペプチドは、CRF2R調節性障害の治療のために特に有用である。このようなCRF2R調節性障害の1つは骨格筋萎縮である。骨格筋萎縮は、外科手術、ベッド上療養又は骨折に起因する非活動;脊椎損傷に起因する除神経/神経障害;自己免疫疾患;感染性疾患;無関係の条件についてのグルココルチコイドの使用;感染又は他の原因に起因する敗血症;疾病又は飢餓に起因する栄養制限;癌悪液質;慢性炎症;後天性免疫不全症候群(AIDS);悪液質;慢性閉塞性肺疾患(COPD)、うっ血性心不全;サルコペニア及び遺伝子障害;例えば、筋ジストロフィー、神経変性性疾患によって誘導され得る。
別の実施形態において、CRF2R調節性障害の治療によって、骨格の量及び機能の増大が生じる。骨格筋の量及び機能に影響する疾患及び条件としては:疾病、外科手術、ベッド上療養又は事故に起因する非活動から生じる急性の萎縮/消耗を含む骨格筋の萎縮又は消耗;脊椎損傷、自己免疫疾患又は感染性疾患に起因する除神経/神経障害;無関係の条件についてのグルココルチコイドの使用;感染又は他の原因に起因する敗血症;疾病又は飢餓に起因する栄養制限;及びスペーストラベル;ならびに癌悪液質、慢性炎症、AIDS悪液質、COPD、うっ血性心不全、遺伝子障害、例えば、筋ジストロフィー、神経変性性疾患及びサルコペニア(加齢関連筋損失)を含む慢性萎縮/消耗が挙げられるがこれらに限定されない。
なお別の実施形態において、CRF2R調節性障害の治療としては、骨に影響する障害が挙げられる。骨に影響する疾患及び状態としては、:疾病、外科手術、ベッド上療養又は事故に起因する非活動から生じる骨の損失;脊椎損傷、自己免疫疾患又は感染性疾患に起因する神経障害;無関係の条件についてのグルココルチコイドの使用;感染又は他の原因に起因する敗血症;疾病又は飢餓に起因する栄養制限;及びスペーストラベルが挙げられるがこれらに限定されない。年齢及びホルモン関連の骨損失(骨粗鬆症)もまた含まれる。
さらに別の実施形態において、CRF2R調節性障害の処置としては、高血圧、うっ血性心不全、心臓発作から生じる心臓への傷害、虚血再灌流障害、発作、片頭痛、記憶喪失、アルツハイマー病、痴呆などが挙げられるがこれらに限定されない、心臓及び循環系に影響する障害が挙げられる。
さらに別の実施形態において、CRF2R調節性障害の治療としては、詳細には変形性関節症及び関節リウマチにおける関節炎が挙げられるがこれらに限定されない、関節に影響する障害が挙げられる。
さらに別の実施形態において、CRF2R調節性障害の治療としては、肥満及び糖尿病を含む代謝性疾患が挙げられる。
さらに別の実施形態において、CRF2R調節性障害の治療としては、以下が挙げられる:疼痛軽減;腫脹軽減;アレルギー反応;アレルギー;体温低下;食欲減退;うっ血性心不全;ストレス及び不安;望ましくない低レベルの副腎皮質刺激ホルモン(「ACTH」)分泌の変更;食欲、覚醒状態及び認知機能の制御;ならびに不安障害、拒食症及び憂鬱性抑うつのようなストレスの長期間の影響を防止すること。
「治療(treatment)」という用語は、本明細書において、哺乳動物被験体、好ましくはヒトにおいてCRF2R調節性障害を軽減する、本発明のペプチドの最小限の投与を意味する。従って、「治療」という用語は:CRF2R調節性障害が哺乳動物において生じることを、特に、この哺乳動物がCRF2R調節性障害に罹る素因があるが、まだこの疾患であると診断はされていない場合、予防すること;CRF2R調節性障害を阻害すること;及び/又はCRF2R調節性障害を緩和もしくは逆転することを含む。本発明の方法がCRF2R調節性障害を防止することに関する限り、「予防する(prevent)」という用語は、CRF2R調節性障害が完全に妨げられることを必要としないことが理解される(ウェブスターの大学生用辞典第9版(Webster's Ninth Collegiate Dictionary)を参照のこと)。むしろ、本明細書において用いる場合、「予防する(preventing)」という用語は、本発明のペプチド及びキットの投与をCRF2R調節性障害の症状の発現の前に行なうことができるように、当業者がCRF2R調節性障害に罹り易い集団を同定する能力をいう。特定のCRF2R調節性障害のリスクのある集団は容易に同定可能である。例えば、筋ジストロフィーを発症するリスクのある集団は、この障害の遺伝子特徴における変異を同定することによって決定することができる。例えば、そして以前に考察されたように、デュシェンヌ(Duchenne)型及びベッカー(Becker)型のジストロフィーは、Xp21遺伝子座に位置する、ジストロフィー遺伝子における変異の遺伝から生じる。これらの変異を保有する集団の個体は、筋ジストロフィーを発症するリスクにある。従って、患者集団は同定可能であり、そして疾患の進行の前に本発明のキットの組成物又は単位用量形態の投与を受けることができる。このように、このような個体における筋萎縮又は消耗の進行は、「予防される(prebented)」。
(核酸分子)
本発明はさらに、式(I)のペプチド、及びその変異体をコードする核酸分子を、好ましくは単離型で提供する。本明細書において用いる場合、「核酸(nucleic acid)」は、上記のように本発明のペプチドをコードするか、このようなペプチドをコードする核酸配列に相補的である、RNA又はDNAとして規定される。特に意図されるのは、ゲノムDNA、cDNA、mRNA及びアンチセンス分子、ならびに別の骨格に基づく核酸であり、又は天然の供給源に由来しようと、もしくは合成されようと代替的な塩基を含む。
本発明はさらに、核酸分子をコードするフラグメントを提供する。本明細書において用いる場合、核酸分子をコードするフラグメントとは、タンパク質コード配列全体の小部分をいう。フラグメントのサイズは、意図される用途によって決定される。例えば、このフラグメントが本発明のペプチドの活性部分をコードするように選択される場合、このフラグメントは、このペプチドの機能的領域をコードするのに十分な大きさである必要がある。
本発明の核酸分子をコードするフラグメント(すなわち、合成オリゴヌクレオチド)であって、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のプローブもしくは特定のプライマーとして、又は本発明のペプチドをコードする遺伝子配列を合成するために用いられるフラグメントは、化学的技術、例えば、マッテウッチ(Matteucci)ら、ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ケミカル・ソサイェティ(J.Am.Chem.Soc.)103:3185〜3191(1981)のホスホトリエステル法によって、又は自動化合成方法を用いて容易に合成できる。さらに、より大きいDNAセグメントを、周知の方法、例えば、遺伝子の種々のモジュラーセグメントを規定するオリゴヌクレオチドの群の合成、それに続く完全に改変された遺伝子を構築するためのオリゴヌクレオチドの連結によって、容易に調製することができる。
本発明のコードする核酸分子は、診断目的及びプローブの目的のための検出可能な標識を含むようにさらに改変されてもよい。このような様々な標識が当該分野で既知であり、本明細書に記載されるコード分子とともに容易に使用することができる。適切な標識としては、ビオチン、放射性標識ヌクレオチドなどが挙げられるがこれらに限定されない。当業者は、本発明の核酸分子の標識された変異体を得るために任意のこのような標識を容易に使用することができる。翻訳間にこのタンパク質配列中に取り込まれるアミノ酸の欠失、付加又は変更によって、このタンパク質の活性を破壊することなく、一次構造自体に対する改変がなされ得る。このような置換又は他の変更によって、本発明の意図する範囲内におさまる核酸によってコードされるアミノ酸配列を有するタンパク質が得られる。
(ペプチドの調製、又はペプチドを発現する細胞株)
本発明のペプチドは、CRF2R調節性障害の治療のための薬学的試薬としての使用が挙げられるがこれらに限定されない、様々な使用のために調製され得る。本発明の特定の実施形態については、精製されたペプチドが最も有用であるが、他の実施形態ではこのペプチドを発現する細胞株が最も有用であることが当業者には明白である。
式(I)のペプチドは短いポリペプチドであるので、当業者は本発明のペプチドが、当該分野で周知の技術を用いて、組み換え方法ではなく直接合成によって合成され得ることを認識する。以下を参照のこと:ボダンスキー(Bodanszky)、ペプチド合成の原理(Principles of Peptide Synthesis)、シュプリンガー出版(Springer-Verlag)、ハイデルベルク(Heidelberg)(1984);及び、例えば、固相合成を介して、例えば、メリーフィールド(Merrifield)、ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ケミカル・ソサイェティ(J.Am.Chem.Soc.)85:2149〜54(1963);バラニー(Barany)ら、インターナショナル・ジャーナル・オブ・ペプチド・アンド・プロテイン・リサーチ(Int.J.Peptide Protein Res.)30:705〜739(1987);及び米国特許第5,424,398号。
例えば、ペプチドは、アプライド・バイオシステムズ・インコーポレイテッド(Applied Biosystem,Inc.)(ABI)のモデル(Model)433自動化シンセサイザー、又はプロテイン・テクノロジー・インコーポレイテッド(Protein Technology,Inc)(PTI)のマルチリアクターシンセサイザー(モデル シンフォニー(商標)(Symphony(商標))のいずれを用いて合成することもできる。ABIシンセサイザーを用いて合成されたペプチドに関して、全ての試薬はABIから購入する(ただし、ピペリジンは、アルドリッチ(Aldrich)から購入する)。Fmocアミノ酸は、ABIから購入する(ただし、Fmoc−L−Pyrは、ケム−インペック(Chem-Impek)から購入する)。リンク(Rink)アミド残基は、ノバ・ケミカルズ(Nova Chemicals)から購入する。単一の且つプリングを用いる標準的な0.1mmoleのFast Moc化学を用いる。SPPS(固相ペプチド合成)についての一般的なFmoc化学プロトコールは、:1)ピペリジンを用いたFmocタンパク質基の切断;2)アミノ酸のカルボキシル基の活性化;及び3)ペプチド結合を形成するための、樹脂結合したペプチド鎖のアミノ末端への活性化アミノ酸の且つプリングを含む。2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)を用いてアミノ酸を活性化する。カートリッジ中で乾燥保護したアミノ酸(1.0mmol)を、HBTU、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)を含有するN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)にさらにN−メチルピロリドン(NMP)を添加した溶液中で溶解する。活性化されたFmocアミノ酸はほぼ即時に形成され、そしてこの溶液を反応容器に直接移す。Fmoc脱保護の工程を伝導率測定によってモニターして制御する。C末端アミドが必要なので、リンク(Rink)アミド樹脂上にペプチド鎖を構築する。NMP及びジクロロメタン(DCM)を用いて、最終生成物を徹底的に洗浄する。
PTI多重シンセサイザーを用いて合成したペプチドに関して、全てのFmocアミノ酸はノババイオケム(NovaBiochem)から購入する(ただし、Fmoc−Pyrは、ケム−インペック(Chem-Impek)から購入する)。標準的な0.05mmoleのFmoc合成プロトコールを合成に用いる。Fmocアミノ酸(0.4mmol)をHBTU(200mM)、N−メチルモルホリノ(NMM,0.4M)及びN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)にさらにN−メチルピロリドン(NMP)を添加した溶液中で溶解する。活性化されたFmocアミノ酸はほぼ即時に形成され、そしてこの溶液を反応容器に直接移す。Fmoc脱保護の工程を2度、行なう。C末端アミドが必要なので、リンク(Rink)アミド樹脂上にペプチド鎖を構築する。NMP及びジクロロメタン(DCM)を用いて、最終生成物を徹底的に洗浄する。
新しく合成されたペプチドを脱保護する。合成されたペプチドを含む樹脂を、シンセサイザーから取り出して、短時間、風乾する。1.5〜2.0mlの切断カクテル(水中に95%トリフルオロ酢酸(TFA)、2.5%エタンジチオール、2.5%チオアニゾール、2.5%フェノール(w/v)を含有)を室温で4時間用いて、このペプチドを樹脂から切断して、同時に側鎖保護基[Asp、Glu、Tyr、Thr及びSerについて、O−t−ブチル(OtBu);Argについて、ペンタメチルクロマン−6−スルホニル(Pmc)、Trp及びLysについて、t−ブトキシカルボニル(Boc);His、Asn及びGlnについて、トリチル(Trt)]を脱保護条件下で除去する。切断溶液を、ろ過によって樹脂から分離する。次いで、この濾液を15mlの水で希釈する。6回のエーテル抽出を実施して、ペプチド生成物を洗浄する。このペプチドを凍結乾燥して、精製まで−20℃で保管する。
脱保護されたペプチドを精製して特徴付ける。ペプチド粉末を50%酢酸溶液中で溶解して、精製のために5μmの粒子サイズ、及び300Åの孔径を有するVydac1.0cm内径の25cm長のC−8カラムに注入する。二重の波長(220nm及び280nm)の紫外検出器を備える、ベックマンシステムゴールド(Beckman System Gold)の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)システムを用いる。アセトニトリルの直線勾配をプログラムして、カラムに導入して、ペプチド産物を他の物質から分離する。溶出物をファルマシア(Pharmacia)フラクションコレクターで収集して、個々の分離画分を特徴付けのために分析的HPLC及び(マトリックス支援レーザーイオン化飛行時間型質量分析計)MALDI−TOF MSの両方に供して、同一性及び純度を確認した。
ペプチドの調製、又はこれらのペプチドを発現する細胞株の調製において、組み換えDNA技術の使用がまた意図される。このような組み換え方法は、当該分野で周知である。rDNA分子を生成するための方法は、当該分野で周知であり、例えば、サンブロック(Sambrook)ら、分子クローニング−実験室マニュアル(Molecular Cloning-A Laboratory Manual)、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press)(1989)を参照のこと。本発明の組み換えペプチドを発現するために、1つ以上の調節エレメントの制御下に目的のポリペプチドをコードする核酸を含む発現ベクターを調製する。本発明のペプチドをコードする核酸の配列は、本明細書において考察されるか又は請求されるペプチド配列から推定することができる。
当該分野で周知の方法によって、目的のペプチドをコードする単離された核酸分子は、適切な発現ベクター中に連結されてもよい。本発明の目的のために用いることができる宿主発現ベクター系としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:本発明のペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、組み換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNA、又はコスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌(例えば、イー・コリ(E.coli)、ビー・サブチルス(B.subtilis))のような微生物;本発明のペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む組み換え酵母発現ベクターで形質転換された酵母(例えばサッカロマイセス(Saccharomyces)、ピチア(Pichia));本発明のペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む組み換えウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)で感染された昆虫細胞系;本発明のペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む組み換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、タバコモザイクウイルス)で感染されるか、又は本発明のペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む組み換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)で形質転換された植物細胞系;あるいは哺乳動物細胞のゲノム由来のプロモーター(例えば、メタロチオネインプロモーター)、又は哺乳動物ウイルス由来のプロモーター(例えば、レトロウイルスLTR)を含み、且つさらに本発明のペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む組み換え発現構築物を保有する、哺乳動物細胞系(例えば、COS、CHO、HEK293、NIH3T3)。
細菌系において、ペプチドを発現するために意図する用途に依存して、多数の発現ベクターを有利に選択することができる。例えば、このようなタンパク質が大量に必要な場合、高レベルのタンパク質産物の発現を指向するベクターが望ましい。当業者は、融合タンパク質選択的カラム及び抗体カラム、ならびに非選択的な精製技術などの選択的精製技術を含む様々な方法論によって、このようなベクター構築物を生成し、且つこのタンパク質を精製することができる。
昆虫のタンパク質発現系において、バキュロウイルスであるエイ・カリフォルニカ(A.californica)核多角体病ウイルス(AcNPV)をベクターとして用いて、エス・フルギペルダ(S.frugiperda)細胞中で外来遺伝子を発現する。この場合、本発明のペプチドをコードするヌクレオチド配列を、ウイルスの非必須領域にクローニングして、AcNPVプロモーターの制御下におく。次いで、組み換えウイルスを用いて、細胞を感染し、ここで挿入された遺伝子を発現させて、このタンパク質を当業者に既知の多くの技術のうちの1つによって精製する。
哺乳動物宿主細胞において、多数のウイルスに基づく発現系を利用することができる。これらの発現系の利用はしばしば、挿入されたヌクレオチド配列の効率的な翻訳のために、ベクター中において特定の開始シグナルの作製を必要とする。これは特に、用いたヌクレオチド配列の一部が、内因性の開始シグナルを含まない場合に重要である。この開始シグナルの配置(挿入されたヌクレオチド配列のコード領域とインフレームである)、ならびに転写及び翻訳増強エレメントの付加、及び組み換えタンパク質の精製は、当業者に公知の多くの方法のうちの1つによって達成される。哺乳動物宿主細胞においてまた重要であるのは、組み換えタンパク質に必須の翻訳後修飾が可能である適切な細胞タイプの選択である。このような修飾、例えば、切断、リン酸化、グリコシル化、アセチル化などには、修飾酵素を含む適切な宿主細胞の選択を必要とする。このような宿主細胞としては、CHO、HEK293、NIH3T3、COS、などが挙げられるがこれらに限定されず、そしてこのような宿主細胞は当業者に既知である。
長期間の組み換えタンパク質の高発現、安定した発現が好ましい。例えば、本発明のペプチドを安定に発現する細胞株を操作してもよい。当業者は、エレクトロポレーション、リン酸カルシウムトランスフェクション、又はリポソーム媒介トランスフェクションのような既知の方法に従って、本発明のペプチドを安定に発現する細胞株を生成することができる。これは、適切な発現制御エレメント(例えば、プロモーター配列、エンハンサー配列、転写終止配列、ポリアデニル化部位、翻訳開始部位など)選択マーカー、及び目的の遺伝子を含む発現ベクターを用いて細胞をトランスフェクトすることによって、通常達成される。選択マーカーは、目的の遺伝子と同じベクター内に含まれてもよいし、このペプチドをコードする配列を含むベクターと同時にトランスフェクトされる別のベクターに含まれてもよい。発現ベクター中の選択マーカーは、選択に対して耐性を付与し得、そして細胞がその染色体にこのベクターを安定に組み込み、増殖してフォーカスを形成することを可能にし、これを次にクローニングして細胞株に増殖させることができる。あるいは、発現ベクターによって、マーカーの物理的属性を利用する選択マーカーを発現する細胞の選択を可能にすることができる。すなわち、緑色蛍光タンパク質(GFP)の発現によって、蛍光表示式細胞分取(FACS)分析を用いて、マーカーを発現する細胞の選択が可能になる。
当業者は、目的の配列が首尾よく組み込まれている細胞の選択を可能にするために、トランスフェクションに適切な細胞タイプを選択することができる。例えば、選択マーカーが、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ又はアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼである場合、適切な細胞タイプは、それぞれ、tk−細胞、hgprt−細胞又はaprt細胞である。又は、選択マーカーがそれぞれ、メトトレキセート、マイコフェノール酸、G418又はハイグロマイシンに対して耐性を付与するdhfr、gpt、neo又はhygroである場合、正常な細胞を用いてもよい。
(抗体の調製)
本発明のペプチドの1つ以上のエピトープを選択的に認識する抗体も、本発明に包含される。このような抗体としては、例えば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト抗体、単鎖抗体、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、Fab発現ライブラリーを用いて生成された分子、トランスジェニックマウスで生成されたヒト抗体(ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体)、及び上記のいずれかのエピトープ結合フラグメントが挙げられる。
この抗体を遺伝子治療技術と組み合わせて利用して、例えば、これらの遺伝子が導入されている細胞で、又は患者組織で直接、本発明のペプチドの発現を評価することができる。
抗体の生成のためには、当該分野で周知の方法により、本発明のペプチド、抗ペプチドアナログ抗体、又はそれらの免疫原性フラグメントを用いた注射によって、様々な宿主動物を免疫してもよい。抗イディオタイプ抗体の調製のために、免疫原は、抗ペプチド抗体又は抗ペプチドアナログ抗体である。抗イディオタイプ抗体の産生は、例えば、米国特許第4,699,880号に記載されている。適切な宿主動物としては、ウサギ、マウス、ヤギ、ヒツジ及びウマが挙げられるがこれらに限定されない。免疫技術は、当該分野で周知である。ポリクローナル抗体は、免疫動物の血清から精製してもよいし、またモノクローナル抗体は、当該分野で周知の方法によって生成することもできる。これらの技術としては以下が挙げられるがこれらに限定されない:コーラー(Kohler)及びミルステイン(Milstein)の周知のハイブリドーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術、及びEBVハイブリドーマ技術。モノクローナル抗体は、κ又はλの軽鎖のいずれかを含む、IgG、IgE、IgM、IgA及びIgDを含む、任意の免疫グロブリンクラスのうちの1つであってもよい。キメラ抗体を作製し且つ用いる技術は、当該分野で既知であり、そして例えば、米国特許第5,807,715号;同第4,816,397号;同第4,816,567号;同第5,530,101号;同第5,585,089号;同第5,693,761号;同第5,693,762号;同第6,180,370号;同第、及び5,824,307号に記載されている。
(CRF2R選択性を決定するアッセイ)
本発明のペプチドの薬理学的活性及び選択性は、公開された試験手順を用いて決定することができる。例えば、米国特許出願第09/799978号を参照のこと。CRF2R及びCRF1Rは、相同なタンパク質であるので、CRF2Rのアゴニストの特定の割合がまたCRF1Rのアゴニストとして機能することが予想される。上記で考察したように、CRF1Rの活性は、HPA系の活性化を誘導する。なぜならコルチコステロイド産生の増大は、骨格筋萎縮をもたらすからである。筋量又は筋機能の増大が所望されるほとんどの場合、HPA系を活性化することは所望されない。筋ジストロフィーに関連しない、CRF2R調節性障害の治療に有用なペプチドを選択する場合、このペプチドがCRF2Rに選択性であることが好ましい。好ましくは、このペプチドは、CRF2R対CRF1Rについて10倍の選択性(すなわち、CRF1Rに対してよりもCRF2Rに対して10倍大きい活性)、より好ましくは100倍の選択性、そして最も好ましくは1000倍以上の選択性を示す。公表された研究では、筋ジストロフィーの治療におけるコルチコステロイド療法の利益が実証されているので、CRF2Rアゴニストは、筋ジストロフィーを治療するために用いられる場合、同じレベルのCRF1Rアゴニズムを保持しているという利点があるかもしれない。従って、筋ジストロフィーの治療のためには、同様の濃度範囲にわたって、CRF2R及びCRF1Rを活性化する選択性のさらに低いペプチドが好ましい。好ましくは、このペプチドは、CRF2R対CRF1Rについて100倍選択性であり、より好ましくはCRF2R対CRF1Rについて10倍選択性、そして最も好ましくは選択性でない(すなわち、この候補化合物の活性は実質的に、CRF2R及びCRF1Rについて同様である)。また、この場合、ペプチドがCRF2Rの完全なアゴニストであるが、CRF1Rの部分的なアゴニストであることがさらに好ましいかもしれない。従って、このようなペプチドは、コルチゾール上昇の最大程度及び筋萎縮の可能性に対する本来備わった限界を有するが、一方CRF2Rを通して調節された抗萎縮効果はこの用量を増大することによって強化することができる。当業者は、当該分野で既知の方法を用いてペプチドがCRF1R又はCRF2Rの完全なアゴニストであるか又は部分的アゴニストであるかを容易に決定することができる。
CRF1Rと比べて、CRF2Rの間の結合を識別することが所望されるので、上記のアッセイは、CRF2Rのみを発現する細胞もしくは細胞由来の膜を用いて行なってもよいし、又はこのアッセイは、CRF2Rの組み換え供給源を用いて実施することもできる。両方の形態のCRFRを発現する細胞を、相同組み換えを用いて改変して、CRF1R遺伝子を不活性化かさもなければ無効にしてもよい。あるいは、CRFRの供給源が、2つ以上のCRFRタイプを含む場合、目的としないレセプターによって生成されたバックグラウンドシグナルを、このアッセイで得られたシグナルから差引きしなければならない。バックグラウンドの応答は多くの方法によって決定することができる。この方法としては、アンチセンス、抗体又は選択性アンタゴニストの使用による、目的でないCRFRからのシグナルの除去が挙げられる。CRFRの既知のアンタゴニストとしては、アンタラルミン(antalarmin)(CRF1R選択性)、アンチソーバジン(antisauvagine)−30(CRF2R選択性)及びアストレッシン(astressin)(CRF1R/CRF2Rについて非選択性)が挙げられるがこれらに限定されない。
ペプチドがCRF2R及び/又はCRF1Rを活性化するか否かを決定するため、このアッセイは代表的には細胞ベースである;しかし、上記のようなアゴニスト及びアンタゴニスト結合を識別することができる無細胞アッセイが既知である。細胞ベースのアッセイは、CRF1R又はCRF2Rを発現する細胞を、本発明のペプチド又はコントロールと接触させる工程、及びCRFRシグナル伝達経路の成分の発現又は活性を測定することによって、CRFRの活性を測定する工程を含む。
上記の背景の節に記載したとおり、CRFRは、細胞タイプに依存して、Gαs、Gαq又はGαiを含むいくつかの異なる経路を通じて且つプリングするようである。CRFRのアゴニスト活性によって、レセプターはこれらのいずれかの経路を介してシグナル伝達することが可能になると考えられるが、これは、この経路の必須の成分が、この特定の細胞タイプに存在する条件下である。従って、CRFR活性化のための本発明の特定のペプチドをアッセイするために、インビボにおける治療のための適切な細胞タイプが、異なる経路を介して骨格筋萎縮に対するCRFRに結合する場合でさえ、アッセイには、読み取りとして任意のシグナル伝達経路を使用することができる。当業者は、レセプター活性が測定された経路と独立して、あるアッセイが、有用なペプチドアゴニストを同定するために有用であることを理解する。これらのシグナル伝達経路の活性化を測定するためのアッセイは当該分野で既知である。
例えば、本発明のペプチドとの接触後、細胞の溶解物を調製してcAMPの誘導のためにアッセイすることができる。cAMPは、Gαs活性化に応答して誘導される。GαsはCRFR以外のレセプターによって活性化され、そして試験ペプチドはCRFRを通じて、又は別の機構によってその効果を発揮し得るので、2つのコントロール比較は、このペプチドがCRFRの活性化を介してcAMPのレベルを増大させるか否かを決定するために適切である。1つのコントロールは、このペプチドと接触された細胞のcAMPレベル、及びコントロール化合物(すなわち、ペプチドが溶解されているビヒクル)と接触された細胞のcAMPレベルを比較する。ペプチドがコントロール化合物に対してcAMPレベルを増大する場合、このペプチドが、いくつかの機構によってcAMPを増大させていることが示される。他のコントロールは、CRFR発現細胞株のcAMPレベル、及びCRFRを発現しないこと以外は実質的に同じである細胞株のcAMP発現レベルを比較する(ここでこの細胞株の両方がこのペプチドで処理されている)。このペプチドが、CRFRを発現しない細胞株に対して、CRFR発現細胞株においてcAMPレベルを上昇させる場合、このペプチドがCRFRの活性化を介してcAMPを上昇させることが示される。
1つの実施形態において、cAMP誘導は、CRFRを発現する細胞中に導入することができる、様々なレポーター遺伝子のいずれかに連結されたcAMP応答性エレメントを含有するDNA構築物の使用によって測定される。このようなレポーター遺伝子としては、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、ルシフェラーゼ、グルクロニドシンテターゼ、成長ホルモン、蛍光タンパク質(例えば、緑色蛍光タンパク質(Green Fluorescent Protein))、又はアルカリホスファターゼが挙げられるがこれらに限定されない。ペプチドに対して細胞を曝した後、レポーター遺伝子発現のレベルを定量して、ペプチドがcAMPレベルを増大する能力を決定することが可能で、これによってこのペプチドがCRFRを活性化する能力を決定することができる。
このアッセイで有用な細胞は、活性化アッセイで利用される細胞が好ましくは、CRF又は1つ以上のCRFアナログに対して統計学的に有意な応答を生じる機能的レセプターを発現することを除けば、上記のCRFR結合アッセイと同じである。全長CRFRを発現する細胞を用いることに加えて、細胞を操作して、レポーターエレメントに結合するか、又はレポーターエレメントを含むように、もしくはシグナル伝達タンパク質と相互作用するように、物理的に改変されたレセプターのリガンド結合ドメインを含むCRFRを発現させてもよい。例えば、野生型CRFR又はCRFRフラグメントを、Gタンパク質に融合して、これがこの融合タンパク質のGRFR部分に対するアゴニスト結合の際に、この融合されたGタンパク質の活性を生じることもできる。シーフェルト・アール(Siefert,R.)ら、トレンズ・イン・ファーマコロジカル・サイエンス(Trends Pharmacol.Sci.)20:383〜389(1999)。この細胞はまた好ましくは、例えば、CRFレポーター遺伝子の強力な誘導を検出するためにCRF又はCRFアナログによる誘導性応答を最大化するように、読み取り値に依存して多数の特徴を保有する;(a)低い天然のレベルのcAMP;(b)CRFRと相互作用し得るGタンパク質;(c)高レベルのアデニリルシクラーゼ;(d)高レベルのプロテインキナーゼA;(e)低レベルのホスホジエステラーゼ;及び(f)高レベルのcAMP応答エレメント結合タンパク質が有利である。CRF又はCRFアナログに対する応答を増大するように、宿主細胞を操作して、より大量の好ましい因子を発現させるか、又は望ましくない因子の発現を少量にさせることができる。さらに、CREレポーターの誘導のための別の経路を、基礎レベルを低下するように排除してもよい。
(薬理学的な活性を決定するためのアッセイ)
本発明のペプチドの薬理学的な活性を、公表された試験手順を用いて決定することができる。例えば、骨格筋の萎縮又は肥大のモデルとしては、骨格筋萎縮のインビトロ細胞培養モデル及びインビボ動物モデルの両方が挙げられる。
骨格筋萎縮のインビトロモデルは、当該分野で既知である。このようなモデルは、例えば、以下に記載されている:ファンデンベルク・エイチ・エイチ(Vandenburgh,H.H.)、インビトロ(In Vitro)、24:609〜619(1988)、ファンデンベルク・エイチ・エイチ(Vandenburgh,H.H.)ら、ジャーナル・オブ・バイオメカニクス(J.Biomechanics)、24補遺1:91〜99(1991)、ファンデンベルク・エイチ・エイチ(Vandenburgh,H.H)ら、インビトロ・セルラー・アンド・デベロップメンタル・バイオロジー(In Vitro Cell. Dev. Biol.)、24(3):166〜174(1988)、クロミアク・ジェイ・エイ(Chromiak,J.A.)ら、インビトロ・セルラー・アンド・デベロップメンタル・バイオロジー・アニマル(In Vitro Cell.Dev.Biol.Anim.)、34(9):694〜703(1998)、シャンスキイ・ジェイ(Shansky,J.)ら、インビトロ・セルラー・アンド・デベロップメンタル・バイオロジー・アニマル(In Vitro Cell.Dev.Biol.Anim.)、33(9):659〜661(1997)、ペロン・シー・イー(Perrone,C.E.)ら、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)270(5):2099〜2106(1995)、クロミアク・ジェイ・エイ(Chromiac,J.A.)及びファンデンベルク・エイチ・エイチ(Vandenburgh,H.H.)、ジャーナル・オブ・セル・フィジオロジー(J.Cell.Physiol.)、159(3):407〜414(1994)及びファンデンベルク・エイチ・エイチ(Vandenburgh,H.H.)及びカーリッシュ・ピー(Karlisch,P.)、インビトロ・セルラー・アンド・デベロップメンタル・バイオロジー(In Vitro Cell.Dev.Biol.)、25(7):607〜616(1989)。
骨格筋萎縮についての様々な動物モデル、例えば、以下の参考文献に記載される動物モデルが当該分野で既知である:エルビソン・ジー・ジェイ(Herbison,G.J.)ら、アーカイブ・オブ・フィジカル・メディシン・アンド・リハビリテーション(Arch.Phys.Med.Rehabil.)60:401〜404(1979)、アッペル・エイチ・ジェイ(Appell,H-J.)スポーツ・メディシン(Sports Medicine)10:42〜58(1990)、ハッセルグレン・ピー・オー(Hasselgren,P-O.)及びフィッシャー・ジェイ・エイチ(Fischer,J.E.)ワールド・ジャーナル・オブ・サージェリー(World J.Surg.)22:203〜208(1998)、アグベニエガ・イー・ティー(Agbenyega,E.T.)及びワレンハム・エー・シー(Wareham,A.C.)コンパラティブ・バイオケミストリー・アンド・フィジオロジー(Comp.Biochem.Physiol.)102A:141〜145(1992)、トマソン・ディー・ビー(Thomason,D.B.)及びブース・エフ・ダブリュ(Booth、F.W.)ジャーナル・オブ・アプライド・フィジオロジー(J.Appl.Physiol.)68:1〜12(1990)、フィッツ・アール・エイチ(Fitts,R.H.)ら、ジャーナル・オブ・アプライド・フィジオロジー(J.Appl.Physiol.)60:1946〜1953(1986)、ブラマンチ・ピー(Bramanti,P.)ら、イタリアン・ジャーナル・オブ・アナトミー・アンド・エンブリオロジー(Int.J.Anat.Embryol.)103:45〜64(1998)、カルッティー・ジー・ディー(Cartee,G.D.)ザ・ジャーナル・オブ・ゲロントロジー・シリーズ・エイ・バイオロジカル・サイエンス・アンド・メディカル・サイエンス(J.Gerontol.A Biol.Sci.Med.Sci.)、50:137〜141(1995)、コーク・エル・シー(Cork,L.C.)ら、プログレス・イン・クリニカル・アンド・バイオロジカル・リサーチ(Prog.Clin.Biol.Res.)229:241〜269(1987)、ブース・エフ・ダブリュ(Booth,F.W.)及びゴルニック・ピー・ディー(Gollnick,P.D.)メディシン・アンド・サイエンス・イン・スポーツ・アンド・エクササイズ(Med.Sci.Sports Exerc.)、15:415〜420(1983)、ブルームフィールド・エス・エイ(Bloomfield,S.A.)メディシン・アンド・サイエンス・イン・スポーツ・アンド・エクササイズ(Med.Sci.Sports Exerc.)29:197〜206(1997)。これらのモデルのための好ましい動物は、マウス及びラットである。これらのモデルとしては、肢を型固定(キャスティング)するかさもなければ固定すること、後肢懸垂、完全な動物の不動化、及び重力状態の軽減のような、例えば、非活動誘導性萎縮のモデルが挙げられる。神経障害誘導性の萎縮のモデルとしては、例えば、神経挫滅、特定の筋を支配する神経の一部の除去、神経への毒素の付与、及びウイルス、細菌又は真核生物感染性因子による神経の感染が挙げられる。グルココルチコイド誘導性萎縮のモデルとしては、動物に対する外因性グルココルチコイドの萎縮誘導用量の付与、例えば、視床下部−下垂体−副腎(HPA)系を活性化するホルモンの付与による、内因性コルチコステロイド産生の刺激が挙げられる。敗血症誘導性萎縮のモデルとしては、例えば、細菌のような敗血症誘導性の生物体での接種、細菌細胞壁抽出物又は内毒素(エンドトキシン)のような免疫活性化化合物による動物の治療、及び腸壁の穿刺が挙げられる。悪液質誘導性萎縮のモデルとしては、例えば、悪液質形成能を有する腫瘍形成性細胞による動物への接種、悪液質を生じる感染性因子(例えば、AIDSを生じるウイルス)を用いた動物の感染、及び悪液質を誘導する、CNTF、TNF、IL−6、IL−1などのようなホルモン又はサイトカインによる動物の治療が挙げられる。心不全誘導性萎縮のモデルとしては、心不全が骨格筋萎縮を伴って生じるような動物の操作が挙げられる。神経変性性疾患誘導性萎縮のモデルとしては、自己免疫動物モデル、例えば、神経成分による動物の免疫から生じるモデルが挙げられる。萎縮の筋ジストロフィー誘導性モデルとしては、筋ジストロフィーの天然の又は人為的な遺伝的に誘導されたモデル、例えば、Mdxマウスで生じるジストロフィン遺伝子の変異が挙げられる。
骨格筋肥大の動物モデルとしては、例えば、反対側の脚の不活動に起因する脚筋肉使用の増大のモデル、非活動性萎縮誘導性事象後の再秤量、一過性の神経損傷による萎縮した筋肉の再利用、協力筋の不活動に起因する選択的筋肉の使用増大(例えば、代償的肥大)、筋肉に位置する負荷の増大に起因する筋利用の増大、及びグルココルチコイド誘導性萎縮後のグルココルチコイドの除去から生じる肥大が挙げられる。好ましい動物の萎縮モデルとしては、坐骨神経除神経萎縮モデル、グルココルチコイド誘導性萎縮モデル、及び以下にさらに詳細に記載される脚の型固定による非活動萎縮モデルが挙げられる。
坐骨神経除神経萎縮モデルは、動物を麻酔すること、その後の右又は左の坐骨神経のいずれかの短いセグメントの外科的な除去を含み、例えば、マウスでは、坐骨神経を、大腿骨のほぼ中間点で取り出して、3〜5mmのセグメントを取り出す。これによって下肢の筋肉を除神経して、これらの筋肉の萎縮を生じる。代表的には、大腿二頭筋に対する神経支配は、事実上正常な歩行運動のための膝の満足な動きを提供するようにインタクトなままである。代表的には、未治療の動物では、除神経された筋肉の筋量は、除神経後に30〜50%低下する。除神経後、試験ペプチドを、例えば注射、又は例えば、浸透圧ミニポンプ(例えば、アルゼット(Alzet)、パロ・アルト(Palo Alto)、カリフォルニア)の埋め込みを介する持続注入によって投与して、除神経誘導性骨格筋萎縮に対する試験ペプチドの影響を決定する。除神経後の種々の時点で、動物を安楽死させて、下肢の筋肉を、除神経した脚及び除神経していない脚の両方から迅速に切り出し、この筋肉から腱及び結合組織を除去して、秤量する。罹患した筋肉における萎縮の程度を、例えば、筋質量、筋断面積、筋原繊維断面積、又は収縮性タンパク質含量の測定によって解析する。
グルココルチコイド誘導性萎縮モデルは、試験動物に対するグルココルチコイド(例えば、飲料水中に1.2mg/kg/dayのデキサメタゾン)の投与を含む。代表的には、未治療の動物では、骨格筋の量は、デキサメタゾン投与の10日後に30〜50%低下する。グルココルチコイド投与に付随して、又はその後に、試験ペプチドを、例えば、注射、又は持続注入によって投与して、グルココルチコイド誘導性骨格筋萎縮に対するその試験ペプチドの影響を決定する。グルココルチコイド投与後の種々の時点で、罹患した筋肉における萎縮の程度を、除神経モデルについて上記したように解析する。
脚の型固定による非活動性萎縮モデルは、膝下から足に及ぶ動物の後肢の1つの型固定を含む。代表的には、筋量は型固定の10日後に20〜40%低下する。型固定後、試験ペプチドを、注射、又は浸透圧ミニポンプ(例えば、アルゼット(Alzet)、パロ・アルト(Palo Alto)、カリフォルニア)の埋め込みを介する持続注入によって投与して、型固定誘導性骨格筋萎縮に対する試験ペプチドの影響を決定する。脚の型固定後の種々の時点で、除神経モデルについて上記されたように、罹患した筋肉における萎縮の程度を解析する。
本発明のペプチドの骨活性は、骨容積、骨質量又は骨密度を増大する本発明の化合物の能力を試験するようにデザインされたアッセイを用いて、都合よく実証することができる。このようなアッセイの例は、卵巣切除ラットアッセイである。
卵巣切除されたラットアッセイにおいては、6ヶ月齢のラットを卵巣切除して、2ヶ月おき、次いで試験化合物を1日に1回皮下投与する。試験の完了時に、骨量及び/又は密度を、二重エネルギーX線吸収測定法(DXA)又は末梢骨定量的コンピュータートモグラフィー(pQCT)、又はマイクロコンピュータートモグラフィー(mCT)によって測定することができる。あるいは、静的組織形態測定及び動的組織形態測定を用いて、骨容積又は骨形成の増大を測定することができる。
(組成物)
本発明の別の局面は、以下を含む組成物である:(a)本発明の安全且つ有効な量のペプチド;及び薬学的に受容可能なキャリア。レミントンの薬学書(Remington's Pharmaceutical Sciences)、マック・パブリッシング・カンパニー(Mack Publishing Company)、ペンシルバニア州、イーストン(Easton,Pa.)最終版に開示されるような、標準的な薬学的処方の技術が用いられる。
「安全且つ有効な量(safe and effective amount)」とは、治療されるべき条件で正の改変を有意に誘導するのに十分であるが、それが必要な動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒト被験体において重篤な副作用(例えば、毒性、刺激作用、又はアレルギー応答)を回避するのに十分低く、本発明の方式で用いた場合、合理的な利点/リスクの比に相応する、本発明のペプチドの量を意味する。特定の「安全且つ有効な量」とは、明らかに、治療されている特定の状態と同じ因子、被験体の物理的状態、治療の期間、併用している療法(もしあれば)の性質、用いられる特定の投薬形態、使用されるキャリア、その場所でのペプチドの溶解性、及びこの組成物に所望される投与レジメンによって変化する。当業者は、本発明に従って、以下の技術を用いて、「安全且つ有効な量」を決定することができる。スピルカー・ビー(Spilker B.)、臨床研究及び開発プロトコールのガイド(Guide to Clinical Studies and Developing Protocols)、ラバン・プレス・ブック・エルティーディー(Raven Press Books,Ltd.)、ニューヨーク(New York)、1984、pp.7〜13、54〜60;スピルカー・ビー(Spilker B.)、クリニカルトライアルガイド(Guide to Clinical Trials)、ラバン・プレス・ブック・エルティーディー(Raven Press,Ltd.)、ニューヨーク(New York)、1991、pp.93〜101;クレイグ・シー(Craig C.)及びアール・スティッツェル(R.Stitzel)編、現代薬理学(Modern Pharmacology)、第二版、リトル・ブラウン・アンド・コーポレイテッド(Little、Brown and Co.)、ボストン(Boston)、1986、pp.127〜33;ティー・スペート(T.Speight)編、アベリーズ薬物治療:臨床薬理学及び治療の原理及び実践(Avery’s Drug Treatment: Principles and Practice of Clinical Pharmacology and Therapeutics)第3版、ウィリアムス・アンド・ウィルキンス(Williams and Wilkins)、ボルチモア(Baltimore)、1987、pp.50〜56;アール・タラリダ(R.Tallarida)、アール・ラファ(R.Raffa)及びピー・マクゴニグル(P.McGonigle)、一般薬理学における原理(Principles in General Pharmacology)、シュプリンガー出版(Springer-Verlag)、ニューヨーク(New York)、1988、pp.18〜20。
本発明のペプチドに加えて、本発明の組成物は、薬学的に受容可能なキャリアを含む。「薬学的に受容可能なキャリア(pharmaceutically-acceptable carrier)」という用語は、本明細書において用いる場合、1つ以上の適合可能な固体又は液体の充填剤希釈剤又はカプセル化物質であって、動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトへの投与に適切なものを意味する。「適合する(compatible)」という用語は、本明細書において用いる場合、この組成物の成分が、本発明のペプチドと混合可能であり、且つこのとき、通常の使用状況のもとでこの組成物の薬学的有効性を実質的に低下させる相互作用がないような方式でお互いに混合することが可能であることを意味する。薬学的に受容可能なキャリアは、当然ながら、動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくは治療されているヒトに対する投与に適切になるように、実質的に高純度で且つ十分に低い毒性でなければならない。
薬学的に受容可能なキャリア又はその成分として働くことができる物質のいくつかの例は、以下である:糖、例えばラクトース、グルコース及びスクロース;デンプン、例えば、コーンスターチ及びジャガイモデンプン;セルロース及びその誘導体、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、及びメチルセルロース;粉末トラガカント;モルト;ゼラチン;滑石;固形潤滑剤、例えば、ステアリン酸及びステアリン酸マグネシウム;硫酸カルシウム;植物油、例えば、ピーナツオイル、綿実油、ゴマ油、オリーブオイル、コーン油及びカカオ脂;ポリオール、例えば、ポリエチレングリコール、グリセリン、ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコール;アルギン酸;乳化剤、例えば、Tweens(登録商標);湿潤剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム;着色剤;着香料;錠剤化剤、安定化剤;抗酸化剤;防腐剤(保存剤);パイロジェン(発熱物質)を含まない水;等張生理食塩水;ならびにリン酸緩衝液。
本発明の化合物と組み合わせて用いられる薬学的に受容可能なキャリアの選択は基本的に、このペプチドが投与されるべき方法によって決定される。
本発明のペプチドが注射される場合、好ましい薬学的に受容可能なキャリアは滅菌の生理食塩水であって、血液適合性のコロイド性懸濁化剤を有し、そのpHは約7.4に調節されている、生理食塩水である。
詳細には、全身投与のために薬学的に受容可能なキャリアとしては、糖、デンプン、セルロース及びその誘導体、モルト、ゼラチン、滑石、硫酸カルシウム、植物油、合成潤滑油、ポリオール、アルギン酸、リン酸緩衝液、乳化剤、等張生理食塩水、及びパイロジェン(発熱物質)を含まない水が挙げられる。非経口投与のための好ましいキャリアとしては、プロピレングリコール、オレイン酸エチル、ピロリドン、エタノール及びゴマ油が挙げられる。好ましくは、薬学的に受容可能なキャリアは、非経口投与のための組成物中に、この総組成物の少なくとも約90重量%含む。
本発明の組成物は好ましくは、単位投薬形態で提供される。本明細書において用いる場合、「単位投薬形態(unit dosage form)」とは、優良な医療行為に従って、動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒト被験体に対する投与に適切である式(I)のペプチドのある量を、単回用量中に含む本発明の組成物である。これらの組成物は好ましくは、約0.1mg(ミリグラム)〜約1000mg、より好ましくは、約0.5mg〜約500mg、より好ましくは約1mg〜約30mgの式(I)のペプチドを含む。
本発明の組成物は、例えば、経口投与、直腸投与、局所投与、経鼻投与、眼の投与又は非経口投与に適切な任意の様々な形態であってもよい。所望の投与の特定の経路に依存して、当該分野で周知の様々な薬学的に受容可能なキャリアを用いてもよい。これらのキャリアとしては、固体又は液体の充填剤、希釈剤、ヒドロトロープ(hydrotrope)、界面活性剤、及びカプセル化物質が挙げられる。式(I)のペプチドのCR2HRアゴニスト活性を実質的に邪魔しない、薬学的に受容可能な材料が必要に応じて含まれてもよい。式(I)のペプチドと組み合わせて使用されるキャリアの量は、式(I)のペプチドの単位用量あたりの投与のための実際的な量を提供するのに十分である。本発明の方法において有用な投薬形態を作製するための技術及び組成物は、以下の引用文献に記載される:現代薬剤学(Modern Pharmaceutics)第9章及び10章(バンカー(Banker)&ロード(Rhode)編、1979);リーバーマン(Lieberman)ら、薬剤投薬形態(Pharmaceutical Dosage Forms):錠剤(Tablets)(1981);及びアンセル(Ansel)、薬剤投薬形態の紹介(Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms第二版(1976)。
種々の経口投薬形態を用いることができるが、これには錠剤、カプセル、顆粒及びバルク粉末のような固体形態が挙げられる。これらの経口形態は、安全且つ有効な量、通常少なくとも約5%、そして好ましくは約25%〜約50%のペプチドを含む。錠剤は、圧縮されても、粉薬錠剤でも、腸溶性コーティングされても、糖衣錠であっても、フィルムコーティングされても、多重圧縮されてもよく、これには、適切な結合剤、潤滑剤、希釈剤、崩壊剤、着色剤、着香料、流動化剤(flow-inducing agents)及び溶融剤を含む。液体の経口投薬形態としては、水溶液、エマルジョン、懸濁液、溶液、及び/又は非発泡性顆粒(non-effervescent granules)から再構成された懸濁液、発泡性顆粒から再構成された発泡性調製物が挙げられ、これは、適切な溶媒、防腐剤(保存剤)、乳化剤、懸濁剤、希釈剤、甘味料、溶融剤、着色剤、及び着香料を含む。
経口投与のための単位投薬形態の調製に適切な薬学的に受容可能なキャリアは、当該分野で周知である。錠剤は代表的に以下を含む:従来の薬学的に適合するアジュバントを不活性希釈剤として、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、マンニトール、ラクトース及びセルロース;結合剤、例えば、デンプン、ゼラチン及びスクロース;錠剤分解物質、例えば、デンプン、アルギン酸及びクロスカルメロース(croscarmelose);潤滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸及び滑石。二酸化ケイ素のような流動促進剤を用いて、粉末混合物の流動特徴を改善することができる。FD&C色素のような着色剤を外観のために添加してもよい。甘味料及び着香料、例えば、アスパルテーム、サッカリン、メンソール、ペパーミント及び果実の香味は、チュアブル錠の有用なアジュバントである。カプセルは代表的には、上記で開示された1つ以上の固体希釈剤を含む。キャリア成分の選択は、本発明の目的にとっては重要ではない、味覚、費用及び保存期間のような二次的な項目に依存しており、当業者によって容易に行なうことができる。一般に、処方物は、ペプチド、ならびに胃の環境に対する保護及び腸内での生物学的に活性な材料の放出を可能にする不活性な成分を含む。
式(I)のペプチドを化学的に改変して、これによってその誘導体の経口送達が有効になるようにしてもよい。一般に、意図される化学的改変は、タンパク質分子自体に対する少なくとも1つの部分の付着であって、この部分が以下を可能にする付着である:(a)タンパク質分解の阻害;及び(b)胃又は腸からの血流への取り込み。また所望されるのは、タンパク質の全体的安定性の増大、及び身体内での循環時間の延長である。このような部分の例としては、:ポリエチレングリコール、エチレングリコール及びプロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、及びポリプロリンが挙げられる。ニューマーク(Newmark)ら、ジャーナル・オブ・アプライド・バイオケミストリー(J.Appl.Biochem.)4:185〜189(1982)。用いることができる他のポリマーは、ポリ−1,3−ジオキソラン及びポリ−1,3,6−チオキソカン(tioxocane)である。上記のような薬学的使用に好ましいのは、ポリエチレンエチレングリコール部分である。
放出の位置は、胃、小腸(十二指腸、空腸又は回腸)又は大腸であってもよい。当業者は、胃で溶解されないが、十二指腸又は腸の他のいずれかで材料を放出する利用可能な処方物を有する。好ましくは、この放出は、ペプチド(又は変異体)の保護によって、又は胃の中のような胃の環境を上回る生物学的に活性な材料の放出によって、胃の環境の有害な影響を回避する。
完全な胃の抵抗性を確実にするため、少なくともpH5.0まで不浸透性のコーティングが好ましい。腸コーティングとして用いられる、より一般的な不活性な成分の例は、酢酸トリメリト酸セルロース(CAT)、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCP)、HPMCP50、HPMCP55、ポリ酢酸フタル酸ビニル(PVAP)、オイドラギット(Eudragit)L30D、アクアテリック(Aquateric)、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、オイドラギット(Eudragit)L、オイドラギット(Eudragit)S及びセラック(Shellac)。これらのコーティングを、混合フィルムとして用いてもよい。
経口組成物はまた、液体溶液、エマルジョン、懸濁液などを含む。このような組成物の調製に適切な薬学的に受容可能なキャリアは、当該分野で周知である。シロップ、エリキシル、エマルジョン及び懸濁液のためのキャリアの代表的な成分としては、エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、液体スクロース、ソルビトール及び水が挙げられる。懸濁液については、代表的な懸濁剤としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アビセル(Avicel)(登録商標)RC−591、トラガカント、及びアルギン酸ナトリウムが挙げられる;代表的な湿潤剤としては、レシチン及びポリソルベート80が挙げられる;そして代表的な防腐剤(保存剤)としては、メチルパラベン及び安息香酸ナトリウムが挙げられる。経口液体組成物はまた、上記の甘味料、着香料及び着色剤などの1つ以上の成分を含んでもよい。
本発明の組成物は必要に応じて、他の活性剤を含んでもよい。活性剤の非限定的な例は、PCT国際公開特許WO99/15210に列挙される。
本発明の化合物の全身送達を行なうのに有用な他の組成物としては、舌下、口腔、坐剤、経鼻及び肺の投薬形態が挙げられる。このような組成物は代表的には、1つ以上の可溶性充填剤物質、例えば、スクロース、ソルビトール、及びマンニトール;ならびに結合剤、例えば、アカシア、微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロース、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む。流動促進剤、潤滑剤、甘味料、着色剤、抗酸化剤、及び上記の着香剤もまた含まれてもよい。
本発明の組成物はまた、例えば、被験体の表皮又は上皮の組織上に組成物を直接置くかもしくは塗布すること、又は「パッチ(patch)」を介して経皮的に、被験体に局所的に投与されてもよい。適切なパッチアプリケーターの例は、米国特許出願第10/054113号に記載されている。このような組成物としては、例えば、ローション、クリーム、溶液、ゲル及び固体が挙げられる。これらの局所組成物は、好ましくは、安全且つ有効な量、通常少なくとも約0.1%、そして好ましくは約1%〜約5%のペプチドを含む。局所投与のための適切なキャリアは好ましくは、持続的なフィルムとして皮膚の適切な位置に置かれたままであり、発汗又は水中への浸漬によって剥がれないように耐える。一般に、キャリアは、天然には有機であり、そしてその中にペプチドを分散又は溶解させることができる。キャリアとしては、薬学的に受容可能なエモリエント、乳化剤、肥厚剤、溶媒などが挙げられる。
(投与の方法)
本発明はまた、被験体に安全且つ有効な量のペプチドを投与することによって、ヒト又は他の動物被験体において、CRF2R調節性障害を治療する方法を提供する。本発明の方法は、上記の障害を予防又は治療するのに有用である。
本発明の組成物は、局所的又は全身的に投与され得る。全身適用としては、身体の組織へ式(I)のペプチドを導入する任意の方法、例えば、関節内投与(特に関節リウマチの治療)、くも膜下腔内投与、硬膜外投与、筋肉内投与、経皮投与、静脈内投与、腹腔内投与、皮下投与、経鼻投与、肺投与、舌下投与、直腸投与、及び経口投与が挙げられる。
投与されるペプチドの特定の投薬量、ならびに治療の期間、及び治療が局所的か全身的かは、相互に依存する。投薬量及び治療レジメンはまた、用いられる特定のペプチド、治療適応症、このペプチドが治療の必要な組織の部位で最小阻止濃度に達する能力、被験体の個々の属性(例えば、体重)、治療レジメンとのコンプライアンス、ならびに治療の任意の副作用の存在及び重篤度のような要因に依存する。
局所投与は、ペプチドを全身に送達するために、又は被験体を局所的に治療するために用いることができる。局所投与されるペプチドの量は、皮膚の感度、治療される組織のタイプ及び位置、投与される組成物及びキャリア(もしあれば)、投与される特定のペプチド、ならびに治療される特定の障害及び全身的(局所とは区別して)効果が所望される程度のような因子に依存する。
本発明のペプチドは、標的リガンドを用いることによって、治療の必要な特定の位置に標的することができる。例えば、筋ジストロフィーを治療するためにペプチドをフォーカスするためには、ペプチドを、当該分野で一般に理解されているように骨格筋マーカーと免疫反応性である抗体又はそのフラグメントと結合体化させる。標的リガンドはまた骨格筋に存在するレセプターに適切なリガンドであってもよい。意図される標的組織についてマーカーと特異的に反応する任意の標的リガンドを用いてもよい。標的リガンドに本発明の化合物を結合させるための方法は、周知であり、そしてキャリアに対する結合について以下に記載される方法と同様である。
式(I)のペプチドは、徐放性によって投与されてもよい。例えば、このペプチドは、静脈内注入、移植可能な浸透圧ポンプ、経皮パッチ、リポソーム、生体崩壊材料を含む皮下デポ注射、又は他の投与方式を用いて投与されてもよい。1つの実施形態において、ポンプを用いてもよい。ランガー(Langer)ら編、徐放性の医学適用(Medical Applications of Controlled Release)、CRC・プレス(CRC Pres.)、フロリダ州ボカ・ラトン(Boca Raton,Fla.)(1974);セフトン(Sefton)、CRC・クリティカル・レビュー・イン・バイオメディカル・エンジニアリング(CRC Crit.Ref.Biomed.Eng.)、14:201(1987);バックウォルド(Buchwald)ら、サージェリー(Surgery)、88:507(1980);ソーデック(Saudek)ら、ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディスン(N.Engl.J.Med.)321:574(1989)。別の実施形態において、ポリマー材料を用いてもよい。ランガー(Langer)、1974、前出;セフトン(Sefton)、1987、前出;スモーレン(Smolen)ら編、制御された薬物バイオアベイラビリティー、薬物作製デザイン及び能力(Controlled Drug Bioavailability,Drug Product Design and Performance)、ウィリー・エヌ・ワイ(Wiley,N.Y.)(1984);レンジャー(Ranger)ら、ジャーナル・オブ・マクロモレュラー・サイエンス・レビュー・イン・マクロモレキュラー・ケミストリー(J. Macromol.Sci.Rev.Macromol.Chem.)23:61(1983);以下も参照のこと:リービ(Levy)ら、サイエンス(Science)228:190(1985);ダーリング(During)ら、アナルズ・オブ・ニューロロジー(Ann.Neurol.)25:351(1989);ハワード(Howard)ら、ジャーナル・オブ・ニューロサージェリー(J. Neurosurg.)71:105(1989)。さらに別の実施形態において、徐放性システムを、治療標的の近位に配置してもよく、これによって全身用量のわずかな画分しか必要でなくなる。例えば、グッドソン(Goodson)の徐放性放出の医学的適用(Medical Applications of Controlled Release)第二巻、第115〜138頁(1984)を参照のこと。さらに別の実施形態において、ポリマーベースの薬物送達システムでは、薬物は、ポリマー又は脂質システムから送達される。これらのシステムは、以下の3つの一般的機構によって薬物を送達する:(1)このシステムから、又はこのシステムを通じた薬物種の拡散;(2)このシステムの分解をもたらす化学反応もしくは酵素反応、又はこのシステムからの薬物の切断;及び(3)このシステムの浸透性又は膨張のいずれかを通じた溶媒活性化。適切なシステムは、以下の引用文献に記載されている:ランガー(Langer)、ロバート(Robert)、「薬物送達及び標的化(Drug delivery and targeting)」、ネイチャー(Nature):392(補遺):5〜10(1996);クマー(Kumar)、マエティ・エヌ・ヴィー(Majeti N.V.)「徐放性薬物送達デバイスとしてのナノ粒子よびマイクロ粒子(Nano and Microparticles as Controlled Drug Delivery Devices)」J Pharm Pharmaceut Sci、3(2):234〜258(2000);ブランノン−ペパース(Brannon-Peppas)、「徐放性薬物送達におけるポリマー(Polymers in Controlled Drug Delivery)」、医療用プラスチック及び生体材料(Medical Plastics and Biomaterials)(1997年、11月)。また、ランガー(Langer)、1990、前出;Treatらの感染性疾患及び癌の治療におけるリポソーム(Liposomes in the Therapy of Infectious Disease and Cancer)、ロペス−ベレステイン(Lopez-Berestein)及びフィドラー(Fidler)編、リス(Liss)、ニューヨーク、353〜365頁(1989);ランガー(Langer)、サイエンス(Science)、249:1527〜1533(1990)も参照のこと。適切なシステムとしては、以下を挙げることができる:アトリックス・ラブズ(Atrix Labs)のアトリゲル(Atrigel)(商標)薬物送達システム;スカイファーマ(SkyPharma)のデポフォーム(DepoFoam)(商標);インファイムド・セラピューティクス・インコーポレイテッド(Infimed Therapeutics,Inc.)のポリエチレングリコールベースのヒドロゲル;マクロメド(MacroMed)のReGel(商標)、SQZGez(商標)経口、HySolv(商標)、及びReSolv(商標)可溶化薬物送達システム;プロゲルツ・プロダクツ(ProGelz' Products)のProGelz(商標);及びアルケルムス(Alkermes)の注射可能なProLease(商標)。
前述の全てにおいて、当然ながら、本発明のペプチドは、単独で投与されても混合物として投与されてもよく、そしてこの組成物は、その効能に適切である場合、さらなる薬物又は賦形剤をさらに含んでもよい。
(遺伝子治療)
遺伝子治療の一部として細胞に本発明の核酸を導入するために、発現ベクターを用いてもよい。このようなベクターは一般に、核酸配列の挿入を行なうために、プロモーター配列の近位に配置される好都合な制限部位を有している。転写開始領域、標的遺伝子又はそのフラグメント、及び転写終止領域を含む転写カセットを調製してもよい。転写カセットは、様々なベクター、例えば、プラスミド、レトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルスなど中に導入することが可能であり、ここで、ベクターを細胞中で一過性に又は安定に、通常少なくとも約1日、より好ましくは通常少なくとも約数日〜数週間、維持することができる。
本発明のタンパク質及び核酸は、ウイルス感染、マイクロインジェクション又は小胞の注入を含む、多数の経路によって組織又は宿主に導入することができる。ファース(Furth)ら、アナリティカル・バイオケミストリー(Anal.Biochem.)205:365〜368(1992)に記載されるように、ジェット注入はまた筋肉内投与に用いることができる。DNAを金マイクロ粒子にコーティングして、文献に記載されるように、粒子ボンバードメントデバイス、又は「遺伝子銃(gene gun)」によって皮内に送達してもよい。例えば、タン(Tang)ら、ネイチャー(Nature)356:152〜154(1992)を参照のこと、ここでは金微粒子銃をDNAでコーティングし、続いて皮膚細胞にボンバードメントしている。
(キット)
本発明は、CRF2R調節性障害を予防又は治療するためのキットを備え、このキットは以下:(a)単位用量形態の式(I)のペプチド;及び(b)使用説明書を備える。このようなキットは好ましくは、多数の単位投薬量を含む。このようなキットは、その意図する用途の順序で並べられた投薬量を記入したカードを備えてもよい。このようなキットの例は、「ブリスターパック(blister pack)」である。ブリスターパックは、包装産業では周知であり、薬学的な単位投薬形態を包装するために広範に用いられる。所望の場合、記憶補助が、例えば、数、文字、もしくは他の印の形で、又はカレンダーの挿入によって提供されて、これが投薬を行ない得る治療スケジュールの日にちを示してもよい。キットの例はPCT国際公開特許WO01/45636に記載される。治療スケジュールは、医療技術の当業者の権限の範囲内である。非限定的な例としては、毎日、毎週、隔週、毎月、又は隔月が挙げられる。
(実施例1)
ソーバジン及び他の非選択性のCRFRアゴニストは一般にCRF2R調節性障害の治療において有効ではない。なぜなら、これらのアゴニストはまたCRF1Rを活性化し、それによって望ましくない副作用を生じるからである。
表2は、それぞれ配列番号2、4、6、8、10及び11として示される、ヒトウロコルチンI(hUcnI)、ヒトウロコルチンII(hUroII)、ヒトウロコルチンIII(hUroIII)、ヒトコルチコトロピン放出因子(hCRF)、ヒツジコルチコトロピン(oCRF)及びソーバジン(Svg)のネイティブな配列フラグメントに対する競合的なCRF結合を示す。
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(実施例2)
表3は、本発明の種々の実施形態の競合的CRF結合を示す。
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(実施例3)
(インビトロ有効性の増大)
本発明のペプチドは、公知のネイティブな配列、例えばUroIIペプチドフラグメント(配列番号4)に比べて、特に低用量の条件下で、拡大された生物学的可用性を示す。
被験体におけるペプチドの半減期は、例えば、このペプチドの投与後の種々の時点でこの被験体から収集された血清サンプルの高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって決定することができる。当業者には、特定のペプチドの生理化学的特性に基づいてHPLCのために適切な溶出緩衝液を選択する方法は公知である。
有効性を決定するためのインビボ研究の非限定的な例は、本明細書に記載されている。式(I)のペプチドを静脈内(IV)(1000μg/kg)及び皮下(SC)(1000μg/kg)の経路としてマウスに投与する。投与後種々の時点(IV=0、2、10、30分ならびに1、2、4及び6時間;ならびにSC=0、0.25、0.5、1、2、4及び6時間)、ヘパリンナトリウムを含有する微量遠心分離チューブ中に血液サンプルを採取する。血液サンプルをさらに処理して、血漿を得て、これを解析するまで−70℃で保管する。
血漿標準を調製する。以前に調製した1mg/mLの式(I)のペプチドのメタノールストック溶液の連続希釈によって、解析日に、50ng/mL〜100μg/mLの濃度範囲にまたがる式(I)のペプチドのスパイク溶液を、メタノール中に調製する。同様に、内部標準(ISTD)、安定な同位体標識されたh−Unc−II、スパイク溶液を、1mg/mLのISTDストック溶液の連続希釈によって調製して、解析日に最終濃度5μg/mLを得た。既に10μLの5μg/mL ISTD溶液、100μLの蒸留脱イオン水及び100μLのブランクのラット血漿を含有するチューブに式(I)のスパイク溶液の適切なペプチドの10μLを添加することによって0.5〜100ngの質量範囲にまたがるワーキング血漿標準を調製する。このワーキング標準を以下に記載のように解析のために調製する。
品質管理(QC)サンプルを調整する。プラスチックバイアルに含まれる475μLのブランクのヘパリン処理ラット血漿中に1μg/mlの式(I)のペプチドのスパイク溶液25μLを添加することによって、QCストック溶液を50ng/mLのレベルに調製する。既に10μLの5μg/mL ISTD溶液及び100μLの蒸留脱イオン水を含有するチューブにQCストック溶液(50ng/mL)の100μLを添加することによって、ワーキングQCサンプルを調製する。このワーキングQCサンプルを、以下に記載のように解析のために調製した。
研究サンプルを調製する。解析の日に、このサンプルを室温で融解して、既に10μLの5μg/mL ISTD溶液、100μLの蒸留脱イオン水及びアリコートのブランク、ヘパリン処理ラット血漿を含有するチューブに、サンプルのアリコートを添加した。サンプル及びブランクのラット血漿の容積は、血漿の総容積が100μLに等しくなるようにする。
チューブに400μLのアセトニトリルを添加することによって解析のために、ワーキング標準、ワーキングQCサンプル及び研究サンプルを調製する。このチューブはこれらの各々を含有し、これをキャップし、ボルテックスし、遠心分離して、上清を単離する。この上清のアリコート(300μL)を、N2下で乾燥させて、50μLのメタノール/水(50/50)中で再構成する。
調製されたワーキング標準、ワーキングQCサンプル及び研究サンプルを勾配逆層高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)分離、続いて陽イオン方式で選択反応モニタリング(SRM)を用いる質量分析/質量分析(MS/MS)検出によるエレクトロスプレーイオン化(ESI)を通じたサンプル導入によって解析する。SRMチャネルを、h−Unc−II及びISTDについてモニターする。
薬物動態学的研究からの用量溶液を、メタノールで希釈して、紫外検出を用いてRP−HPLCによって解析する。式(I)のペプチドの濃度は、用量溶液中で、公知の標準から構築された直線回帰曲線からの補間法によって算出される。
本発明の特定の実施形態を例示し且つ記載してきたが、種々の他の変化及び改変を、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく行なうことが可能であることが当業者には明白である。従って、本発明の範囲内である全てのこのような変化及び改変の全てが添付の特許請求の範囲内であるということを意図する。

配列表
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Claims (8)

  1. 以下の配列(1):
    −ZGPPISIDLPX1213LLRKX18IEIEKQEKEKQQAX3233NAX3637LX394041
    であって、ここで:
    12は、F、Y、L、I及びTから選択され;
    13は、Q、W及びYから選択され;
    18は、V及びMから選択され;
    32は、T及びAから選択され;
    33は、N及びTから選択され;
    36は、R及びLから選択され;
    37は、L及びIから選択され;
    39は、D及びAから選択され;
    40は、T及びRから選択され;
    41は、I及びVから選択され;
    −は、無を表す、
    を含み、前記配列(1)が配列識別番号20、21、22、23、144、147、148、149、150、151、225、226、230、231、232、233、236、237、242、243、244、245、246、248、251、278、279、286、289、310、311、320、349、350、351、352及び353よりなる群から選択されるものであることを特徴とする、コルチコトロピン放出因子2受容体(CRF R)に対する選択的アゴニストである非天然型ペプチド。
  2. 以下の配列(1):
    −ZGPPISIDLPX1213LLRKX18IEIEKQEKEKQQAX3233NAX3637LX394041
    [ここで、式中:
    12は、F、Y、L、I及びTから選択され;
    13は、Q、W及びYから選択され;
    18は、V及びMから選択され;
    32は、T及びAから選択され;
    33は、N及びTから選択され;
    36は、R及びLから選択され;
    37は、L及びIから選択され;
    39は、D及びAから選択され;
    40は、T及びRから選択され;
    41は、I及びVから選択され;
    −は、無を表す。]
    であって、前記配列(1)が配列識別番号20、21、22、23、144、147、148、149、150、151、225、226、230、231、232、233、236、237、242、243、244、245、246、248、251、278、279、286、289、310、311、320、349、350、351、352及び353よりなる群から選択されるもの、及び
    その変異体を含み、前記変異体は、前記配列(1)から1又は数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加された配列を有し、且つ、前記変異体はCRFRに対する選択的アゴニストであることを特徴とする非天然型ペプチド。
  3. 前記配列(1)が、配列識別番号22、144、148、149、151、278、279、286、289、311、349、350、351、352及び353よりなる群から選択されることを特徴とする請求項1又は2に記載のペプチド。
  4. 骨格筋萎縮であるCRF2R調節性障害の予防又は治療に使用するための、請求項1から3のいずれか1項に記載のペプチド。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載のペプチドをコードする単離された核酸。
  6. 求項1から4のいずれか1項に記載のペプチドに特異的である単離された抗体。
  7. a.請求項1から4のいずれか1項に記載のペプチドの安全且つ有効な量;
    及び
    b.薬学的に受容可能なキャリア;
    を含むことを特徴とする薬学的組成物。
  8. a.単位用量形態での請求項1から4のいずれか1項に記載のペプチド;及び
    b.使用説明書、
    を備えることを特徴とする、骨格筋萎縮であるCRF2R調節性障害を予防又は治療するためのキット。
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