JP4487705B2 - メモリの記録方法 - Google Patents

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Description

本発明は、情報を磁性体の磁化状態により保持する記憶層を有する記憶素子を備え、記憶素子に電流を流すことにより記憶層の磁化状態を変化させて情報の記録が行われるメモリの記録方法に係わる。
コンピュータ等の情報機器では、ランダム・アクセス・メモリとして、動作が高速で、高密度なDRAMが広く使われている。
しかし、DRAMは電源を切ると情報が消えてしまう揮発性メモリであるため、情報が消えない不揮発のメモリが望まれている。
そして、不揮発メモリの候補として、磁性体の磁化で情報を記録する磁気ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)が注目され、開発が進められている(例えば非特許文献1参照)。
MRAMは直交する2種類のアドレス配線(ワード線、ビット線)にそれぞれ電流を流して、各アドレス配線から発生する電流磁場によって、アドレス配線の交点にある磁気記憶素子の磁性層の磁化を反転して情報の記録を行うものである。
しかしながら、記録した情報を安定に保持するためには、情報を記録する磁性層(記憶層)において一定の保磁力が必要である。
一方、記録された情報を書き換えるためには、アドレス配線にある程度の電流を流さなければならない。
そして、MRAMを構成する素子の微細化に従い、アドレス配線も細くなるため、充分な電流が流せなくなってくる。
そこで、より少ない電流で磁化反転が可能な構成として、スピン注入による磁化反転を利用する構成の磁気メモリが注目されている(例えば、特許文献1参照)。
スピン注入による磁化反転とは、磁性体の中を通過してスピン偏極した電子を、他の磁性体に注入することにより、他の磁性体において磁化反転を起こさせるものである。
そして、スピン注入による磁化反転は、素子が微細化されても、少ない電流で磁化反転を実現することができる利点を有している。
日経エレクトロニクス 2001.2.12号(第164頁−171頁) 特開2003−17782号公報
しかしながら、スピン注入による磁化反転を行うためには、記憶素子に直接電流を流すことから、記録電流による記憶素子の破壊や劣化が起こらないように、なるべく記録電流を小さくする必要がある。
特に、高速で記録を行うために、記録電流のパルス幅を短くすると、記録に必要な電流が増大することから、電流増加による記憶素子の劣化や破壊による故障が増加する。
このため、信頼性の高い高速動作可能な磁気メモリを実現することが困難であった。
上述した問題の解決のために、本発明においては、高速に情報を記録することができ、かつ信頼性の高いメモリの記録方法を提供するものである。
本発明のメモリの記録方法は、情報を磁性体の磁化状態により保持する記憶層と、この記憶層に対して非磁性層を介して設けられ、磁化の向きが固定された磁化固定層とを少なくとも有する記憶素子と、非磁性層を介して記憶層と磁化固定層との間に電流を流すための電流供給手段と、記憶素子に磁場を印加するための磁場印加手段とを備えたメモリにおいて、情報の記録を行う際に、電流供給手段により電流を供給して、記憶層と磁化固定層との間に電流を流し、磁場印加手段により、磁場の強度が振動する振動磁場を記憶素子に印加するものである。
上述の本発明のメモリの記録方法に係るメモリの構成によれば、情報を磁性体の磁化状態により保持する記憶層と、この記憶層に対して非磁性層を介して設けられ、磁化の向きが固定された磁化固定層とを少なくとも有する記憶素子と、非磁性層を介して記憶層と磁化固定層との間に電流を流すための電流供給手段とを備えているので、電流供給手段によって記憶層と磁化固定層との間に電流を流すことにより、いわゆるスピン注入により記憶層の磁化状態(磁化の向き)を変化させて、情報の記録を行うことができる。
また、記憶素子に磁場を印加するための磁場印加手段を備えていることにより、情報の記録を行う際に、磁場印加手段によって記憶素子に磁場を印加し、記憶素子の記憶層の磁化の向きを磁場の作用によって磁化容易軸からずらすことが可能になるため、スピン注入による記憶層の磁化の向きの反転を容易に行うことが可能になる。これにより、情報を記録するために必要となる電流を低減させることができ、また記憶層の磁化の向きの反転の前に起こる磁化の振動を経ないで、速やかに磁化反転を行うことが可能になる。
上述の本発明のメモリの記録方法によれば、上述した構成のメモリにおいて、情報の記録を行う際に、電流供給手段により電流を供給して、記憶層と磁化固定層との間に電流を流し、磁場印加手段により、磁場の強度が振動する振動磁場を記憶素子に印加することにより、磁場印加手段からの振動磁場の作用によって、記憶素子の記憶層の磁化の向きを磁場の作用によって磁化容易軸からずらし、スピン注入による記憶層の磁化の向きの反転を容易にする。これにより、情報を記録するために必要となる電流を低減し、また記憶層の磁化の向きの反転の前に起こる磁化の振動を経ないで、速やかに磁化反転を行うことが可能になる。
また、磁場印加手段から記憶素子に印加する磁場が、振動磁場であるため、連続磁場を印加する場合と比較して、スピン注入による記憶層の磁化の向きの反転を妨げる作用を小さくすることができる。
上記本発明のメモリの記録方法において、磁場印加手段による磁場の方向が、記憶素子の記憶層の磁化困難軸とほぼ同じ方向である構成とすることも可能である。
このような構成としたときには、記憶層の磁化困難軸とほぼ同じ方向の磁場により、効率良く、記憶層の磁化の向きを磁化容易軸からずらすことができる。これにより、弱い磁場でも、情報を記録するために必要となる電流を低減し、また速やかに磁化反転を行うことができるという効果が得られる。
上記本発明のメモリの記録方法において、情報の記録を行う際に、磁場印加手段により振動磁場として交流磁場を記憶素子に印加し、この交流磁場の周波数を、記憶素子に電流を流したときに発生する記憶層の磁化の振動の周波数とほぼ同じとすることも可能である。
このようにしたときには、交流磁場の周波数が記憶層の磁化の振動の周波数とほぼ同じであることにより、効率良く記憶層の磁化の反転を補助することができるため、記憶層の磁化を反転して情報を記録するために必要となる電流(記録電流)を大幅に低減することが可能になる。また、弱い磁場でも記録電流を低減することが可能になる。
上述の本発明によれば、情報を記録するために必要となる電流(記録電流)を低減することが可能になる。
これにより、記憶素子の劣化や破壊による故障を少なくすることができ、メモリの信頼性を向上することが可能になる。また、情報を記録する際の消費電力を低減することができるため、消費電力の少ないメモリを実現することが可能になる。
さらに、電流供給手段によりパルス電流を供給して情報の記録を行う場合には、連続電流を供給する場合よりも記録電流が増大するが、本発明によればパルス電流を供給して情報の記録を行う場合でも記録電流を小さくすることが可能になる。これにより、パルス電流のパルス幅を短くして、短い時間で情報の記録を行い、情報の記録の高速化を図ることも可能になる。
上述の本発明によれば、記憶層の磁化の向きの反転の前に起こる磁化の振動を経ないで、速やかに磁化反転を行うことが可能になるため、情報の記録を高速に行うことが可能になる。
従って、本発明により、高速で情報の記録を行うことができ、かつ信頼性の高いメモリを実現することが可能になる。
まず、本発明の具体的な実施の形態の説明に先立ち、本発明の概要について説明する。
前述した目的、即ち少ない電流で情報を記録することができ、かつ高速で情報を記録することができるメモリを実現することを達成するために、最適な構造及び記録方法を検討した結果、磁化の向き(磁化状態)を情報として保持する記憶層と磁化の向きが固定された磁化固定層(情報の基準となる参照層を有する)との少なくとも2つの磁性層とそれらに挟まれた非磁性層からなり、非磁性層を介して流れる電流により情報の記録が行われる記憶素子において、情報の記録を行う際に同時に磁場を印加することによって、短い幅のパルス電流によっても少ない記録電流で情報の記録が可能となり、記憶素子の劣化や破壊による故障を減らして、信頼性の高いメモリを実現可能であることを見い出した。
ここで、磁場による磁化反転とスピン偏極電流注入による磁化反転のそれぞれの場合について、磁化の軌跡(磁化ベクトルの変化)を計算した。計算結果を図1A及び図1Bに示す。図1Aは、磁場による磁化反転の場合であり、図1Bは、スピン偏極電流注入による磁化反転の場合である。また、図1A及び図1Bにおいて、x軸は磁性体の膜厚方向であり、y軸は磁性体の磁化困難軸方向であり、z軸は磁性体の磁化容易軸方向である。
図1Aも図1Bも、いずれも最初図中上向き(z軸成分が正)であった磁化が、図中下向き(z軸成分が負)に反転する過程である。最初の磁化ベクトル(x,y,z)は(0,0,+1)であり、反転した後の磁化ベクトルは(0,0,−1)である。
図1Aの磁場による磁化反転では、上向きの磁化が下向きになるまでは速やかに動き、反転した後に磁化の振動が見られるが、反転までの動作は早く、短時間で磁化反転が可能である。
これに対して、図1Bのスピン偏極電流による磁化反転では、反転するまでに磁化の振動が見られる。特に、電流を流し始めた初期には、磁化容易軸周辺で小さな振動を繰り返すだけで、多くの時間が費やされる。
従って、スピン注入による磁化反転において、より速く磁化反転を行うためには、より多くの電流を流して、反転までの磁化の振動回数を少なくする必要がある。
しかし、多くの電流を流すと、その分消費電力も大きくなってしまう。
消費電力を増大させないで、高速に動作させるためには、電流を増やす方法ではなく、他の方法を採用する必要がある。
そこで、スピン注入による磁化反転の際に、磁場を印加することにより、磁化の向きを記憶層の磁化容易軸からずらす方法が有効と考えられる。この方法により、初期の振動回数を減らして、磁化反転に要する時間を短くすることが可能になる。
このとき、磁化困難軸方向に磁場を印加すれば、最も弱い磁場で磁化の向きを磁化容易軸からずらすことができる。
ただし、連続的な磁場を印加すると、スピン注入による磁化の動きが磁場によって妨げられるので、パルス磁場や交流磁場等とする必要がある。
さらに、パルス磁場を印加する場合に、スピン注入による磁化の動きを妨げないためには、少なくともスピン注入電流のパルスの終端よりも磁場のパルスの終端が早いか同時であることが好ましい。
また、磁場のパルスとスピン注入電流のパルスは、重なっている必要はなく、ある程度までの時間離れていても良いし、2つのパルス幅が異なっていても良い。
また、印加する磁場を、スピン注入による磁化反転の際に観測される、磁化の振動周期とほぼ同じ周期を有する振動磁場(磁場の強度が振動する磁場)とすることにより、効率的に磁化の反転を補助することができるため、より弱い磁場と少ない電流で磁化反転を行うことが可能になる。
振動磁場としては、例えば、交流磁場のように極性が変化する磁場や、同じ極性で強度が変化する磁場が考えられる。
続いて、上述した本発明の構成を満足する具体的な本発明の実施の形態について説明する。
本発明の一実施の形態として、メモリを構成する単位メモリセルの概略構成図(斜視図)を図2に示す。
下層から、反強磁性層1、反強磁性層1により磁化の向きが固定された磁化固定層(参照層)2、非磁性層3、情報を磁化状態(磁化の向き)により保持する記憶層4、上部電極層5とが積層されて、記憶素子6が構成されている。磁化固定層(参照層)2は、記憶層4に対する磁化の向きの基準となるものである。
記憶素子6の上には、記憶素子6に電流を流すための配線(電流線)7が接続されている。
また、記憶素子6から少し離れて上方に、磁場を印加するための配線(アドレス線)8が設けられている。
また、下部電極層を兼ねる反強磁性層1側には、選択用のトランジスタ9が接続されている。
上述した記憶素子6、電流線7、アドレス線8、選択用のトランジスタ9により、メモリセル10が構成されている。
この図2に示す構成のメモリセル10を多数、列状やマトリクス状に配置することにより、メモリを構成することができる。
反強磁性層1には、PtMn等の反強磁性材料を利用することが可能である。
磁化固定層(参照層)2には、CoFe等のスピン分極の大きな磁性体が適している。磁化固定層2は、単層でも良く、また複数層の磁性層をRu等の非磁性層を介して積層した構成としても良い。
非磁性層3には、スピン注入においてスピン散乱の少ない金属Cuや、Al酸化物等の絶縁体が適している。
記憶層4には、Fe,Co,Niを主成分とした、結晶質或いは非晶質の磁性体を用いることができる。
上部電極層5には、導電性の良好な材料、例えばTaやWを使用することができる。
電流線7及びアドレス線8は、抵抗の低いAl又はCuで構成することが望ましい。
図2において、x,y,zの各軸は、図1A及び図1Bの各軸と同様に定義され、x軸は記憶層4の厚さ方向であり、y軸は記憶層4の磁化困難軸方向であり、z軸は記憶層4の磁化容易軸方向である。
そして、磁場を印加するためのアドレス線8は、z軸方向即ち記憶層4の磁化容易軸方向に延びるように形成されているので、アドレス線8に電流を流すことにより、記憶層4の磁化困難軸方向(y軸方向)の磁場を印加することができる。
本実施の形態のメモリセル10において、情報の記録を行う際には、電流線7や選択用のトランジスタ9等を通して、記憶素子6の反強磁性層1と上部電極層5の間に膜厚方向の電流を流し、また、アドレス線8に電流を流して記憶層4の磁化困難軸方向(y軸方向)の磁場を印加する。
記憶素子6の反強磁性層1と上部電極層5の間に膜厚方向の電流を流すことにより、記憶層4と磁化固定層2との間に電流が流れ、スピン偏極電流注入によって記憶層4の磁化の向きを反転させることができる。このとき、記憶層4の磁化困難軸方向の磁場を印加することにより、記憶層4の磁化の向きを磁化容易軸方向からずらして、スピン偏極電流注入によって磁化の向きを容易に反転させることができる。
磁化の向きを容易に反転させることができるので、短い時間で反転させることや、より少ない電流で反転させることが可能になる。
そして、前述したように、連続的な磁場では記憶層4の磁化の動きを妨げてしまうため、パルス磁場や振動磁場(例えば交流磁場)となるように、アドレス線8に流す電流を、パルス電流、電流量が振動する電流、或いは交流とする。
特に、アドレス線8によりパルス磁場を印加し、また、記録電流として、電流線7や選択用のトランジスタ9等を通して、記憶素子6にパルス電流を流す場合には、このパルス電流とパルス磁場とをそれぞれ印加するタイミングの関係が重要になる。
記憶層4の磁化の向きを磁化容易軸方向からずらして、スピン偏極電流注入によって磁化の向きを容易に反転させるためには、パルス磁場の始端を、パルス電流の始端と同時又はパルス電流の始端よりも先行させることが望ましい。
また、パルス磁場の終端は、パルス電流の終端よりも早いか同時刻であることが望ましい。
パルス磁場とパルス電流は、パルスのタイミングが全く同時であっても、重なりを持っていてもよく、両者のパルス幅が同一でも異なっていてもよい。
そして、パルス磁場の終端が、パルス電流の始端よりも先行していても、それらの間隔がある程度より短い場合は、反転電流を低減する効果がある。これは、両者のパルスの間隔が短いので、パルス磁場により記憶層4の磁化の向きが磁化容易軸方向からずれた状態から、磁化容易軸方向に完全に戻る前に、即ちまだずれている状態であるうちに、スピン偏極電流注入により磁化反転が開始されるためである。
また、特に、アドレス線8により交流磁場を印加する場合には、交流磁場の周波数、即ちアドレス線8に流す交流の周波数を、記憶素子6に電流を流したときに発生する記憶層4の磁化の振動の周波数とほぼ同じにすると、磁化反転に必要な電流(反転電流)を低減する効果が大きくなる。
上述の本実施の形態のメモリの構成によれば、アドレス線8に電流を流して電流磁場を発生させることにより、磁場の作用により記憶素子6の記憶層4の磁化の向きを磁化容易軸からずらし、スピン注入による記憶層4の磁化の向きの反転を容易にする。
これにより、情報を記録するために必要となる電流を低減し、また記憶層4の磁化の向きの反転の前に起こる磁化の振動を経ないで、速やかに磁化反転を行うことが可能になる。
情報を記録するために必要となる電流を低減することができるため、記憶素子6の劣化や破壊による故障を少なくすることができ、メモリの信頼性を向上することが可能になる。また、情報を記録する際の消費電力を低減することができるため、消費電力の少ないメモリを実現することが可能になる。
さらに、電流線7によりパルス電流を供給して情報の記録を行う場合には、連続電流を供給する場合よりも記録電流が増大するが、本実施の形態の構成のメモリでは、パルス電流を供給して情報の記録を行う場合でも記録電流を小さくすることが可能になる。これにより、パルス電流のパルス幅を短くして、短い時間で情報の記録を行い、情報の記録の高速化を図ることも可能になる。
また、電流磁場の作用により、速やかに磁化反転を行うことが可能になるため、この点によっても情報の記録の高速化を図ることが可能になる。
従って、高速で情報の記録を行うことができ、かつ信頼性の高いメモリを実現することが可能になる。
また、本実施の形態のメモリの構成によれば、記憶素子6に電流磁場を印加するアドレス線8がz軸方向即ち記憶層4の磁化容易軸方向に延びて形成されているので、アドレス線8によって記憶層4の磁化困難軸方向の電流磁場を印加することができる。
この記憶層4の磁化困難軸方向の電流磁場によって、効率良く、記憶層4の磁化の向きを磁化容易軸からずらすことができる。
これにより、アドレス線8からの電流磁場が弱くても、情報を記録するために必要となる電流を低減し、また速やかに磁化反転を行うことができるという効果が得られる。
従って、電流磁場を発生させるためにアドレス線8に流す電流量を、低減することも可能になる。
(実施例)
ここで、本発明のメモリ・記憶素子の構成において、具体的に記憶層の寸法や組成等を設定して、特性がどのようになるか検討を行った。
そして、実験用として、図3に示す構成のメモリセル20を作製した。
このメモリセル20は、図2に示したメモリセル10とは若干構成が異なっている。即ち、反強磁性層1の下に下部電極層11が設けられ、選択用のトランジスタ9は省略されている。また、磁化固定層2は、磁性層12・非磁性層13・磁性層14の3層が積層された構成であり、磁性層14が参照層となる。また、上部電極層5は記憶層4を保護する保護層を兼ねる。
その他の構成は、図2に示したメモリセル10と同様になっている。
下地の下部電極層11の上に、膜厚30nmのPtMn膜から成る反強磁性層1、膜厚2nmのCoFe膜から成る磁性層12、膜厚0.7nmのRu膜から成る非磁性層13、膜厚2nmのCoFe膜から成る磁性層(参照層)14、膜厚5nmのCu膜から成る非磁性層3、膜厚5nmのNiFe膜から成る記憶層4、膜厚10nmのTa膜から成る上部電極層(保護層)5を順次形成し、記憶素子6を形成した。
次に、記憶素子6の各層を、長辺が約200nm、短辺が約150nmの楕円形状にパターニングした。
その後、上部電極層(保護層)5の上に電流線7を形成し、さらに絶縁層を介して磁場を印加するための配線8を形成した。
次に、300℃・10時間・約1テスラの磁場中熱処理によって、反強磁性層1のPtMn膜を規則結晶化して、磁化固定層21の磁性層(参照層)14の磁化の向きを一方に向くようにした。
なお、作製された記憶素子6の保磁力は110[Oe]であった。
(反転電流Icの測定)
下部電極層11と上部電極層との間に流す電流量を掃引しながら記憶素子6の抵抗を測定し、抵抗が変化したところの電流値から反転電流Icを求めた。
そして、記憶層4と参照層14の磁化の向きが平行状態から反平行状態に変化する電流を負の反転電流(−Ic)とし、反平行状態から平行状態に変化する電流を正の反転電流(+Ic)として、これらの反転電流+Ic,−Icを測定し、正の反転電流(+Ic)と負の反転電流(−Ic)との差の1/2を反転電流Icの平均値とした。
まず、磁場を印加せずに、記憶素子6に流すスピン偏極電流のみによって、記憶層4の磁化の向きを反転させた場合において、反転電流Icの平均値の実測値及び理論値を求めた。なお、スピン偏極電流を電流パルスとして、そのパルス幅(ns;ナノ秒)を変えて、同様に反転電流Icの平均値の実測値及び理論値を求めた。
なお、パルス幅が10ns以下のときには、反転に必要な電流が大きくなり過ぎて、大電流を流すことにより記憶素子6が破壊されることから、反転電流の測定ができない。そのため、その部分は理論値により推定することとした。
反転電流Icの平均値の実測値及び理論値と電流パルス幅との関係を、図4に示す。
図4より、実測値がほぼ理論値に一致しており、またパルス幅が10ns以下の理論値から、記録電流のパルス幅が短くなると、反転電流Icが急激に増大することが予想される。
次に、磁化の向きを反転させる際に、一様な外部磁場を記録層4の磁化困難軸方向に印加した場合において、外部磁場の強度と反転電流との関係を測定した。記憶素子6に、連続して電流を流したときの反転電流と、パルス幅50nsのパルス電流を流したときの反転電流を調べた。
測定結果を図5に示す。図5では、正の反転電流(+Ic)及び負の反転電流(−Ic)をそれぞれ示している。負の反転電流の方が電流の絶対値が大きくなっている。
図5に示すように、連続電流を流したときも、パルス電流を流したときも、反転電流が、外部磁場強度にほとんど依存しない。
なお、前述したように、パルス電流を流したときの反転電流は、連続電流を流したときの反転電流と比較して、大きい値となっている。
次に、記憶素子6に印加する磁場を、パルス幅10nsのパルス磁場として、磁場強度と反転電流との関係を調べた。記憶素子6に、連続して電流を流したとき、パルス幅50nsのパルス電流を流したとき、パルス幅10nsのパルス電流を流したときにおいて、それぞれパルス磁場の強度を変化させて反転電流を測定した。なお、電流とパルス磁場とのタイミングは、パルス電流を流したときには、パルス磁場の終端をパルス電流の終端よりも1ns早くして、連続電流を流したときには電流パルスの終端がないので連続電流を流している間の適当なときにパルス磁場を印加した。この測定結果を図6に示す。
図6より、パルス磁場を印加した場合には、連続磁場を印加した場合とは異なり、磁場強度が大きくなるほど反転電流が小さくなることがわかる。特に、電流パルス幅が短い場合に、反転電流の減少が著しく、磁場の効果が顕著であることがわかる。
次に、磁場パルスの強度を50[Oe]として、電流パルス及び磁場パルスのパルス幅をいずれも3nsとして、磁場パルスと電流パルスのパルス間隔(パルスの時刻の差)を変えて、それぞれ反転電流Icの平均値を測定した。測定結果を図7に示す。なお、図7において、横軸のパルス間隔(パルスの時刻の差)は、磁場パルスが先で電流パルスが後の場合を正、電流パルスが先で磁場パルスが後の場合を負としている。
図7より、パルス間隔が正、即ち磁場パルスを先にした方が、反転電流の低減効果が大きいことがわかり、磁場パルスと電流パルスの重なりがないときでも、ある程度までの間隔(例えば、+4ns付近)でも、反転電流の低減効果が見られる。
一方、電流パルスを先にした場合には、反転電流を低減する効果がほとんど得られないことがわかる。
次に、記憶素子に交流磁場を印加して、記憶層に対して情報の記録を行った場合について、説明する。
記憶素子6に、記憶層4の磁化困難軸方向に10[Oe]の磁場を印加しながら、記憶層4及び参照層14の磁化の向きが反平行の状態で、0.2mAの連続電流を記憶素子6に流して、記憶素子6の両端で観測される信号を、スペクトルアナライザで周波数解析した。この解析の結果を図8に示す。
図8より、およそ1.05GHzに、強いピークが観測される。
また、2.1GHz付近に見られるピークは、2次高調波成分である。
従って、スピン注入によって、記憶層4の磁化がおよそ1.05GHzで振動している状態が観測されている。
次に、1.05GHzの周波数の交流磁場を印加しながら、記憶素子6に電流を流して、磁場強度と反転電流との関係を調べた。記憶素子6に流す電流のパルス幅を10ns、交流磁場の周波数を1.05GHzとして、交流磁場の方向を、記憶層4の磁化困難軸に平行にした場合と、記憶層4の磁化容易軸に平行にした場合とにおいて、それぞれ測定を行った。測定結果を図9に示す。
図9より、交流磁場を記憶層4の磁化容易軸に平行に印加した場合には、磁場強度を変化させても反転電流がほとんど変化しないが、交流磁場を記憶層4の磁化困難軸に平行に印加した場合には、磁場強度の増大に伴い反転電流が減少することがわかる。
即ち、交流磁場を記憶層4の磁化困難軸に平行な方向に印加することにより、反転電流を低減する効果が大きいことわかる。
なお、交流磁場の方向を、記憶層4の磁化困難軸及び磁化容易軸に対して斜めにした場合には、磁化困難軸に平行な方向とした場合よりも効果は小さくなるが、反転電流を低減することが可能である。
さらに、交流磁場を記憶層4の磁化困難軸に平行に印加した場合において、交流磁場の周波数を0.7GHz、1GHz、1.5GHzと変えて、磁場強度と反転電流との関係を調べた。測定結果を図10に示す。
図10より、記憶素子6に電流を流したときに観測される周波数(図8参照)のピークに近い1GHzでは、交流磁場による反転電流を低減する効果が大きいが、ピーク以外の周波数とすると、反転電流の低減効果が小さくなることがわかる。
上述の実施の形態では、反強磁性層1と参照層を含む磁化固定層2とを記憶層4に対して下層に設けた記憶素子6を構成したが、記憶層に対して、磁化固定層及び反強磁性層を上層に設けて記憶素子を構成してもよい。
なお、磁化固定層単独で磁化の向きを固定することが可能であれば、反強磁性層を省略しても構わない。
また、磁化固定層や記憶層の各磁性層を、材料や組成の異なる複数の磁性層の積層により構成してもよい。
本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でその他様々な構成が取り得る。
計算により求められた磁化反転時の磁化の軌跡である。 A 磁場による磁化反転の場合である。 B スピン偏極電流による磁化反転の場合である。 本発明の一実施の形態のメモリの単位メモリセルの概略構成図(斜視図)である。 実施例のメモリセルの概略構成図(斜視図)である。 図3の記憶素子に流す電流パルスのパルス幅と反転電流の平均値の実測値及び理論値との関係を示す図である。 図3の記憶素子に連続磁場を印加した場合の磁場強度と反転電流との関係を示す図である。 図3の記憶素子にパルス磁場を印加した場合の磁場強度と反転電流との関係を示す図である。 図3の記憶素子にパルス幅3nsの電流パルス及び磁場パルスを印加した場合のパルス間隔に対する反転電流の平均の変化を示す図である。 図3の記憶素子に電流を流したときに観測される信号の周波数スペクトルを示す図である。 図3の記憶素子に交流磁場を印加した場合の磁場強度と反転電流との関係を示す図である。 図3の記憶素子に交流磁場を印加した場合の交流磁場の周波数を変えたときの磁場強度と反転電流との関係を示す図である。
符号の説明
1 反強磁性層、2 磁化固定層、3,13 非磁性層、4 記憶層、5 上部電極層、6 記憶素子、7 電流線、8 アドレス線(磁場を印加するための配線)、10,20 メモリセル、11 下部電極層、12 磁性層、14 磁性層(参照層)

Claims (4)

  1. 情報を磁性体の磁化状態により保持する記憶層と、前記記憶層に対して非磁性層を介して設けられ、磁化の向きが固定された磁化固定層とを少なくとも有する記憶素子と、
    前記非磁性層を介して、前記記憶層と前記磁化固定層との間に電流を流すための電流供給手段と、
    前記記憶素子に磁場を印加するための磁場印加手段とを備えたメモリにおいて、
    情報の記録を行う際に、前記電流供給手段により電流を供給して、前記記憶層と前記磁化固定層との間に電流を流し、前記磁場印加手段により、磁場の強度が振動する振動磁場を前記記憶素子に印加する
    メモリの記録方法。
  2. 前記振動磁場の周波数を、前記記憶素子に電流を流したときに発生する前記記憶層の磁化の振動の周波数とほぼ同じとする請求項1に記載のメモリの記録方法。
  3. 情報の記録を行う際に、前記磁場印加手段により前記振動磁場として交流磁場を前記記憶素子に印加し、前記交流磁場の周波数を、前記記憶素子に電流を流したときに発生する前記記憶層の磁化の振動の周波数とほぼ同じとする請求項1に記載のメモリの記録方法。
  4. 前記磁場印加手段による磁場の方向が、前記記憶素子の前記記憶層の磁化困難軸とほぼ同じ方向である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のメモリの記録方法。
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