JP2007317733A - メモリ - Google Patents

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Abstract

【課題】高速に、かつ安定して情報を記録することができるメモリを提供する。
【解決手段】情報を磁性体の磁化状態により保持する記憶層17に対して、絶縁体から成る中間層を介して磁化固定層が設けられ、積層方向にスピン偏極した電子を注入することにより、記憶層17の磁化M1の向きが変化して、情報の記録が行われる記憶素子3と、この記憶素子3に電気的に接続された導体21とを備え、この導体21の周囲に磁性体22が設けられたメモリを構成する。そして、この磁性体22により、導体21を流れる電流Iによる磁界23を強め、かつ記憶素子3の記憶層17に漏れ磁界23を印加させて、記憶層17の磁化M1の向きをずらす作用を生じるようにする。
【選択図】図4

Description

本発明は、強磁性層の磁化状態を情報として記憶する記憶層と、磁化の向きが固定された磁化固定層とから成り、膜面に垂直な方向に電流を流して、スピン偏極した電子を注入することにより記憶層の磁化の向きを変化させる記憶素子を備えたメモリに係わり、不揮発メモリに適用して好適なものである。
コンピュータ等の情報機器では、ランダム・アクセス・メモリとして、動作が高速で、高密度なDRAMが広く使われている。
しかし、DRAMは電源を切ると情報が消えてしまう揮発性メモリであるため、情報が消えない不揮発のメモリが望まれている。
そして、不揮発メモリの候補として、磁性体の磁化で情報を記録する磁気ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)が注目され、開発が進められている(例えば非特許文献1参照)。
MRAMは、ほぼ直交する2種類のアドレス配線(ワード線、ビット線)にそれぞれ電流を流して、各アドレス配線から発生する電流磁場によって、アドレス配線の交点にある磁気記憶素子の磁性層の磁化を反転して情報の記録を行うものである。
一般的なMRAMの模式図(斜視図)を、図11に示す。
シリコン基板等の半導体基体110の素子分離層102により分離された部分に、各メモリセルを選択するための選択用トランジスタを構成する、ドレイン領域108、ソース領域107、並びにゲート電極101が、それぞれ形成されている。
また、ゲート電極101の上方には、図中前後方向に延びるワード線105が設けられている。
ドレイン領域108は、図中左右の選択用トランジスタに共通して形成されており、このドレイン領域108には、配線109が接続されている。
そして、ワード線105と、上方に配置された、図中左右方向に延びるビット線106との間に、磁化の向きが反転する記憶層を有する磁気記憶素子103が配置されている。この磁気記憶素子103は、例えば磁気トンネル接合素子(MTJ素子)により構成される。
さらに、磁気記憶素子103は、水平方向のバイパス線111及び上下方向のコンタクト層104を介して、ソース領域107に電気的に接続されている。
ワード線105及びビット線106にそれぞれ電流を流すことにより、電流磁界を磁気記憶素子103に印加して、これにより磁気記憶素子103の記憶層の磁化の向きを反転させて、情報の記録を行うことができる。
そして、MRAM等の磁気メモリにおいて、記録した情報を安定に保持するためには、情報を記録する磁性層(記憶層)が、一定の保磁力を有していることが必要である。
一方、記録された情報を書き換えるためには、アドレス配線にある程度の電流を流さなければならない。
ところが、MRAMを構成する素子の微細化に従い、磁化の向きを反転させる電流値が増大する傾向を示す反面、アドレス配線が細くなるため、充分な電流が流せなくなってくる。
そこで、より少ない電流で磁化反転が可能な構成として、スピン注入による磁化反転を利用する構成のメモリが注目されている(例えば、特許文献1、特許文献2、非特許文献2、非特許文献3参照)。
スピン注入による磁化反転とは、磁性体の中を通過してスピン偏極した電子を、他の磁性体に注入することにより、他の磁性体において磁化反転を起こさせるものである。
例えば、巨大磁気抵抗効果素子(GMR素子)や磁気トンネル接合素子(MTJ素子)に対して、その膜面に垂直な方向に電流を流すことにより、これらの素子の少なくとも一部の磁性層の磁化の向きを反転させることができる。
そして、スピン注入による磁化反転は、素子が微細化されても、電流を増やさずに磁化反転を実現することができる利点を有している。
上述したスピン注入による磁化反転を利用する構成のメモリの模式図を図9及び図10に示す。図9は斜視図、図10は断面図である。
シリコン基板等の半導体基体60の素子分離層52により分離された部分に、各メモリセルを選択するための選択用トランジスタを構成する、ドレイン領域58、ソース領域57、並びにゲート電極51が、それぞれ形成されている。このうち、ゲート電極51は、図4中前後方向に延びるワード線を兼ねている。
ドレイン領域58は、図9中左右の選択用トランジスタに共通して形成されており、このドレイン領域58には、配線59が接続されている。
そして、ソース領域57と、上方に配置された、図9中左右方向に延びるビット線56との間に、スピン注入により磁化の向きが反転する記憶層を有する記憶素子53が配置されている。
この記憶素子53は、例えば磁気トンネル接合素子(MTJ素子)により構成される。図中61及び62は磁性層を示しており、2層の磁性層61,62のうち、一方の磁性層を磁化の向きが固定された磁化固定層として、他方の磁性層を磁化の向きが変化する磁化自由層即ち記憶層とする。
また、記憶素子53は、ビット線56と、ソース領域57とに、それぞれ上下のコンタクト層54を介して接続されている。これにより、記憶素子53に電流を流して、スピン注入により記憶層の磁化の向きを反転させることができる。
このようなスピン注入による磁化反転を利用する構成のメモリの場合、図11に示した一般的なMRAMと比較して、デバイス構造を単純化することができ、そのために高密度化が可能になる、という特徴も有している。
また、スピン注入による磁化反転を利用することにより、外部磁界により磁化反転を行う一般的なMRAMと比較して、素子の微細化が進んでも、書き込みの電流が増大しないという利点がある。
ところで、MRAMの場合は、記憶素子とは別に書き込み配線(ワード線やビット線)を設けて、書き込み配線に電流を流して発生する電流磁界により、情報の書き込み(記録)を行っている。そのため、書き込み配線に、書き込みに必要となる電流量を充分に流すことができる。
一方、スピン注入による磁化反転を利用する構成のメモリにおいては、記憶素子に流す電流によりスピン注入を行って、記憶層の磁化の向きを反転させる必要がある。
そして、このように記憶素子に直接電流を流して情報の書き込み(記録)を行うことから、書き込みを行うメモリセルを選択するために、記憶素子を選択トランジスタと接続してメモリセルを構成する。この場合、記憶素子に流れる電流は、選択トランジスタに流すことが可能な電流(選択トランジスタの飽和電流)の大きさに制限される。
このため、選択トランジスタの飽和電流以下の電流で書き込みを行う必要があり、スピン注入の効率を改善して、記憶素子に流す電流を低減する必要がある。
また、読み出し信号を大きくするためには、大きな磁気抵抗変化率を確保する必要があり、そのためには記憶層の両側に接している中間層をトンネル絶縁層(トンネルバリア層)とした記憶素子の構成にすることが効果的である。
このように中間層としてトンネル絶縁層を用いた場合には、トンネル絶縁層が絶縁破壊することを防ぐために、記憶素子に流す電流量に制限が生じる。この観点からも、スピン注入時の電流を抑制する必要がある。
日経エレクトロニクス 2001.2.12号(第164頁−171頁) Phys.Rev.B 54.9353(1996) J.Magn.Mat. 159.L1(1996) 特開2003−17782号公報 米国特許第6256223号明細書
電流によって書き込まれた情報を記憶して保持しなければ、メモリとはなり得ない。そのため、記憶層の熱揺らぎに対する安定性(熱安定性)の確保が必要である。
スピン注入による磁化反転を利用する記憶素子の場合、従来のMRAMと比較して、記憶層の体積が小さくなるので、単純に考えると熱安定性は低下する方向にある。
記憶層の熱安定性が確保されていないと、反転した磁化の向きが、熱により再反転してしまい、書き込みエラーとなってしまう。
そのため、スピン注入による磁化反転を利用する記憶素子において、熱安定性は非常に重要な特性である。
スピン注入による磁化反転を利用する記憶素子において、スピン注入効率が等しい構成で比較すると、記憶層の飽和磁化量及び記憶層の体積が大きくなるに従い、熱安定性が高くなると同時に、書き込みに大きな電流を必要とするようになる。
熱安定性の指標は、一般に、熱安定性パラメーター(Δ)で表すことができる。
Δは、Δ=KV/kT(K:異方性エネルギー、V:記憶層の体積、k:ボルツマン定数、T:温度)で与えられる。
従って、スピン注入により記憶層の磁化の向きを反転させる構成の記憶素子が、メモリとして存在し得るためには、スピン注入効率を改善して磁化反転に必要な電流をトランジスタの飽和電流以下に減らすと同時に、書き込まれた情報をしっかり保持する熱安定性を確保する必要がある。
ところで、一般的に、記憶層は、磁化固定層の磁化の向きに平行な磁化容易軸を持っている。
そして、記憶層の磁化が、磁化固定層の磁化に対して、平行な場合と反平行な場合とが安定である。
しかしながら、スピン注入による磁化反転では、記憶層の磁化と磁化固定層の磁化がある有限な角度を持つことが必要で、仮に両磁化のなす角度が0度(平行状態)もしくは180度(反平行状態)であれば、スピン注入によるトルクが全く働かず、磁化反転は起きない。
現実的な状況では、熱揺らぎの影響で、記憶層の磁化は、その磁化容易軸のまわりに揺らいでおり、磁化固定層の磁化とはわずかにずれている。この状態においてスピン注入を行うと、わずかな磁化のずれからトルクが発生し、そのずれを徐々に大きくしながら、ついには反転する、という流れで磁化反転が起きる。
このように、磁化反転には、スピン注入を開始した時点での記憶層の磁化の向きが重要な影響をもたらす。例えば、記憶層の磁化の向きが磁化固定層の磁化の向きとほとんど平行或いは反平行に近い場合には、反転に長い時間を要してしまうことがあり、高速に情報を記録することができるという、スピン注入メモリの利点を損なう可能性がある。
また、熱揺らぎの影響を少なくするために、熱安定性パラメーターΔを大きくすることが必要であるが、これはそのまま記憶層の磁化の向きを磁化固定層の磁化の向きに強制して一致させようとすることにほかならないので、反転時間を短くしたいという要求には反するものである。
上述した問題の解決のために、本発明においては、高速に、かつ安定して情報を記録することができるメモリを提供するものである。
本発明のメモリは、情報を磁性体の磁化状態により保持する記憶層を有する記憶素子と、この記憶素子に電気的に接続された導体とを少なくとも備え、記憶素子は、記憶層に対して、中間層を介して磁化固定層が設けられ、中間層が絶縁体から成り、積層方向にスピン偏極した電子を注入することにより、記憶層の磁化の向きが反転して、記憶層に対して情報の記録が行われる構成であり、導体を流れる電流による磁界を強め、かつ記憶素子の記憶層に漏れ磁界を印加させて記憶層の磁化の向きをずらす作用を生じるように、導体の少なくとも一部に対して磁性体が設けられ、導体を通じて記憶素子に積層方向の電流が流れて、スピン偏極した電子が注入されるものである。
上述の本発明のメモリの構成によれば、記憶素子が情報を磁性体の磁化状態により保持する記憶層を有し、記憶層に対して中間層を介して磁化固定層が設けられ、中間層が絶縁体から成り、積層方向にスピン偏極した電子を注入することにより、記憶層の磁化の向きが変化して、記憶層に対して情報の記録が行われる構成であるので、積層方向に電流を流してスピン偏極した電子を注入することによって情報の記録を行うことができる。
そして、記憶素子に電気的に接続された導体を通じて、記憶素子に積層方向の電流が流れて、スピン偏極した電子が注入されるものであることにより、導体を通じて記憶素子に積層方向の電流を流してスピン偏極した電子を注入し、記憶素子にスピン注入による情報の記録を行うことができる。
また、導体を流れる電流による磁界を強め、かつ記憶素子の記憶層に漏れ磁界を印加させて記憶層の磁化の向きをずらす作用を生じるように、導体の少なくとも一部に対して磁性体が設けられていることにより、磁性体からの漏れ磁界により、記憶層の磁化の向きを(記憶層の磁化容易軸方向から)ずらして、記憶層の磁化の向きを反転して情報を記録するのに要する時間を短縮することができる。
上述の本発明によれば、記憶層の磁化の向きを反転して情報を記録するのに要する時間を短縮することができるため、情報の記録を高速に行うことが可能になる。
また、記憶層の磁化をずらすことにより、磁化の反転に要する電流量を低減して、メモリの消費電力を低減することも可能になる。
さらにまた、充分な熱安定性を確保した上で、情報の記録を高速に行うことが可能になる。
従って、高速で情報の記録を行うことができ、かつ信頼性の高いメモリを実現することが可能になる。
まず、本発明の具体的な実施の形態の説明に先立ち、本発明の概要について説明する。
本発明は、前述したスピン注入により、記憶素子の記憶層の磁化の向きを反転させて、情報の記録を行うものである。記憶層は、強磁性層等の磁性体により構成され、情報を磁性体の磁化状態(磁化の向き)により保持するものである。
スピン注入により磁性層の磁化の向きを反転させる基本的な動作は、巨大磁気抵抗効果素子(GMR素子)もしくは磁気トンネル接合素子(MTJ素子)から成る記憶素子に対して、その膜面に垂直な方向に、ある閾値(Ic)以上の電流を流すものである。このとき、電流の極性(向き)は、反転させる磁化の向きに依存する。
この閾値よりも絶対値が小さい電流を流した場合や、電流を流している時間が短い場合には、磁化反転を生じない。
スピン注入によって、磁性層の磁化の向きを反転させるときに、必要となる電流の閾値Jcは、現象論的に、下記(式1)により表される(例えば、R. H. Koch他、Phys. Rev. Lett. 92 0883021 (2004)、等を参照)。
Figure 2007317733
(式1)において、Jc0は記憶層の磁気特性によって決まる特性値で、反転電流の下限を与えるものである。τは記憶層の飽和磁化とダンピング定数とによって決まる時間量で、概ねナノ秒オーダーの値である。tは書き込み時間である。θは記憶層の磁化と磁化固定層の磁化とのなす角度である。
この式を見て分かるように、θがゼロである状態(記憶層及び磁化固定層のそれぞれの磁化が、平行又は反平行である状態)では、反転電流Jcが急激に増加してしまう。θは常に一定の値であるのではなく、熱揺らぎの影響を受けて、磁化容易軸の周りをランダムに動いている。
スピン注入を開始したときに、偶然このθがゼロに近い値であった場合には、反転に要する時間が長くなるために、流した電流量で記憶層の磁化が反転しきらずに、書き込みが失敗してしまうエラーが生じることになる。
本発明では、このように偶然θがゼロに近い値になってしまっていて、書き込みに失敗してしまうエラーを防ぐように、メモリを構成する。
記憶素子に接続された金属導体を通して、記憶素子に電流を流すと、電流の周りに環状磁界が発生する。
通常のスピン注入磁化反転においては、この環状の電流磁界によって、記憶層の磁化の向きが大きく変化するようなことはない。
これに対して、本発明では、環状の電流磁界を記憶層部分に集中させることにより、記憶層の磁化を磁化容易軸から微小にずらすものである。これにより、磁化の反転に要する時間を短縮することができる。
本発明では、記憶素子と電気的に接続された金属導体に、磁性体を設けることにより、環状の電流磁界を強めてかつ記憶層部分に集中させて、記憶層の磁化を磁化容易軸からずらす作用を生じさせる。磁性体を設ける金属導体は、記憶素子と直接接続されていてもよく、他の導体を介して間接的に接続されていてもよく、いずれにしても記憶素子と電気的に接続されていればよい。
そして、例えば、金属導体の一部又は全体を覆って磁性体を設けることにより、環状の電流磁界を強めると共に、電流磁界を記憶層部分に集中させることが可能になる。
本発明の構成により、磁化の反転に要する時間を短縮することができるため、情報の記録を高速に行うことが可能になる。
また、記憶層の磁化をずらして、(式1)のθを大きくするので、磁化の反転に要する電流量を低減して、メモリの消費電力を低減することも可能になる。
さらにまた、熱安定性パラメーターΔを小さくしなくても、記憶層の磁化の反転に要する時間を短縮することができる。これにより、充分な熱安定性を確保した上で、情報の記録を高速に行うことが可能になる。
従って、高速で情報の記録を行うことができ、かつ信頼性の高いメモリを実現することが可能になる。
さらに、本発明では、選択トランジスタの飽和電流値を考慮して、記憶層と磁化固定層との間の非磁性の中間層として、絶縁体から成るトンネル絶縁層を用いて磁気トンネル接合(MTJ)素子を構成する。
トンネル絶縁層を用いて磁気トンネル接合(MTJ)素子を構成することにより、非磁性導電層を用いて巨大磁気抵抗効果(GMR)素子を構成した場合と比較して、磁気抵抗変化率(MR比)を大きくすることができ、読み出し信号強度を大きくすることができるためである。
また、トンネル絶縁層の材料として、特に、酸化マグネシウム(MgO)を用いることにより、これまで一般的に用いられてきた酸化アルミニウムを用いた場合よりも、磁気抵抗変化率(MR比)を大きくすることができる。
一般に、スピン注入効率はMR比に依存し、MR比が大きいほど、スピン注入効率が向上し、磁化反転電流密度を低減することができる。
従って、中間層であるトンネル絶縁層の材料として酸化マグネシウムを用い、同時に上述の構成の記憶層を用いることにより、スピン注入による書き込み閾値電流を低減することができ、少ない電流で情報の書き込み(記録)を行うことができる。また、読み出し信号強度を大きくすることができる。
これにより、MR比(TMR比)を確保して、スピン注入による書き込み閾値電流を低減することができ、少ない電流で情報の書き込み(記録)を行うことができる。また、読み出し信号強度を大きくすることができる。
トンネル絶縁層を酸化マグネシウム(MgO)膜により形成する場合には、MgO膜が結晶化していて、001方向に結晶配向性を維持していることがより望ましい。
なお、本発明において、記憶層と磁化固定層との間の中間層は、酸化マグネシウムから成る構成(トンネル絶縁層)とする他にも、例えば、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、SiO、Bi、MgF、CaF、SrTiO、AlLaO、Al−N−O等の各種の絶縁体、誘電体、半導体を用いて構成することもできる。
さらにまた、中間層に酸化マグネシウムを用いた場合に優れた磁気抵抗効果特性(MR特性)を得るためには、アニール温度を300℃以上、望ましくは340℃〜360℃の高い温度とすることが要求される。これは、従来中間層に用いられていた酸化アルミニウムの場合のアニール温度の範囲(250℃〜280℃)と比較して、高温になっている。
これは、酸化マグネシウム等のトンネル絶縁層の適正な内部構造や結晶構造を形成するために必要になるからである、と考えられる。
このため、記憶素子の強磁性層にも、この高い温度のアニールに耐性を有するように、耐熱性のある強磁性材料を用いることにより、優れたMR特性を得ることができる。
記憶素子のその他の構成は、スピン注入により情報を記録する記憶素子の従来公知の構成と同様とすることができる。
続いて、本発明の実施の形態を説明する。
本発明の一実施の形態として、メモリの概略構成図(斜視図)を図1に示す。
このメモリは、互いに直交する2種類のアドレス配線(例えばワード線とビット線)の交点付近に、磁化状態で情報を保持することができる記憶素子が配置されて成る。
即ち、シリコン基板等の半導体基体10の素子分離層2により分離された部分に、各メモリセルを選択するための選択用トランジスタを構成する、ドレイン領域8、ソース領域7、並びにゲート電極1が、それぞれ形成されている。このうち、ゲート電極1は、図中前後方向に延びる一方のアドレス配線(例えばワード線)を兼ねている。
ドレイン領域8は、図中左右の選択用トランジスタに共通して形成されており、このドレイン領域8には、配線9が接続されている。
そして、ソース領域7と、上方に配置された、図中左右方向に延びる他方のアドレス配線(例えばビット線)6との間に、記憶素子3が配置されている。この記憶素子3は、スピン注入により磁化の向きが反転する強磁性層から成る記憶層を有する。
また、この記憶素子3は、2種類のアドレス配線1,6の交点付近に配置されている。
この記憶素子3は、ビット線6と、ソース領域7とに、それぞれ上下のコンタクト部4及び5を介して接続されている。
これにより、2種類のアドレス配線1,6を通じて、記憶素子3に上下方向の電流を流して、スピン注入により記憶層の磁化の向きを反転させることができる。
また、本実施の形態のメモリの記憶素子3の断面図を図2に示す。
図2に示すように、この記憶素子3は、スピン注入により磁化M1の向きが反転する記憶層17に対して、下層に磁化固定層31を設けている。磁化固定層31の下に反強磁性層12が設けられ、この反強磁性層12により、磁化固定層31の磁化の向きが固定される。
記憶層17と磁化固定層31との間には、トンネルバリア層(トンネル絶縁層)となる絶縁層16が設けられ、記憶層17と磁化固定層31とにより、MTJ素子が構成されている。
また、反強磁性層12の下には下地層11が形成され、記憶層17の上にはキャップ層18が形成されている。
磁化固定層31は、積層フェリ構造となっている。
具体的には、磁化固定層31は、2層の強磁性層13,15が、非磁性層14を介して積層されて反強磁性結合した構成である。
磁化固定層31の各強磁性層13,15が積層フェリ構造となっているため、強磁性層13の磁化M13が右向き、強磁性層15の磁化M15が左向きとなっており、互いに反対向きになっている。これにより、磁化固定層31の各強磁性層13,15から漏れる磁束が、互いに打ち消し合う。
磁化固定層31の強磁性層13,15の材料としては、特に限定はないが、鉄、ニッケル、コバルトの1種もしくは2種以上からなる合金材料を用いることができる。さらにNb,Zr,Gd,Ta,Ti,Mo,Mn,Cu等の遷移金属元素やSi,B,C等の軽元素を含有させることもできる。また、例えばCoFe/NiFe/CoFeの積層膜といったように、材料が異なる複数の膜を直接(非磁性層を介さずに)積層して、強磁性層13,15を構成してもよい。
磁化固定層31の積層フェリを構成する非磁性層14の材料としては、ルテニウム、銅、クロム、金、銀等が使用できる。
本実施の形態では、特に、記憶素子3に接続されているコンタクト部4,5を、図9及び図10に示したような、スピン注入を利用したメモリの従来の構成とは異ならせる。
ここで、本発明に対する比較構成として、図9及び図10に示したと同様の、スピン注入を利用したメモリの従来の構成において、メモリを構成する記憶素子53付近の拡大斜視図を図12に示す。図12に示すように、記憶素子53の上下にコンタクト部54が接続されており、このコンタクト部54は、金属導体によって構成される。
図12の構成では、選択トランジスタ等で選択された、記憶素子53の上下のコンタクト部54の間に書き込み電圧を印加することで、書き込み電流が記憶素子53に流れて、スピン注入による磁化の向きの反転が起こる。
この際、反転に要する時間は、前述したように記憶素子53の記憶層の磁化の向きに関係し、たまたま磁化固定層の磁化と向きが一致(角度が0°又は180°)していた場合には、非常に長い書き込み時間を要してしまう。
これに対して、図1に示したメモリのメモリセルの要部の斜視図(記憶素子3付近の拡大斜視図)を、図3に示す。
本実施の形態では、図3に示すように、記憶素子3に接続された上下のコンタクト部4,5が、それぞれ金属導体21の周りを、磁性体22で覆って構成されている。
磁性体22の材料としては、透磁率の高い磁性材料であれば、どの磁性材料を使用しても同じ効果が期待できる。
例えば、Co,Fe,Niを主成分とする一般的な強磁性合金、即ち、CoFe合金、NiFe合金、CoNiFe合金等を、使用することができる。また、これらの強磁性合金に、B,C,N等の軽元素、Ti,V,Cr,Zr,Nb,Mo,Hf,Ta,W等の遷移金属元素、Gd等の希土類元素、Pt,Pd等の貴金属元素を、添加元素として1種類以上含有させてもよい。このような添加元素が含まれていた方が望ましい場合がある。
本実施の形態のコンタクト部4,5の構造を形成する方法は、特に限定されないが、例えば、以下のようにして形成することが可能である。
まず、表面を覆った絶縁層に、コンタクト部を形成するための貫通孔を形成する。例えば、図1のメモリの場合、ソース領域7や記憶素子3に達する貫通孔を形成する。
次に、貫通孔の内壁に沿うように、磁性体22の薄膜を形成する。
その後、貫通孔の底面に形成された磁性体22を除去する。
次に、貫通孔内を埋めて金属導体21を形成した後、絶縁層上に残った金属導体21を除去する。
このようにして、金属導体21の周りを磁性体22で覆った構造のコンタクト部4,5を形成することができる。
本実施の形態の構成において、図4Aに示すように、記憶素子3に対して、金属導体21を通じて上から下へ電流Iを流して、スピン注入を行う場合を考える。
この場合、下向きの電流Iによって、上下のコンタクト部4,5の磁性体22に、右回り(時計回り)の電流磁界23を生じる。
そして、上下のコンタクト部4,5の磁性体22からの漏れ磁界と、下向きの電流Iによる電流磁界とによって、図4Aに破線で示す、記憶素子3の記憶層を通る水平面において、図4Bに示すように、記憶素子3の記憶層17に、右回り(時計回り)の電流磁界23を生じる。
この電流磁界23により、記憶層17の磁化M1の向きを、磁化容易軸方向(磁化固定層31の磁化M13,M15の向き)から磁化困難軸方向へずらすことが可能になる。
このように、コンタクト部4,5に透磁率の高い磁性体22を設けたことにより、金属導体21を流れる電流Iによる電流磁界23は、磁性体22の周りに集中し、結果として記憶層17の周りにも強い磁界23が発生し、記憶層17の磁化M1の向きを磁化固定層31の磁化M13,M15の向きから、微小にずらす効果をもたらす。
ここで、注意しなければならないのは、記憶層17の磁化M1の反転は、あくまでスピン注入によって起こるものであり、この集中された電流磁界23は、スピン注入を始動させる役割のために使われるという点である。
また、図4Aの電流Iとは逆に上向きに電流を流した場合には、コンタクト部4,5の磁性体22により、記憶層17に左回り(反時計回り)の磁界を生じて、この磁界によって、記憶層17の磁化M1の向きを、磁化固定層31の磁化M13,M15の向きから、微小にずらす効果が得られる。
従って、記憶層17の磁化M1の向きをどちらに反転させる場合でも、磁界の作用によって、記憶層17の磁化M1の向きをずらすことができる。
上述の本実施の形態によれば、記憶素子3の上下のコンタクト部4,5において、電流を流す金属導体21の周囲に磁性体22が覆っているので、金属導体21を流れる電流による電流磁界23を、磁性体22に集中させることができる。
そして、磁性体22に集中させた電流磁界23を、磁性体22から記憶素子3へ漏れ磁界23として印加することができる。これにより、記憶素子3の記憶層17の磁化M1の向きを、磁化固定層31の磁化M13,M15の向き、即ち磁化容易軸方向からずらして、記憶層17の磁化M1の向きを反転させやすくすることができる。
これにより、記憶層17の磁化M1の向きの反転に要する時間を、短縮することができるため、情報の記録を高速に行うことが可能になる。
また、本実施の形態によれば、記憶層17の磁化M1をずらして、(式1)のθを大きくするので、磁化M1の反転に要する電流量を低減して、メモリの消費電力を低減することも可能になる。
さらにまた、熱安定性パラメーターΔを小さくしなくても、記憶層17の磁化M1の反転に要する時間を短縮することができる。これにより、充分な熱安定性を確保した上で、情報の記録を高速に行うことが可能になる。
従って、高速で情報の記録を行うことができ、かつ信頼性の高いメモリを実現することが可能になる。
なお、図3では、上下両方のコンタクト部4,5において、金属導体21を磁性体22で覆っているが、一方のコンタクト部のみに磁性体22を設けても構わない。
図1〜図4に示した上述の実施の形態においては、上下のコンタクト部4,5の金属導体21が一直線上にあったが、図11に示したMRAMのバイパス線111のように、別の金属層を介して、上下のコンタクト部の金属導体をずらして設置することもできる。その場合を次に示す。
本発明の他の実施の形態として、メモリの要部(記憶素子付近)の拡大斜視図を、図5に示す。
本実施の形態では、特に、記憶素子3と下方のコンタクト部5の金属導体21とが、図中鎖線で示すバイパス線24によって接続され、上下のコンタクト部4,5の金属導体21が左右にずらして配置されている。
また、上方のコンタクト部4は、金属導体21のみで磁性体22が設けられていない構成であり、下方のコンタクト部5は、金属導体21の右半分を覆って磁性体22が設けられた構成である。
本実施の形態の下方のコンタクト部5の構造を形成する方法は、特に限定されないが、例えば、先の実施の形態で説明した形成方法を一部変更して、形成することが可能である。
例えば、絶縁層の貫通孔の右半分のみに磁性体22が形成されるように、斜めに成膜したり、左半分をマスクで覆ったりすることが考えられる。また、貫通孔の内壁全面に磁性体22を形成した後に、左半分のみを除去することが考えられる。
或いは、例えば、柱状の金属導体21を形成した後に、斜め右上から磁性体22を堆積させて、右半分のみに磁性体22を形成することが考えられる
本実施の形態の構成において、図6Aに示すように、記憶素子3に対して、金属導体21を通じて上から下へ電流Iを流して、スピン注入を行う場合を考える。
この場合、下向きの電流Iによって、下方のコンタクト部5の磁性体22に、右回り(時計回り)の電流磁界23を生じる。この下方のコンタクト部5の磁性体22が金属導体21の右半分だけに設けられているため、電流磁界23がコンタクト部5から左に漏れていく。
そして、下方のコンタクト部5の磁性体22からの漏れ磁界によって、図6Aに破線で示す、記憶素子3の記憶層を通る水平面において、図6Bに示すように、記憶素子3の記憶層17に、手前から奥に向かう磁界23を生じる。
この磁界23により、記憶層17の磁化M1の向きを、磁化容易軸方向(磁化固定層31の磁化M13,M15の向き)から磁化困難軸方向へずらすことが可能になる。
また、図6Aの電流Iとは逆に上向きに電流を流した場合には、下方のコンタクト部5の磁性体22により、記憶層17に左回り(反時計回り)の磁界を生じて、この磁界によって、記憶層17の磁化M1の向きを、磁化固定層31の磁化M13,M15の向きから、微小にずらす効果が得られる。
従って、記憶層17の磁化M1の向きをどちらに反転させる場合でも、磁界の作用によって、記憶層17の磁化M1の向きをずらすことができる。
上述の本実施の形態によれば、記憶素子3の下方のコンタクト部5において、電流を流す金属導体21の周囲に磁性体22が覆っているので、金属導体21を流れる電流による電流磁界23を、磁性体22に集中させることができる。
そして、磁性体22に集中させた電流磁界23を、磁性体22から記憶素子3へ漏れ磁界23として印加することができる。これにより、記憶素子3の記憶層17の磁化M1の向きを、磁化固定層31の磁化M13,M15の向き、即ち磁化容易軸方向からずらして、記憶層17の磁化M1の向きを反転させやすくすることができる。
さらに、記憶素子3の下方のコンタクト部5の金属導体21が、記憶素子3から右にずれているため、記憶素子3とは反対側の右半分の側面のみ磁性体22で覆うことによって、より効果的に、記憶層17に磁界23を印加することができるようになる。
そして、記憶層17の磁化M1の向きを反転させやすくするので、記憶層17の磁化M1の向きの反転に要する時間を、短縮することが可能になる。これにより、情報の記録を高速に行うことが可能になる。
また、本実施の形態によれば、先の実施の形態と同様に、記憶層17の磁化M1の反転に要する電流量を低減して、メモリの消費電力を低減することも可能になり、充分な熱安定性を確保した上で、情報の記録を高速に行うことも可能になる。
従って、高速で情報の記録を行うことができ、かつ信頼性の高いメモリを実現することが可能になる。
なお、上方のコンタクト部4と記憶素子3とをずらして、その間をバイパス線24で接続してもよく、その場合には、上方のコンタクト部4に磁性体を設ける。
また、コンタクト部をずらす方向は任意であり、どの方向にずらした場合でも、金属導体の記憶素子とは反対側のみに磁性体を設ければよい。
本発明のさらに他の実施の形態として、メモリの要部(記憶素子付近)の拡大斜視図を、図7に示す。
本実施の形態は、バイパス線自体に、磁界集中の構造を設けたものである。
記憶素子3と下方のコンタクト部5の金属導体21とが、バイパス線24によって接続され、上下のコンタクト部4,5の金属導体21が左右にずらして配置されている。
また、バイパス線24は、金属層(金属導体)25の4面のうち、記憶素子3に接する上面以外の3面(下面と両側面)を磁性体26が覆われた構成となっている。
上下の各コンタクト部4,5は、金属導体21のみで磁性体が設けられていない構成である。
このように構成することにより、バイパス線24に電流が流れる際に発生する磁界が、記憶層17の周りに集中され、記憶層17の磁化M1の向きを磁化固定層31の磁化M13,M15の向きからずらすことに寄与する。
本実施の形態のバイパス線24の構造を形成する方法は、特に限定されないが、例えば、以下のようにして形成することが可能である。
まず、磁性体26の層を形成する。
その後、磁性体26の層に、金属導体25を埋め込む溝状の凹部を形成する。
次に、溝状の凹部内を埋めて金属導体25を形成する。
そして、金属導体25を埋め込んだ磁性体26を、バイパス線24のパターンにパターニングする。
このようにして、金属導体25の周りを磁性体26で覆った構造のバイパス線24を、形成することができる。
本実施の形態の構成において、図8Aに示すように、記憶素子3に対して、金属導体21を通じて上から下へ電流Iを流して、スピン注入を行う場合を考える。
この場合、コンタクト部4,5では下向きに電流Iが流れるが、バイパス線24の金属層25では、右向きに電流Iが流れる。この右向きの電流Iによって、金属層25の周囲を覆う磁性体26に、電流磁界23を生じる。この磁性体26が金属層25の3面(下面と両側面)だけを覆っているため、電流磁界23がバイパス線24から上に漏れていく。
そして、バイパス線24の磁性体25からの漏れ磁界によって、図8Aに破線で示す、記憶素子3を通る鉛直面において、図8Bに示すように、記憶素子3に奥から手前に向かう磁界23を生じる。
この磁界23により、記憶素子3の記憶層17の磁化M1の向きを、磁化容易軸方向(磁化固定層31の磁化M13,M15の向き)から磁化困難軸方向へずらすことが可能になる。
また、図8Aの電流Iとは逆に上向きに電流を流した場合には、バイパス線24には左向きの電流を生じる。この左向きの電流によって、バイパス線24の磁性体26に、図8Aの磁界23とは逆向きの磁界を生じる。そして、この磁界によって、記憶素子3に手前から奥に向かう磁界を生じるので、記憶層17の磁化M1の向きを、磁化固定層31の磁化M13,M15の向きから、微小にずらす効果が得られる。
従って、記憶層17の磁化M1の向きをどちらに反転させる場合でも、磁界の作用によって、記憶層17の磁化M1の向きをずらすことができる。
上述の本実施の形態によれば、記憶素子3の下に接続されたバイパス線24において、電流を流す金属導体25の周囲に磁性体26が覆っているので、金属導体25を流れる電流による電流磁界23を、磁性体26に集中させることができる。
そして、磁性体26に集中させた電流磁界23を、磁性体26から記憶素子3へ漏れ磁界23として印加することができる。これにより、記憶素子3の記憶層17の磁化M1の向きを、磁化固定層31の磁化M13,M15の向き、即ち磁化容易軸方向からずらして、記憶層17の磁化M1の向きを反転させやすくすることができる。
これにより、記憶層17の磁化M1の向きの反転に要する時間を、短縮することができるため、情報の記録を高速に行うことが可能になる。
また、本実施の形態によれば、先の実施の形態と同様に、記憶層17の磁化M1の反転に要する電流量を低減して、メモリの消費電力を低減することも可能になり、充分な熱安定性を確保した上で、情報の記録を高速に行うことも可能になる。
従って、高速で情報の記録を行うことができ、かつ信頼性の高いメモリを実現することが可能になる。
上述した各実施の形態のように、記憶層17に電流を供給する金属導体21,25の周りを適宜磁性体22,26で覆うことによって、集中された磁界23が記憶層17に印加され、記憶層17の磁化M1の向きが微小に磁化固定層31の磁化M13,M15の向きからずれる。これにより、スピン注入トルクが記憶層17の磁化M1に大きく働くので、記憶層17の磁化M1の向きを、短い時間で反転させることが可能となる。
本発明では、上述の各実施の形態で示した記憶素子3の膜構成に限らず、様々な膜構成を採用することが可能である。
図2では、磁化固定層31が2層の強磁性層13,15と非磁性層14から成る積層フェリ構造となっているが、例えば、磁化固定層を単層の強磁性層により構成してもよい。
本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でその他様々な構成が取り得る。
本発明の一実施の形態のメモリの概略構成図(斜視図)である。 図1の記憶素子の断面図である。 図1のメモリの要部(記憶素子付近)の拡大斜視図である。 A、B 図3の構成に電流を流したときの磁界の作用を説明する図である。 本発明の他の実施の形態のメモリの要部(記憶素子付近)の拡大斜視図である。 A、B 図5の構成に電流を流したときの磁界の作用を説明する図である。 本発明のさらに他の実施の形態のメモリの要部(記憶素子付近)の拡大斜視図である。 A、B 図7の構成に電流を流したときの磁界の作用を説明する図である。 スピン注入による磁化反転を利用したメモリの概略構成図(斜視図)である。 図9のメモリの断面図である。 従来のMRAMの構成を模式的に示した斜視図である。 スピン注入による磁化反転を利用した従来の構成のメモリの要部(記憶素子付近)の拡大斜視図である。
符号の説明
3 記憶素子、4,5 コンタクト部、11 下地層、12 反強磁性層、13,15 強磁性層、14 非磁性層、16 絶縁層、17 記憶層、18 キャップ層、21,25 金属導体、22,26 磁性体、23 電流磁界、24 バイパス線、31 磁化固定層

Claims (2)

  1. 情報を磁性体の磁化状態により保持する記憶層を有する記憶素子と、
    前記記憶素子に電気的に接続された導体とを少なくとも備え、
    前記記憶素子は、前記記憶層に対して、中間層を介して磁化固定層が設けられ、前記中間層が絶縁体から成り、積層方向にスピン偏極した電子を注入することにより、前記記憶層の磁化の向きが反転して、前記記憶層に対して情報の記録が行われる構成であり、
    前記導体を流れる電流による磁界を強め、かつ前記記憶素子の前記記憶層に漏れ磁界を印加させて前記記憶層の磁化の向きをずらす作用を生じるように、前記導体の少なくとも一部に対して磁性体が設けられ、
    前記導体を通じて、前記記憶素子に前記積層方向の電流が流れて、スピン偏極した電子が注入される
    ことを特徴とするメモリ。
  2. 前記記憶素子の上下に前記導体が配置され、上下の前記導体のうち少なくとも一方の導体の周囲を覆って、前記磁性体が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のメモリ。
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