JP4486943B2 - 被加工脆性板の切断装置および切断方法 - Google Patents

被加工脆性板の切断装置および切断方法 Download PDF

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Description

本発明は、被加工脆性板の切断装置および切断方法に関し、特に、シリコンウェハ、薄板ガラス等の被加工脆性板を製品と周辺残材とに切り離す切断装置および切断方法に関する。
一般に、シリコンウェハや薄板ガラス等の被加工脆性板を切断する方法として、ダイヤモンド砥石や超硬チップを用いて被加工脆性板の上面に切り溝をつけ、この切り溝を基点にクラックを発生させて切断する方法が知られている(たとえば、特開平6−16442号公報(特許文献1)参照)。
また、ダイヤモンド砥石や超硬チップなどの工具を用いずに非接触でシリコンウェハ等を切断する方法として、レーザーを用いた熱溶断法が知られている。このレーザーを用いた熱溶断法は、被加工脆性板の切断予定領域にレーザーを照射し、照射したレーザーの熱によって上記切断予定領域を溶断する(すなわち、加熱により被加工脆性板を溶融または気化させることによって切断する)方法である(たとえば、特開平6−120334号公報(特許文献2)または特開平6−269968号公報(特許文献3)参照)。
また、上述のレーザーを用いた熱溶断法と同じくダイヤモンド砥石や超硬チップなどの工具を用いずに非接触で薄板ガラスを切断する方法として、レーザーを用いた熱衝撃法が知られている。このレーザーを用いた熱衝撃法は、被加工脆性板の切断予定領域にレーザーを照射し、照射したレーザーの熱によって被加工脆性板に熱衝撃を与えて切断する(より具体的には、被加工脆性板の一方の主面にレーザーを瞬間的に照射し、これによって被加工脆性板のレーザーが照射された側の面を瞬間的に熱膨張させ、他方の主面との膨張率の差により被加工脆性板にクラックを生じさせて切断する)方法である(たとえば、特開2000−219528号公報(特許文献4)または特開2000−15467号公報(特許文献5)参照)。
この他にも、燃焼ガスやプラズマを用いた切断方法やウォータージェットを用いた切断方法など種々の切断方法が被加工脆性板の切断に適用されている。
特開平6−16442号公報 特開平6−120334号公報 特開平6−269968号公報 特開2000−219528号公報 特開2000−15467号公報
上述の特許文献1ないし5に開示の被加工脆性板の切断装置は、いずれも実質的に均一な板厚をもち、少なくとも切断装置上においては反りがないとみなされる被加工脆性板を切断対象としているものであり、反りや板厚変動をもった被加工脆性板を切断することについては特に考慮されたものではない。しかしながら、たとえば板厚100μm〜500μm程度の板厚のシリコンウェハや、板厚30μm〜500μm程度の板厚の薄板ガラス等に代表される被加工脆性板は、一般に反りや板厚変動をもったものが多く、何らかの対策を施さない限り切断時に製品を破損するおそれが高く、歩留まり低下の原因となっていた。
具体的には、被加工脆性板を安定的に切断するためには、被加工脆性板を載置台の載置面に対して押し付けた状態とする必要があるが、反りや板厚変動をもった被加工脆性板を無理に載置台に押し付けると被加工脆性板に応力が加わり、この応力によって被加工脆性板に破損が生じたり、あるいは切断時に被加工脆性板に加わる衝撃によって被加工脆性板に破損が生じたりしていた。これは、上述したダイヤモンド砥石や超硬チップ等の工具を用いた切断方法やレーザーを用いた切断方法、燃焼ガスやプラズマを用いた切断方法、ウォータージェットを用いた切断方法などのすべての切断方法において起こり得る問題である。
そこで、本発明は、上述の問題点を解消すべくなされたものであり、切断作業時における、被加工脆性板の反りや板厚変動を要因とする製品の破損が効果的に防止される被加工脆性板の切断装置および切断方法を提供することを目的とする。
本発明に基づく被加工脆性板の切断装置は、被加工脆性板を製品領域と周辺残材領域とに切断するためのものであって、被加工脆性板を保持する保持機構および上記保持機構によって保持された被加工脆性板に当接することによって被加工脆性板を支持する支持部を含む載置台と、上記載置台上に載置された被加工脆性板を切断する切断機構とを備える。上記支持部は、被加工脆性板の製品領域に当接する第1支持部と、被加工脆性板の周辺残材領域に当接する第2支持部とを含む。上記第1支持部と上記第2支持部との間には、切り溝が形成されている。上記保持機構は、被加工脆性板の製品領域を吸着保持する第1吸着保持部と、被加工脆性板の周辺残材領域を吸着保持する第2吸着保持部とを含む。上記第1吸着保持部および上記第2吸着保持部の各々は、蛇腹状の吸着部を有し、自身が縮むように変形することによって被加工脆性板を保持するベロウ型吸着パッドにて構成されている。
このように構成することにより、被加工脆性板を自身が縮むように変形することによって保持可能なベロウ型吸着パッドで保持しつつその切断が実施可能になるため、被加工脆性板の反りや板厚変動に起因する製品の破損が防止された切断装置とすることができる。
上記本発明に基づく被加工脆性板の切断装置にあっては、上記支持部が被加工脆性板に接触する部位にクッション部を有していることが好ましい。
このように構成することにより、被加工脆性板がクッション部に当接した状態でベロウ型吸着パッドによって保持されるため、切断作業時に被加工脆性板に加わる衝撃をクッション部にて吸収することが可能となり、製品の破損がより確実に防止されるようになる。
上記本発明に基づく被加工脆性板の切断装置にあっては、上記保持機構が上記ベロウ型吸着パッドの吸着面を水平面に対して所定の角度にまで傾斜可能とする角度可変機構を含んでいることが好ましい。
このように構成することにより、ベロウ型吸着パッドの吸着面が傾斜した状態においても被加工脆性板を安定的に保持することが可能になるため、反りをもった被加工脆性板に対して保持機構が良好な保持機能を発揮することができる。
上記本発明に基づく被加工脆性板の切断装置にあっては、上記保持機構が上記ベロウ型吸着パッドを昇降させる昇降機構を含んでいることが好ましく、その場合に、上記昇降機構が上記ベロウ型吸着パッドを上記載置台の内部に収容可能にすることが好ましい。
このように構成することにより、ベロウ型吸着パッドを載置台の内部に収容することが可能になるため、載置台の載置面の清掃時等においてベロウ型吸着パッドが破損することが防止可能になる。
上記本発明に基づく被加工脆性板の切断装置にあっては、上記ベロウ型吸着パッドが上記載置台に複数配置されていてもよく、その場合には、上記切断機構による被加工脆性板の切断の際に、上記複数のベロウ型吸着パッドのうちのいずれを被加工脆性板を保持するベロウ型吸着パッドとし且ついずれを被加工脆性板を保持しないベロウ型吸着パッドとするかを切断作業の進行状態にあわせて選択的に切り換え可能に構成されていることが好ましい。
このように構成することにより、切断を行なう部分の近傍におけるベロウ型吸着パッドのみを用いて被加工脆性板を保持することが可能になるため、被加工脆性板の反りや板厚変動の影響を排除した上での被加工脆性板の切断が可能になる。また、切断の進行に伴って被加工脆性板を保持するベロウ型吸着パッドを適宜変更することにより、反りや板厚変動をもった被加工脆性板の切断部分を常に載置台の載置面に対して実質的に平行に維持した状態での切断が可能になるため、製品の破損を効果的に防止することができる。したがって、歩留まりよく被加工脆性板を切断することが可能になる。
上記本発明に基づく被加工脆性板の切断装置にあっては、上記切断機構が、被加工脆性板の切断予定領域にレーザーを照射することにより、被加工脆性板を切断するレーザー切断機構であることが好ましい。
このように、レーザーを照射することによって被加工脆性板を切断するレーザー切断装置の保持機構をベロウ型吸着パッドとすることにより、歩留まりよく製品の切り出しが行なえるようになる。
本発明に基づく被加工脆性板の切断方法は、上記ベロウ型吸着パッドが上記載置台に複数配置され、上記切断機構による被加工脆性板の切断の際に、上記複数のベロウ型吸着パッドのうちのいずれを被加工脆性板を保持するベロウ型吸着パッドとし且ついずれを被加工脆性板を保持しないベロウ型吸着パッドとするかを切断作業の進行状態にあわせて選択的に切り換え可能である被加工脆性板の切断装置を用いて被加工脆性板を切断する方法であって、上記載置台に配置された複数のベロウ型吸着パッドのうちのいずれを被加工脆性板を保持するベロウ型吸着パッドとし且ついずれを被加工脆性板を保持しないベロウ型吸着パッドとするかを順次選択的に切り換え、これにより被加工脆性板の保持されている領域を順次切り換えつつ上記切断機構による被加工脆性板の切断を行なうことを特徴とするものである。
このように、切断の進行に伴って被加工脆性板を保持するベロウ型吸着パッドを順次選択的に切り換えつつ被加工脆性板を切断することにより、反りや板厚変動をもった被加工脆性板の切断部分を常に載置台の載置面に対して実質的に平行に維持した状態とすることが可能になり、製品の破損を効果的に防止することができる。したがって、歩留まりよく被加工脆性板を切断することが可能になる。
本発明によれば、切断作業時における、被加工脆性板の反りや板厚変動を要因とする製品の破損が効果的に防止された被加工脆性板の切断装置および切断方法とすることができる。
本発明が適用される被加工脆性板の切断装置および切断方法によって加工される被加工脆性板は、切断後において製品となる製品領域と、切断後において周辺残材となる周辺残材領域とを含んだシリコンウェハやガラス基板等の脆性板である。切断後における製品は各種電子機器等を構成する部品として利用され、切断後における周辺残材は廃棄されたりあるいはその他の用途に再利用されたりする。本発明が適用される被加工脆性板の切断装置および切断方法によって好適に加工される被加工脆性板の板厚としては、シリコンウェハの場合には概ね100μm〜500μm程度、薄板ガラスの場合には概ね30μm〜500μm程度であるが、この範囲に限定されるものではない。
本発明が適用される被加工脆性板の切断装置および切断方法は、少なくとも1つの製品領域と少なくとも1つの周辺残材領域とを含む被加工脆性板を切断することにより、被加工脆性板の製品領域から周辺残材領域を切り離して製品を取り出すものであり、その意味において被加工脆性板がどのような構成のものであってもよい。したがって、本発明は、たとえば以下に示すような切り出しの態様のすべてに適用可能なものである。
図1(A)ないし図1(D)は、被加工脆性板から製品を切り出す際の態様を示す図である。このうち、図1(A)ないし図1(C)は、被加工脆性板が1つの製品領域と複数の周辺残材領域とを有している場合の切り出しの態様を示すものであり、図1(D)は、被加工脆性板が複数の製品領域と複数の周辺残材領域とを有している場合の切り出しの態様を示すものである。なお、これら図示する態様は一例に過ぎず、他の切り出しの態様の場合においても本発明の適用が当然に可能である。
図1(A)に示す被加工脆性板50においては、製品領域51aが略矩形状の被加工脆性板50の中央部に設けられており、この製品領域51aを取り囲むように周辺残材領域52a〜52dが被加工脆性板50の全周にわたって位置している。製品領域51aの切り出しの際には、図中に示す切断予定領域53に沿って被加工脆性板50が切断され、これにより被加工脆性板50は、1つの製品51Aと4つの周辺残材52A〜52Dとに切り分けられる。
図1(B)および図1(C)に示す被加工脆性板50においては、製品領域51aが略矩形状の被加工脆性板50の中央部から端部の一部(図1(B)に示す被加工脆性板50においては1辺、図1(C)に示す被加工脆性板50においては2辺)にまで達して設けられており、この製品領域51aが達した端部以外の端部(図1(B)に示す被加工脆性板50においては残りの3辺、図1(C)に示す被加工脆性板50においては残りの2辺)に沿うように周辺残材領域(図1(B)に示す被加工脆性板50においては周辺残材領域52a〜52c、図1(C)に示す被加工脆性板50においては周辺残材領域52a,52b)が位置している。製品領域51aの切り出しの際には、図中に示す切断予定領域53に沿って被加工脆性板50が切断され、これにより被加工脆性板50は、1つの製品51Aと複数の周辺残材(図1(B)に示す被加工脆性板50においては3つの周辺残材52A〜52C、図1(C)に示す被加工脆性板50においては2つの周辺残材52A,52B)とに切り分けられる。
図1(D)に示す被加工脆性板50においては、4つの製品領域51a〜51dが略矩形状の被加工脆性板50の中央部に設けられており、これら4つの製品領域51a〜51dを取り囲むように周辺残材領域52a〜52dが被加工脆性板50の全周にわたって位置している。製品領域51a〜51dの切り出しの際には、図中に示す切断予定領域53に沿って被加工脆性板50が切断され、これにより被加工脆性板50は、4つの製品51A〜51Dと4つの周辺残材52A〜52Dとに切り分けられる。
以下に示す各実施の形態おいては、本発明に基づく被加工脆性板の切断装置および切断方法について、レーザーを照射することによって被加工脆性板が溶断されるように構成されたレーザー切断装置およびレーザー切断方法を例示して説明を行なう。
(実施の形態1)
図2は、本発明の実施の形態1における被加工脆性板の切断装置の構成を示した模式図であり、図3は、図2に示す載置台の上面図である。なお、図2において示す載置台の断面は、図3に示すII−II線に沿ったものである。以下においては、これらの図を参照して、本実施の形態におけるレーザー切断装置の構成について説明する。
図2に示すように、本実施の形態におけるレーザー切断装置1は、レーザー発振器11、ミラー12およびレーザー照射ノズル13を含むレーザー切断機構と、支持部21,22および保持機構を含む載置台20Aとを主に備えている。
レーザー切断機構は、載置台20Aに載置された被加工脆性板(元基板)50を製品と周辺残材とに切り離すためのものである。レーザー発振器11は、たとえばCO2レーザーやYAGレーザーなどに代表されるレーザーの発生源である。ミラー12は、レーザー発振器11にて発生したレーザーをレーザー照射ノズル13に導くための光路変更手段である。レーザー照射ノズル13は、内部に集光レンズ14を有しており、所定位置にレーザーを集光する。なお、レーザー照射ノズル13の内部にはアシストガスが導入管15から導入され、導入されたアシストガスはレーザーの照射方向と同じ方向に向けてレーザー照射ノズル13の先端から吹き出される。
図2および図3に示すように、載置台20Aは、切断に際して被加工脆性板50が載置される台である。載置台20Aには図示しない移動機構が付設されており、載置台20Aはこの移動機構によってその全体がx,y,zの3軸方向(すなわち、水平面内における任意の方向と高さ方向)に移動自在に構成されている。
支持部21,22は、載置台20A上に載置された被加工脆性板50に下方から当接することによって被加工脆性板50を支持する部位である。これら支持部21,22のうち、支持部21は、被加工脆性板50の製品領域に当接する部位であり、支持部22は、被加工脆性板50の周辺残材領域に当接する部位である。支持部21,22としては、平坦な表面を持つ定盤が利用される。定盤の材質としては、好適には鉄やアルミニウム合金等が挙げられる。
支持部21,22は、その上部にクッション部23a,23bをそれぞれ有していてもよく、本実施の形態における載置台20Aにおいては、支持部21,22の上面のすべてがクッション部23a,23bによって覆われている。このクッション部23a,23bは、被加工脆性板50が載置台20Aに載置された状態において被加工脆性板50の下面に当接する。クッション部23a,23bの材質としては、ゴムや樹脂等が好適に使用される。支持部21,22は、好適には被加工脆性板50が載置台20A上に載置された状態において、被加工脆性板50の切断予定領域に対応した位置に設けられる切り溝24を形成するように構成されている。
一方、保持機構は、載置台20A上に載置された被加工脆性板50を移動不能に保持・固定する部位であり、吸着保持部26,27を有している。これら吸着保持部26,27のうち、吸着保持部26は、被加工脆性板50の製品領域を吸着保持し、吸着保持部27は、被加工脆性板50の周辺残材領域を吸着保持する。吸着保持部26,27の詳細については後述することとする。吸着保持部26,27は、上述の支持部21,22に設けられた開口部23a1,23b1に対応して配置されており、その吸着面が載置台20Aの載置面において露出するように構成されている。
また、載置台20Aに具備される保持機構は、図示しない昇降機構を有している。昇降機構は、吸着保持部26,27の吸着面が載置台20Aの載置面に露出した状態と、吸着保持部26,27が載置台20Aの内部に収容された状態との間で吸着保持部26,27を図中矢印A方向に向けて昇降させる。この昇降機構は、たとえばブラシ等の清掃手段によって載置台20Aの載置面を清掃する際に、清掃手段が吸着保持部26,27に接触して破損したり、位置ずれを起こしたりすることを防止するためのものである。
上記構成のレーザー切断装置1においては、レーザー発振器11から出射されたレーザーがミラー12で折り返されることによってレーザー照射ノズル13内に導入され、集光レンズ14によって被加工脆性板50の表面近傍(たとえば、被加工脆性板50がシリコンウェハである場合には、シリコンウェハの表面位置を中心とした厚み方向における±1mmの範囲内)に集光されて焦点を結ぶ。被加工脆性板50に照射されるレーザーとしては、連続光であってもよいしパルス光であってもよい。切断条件は、切断する被加工脆性板50の材質や大きさ厚み等により適宜調節することが必要であるが、たとえば板厚200μm〜300μmのシリコンウェハをYAGレーザーにて切断する場合には、レーザーの平均出力を200W、周波数を500Hz、パルス幅を3m秒とし、100mm/分〜200mm/分の速度でレーザー切断を行なう。
レーザー照射ノズル13の先端から吹き出されるアシストガスとしては、好適には0.2MPa〜1.0MPa程度に加圧された空気、窒素、アルゴン等のガスが用いられる。このアシストガスは、レーザーを照射することによって生じる被加工脆性板50の溶融成分を吹き飛ばすことにより切断速度を速めたり、被加工脆性板50の切断面への溶融成分の再付着を防止したり、集光レンズ14の表面に埃等の異物が付着することを防いだりする。
図4は、本実施の形態における被加工脆性板の切断装置に利用される吸着保持部のうち、被加工脆性板の製品領域が載置される部分に配設された吸着保持部の拡大図である。なお、被加工脆性板の周辺残材料領域が載置される部分に配設された吸着保持部の構成も同様であるため、図示およびその説明は省略する。
図4(A)および図4(B)に示すように、本実施の形態における吸着保持部26としては、好適にはバッド式吸着保持部としてのベロウ型吸着パッド26Aが利用される。ベロウ型吸着パッド26Aは蛇腹状の吸着部26aを有しており、内部に負圧が発生する流路26cが設けられている。この流路26cは、ベロウ型吸着パッド26Aの下端に接続された配管26bの一端に連通している。配管26bの他端は、負圧の発生源であるバキュームポンプに接続される。蛇腹状の吸着部26aの上面には、被加工脆性板50の下面に吸着する吸着面26dが設けられている。
図4(A)に示すように、ベロウ型吸着パッド26Aによる吸着が行なわれる前の状態においては、ベロウ型パッドの吸着面26dは支持部21の表面から突出した位置に配置される。したがって、載置台20A上に搬送された被加工脆性板50は、支持部21に非接触の状態でベロウ型吸着パッド26A上に配置されることになる。この状態において上述のバキュームポンプを作動させてベロウ型吸着パッド26Aによる被加工脆性板50の吸着が行なわれると、図4(B)に示すように、ベロウ型吸着パッド26Aの吸着部26aが縮むことにより、被加工脆性板50は、適切な押し付け力によって支持部21上に押し付けられることになる。このとき、支持部21の上面にはクッション部23aが位置しているため、上記ベロウ型吸着パッド26Aによる押し付けによって被加工脆性板50が破損することもない。
このようなベロウ型吸着パッド26Aを吸着保持部として採用することにより、被加工脆性板50に反りや板厚変動があった場合や表面に多少の凹凸があった場合にも、適切な保持力(この保持力は、パッドのサイズや材質、負圧の圧力などによって規定される)によって被加工脆性板50が吸着保持されるようになる。したがって、被加工脆性板50が破損することなく歩留まりよく切断作業を行なうことができる。
上記において説明した図4に示す如くベロウ型吸着パッドを吸着保持部として利用する場合には、このベロウ型吸着パッドの吸着面を水平面に対して所定の角度にまで傾斜可能とする角度可変機構を設けることにより、反りを持った被加工脆性板に対するさらなる吸着性能の向上を図ることが可能である。図5は、図4に示すベロウ型吸着パッドに角度可変機構を具備させた場合の拡大図である。
図5(A)および図5(B)に示すように、ベロウ型吸着パッド26Bは、蛇腹状の吸着部26aと配管26bとを接続する部分に角度可変機構としての自在継手26eを有している。この自在継手26eは、吸着部26aを配管26bに対して自在に回動させることが可能であり、ベロウ型吸着パッド26Bの吸着面26dを水平面100に対して傾角θとなるまで回動させることが可能である(図5(B)参照)。この傾角θの大きさは、被加工脆性板50の仕様等に応じて適宜調節すればよい。
このように構成すれば、反りにより斜めとなった被加工脆性板50に対しても、吸着部26aが回動することによって被加工脆性板50に対して吸着面26dが常に平行になるため、その吸着力を損なわれることなく良好に吸着状態が維持されるようになる。したがって、歩留まりよく被加工脆性板50を切断することが可能になる。
上記においては、吸着保持部としてベロウ型吸着パッドを採用した場合を例示したが、この他にも吸着保持部としての気流式吸着保持部としてのベルヌーイチャックを利用することも可能である。図6は、吸着保持部としてベルヌーイチャックを利用した場合の図である。
ベルヌーイチャック26Cは、ベルヌーイ効果を利用して被加工脆性板50を非接触で保持するものである。具体的には、図6に示すように、ベルヌーイチャック26Cは、配管26bから流路26cに導入された気体(多くの場合は空気や不活性ガス)を吹き出し部26fより被加工脆性板50に対して斜め方向(図中矢印B方向)に吹き付けることにより、これによってベルヌーイチャック26Cと被加工脆性板50との間に負圧を発生させ、この負圧によって被加工脆性板50を引き寄せて保持するものである。
このベルヌーイチャック26Cを利用すれば、被加工脆性板50に反りや板厚変動があった場合や表面に多少の凹凸があった場合にも、適切な保持力によって被加工脆性板50が吸着保持されるとともに、被加工脆性板50がベルヌーイチャック26Cに近づき過ぎた場合に気流がクッションとなるので、被加工脆性板50がベルヌーイチャック26Cに接触して破損することもない。
図7は、本実施の形態における被加工脆性板の切断装置の変形例における載置台の断面図である。図7に示す載置台20Bは、上述の図2および図3に示す載置台20Aと異なり、支持部21,22が定盤部分を有しておらず、切り溝24の周囲のみに設けられている。すなわち、支持部21,22は、天板を有さない枠状の部材からなり、切り溝24の周囲のみにおいて被加工脆性板50と接触するように構成されている。
このように構成した場合にも、吸着保持部26,27によって被加工脆性板50が吸着されることにより、被加工脆性板50の切断予定領域近傍が適切な押し付け力にて支持部21,22のクッション部23a,23bに押し付けられることになり、被加工脆性板50が破損することなく歩留まりよく切断が行なえるようになる。
(実施の形態2)
図8ないし図11は、本発明の実施の形態2における被加工脆性板の切断装置および切断方法を説明するための図である。なお、図8(A)、図9ないし図11は、本実施の形態における切断装置の載置台の上面図であり、図8(B)は、図8(A)に示すVIIIB−VIIIB線に沿った載置台の断面図である。以下においては、これらの図を参照して、本実施の形態における被加工脆性板の切断装置および切断方法について説明する。なお、上述の実施の形態1における被加工脆性板の製造装置と同様の部分については図中同一の符号を付し、その説明はここでは繰り返さない。
本実施の形態における被加工脆性板の切断装置は、上述の実施の形態1におけるレーザー切断装置1とほぼ同様の構成を有しており、載置台の構成においてのみ相違している。図8(A)および図8(B)に示すように、本実施の形態における被加工脆性板の載置台20Cは、被加工脆性板50の製品領域を保持する吸着保持部26のみが上述の図5において示した角度可変機構を備えているものである。このため、吸着保持部26は、被加工脆性板50の反りの形状にあわせてその吸着面が水平面に対して所定の角度だけ傾斜した状態で被加工脆性板50を保持することが可能である。
また、本実施の形態における載置台20Cにおいては、図示しないレーザー切断機構による被加工脆性板50の切断の際に、被加工脆性板50を保持する吸着保持部27が選択的に切り換え可能である。より具体的には、切断作業時における切断作業の進行状態にあわせて、載置台20Cに複数配置された吸着保持部27のうち、その時点において被加工脆性板50を実際に吸着保持している吸着保持部27を選択できるように構成されている。そして、被加工脆性板50の反りに応じて被加工脆性板50の吸着保持されている領域を順次切り換えつつ、レーザー切断機構による被加工脆性板50の切断が実施される。
以下においては、その具体例について、略矩形状の被加工脆性板の周縁に位置する周辺残材領域を被加工脆性板から切り離すことによって、被加工脆性板の中央部に位置する製品領域を製品として切り出す場合を例示して詳細に説明する。
図8(A)および図8(B)に示すように、被加工脆性板50から製品を切り出すに際しては、まず、反りを有する被加工脆性板50を載置台20Cの載置面上に載置する。このとき、被加工脆性板50の切断予定領域が載置台20Cの切り溝24A〜24Cに対応した位置に配置されるように、被加工脆性板50を位置決めする。ここで、図8(A)に示すように、第1段階目の切断作業において切断する部分である被加工脆性板50の切断予定領域53aを中央に挟んで相対する位置に配置されることとなる吸着保持部26と3つの吸着保持部27Aとを駆動し(図8(A)において駆動されている吸着保持部26,27について斜線を付している)、被加工脆性板50がこれら吸着保持部26,27Aによって吸着保持されるようにする。これにより、被加工脆性板50の切断予定領域53a近傍の部位が支持部21,22Aの上部に設けられたクッション部23a,23bに適度な押し付け力にて押し当てられることになる。
このとき、支持部21,22Aに押し付けられた部分の被加工脆性板50は、被加工脆性板50の有する反りの影響を受けることなくほぼ水平状態で支持部21,22Aに押し付けられることになる。そして、この状態を維持しつつ、図8(B)において矢印Dで示す方向にレーザーを照射し、被加工脆性板50の切断予定領域53aに沿った切断を実施する。なお、このとき、吸着保持部27B,27C,27Dは非駆動とする。以上により、被加工脆性板50から周辺残材領域52aが製品領域を破損することなく切り離されることになる。
次に、図9に示すように、被加工脆性板50を吸着保持する吸着保持部を切り換える。すなわち、吸着保持部27Aを非駆動とし、これに代えて第2段階目の切断作業において切断する部分である被加工脆性板50の切断予定領域53bを中央に挟んで吸着保持部26と相対することとなる吸着保持部27Bを駆動する。これにより、被加工脆性板50がこれら吸着保持部26,27Bによって吸着保持されることになり、被加工脆性板50の切断予定領域53b近傍の部位が支持部21,22Bの上部に設けられたクッション部23a,23bに適度な押し付け力にて押し当てられることになる。そして、この状態を維持しつつレーザーを照射し、被加工脆性板50の切断予定領域53bに沿った切断を実施する。以上により、被加工脆性板50から周辺残材領域52bが製品領域を破損することなく切り離されることになる。
次に、図10に示すように、吸着保持部27Bを非駆動とし、これに代えて第3段階目の切断作業において切断する部分である被加工脆性板50の切断予定領域53cを中央に挟んで吸着保持部26と相対することとなる吸着保持部27Cを駆動する。そして、この状態を維持しつつレーザーを照射し、被加工脆性板50から周辺残材領域52cを切り離す。
つづいて、図11に示すように、吸着保持部27Cを非駆動とし、これに代えて第4段階目の切断作業において切断する部分である被加工脆性板50の切断予定領域53dを中央に挟んで吸着保持部26と相対することとなる吸着保持部27Dを駆動する。そして、この状態を維持しつつレーザーを照射し、被加工脆性板50から周辺残材領域52dを切り離す。
以上の工程を経ることにより、被加工脆性板50から製品領域51aが製品51Aとして反りの影響を受けることなく歩留まりよく切り出されることになる。
なお、上述の実施の形態1および2においては、いずれもレーザーを照射することによって被加工脆性板を溶断する熱溶断法を用いた場合を例示して説明を行なったが、本発明の適用対象はこれに限られるものではない。すなわち、レーザーを用いた熱衝撃法、ダイヤモンド砥石や超硬チップ等の工具を用いた切断方法、燃焼ガスやプラズマを用いた切断方法、ウォータージェットを用いた切断方法など、すべての切断方法に適用が可能である。
このように、今回開示した上記各実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
被加工脆性板から製品を切り出す際の態様を示す図である。 本発明の実施の形態1における被加工脆性板の切断装置の構成を示した模式図である。 図2に示す載置台の上面図である。 図2に示す吸着保持部の拡大図である。 図4に示す吸着保持部に角度可変機構を具備させた場合の拡大図である。 図2に示す吸着保持部としてベルヌーイチャックを利用した場合の図である。 本実施の形態における被加工脆性板の切断装置の変形例における載置台の断面図である。 本発明の実施の形態2における被加工脆性板の切断装置および切断方法を説明するための図である。 本発明の実施の形態2における被加工脆性板の切断装置および切断方法を説明するための図である。 本発明の実施の形態2における被加工脆性板の切断装置および切断方法を説明するための図である。 本発明の実施の形態2における被加工脆性板の切断装置および切断方法を説明するための図である。
符号の説明
1 レーザー切断装置、11 レーザー発振器、12 ミラー、13 レーザー照射ノズル、14 集光レンズ、15 導入管、20A〜20C 載置台、21,22,22A〜22D 支持部、23a,23b クッション部、23a1,23b1 開口部、24,24A〜24D 切り溝、26,27,27A〜27D 吸着保持部、26A,26B ベロウ型吸着パッド、26C ベルヌーイチャック、26a 吸着部、26b 配管、26c 流路、26d 吸着面、26e 自在継手、26f 吹き出し部、50 被加工脆性板、51A 製品、51a 製品領域、52A〜52D 周辺残材、52a〜52d 周辺残材領域、53,53a〜53d 切断予定領域、100 水平面。

Claims (7)

  1. 被加工脆性板を製品領域と周辺残材領域とに切断するための切断装置であって、
    被加工脆性板を保持する保持機構および前記保持機構によって保持された被加工脆性板に当接することによって被加工脆性板を支持する支持部を含む載置台と、
    前記載置台上に載置された被加工脆性板を切断する切断機構とを備え、
    前記支持部は、被加工脆性板の製品領域に当接する第1支持部と、被加工脆性板の周辺残材領域に当接する第2支持部とを含み、
    前記第1支持部と前記第2支持部との間には、切り溝が形成され、
    前記保持機構は、被加工脆性板の製品領域を吸着保持する第1吸着保持部と、被加工脆性板の周辺残材領域を吸着保持する第2吸着保持部とを含み、
    前記第1吸着保持部および前記第2吸着保持部の各々が、蛇腹状の吸着部を有し、自身が縮むように変形することによって被加工脆性板を保持するベロウ型吸着パッドにて構成されている、被加工脆性板の切断装置。
  2. 前記支持部は、被加工脆性板に接触する部位にクッション部を有している、請求項1に記載の被加工脆性板の切断装置。
  3. 前記保持機構は、前記ベロウ型吸着パッドの吸着面を水平面に対して所定の角度にまで傾斜可能とする角度可変機構を含んでいる、請求項1または2に記載の被加工脆性板の切断装置。
  4. 前記保持機構は、前記ベロウ型吸着パッドを昇降させる昇降機構を含み、
    前記昇降機構は、前記ベロウ型吸着パッドを前記載置台の内部に収容可能にする、請求項1から3のいずれかに記載の被加工脆性板の切断装置。
  5. 前記ベロウ型吸着パッドは、前記載置台に複数配置され、
    前記切断機構による被加工脆性板の切断の際に、前記複数のベロウ型吸着パッドのうちのいずれを被加工脆性板を保持するベロウ型吸着パッドとし且ついずれを被加工脆性板を保持しないベロウ型吸着パッドとするかを切断作業の進行状態にあわせて選択的に切り換え可能である、請求項1から4のいずれかに記載の被加工脆性板の切断装置。
  6. 前記切断機構は、被加工脆性板の切断予定領域にレーザーを照射することにより被加工脆性板を切断するレーザー切断機構である、請求項1から5のいずれかに記載の被加工脆性板の切断装置。
  7. 請求項5に記載の被加工脆性板の切断装置を用いて被加工脆性板を切断する被加工脆性板の切断方法であって、
    前記載置台に配置された複数のベロウ型吸着パッドのうちのいずれを被加工脆性板を保持するベロウ型吸着パッドとし且ついずれを被加工脆性板を保持しないベロウ型吸着パッドとするかを順次選択的に切り換え、これにより被加工脆性板の保持されている領域を順次切り換えつつ前記切断機構による被加工脆性板の切断を行なうことを特徴とする、被加工脆性板の切断方法。
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