JPH10156780A - ワーク吸着装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】湾曲したワークの吸着面に吸着跡を残存させる
ことがなく、耐熱性に優れ、しかも、装置全体を小型化
して空間の有効利用を図ることにある。 【解決手段】ワーク吸着装置１０は、薄板状に形成さ
れ、取付ねじ１４を介して互いに固定された第１ハウジ
ング１２および第２ハウジング１６と、樹脂製材料によ
って形成され前記第１ハウジング１２と第２ハウジング
１６との間に挟持されるフランジ部２２とガラス部材４
８の湾曲面５０の形状に対応して変形する蛇腹部２４と
からなるパッド部材２０とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ワークを吸着して
搬送する吸着用パッドが設けられたワーク吸着装置に関
する。

【０００２】

【従来の技術】従来から、ワークの吸着搬送手段として
吸着用パッドが用いられ、例えば、液晶表示器を構成す
るガラス板、ＣＲＴ等の湾曲した吸着面を有するワーク
を吸着して搬送するために、いわゆる、ベロー形の吸着
用パッドが知られている。

【０００３】この種のベロー形吸着用パッドが設けられ
た吸着装置を図５に示す。この従来技術に係る吸着装置
１は、肉厚Ｓからなるブロック体２と、取付ねじ３を介
して前記ブロック体２の孔部４に装着された複数のベロ
ー形吸着用パッド５とを有する。なお、参照数字６は、
湾曲面を有するワークであるガラス部材（ガラス板）を
示す。

【０００４】前記ベロー形吸着用パッド５は、ゴム製材
料によって形成され、また、前記ブロック体２には、ベ
ロー形吸着用パッド５の吸引口７に連通する吸引通路８
が形成される。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記の
従来技術に係る吸着装置１では、ガラス部材６に直接接
触するベロー形吸着用パッド５がゴム製材料によって形
成されているため、前記ベロー形吸着用パッド５から漏
出した油性成分がガラス部材６の吸着面に付着して吸着
跡が残存し、該ガラス部材６の品質を低下させるという
不都合がある。

【０００６】また、炉から取り出された高温状態（例え
ば、約２００℃）のガラス部材６を前記吸着装置１によ
って吸着した際、ベロー形吸着用パッド５が化学反応を
起こしガスが発生するとともに、周囲の環境に悪影響を
及ぼすという不都合がある。

【０００７】さらに、ブロック体２の肉厚Ｓが厚肉に形
成されているため、装置全体の占有スペースが大きくな
り、空間の有効利用を図ることができないという不都合
がある。

【０００８】本発明は、前記の種々の不都合を悉く克服
するためになされたものであり、湾曲したワークの吸着
面に吸着跡を残存させることがなく、耐熱性に優れ、し
かも、装置全体を小型化して空間の有効利用を図ること
が可能なワーク吸着装置を提供することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めに、本発明は、ワークに形成された湾曲面を吸着保持
する吸着用パッドが設けられたワーク吸着装置であっ
て、薄板状に形成され、連結部材を介して一体的に連結
される第１ハウジングおよび第２ハウジングと、前記第
１ハウジングと第２ハウジングの間に挟持されるフラン
ジ部と、前記第１ハウジングまたは第２ハウジングの孔
部に臨設され湾曲面の形状に対応して変形する蛇腹部と
を有し、樹脂製材料によって形成された吸着用パッド
と、を備え、前記第１ハウジングまたは第２ハウジング
に形成された吸引通路を介して供給される流体の負圧作
用下にワークを吸着保持することを特徴とする。

【００１０】本発明によれば、吸着用パッドを、例え
ば、ポリテトラフルオロエチレン等の樹脂製材料によっ
て形成することにより、耐熱性に優れワークに吸着跡を
残存させることがない。従って、ワークの品質を良好に
保持することが可能となる。

【００１１】また、吸着用パッドを構成するフランジ部
を第１ハウジングと第２ハウジングとによって挟持する
構成を採用することにより、装置全体を小型化して空間
の有効利用を図ることができる。

【００１２】

【発明の実施の形態】本発明に係るワーク吸着装置につ
いて好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しなが
ら以下詳細に説明する。

【００１３】図１において、参照数字１０は、本発明の
実施の形態に係るワーク吸着装置を示す。

【００１４】このワーク吸着装置１０は、長方形の薄板
状に形成された第１ハウジング１２と、前記第１ハウジ
ング１２の一側面に取付ねじ（連結部材）１４を介して
一体的に連結される第２ハウジング１６と、前記第２ハ
ウジング１６の孔部１８に臨設され、例えば、ポリテト
ラフルオロエチレン（ＰＴＦＥ）等の樹脂製材料によっ
て形成されたベロー形の複数のパッド部材（吸着用パッ
ド）２０とを有する。なお、第１ハウジング１２、第２
ハウジング１６および取付ねじ１４は、好適には、樹脂
製材料によって形成される。

【００１５】図２に示されるように、パッド部材２０
は、厚肉に形成されたフランジ部２２と、前記フランジ
部２２に対し薄肉に形成され且つ直径の小なる蛇腹部２
４とから構成され、前記蛇腹部２４は、屈曲する複数の
山部２６ａ、２６ｂと、フランジ部２２と山部２６ｂと
の間並びに隣接する山部２６ａと山部２６ｂの間に形成
された複数の谷部２８ａ、２８ｂとからなる。

【００１６】蛇腹部２４は、谷部２８ａ、２８ｂを間に
して隣接する山部２６ａ、２６ｂが相互に接近、離間す
ることにより伸縮作用を営み、後述するガラス部材の湾
曲面に対応して変形自在に形成される。前記フランジ部
２２および蛇腹部２４には、軸線方向に沿って貫通する
吸引孔３０が形成される。

【００１７】なお、複数のパッド部材２０は、図１に示
されるように第２ハウジング１６に形成された孔部１８
を介して長方形状に配置されているが、これに限定され
るものではなく、ワークの吸着面の湾曲具合、ワークの
重量等に対応して角形状、円形状、楕円形状、または複
数の同心円状に沿って配置してもよい。

【００１８】また、図２では、パッド部材２０の蛇腹部
２４を２つの山部２６ａ、２６ｂと２つの谷部２８ａ、
２８ｂによって形成しているが、これに限定されるもの
ではなく、それぞれ２つ以上からなる山部と谷部によっ
て蛇腹部２４を形成してもよい。さらに、パッド部材２
０の蛇腹部２４の最上部は、図３に示されるように、第
２ハウジング１６の平面部から所定長だけ突出するよう
に設定される。

【００１９】第１ハウジング１２には、軸線方向に沿っ
て延在する吸引通路３２が形成され、前記吸引通路３２
は、開口部３４を介して前記パッド部材２０の吸引孔３
０に連通するように設けられている。前記吸引通路３２
の一端部には連結ポート３６が形成され、前記連結ポー
ト３６に図示しない管継手を介してチューブ部材３８が
接続される。第２ハウジング１６には前記開口部３４に
近接して凹部４０が形成され、第１ハウジング１２の平
面部４２と第２ハウジング１６の凹部４０とによってフ
ランジ部２２を挟持することにより、パッド部材２０が
緊締保持される。

【００２０】また、それぞれのパッド部材２０のフラン
ジ部２２に近接する部位には、環状溝４４を介してＯリ
ング（シール部材）４６が装着され、前記Ｏリング４６
は、パッド部材２０のフランジ部２２と第１ハウジング
１２の平面部４２による圧接面を気密に保持する機能を
営む。前記Ｏリング４６は、第２ハウジング１６と別体
で形成し、あるいは図３に示されるように第２ハウジン
グ１６と一体的に樹脂製材料によって形成される。

【００２１】なお、参照数字４８は、ワークであるガラ
ス部材を示し、前記ガラス部材４８には、所定の曲率半
径からなる湾曲面５０が形成されている。

【００２２】本発明の実施の形態に係るワーク吸着装置
１０は、基本的には以上のように構成されるものであ
り、次にその動作並びに作用効果について説明する。

【００２３】まず、図示しない取付手段を介してワーク
吸着装置１０を図示しない作業用ロボットのアームの一
端部に取着する。続いて、図示しない負圧発生源を駆動
させ、前記負圧発生源に接続されたチューブ部材３８を
介してワーク吸着装置１０の連結ポート３６に負圧流体
を導入しておく。なお、ワークは、図示しない取り出し
装置を介して炉から取り出された製造工程中の高品質な
ガラス部材４８からなり、高温状態（約２００℃）にあ
るものとする。また、このガラス部材４８は、終局的に
は、液晶表示器（ＬＣＤ）のガラス板として製品化され
るものである。

【００２４】このような準備作業を経た後、作業用ロボ
ットのアームの変位作用下にワーク吸着装置１０を三次
元方向に沿って所定の操作を行い、図３に示す状態に変
位させる。すなわち、ガラス部材４８を図示しない固定
手段を介して上下方向に沿って立設した状態に保持し、
アームの変位作用下にワーク吸着装置１０をガラス部材
４８の湾曲面５０と対峙する位置に変位させる。

【００２５】続いて、ガラス部材４８の湾曲面５０に対
してパッド部材２０が当接するようにワーク吸着装置１
０を矢印方向に沿って水平に変位させる。この場合、パ
ッド部材２０の蛇腹部２４は、谷部２８ａ、２８ｂを間
にして隣接する山部２６ａ、２６ｂが相互に接近、離間
して伸縮作用を営むことにより、所定の曲率半径を有す
る湾曲面５０に対応して変形するとともに、吸引孔３０
を通じて供給される負圧流体の作用下に湾曲面５０を吸
着する。従って、複数のパッド部材２０は、蛇腹部２４
がガラス部材４８の湾曲面５０に沿って変形した状態で
該ガラス部材４８を吸着保持する（図４参照）。

【００２６】次に、アームを支点として９０度回転させ
ることによりガラス部材４８がパッド部材２０の上部に
保持された図４に示す状態に至り、前記ガラス部材４８
を吸着保持した状態を継続しながらアームを所定部位ま
で変位させ、ガラス部材４８に対する吸着状態を解除す
ることによりパッド部材２０からガラス部材４８が離間
する。このようにして、前記ガラス部材４８の搬送工程
が終了する。

【００２７】本実施の形態では、パッド部材２０を樹脂
製材料によって形成することにより、例えば、液晶表示
器に用いられるガラス板、ＣＲＴ等の高度の品質保持が
要求されるワークを何ら劣化させることなく吸着搬送
し、従来技術のようにゴム材料の油性成分が漏出して該
ワークに吸着跡が残存することを阻止することができ
る。しかも、樹脂製材料として、例えば、耐熱性に優れ
たポリテトラフルオロエチレンを用いることにより、ガ
ス等の発生を阻止し周囲に悪影響を及ぼすことを防止す
ることができる。

【００２８】また、本実施の形態では、パッド部材２０
の蛇腹部２４（山部２６ａ、２６ｂおよび谷部２８ａ、
２８ｂ）をワークの湾曲面５０に対応して２以上の複数
段に形成することにより、種々の曲率半径を有するワー
クの湾曲面５０を確実に吸着して搬送途中におけるワー
クの離脱を阻止することができる。

【００２９】さらに、本実施の形態では、薄板状の第１
ハウジング１２と第２ハウジング１６によってパッド部
材２０のフランジ部２２を挟持する構成を採用すること
により、ワークを装着するための取付ねじ３（図５参
照）を設ける必要がなく、従来技術と比較してその肉厚
Ｔを薄く形成することができる。従って、装置全体を小
型化して空間の有効利用を図ることができる。

【００３０】さらにまた、本実施の形態では、パッド部
材２０を含むワーク用吸着装置１０の構成要素の全てを
樹脂製材料によって形成することにより、ワークを吸着
する際に該ワークの一部がワーク吸着装置１０に接触し
ても該ワークに何ら損傷を与えることがなく高度な品質
を保持することが可能となる。

【００３１】

【発明の効果】本発明によれば、以下の効果が得られ
る。

【００３２】すなわち、ワーク吸着装置に設けられた吸
着用パッドを、例えば、耐熱性に優れたポリテトラフル
オロエチレンによって形成することにより、周囲の環境
に悪影響を及ぼすことを防止するとともに、ワークに吸
着跡が残存することを阻止して該ワークの品質を保持す
ることができる。

【００３３】また、前記吸着用パッドを構成する蛇腹部
をワークの湾曲面に対応して２以上の複数段に形成する
ことにより、種々の曲率半径を有するワークの湾曲面を
確実に吸着して搬送途中においてワークが離脱すること
を阻止することができる。

【００３４】さらに、薄板状の第１ハウジングと第２ハ
ウジングによってフランジ部を挟持する構成を採用する
ことにより、ワークを装着するための取付ねじを設ける
必要がなく、従来技術と比較してその肉厚を薄く形成す
ることができる。従って、装置全体を小型化して空間の
有効利用を図ることができる。

【００３５】さらにまた、ワーク吸着装置の構成要素の
全てを樹脂製材料によって形成することにより、ワーク
を吸着する際に該ワークの一部がワーク吸着装置に接触
しても該ワークに損傷を与えることがなく、良好な品質
を保持することが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態に係るワーク吸着装置を示
す斜視図である。

【図２】図１に示すワーク吸着装置を構成するパッド部
材の縦断面図である。

【図３】図１のＩＩＩ−ＩＩＩ線に沿った縦断面図であ
る。

【図４】ワークを吸着した状態を示す動作説明図であ
る。

【図５】従来技術に係る吸着装置を示す断面図である。

【符号の説明】

１０…ワーク吸着装置 １２、１６…ハ
ウジング １４…取付ねじ １８…孔部 ２０…パッド部材 ２２…フランジ
部 ２４…蛇腹部 ２６ａ、２６ｂ
…山部 ２８ａ、２８ｂ…谷部 ３０…吸引孔 ３２…吸引通路 ４０…凹部 ４６…Ｏリング ４８…ガラス部
材 ５０…湾曲面

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ワークに形成された湾曲面を吸着保持する
   吸着用パッドが設けられたワーク吸着装置であって、 薄板状に形成され、連結部材を介して一体的に連結され
   る第１ハウジングおよび第２ハウジングと、 前記第１ハウジングと第２ハウジングの間に挟持される
   フランジ部と、前記第１ハウジングまたは第２ハウジン
   グの孔部に臨設され湾曲面の形状に対応して変形する蛇
   腹部とを有し、樹脂製材料によって形成された吸着用パ
   ッドと、 を備え、前記第１ハウジングまたは第２ハウジングに形
   成された吸引通路を介して供給される流体の負圧作用下
   にワークを吸着保持することを特徴とするワーク吸着装
   置。
2. 【請求項２】請求項１記載の装置において、蛇腹部は山
   部と谷部とからなり、前記山部と谷部は、それぞれ、２
   以上から形成されることを特徴とするワーク吸着装置。
3. 【請求項３】請求項１記載の装置において、樹脂製材料
   は、ポリテトラフルオロエチレンからなることを特徴と
   するワーク吸着装置。
4. 【請求項４】請求項１記載の装置において、フランジ部
   に近接する部位には、該フランジ部の挟持部位の気密性
   を保持するシール手段が設けられることを特徴とするワ
   ーク吸着装置。
5. 【請求項５】請求項１記載の装置において、ワーク吸着
   装置を構成する全ての構成要素が樹脂製材料によって形
   成されることを特徴とするワーク吸着装置。