JP4486887B2 - 脂肪族ポリエステルの製造方法 - Google Patents
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Description
(ii)精製した環状エステルに水を添加して、環状エステル中の全プロトン濃度を0.09モル%超過2.0モル%未満の範囲内に調整し、その際、該環状エステル中の全プロトン濃度は、環状エステル中に不純物として含まれるα−ヒドロキシカルボン酸及び直鎖状のα−ヒドロキシカルボン酸オリゴマーであるヒドロキシカルボン酸化合物と水との合計量に基づいて算出されるものであって、ヒドロキシカルボン酸化合物に基づくプロトン濃度は、含有量と分子量と水酸基数とに基づいて算出されるものであり、かつ、水に基づくプロトン濃度は、環状エステル中に含まれている不純物の水分、重合反応系の雰囲気中に含まれている水分、及び添加水の合計量と分子量とに基づいて算出されるものであり、次いで
(iii)全プロトン濃度を調整した環状エステルを触媒の存在下に加熱溶融させ、次いで、溶融状態の環状エステルを開環重合して生成ポリマーを析出させ、温度240℃及び剪断速度121sec −1 で測定した溶融粘度が50〜6,000Pa・sの脂肪族ポリエステルを得ることを特徴とする脂肪族ポリエステルの製造方法が提供される。
本発明で用いる環状エステルとしては、α−ヒドロキシカルボン酸の二分子間環状エステル、ラクトン、及びその他のエステル構造を有する環状化合物が好ましい。二分子間環状エステルを形成するα−ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、グリコール酸、L−及び/またはD−乳酸、α−ヒドロキシ酪酸、α−ヒドロキシイソ酪酸、α−ヒドロキシ吉草酸、α−ヒドロキシカプロン酸、α−ヒドロキシイソカプロン酸、α−ヒドロキシヘプタン酸、α−ヒドロキシオクタン酸、α−ヒドロキシデカン酸、α−ヒドロキシミリスチン酸、α−ヒドロキシステアリン酸、及びこれらのアルキル置換体などを挙げることができる。
環状エステルを用いて脂肪族ポリエステルを製造するには、環状エステルを加熱して開環重合させる方法を採用することが好ましい。この開環重合法は、実質的に塊状による開環重合法である。開環重合は、触媒の存在下に、通常100〜270℃、好ましくは120〜260℃の範囲内の温度で行われる。
y=a・bx (1)
(式中、a及びbは、パラメータである。)
で表わされる半対数モデルの関係式が、重相関R及び重決定R2が最も高いことが判明した。
高純度アセトン10mlの中に、約1gを精秤したグリコリドと内部標準物質として4−クロロベンゾフェノン25mgとを加え、十分に溶解させた。その溶液約1mlを採取し、該溶液にジアゾメタンのエチルエーテル溶液を添加した。添加量の目安は、ジアゾメタンの黄色が残るまでとする。黄色く着色した溶液に2μlをガスクロマトグラフ装置に注入し、内部標準物質の面積比とグリコリド及び内部標準物質の添加量を基にメチルエステル化されたグリコール酸及びグリコール酸二量体を定量した。
装置:日立G−3000、
カラム:TC−17(0.25mmφ×30m)、
気化室温度:290℃、
カラム温度:50℃で5分間保持後、20℃/分の昇温速度で270℃まで昇温し、270℃で4分間保持、
検出器:FID(水素炎イオン化検出器)、温度:300℃。
気化装置付カールフィッシャー水分計〔三菱化学社製CA−100(気化装置VA−100)〕を用い、予め220℃に設定し加熱した気化装置に、精密に秤量した約2gのポリマーサンプルを入れた。気化装置からカールフィッシャー水分測定器に流速250ml/分で乾燥窒素ガスを流した。サンプルを気化装置に導入した後、気化した水分をカールフィッシャー液に導入し、電気伝導度がバックグラウンドより+0.1μg/Sまで下がった時点を終点とした。モノマーの水分測定については、気化装置の温度を140℃にし、電気伝導度がバックグラウンドより+0.05μg/Sまで下がった時点を終点とした。
環状エステル中の全プロトン濃度は、環状エステル中に含まれるヒドロキシカルボン酸化合物と水との合計量に基づいて算出する。ヒドロキシカルボン酸化合物に基づくプロトン濃度(モル%)は、それぞれの含有量と分子量と水酸基数とに基づいて算出される。他方、水に基づくプロトン濃度は、環状エステル中に含まれている不純物の水分、処理槽などの雰囲気中に含まれている水分、及び添加水の合計量と分子量とに基づいて算出される。
モノマー溶解槽内部に予め乾燥空気を流しておき、その雰囲気の相対湿度を湿度計で求めた。その雰囲気の温度から絶対温度を算出し、それと槽容積から、槽内部の水分量を算出した。
生成ポリマーの粉砕品をアルミニウム製カップに約10g精秤し、乾燥空気を流速約10リットル/分で流した120℃の恒温乾燥機に入れて、6時間放置した。所定時間後、該カップを取り出して、シリカゲルを入れたデシケーター中で30分間以上放置した。その後、室温にまで冷却してから重量を測定し、初期値に対する重量減少率を算出した。
ポリマーサンプルを120℃の乾燥器に入れて乾燥空気と接触させて、水分含有量を100ppm以下にまで低減させた。その後、乾燥器で十分に乾燥した。溶融粘度測定は、キャピラリー(1mmφ×10mmL)を装着した東洋精機製キャピログラフ 1−Cを用いて測定した。設定温度240℃に加熱した装置に、サンプル約20gを導入し、5分間保持した後、剪断速度121sec−1での溶融粘度を測定した。
東京電色技術センター製TC−1800を使用し、標準光C、2°視野、及び表色系の条件で、反射光測定法により測定した。装置は、標準白色板(No.88417)により校正した。測定は、専用のシャーレ(直径3cm、高さ1.3cm)に微粉が入らないように粉砕品サンプルを最密充填し、測定ステージに載せ、サンプルの位置を変えて3回行い、その平均値を算出した。色調は、黄色度を示すYI(イエローインデックス)値を用いた。
ポリマーサンプルを分子量測定で使用する溶媒に溶解させるために、非晶質のポリマーを得る。すなわち、十分乾燥したポリマー約5gをアルミニウム板に挟み、275℃のヒートプレス機に載せて90秒間加熱した後、2MPaの圧力で60秒間加圧した。その後、直ちに氷水中に入れて急冷した。このようにして、透明な非晶質のプレスシートを作製した。
装置:Shimazu LC−9A、
カラム:HFIP−806M、2本(直列接続)プレカラム、
カラム温度:40℃、
溶離液:5mMのトリフルオロ酢酸ナトリウムを溶解させたHFIP溶液、
流速:1ml/分、
検出器:示差屈折率計(Refractive Index;RI)
分子量校正:分子量の異なる標準PMMA5種を用いた。
ジャケット付き攪拌槽(「反応缶」ともいう)に70重量%グリコール酸水溶液を仕込み、常圧で攪拌しながら、ジャケット内に熱媒体油を循環することにより缶内液を200℃まで加熱昇温し、生成水を系外に留出させながら縮合反応を行った。次いで、缶内液を200℃に維持した状態で、缶内圧を段階的に3kPaまで減圧しながら、生成水、未反応原料などの低沸点物質を留去し、グリコール酸オリゴマーを得た。
可溶化剤をポリエチレングリコールからオクチルテトラトリエチレングリコールに代えたこと以外は、合成例1と同様にして、凝縮液を得た。凝縮液は、温水をジャケットに循環させた受器に受けた。受器内の凝縮液は、二液に層分離し、上層が溶媒で、下層がグリコリド液体であった。二液の層を形成後も解重合反応を続け、かつ、共留出を続けると、コンデンサーにより冷却されたグリコリドは、液滴となって溶媒層を通過し、下層のグリコリド層に凝縮されていった。反応液中の溶媒量を一定に保つため、上層の溶媒層を反応槽内に連続的に戻した。反応系の圧力を一時的に常圧に戻し、受器の底部から液状グリコリドを抜き出し、再び圧力を元に戻し、解重合反応を続けた。この操作を数回繰り返した。
合成例1において、溶媒をジエチレングリコールジブチルエーテルからトリエチレングリコールブチルオクチルエーテルに代え、かつ、可溶化剤をポリエチレングリコールからポリエチレングリコールモノメチルエーテルに代えたこと以外は、合成例1と同様にしてグリコリドを得た。さらに、合成例1においては、解重合反応系から回収したグリコリドを再結晶により精製したのに対し、塔型精製装置を用いて精製した。解重合後、塔型精製装置の下部に設けた原料結晶の仕込み口ヘ固液分離した粗グリコリド結晶を一定速度で連続的に投入した。塔型精製装置内部に装着された撹拌装置で該グリコリドを上昇させながら攪拌し、精製装置内での精製結晶成分の降下融解液と上昇粗グリコリド結晶との向流接触により精製した。この精製装置の上部に設けられた取出口から精製後の結晶を、一定速度で連続的に取り出した。回収した精製グリコリドは、DSC測定による純度が99.99%以上であった。
合成例1に従って製造したグリコリド(ロットA)の不純物を定量したところ、グリコール酸80ppm、グリコール酸二量体570ppm、及び水35ppmであった。したがって、不純物の全プロトン濃度は、0.084mol%であった。
合成例1に従って製造したグリコリド(ロットB)の不純物を定量したところ、グリコール酸80ppm、グリコール酸二量体700ppm、及び水45ppmであった。したがって、不純物の全プロトン濃度は、0.099mol%であった。このグリコリド22,500gを用い、全プロトン濃度を0.13mol%に調整するために水0.76g〔容器内の雰囲気中に含まれる水分(湿気)量0.34gを考慮〕を加えたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
合成例2に従って製造したグリコリドの不純物を定量したところ、グリコール酸70ppm、グリコール酸二量体420ppm、及び水10ppmであった。したがって、不純物の全プロトン濃度は、0.053mol%であった。このグリコリド22,500gを用い、全プロトン濃度を0.13mol%に調整するために水2.40g〔容器内の雰囲気中に含まれる水分(湿気)量0.27gを考慮〕を加えたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
合成例3に従って製造したグリコリドの不純物を定量したところ、グリコール酸70ppm、グリコール酸二量体500ppm、及び水21ppmであった。したがって、不純物の全プロトン濃度は、0.068mol%であった。このグリコリド22,500gを用い、全プロトン濃度を0.13mol%に調整するために水1.82g〔容器内の雰囲気中に含まれる水分(湿気)量0.36gを考慮〕を加えたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
合成例1に従って製造した別のロットのグリコリド(ロットC)の不純物を定量せず、そのまま溶解槽に22,500g仕込み、二塩化スズ2水和物0.060gを加え、水は添加しなかった。以降の操作は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
合成例1に従って製造した別のロットのグリコリド(ロットC)の不純物を定量せず、そのまま溶解槽に22,500g仕込み、二塩化スズ2水和物0.060g、及び水4.54gを加えた。水の添加量4.54gは、ロットCのグリコリドの純度が100%であると仮定した場合に、全プロトン濃度が0.13mol%に設定される量に相当するものである。以降の操作は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
合成例1に従って製造した別のロットのグリコリド(ロットC)の不純物を定量せず、そのまま溶解槽に22,500g仕込み、二塩化スズ2水和物0.060g、及び1−ドデシルアルコール46.9gを加えた。1−ドデシルアルコールの添加量46.9gは、ロットCのグリコリドの純度が100%であると仮定した場合に、全プロトン濃度が0.13mol%に設定される量に相当するものである。以降の操作は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
合成例1に従って製造した別のロットのグリコリド(ロットD)の不純物を定量したところ、グリコール酸60ppm、グリコール酸二量体460ppm、及び水21ppmであった。したがって、不純物の全プロトン濃度は、0.062mol%であった。
y=a・bx (1)
log y = log a + xlog b (2)
に書き変えることができ、より具体的に、データベースから下記式(3)
log y = 4.00-3.364x (3)
が導き出される。
全プロトン濃度を0.18mol%に調整するために水0.28g〔容器内の雰囲気中に含まれる水分(湿気)量0.08gを考慮〕を加えたこと以外は、実施例5と同様に行った。水を添加して全プロトン濃度を0.18mol%に調整したのは、溶融粘度が約2,500Pa・sの開環重合体を得るためであったが、その結果、溶融粘度が2,550Pa・sの開環重合体が得られた。結果を表2に示す。
全プロトン濃度を0.22mol%に調整するために水0.43g〔容器内の雰囲気中に含まれる水分(湿気)量0.05gを考慮〕を加えたこと以外は、実施例5と同様に行った。水を添加して全プロトン濃度を0.22mol%に調整したのは、溶融粘度が約1,800Pa・sの開環重合体を得るためであったが、その結果、溶融粘度が1,920Pa・sの開環重合体が得られた。結果を表2に示す。
全プロトン濃度を0.47mol%に調整するために水1.16g〔容器内の雰囲気中に含まれる水分(湿気)量0.11gを考慮〕を加えたこと以外は、実施例5と同様に行った。水を添加して全プロトン濃度を0.47mol%に調整したのは、溶融粘度が約260Pa・sの開環重合体を得るためであったが、その結果、溶融粘度が260Pa・sの開環重合体が得られた。結果を表2に示す。
水を添加しなかったこと以外は、実施例5と同様に行った。溶解槽内の雰囲気中に含まれる水分(湿気)量0.08gを考慮すると、全プロトン濃度は、0.09mol%であった。結果を表2に示す。
全プロトン濃度(設定プロトン濃度)を0.22mol%に調整するために水0.42g〔容器内の雰囲気中に含まれる水分(湿気)量0.07gを考慮〕を加えて、重合装置の本体及び上下板のジャケット部に200℃の熱媒体油を循環させ5時間保持したこと以外は、実施例7と同様に行った。結果を表3に示す。
水を添加しなかったこと以外は、実施例9と同様に行った。溶解槽内の雰囲気中に含まれる水分(湿気)量0.06gを考慮すると、全プロトン濃度は,0.09mol%であった。結果を表3に示す。
合成例1に従って製造した別のロットのグリコリド(ロットE)の不純物を定量したところ、グリコール酸50ppm、グリコール酸二量体360ppm、及び水33ppmであった。したがって、不純物の全プロトン濃度は、0.060mol%であった。このグリコリド22,500g、二塩化スズ2水和塩0.68g(30ppm)、及び水2.11g〔容器内の雰囲気中に含まれる水分(湿気)量0.34gを考慮〕を加え、全プロトン濃度0.13mol%に調整したこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表4に示す。
実施例10で使用したのと同じグリコリドをアルミニウム製の缶に入れ、乾燥窒素でパージした後、蓋をして室温で放置した。4週間後、ドライボックス中でその缶を開け、グリコリドを一部取り出して分折したところ、グリコール酸100ppm、グリコール酸二量体1,000ppm、水21ppmを含有し、不純物全プロトン濃度が0.115mol%に変化していた。このグリコリドを用い、全プロトン濃度(設定プロトン濃度)を0.13mol%に調整するために水0.17g〔溶解容器内の雰囲気中に含まれる水分(湿気)量0.35gを考慮〕を加えたこと以外は、実施例10と同様に行った。結果を表4に示す。
実施例11と同様にして4週間保存したグリコリドについて、不純物の分析を行うことなく、保存前と同じ不純物量(すなわち、不純物全プロトン濃度0.060mo1%)であると仮定して、実施例10と全く同じように、水2.11g〔溶解容器内の雰囲気中に含まれる水分(湿気)量0.35gを考慮〕を加えた。実際の全プロトン濃度(設定プロトン濃度)は、0.1855mol%となっている。結果を表4に示す。
モノマーとして、合成例1と同じ方法により製造したグリコリド22,050g(グリコール酸50ppm、グリコール酸二量体380ppm、水20ppm;不純物全プロトン濃度0.053mol%)と、L−ラクチド450g(乳酸0ppm、乳酸二量体270ppm、水8ppm;不純物全プロトン濃度0.030mol%)とを用い、全プロトン濃度(設定プロトン濃度)を0.105mol%に調整するために水1.45g〔容器内の雰囲気中に含まれる水分(湿気)量0.27gを考慮〕を加え、重合装置のジャケット部に170℃熱媒体油を循環させ、また、上下板の温度も170℃に保温し、24時間保持したこと以外は、実施例10と同様に行った。重合終了後、生成ポリ(グリコール酸/L−乳酸)共重合体の塊状物の収率は、ほぼ100%であった。この塊状物を、粉砕機により粉砕し、その粉砕物の諸物性を測定した。結果を表5に示す。
グリコリド22,050g(グリコール酸70ppm、グリコール酸二量体360ppm、水20ppm;不純物全プロトン濃度0.054mol%)と、L−ラクチド450g(乳酸0ppm、乳酸二量体270ppm、水8ppm;不純物全プロトン濃度0.030mol%)とを用い、全プロトン濃度(設定プロトン濃度)を0.124mol%に調整するために水2.06g〔容器内の雰囲気に含まれる水分(湿気)0.36gを考慮〕を加えたこと以外は、実施例13と同様に行った。重合終了後、生成ポリ(グリコール酸/L−乳酸)共重合体の塊状物の収率は、ほぼ100%であった。この塊状物を、粉砕機により粉砕し、その粉砕物の諸物性を測定した。結果を表5に示す。
水を添加しないこと以外は、実施例13と同様に行った。溶解容器内の雰囲気に含まれる水分(湿気)0.36gを考慮すると、全プロトン濃度は、0.064mol%であった。重合終了後、生成ポリグリコール酸の塊状物の収率は、ほぼ100%であった。結果を表5に示す。
グリコリド21,375g(グリコール酸60ppm、グリコール酸二量体460ppm、水21ppm;不純物全プロトン濃度0.063mol%)と、L−ラクチド1,125g(乳酸0ppm、乳酸二量体270ppm、水8ppm;不純物全プロトン濃度0.030mol%)を用い、全プロトン濃度(設定プロトン濃度)を0.095mol%に調整するために水0.90g〔容器内の雰囲気に含まれる水分(湿気)0.27gを考慮〕を加えたこと以外は、実施例12と同様に行った。重合終了後、生成ポリ(グリコール酸/L−乳酸)共重合体の塊状物の収率は、ほぼ100%であった。この塊状物の粉砕物の諸物性を測定した。結果を表6に示す。
グリコリド21,375g(グリコール酸60ppm、グリコール酸二量体570ppm、水30ppm、不純物全プロトン濃度0.078mol%)と、L−ラクチド1,125g(乳酸0ppm、乳酸二量体270ppm、水8ppm、不純物全プロトン濃度0.030mol%)を用い、全プロトン濃度(設定プロトン濃度)を0.117mol%に調整するために水l.12g〔容器内の雰囲気に含まれる水分(湿気)0.31gを考慮〕を加えたこと以外は、実施例14と同様に行った。重合終了後、生成ポリ(グリコール酸/L−乳酸)共重合体の塊状物の収率は、ほぼ100%であった。結果を表6に示す。
水を添加しないこと以外は、実施例15と同様に行った。溶解容器内の雰囲気に含まれる水分(湿気)0.27gを考慮すると、全プロトン濃度は、0.069mol%であった。重合終了後、生成ポリグリコール酸の塊状物の収率は、ほぼ100%であった。結果を表6に示す。
Claims (12)
- 環状エステルを開環重合して脂肪族ポリエステルを製造する方法において、(i)水分含有率が50ppm以下、α−ヒドロキシカルボン酸含有率が100ppm以下、かつ、直鎖状のα−ヒドロキシカルボン酸オリゴマー含有率が1,000ppm以下である精製した環状エステルを出発原料として用い、
(ii)精製した環状エステルに水を添加して、環状エステル中の全プロトン濃度を0.09モル%超過2.0モル%未満の範囲内に調整し、その際、該環状エステル中の全プロトン濃度は、環状エステル中に不純物として含まれるα−ヒドロキシカルボン酸及び直鎖状のα−ヒドロキシカルボン酸オリゴマーであるヒドロキシカルボン酸化合物と水との合計量に基づいて算出されるものであって、ヒドロキシカルボン酸化合物に基づくプロトン濃度は、含有量と分子量と水酸基数とに基づいて算出されるものであり、かつ、水に基づくプロトン濃度は、環状エステル中に含まれている不純物の水分、重合反応系の雰囲気中に含まれている水分、及び添加水の合計量と分子量とに基づいて算出されるものであり、次いで
(iii)全プロトン濃度を調整した環状エステルを触媒の存在下に加熱溶融させ、次いで、溶融状態の環状エステルを開環重合して生成ポリマーを析出させ、温度240℃及び剪断速度121sec −1 で測定した溶融粘度が50〜6,000Pa・sの脂肪族ポリエステルを得ることを特徴とする脂肪族ポリエステルの製造方法。 - 水を添加する前の精製した環状エステル中に含まれる不純物の全プロトン濃度が0.01〜0.5モル%の範囲内である請求項1記載の製造方法。
- 精製した環状エステルに水を添加して、環状エステル中の全プロトン濃度を調整するに際し、予め求めておいた環状エステル中の全プロトン濃度(モル%)と溶融粘度(Pa・s)との間の、下記の関係式(1)
y=a・b x (1)
(上記関係式(1)が、環状エステル中の全プロトン濃度(モル%)を変化させて開環重合を行い、変化させた全プロトン濃度と、それぞれの全プロトン濃度の環状エステルの開環重合により得られた脂肪族ポリエステルの溶融粘度(Pa・s)の測定結果をデータベースとし、該データベースを回帰分析して得られる半対数モデルの関係式であって、環状エステル中の全プロトン濃度(モル%)xを独立変数とし、溶融粘度(Pa・s)yを従属変数とし、式中、a及びbは、重合条件毎に定まるパラメータである。)
に基づいて、制御すべき溶融粘度(Pa・s)の目標値に対応する全プロトン濃度(モル%)となるように、環状エステルに添加する水の量を調整する請求項1記載の製造方法。 - 精製した環状エステルに水を添加して、環状エステル中の全プロトン濃度を調整した後、環状エステルを触媒の存在下に溶融槽内で加熱溶融させ、次いで、溶融状態の環状エステルを両端が開閉可能な複数の管を備えた重合装置に移送し、各管内で密閉状態で開環重合して生成ポリマーを析出させる請求項1記載の製造方法。
- 精製した環状エステルに水を添加して、環状エステル中の全プロトン濃度を調整した後、環状エステルを触媒の存在下に溶融槽内で加熱溶融させ、次いで、溶融状態の環状エステルを撹拌機付き反応缶で開環重合を進行させた後、生成したポリマーを取卸し、一度ポリマーを冷却固化させた後、ポリマーの融点以下の温度で固相重合を継続する請求項1記載の製造方法。
- 環状エステルが、α−ヒドロキシカルボン酸の二分子間環状エステルまたはラクトンである請求項1記載の製造方法。
- α−ヒドロキシカルボン酸の二分子間環状エステルが、グリコリドまたはラクチドである請求項6記載の製造方法。
- 環状エステルが、グリコリド単独またはグリコリド60重量%以上とグリコリドと開環共重合可能な他の環状モノマー40重量%以下との混合物である請求項1記載の製造方法。
- 他の環状モノマーが、ラクチドである請求項8記載の製造方法。
- 重量平均分子量が50,000以上のポリグリコール酸を得る請求項8記載の製造方法。
- 黄色度が4〜20のポリグリコール酸を得る請求項8記載の製造方法。
- 重量平均分子量が200,000以下で、黄色度が10以下のポリグリコール酸を得る請求項8記載の製造方法。
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