JP6890605B2 - シアノヒドリン含有液の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、シアノヒドリン含有液の製造方法に関する。
ラクトニトリルは、様々な化合物の原料として使用されている。具体的には、ラクトニトリルは、乳酸、乳酸エステル、アラニン等の原料として使用されている。また、ラクトニトリルは、シアノヒドリンの代表的な化合物としても知られている。
アセトアルデヒド等のカルボニル化合物と、シアン化剤とを反応させて、ラクトニトリル等のシアノヒドリンを製造する方法は、広く知られており、様々な方法が提案されている(例えば特許文献1〜4参照)。
特許文献1では、脂肪族カルボニル化合物と、シアン化水素とを、アルカリ性触媒の存在下で反応させシアノヒドリンを製造する際に、希釈剤を用い、希釈率、温度、pH等を特定の範囲とし、反応混合物を連続的に滞留装置に抜出す、シアノヒドリンの連続的製造方法を提案している。
特許文献2では、アセトアルデヒドと、シアン化水素とを、アルカリ触媒の存在下で反応させ、得られた粗ラクトニトリルをpH4以下に調製し、所定の温度において、不活性ガスを通入して不純物を除去する、ラクトニトリルの製造方法を提案している。
特許文献3では、カルボニル化合物とシアン化水素とからシアノヒドリン化合物を製造する際に、カルボニル化合物とシアン化水素とを、触媒存在下で流通反応させる、シアノヒドリン化合物の製造方法を提案している。
特許文献4では、触媒存在下、カルボニル化合物とシアン化水素とからシアノヒドリン化合物を製造する際に、反応系内におけるカルボニル化合物の含有量を、シアノヒドリン化合物に対して特定量とする、シアノヒドリン化合物の製造方法を提案している。
特公昭38−6761号公報 特公昭43−29574号公報 国際公開第2009/054355号 国際公開第2009/054356号
しかしながら、従来の技術では、連続的にシアノヒドリン含有液を製造する場合には、反応器内の原料カルボニル化合物の量と、シアン化剤の量とを充分に制御することができなかった。従来の技術では、例えば、原料カルボニル化合物や、シアン化剤の供給量を、流量計等を用いて制御していた。しかしながら、流量計等を用いて供給量を制御しても、必ずしも反応器に供給される原料カルボニル化合物の量と、シアン化剤の量とを充分に制御できず、得られるシアノヒドリン含有液の品質が安定しないことを本発明者らは見出した。
これは、流量計等を用いた供給量の制御では、原料カルボニル化合物やシアン化剤をポンプで供給する際にガスを巻き込んだり、更に原料カルボニル化合物やシアン化剤の沸点が低い場合にはその一部が気化してガス状になったり、また、気化を抑制するために原料カルボニル化合物やシアン化剤を冷却する方法もあるが外気温からの熱やポンプ等の機器からの熱によりその一部が気化してガス状になる等によって、実際に反応器に供給される原料の量にばらつきが出るためであると、本発明者らは見出した。
原料の量にばらつきが出ると、原料カルボニル化合物またはシアン化剤が過剰に供給される恐れがある。原料カルボニル化合物が過剰に供給されると、得られたシアノヒドリン含有液に未反応の原料カルボニル化合物が大量に残存する。未反応の原料カルボニル化合物は回収する必要があり、回収する設備や、除害する設備が必要になる等の問題点があった。また、シアン化剤が過剰に供給されると、得られたシアノヒドリン含有液に未反応のシアン化剤が大量に残存する。シアン化水素に代表されるシアン化剤は毒性が強く、シアン化剤がシアノヒドリン含有液に含まれると、該液の取り扱いが困難となり、シアン化剤を回収する設備や、除害する設備が必要になる等の問題点があった。また、シアン化剤が過剰に供給された場合には、シアン化剤の加水分解によるギ酸アミドやギ酸の生成、そして、さらにそれらが反応することによる誘導体の生成や、シアン化剤自身の重合による重合物の生成等によって不純物の増加が起こるという問題点もあった。
本発明者らが上記課題を解決すべき鋭意検討した結果、原料カルボニル化合物と、シアン化剤とを反応させ、シアノヒドリン含有液を製造する際に、原料カルボニル化合物のモル濃度およびシアン化剤のモル濃度の少なくとも一方の濃度、並びにシアノヒドリンのモル濃度を反応液に対して計測し、該計測結果に基づき、反応器に供給される原料カルボニル化合物およびシアン化剤の少なくとも一方のモル濃度を制御することにより、シアノヒドリンの収率を長時間にわたって安定的に改善することができることを見出した。
すなわち、本発明の、例えば以下の[1]〜[11]に関する。
[1] 下記工程1〜4を含む、シアノヒドリン含有液の製造方法。
工程1:一般式(A)で表される原料カルボニル化合物および一般式(B)で表されるシアン化剤を反応器に供給する工程であって、原料カルボニル化合物とシアン化剤との少なくとも一方を連続的に供給する工程
工程2:反応器において、工程1で供給された原料カルボニル化合物とシアン化剤とを反応させ反応液を得る工程
工程3:前記反応液に含まれる、原料カルボニル化合物のモル濃度およびシアン化剤のモル濃度の少なくとも一方の濃度、並びにシアノヒドリンのモル濃度を計測する工程
工程4:工程3の結果に基づいて、工程1において反応器に供給される原料カルボニル化合物およびシアン化剤の少なくとも一方のモル濃度を制御する工程
一般式(A):R1COR2
一般式(A)において、R1およびR2はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、または置換基を有していてもよい複素環基である。
一般式(B):M(CN)n
一般式(B)において、Mは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄、銅、または亜鉛であり、nはMの価数である。
[2] 前記工程3において、原料カルボニル化合物のモル濃度をM1、シアン化剤が有するシアノ基のモル濃度をM2、シアノヒドリンのモル濃度をM3とした際に、下記要件(1)および(2)の少なくとも一方を満たすように工程4を行う、[1]に記載のシアノヒドリン含有液の製造方法。
要件(1):M1/M3が、0.001〜0.100である。
要件(2):M2/M3が、0.001〜0.100である。
[3] 前記工程1において、供給する原料カルボニル化合物とシアン化剤が有するシアノ基とのモル比(原料カルボニル化合物/シアン化剤が有するシアノ基)が、0.80〜1.25である、[1]または[2]に記載のシアノヒドリン含有液の製造方法。
[4] 前記工程3における計測が、自動サンプリングされた反応液について行われる、[1]〜[3]のいずれかに記載のシアノヒドリン含有液の製造方法。
[5] 前記工程3における計測が、反応器から抜出された反応液について行われる、[1]〜[4]のいずれかに記載のシアノヒドリン含有液の製造方法。
[6] 前記工程3における計測が、反応器から抜出された反応液について行われ、計測後の反応液を反応器に戻す、[1]〜[4]のいずれかに記載のシアノヒドリン含有液の製造方法。
[7] 前記工程3において、モル濃度の計測のために、紫外線吸光光度計および屈折率計、または、シアン計および屈折率計を併用して用いる、[1]〜[6]のいずれかに記載のシアノヒドリン含有液の製造方法。
[8] 前記一般式(A)におけるR1が水素原子であり、R2が脂肪族炭化水素基である、[1]〜[7]のいずれかに記載のシアノヒドリン含有液の製造方法。
[9] 前記原料カルボニル化合物が、アセトアルデヒドであり、シアノヒドリンがラクトニトリルである、[1]〜[7]のいずれかに記載のシアノヒドリン含有液の製造方法。
[10] 前記原料カルボニル化合物が、常圧における沸点が25℃以上である成分の含有量が300ppm以下のアセトアルデヒドであり、シアノヒドリンがラクトニトリルである、[1]〜[7]のいずれかに記載のシアノヒドリン含有液の製造方法。
[11] 原料カルボニル化合物およびシアン化剤を供給する供給部と、
供給された原料を反応させる反応器と、
前記反応器内、または、前記反応器から分岐した流路上に設けられた、反応液中のカルボニル化合物のモル濃度およびシアン化剤のモル濃度の少なくとも一方の濃度、並びに、シアノヒドリンのモル濃度を計測する計測器と
を有する、シアノヒドリン含有液製造装置。
本発明のシアノヒドリン含有液の製造方法において、反応液に対して各成分のモル濃度を計測した結果を原料供給の制御に使用することによって、シアノヒドリンの収率を長時間にわたって安定的に改善することができる。
次に本発明について具体的に説明する。
[シアノヒドリン含有液の製造方法]
本発明のシアノヒドリン含有液の製造方法においては、次のような反応式を例示できる。
M(CN)n + nHX → nHCN + MXn
nR1COR2 + nHCN → nR12C(OH)(CN)
ここで、HXは酸や水であり、M、n、R1、R2 は、後述の通りである。
本発明のシアノヒドリン含有液の製造方法は、下記工程1〜4を含む。
工程1:一般式(A)で表される原料カルボニル化合物および一般式(B)で表されるシアン化剤を反応器に供給する工程であって、原料カルボニル化合物とシアン化剤との少なくとも一方を連続的に供給する工程
工程2:反応器において、工程1で供給された原料カルボニル化合物とシアン化剤とを反応させ反応液を得る工程
工程3:前記反応液に含まれる、原料カルボニル化合物のモル濃度およびシアン化剤のモル濃度の少なくとも一方の濃度、並びにシアノヒドリンのモル濃度を計測する工程
工程4:工程3の結果に基づいて、工程1において反応器に供給される原料カルボニル化合物およびシアン化剤の少なくとも一方のモル濃度を制御する工程
一般式(A):R1COR2
一般式(A)において、R1およびR2はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、または置換基を有していてもよい複素環基である。
一般式(B):M(CN)n
一般式(B)において、Mは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄、銅、または亜鉛であり、nはMの価数である。
本発明では、工程3によって原料カルボニル化合物のモル濃度およびシアン化剤のモル濃度の少なくとも一方の濃度、並びにシアノヒドリンのモル濃度を計測し、工程4によって、該計測結果に基づいて、工程1における反応器に供給される原料カルボニル化合物およびシアン化剤の少なくとも一方のモル濃度を制御することにより、シアノヒドリンの収率を長時間にわたって安定的に改善することができる。
(原料カルボニル化合物)
前記原料カルボニル化合物は、一般式(A)で表される。
一般式(A):R1COR2
一般式(A)において、R1およびR2はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、または置換基を有していてもよい複素環基である。
前記脂肪族炭化水素基の炭素数は、1〜30であることが好ましい。前記脂環式炭化水素基の炭素数は、3〜30であることが好ましい。前記芳香族炭化水素基の炭素数は、6〜30であることが好ましい。前記複素環基の炭素数は、2〜30であることが好ましい。なお、これらの基が置換基を有する場合には、各基の炭素数は、置換基を含めた炭素数である。
なお、前記複素環基とは、窒素、酸素、硫黄等のヘテロ原子を含んで形成された環を有する基を表し、本明細書においては、芳香族性を有する複素環基は、芳香族炭化水素基には含まれず、複素環基に含まれる。
前記置換基としては、例えば、アルキル基、アリル基、ヒドロキシ基、カルボニル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基、シアノ基、アミノ基、アルキルアミノ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、イミノ基、N−オキシド基、N−ヒドロキシ基、ジアゾ基、アジド基、ニトロ基、ニトロソ基、スルホ基、メルカプト基、アルキルチオ基が挙げられる。前記基が置換基を有する場合には、1つの基に、置換基を1つ有してもよく、2つ以上有してもよい。
前記R1およびR2としては、本発明の効果がより発揮されやすい点や、シアン化剤との反応性に優れる点などから、水素原子、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基または炭素数6〜14の芳香族炭化水素基が好ましく、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基がより好ましく、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基がさらに好ましい。
また、前記R1およびR2としては、R1が水素原子であり、かつ、R2が脂肪族炭化水素基であることが好ましく、R1が水素原子であり、かつ、R2が炭素数1〜3のアルキル基であることが特に好ましく、原料カルボニル化合物がアセトアルデヒドであることが最も好ましい。
前記カルボニル化合物としては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド等の飽和アルキルアルデヒド;アクリルアルデヒド、メタクリルアルデヒド等の不飽和アルデヒド;ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、ナフトアルデヒド、フタルアルデヒド等の芳香族アルデヒド;ニコチンアルデヒド等の複素環基を有するアルデヒド;アセトン、2−ブタノン、2−ペンタノン、3−メチル−2−ブタノン、3−ペンタノン、3−ヘキサノン、2−メチル−3−ペンタノン、3−ヘプタノン、2−メチル−3−ヘキサノン、2,4−ジメチル−3−ペンタノン、アセトフェノン、2−ノナノン、2−オクタノン、2−ヘプタノン、2−ヘキサノン、4−メチル−2−ペンタノン、4−ヘプタノン、シクロヘキサノン、2,6−ジメチル−4−ヘプタノン等のケトンが挙げられる。
前記カルボニル化合物としては、2種以上を用いてもよいが、濃度計測や精製のし易さから1種単独で用いることが好ましい。
従来行われていた、原料を供給する際の流量の制御では、流路中で原料の一部が気化することなどに起因する、供給量の変動が起きており、従来の方法では、結果物として得られたラクトニトリル含有液等のシアノヒドリン含有液を分析することにより初めて、前記変動が起きたことが分かったが、本発明では、反応中に反応液における各濃度を計測するため、より素早く、濃度の変動を把握することが可能であり、原料を供給する段階での制御に有用であった。本発明は、流路中で原料の一部が気化する可能性が高い、沸点が低いカルボニル化合物を用いる場合に特に好適に実施され、原料カルボニル化合物としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン等に好適に実施され、得られる成分の有用性の観点から原料カルボニル化合物が、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドであることが好ましい。
原料カルボニル化合物の入手方法としては、特に制限されず、工業用、研究用等で入手すればよい。また、原料カルボニル化合物としては、工業用、研究用等で入手したものを、さらに精製したうえで用いてもよい。
通常入手可能な原料カルボニル化合物には、該カルボニル化合物よりも高沸点の成分(以下、高沸成分とも記す。)が不純物として存在することを本発明者らは見出しており、該高沸成分が、シアノヒドリン含有液中の不純物となることを見出した。また、シアノヒドリン含有液中から、高沸成分を取り除く場合には、蒸留等の熱を用いた処理を行う必要があるが、高沸成分と、シアノヒドリンとを分離するためには、高温での処理が必要となり、該高温ではシアノヒドリンの一部の分解が生じることにより、得られるシアノヒドリンの量が減る等の問題があることを見出した。
このため、原料カルボニル化合物としては、予め精製を行い、高沸成分の含有量が低減されたカルボニル化合物であることが好ましく、より好ましくは、高沸成分の含有量が低減されたアセトアルデヒドであることがより好ましい。
前記原料カルボニル化合物としては、高沸成分の含有量が好ましくは300質量ppm以下であり、より好ましくは250質量ppm以下であり、特に好ましくは200質量ppm以下である。高沸成分の含有量は、検出限界以下であってもよい。
原料カルボニル化合物の常圧での沸点が25℃未満の場合には、前記高沸成分は常圧における沸点が25℃以上である成分を意味し、常圧における沸点が25℃以上である成分の含有量の測定方法は、次の通りである。すなわち、攪拌機、蒸留塔、留出器を備えたガラス製フラスコに、原料カルボニル化合物を供給し、常圧で単蒸留を行う。蒸留塔気相部の温度をみながら、フラスコの加熱を行い、気相部の温度がちょうど25℃に達したときに加熱を停止し、単蒸留を終了する。単蒸留後、フラスコに残った残分を秤量し、供給した原料カルボニル化合物の合計量に対する質量ppmを求める。
高沸成分は、通常カルボニル化合物のポリマーや、ダイマー、トリマー、テトラマー等のオリゴマー等であり、カルボニル化合物の種類によって、高沸成分は異なる。原料カルボニル化合物として、アセトアルデヒドを用いる場合には、高沸成分とは常圧における沸点が25℃以上である成分を意味する。本発明に用いる原料カルボニル化合物としては、常圧における沸点が25℃以上である成分の含有量が好ましくは300質量ppm以下、より好ましくは250質量ppm以下、特に好ましくは200質量ppm以下のアセトアルデヒドである。アセトアルデヒド中の常圧における沸点が25℃以上である成分の含有量は、上述の常圧における沸点が25℃以上である成分の含有量の測定方法にて求めることができる。
なお、前記高沸成分(原料カルボニル化合物が、アセトアルデヒドである場合には沸点が25℃以上である成分)の含有量は、少なければ少ないほどよいため、その範囲の下限は特に制限されないが、強いて数値を挙げるとすれば、例えば、0.1ppmである。
高沸成分の含有量が前記範囲にあるカルボニル化合物を、原料カルボニル化合物として用いることで、高温での精製を行わなくても高純度のシアノヒドリン含有液を得ることができるため、高収率化と高純度化とを同時に達成することができるため好ましい。
前記高沸成分の含有量が低減されたカルボニル化合物を得る方法としては、特に制限されず、従来公知の方法を採用することができるが、簡便な方法で容易に高沸成分の含有量が低減されたカルボニル化合物を得ることができる等の点から、粗カルボニル化合物を蒸留して低沸点成分として分離することによって、高沸成分の含有量が低減されたカルボニル化合物を得る方法が好ましい。
前記蒸留する方法としては、粗カルボニル化合物に含まれる高沸成分の除去が可能であれば特に制限されず、工業的に実施できる方法であればよい。具体的な方法としては、単蒸留、精密蒸留、薄膜蒸留等が挙げられ、回分式、半回分式、連続式のいずれの方法でも行うことが可能であるが、半回分式または連続式が好ましい。
前記蒸留する際の条件も、粗カルボニル化合物に含まれる高沸成分の除去が可能であれば特に制限されないが、前記粗カルボニル化合物として、粗アセトアルデヒドを用いる場合には、蒸留温度は、好ましくは20〜60℃、より好ましくは30〜50℃であり、蒸留圧力は、蒸留温度との関係によって決まるが、前記蒸留温度においては、好ましくは50〜300KPaA、より好ましくは100〜250KPaAである。蒸留時間は、好ましくは1〜300分、より好ましくは5〜150分である。
前記蒸留は、通常、蒸留装置で行われる。この際には、該装置の底部に粗カルボニル化合物に含まれる高沸成分が溜まる傾向にある。
前記蒸留の際には、蒸留条件をより容易に制御することができ、粗カルボニル化合物に含まれる高沸成分を前記範囲まで低減することが容易になる等の点から、蒸留装置の底部から高沸成分を含む液を抜き出す工程を含むことが好ましい。
カルボニル化合物は、高沸成分が生じやすい。本発明者らの研究により、鉄製部材と接触すると、該高沸成分の生成が促進されることが分かった。
このため、より高収率で高純度のシアノヒドリン含有液を容易に得ることができ、粗カルボニル化合物を精製することによる効果をより効率よく発揮させる等の点から、前記粗カルボニル化合物を精製する工程で得られた精製カルボニル化合物は、鉄製部材と接触させることなくシアン化剤と反応させることが好ましい。
前記鉄製部材とは、鉄、鉄鋼製の部材(パイプ、装置等)のことをいい、SUSなどの鉄合金(ステンレス鋼)製の部材は含まない。
より高収率で高純度のシアノヒドリン含有液を容易に得ることができ、粗カルボニル化合物を精製することによる効果をより効率よく発揮させる等の点から、前記粗カルボニル化合物を精製する工程で得られた精製カルボニル化合物は、そのまま反応系へ供給されることが好ましく、前記粗カルボニル化合物を精製する工程後、好ましくは24時間以内、より好ましくは12時間以内に反応に用いることが望ましい。
(シアン化剤)
前記シアン化剤は、一般式(B)で表される。
一般式(B):M(CN)n
一般式(B)において、Mは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄、銅、または亜鉛であり、nはMの価数である。
nとしては、通常は1〜3の整数であり、好ましくは1または2である。
前記アルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムが挙げられる。前記アルカリ土類金属としては、例えば、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムが挙げられる。
前記シアン化剤としては、具体的には、HCN、LiCN、NaCN、KCN、RbCN、CsCN、Mg(CN)2、Ca(CN)2、Sr(CN)2、Ba(CN)2、Fe(CN)2、Fe(CN)3、CuCN、Cu(CN)2、Zn(CN)2等が挙げられる。前記シアン化剤としては、反応液のpH制御が容易であり、かつ塩の副生を抑制することができる観点から、HCN(シアン化水素)が好ましい。
前記シアン化剤としては、1種単独で用いても、2種以上を用いてもよい。
前記シアン化剤としては、特に制限されず、工業用、研究用等で入手できるものを用いてもよく、他の化合物製造時に副生するものを用いてもよく、合成したものを用いてもよい。例えばシアン化剤が、シアン化水素の場合、アンモ酸化反応等で副生するシアン化水素を使用することも可能であり、メタン等を原料として合成することも可能である。また、シアン化ナトリウムを硫酸等の強酸と反応させてシアン化水素を製造することも可能である。なお、前記アンモ酸化反応としては、プロピレンまたはプロパンからアクリルニトリルを製造する方法が挙げられる。
また、使用するシアン化水素等のシアン化剤としては、蒸留、吸着等によって、精製されたものを用いてもよい。
(工程1)
本発明のシアノヒドリン含有液の製造方法が有する工程1は、一般式(A)で表される原料カルボニル化合物および一般式(B)で表されるシアン化剤と、必要に応じて水等の溶媒とを反応器に供給する工程であって、原料カルボニル化合物とシアン化剤との少なくとも一方を連続的に供給する工程である。
原料カルボニル化合物およびシアン化剤としては、前述のものを用いることができる。
前記反応器としては、原料を連続的に供給することが可能であり、原料カルボニル化合物とシアン化剤とを反応させることができればよく特に限定は無いが、例えば、連続槽型反応器、管型反応器、スクリューフィーダー型混合器、スタティックミキサー等を用いることができる。前記反応器としては、原料を連続的に供給することができることに加えて、シアノヒドリン含有液を連続的に取り出すことが可能な反応器が好ましい。また、前記反応器としては、回分式反応器は、原料を連続的に供給することができないため、用いることができない。前記反応器としては、原料カルボニル化合物が鉄製部材と接触すると、高沸成分の生成が促進されるため、鉄以外の材質であることが好ましい。反応器の材質としては、具体的には、銅、チタン、ニッケル、ステンレス鋼、モネル(商標)、ハステロイ(商標)、インコネル(商標)、インコロイ(商標)、フッ素樹脂、ガラス、磁器等が挙げられる。
工程1では、溶媒を供給することが好ましい。溶媒としては1種または2種以上の溶媒を用いることができる。溶媒としては水、有機溶媒のいずれも用いることができる。有機溶媒としては、アルコール、カルボン酸、エステルなどが挙げられる。溶媒としては、反応後のシアノヒドリン含有液の濃度調整が容易であり、コスト面でも優れる水を用いることが好ましい。
工程1で反応器に溶媒を供給する場合には、反応器に供給される溶媒の量としては特に限定は無いが、工程2における反応液中の溶媒量が好ましくは5〜95質量%となる量で供給される。前記範囲では、工程2において、効率よく反応が進行し、所望濃度のシアノヒドリン含有液を容易に得ることができるため好ましい。
なお、溶媒の反応器への供給は、溶媒のみで反応器へ供給してもよく、原料カルボニル化合物、シアン化剤、後述の触媒等と共に、反応器へ供給してもよい。
原料カルボニル化合物や、シアン化剤が、反応器に供給する際の温度、反応器中の温度で固体である場合には、溶媒に溶解または懸濁させることが好ましい。
また、本発明に用いる反応器には、原料カルボニル化合物およびシアン化剤を反応器に供給するための、導入部が接続されていることが好ましい。前記導入部としては、反応器に供給される原料カルボニル化合物の量を調整しながら供給可能な、原料カルボニル化合物導入部および、反応器に供給されるシアン化剤の量を調整しながら供給可能な、シアン化剤導入部とを通常は有する。
前記導入部は、通常、供給される原料カルボニル化合物あるいはシアン化剤の量を計測するための流量計等の供給量計測部を有する。前述のようにシアノヒドリン含有液の製造においては、流量計等を用いた流量の制御だけでは、必ずしも反応器に供給される原料の量を一定に保つことは出来ないが、供給量計測部で原料の量をある程度確認することが可能であり、大幅な供給量の変動を抑制することができる。
反応器に供給される原料カルボニル化合物と、シアン化剤との量は、原料カルボニル化合物とシアン化剤が有するシアノ基とのモル比(原料カルボニル化合物/シアン化剤が有するシアノ基)が、好ましくは0.80〜1.25、より好ましくは0.90〜1.11である。
前記モル比の上限以下であると、過剰の原料カルボニル化合物を回収する必要がなく、また原料カルボニル化合物による副反応が起こりにくくなる。また、前記モル比の下限以上であると、過剰のシアン化剤を回収する必要がない。原料の転化率の観点からは、原料カルボニル化合物とシアン化剤が有するシアノ基とのモル比が、1に近いほど好ましく、具体的には、0.95〜1.05が特に好ましい。但し、原料カルボニル化合物とシアン化剤が有するシアノ基とのモル比が、1に近いほど、意図せぬ僅かな供給量の変化で、反応器に供給される原料カルボニル化合物と、シアン化剤とのどちらが過剰になるかが、変化してしまう。原料カルボニル化合物が過剰の場合には、原料カルボニル化合物の回収が必要になり、シアン化剤が過剰の場合には、シアン化剤の回収が必要になり、原料カルボニル化合物とシアン化剤が有するシアノ基とのモル比が、1に近い場合には、どちらが過剰になるかが安定しないため、両方を回収することが可能な設備が必要となる。このため、予め片方の原料をわずかに過剰に供給することも好ましい。具体的には、原料カルボニル化合物とシアン化剤が有するシアノ基とのモル比(原料カルボニル化合物/シアン化剤が有するシアノ基)が、1.001〜1.100が特に好ましい。また、シアン化剤が有するシアノ基と原料カルボニル化合物とのモル比(シアン化剤が有するシアノ基/原料カルボニル化合物)が、1.001〜1.100であることも特に好ましい。
上記のように、例えば原料カルボニル化合物を過剰にしたときは、後述の工程3において要件(1)を満たすように工程4を行うことによって、シアノヒドリンの収率を高く維持することができる。一方、シアン化剤を過剰にしたときは、後述の工程3において要件(2)を満たすように工程4を行うことによって、シアノヒドリンの収率を高く維持することができる。
そして、片方の原料を過剰にすることにより、該過剰となる成分を回収する設備を設ければよく、製造装置を簡略化できるため好ましい。
前記範囲内で、原料カルボニル化合物と、シアン化剤とのモル濃度を制御することにより、原料カルボニル化合物あるいは、シアン化剤が、大過剰で反応器に供給されることが無く好ましい。
工程1では、原料カルボニル化合物とシアン化剤との少なくとも一方を連続的に供給するが、好ましくは原料カルボニル化合物およびシアン化剤の両方を連続的に供給することが好ましい。原料カルボニル化合物およびシアン化剤を連続的に供給することにより、反応器中の原料や、シアノヒドリンの濃度が一定となりやすいため好ましい。
なお、本発明において連続的に供給するとは、絶え間なく反応器に供給される態様が包含されるのはもちろん、滴下のように僅かな間隔があいていてもよい。なお、連続的に供給するとは、具体的には、供給と供給との間が例えば、数秒から数分で供給されることを意味する。
(工程2)
本発明のシアノヒドリン含有液の製造方法が有する工程2は、反応器において、工程1で供給された原料カルボニル化合物とシアン化剤とを反応させ反応液を得る工程である。前記反応は通常は連続式で行われるが、半回分式で行われてもよい。
工程2では、原料カルボニル化合物とシアン化剤とが反応することにより、シアノヒドリンが得られる。前記シアノヒドリンとしては、α−シアノヒドリンが好ましく、ラクトニトリルが特に好ましい。すなわち、原料カルボニル化合物としては、アセトアルデヒドが特に好ましい。
工程2は、触媒の存在下で行うことが好ましい。前記触媒としては、塩基性化合物を用いることが好ましい。前記塩基性化合物はpH調整剤としても作用するため好ましい。
前記塩基性化合物としては、有機塩基性化合物、無機塩基性化合物が挙げられる。前記有機塩基性化合物としては、アミン化合物、4級アンモニウム塩、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物および金属アルコキサイドなどの塩基性化合物が挙げられる。
反応器中の反応液のpHは、好ましくは3〜7、より好ましく4〜6、特に好ましくは5〜6である。前記触媒は、反応液のpHが前記範囲となる量で用いることが好ましい。
工程2は、溶媒の存在下で行うことが好ましい。溶媒としては工程1で用いたものが好ましい。
また、工程2では、酸の存在下で行ってもよい。特にシアン化剤としてシアン化水素以外を用いた場合には、反応液のpHが高くなるため、pHを前記範囲とする目的で酸を用いることが好ましい。酸としては、硫酸、塩酸、リン酸、酢酸等の酸を用いることができる。
反応器中の温度(反応温度)は、原料カルボニル化合物とシアン化剤とが好適に反応できればよく、特に限定はないが、通常は0〜40℃、好ましくは0〜30℃、より好ましくは5〜25℃、特に好ましくは10〜20℃である。
また、工程2における平均滞留時間は、原料カルボニル化合物とシアン化剤とが充分に反応できればよく、特に限定は無いが、通常は0.1〜24時間、好ましくは0.5〜12時間、より好ましくは1〜6時間である。
(工程3)
本発明のシアノヒドリン含有液の製造方法が有する工程3は、前記反応液に含まれる、原料カルボニル化合物のモル濃度およびシアン化剤のモル濃度の少なくとも一方の濃度、並びにシアノヒドリンのモル濃度を計測する工程である。
反応液に含まれる成分の濃度を計測する方法としては、特に制限は無く、反応器中に濃度を計測するための機器を取り付けることにより、反応液中の各成分の濃度を計測してもよく、反応器から抜出された反応液について各成分の濃度を計測してもよい。反応器から抜出された反応液については、濃度を計測後、廃棄してもよいが、計測後の反応液を反応器に戻すことが、生産性の観点からは好ましい。なお、濃度を計測後、計測後の反応液を反応器に戻さず、廃棄することが、本発明の製造方法を行う装置の簡便さの観点からは好ましい。
前記計測は、自動サンプリングされた反応液について行われることが好ましい。反応液のサンプリングは、手動で行ってもよいが、規則的に自動サンプリングすることにより、安定してサンプルを得ることができる。自動サンプリングは例えば、反応器から計測を行う機器へ送液する流路や、反応器から計測を行う機器へ送液し、計測後機器から反応器へ送液する流路(循環路)を介して行われる。
なお、本発明において、自動とは反応器等の製造設備の運転中に、人が介在することなく機器が能動的に作動することを意味する。すなわち、反応開始前の設定、メンテナンス等は人が介在して行われてもよい。
また、サンプリングされた反応液には、モル濃度の検出が行われる。検出は手動で行っても、自動で行ってもよいが、自動検出されることが好ましい。自動検出とは、サンプリングされた反応液の検出を自動で行うことを意味する。なお、検出する際に用いる機器としては、紫外線吸光光度計、シアン計(シアン化物イオン測定装置)、屈折率計が挙げられ、紫外線吸光光度計および屈折率計、または、シアン計および屈折率計を併用して用いることが好ましい。すなわち、工程3では、例えば、紫外線吸光光度計およびシアン計から選択される少なくとも一方を用い、さらに屈折率計を用いることが好ましい。
計測のし易さの観点から、紫外線吸光光度計にて原料カルボニル化合物を計測し、屈折率計により原料カルボニル化合物とシアノヒドリンとの合計のモル濃度を計測し、それによって得られた原料カルボニル化合物のモル濃度と前記原料カルボニル化合物とシアノヒドリンとの合計のモル濃度とからシアノヒドリンのモル濃度を算出する方法が好ましい。
また、シアン計にてシアン化剤のモル濃度を計測し、屈折率計によりシアン化剤とシアノヒドリンとの合計のモル濃度を計測し、それによって得られたシアン化剤のモル濃度と前記シアン化剤とシアノヒドリンとの合計のモル濃度からシアノヒドリンのモル濃度を算出する方法が好ましい。
本発明において、自動サンプリングと、自動検出とを合わせて、自動計測とも呼ぶ。すなわち、自動計測とは、反応液のサンプリング、サンプリングされた反応液の検出を自動で行うことを意味する。
工程3における計測は自動計測であることが、原料カルボニル化合物のモル濃度およびシアン化剤のモル濃度の少なくとも一方の濃度、並びにシアノヒドリンのモル濃度を継時的に把握することが容易であるため好ましい。すなわち、自動計測でない場合には、少なくともサンプリングおよび反応液の検出の片方を、手動で行う必要があるため、手間がかかるが、自動計測では、そのような手間が不要となり好ましい。
また、前記検出された結果から、原料カルボニル化合物のモル濃度およびシアン化剤のモル濃度の少なくとも一方の濃度、並びにシアノヒドリンのモル濃度を求めるが、該モル濃度の算出は、手動演算であっても、自動演算であってもよく、自動演算が算出のスピード、正確性、手間の観点から好ましい。なお、演算は通常、予め原料カルボニル化合物のモル濃度およびシアン化剤のモル濃度の少なくとも一方の濃度、並びにシアノヒドリンのモル濃度と、検出される物性との関係を求めたうえで、演算される。
また、検出された結果、および自動演算された結果の、少なくとも片方の結果を、自動記録することが好ましい。自動記録は、HDD(ハードディスクドライブ)、SSD(ソリッドステートドライブ)、CD、DVD等の記憶媒体に、電子データとして記録してもよく、紙面等に印刷することにより記録してもよく、その両方でもよい。
また、工程4における制御を、自動計測された結果に基づき、自動で制御してもよい。
工程3において、原料カルボニル化合物のモル濃度をM1、シアン化剤が有するシアノ基のモル濃度をM2、シアノヒドリンのモル濃度をM3とした際に、下記要件(1)および(2)の少なくとも一方を満たすことが好ましい。
要件(1):M1/M3が、0.001〜0.100である。
要件(2):M2/M3が、0.001〜0.100である。
要件(1)において、M1/M3が、0.001〜0.050であることが好ましい。また、要件(2)において、M2/M3が、0.001〜0.050であることが好ましい。
なお、反応器に供給される原料カルボニル化合物と、シアン化剤が有するシアノ基とのモル比(原料カルボニル化合物/シアン化剤が有するシアノ基)が、1.001〜1.100である場合には、要件(1)を満たすことが好ましく、反応器に供給されるシアン化剤が有するシアノ基と原料カルボニル化合物とのモル比(シアン化剤が有するシアノ基/原料カルボニル化合物)が、1.001〜1.100である場合には、要件(2)を満たすことが好ましい。
工程3において、要件(1)および(2)の少なくとも一方を満たすと、反応液中の原料カルボニル、シアン化剤のいずれも過剰に存在することは無く、反応が安定的に進んでいることが分かる。
(工程4)
本発明のシアノヒドリン含有液の製造方法が有する工程4は、工程3の結果に基づいて、工程1において反応器に供給される原料カルボニル化合物およびシアン化剤の少なくとも一方のモル濃度を制御する工程である。
工程3および4を有することにより、本発明のシアノヒドリン含有液の製造方法は、反応液中の濃度変化に従って、速やかに原料の供給量を制御することができ、シアノヒドリンの生産性に優れる。
工程4は、前記工程3において、要件(1)および(2)の少なくとも一方を満たすように、反応器に供給される原料カルボニル化合物およびシアン化剤の少なくとも一方のモル濃度を制御することが好ましい。
なお、制御の具体的な方法としては、工程3において、原料カルボニル化合物が過剰であることが判明した場合には、原料カルボニル化合物の供給量を減らす、シアン化剤の供給量を増やす等の制御を行うことができる。一方、工程3において、シアン化剤が過剰であることが判明した場合には、シアン化剤の供給量を減らす、原料カルボニル化合物の供給量を増やす等の制御を行うことができる。また、工程3において、シアノヒドリンのモル濃度が低すぎることが判明した場合には、反応が充分に進捗していないことを意味するため、原料カルボニル化合物および、シアン化剤の供給量を減らすことができる。
(その他の工程)
本発明のシアノヒドリン含有液の製造方法は、前記工程1〜4を有しており、さらにその他の工程(工程1〜4以外の工程)を有していてもよい。
その他の工程としては例えば、工程2で得られた反応液を回収する工程、回収された反応液のpHを調整する工程、回収された反応液を精製する工程が挙げられる。
前記反応液を回収する工程は、通常反応器に設けられた流路から、反応液を回収する工程であり、回収するスピードは、通常原料、水等の反応器に供給される全成分の供給量とほぼ同等である。全成分の供給量と、反応液の回収量とが同等であると、反応器内に存在する反応液の量が一定となるため好ましい。なお、反応液を回収するために設けられた流路は、通常は工程3を行うために設けられた流路とは別の流路である。
前記回収された反応液のpHを調整する工程は、反応液を安定化するために行うことができる工程である。具体的には、回収された反応液にpH調整剤を添加する工程が挙げられる。pH調整剤としては、例えば硫酸、塩酸、リン酸、酢酸等の酸が挙げられる。
反応液にpH調整剤を添加した後の溶液は、好ましくはpH0.0〜5.0、より好ましくはpH0.5〜3.0である。
回収された反応液を精製する工程は、前記反応液を回収する工程により得られた反応液に対して行ってもよく、前記反応液のpHを調整する工程を経て得られたpHが調整された反応液に対して行ってもよい。
回収された反応液を精製する工程は、通常は反応液を精製装置に供給し、精製する工程である。精製装置への供給方法は、特に制限されず、連続的に供給してもよく、断続的に供給してもよい。
精製方法としては、特に制限されず、従来公知の方法等を採用することができるが、簡便な方法で容易に反応液を精製することができる等の点から、反応液を蒸留装置に供給し蒸留する方法であることが好ましい。また、別の方法としてはゼオライト、活性炭等を用いて、原料カルボニル化合物やシアン化剤等を吸着することにより、反応液を精製してもよい。
前記蒸留する方法としては、特に制限されず、工業的に実施できる方法であればよい。具体的な方法としては、単蒸留、精密蒸留、薄膜蒸留等が挙げられ、精密蒸留では、棚段塔や充填塔による方法等が挙げられる。充填塔による方法においては、規則充填物や不規則充填物を使用する方法等が挙げられる。また、蒸留する方法は、回分式、半回分式、連続式のいずれの方法でも行うことが可能であるが、半回分式または連続式が好ましい。
前記蒸留する際の条件についても、特に制限されないが、前記原料カルボニル化合物として、アセトアルデヒドを用い、前記シアン化剤として、シアン化水素を用いてラクトニトリルを得る場合には、蒸留温度は、好ましくは20〜60℃、より好ましくは30〜50℃であり、蒸留時間は、好ましくは1〜300分、より好ましくは5〜150分である。蒸留圧力は、蒸留温度との関係によって決まるが、前記蒸留温度においては、好ましくは0.1〜400KPaA、より好ましくは1〜200KPaAである。
また、シアノヒドリン含有液の純度を高めるため、還流を行うことが好ましい。還流を行う際の還流比は、好ましくは0.1〜20、より好ましくは1〜10である。還流比が前記範囲内であれば、生産効率を大幅に低下させることなく、原料カルボニル化合物、シアン化剤、シアノヒドリン、溶媒等の各成分の分離率を向上させることができる。
前記蒸留は、通常、蒸留装置で行われる。この際には、原料カルボニル化合物、シアン化剤および溶媒は、シアノヒドリン含有液よりも沸点が低い傾向にあることから、目的物であるシアノヒドリン含有液は、該装置の底部に溜まる傾向にある。このため、該装置からシアノヒドリン含有液を取り出す出口は、該装置の底部付近にあることが好ましい。
なお、本発明のシアノヒドリン含有液の製造方法は、回収された反応液をシアノヒドリン含有液としてもよく、pH調整した反応液をシアノヒドリン含有液としてもよいが、通常は前記精製を経たものを、シアノヒドリン含有液とする。
[シアノヒドリン含有液製造装置]
本発明のシアノヒドリン含有液製造装置は、原料カルボニル化合物およびシアン化剤を供給する供給部と、供給された原料を反応させる反応器と、前記反応器内、または、前記反応器から分岐した流路上に設けられた、反応液中のカルボニル化合物のモル濃度およびシアン化剤のモル濃度の少なくとも一方の濃度、並びに、シアノヒドリンのモル濃度を計測する計測器とを有する。前記シアノヒドリン含有液製造装置には、通常反応器に反応液を回収するための流路が接続されている。また、シアノヒドリン含有液製造装置は、前述の回収された反応液のpHを調整する工程、回収された反応液を精製する工程を行うための、pH調整剤添加装置や、精製装置を有していてもよい。
シアノヒドリン含有液製造装置は、上述したシアノヒドリン含有液の製造方法において使用することができる。
シアノヒドリン含有液製造装置を用いることにより、生産性を低下させることなく、高収率でシアノヒドリンを生成させることによって効率的にシアノヒドリン含有液を製造することができる。
次に本発明について実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
[1.アセトアルデヒド過剰条件での反応液中のアセトアルデヒド、シアン化水素およびラクトニトリルの定量方法]
<1−1.アセトアルデヒドの定量方法>
抜き出した反応液の一部を用い、紫外線吸光光度計でアセトアルデヒドに特有の波長330nmでの吸光度を求めた。この吸光度から、予め吸光度と反応液中のアセトアルデヒドのモル濃度との相関を求めた検量線から、反応液中のアセトアルデヒドのモル濃度を計測した。
<1−2.検量線の作成>
反応液の屈折率を求めるのに先だって以下の検量線を作成した。
1)水/ラクトニトリルの組成比を水100%、ラクトニトリル100%の間で変化させたラクトニトリル水溶液を複数作製し、各々の屈折率を測定し、ラクトニトリルのモル濃度と屈折率との検量線を作成した(検量線A−0)。
2)前記特定のラクトニトリル水溶液にアセトアルデヒドを加え、アセトアルデヒドの濃度が異なるアセトアルデヒド/ラクトニトリル/水の組成液を作製し、それぞれの屈折率を測定した。
3)ラクトニトリルのモル濃度が前記2)とは異なるラクトニトリル水溶液も、2)と同様に屈折率を測定した。
4)アセトアルデヒドのモル濃度が特定の同一濃度である一群のデータを用い、ラクトニトリルのモル濃度と屈折率との検量線を作成した(検量線A−1)。
5)アセトアルデヒドのモル濃度が4)とは異なる濃度であるもののデータについても、同一のアセトアルデヒドのモル濃度毎に、ラクトニトリルのモル濃度と屈折率との検量線を同様に作成した(検量線A−2〜A−X)。
<1−3.ラクトニトリルの定量方法>
前記反応液の紫外線吸光光度計から求めたアセトアルデヒドのモル濃度に対応する検量線を、(A−0〜A−X)から選択し、または前記検量線群から内挿させて作成し、その検量線と反応液の屈折率nとから、ラクトニトリルのモル濃度を定量した。
<1−4.シアン化水素の定量方法>
抜き出した反応液の一部を用い、シアン計でシアン濃度を求めた。予め前記シアン計でのシアン濃度とシアン化水素濃度との相関を求めた検量線からシアン化水素のモル濃度を計測した。
[2.シアン化水素過剰条件での反応液中のアセトアルデヒド、シアン化水素およびラクトニトリルの定量方法]
<2−1.シアン化水素の定量方法>
抜き出した反応液の一部を用い、シアン計でシアン濃度を求めた。予め前記シアン計でのシアン濃度とシアン化水素濃度との相関を求めた検量線からシアン化水素のモル濃度を計測した。
<2−2.検量線の作成>
反応液の屈折率を求めるのに先だって以下の検量線を作成した。
1)水/ラクトニトリルの組成比を水100%、ラクトニトリル100%の間で変化させたラクトニトリル水溶液を複数作製し、各々の屈折率を測定し、ラクトニトリルのモル濃度と屈折率との検量線を作成した(検量線B−0)。
2)前記特定のラクトニトリル水溶液にシアン化水素を加え、シアン化水素の濃度が異なるシアン化水素/ラクトニトリル/水の組成液を作製し、それぞれの屈折率を測定した。
3)ラクトニトリルのモル濃度が前記2)とは異なるラクトニトリル水溶液も、2)と同様に屈折率を測定した。
4)シアン化水素のモル濃度が特定の同一濃度である一群のデータを用い、ラクトニトリルのモル濃度と屈折率との検量線を作成した(検量線B−1)。
5)シアン化水素のモル濃度が4)とは異なる濃度であるもののデータについても、同一のシアン化水素のモル濃度毎に、ラクトニトリルのモル濃度と屈折率との検量線を同様に作成した(検量線B−2〜B−X)。
<2−3.ラクトニトリルの定量方法>
前記反応液のシアン計から求めたシアン化水素のモル濃度に対応する検量線を、(B−0〜B−X)から選択し、または前記検量線群から内挿させて作成し、その検量線と反応液の屈折率nとから、ラクトニトリルのモル濃度を定量した。
<2−4.アセトアルデヒドの定量方法>
抜き出した反応液の一部を用い、紫外線吸光光度計でアセトアルデヒドに特有の波長330nmでの吸光度を求めた。この吸光度から、予め吸光度と反応液中のアセトアルデヒドのモル濃度との相関を求めた検量線から、反応液中のアセトアルデヒドのモル濃度を計測した。
[実施例1]
攪拌機および冷却器を備えたCSTR型の反応器(連続槽型反応器)にアセトアルデヒド、シアン化水素を攪拌下でアセトアルデヒド/シアン化水素のモル比が1.01となるようにアセトアルデヒドとシアン化水素とを、各々の流量をコリオリ流量計にて測定し、ポンプで流量制御しながら供給した。反応器内の反応温度を15〜20℃、5質量%の水酸化ナトリウム水溶液でpHを5〜6に調整しながら、滞留時間が3時間になるように、反応液を抜き出しながら反応を行った。
尚、使用したアセトアルデヒドは、予め単蒸留にて精製を行い、高沸成分(常圧における沸点が25℃以上である成分)の含有量160質量ppmに低減したものを使用した。
アセトアルデヒドのモル濃度およびラクトニトリルのモル濃度に基づき、アセトアルデヒドおよびシアン化水素の供給量を制御し、アセトアルデヒド/ラクトニトリル(モル比)=0.01となるように調整した。
その結果、反応開始から10時間目でのアセトアルデヒドの転化率は99.0%、シアン化水素の転化率は100.0%、ラクトニトリルの収率は、供給アセトアルデヒド量に対して98.9%、供給シアン化水素量に対して100.0%であった。
更に20時間目でのアセトアルデヒドの転化率は99.0%、シアン化水素の転化率は100.0%、ラクトニトリルの収率は、供給アセトアルデヒド量に対して98.9%、供給シアン化水素量に対して100.0%であった。
そして、30時間目でのアセトアルデヒドの転化率は99.0%、シアン化水素の転化率は100.0%、ラクトニトリルの収率は、供給アセトアルデヒド量に対して98.9%、供給シアン化水素量に対して100.0%であった。結果を表1にまとめた。
よって、アセトアルデヒドの転化率およびラクトニトリルの収率は常に安定しており、ラクトニトリルの収率は常に高かった。
[比較例1]
抜き出した反応液の一部について、アセトアルデヒドの濃度計測およびラクトニトリルの濃度計測を行わず、前記濃度に基づくアセトアルデヒドおよびシアン化水素の供給量の制御を行わなかった以外は実施例1と同様に反応を行った。
その結果、反応開始から10時間目でのアセトアルデヒドの転化率は99.0%、シアン化水素の転化率は100.0%、ラクトニトリルの収率は、供給アセトアルデヒド量に対して98.9%、供給シアン化水素量に対して100.0%であった。
更に20時間目でのアセトアルデヒドの転化率は98.1%、シアン化水素の転化率は100%、ラクトニトリルの収率は、供給アセトアルデヒド量に対して97.2%、供給シアン化水素量に対して99.6%であった。
そして、30時間目でのアセトアルデヒドの転化率は97.0%、シアン化水素の転化率は100.0%、ラクトニトリルの収率は、供給アセトアルデヒド量に対して95.2%、供給シアン化水素量に対して99.1%であった。結果を表1にまとめた。
よって、アセトアルデヒドの転化率およびラクトニトリルの収率は安定せず、ラクトニトリルの収率は時間の経過とともに低下した。
[実施例2]
攪拌機および冷却器を備えたCSTR型の反応器(連続槽型反応器)にアセトアルデヒド、シアン化水素を攪拌下でシアン化水素/アセトアルデヒドのモル比が1.01となるようにアセトアルデヒドとシアン化水素とを、各々の流量をコリオリ流量計にて測定し、ポンプで流量制御しながら供給した。反応器内の反応温度を15〜20℃、5質量%の水酸化ナトリウム水溶液でpHを5〜6に調整しながら、滞留時間が3時間になるように、反応液を抜き出しながら反応を行った。
尚、使用したアセトアルデヒドは、予め単蒸留にて精製を行い、高沸成分(常圧における沸点が25℃以上である成分)の含有量160質量ppmに低減したものを使用した。
シアン化水素のモル濃度およびラクトニトリルのモル濃度に基づき、シアン化水素およびアセトアルデヒドの供給量を制御し、シアン化水素/ラクトニトリル(モル比)=0.01となるように調整した。
その結果、反応開始から10時間目でのシアン化水素の転化率は99.0%、アセトアルデヒドの転化率は100.0%、ラクトニトリルの収率は、供給シアン化水素量に対して98.9%、供給アセトアルデヒドに対して100.0%であった。
更に20時間目でのシアン化水素の転化率は99.0%、アセトアルデヒドの転化率は100.0%、ラクトニトリルの収率は、供給シアン化水素量に対して98.9%、供給アセトアルデヒド量に対して100.0%であった。
そして、30時間目でのシアン化水素の転化率は99.0%、アセトアルデヒドの転化率は100.0%、ラクトニトリルの収率は、供給シアン化水素量に対して98.9%、供給アセトアルデヒド量に対して100.0%であった。結果を表2にまとめた。
よって、シアン化水素の転化率、アセトアルデヒドの転化率およびラクトニトリルの収率は常に安定し、ラクトニトリルの収率は高かった。
[比較例2]
抜き出した反応液の一部について、シアン化水素の濃度計測およびラクトニトリルの濃度計測を行わず、前記濃度に基づくシアン化水素の供給量の制御を行わなかった以外は実施例2と同様に反応を行った。
その結果、反応開始から10時間目でのシアン化水素の転化率は98.9%、アセトアルデヒドの転化率は100.0%、ラクトニトリルの収率は、供給シアン化水素量に対して98.6%、供給アセトアルデヒドに対して100.0%であった。
更に20時間目でのシアン化水素の転化率は98.0%、アセトアルデヒドの転化率は100.0%、ラクトニトリルの収率は、供給シアン化水素量に対して97.0%、供給アセトアルデヒド量に対して99.6%であった。
そして、30時間目でのシアン化水素の転化率は96.9%、アセトアルデヒドの転化率は100%、ラクトニトリルの収率は、供給シアン化水素量に対して95.0%、供給アセトアルデヒド量に対して98.9%であった。結果を表2にまとめた。
よって、シアン化水素の転化率およびラクトニトリルの収率は安定せず、ラクトニトリルの収率は時間の経過とともに低下した。
Figure 0006890605
Figure 0006890605
本発明のシアノヒドリン含有液の製造方法によって製造可能なラクトニトリル等のシアノヒドリンは、様々な化合物の出発原料としても有用であり、本発明によれば高純度のラクトニトリル等のシアノヒドリンまたはシアノヒドリン含有液を効率よく高収率で製造することが可能である。

Claims (10)

  1. 下記工程1〜4を含む、シアノヒドリン含有液の製造方法。
    工程1:一般式(A)で表される原料カルボニル化合物および一般式(B)で表されるシアン化剤を反応器に供給する工程であって、原料カルボニル化合物とシアン化剤との少なくとも一方を連続的に供給する工程
    工程2:反応器において、工程1で供給された原料カルボニル化合物とシアン化剤とを反応させ反応液を得る工程
    工程3:前記反応液に含まれる、原料カルボニル化合物のモル濃度およびシアン化剤のモル濃度の少なくとも一方の濃度、並びにシアノヒドリンのモル濃度を計測する工程
    工程4:工程3の結果に基づいて、該工程3において、原料カルボニル化合物のモル濃度をM1、シアン化剤が有するシアノ基のモル濃度をM2、シアノヒドリンのモル濃度をM3とした際に、下記要件(1)および(2)の少なくとも一方を満たすように、工程1において反応器に供給される原料カルボニル化合物およびシアン化剤の少なくとも一方のモル濃度を制御する工程
    一般式(A):R1COR2
    一般式(A)において、R1およびR2はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、または置換基を有していてもよい複素環基である。
    一般式(B):M(CN)n
    一般式(B)において、Mは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄、銅、または亜鉛であり、nはMの価数である。
    要件(1):M1/M3が、0.001〜0.100である。
    要件(2):M2/M3が、0.001〜0.100である。
  2. 前記工程3において、原料カルボニル化合物のモル濃度をM1、シアン化剤が有するシアノ基のモル濃度をM2、シアノヒドリンのモル濃度をM3とした際に、下記要件(1)および(2)の少なくとも一方を満たすように前記工程4を行う、請求項1に記載のシアノヒドリン含有液の製造方法。
    要件(1):M1/M3が、0.001〜0.050である。
    要件(2):M2/M3が、0.001〜0.050である。
  3. 前記工程1において、供給する原料カルボニル化合物とシアン化剤が有するシアノ基とのモル比(原料カルボニル化合物/シアン化剤が有するシアノ基)が、0.80〜1.25である、請求項1または2に記載のシアノヒドリン含有液の製造方法。
  4. 前記工程3における計測が、自動サンプリングされた反応液について行われる、請求項1〜3のいずれか一項に記載のシアノヒドリン含有液の製造方法。
  5. 前記工程3における計測が、反応器から抜出された反応液について行われる、請求項1〜4のいずれか一項に記載のシアノヒドリン含有液の製造方法。
  6. 前記工程3における計測が、反応器から抜出された反応液について行われ、計測後の反応液を反応器に戻す、請求項1〜4のいずれか一項に記載のシアノヒドリン含有液の製造方法。
  7. 前記工程3において、モル濃度の計測のために、紫外線吸光光度計および屈折率計、または、シアン計および屈折率計を併用して用いる、請求項1〜6のいずれか一項に記載のシアノヒドリン含有液の製造方法。
  8. 前記一般式(A)におけるR1が水素原子であり、R2が脂肪族炭化水素基である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のシアノヒドリン含有液の製造方法。
  9. 前記原料カルボニル化合物が、アセトアルデヒドであり、シアノヒドリンがラクトニトリルである、請求項1〜7のいずれか一項に記載のシアノヒドリン含有液の製造方法。
  10. 前記原料カルボニル化合物が、常圧における沸点が25℃以上である成分の含有量が300ppm以下のアセトアルデヒドであり、シアノヒドリンがラクトニトリルである、請求項1〜7のいずれか一項に記載のシアノヒドリン含有液の製造方法。
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