JP3537542B2 - ポリ乳酸の製造方法 - Google Patents
ポリ乳酸の製造方法Info
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Description
および産業資材用に利用できる、繊維、フィルム、およ
び成形材料として好適なポリ乳酸の製造方法に関する。
酸を原料とするため、従来の石油由来の合成ポリマーに
対して地球資源保護の点から注目されている。また、ポ
リ乳酸は比較的容易に加水分解され、自然界に広く存在
し、動植物に対して無害な乳酸となり、最終的には代謝
あるいは微生物分解によって二酸化炭素と水とに分解さ
れるため、生分解性材料としても注目されている。更に
近年は、特に生体に対する安全性が高いことから、医療
分野への応用が盛んに行われている。
マー化した後これを解重合して環状二量体であるラクチ
ドを単離し、このラクチドを開環重合させて得る方法が
知られている。この方法は、ラクチドの精製を充分に行
いさえすれば比較的容易に高分子量のポリ乳酸が得られ
るため、非常に有用な方法である。
ノマー(ラクチド)とポリマーとの間で重合平衡が存在
し、高温では平衡はモノマー側へ、低温ではポリマー側
へ移動することが知られている。従って、150℃以上
の高温で重合を行った場合に、モノマーが完全になくな
ることはなく、重合生成物中にラクチドが残留すること
は避けられない。また、120℃未満の低温で重合を行
った場合は、モノマーは完全になくなるが、高分子量の
ポリ乳酸を得るためには反応時間を非常に長くしなけれ
ばならないといった問題点がある。
ては、特開平5−255488号公報に開示された方法
が知られている。この方法は、粉末又は粒子形で且つ結
晶化度が10%以上の低分子量ポリ乳酸を、そのガラス
転移点より高い温度で且つ融解温度よりは低い温度で加
熱することによりポリ乳酸の分子量を向上させるもので
ある。しかしながら、その結果得られたポリ乳酸の分子
量は高々5万程度であり、またその原料も形状や結晶化
度等の制限があるため適用範囲が限られている。
問題点に鑑み鋭意研究した結果、本発明を完成したもの
であって、本発明の目的とするところは、ポリ乳酸の新
規な製造方法を提供するにあり、更に詳しくは平均分子
量が10万以上で且つ残存するラクチドの量が1重量%
未満であるポリ乳酸の製造方法を提供するにある。
はD−ラクチドからなる重合原料をスズ化合物の存在下
で開環重合することによりポリ乳酸を製造するに際し、
重合原料であるL−又はD−ラクチドの光学純度が97
%以上であり、120℃〜200℃の温度で重合させて
重合生成物を得る第一工程と、該第一工程より低温で且
つ110℃〜140℃の温度範囲に前記重合生成物を保
持する第二工程とからなり、無水雰囲気下で行うことを
特徴とするポリ乳酸の製造方法によって達成される。
環重合させ、高分子量のポリ乳酸を生成させる工程であ
る。従って、第一工程における終点はポリ乳酸の分子量
が所望の分子量に達した時点である。ポリ乳酸は一般に
その重量平均分子量が10万以上の場合、繊維あるいは
成形品としたときに良好な物性を得ることができる。上
記工程で得られる重合生成物に対してはそれ以外の制限
は全くなく、その形状、結晶化度を問うことはない。
度範囲で行うことが必須条件である。120℃より低い
温度で重合を行うと、高分子量のポリ乳酸を得るために
非常に長時間を必要とし、また、重合速度を向上させる
ために触媒量を増やせば高分子量ポリ乳酸は得られなく
なってしまう。また、200℃より高い温度で重合を行
えば、速やかに高分子量のポリ乳酸を得ることができる
ものの、副反応生成物の量が増加し、ポリ乳酸の収率が
低下することがある。
に限定されるものではないが、例えば攪拌装置と加熱機
構とを備えたバッチ式反応容器、あるいはエクストルー
ダータイプの連続式反応装置等を挙げることができる。
ただし、第一工程における重合反応は水分の存在によっ
て著しく阻害されるため、重合原料及び重合生成物は常
に無水雰囲気下に保つことが好ましい。無水雰囲気を保
つ方法としては、系を減圧状態にする、不活性ガスある
いは乾燥空気でシールするなどの方法が考えられる。
工程へ移行させる方法は、特に限定されるものではない
が、その間も重合生成物は無水雰囲気下にあることが好
ましい。従って、例えば不活性ガスあるいは減圧下でシ
ールされたバッチ式反応容器中で第一工程を行った場合
には、重合生成物を反応容器外に取り出さず、そのまま
温度条件だけを変更して第二工程を行うのが望ましい。
また、連続式反応装置で第一工程を行った場合には、そ
の取り出し口から第二工程へ無水雰囲気下で直接移送す
るか、あるいは取り出した後無水雰囲気下で貯蔵し、し
かる後第二工程に移すという方法を挙げることができ
る。
られた重合生成物中の残存ラクチドを低減させる工程で
あり、その終点とするところは残存するラクチドの量が
1重量%未満となった時点である。同工程では重合生成
物中のポリマー成分が徐々に結晶化し、その結果、残存
ラクチド及び触媒がアモルファス部分に濃縮されること
により効率良くラクチドが重合すると考えられる。
リ乳酸の結晶化が進行する110℃〜140℃の範囲で
あることが必須である。110℃より低い温度ではポリ
マーの結晶化が十分に進行しないためラクチドの重合反
応効率が低く、該工程終了まで長時間が必要となり経済
的に不利である。また、140℃より高い温度でも結晶
化は進行せず、更に前述したようにモノマーとポリマー
との重合平衡のため、ラクチド量の低減効果が殆ど得ら
れない。更に、第二工程の温度は第一工程よりも低温と
する必要がある。例えば第一工程をその温度条件の下限
である140℃で行い、第二工程をその温度条件の上限
である140℃で行うとポリマーの結晶化が進まないた
め、ラクチド量の低減速度は非常に小さくなってしま
う。従って本発明の方法においては、第一工程と第二工
程とに温度差を設けることが重要なポイントである。
の工程と同様に無水雰囲気下で行うのが好ましい。以上
の条件を満たしていさえいれば、その方法については何
等制限を加えるものではない。一例を挙げれば、第一工
程終了後の重合生成物をチップ状にして取り出した物
を、縦形円筒状装置の上部から充填し、下部より加熱窒
素ガスを送入して反応を進行させ、下部より順次生成物
を取り出すというような機構が工業上は有用である。
に乳酸をオリゴマー化したのち解重合することによって
得られる乳酸の環状二量体である。乳酸には発酵に用い
た菌の種類によってL−乳酸とD−乳酸とが存在し、そ
れに伴ってラクチドにもL−ラクチドとD−ラクチドと
が存在する。本発明に用いるラクチドの光学純度は、好
ましくは97%以上、より好ましくは98%以上、更に
好ましくは99%以上である。すなわち、例えばL−ラ
クチドが主成分の場合、好ましくは全ラクチド中に含ま
れるL−ラクチドの量が98.5%以上でD−ラクチド
の量が1.5%以下である。ラクチドの光学純度が97
%未満の場合は、本発明の第二工程におけるポリマーの
結晶化が十分に進行せず、その結果ラクチドの重合速度
が低下したり、ラクチドの低減効果を得られないことが
ある。
スズ、あるいは有機スズ等を挙げることができる。具体
的には、無機スズとしては金属スズ、酸化スズ、塩化第
一スズ、塩化第二スズ、臭化第一スズ、臭化第二スズ、
硫酸スズ、酢酸スズ、乳酸スズ、しゅう酸スズ、2−エ
チルヘキサン酸スズ等を、有機スズとしては酸化ジブチ
ルスズ、二塩化ジブチルスズ、マレイン酸ジブチルスズ
等を挙げることができ、就中2−エチルヘキサン酸スズ
が溶融ラクチドへの溶解性、重合触媒活性、低毒性など
から特に好適であるが、これらに限定されるものではな
く、場合によっては他の金属化合物と併用することも可
能である。
の重合触媒としての活性及び分子量が異なるため一概に
は決定できないが、添加量が多過ぎると重合速度は大き
くなるが重合生成物の分子量は小さくなりがちであり、
一方少な過ぎると重合速度が小さくなるという傾向は共
通のものである。例えばスズ化合物として2−エチルヘ
キサン酸スズを触媒として用いた場合、ラクチドに対す
る添加量は好ましくは0.001〜3重量%、更に好ま
しくは0.01〜1重量%である。
らず、乳酸を主成分とする各種コポリマーを製造する場
合にも適用が可能である。即ち、他のモノマーを共重合
させることにより、得られるポリ乳酸の結晶性を調節し
たり、熱流動性を改良したりすることが可能になる。そ
の様なモノマーとしてはポリアルキレングリコール、多
価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクトン、ラク
タム、環状カーボネート等を挙げることができるが、特
にこれらに限定されるものではなく、ポリ乳酸とコポリ
マーを形成しうるものならどのようなモノマーでも使う
ことができる。ポリアルキレングリコールとしては、例
えばエチレングリコール、プロピレングリコール等の単
独重合体およびこれらの共重合体等を、多価アルコール
としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、
ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロール
プロパンを、ヒドロキシカルボン酸としてはグリコール
酸、3−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ吉草酸等を、
ラクトンとしてはγ−ブチロラクトン、δ−バレロラク
トン、ε−カプロラクトン、グリコライド等を、ラクタ
ムとしてはγ−ブチロラクタム、δ−バレロラクタム、
ε−カプロラクタム等を、環状カーボネートとしてはト
リメチレンカーボネート等を挙げることができるが、こ
れらに限定されるものではない。
その前に本明細書における種々の特性値の測定法を記述
する。
し、GPCにて測定し求めた。溶離液としてクロロホル
ムを用い、分子量較正曲線は標準物質としてポリスチレ
ンを用いて測定し作成した。
(%)は、該重合生成物の 1H−NMRスペクトルから
次式により定量した。すなわち、 LR(%)=(S1 /(S1 +S2 ))×100 式中、S1 はδ値が5.0〜5.1ppmのピーク面積
(ラクチドの−CH−に帰属)であり、S2 はδ値が
5.1〜5.3ppmのピーク面積(ポリ乳酸の−CH
−に帰属)である。ただし、ラクチド量が1%未満の場
合は、この方法では正確な定量が不能なため、表中には
1>と記した。
ム(原料ラクチド10g当たり50ml)に溶解し、こ
れをメタノール(同500ml)に滴下、析出してくる
ポリ乳酸を単離、その重量(W1 )と原料ラクチド重量
(W2 )から求めた。すなわち、 ポリマー収率(%)=(W1 /W2 )×100
9.0%、PURAC社製)1.0gと、オクチル酸ス
ズ0.0028g(0.28重量%)とを試験管中に投
入し、減圧下で試験管の口をガスバーナーで加熱熔融し
て封管を得た。この封管を140℃に調節したオイルバ
ス中で1時間反応させたのち取り出し、次に120℃に
調節したオイルバスで9時間反応させた。得られた重合
生成物の性状は表1に示す通りであり、高分子量で且つ
モノマー含有量の低いポリ乳酸が得られた。
た封管を170℃のオイルバス中で1時間、次いで14
0℃のオイルバス中で9時間反応させた。得られた重合
生成物の性状は表1に示す通りであり、高分子量で且つ
モノマー含有量の低いポリ乳酸が得られた。
た封管を200℃のオイルバス中で1時間、次いで14
0℃のオイルバス中で9時間反応させた。得られた重合
生成物の性状は表1に示す通りであり、高分子量で且つ
モノマー含有量の低いポリ乳酸が得られた。
た封管を130℃のオイルバス中で1時間、次いで12
0℃のオイルバス中で9時間反応させた。得られた重合
生成物の性状は表1に示す通りであり、第一工程の温度
が低いため高分子量のポリ乳酸は得られなかった。
た封管を140℃のオイルバス中で1時間、次いで10
0℃のオイルバス中で9時間反応させた。得られた重合
生成物の性状は表1に示す通りであり、第二工程の温度
が低いため十分にラクチドが重合されなかった。
た封管を170℃のオイルバス中で1時間、次いで15
0℃のオイルバス中で9時間反応させた。得られた重合
生成物の性状は表1に示す通りであり、第二工程の温度
が高いためポリマーの結晶化が進行せずにラクチドの残
存量が多かった。
た封管を210℃のオイルバス中で1時間、次いで14
0℃のオイルバス中で9時間反応させた。得られた重合
生成物の性状は表1に示す通りであり、第一工程の温度
が高いため副反応物量が増加し、ポリマーの収率が低下
した。
た封管を140℃のオイルバス中で1時間、次いで14
0℃のオイルバス中で9時間反応させた。得られた重合
生成物の性状は表1に示す通りであり、第一工程と第二
工程の温度が等しいためポリマーの結晶化が十分に進行
せず、ラクチドの残存量が多かった。
98.0%のものを用いた以外は実施例1と同様にして
重合を行った。得られた重合生成物の性状は表2に示す
通りであり、実施例1と同様に高分子量で且つ低ラクチ
ド含有量のポリ乳酸が得られた。
で用いたのと同様のL−ラクチドを95重量%用い、併
用する共重合モノマーとして、ポリエチレングリコール
(PEG6000)、グリセリン、4−ヒドロキシブチ
ル酸、ε−カプロラクトン、またはトリメチレンカーボ
ネートを各々5重量%用いた以外は、実施例1と同様に
して重合を行った。得られた重合生成物の性状は表3に
示す通りであり、実施例1と同様に高分子量で且つラク
チド含有量の低いポリ乳酸が得られた。
化合物の存在下で開環重合するため、重量平均分子量が
10万以上のポリ乳酸を得ることができ、また残存する
モノマー量を1%未満と極めて少なくすることができ
る。このため、本発明の方法で得られたポリ乳酸を紡
糸、成形など熱熔融加工した場合に、ラクチドが殆どな
く、また繊維及び成形品中にラクチドが殆ど混入するこ
とがない。したがって、本発明の方法で得られたポリ乳
酸は、衣料用、医療材料用、産業資材用に用いる繊維、
フィルム、及び成形材料として極めて好適である。
Claims (2)
- 【請求項1】 L−又はD−ラクチドからなる重合原料
をスズ化合物の存在下で開環重合することによりポリ乳
酸を製造するに際し、重合原料であるL−又はD−ラク
チドの光学純度が97%以上であり、120℃〜200
℃の温度で重合させて重合生成物を得る第一工程と、該
第一工程より低温で且つ110℃〜140℃の温度範囲
に前記重合生成物を保持する第二工程とからなり、無水
雰囲気下で行うことを特徴とするポリ乳酸の製造方法。 - 【請求項2】 重合原料中に、ポリアルキレングリコー
ル、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクト
ン、ラクタムおよび環状カーボネートよりなる化合物群
から選ばれた少なくとも一種の化合物を配合することを
特徴とする請求項1に記載のポリ乳酸の製造方法。
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JP14528295A JP3537542B2 (ja) | 1995-05-18 | 1995-05-18 | ポリ乳酸の製造方法 |
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CN105985517B (zh) * | 2015-02-03 | 2019-01-15 | 深圳光华伟业股份有限公司 | 一种低酸值聚乳酸多元醇的制备方法 |
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1995
- 1995-05-18 JP JP14528295A patent/JP3537542B2/ja not_active Expired - Fee Related
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