JP4472178B2 - キメラアデノウイルス - Google Patents
キメラアデノウイルス Download PDFInfo
- Publication number
- JP4472178B2 JP4472178B2 JP2000559250A JP2000559250A JP4472178B2 JP 4472178 B2 JP4472178 B2 JP 4472178B2 JP 2000559250 A JP2000559250 A JP 2000559250A JP 2000559250 A JP2000559250 A JP 2000559250A JP 4472178 B2 JP4472178 B2 JP 4472178B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- adenovirus
- cells
- serotype
- chimeric
- adenoviruses
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12N—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
- C12N15/00—Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
- C12N15/09—Recombinant DNA-technology
- C12N15/63—Introduction of foreign genetic material using vectors; Vectors; Use of hosts therefor; Regulation of expression
- C12N15/79—Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts
- C12N15/85—Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts for animal cells
- C12N15/86—Viral vectors
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P37/00—Drugs for immunological or allergic disorders
- A61P37/02—Immunomodulators
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C07—ORGANIC CHEMISTRY
- C07K—PEPTIDES
- C07K14/00—Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
- C07K14/005—Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from viruses
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12N—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
- C12N2710/00—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA dsDNA viruses
- C12N2710/00011—Details
- C12N2710/10011—Adenoviridae
- C12N2710/10311—Mastadenovirus, e.g. human or simian adenoviruses
- C12N2710/10322—New viral proteins or individual genes, new structural or functional aspects of known viral proteins or genes
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12N—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
- C12N2710/00—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA dsDNA viruses
- C12N2710/00011—Details
- C12N2710/10011—Adenoviridae
- C12N2710/10311—Mastadenovirus, e.g. human or simian adenoviruses
- C12N2710/10341—Use of virus, viral particle or viral elements as a vector
- C12N2710/10344—Chimeric viral vector comprising heterologous viral elements for production of another viral vector
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12N—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
- C12N2760/00—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA ssRNA viruses negative-sense
- C12N2760/00011—Details
- C12N2760/20011—Rhabdoviridae
- C12N2760/20111—Lyssavirus, e.g. rabies virus
- C12N2760/20134—Use of virus or viral component as vaccine, e.g. live-attenuated or inactivated virus, VLP, viral protein
Landscapes
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Genetics & Genomics (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
- General Health & Medical Sciences (AREA)
- Biochemistry (AREA)
- Biophysics (AREA)
- Zoology (AREA)
- Wood Science & Technology (AREA)
- General Engineering & Computer Science (AREA)
- Biotechnology (AREA)
- Biomedical Technology (AREA)
- Virology (AREA)
- Molecular Biology (AREA)
- Medicinal Chemistry (AREA)
- Plant Pathology (AREA)
- Microbiology (AREA)
- Immunology (AREA)
- Gastroenterology & Hepatology (AREA)
- Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
- Physics & Mathematics (AREA)
- Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
- Public Health (AREA)
- General Chemical & Material Sciences (AREA)
- Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
- Veterinary Medicine (AREA)
- Animal Behavior & Ethology (AREA)
- Pharmacology & Pharmacy (AREA)
- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
- Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)
- Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
- Peptides Or Proteins (AREA)
- Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
Description
本発明は分子遺伝学と医学の分野に関する。具体的には本発明は遺伝子治療の分野に関し、より具体的にはウイルス、とりわけアデノウイルスを用いる遺伝子治療に関する。
【0002】
遺伝子治療では、宿主細胞に、該細胞中の遺伝子欠損を矯正(補足)するため、または該細胞中の望ましくない機能を阻害するため、または該宿主細胞を排除するために、遺伝情報が送達される。もちろんその遺伝情報は、その宿主細胞に望ましい機能を付与すること、例えば分泌タンパク質を供給してその宿主の他の細胞を処理することなどを意図するものであってもよい。
【0003】
したがって遺伝子治療には基本的に3つの異なるアプローチがあり、その一つは(哺乳類)宿主中に存在する欠損を補償することを目指すもの、第二のアプローチは望ましくない物質(生物または細胞)の除去または排除を目指すもの、そして第三のアプローチは細胞に望ましい機能を付与することを目指すものである。
【0004】
遺伝子治療用には、宿主に遺伝子を送達するための好適な媒体として、アデノウイルスが提案されている。アデノウイルスに由来する遺伝子導入ベクター(いわゆるアデノウイルスベクター)は、遺伝子導入にとってとりわけ有用なものにする多くの特徴を有する。すなわち、1)アデノウイルスの生物学は詳細に特徴づけられており、2)アデノウイルスは重篤なヒトの病理に関係せず、3)該ウイルスは極めて効率よくそのDNAを宿主細胞に導入し、4)該ウイルスは多種多様な細胞に感染可能で、広い宿主域を持ち、5)該ウイルスは高いウイルス力価で大量に生産することができ、ならびに6)該ウイルスはそのウイルスゲノムの初期領域1(E1)の欠失によって複製欠損性にすることができる(ブロディ(Brody)ら、1994年)。しかしアデノウイルスベクターの使用には、今なお、不都合が伴う。一般にアデノウイルス、とりわけ、よく研究された血清型は、通常、それらが導入された宿主による免疫応答を誘発する。また該ウイルスは概して広い感染域を持つが、一定の細胞および組織を標的とするには問題がある。またアデノウイルスの複製とその他の機能は、追加の遺伝物質を提供し得る細胞にとって、常に極めて適しているとは限らない。
【0005】
アデノウイルスゲノムは約36000塩基対の線状二本鎖DNA分子である。アデノウイルスDNAは約90〜140塩基対の同一な逆方向末端反復配列(ITR)を含有し、その正確な長さは血清型に依存する。ウイルス複製起点は、まさにそのゲノム末端にあるITRに含まれる。遺伝子治療で現在使用されている大半のアデノウイルスベクターはE1領域に欠失を持ち、そこに新しい遺伝情報を導入され得る。E1欠失はその組換えウイルスを複製欠損性にする(レブロ(Levrero)ら、1991年)。組換えアデノウイルス、とりわけ血清型5は、動物モデルと免疫不全マウス中のヒト異種移植片で、肝臓、気道上皮および充実性腫瘍への効率のよいインビボ遺伝子導入に好適であることが広く証明されている(ボウト(Bout)、1996年;ブラエセ(Blaese)ら、1995年)。このように、標的細胞への好ましいインビボ遺伝子導入法には、アデノウイルスベクターが遺伝子送達媒体として利用される。
【0006】
現在、ヒトアデノウイルスには、全部で51種類のアデノウイルス血清型を包含する6つの亜群が提唱されている(表1参照)。これらのヒトアデノウイルスの他に、多数の動物アデノウイルスが同定されている(イシバシ(Ishibashi)ら参照、1983年)。
【0007】
血清型は、動物抗血清(ウマ、ウサギ)を用いた定量的中和によって決定されるその免疫学的弁別性に基づいて定義される。中和が2つのウイルス間で一定程度の交差反応を示す場合、血清型の弁別性がA)赤血球凝集阻害における交差反応の欠如によって示されるように赤血球凝集素が無関係である、またはB)DNA中に実質的な生物物理学的/生化学的相違が存在するならば、血清型の弁別性が想定される(フランキイ(Francki)ら、1991年)。最後に同定された9つの血清型(42〜51)はHIV感染患者から初めて単離された(ハイアホルザー(Hierholzer)ら、1988年;シュヌル(Schnurr)ら、1993年;デ ジョング(De Jong)ら、1998年)。理由はよくわからないが、それら免疫無防備な患者の大半は、免疫能を持つ個体からはめったに、または決して単離されないアデノウイルスを排出した(ハイアホルザー(Hierholzer)ら、1988年、1992年;ホー(Khoo)ら、1995年;デ ジョング(De Jong)ら、1998年)。
【0008】
様々なアデノウイルス血清型の中和抗体に対する感受性に関する相違の他に、Ad2やAd5などのC亜群のアデノウイルスは、Ad3などのB亜群のアデノウイルスと比べて異なる受容体に結合する(デファー(Defer)ら、1990年)。同様に、受容体特異性はAd3をAd5ノブタンパク質と交換することによって改変させることができ、逆もまた同様であることが実証された(ケラスニク(Krasnykh)ら、1996年;スティーベンソン(Stevenson)ら、1995年、1997年)。遺伝子治療用としてはアデノウイルス血清型5がもっとも広く使用されている。血清型2、4および7と同様に、血清型5は肺上皮およびその他の呼吸組織と本来の関係を有する。一方、例えば血清型40および41は、胃腸路と本来の関係を有することが知られている。様々なアデノウイルス血清型の疾患との関係に関する詳細な全体像については表2を参照されたい。前述した血清型は、少なくともキャプシドタンパク質(ペントン−ベース、ヘキソン)、細胞結合を担うタンパク質(ファイバータンパク質)、アデノウイルス複製に関与するタンパク質が相違する。
【0009】
したがって、アデノウイルス遺伝子治療の主な課題の一つは、前述した血清型がいずれも追加の遺伝物質を宿主細胞に送達するのに理想的に適しているわけではないことである。あるものは宿主域に多少の制約があるが、免疫原性が低いという利点を持ち、あるものはその逆である。あるものはビルレンスが制限されているという問題はあるが、宿主域が広いか、かつ/または、免疫原性が低い。さらに複雑なことに、アデノウイルス血清型におけるこのバリエーションは処理される宿主にも著しく依存する。一部の宿主は一定の血清型に既に遭遇していて、したがってその血清型または関連する血清型に対して強い免疫応答をマウントし得る。この点については多くの他のバリエーションがあることが当業者には知られている。
【0010】
そこで本発明は、一部のアデノウイルスが他のアデノウイルスよりも低い免疫原性を持ち、それら他のアデノウイルスが、例えば一定の宿主細胞グループに対する高い特異性、それら宿主細胞における良好な複製機構、一定の宿主細胞における高い感染率などといった、効率のよい遺伝子治療方式に対する他の要件の一つについて通例、優れているという事実を利用する。すなわち本発明は、血清型が異なる少なくとも2つのアデノウイルスの有用な特性をもつキメラアデノウイルスを提供するものである。
【0011】
通例、宿主細胞に追加物質を効率よく導入できるアデノウイルスを得るには、上記の網羅的ではないリストのうちの2つをこえる必要条件が要求され、したがって本発明は、キメラアデノウイルスを発現させうるベクターを得るために、必要な部位に異なるアデノウイルス血清型由来の異なるアデノウイルス遺伝子を挿入するためのカセットとして使用できるアデノウイルス由来のベクターを提供するものであり、それによって当然、目的の遺伝子を、例えばそのベクターが由来する元のアデノウイルスのE1の部位に挿入することもできる。生産されるキメラアデノルイスは、この方法により、一定の障害に関して遺伝子治療を必要をする一定の宿主の要求と必要に適合させることができる。もちろん、この産生を可能にするには、十分量の安全なキメラアデノウイルスを生産するべく、一般的にはパッケージング細胞が必要になる。
【0012】
すなわち一態様として本発明は、望ましい宿主域および/または改善された複製特性を持つキメラウイルスを与える、あるアデノウイルス血清型のファイバータンパク質および/または複製に関与するタンパク質の少なくとも一部と、抗原性の低いキメラタンパク質をもたらす抗原性の低いもう一つのアデノウイルス血清型に由来するペントンまたはヘキソンタンパク質の少なくとも一部とからなるキメラアデノウイルスを提供する。通例、そのようなウイルスはベクター(通例、プラスミド、コスミドまたはバキュロウイルス系)を用いて生産され、もちろんそれらのベクターも本発明の一部である。好ましいベクターは、処理される宿主と処理される障害にとくに適合したキメラ組換えウイルスを作成するために使用できるベクターである。そのようなベクターは本発明のもう一つの態様である。したがって本発明は、少なくとも一つのITRとパッケージングシグナルとからなり、目的の核酸配列用の挿入部位を持ち、さらに第一の血清型のアデノウイルスのペントンおよび/またはヘキソンタンパク質をコードする遺伝子を機能的に挿入するための挿入部位を持ち、また血清型が異なる第二のアデノウイルスのファイバータンパク質をコードする遺伝子用の挿入部位および/またはその遺伝子またはその産物によって実行される機能に改善された特徴を持つ血清型に由来する遺伝子用の挿入部位を持つ、アデノウイルス由来の組換えベクターも提供する。通例、本発明は、任意の望ましいキメラアデノウイルスの生産を可能にするカセットを提供するものであり、それは2つの血清型だけに由来するか、または望ましい特徴を得るために必要な数の血清型に由来するものであるが、個別の性質としてみたときに全ての特徴が最善であることが常に必要なわけではない。さらには例えばペントンおよび/またはヘキソンをアデノウイルス遺伝子のもう一つの部分と一緒に常に改変することは必要でないかもしれない。免疫原性を他の性質と一緒に改変させる必要がない場合もある。しかし、免疫原性が低いアデノウイルス血清型由来のペントンおよび/またはヘキソン遺伝子を使用することが好ましい。本発明の重要な特徴はキメラウイルスを生産するための手段である。通例、複製能を持つアデノウイルスを含有する宿主細胞に投与されるアデノウイルスのバッチは望まれないが、常にあてはまるとは限らない。したがって一般的には、キメラウイルスをコードするベクター上のアデノウイルスゲノムから多くの遺伝子(ただし少なくとも一つ)を削除し、そのベクターにキメラアデノウイルスを生産させる細胞のゲノムに、それらの遺伝子を供給することが望ましい。このような細胞は通常、パッケージング細胞と呼ばれる。したがって本発明は、アデノウイルスの生産に必要であり、かつ本発明のアデノウイルスベクター上に存在しない全ての構成要素をトランスに含む、本発明のキメラアデノウイルス生産用のパッケージング細胞をも提供する。通例、ベクターとパッケージング細胞は、それらが必要な構成要素を全て持つが、組換えによって複製能を持つウイルスを生じさせるオーバーラップ構成要素は持たないという点で、互いに適合している必要がある。
【0013】
したがって本発明は、本発明のパッケージング細胞と本発明の組換えベクターとからなる部分のキットも提供し、該キットにより該細胞と該ベクターの間に複製能を持つアデノウイルスの産生をもたらす組換えにつながる配列の重複は本質的にない。
【0014】
ウイルスベクターを精密に適合させ、望ましい性質をキメラウイルスに自由に与えることができるために、アデノウイルス遺伝子が制限部位内に配置されたアデノウイルス遺伝子のライブラリーを用意することが好ましい。通例、異なる血清型の同じ種類の遺伝子が同じ制限部位内にあり、キメラウイルスの産生に使用されるアデノウイルスベクター中にそれと同じ制限部位があることが好ましい。異なる遺伝子に関する部位がすべてただ1つである場合は、そこから拾い上げ選択するためのシステムが作られている。ライブラリーから望ましい血清型に由来するペントン遺伝子を切り出し、それをベクター中の同じ部位に挿入することができる。つぎに、異なる制限酵素を使ってもう一つの制限酵素を用いた異なる血清型のバンクから複製遺伝子を切り出し、その遺伝子をキメラベクター中の対応する制限部位に挿入できる。したがって、挿入部位が異なり、好ましくはただ1つの制限部位であるような本発明ベクターを得ることが好ましい。好ましくはこのベクターを、同じ制限部位内に対応する遺伝子を持つライブラリーと組み合わせる。このライブラリーとベクターの使用法は当分野の技術に含まれ、本発明の一部である。通例、そのような方法はいくつかの制限消化段階と連結反応段階およびその産物のパッケージング細胞における発現からなる。また、相同組換えまたは制限消化と組換えの組み合わせによって、そこから様々な望ましいアデノウイルス遺伝子が得られるようなライブラリーを使用することもできる。したがって本発明は望ましい宿主域と減少した抗原性とを持つキメラアデノウイルスを生産する方法であって、望ましい挿入部位を持つ本発明のベクターを用意し、そのベクターに、比較的低い抗原性を持つアデノウイルス血清型に由来するペントンまたはヘキソンタンパク質の少なくとも機能的部分を挿入し、望ましい宿主域を持つアデノウイルス血清型に由来するファイバータンパク質の少なくとも機能的部分を挿入し、そのベクターを本発明のパッケージング細胞に導入し、キメラウイルス粒子を生産させることからなる方法を提供する。もちろん、異なる血清型に由来する他のウイルス遺伝子の他の組合せも本明細書で先に開示されたのように挿入できる。典型的に起こるアデノウイルスに対する免疫原性反応は、宿主による中和抗体の産生である。通例これが、免疫原性の低い血清型のペントン、ヘキソンおよび/またはファイバーを選択する理由である。
【0015】
もちろん、様々な血清型に由来する完全なタンパク質を持つキメラアデノウイルスを作成する必要はないだろう。キメラタンパク質を生産することは当分野の技術内で十分であり、例えばファイバータンパク質の場合であれば、それがある血清型のベースを持ちもう一つの血清型に由来するシャフトとノブを持つことは十分可能である。この方法で、ウイルス粒子の組立を担うタンパク質の各部分を、一つの血清型に由来させて、完全なウイルス粒子の生産を促進することが可能になる。
【0016】
このように本発明は、ヘキソン、ペントンおよび/またはファイバータンパク質が異なるアデノウイルス血清型に由来するキメラタンパク質である本発明のキメラアデノウイルスをも提供する。野生型ヘキソン、ペントン、ファイバー(タンパク質)遺伝子などの全体またはそれらの一部を交換することによってキメラアデノウイルスを生成させることの他に、温度安定性、組立、固定、リダイレクトされた(redirected)感染、変化した免疫応答などの好ましい特徴について容易にスクリーニングできる点突然変異、欠失、挿入などの突然変異を持つヘキソン、ペントン、ファイバー(タンパク質)遺伝子などを挿入することも、本発明の範囲に含まれる。ここでも、他のキメラ的組み合わせを作ることもでき、それらも本発明の範囲に含まれる。
【0017】
様々な血清型に由来する核酸ライブラリーを利用できることは、なかんずく、キメラアデノウイルスライブラリーの作成を可能にする。したがってさらに本発明はキメラアデノウイルスのライブラリーも提供する。一態様として、本発明は、キメラキャプシド、すなわち、少なくとも一部が、少なくとも2種類のアデノウイルス血清型に由来するキャプシドタンパク質からなるキメラアデノウイルスのライブラリーを提供する。好ましくは、各アデノウイルス亜群の少なくとも一つの代表的アデノウイルスから得られる核酸および/またはタンパク質もしくはその一部が、該(キメラ)アデノウイルスライブラリーに含まれる。好ましくは、核酸および/またはタンパク質もしくはその一部が2以上の代表的な各アデノウイルス亜群に由来する。最も好ましくは、該ライブラリーが基本的に全て既知の代表的な各アデノウイルス亜群から得られる核酸および/またはタンパク質もしくはその一部からなる。望ましい特性はある亜群の一般的性質ではないかもしれないため、該(キメラ)ライブラリー中の各アデノウイルス亜群から2以上の代表的なアデノウイルスに由来する核酸および/またはタンパク質もしくはその一部が望ましい。また、あるアデノウイルス亜群の望ましい性質は、その亜群の様々なメンバーにおいて様々な量で発現され得る。2以上の代表的なある亜群が確実にそのライブラリーに含まれるようにすることによって、望ましい特性を最もよく発現させるものの選択が保証される。
【0018】
通例、キメラアデノウイルスのライブラリーまたはその一部は、該キメラアデノウイルスの性質を決定するためのスクリーニング検定に使用される。それにより、とりわけ望ましい諸性質からなる任意の特定キメラアデノウイルスを同定し、ついでそれを例えば改良された核酸送達媒体の開発などに使用することができる。該キメラアデノウイルスライブラリーをスクリーニングされ得る望ましい性質には、例えば標的細胞特異性、低下した免疫原性、増加した免疫原性、リダイレクトされた中和、リダイレクトされた赤血球凝集、向上した感染効率、低下した毒性、向上した複製および/またはインビボ投与時の組織分布の変化などの向上した薬物動態が含まれるが、これらに限らない。異なるキメラアデノウイルスの性質の比較は、その性質を持つアデノウイルスを与えるのに関与するアデノウイルス構成要素の概要説明につながり得る。ついで、このような知見は核酸送達媒体をさらに最適化するために使用され得る。一側面として本発明は、アデノウイルス5と比較してマクロファージまたは線維芽様細胞を形質導入する能力が向上している(キメラ)アデノウイルスの選択を提供するものであり、好ましくは該(キメラ)アデノウイルスはB亜群のアデノウイルスのファイバータンパク質もしくはそのファイバータンパク質の誘導体および/または類似体の組織向性決定部分の少なくとも一部からなる。さらに本発明は、アデノウイルス5と比較して平滑筋細胞を形質導入する能力が向上している(キメラ)アデノウイルスの選択を提供するものであり、好ましくは該(キメラ)アデノウイルスは、B亜群のアデノウイルスのファイバータンパク質もしくは該ファイバータンパク質の誘導体および/または類似体の組織向性決定部分の少なくとも一部からなる。さらに本発明のキメラアデノウイルスライブラリーは、アデノウイルスの生物学を研究するためにも使用できる。このようなライブラリーは、例えば様々なアデノウイルス血清型の生物学の相違を研究するのに大変適している。一側面として本発明はCAR陰性細胞を形質導入できる(キメラ)アデノウイルスの選択を提供するものである。該CAR陰性細胞は好ましくは羊水細胞またはその誘導体である。好ましくは該羊水細胞は絨毛膜絨毛細胞またはその誘導体である。該CAR陰性細胞は好ましくは赤血球前駆細胞および/または単球前駆細胞および/またはその誘導体などといったCAR陰性造血細胞であるがこれらに限らない。CAR陰性細胞を形質導入できる該(キメラ)アデノウイルスは、好ましくは、DまたはF亜群のアデノウイルス由来のファイバータンパク質の少なくともアデノウイルス受容体結合部分からなる。
【0019】
一側面として本発明は、アデノウイルス5と比較してリダイレクトされた中和パターンからなるキメラアデノウイルスを提供する。リダイレクトされた中和はいくつかの状況で有用である。例えばそのキメラアデノウイルスを投与された患者で既存の中和抗体を回避することなどであり、ただしこれらに限定されない。既存の中和抗体はアデノウイルスを中和し、それによって投与されたウイルスの有効量を減少させるだろう。通常、この効果は、例えば核酸を標的細胞に送達しようとする遺伝治療の状況では望ましくない。しかし例えば遺伝子治療の他の応用例で、該キメラアデノウイルスを使って送達される目的の核酸が全身の細胞にくまなく送達されるべきでない場合には、既存の中和抗体も有利でありうる。例えば固形組織に針を使って行なわれる局所的送達を、漏出したキメラアデノウイルスを中和できる血中の中和抗体の存在と組み合わせると、それは一定の領域に形質導入を封じ込めるのに役立ちうる。
【0020】
もう一つの側面として本発明は、アデノウイルス5と比較してリダイレクトされた赤血球凝集パターンからなるキメラアデノウイルスを提供する。リダイレクトされた赤血球凝集はいくつかの状況で有用である。赤血球凝集した物質は、マクロファージと誘導体および/または前駆体によって優先的に取り込まれる。したがってそれらのマクロファージへの核酸の送達を増進させることが望ましい場合には、キメラアデノウイルスの増進した赤血球凝集が好ましい。しかし一般的には標的細胞はそれらのマクロファージではなく、したがってそのような場合は、低下した赤血球凝集が望ましい。その赤血球凝集がリダイレクトされたキメラアデノウイルスは、当業者が現在思いつくことのできる数多くの応用に有用であり、したがって本発明の不可欠部分を形成する。
【0021】
[詳細な説明]
遺伝子治療の目的で組換えアデノウイルス血清型5を生体内で全身的に送達すると、そのウイルスの約99%は肝臓に補集されることがマウスで証明されている(ヘルツ(Herz)ら、1993年)。したがって生体内で他の器官を標的にできるようにアデノウイルス血清型5の宿主細胞域を改変することは、とくに他の改変、具体的には免疫原性の改変との組み合わせで、本発明の主な目的である。
【0022】
成功した感染の最初の段階はアデノウイルスによるその標的細胞への結合であり、この過程はファイバータンパク質によって媒介される。ファイバータンパク質は三量体構造を持ち(ストウテン(Stouten)ら、1992年)、その長さはウイルスの血清型によって異なる(シグナス(Signas)ら、1985年;キッド(Kidd)ら、1993年)。異なる血清型は、NおよびC末端は構造上類似するが中間のステム領域が異なるポリペプチドを持つ。N末端の最初の30アミノ酸はペントンベース、とくにテール中の保存されたFNPVYP領域(アルンベルグ(Arnberg)ら、1997年)へのファイバーの固定に関与する(クロボツェック(Chroboczek)ら、1995年)。C末端またはノブは細胞のアデノウイルス受容体との初期相互作用を担う。この初期結合のあと、キャプシドペントンベースと細胞表面インテグリンの間の二次的結合が被覆ピットにおけるウイルス粒子のインターナリゼーションとエンドサイトーシスをもたらす(モーガン(Morgan)ら、1969年;スベンソン(Svensson)ら、1984年;バルガ(Varga)ら、1992年;グレバー(Greber)ら、1993年;ウイックハム(Wickham)ら、1994年)。インテグリンは少なくとも14個のαサブユニットと8個のβサブユニットが同定されているαβヘテロ二量体である(ハイネス(Hynes)、1992年)。細胞中で発現される一連のインテグリンは複雑で、細胞型と細胞環境ごとに異なるだろう。ノブは保存された領域をいくつか含有するが、ノブタンパク質は血清型間で高度の可変性を示すことから、異なるアデノウイルス受容体の存在が示唆される。例えばC亜群のアデノウイルス(Ad2、Ad5)とB亜群のアデノウイルス(Ad3)は異なる受容体に結合することが証明されている(デフナー(Defner)ら、1990年)。ファイバータンパク質は型特異的なγ抗原も含有し、これはヘキソンのε抗原と共に血清型特異性を決定する。γ抗原はファイバー上に局在し、これは17アミノ酸からなることが知られている(エイツ(Eiz)ら、1997年)。したがって宿主の抗ファイバー抗体はノブの三量体構造に向けられる。抗ファイバー抗体はペントンベースおよびヘキソンタンパク質に対する抗体と共にアデノウイルス粒子の中和を担っている。まず抗ファイバー抗体がアデノウイルス粒子を脱外被させ、そのあと、ペントンベースが抗ペントンベース抗体に接近できるようになる(ガヘリー−セガード(Gahery-Segard)ら、1998年)。これは極めて効果的なアデノウイルス粒子の中和方法であるように思われるが、他の研究者はこれら粒子の中和には抗ヘキソン抗体が最も効果的だと述べている(ガル(Gall)ら、1996年)。
【0023】
組換えアデノウイルス血清型5のリダイレクトされた感染を得るには、いくつかの方法が過去に研究されており、あるいは今なお研究されている。ウイックハムらは、ペントンベースへのαvβ3およびαvβ5インテグリンの結合を担うと考えられているペントンベース中のRGD(Arg、Gly、Asp)モチーフを変化させた。彼らはこのRGDモチーフを、α4βl受容体に特異的なもう一つのペプチドモチーフで置換した。この方法により、アデノウイルスを特定の標的細胞にターゲッティングすることができた(ウイックハムら、1995年、1996年)。クラスニクらはノブ中にあるHIループを利用した。このループは、X線結晶学によれば、ノブ三量体構造の外側にあり、したがってノブにおける分子内相互作用には寄与しないと考えられる(クラスニクら、1998年)。しかし完全なCAR非依存的感染は観察されなかった。
【0024】
本発明の目的は、変化した免疫応答を伴うアデノウイルスまたは樹状細胞やマクロフージなどの抗原提示細胞における感染の欠失または低下を伴うアデノウイルスを構築する方法と手段を提供することである。本発明のさらなる目的は、インビトロで特定の細胞タイプにターゲッティングでき、またインビボで一定の細胞タイプに対して変化した向性を持つ、前述のようなキメラアデノウイルスの生成方法を提供することである。
【0025】
本発明のさらなる目的は、それらアデノウイルスを特定の細胞タイプまたは組織へのタンパク質または核酸送達媒体として使用できるようにする方法と手段を提供することである。
【0026】
修飾された後期遺伝子を持つアデノウイルス血清型5に基づくキメラアデノウイルスの生成について述べる。この目的のために、完全なアデノウイルス血清型5ゲノムをともに含有する3つのプラスミドを構築した。これらのプラスミドからアデノウイルス血清型5ペントンベースタンパク質、ヘキソンタンパク質およびファイバータンパク質をコードするDNAを除去し、クローニングを容易にするリンカーDNA配列で置換した。つぎにこれらのプラスミドを、異なるアデノウイルス、血清型(ヒトまたは動物)に由来するペントンベースタンパク質、ヘキソンタンパク質およびファイバータンパク質をコードするDNAを挿入するためのテンプレートとした。ポリメラーゼ連鎖反応法を(縮重)オリゴヌクレオチドと組み合わせて使用することにより、様々な血清型に由来するDNAを得た。アデノウイルス血清型5のゲノム中の元のE1位置には、任意の目的遺伝子をクローニングできる。3つのプラスミドを合わせて一度にトランスフェクションすることにより、組換えキメラアデノウイルスが形成した。キメラアデノウイルスからなるライブラリーのこの新しい技術は、このようにして、インビトロおよびインビボ遺伝子治療用の改良された組換えアデノウイルスベクターの迅速なスクリーニングを可能にする。
【0027】
アデノウイルス血清型5のファイバーとペントンベースに変異をうまく導入した例は報告されているが、ノブの複雑な構造と、CARと相互作用する正確なアミノ酸の知見が限られていることが、そのようなターゲッティング方法を面倒で困難なものにしている。前述の制約を克服するため、本発明者らは、他のアデノウイルス血清型に由来する既存のアデノウイルスファイバー、ペントンベースタンパク質およびヘキソンタンパク質を使用した。代替アデノウイルス血清型の構造タンパク質を含有するキメラアデノウイルス血清型5ライブラリーを作成することにより、本発明者らは、好ましい特徴を持つ組換えアデノウイルスベクターの迅速なスクリーニングを可能にする技術を開発した。
【0028】
一側面として本発明は、治療的応用のためにインビボで投与された組換えアデノウイルスに対する天然の現存するまたは誘導される中和性宿主活性を克服するために、キメラアデノウイルスを使用することについて述べる。この宿主免疫応答は主としてアデノウイルスのキャプシド中に存在するペントンベースとヘキソンタンパク質に向けられ、それより程度は低いがファイバーにも向けられる。
【0029】
アデノウイルス血清型は、動物血清中の中和抗体と交差反応できないことによって定義される。したがって例えばアデノウイルス血清型5に基づくがペントンベースタンパク質および/またはヘキソンタンパク質に関してキメラであるキメラウイルスは、変化した、重篤度の低い免疫応答を誘発する。このようなキメラアデノウイルスの必要性は、1)組換えアデノウイルス血清型5の反復した全身送達は、その組換えアデノウイルス血清型5に対して力価の高い中和抗体が生成するので成功しないという観察(シュリック(Schulick)ら、1997年)と、2)既存の免疫または自然免疫によって強調される。したがって本発明のこの側面は、遺伝子治療のためにアデノウイルスの投与を繰り返すことができないという問題を回避するものである。ペントンベース、ヘキソンおよびファイバータンパク質は、好ましくはBおよびD亜群のアデノウイルスに由来し、より具体的にはアデノウイルス血清型16、24、33、36、38、39、42および50のものである。その理由は、これらの血清型がヒトからはめったに単離されず、このことはこれらの血清型に対する中和抗体が低い抗体価で循環していることを示しているからである。
【0030】
もう一つの側面として本発明は、アデノウイルス血清型5とは異なる、変化した向性を持つキメラアデノウイルスと、それらウイルスの生成方法を記述する。例えばアデノウイルス血清型5に基づくが自然界に存在する任意のアデノウイルスファイバーを提示するウイルス。このキメラアデノウイルス血清型5はインビトロおよびインビボで一定の細胞タイプにアデノウイルス血清型5よりも高いまたは低い効率で感染できる。そのような細胞には内皮細胞、平滑筋細胞、樹状細胞、ニューロン細胞、グリア細胞、滑膜細胞、肺上皮細胞、造血幹細胞、単球/マクロファージ細胞などがあるが、これらに限らない。
【0031】
もう一つの側面として本発明は、静置または懸濁細胞培養中で向上したインビトロ増幅を示すキメラアデノウイルスを同定する方法を記述する。異なる亜群に由来するアデノウイルスは、一つの亜群内でもそうであるが、組換えアデノウイルスの生産に使用される細胞タイプでの産生性感染に高い可変性を示す。表2は様々なアデノウイルス血清型とそれらのヒト疾患との関係を概観したものであり、所与のアデノウイルス血清型の複製が一定の細胞タイプで増進されることを示している。遺伝子治療用の組換えアデノウイルスの生産にはいくつかの細胞株を利用できる。それらにはPER.C6、911、293およびE1 A549があるが、これらに限らない。これらのアデノウイルス産生細胞は、アデノウイルス血清型5系ウイルスの増幅に最も適した細胞タイプではないかもしれない。したがって、本発明のこの側面では、本発明者らは、様々な血清型に由来するアデノウイルスを、例えばPER.C6でのそれらの増殖能力に基づいて選択し、それらの初期遺伝子(E1を除く)とITRとを用いて、一般に使用されるアデノウイルス血清型2または5と比較して増殖の点で優れ、したがってより高い力価を与えるキメラウイルスを構築する。
【0032】
もう一つの側面として本発明は、1つ以上の遺伝子もしくは配列が代替のヒトまたは動物血清型に由来するDNAで置換されているアデノウイルス血清型5の別個の部分からなるライブラリーの構築と使用を記述する。全体として完全なアデノウイルスゲノムを包含するこの構築物のセットは、一定の患者群に、さらには一個体にカスタマイズされた独自のキメラアデノウイルスの構築を可能にする。
【0033】
本発明のいずれの側面においても、そのキメラアデノウイルスはE1領域中の欠失と、プロモーターに連結されたまたは連結されていない異種遺伝子の挿入とを含んでも含まなくてもよい。さらにキメラアデノウイルスは、E3領域中の欠失と、プロモーターに連結された異種遺伝子の挿入とを含んでも含まなくてもよい。さらにキメラアデノウイルスは、E2および/またはE4領域中の欠失と、プロモーターに連結された異種遺伝子の挿入を含んでも含まなくてもよい。後者の場合、組換えアデノウイルスを生成させるには、E2および/またはE4を相補する細胞株が必要である。
【0034】
実施例1:アデノウイルス血清型5ゲノムプラスミドクローンの作成
アデノウイルス血清型5ゲノムの各部分を容易に修飾できるように、アデノウイルス血清型5の全ゲノムを様々なプラスミドまたはコスミドにクローニングしたところ、まだ組換えウイルス産生能を保持していた。この目的のために、下記のプラスミドを作成した。
【0035】
1. pBr/Ad.Bam-rITR ( ECACC 受託物 P97082122 )
ITR配列の平滑末端クローニングを容易にするために、野生型ヒトアデノウイルス5型(Ad5)DNAを過剰のdNTPの存在下にクレノウ酵素で処理した。クレノウ酵素を不活化し、フェノール/クロロホルム抽出によって精製し、つぎにエタノール沈殿を行なったあと、そのDNAをBamHIで消化した。このDNA調製物をさらに精製することなく、つぎのように調製したpBr322由来のベクターDNAとの連結反応に使用した:pBr322 DNAをEcoRVとBamHIで消化し、TSAP酵素(ライフ テクノロジーズ社(Life Technologies))による処理で脱リン酸化し、LMPアガロースゲル(シープラークGTG(SeaPlaque GTG))で精製した。コンピテント大腸菌DH5a(Life Techn.)への形質転換とアンピシリン耐性コロニーの分析後に、Ad5中のBamHI部位から右ITRまで伸びるインサートに予想される消化パターンを示した一つのクローンを選択した。
【0036】
右ITRのクローニング境界の配列分析により、ITRの最も3′にあるG残基が欠落していることが明らかになり、ITRの残りの部分は正しいことがわかった。この欠落したG残基は複製中の他方のITRによって補われる。
【0037】
2. pBr/Ad.Sal-rITR ( ECACC 寄託物 P97082119 )
pBr/Ad.Bam-rITRをBamHIとSalIで消化した。アデノウイルスインサートを含むベクター断片をLMPアガロース(シープラークGTG)で単離し、野生型Ad5 DNAから得られる4.8kbのSalI-BamHI断片に連結し、ジーンクリーン(Geneclene)IIキット(バイオ101社(Bio 101))で精製した。一つのクローンを選択し、Ad5配列の完全性を制限酵素分析によって決定した。クローンpBr/Ad.Sal-rITRは、アデノ5型配列をbp16746にあるSalI部位からrITR(最も3′のG残基を欠くもの)まで含有する。
【0038】
3. pBr/Ad.Cla-Bam ( ECACC 寄託物 P97082117 )
野生型アデノ5型DNAをClaIとBamHIで消化し、その20.6kb断片を電気溶出法によってゲルから分離した。pBr322を同じ酵素で消化し、ジーンクリーンによってアガロースゲルから精製した。両断片を連結し、コンピテントDH5aに形質転換した。得られたクローンpBr/Ad.Cla-Bamを制限酵素消化によって分析したところ、bp919から21566までのアデノウイルス配列を持つインサートを含有することが明らかになった。
【0039】
4. pBr/Ad.AflII-Bam ( ECACC 寄託物 P97082114 )
クローンpBr/Ad.Cla-Bamを(pBr322中の)EcoRIで直鎖化し、AflIIで部分消化した。AflIIを65℃で20分間熱失活させたあと、その断片末端をクレノウ酵素で補充した。つぎにそのDNAをPacI部位を含有する平滑二本鎖オリゴリンカー(5′-AATTGTCTTAATTAACCGCTTAA-3′)に連結した。このリンカーはつぎの2つのオリゴヌクレオチド:5′-AATTGTCTTAATTAACCGC-3′と5′-AATTGCGGTTAATTAAGAC-3′をアニーリングさせたあと、クレノウ酵素で平滑末端化することによって作成した。連結したDNAを沈殿させて緩衝液を換えたあと、その連結物を過剰のPacI酵素で消化することにより、このオリゴのコンカテマーを除去した。bp3534から21566までのAd5配列とベクター配列とを含有する22016bpの部分断片をLMPアガロース(シープラークGTG)で単離し、再連結し、コンピテントDH5aに形質転換した。PacI部位を含有することが見出され、大きいアデノ断片を保持していた一つのクローンを選択し、その5′末端を配列決定することにより、(失われた)AflII部位にPacIリンカーが正しく挿入されていることを確かめた。
【0040】
5. pBr/Ad.Bam-rITRpac#2 ( ECACC 寄託物 P97082120 )と pBr/Ad.Bam-rITR#8 ( ECA CC 寄託物 P97082121 )
クローンpBr/Ad.Bam-rITR中のAd5のITR近くにPacI部位を挿入できるように、pBr322骨格中のClaI部位とITR配列の開始位置との間にある約190ヌクレオチドを除去した。これはつぎのように行なった:pBr/Ad.Bam-rITRをClaIで消化し、様々な時間(2分、5分、10分および15分)にわたってヌクレアーゼBal31で処理した。ヌクレオチド除去の程度は、同じ緩衝液と条件を用いてpBr322 DNA(やはりClaI部位で消化したもの)で行なった別個の反応によって追跡した。Bal31酵素を75℃で10分間のインキュベーションによって失活させ、DNAを沈殿させ、より少体積のTE緩衝液に再懸濁した。平滑末端を保証するために、そのDNAをさらに過剰のdNTPの存在下にT4 DNAポリメラーゼで処理した。(対照の)pBr322 DNAのSalIによる消化後に、10分または15分間処理した試料中に満足な分解(約150bp)が観察された。つぎに、10分または15分間処理したpBr/Ad.Bam-rITR試料を前述の平滑末端PacIリンカーに連結した(pBr/Ad.AflII-Bam参照)。連結物を沈殿によって精製し、過剰のPacIで消化し、LMPアガロースゲルでリンカーから分離した。再連結のあと、DNAをコンピテントDH5aに形質転換し、コロニーを分析した。ほぼ望ましい長さの欠失を示した10個のクローンを選択し、それらをTトラック配列決定によってさらに分析した(T7シークエンシングキット、ファルマシアバイオテク社(Pharmacia Biotech))。rITRのすぐ下流に挿入されたPacIリンカーを持つ2つのクローンが見つかった。PacIによる消化後に、クローン#2では28bpが、クローン#8では27bpがITRに結合している。
【0041】
pWE/Ad.AflII-rITR ( ECACC 寄託物 P97082116 )
コスミドベクターpWE15(クローンテック社(Clontech))を用いて、より大きいAd5インサートをクローニングした。まず、ただ1つのPacI部位を含有するリンカーをpWE15のEcoRI部位に挿入してpWE.pacを作成した。この目的のために、pBr/Ad.AflII-BamHIについて記述したような二本鎖PacIオリゴ、ただしそのEcoRI突出末端を持つものを使用した。つぎに下記の断片をアガロースゲルから電気溶出法によって単離した:PacIで消化したpWE.pac、PacIとBamHIで消化したpBr/AflII-Bam、BamHIとPacIで消化したpBr/Ad.Bam-rITR#2。これらの断片を合わせて連結し、1ファージパッケージングエキストラクツ(ストラタジーン社(Stratagene))を製造者のプロトコルに従って使用することによりパッケージングした。宿主細菌への感染後に、コロニーを平板上で生育し、完全なインサートの存在について分析した。pWE/Ad.AflII-rITRはbp3534(AflII部位)から右ITR(最も3′のG残基を欠くもの)までの全てのアデノウイルス5型配列を含有する。
【0042】
pBr/Ad.lITR-Sal ( 9.4 )( ECACC 寄託物 P97082115 )
アデノ5野生型DNAを過剰量のdNTPの存在下にクレノウ酵素で処理し、ついでSalIで消化した。それぞれ左ITR-Sal(9.4)およびSal(16.7)-右ITRと呼ばれる、得られた断片のうち2つをLMPアガロース(シープラークGTG)で単離した。pBr322 DNAをEcoRVとSalIで消化し、ホスファターゼ(ライフ テクノロジーズ社)で処理した。そのベクター断片をジーンクリーン法(バイオ101社)を使って単離し、Ad5 SalI断片に連結した。9.4kbの断片を用いた連結反応だけがインサートを持つコロニーを与えた。クローニング境界の分析と配列決定後に、完全なITR配列を含有し、bp9462のSalI部位まで伸びている1クローンを選択した。
【0043】
pBr/Ad.lITR-Sal ( 16.7 )( ECACC 寄託物 P97082118 )
pBr/Ad.lITR-Sal(9.4)をSalIで消化し、脱リン酸化する(TSAP、ライフ テクノロジーズ社)。このクローンをAd5中の三番目のSalI部位まで延長するために、pBr/Ad.Cla-BamをBamHIで直鎖化し、SalIで部分消化した。9462から16746までのアデノウイルス配列を含有する7.3kbのSalI断片をLMPアガロースゲルで単離し、SalI消化したpBr/Ad.lITR-Sal(9.4)ベクター断片に連結した。
【0044】
pWE/Ad.AflII-EcoRI
pWE.pacをClaIで消化し、5′突出末端をクレノウ酵素を使って補充した。つぎにそのDNAをPacIで消化し、アガロースゲルから単離した。pWE/AflII-rITRをEcoRIで消化し、クレノウ酵素による処理のあと、PacIで消化した。アデノウイルス配列を含有する大きい24kb断片をアガロースゲルから単離し、ClaI消化し平滑末端化したpWE.pacベクターに、クローンテック社の連結発現キット(Ligation ExpressTM Kit)を用いて連結した。ストラタジーン社のウルトラコンピテントXL10-ゴールド(Ultracompetent XL10-Gold)細胞を形質転換したあと、予想されるインサートを含有するクローンを同定した。pWE/AflII-EcoRIはbp3534から27336までのAd5配列を含有する。
【0045】
新しいアダプタープラスミドの構築
組換えアデノウイルスとパッケージング細胞株中のE1配列の間に配列の重複がないことは、新しい組換えウイルスの安全でRCAを含まない生成と増殖にとって必須である。アダプタープラスミドpMLPI.TK(図1)は、本発明の改良されたパッケージング細胞株と組み合わせて本発明に従って使用するように設計されたアダプタープラスミドの一例である。このプラスミドを、特定プロモーターと遺伝子配列とからなる核酸分子を容易に交換することができる新しいベクターを作成するための出発物質として使用した。
【0046】
まず、pZipΔMo+PyF101(N-)鋳型DNA(PCT/NL96/00195に記載)から、つぎのプライマーを使ってPCR断片を生成させた:LTR-1:5′-CTG TAC GTA CCA GTG CAC TGG CCT AGG CAT GGA AAA ATA CAT AAC TG-3′およびLTR-2:5′-GCG GAT CCT TCG AAC CAT GGT AAG CTT GGT ACC GCT AGC GTT AAC CGG GCG ACT CAG TCA ATC G-3′。Pwo DNAポリメラーゼ(ベーリンガー マンハイム社(Boehringer Mannheim))を製造者のプロトコルに従ってつぎの温度サイクルで使用した:95℃で5分間、55℃で3分間および72℃で1分間を1回;95℃で1分間、60℃で1分間、72℃で1分間を30サイクル、その後72℃で10分間を1回。つぎにそのPCR産物をBamHIで消化し、PvuIIとBamHIで消化したpMLP10(レブレロら、1991年)ベクターに連結することにより、ベクターpLTR10を生成させた。このベクターはbp1からbp454までのアデノウイルス配列を含有し、その後ろに、野生型エンハンサー配列が突然変異型ポリオーマウイルス(PyF101)由来のエンハンサーで置換されているMo-MuLV LTRの一部からなるプロモーターが続いている。そのプロモーター断片をL420と名付けた。つぎに、ネズミHSA遺伝子のコード領域を挿入した。pLTR10をBstBIで消化したあと、クレノウ処理とNcoIによる消化を行なった。HSA遺伝子は、つぎのプライマーを用いるpUC18-HSA(ケイ(Kay)ら、1990年)でのPCR増幅によって得られた:HSA1、5′-GCG CCA CCA TGG GCA GAG CGA TGG TGG C-3′およびHSA2、5′-GTT AGA TCT AAG CTT GTC GAC ATC GAT CTA CTA ACA GTA GAG ATG TAG AA-3′。その269bpの増幅断片をNcoI部位とBglII部位を使ってシャトルベクターにサブクローニングした。配列決定によって、HSA遺伝子の正しいコード配列、ただしTAG停止コドンのすぐ後ろに余分なTAG挿入を持つ配列の組込みを確認した。つぎに、HSA遺伝子のコード領域を、そのTAG重複を含めて、NcoI(付着)-SalI(平滑)断片として切り出し、pLTR10から得られる3.5kbのNcoI(付着)/BstBI(平滑)断片にクローニングすることにより、pLTR-HSA10を得た。
【0047】
最後にpLTR-HSA10をEcoRIとBamHIで消化したあと、左ITR、パッケージングシグナル、L420プロモーターおよびHSA遺伝子を含有する断片を、同じ酵素で消化したベクターpMLPI.TKに挿入することにより、そのプロモーターと遺伝子配列を置換した。これにより、プロモーターと遺伝子配列の周辺に都合のよい様々な制限酵素の認識部位を含有する新しいアダプタープラスミドpAd/L420-HSA(図2)が得られた。SnaBIとAvrIIはプロモータ配列を交換するためにHpaI、NheI、KpnI、HindIIIと組み合わせることができ、また後者の部位はこの構築物中の遺伝子を置換するためにHSAコード領域の3′側にあるClaIまたはBamHI部位と組み合わせることができる。
【0048】
pAd/L420-HSA中のプロモーター、遺伝子およびポリA配列を、CMVプロモーター、マルチプルクローニング部位、イントロンおよびポリAシグナルで置き換えることによって、核酸分子が容易に交換できるように設計されたもう一つのアダプタープラスミドを作成した。この目的のために、pAd/L420-HSAをAvrIIとBglIIで消化したあと、平滑末端を得るためにクレノウで処理した。pBr322ベクター配列とアデノウイルス配列とを持つ5.1kbの断片を単離し、HhaIおよびAvrIIによる消化とそれに続くT4 DNAポリメラーゼでの処理によって得られるpcDNA1/amp(インビトロゲン社(Invitrogen))の平滑1570bp断片に連結した。このアダプタープラスミドをpCLIP.Lucと名付けた(図3)。
【0049】
組換えアデノウイルスの生成
新しいプラスミド型システムでE1欠失組換えアデノウイルスを生成させるために、つぎの各構築物を調製する:a)オーバーラップするアデノウイルスゲノム断片の3′側で切断する制限酵素によって直鎖化された目的の遺伝子を持つ発現カセットを含有するアダプター構築物であって、好ましくはpBr322ベクター配列を含まないもの、およびb)PacIで消化した相補アデノウイルスゲノム構築物pWE/Ad.AflII-rITR。
【0050】
これら2つのDNA分子をフェノール/クロロホルム抽出とEtOH沈殿によって、さらに精製する。これらのプラスミドのアデノウイルスパッケージング細胞株、好ましくは本発明の細胞株への同時トランスフェクションは、アダプターと相補構築物の間の一段階相同組換えによって、組換え複製欠損アデノウイルスを生成する(図4)。
【0051】
もしくは、pWE/Ad.AflII-rITRの代わりに他の断片を使用することも可能で、例えばEcoRIとBamHIで消化したpBr/Ad.Cla-Bamや、PacIとBamHIで消化したpBr/Ad.AflII-BamHIを、SalIで消化したpBr/Ad.Sal-rITRと組み合わせることができる。この場合は3つのプラスミドが組み合わされ、組換えアデノウイルスを得るには2回の相同組換えが必要である(図5)。当業者は本発明から逸脱することなくアダプターと相補プラスミドの他の組み合わせも使用できることを理解すべきである。
【0052】
以下に概略を述べる、本発明の非限定的実施例としての一般的プロトコルは、様々なアダプタープラスミドとAd.AflII-rITR断片とを使って、いくつかの組換えアノウイルスを生産するために行われた。アデノウイルスパッケージング細胞(PER.C6)を約25cm2のフラスコに接種し、翌日、それらが集密度約80%になったところで、DNAとリポフェクタミン剤(Life Tech.)の混合物で、製造者の説明通りにトランスフェクションした。通例、40μlのリポフェクタミン、4μgのアダプタープラスミドおよび4μgの相補アデノウイルスゲノム断片AflII-rITR(または二重相同組換えの場合は3つのプラスミド全て2μg)を使用する。pAd/CMV-LacZアダプターを用いた対照トランスフェクションで測定したところ、これらの条件で約50%の一過性トランスフェクション効率(トランスフェクションの48時間後)が得られる。2日後に、細胞を約80cm2のフラスコに継代し、さらに培養する。約5日(単一相同組換えの場合)から11日(二重相同組換えの場合)後に細胞変性効果(CPE)が見られ、機能的アデノウイルスが形成したことが示される。完全なCPEが起こったら細胞と培地を収集し、凍結-融解操作によって組換えウイルスを放出させる。完全なCPEの発生にもかかわらず、初期段階で力価が変わりやすいことが見出されるので、通常、収率を上げるために、80cm2フラスコでの追加の増幅段階を行なう。
【0053】
増幅後にウイルスを収集し、PER.C6細胞でプラーク精製する。個々のプラークを活性な導入遺伝子を持つウイルスについて試験する。
【0054】
E3機能は(組換え)ウイルスの複製、パッケージングおよび感染に必要ではないので、E1領域での置換に加えて、アデノウイルス中のE3領域(の一部)を欠失させるか置換することが可能である。これにより、最大パッケージングサイズ(野生型ゲノムの長さの約105%)をこえないで、より大きなインサートを使用したり、2以上の遺伝子を挿入する機会が生じる。これは例えば、pBr/Ad.Bam-rITRクローン中のE3領域の一部をXbaIによる消化と再連結で欠失させることによって行なうことができる。これにより、既知のE3コード領域すべてを含むAd5野生型配列28592-30470が除去される。もう一つの例は、E3領域中のgp19Kのコード領域を、新しい配列の挿入を可能にするポリリンカーで正確に置換することである。これにより、1)他のコード領域は全て無傷のまま残り、2)導入遺伝子はE3プロモーターとpA配列によって制御されるので異種プロモーターの必要がなくなり、したがってコード配列のためにより多くのスペースが残る。
【0055】
この目的のために、E3領域の5′部分を含有する野生型Ad5由来の2.7kbのEcoRI断片をピーブルースクリプト(pBluescript)(KS-)(ストラタジーン社)のEcoRI部位にクローニングした。つぎに、ポリリンカー中のHindIII部位を、EcoRVおよびHindIIによる消化とそれに続く再連結によって除去した。得られたクローンpBS.Eco-Eco/ad5DHIIIを使ってgp19Kコード領域を欠失させた。プライマー1(5′-GGG TAT TAG GCC AA AGG CGC A-3′)とプライマー2(5′-GAT CCC ATG GAA GCT TGG GTG GCG ACC CCA GCG-3′)とを使って、pBS.Eco-Eco/Ad5DHIIIから野生型Ad5 DNA中の配列28511から28734に相当する配列を増幅した。同じDNAにプライマー3(5′-GAT CCC ATG GGG ATC CTT TAC TAA GTT ACA AAG CTA-3′)とプライマー4(5′-GTC GCT GTA GTT GGA CTG G-3′)を使って、29217から29476までのAd5配列を増幅した。得られた2つのPCR断片を、新たに導入されたNcoI部位を利用して互いに連結したあと、XbaIとMunIで消化した。つぎにこの断片を、XbaI(部分)とMunIで消化したpBS.Eco-Eco/ad5ΔHIIIベクターに連結することにより、pBS.Eco-Eco/ad5ΔHIII.Δgp19Kを生成させた。HindIIIとBamHI部位に外来遺伝子を挿入できるように、pBS.Eco-Eco/ad5ΔHIII.Δgp19K中にXbaI欠失を作ってブルースクリプトポリリンカー中のBamHI部位を除去した。得られたプラスミドpBS.Eco-Eco/ad5ΔHIIIΔgp19KΔXbaIは、Ad5中の配列28733(HindIII)と29218(BamHI)とに対応するただ1つのHindIII部位とBamHI部位を含有する。これらの部位への外来遺伝子の導入後に、欠失させたXbaI断片を再導入するか、そのインサートをpBS.Eco-Eco/ad5ΔHIII.Δgp19KにHindIIIと例えばMunIとを使って再クローニングする。この方法を用いて、本発明者らはHSV-TK、hIL-1a、ラットIL-3、ルシフェラーゼまたはLacZを発現させるプラスミドを作成した。pBS.Eco-Eco/ad5ΔHIII.Δgp19Kプラスミド中のただ1つのSrfI部位とNotI部位(挿入された目的の遺伝子を持つものまたは持たないもの)は、目的の遺伝子を含む領域をpBr/Ad.Bam-rITRの対応する領域に移して、構築物pBr/Ad.Bam-rITRΔgp19K(挿入された目的の遺伝子を持つものまたは持たないもの)を得るために使用される。この構築物は、組換えアデノウイルスを産生するために前述のように使用される。そのウイルスの状況では挿入された遺伝子の発現がアデノウイルスE3プロモーターによって制御される。
【0056】
E1とE3がどちらも欠失している組換えウイルスは、
a)第一の目的遺伝子が挿入された、または挿入されていない本発明のE1置換用アダプタープラスミド、
b)pWE/Ad.AflII-EcoRI断片、および
c)第二の目的遺伝子が挿入された、または挿入されていないpBr/Ad.Bam-rITRΔgp19Kプラスミド
からなるプラスミド系システムを用いて、E1置換ベクターについて前述したような二重相同組換え法によって作成される。
【0057】
E3領域での操作に加えて、E4領域(の一部)の変異もpBr/Ad.Bam-rITRで容易に達成できる。しかしそのようなウイルスの生成と増殖はトランスに相補性を要求する場合がある。
【0058】
実施例2:キメラファイバータンパク質を持つアデノウイルス血清型5系ウイルスの生成
2つ以上の別個のクローン化アデノウイルス配列の同時トランスフェクションによって組換えアデノウイルスを作成するための後述の方法。つぎに、他のアデノウイルス血清型に由来するDNA配列を容易に導入できる鋳型クローンを作成するために、これらのクローン化アデノウイルス配列を使って特定のアデノウイルス血清型5配列を除去した。これら鋳型クローンの一例として、ファイバータンパク質をコードするDNAの交換を可能にするプラスミドの構築について以下に述べる。
【0059】
ファイバーをコードする DNA を欠くアデノウイルス鋳型クローンの生成
アデノウイルス血清型5のファイバーコード配列はヌクレオチド31042と32787の間に位置する。ファイバーをコードするアデノウイルス血清型5のDNAを除去するために、本発明者らは構築物pBr/Ad.Bam-rITRから出発した。この構築物から、まず一つのNdeI部位を除去した。この目的のためにpBr322プラスミドDNAをNdeIで消化したあと、突出末端をクレノウ酵素で補充した。つぎに、そのpBr322プラスミドを再連結し、NdeIで消化し、大腸菌DH5αに形質転換した。得られたpBr/ΔNdeIプラスミドをScaIとSalIで消化し、得られた3198bpのベクター断片をpBr/Ad.BamrITR由来の15349bpのScaI-SalI断片に連結することにより、プラスミドpBr/Ad.Bam-rITRΔNdeIを得、したがってただ1つのNdeI部位を含有した。つぎに、オリゴヌクレオチドNY-上流:
【配列表1】
【0060】
と、NY-下流:5′-GGA GAC CAC TGC CAT GTT-3′とを使ってPCRを行なった(図6)。増幅されたファイバーDNAのクローニングを容易にするために、増幅中に、NdeI制限部位(太字部分)とNsiI制限部位(下線部)の両方が導入された。増幅は各々94℃で45秒、60℃で1分および72℃で45秒の25サイクルからなった。このPCR反応は25pmolのオリゴヌクレオチドNY-上流またはNY-下流、2mM dNTP、1.5mM MgCl2を含むPCR緩衝液および1単位のエロンガーゼ(Elongase)熱安定性ポリメラーゼ(ギブコ社(Gibco)、オランダ)を含んだ。そのPCR産物の10分の1をアガロースゲルで泳動したところ、±2200bpの予想DNA断片が増幅されることが明らかになった。つぎにこのPCR断片をジーンクリーンキットシステム(バイオ101社)を使って精製した。つぎに、構築物pBr/Ad.Bam-rITRΔNdeIとPCR産物の両方を制限酵素NdeIとSbfIで消化した。つぎにPCR断片を、T4リガーゼ酵素を使って、NdeIおよびSbfI消化したpBr/Ad.Bam-rITRΔNdeIにクローニングして、pBr/Ad.BamRΔFibを得た。このプラスミドには、除去されたファイバー配列の代わりに挿入されるただ1つのNdeI部位とNsiI部位とを使って、任意のPCR増幅ファイバー配列を挿入できる。アダプタープラスミド、PacIとEcoRIで消化した構築物pBr/Ad.AflII-EcoRI、および異種ファイバー配列が挿入されているpBr/Ad.BamRΔFib構築物を使用して、後述するパッケージング細胞における二重相同組換えにより、ウイルスを生成させることができる。ウイルスの生成効率を増加させるために、構築物pBr/Ad.BamRΔFibを、右ITRに隣接してPacI部位が生成するように修飾した。ここに、pBr/Ad.BamRΔFibをAvrIIで消化し、5kbのアデノ断片を単離し、ベクターpBr/Ad.Bam-rITR.pac#8に導入して、対応するAvrII断片を置換した。得られた構築物をpBr/Ad.BamRΔFib.pacと名付けた。
【0061】
いったん異種ファイバー配列がpBr/Ad.BamRΔFib.pacに導入されたら、そのファイバー修飾右側アデノウイルスクローンを、実施例1にpWE/Ad.AflII-rITRについて記述したように、大きいコスミドクローンに導入することができる。そのような大きなコスミドクローンは一回だけの相同組換えによるアデノウイルスの生成を可能にするため、その工程は極めて効率がよくなる。
【0062】
アデノウイルス血清型からのファイバー配列の増幅
代替血清型由来のファイバータンパク質をコードするDNAを増幅できるように、縮重オリゴヌクレオチドを合成した。この目的のために、まず、代替血清型のファイバータンパク質をコードする既知のDNA配列を整列して、ファイバータンパク質のテール領域とノブ領域の両方で保存された領域を同定した。
【0063】
6つの亜群全てを代表わする19種類の血清型のヌクレオチド配列を含むその整列から、(縮重)オリゴヌクレオチドを合成した(表3参照)。また表3には、特定の血清型のファイバータンパク質をコードするDNAを増幅するために使用したオリゴヌクレオチドの組み合わせも示す。増幅反応(50μl)は、1反応につき、2mMのdNTP、25pmolの各オリゴヌクレオチド、標準1×PCR緩衝液、1.5mM MgCl2および1単位のPwo熱安定性ポリメラーゼ(ベーリンガー社(Boehringer))を含有した。サイクラープログラムは、94℃で30秒、60〜64℃で60秒および72℃で120秒から各々構成される20サイクルを含んだ。そのPCR産物の10分の1をアガロースゲルで泳動することにより、DNA断片が増幅されたことが証明された。それぞれ異なる鋳型で、2回の独立したPCR反応を行なったあと、得られた独立のPCR断片を配列決定してヌクレオチド配列を決めた。11種類の血清型から、該ヌクレオチド配列はゲンバンク(GenBank)中に存在する配列になぞらえることができた。他の全ての血清型のファイバータンパク質をコードするDNAはこれまで未知であったため、相同性、すなわち配列の分岐を決定するために、他の亜群メンバーから得られた既知の配列と整列した。現在までに知られている51のヒト血清型のうち、血清型1、6および26を除く全てのファイバー配列が増幅され、配列決定されている。様々なアデノウイルス血清型から得られるファイバーのタンパク質配列を図7に示す。
【0064】
ファイバーキメラアデノウイルス DNA 構築物の生成
全ての増幅ファイバーDNAとベクター(pBr/Ad.BamRΔFib)をNdeIとNsiIで消化した。つぎに、消化したDNAをアガロースゲルで泳動したあと、断片をそのゲルから単離し、ジーンクリーンキット(バイオ101社)を使って精製した。つぎに、それらのPCR断片をpBr/AdBamRΔFibのNdeI部位とNsiI部位にクローニングすることにより、pBr/AdBamRFibXX(ここにXXはそのファイバーDNAを単離した血清型番号を表わす)を作成した。これまでに血清型5/7/8/9/10/11/12/13/14/16/17/19/21/24/27/28/29/30/32/33/34/35/36/37/38/40-S/40-L/41-S/42/45/47/49/51のファイバー配列がpBr/AdBamRFibXXにクローニングされている。pBr/AdBamRFibXX(XXは5/8/9/10/11/13/16/17/24/27/30/32/33/34/35/38/40-S/40-L/45/47/49/51)から、ファイバー配列を包含する6kbのAvrII断片をゲル電気泳動とジーンクリーンで単離した。つぎにこのAvrII断片を、AvrIIで完全に消化して先に記述したように脱リン酸化したプラスミドpBr/Ad.Bam-rITR.pac(実施例1参照)にクローニングすることにより、プラスミドpBr/Ad.Bam-rITR.pac.fibXXを生成した。つぎに、構築物pWE.pac、pBr/AflII-BamおよびpBr/Ad.Bam-rITR.pac.fibXXを用いて修飾ファイバーを持つコスミドクローンを生成させるために、このプラスミドを使用した。このコスミドクローニングにより、構築物pWE/Ad.AflII-rITR/FibXX(XXはそのファイバーDNAを単離した血清型番号を表わす)が形成した。
【0065】
pAd5/L420.HSA、pAd5/ClipおよびpAd5/Clipsalの生成
pMLPI.TKを使って、特定のプロモーターと遺伝子配列を含んでなる核酸分子を容易に交換できる新しいベクターを作成した。
【0066】
まず、pZipΔMo+PyF101(N-)鋳型DNA(PCT/NL96/00195に記載)から、つぎのプライマーを使って、PCR断片を生成させた:LTR-1:5′-CTG TAC GTA CCA GTG CAC TGG CCT AGG CAT GGA AAA ATA CAT AAC TG-3′およびLTR-2:5′-GCG GAT CCT TCG AAC CAT GGT AAG CTT GGT ACC GCT AGC GTT AAC CGG GCG ACT CAG TCA ATC G-3′。Pwo DNAポリメラーゼ(ベーリンガー マンハイム社)を製造者のプロトコルに従ってつぎの温度サイクルで使用した:95℃で5分間、55℃で3分間および72℃で1分間を1回;95℃で1分間、60℃で1分間、72℃で1分間を30サイクル、その後72℃で10分間を1回。つぎにそのPCR産物をBamHIで消化し、PvuIIとBamHIで消化したpMLP10(レブレロら、1991年;Gene 101巻、195〜202頁)に連結することにより、ベクターpLTR10を作成した。このベクターはbp1からbp454までのアデノウイルス配列を含有し、その後ろに、野生型エンハンサー配列が突然変異型ポリオーマウイルス(PyF101)由来のエンハンサーで置換されているMo-MuLV LTRの一部からなるプロモーターが続いている。そのプロモーター断片をL420と命名した。配列決定によってLTR断片の正しい増幅が確認されたが、PCR断片中の最も5′側にある塩基が欠落していて、PvuII部位は修復されなかった。つぎに、ネズミHSA遺伝子のコード領域を挿入した。pLTR10をBstBIで消化したあと、クレノウ処理とNcoIによる消化を行なった。HSA遺伝子は、つぎのプライマーを用いて、pUC18-HSA(ケイら、1990年;J.Immunol.145巻、1952〜1959頁)でのPCR増幅によって得た:HSA1、5′-GCG CCA CCA TGG GCA GAG CGA TGG TGG C-3′およびHSA2、5′-GTT AGA TCT AAG CTT GTC GAC ATC GAT CTA CTA ACA GTA GAG ATG TAG AA-3′。その269bpの増幅断片をNcoI部位とBglII部位を使ってシャトルベクターにサブクローニングした。配列決定により、HSA遺伝子の正しいコード配列、ただしTAG停止コドンのすぐ後ろに余分なTAG挿入を持つ配列の組込みが確認された。つぎに、HSA遺伝子のコード領域を、そのTAG重複を含めて、NcoI(付着)-SalI(平滑)断片として切り出し、pLTR10から得られる3.5kbのNcoI(付着)/BstBI(平滑)断片にクローニングして、pLTR-HSA10を得た。
【0067】
最後に、pLTR-HSA10をEcoRIとBamHIで消化したあと、左ITR、パッケージングシグナル、L420プロモーターおよびHSA遺伝子を含有する断片を、同じ酵素で消化したベクターpMLPI.TKに挿入することにより、そのプロモーターおよび遺伝子配列を置換した。これにより、プロモーターおよび遺伝子配列の周辺に都合のよい様々な制限酵素の認識部位を含有する新しいアダプタープラスミドpAd5/L420-HSAが得られた。SnaBIとAvrIIはプロモータ配列を交換するためにHpaI、NheI、KpnI、HindIIIと組み合わせることができ、一方、後者の部位はこの構築物中の遺伝子を置換するためにHSAコード領域の3′側にあるClaIまたはBamHI部位と組み合わせることができる。
【0068】
核酸分子を容易に交換できるように設計されたもう一つのアダプタープラスミドを、pAd5/L420-HSA中のプロモーター、遺伝子およびポリA配列を、CMVプロモーター、マルチプルクローニングサイト、イントロンおよびポリAシグナルで置き換えることによって作成した。この目的のために、pAd5/L420-HSAをAvrIIとBglIIで消化したあと、平滑末端を得るためにクレノウで処理した。pBr322ベクター配列とアデノウイルス配列とを持つ5.1kbの断片を単離し、HhaIとAvrIIで消化してからT4 DNAポリメラーゼで処理することによって得たpcDNA1/amp(インビトロゲン社)の平滑1570bp断片に連結した。このアダプタープラスミドをpAd5/Clipと名付けた。そのアデノウイルス断片からベクター配列を除去できるように、pAd5/ClipをEcoRIで部分消化し、直鎖断片を単離した。5′-TTAAGTCGAC-3′という配列のオリゴをそれ自身にアニールさせて、SalI部位とEcoRI突出部を持つリンカーを生じさせた。そのリンカーを、部分消化したpAd5/Clipベクターに連結し、pAd5/Clip中の左アデノウイルスITRの23bp上流にあるEcoRI部位に挿入されたリンカーを持つクローンを選択して、pAd5/Clipsalとした。
【0069】
pAd5ClipLacZ 、 pAd5Clip.Luc 、 pAd5Clip.TK および pAd5Clipsal.Luc の生成
アダプタープラスミドpAd5/Clip.LacZはつぎのように作成した:大腸菌LacZ遺伝子をプラスミドpMLP.nlsLacZ(EP 95〜202 213)からプライマー5′GGGGTGGCCAGGGTACCTCTAGGCTTTTGCAAと5′GGGGGGATCCATAAACAAGTTCAGAATCCを用いたPCRによって増幅した。このPCR反応はEx Taq(タカラ社(Takara))を用い、その供給者のプロトコールに従って、つぎの増幅プログラムで行なった:94℃5分、1サイクル;94℃45秒、60℃30秒、72℃2分、5サイクル;94℃45秒、65℃30秒、72℃2分、25サイクル;72、10分;94℃45秒、60℃30秒、72℃2分、5サイクル、Iサイクル。つぎにそのPCR産物をKpnIとBamHIで消化し、消化されたDNA断片を、KpnI/BamHIで消化したpcDNA3(インビトロゲン社)に連結して、pcDNA3.nlsLacZを生成させた。つぎに、プラスミドpAd5/ClipをSpeIで消化した。5′部分CMVプロモーターの一部とアデノウイルス配列とを含有する大断片を単離した。プラスミドpcDNA3.nlsLacZをSpeIで消化し、CMVプロモーターの3′部分とLacZ遺伝子とを含有する断片を単離した。つぎに、それらの断片を連結してpAd/Clip.LacZを生成した。CMVプロモーターの復元は制限消化によって確認された。
【0070】
アダプタープラスミドpAd5/Clipはつぎのように作成した:プラスミドpCMV.Luc(EP 95〜202 213)をHindIIIとBamHIで消化した。ルシフェラーゼ遺伝子を含有するDNA断片を単離した。アダプタープラスミドpAd5/ClipをHindIIIとBamHIで消化し、その大断片を単離した。つぎに、単離したDNA断片を連結してpAd5/Clip.Lucを生成させた。アダプターpClipsal.Lucは同じ方法で、ただしHIIIとBamHIで消化したアダプターpClipsalをベクター断片として使用することによって作成した。また、pCMV.TK(EP 95〜202 213)のTK含有HIII-BamHI断片をpClipsalに挿入してpAd5/Clip.TKを作成した。左ITRのすぐ上流にSalI部位が存在するので、アデノインサートからベクター配列を遊離させることができる。これらベクター配列の除去は、PER.C6における相同組換え中のベクター生成の頻度を向上させる。
【0071】
ファイバータンパク質に関してキメラな組換えアデノウイルスの生成
血清型12、16、28、40-L、51および5のファイバーを保持する組換えAd5ウイルスを作成するために、3つの構築物pCLIP.Luc、pWE/AdAflII-EcoおよびpBr/AdBamrITR.pac/fibXX(XX=12、16、28、40-L、51および5)をアデノウイルス産生細胞に導入した。5/7/8/9/10/11/12/13/14/16/17/19/21/24/27/28/29/30/32/33/34/35/36/37/38/40-S/40-L/41-S/42/45/47/49/51のファイバーを保持する組換えAd5ウイルスを作成するために、2つの構築物pCLIP.LucとpWE/Ad.AflII-rITR/FibXXをアデノウイルス産生細胞に導入した。
【0072】
トランスフェクションのために、pCLIP.Luc 2μgと、pWE/AdAflII-EcoとpBr/AdBamrITR.pac/fibXXの両方4μg(またはコスミドの場合は4μgのpCLIP.Lucおよび4μgのpWE/Ad.AflII-rITR/FibXX)とを無血清DMEMに希釈して総体積を100μlにした。このDNA懸濁液に、1倍希釈リポフェクタミン(ギブコ社)100μlを加えた。室温で30分後に、そのDNA-リポフェクタミン複合体溶液を2.5mlの無血清DMEMに加え、つぎにそれをT25cm2組織培養フラスコに加えた。このフラスコはトランスフェクションの24時間前に播種された2×106個のPER.C6細胞を含んでいた。2時間後に、20%ウシ胎仔血清を補足したDMEM 2.4mlを加えることによって、そのDNA-リポフェクタミン複合体含有培地を倍に希釈した。さらに24時間後に、10%ウシ胎仔血清を補足した新しいDMEMで培地を置換した。細胞を6〜8日培養したあと、収集し、3回凍結/融解した。室温、3000rpmで5分間の遠心分離によって細胞片を除去した。その上清(12.5ml)のうち3〜5mlを使って、PER.C6細胞(T80cm2組織培養フラスコ)を再び感染させた。この再感染は、5〜6日後に完全な細胞変性効果(CPE)をもたらし、そのあと、アデノウイルスが前述のように収集される。生成したウイルスのバッチを使って、2つの検定を常套的に行なった。1)1980μlのDMEMを添加することによって10倍に希釈した20μlのウイルス上清を使って、感染の24時間前に6穴プレートの1ウェルにつき105細胞の濃度で播種したA549細胞を感染させた。48時間後に、タンパク質溶解液を調製し、つぎにそれを使ってマーカー遺伝子発現(ルシフェラーゼ活性)を測定した。2)20μlのウイルス上清を使って、ヒト911細胞でのウイルス力価を決定する。この目的のために、911細胞を96穴プレートの1ウェルにつき4×104細胞の濃度で播種した。播種の3〜4時間後に、培地をアデノウイルス上清(希釈範囲:2μl〜5×10-9μl)で置換した。キメラファイバーアデノウイルス血清型5のウイルス力価は常に1mlあたり1×108感染単位をこえていた。
【0073】
実施例3:キメラアデノウイルスの産生、精製および力価
トランスフェクションされたPER.C6細胞から得られる上清のうち通例10mlを用いて、懸濁培養にとくに適合させた1〜1.5×106細胞/mlのPER.C6を含有する1リットルの発酵槽に接種した。接種の3日後に細胞を収集し、室温1750rpmで10分間遠心分離することによってペレット化した。つぎに、ペレット化した細胞中に存在するキメラアデノウイルスを、つぎの下流プロセシング(downstream processing)プロトコルで抽出し、精製した。ペレットを50mlの10mM NaPO4に溶解し、−20℃で凍結した。37℃で融解したあと、5.6mlのデオキシコレート(5%w/v)を加え、そのあと、その溶液をホモジナイズした。つぎに、細胞を破砕するために、その溶液を37℃で15分間インキュベートした。その溶液をホモジナイズしたあと、1875μlの(1M)MgCl2を加え、5mlの100%グリセロールを加えた。375μlのDNアーゼ(10mg/ml)を添加したあと、その溶液を37℃で30分間インキュベートした。ブレーキをかけずに室温、1880×gで30分間の遠心分離により、細胞片を除去した。つぎに上清を、10mlのフレオンにのせることによってタンパク質から精製した。ブレーキをかけずに室温、2000rpmで15分間の遠心分離を行なうと、3つのバンドが見えたが、そのうちの上部のバンドはアデノウイルスに相当する。このバンドをピペッティングによって単離したあと、それをTris/HCl(1M)緩衝塩化セシウムブロック勾配(範囲:1.2から1.4g/ml)にのせた。ウイルスは他の成分とは対照的に1.4g/ml塩化セシウム溶液には移動しなかったので、10℃、21000rpmで2.5時間の遠心分離後に、ウイルスが残留タンパク質と細胞片から精製された。そのウイルスバンドを単離したあと、Tris/HCl(1M)で緩衝化した1.33g/ml塩化セシウムの連続的勾配を用いる二回目の精製を行なう。この勾配の上端にウイルスをのせたあと、ウイルスを10℃、55000rpmで17時間遠心分離した。つぎに、そのウイルスバンドを単離し、30μlのショ糖(50w/v)を添加したあと、過剰の塩化セシウムをそれぞれ1時間からなる3回の透析によって除去する。透析のために、ウイルスを透析スライドに移す(スライド-a-ライザー(Slide-a-lizer)、カットオフ10000kDa、ピアス社(Pierce)、米国)。透析に使用する緩衝液は、増加する濃度のショ糖を補足したPBS(1回目から3回目にかけて:30ml、60mlおよび150mlショ糖(50%w/v)/1.5リットルPBS、すべてに7.5mlの2%(w/v)CaMgCl2を補足)である。透析後に、ウイルスをスライド-a-ライザーから取り出したあと、それを25および100μlずつに等分し、そのあと、ウイルスを−85℃で保存する。
【0074】
1ミリリットルあたりのウイルス粒子数を決定するために、そのウイルスのバッチ50μlを高速液体クロマトグラフィーカラム(HPLC)にかける。アデノウイルスはカラム(陰イオン交換)に結合されたあと、NaCl勾配(範囲300〜600mM)を用いて溶出される。ウイルスピーク下の面積を決定することにより、ウイルス粒子の数を計算できる。ウイルスのバッチ中に存在する1mlあたりの感染単位(IU)数を決定するために、911細胞で力価測定を行なう。この目的のために、96穴プレートの1ウェルにつき4×104個の911細胞を、B、DおよびF列に、1ウェルにつき100μlの総体積で播種する。播種の3時間後に細胞がそのプラスチック支持体に付着したあと、培地を除去できる。その細胞に、様々な希釈率のウイルス(範囲:102倍希釈から2×109)を含有する200μlを2つ一組にして加える。CPEに関するスクリーニングにより、14日後になおCPEを示す最も高いウイルス希釈液が、少なくとも1感染単位を含有するとみなされる。これらのウェル中に存在するウイルス体積の計算値と共にこの観察を用いることにより、与えられたウイルスのバッチ1mlあたりの感染単位数が得られる。生産結果、すなわち1mlあたりのウイルス粒子と1mlあたりのIUまたは現在までに生産されたキメラアデノウイルスを、表4に示す。
【0075】
実施例4:キメラアデノウイルスのリダイレクトされた感染
ファイバータンパク質に関してキメラなアデノウイルスのインビトロでのリダイレクトされた感染を証明するために、様々な起源を持つヒト細胞株のパネルを使用した。このパネルには、とりわけ、ヒト肝細胞、初代線維芽細胞、造血系細胞株、初代平滑筋細胞、初代滑膜細胞、および羊膜細胞や絨毛膜絨毛などの羊水由来の初代細胞が含まれる。これらの細胞タイプを、ファイバータンパク質が異なる一群のキメラアデノウイルスに感染させた。この目的のために、標的細胞を6穴プレートの各ウェルにつき105細胞の濃度で、10%ウシ胎仔血清を補足したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM、ライフ テクノロジーズ社、オランダ)2mlに播種する。24時間後に、0、10、50、250、1250、2500、5000とMOI(1細胞あたりのウイルス粒子数に基づくMOI)が増加する様々なキメラアデノウイルスを含有する新鮮な培地で置換する。ウイルスを添加した約2時間後に、ウイルスを含有する培地を捨て、細胞をPBSで1回洗浄し、つぎに新鮮な培地(ウイルスを含有しないもの)2mlを各ウェルに加える。48時間後に、1500rpmで5分間遠心分離することによって細胞を収集し、洗浄し、ペレット状にする。つぎに細胞を0.1mlの溶解緩衝液(トリス−リン酸緩衝液(pH7.8)中の1%トリトン(Triton)X-100、15%グリセロール、2mM EDTA、2mM DTTおよび25mM MgCl2)中で溶解し、その溶解物の総タンパク質濃度を測定する(バイオラッド社、タンパク質標準II)。マーカー遺伝子発現(ルシフェラーゼ活性)を決定するために、20μlのタンパク質試料を100μlのルシフェラーゼ基質(ルシフェリン(Luciferine)、プロメガ社(Promega)、オランダ)と混合したあと、ルーマット(Lumat)LB 9507装置(イージー アンド ジー ベルトルド社(EG & G Berthold)、オランダ)で測定する。タンパク質1μgあたりのルシフェラーゼ活性(RLU)の量として与えられるこれら感染実験の結果を表5に示す。これらの結果は、ファイバータンパク質の変化がアデノウイルス血清型5宿主域の変化をもたらすことを明白に立証している。
【0076】
実施例5:ファイバーキメラアデノウイルスの受容体使用
どんな細胞分子がファイバーキメラアデノウイルスによって使用されるかを決定するために、アデノウイルス血清型5感染に関与することが知られているタンパク質、すなわちコクサッキーアデノウイルス受容体(CAR)、MHCクラスIおよびインテグリン類(αvβ3、αvβ5)の発現を測定した。この目的のために、1×105個の標的細胞をフローサイトメトリー用に設計されたチューブ(1細胞タイプにつき4本のチューブ)に移した。細胞をPBS/0.5%BSAで1回洗浄したあと、それらの細胞を室温、1750rpmで5分間の遠心分離によってペレット状にした。つぎに、100倍希釈したαvβ3抗体(マブ(Mab) 1961、ブランスウィック ケミー社(Brunswick chemie)、オランダ・アムステルダム)、100倍希釈した抗体αvβ5(抗体(マブ 1976、ブランスウィック ケミー社、オランダ・アムステルダム)または2000倍希釈したCAR抗体(ハーバードメディカルスクール、米国ボストンのベルゲルソン(Bergelson)博士の厚意により贈与されたもの(スーら))10μlを、その細胞ペレットに加えたあと、細胞を暗所にて4℃で30分間インキュベートした。このインキュベーションのあと、細胞をPBS/0.5%BSAで2回洗浄し、室温、1750rpmで5分間の遠心分離によって再びペレット状にした。細胞を標識するために、フィコエリスリン(PE)で標識したラット抗マウスIgG1(10μl)を細胞ペレットに加え、続いて細胞を再び暗所にて4℃で30分間インキュベートした。最後に細胞をPBS/0.5%BSAで2回洗浄し、フローサイトメーターで分析した。これらの実験の結果を表6に示す。表6にはA、B、C、DおよびF亜群から得られるアデノウイルスの感染効率も含まれている。これらのデータは、C亜群アデノウイルスの感染がCARの発現と相関することを明白に示している。またこのデータは、B、DまたはF亜群のアデノウイルスのファイバーを保持するキメラアデノウイルスが、測定できるレベルのCARタンパク質を発現させない細胞に感染できること、したがって異なる(CAR非依存的)経路によって細胞に感染できることも証明している。
【0077】
実施例6:アデノウイルス粒子の放射標識
野生型アデノウイルス血清型の感染を追跡できるように、感染に先立ってこれらのウイルスを放射活性のI123/I125か、蛍光プローブで標識した。蛍光顕微鏡を使用するか、放射活性を測定することにより、特定の細胞タイプへの様々な血清型の感染の効率が決定される。ファイバータンパク質に関してキメラなアデノウイルスのインビボでのリダイレクトされた感染を証明するため、CBA/caマウス(各キメラアデノウイルスにつき2匹)に1×109個の感染性粒子を尾静脈から注射した。特定組織へのアデノウイルス感染の検出は2つの異なるレベルでモニターされる。すなわち、1)アデノウイルスを放射活性標識することにより、キメラアデノウイルスの結合をモニターする(アイゼンローア(Eisenlohr)ら、1987年;マトリン(Matlin)ら、1981年;リッチマン(Richman)ら、1998年)。尾静脈を通したインビボ全身送達の1時間後にマウスを屠殺し、そのあと、様々な器官または組織中の放射活性を測定することによって選択性を調べる。2)感染の成功を、マーカー遺伝子のアデノウイルス遺伝子発現、すなわちlacZまたはルシフェラーゼ活性によってモニターする。投与の4日後にマウスを屠殺したあと、器官と組織を単離する。試料には肝臓、脾臓、胃腸路、末梢血、骨髄、大動脈、筋肉などを含めた。この方法を用いて、興味の対象である組織に対するキメラアデノウイルスの選択的結合を調べることができる。さらに、この方法を用いることにより、特定器官の特定細胞へのキメラアデノウイルスの選択的感染を決定できる。
【0078】
100μlのヨウ素化緩衝液(25mMトリス、pH8、0.4M NaCl)中、ヨードゲンプリコートチューブ(Iodogen precoated tube、ピアス社)中、室温で6分間インキュベートすることにより、80μCiのI123(サイゲネ ビーブイ社(Cygne BV)、オランダ)またはI125(アマシャム社)を活性化した。放射標識反応は、100μlのヨウ素化緩衝液中に1,5.1010個のアデノウイルス粒子を含有するエッペンドルフチューブに、活性化されたヨウ素を移すことによって開始した。その反応を室温で9分間進行させたあと、組み込まれた標識を遊離の標識から、セファデックス25カラム(P-10、ファルマシア社)を用いたゲル濾過によって分離した。この目的のために、P-10カラムを10mlのPBS緩衝液で前洗浄したあと、2mlのヨウ素化緩衝液を補足した放射標識反応液を充填した。最初の通過液を捨てたあと、カラムを0.5mlずつのPBS緩衝液で溶出し、様々な画分を別個のチューブに集めた。カラムによって減速される遊離の標識は、第10〜16画分に濃縮された。放射標識ウイルス粒子は、主として、2〜3mlの総溶出体積に相当する第4、5および6画分に蓄積した。これらウイルス含有画分の放射活性を測定し、1分あたりのカウント数(cpm)として表わしたところ、最高で1010ウイルス粒子につき5×106cpmになった。
【0079】
様々な操作後のウイルス粒子の完全性を保証するために、いくつかの対照実験を行なった。例えばある反応ではウイルス粒子に同じ処理を施したが放射性ヨウ素を省略した。つぎに溶出したウイルス粒子を使ってA549細胞を感染させた。感染した細胞の量は、LacZなどの視覚的マーカー遺伝子の発現によって確証した。また、放射標識アデノウイルスに相当する溶出画分のうち、少量を使ってA549細胞を感染させることによって導入遺伝子の発現を調べ、それが、使用した特定のウイルスバッチのウイルス生存度を表わすものであると解釈した。
【0080】
つぎに、それらの放射標識ウイルス粒子は、様々な細胞タイプまたは様々な器官に対する親和性を決定するための種々のインビトロおよびインビボ試験に使用できる。インビトロ試験では、例えばHUVEC(ヒト臍静脈内皮細胞)やSMC(平滑筋細胞)などの様々な細胞株を適当な培養培地が入った24穴プレートに播種し、感染の多重度が10、100および1000の放射標識アデノウイルス粒子に感染させる。対照として、細胞を同等量の遊離ヨウ素と共にインキュベートする。感染の2時間後に細胞をPBS緩衝液でよく洗浄し、残存放射活性を測定する。細胞に結合して残っている放射活性の量(遊離の標識と共にインキュベートした対照細胞の放射活性量について補正したもの)は、細胞に結合するまたは細胞を貫通したウイルス量の直接的尺度である。
【0081】
インビボ試験については、ファイバータンパク質の起源だけが異なるアデノウイルスの体内分布を比較した。この目的のために、ラットを全身麻酔下に置き、0.1〜2MBqの放射標識アデノウイルス粒子を尾静脈に静脈内(iv)投与した。対照として、一匹のラットに同等量の遊離のヨウ素のみを与えた。つぎにそれらの動物をガンマスキャナーにのせ、10分間スキャンすることによってガンマ放射源の位置を特定し、そうすることによって全身に導入されたアデノウイルスのインビボ体内分布を決定した。1時間後に動物を屠殺し、重量測定をすると共にシンチレーションカウンターを用いて放射活性の正確な定量を行なうために、主な器官を摘出した。iv後の様々な器官における放射活性の分布を組織1グラムあたりのcpmとして表わし、図8に示す。
【0082】
実施例7:羊水由来のヒト初代細胞の感染
表5(実施例4)に、羊膜細胞と絨毛膜絨毛の両者に関して、感染結果を示す。これらの細胞タイプは羊水から単離され、標準的条件下にエクスビボで培養される(ロエスト(Roest)ら、1996年)。このような細胞は出生前診断に使用するのに理想的な標的である。例えば、ジストロフィン遺伝子中の突然変異は未知であり、未分化の絨毛膜絨毛または羊膜絨毛細胞中で産生されるジストロフィンのレベルは極めて低いため、逆転写PCRやDNA PCRなどの標準的技術では筋ジストロフィーの出生前診断が不可能な場合がある(毎年約50〜100例)。これらの例では、主として絨毛膜絨毛細胞の単離と急速な分化が行なわれる。つぎに、形質導入されるとその絨毛膜絨毛を1週間以内に横紋筋細胞に分化させるレトロウイルス(ロエストら、1996年)か、MyoD cDNAを持つアデノウイルス(ロエストら、1999年)に、これらの絨毛膜絨毛を感染させる。完全な分化後に、ジストロフィンタンパク質が発現されるかどうかを決定するために、それらの細胞をウェスタン分析か免疫組織化学に使用することができる。現在まで、絨毛膜絨毛細胞の感染効率は思わしくなく、レトロウイルスで形質導入された細胞のわずか2〜5%に過ぎなかった(ロエストら、1996年)。血清型5アデノウイルスを使用して絨毛膜絨毛にMyoD cDNAを送達することにより、細胞の約10%〜20%(ロエストら、1999年)を形質導入できるが、それは高い感染多重度(MOI)を使用した場合に限られ、その高い感染多重度は望ましくない毒性を、したがって細胞死をもたらす。表5の結果は、試験したなかで最高のMOI(MOI=1細胞あたり5000ウイルス粒子)でルシフェラーゼ活性がかろうじて測定されるに過ぎない(75RLU/μgタンパク質)ことから、アデノウイルス血清型5が絨毛膜絨毛細胞の形質導入用として理想的な候補ではないことを明白に証明している。これらの結果はコクサッキーアデノウイルス受容体(CAR)とインテグリン類の存在に関するフローサイトメトリーを用いて確認され、そのフローサイトメトリーはアデノウイルス血清型5の受容体が絨毛膜絨毛上にはわずかに存在するにすぎないことを示す(表6)。驚くべきことに、B亜群(ファイバー16および/または51)もしくはF亜群(ファイバー40-L)のファイバーを含有するアデノウイルス血清型5系ベクターは、どちらも絨毛膜絨毛を高い効率で形質導入する。ルシフェラーゼ活性によれば、最もうまく働くベクターはファイバー40-Lを持つアデノウイルス5であり、これはタンパク質1μgあたり1,688,028相対光単位(アデノウイルス血清型5と比較して>20,000倍増加した導入遺伝子発現)をもたらす。したがってこのベクターを用いて羊水中に存在する細胞を形質導入することによって、前述の目的で急速な分化を可能にしたり、出生前発育中に遺伝子発現を阻害したり、羊水に目的の核酸を導入して発現させることができる。
【0083】
実施例8:キメラヘキソンタンパク質を持つアデノウイルス血清型5系ウイルスの生成
2またはそれ以上の別個のクローン化アデノウイルス配列の同時トランスフェクションによって組換えアデノウイルスを作成するための後述の方法。つぎに、他のアデノウイルス血清型に由来するDNA配列を容易に導入できる鋳型クローンを作成するために、これらのクローン化アデノウイルス配列を使って特定のアデノウイルス血清型5配列を除去した。それら鋳型クローンの一例として、ヘキソンタンパク質をコードするDNAの交換を可能にするプラスミドの構築について記述する。
【0084】
ヘキソンをコードする DNA を欠くアデノウイルス鋳型クローンの生成
アデノウイルス血清型5のヘキソンコード配列はヌクレオチド18841と21697の間にある。代替アデノウイルス血清型由来のヘキソンコード配列の、アデノウイルス血清型5骨格への交換が容易に行なえるように、まずシャトルベクターを作成した。pBr/Ad.Eco-PmeIと呼ばれるこのサブクローンは、まずプラスミドpBr322をEcoRIとEcoRVで消化し、pWE/Ad.AflII-Ecoの14kbのPmeI-EcoRI断片を挿入することによって作成された。このシャトルベクター中に、SanDIによる消化と再連結によって1430bpのSanDI断片の欠失を作って、pBr/Ad.Eco-PmeIΔSanDIを得た。除去された断片はただ1つのSpeI部位とMunI部位を含有する。pBr/Ad.Eco-PmeIΔSanDIから、ヘキソンをコードするアデノウイルス血清型5 DNAを欠失させた。ここではヘキソン隣接配列をPCRで増幅し、互いに連結することによって、ヘキソンコード領域を置換するただ1つの制限部位を生成させた。これらのPCR反応には、4種類のオリゴヌクレオチドΔhex1〜Δhex4が必要だった。Δhex1:5′-CCT GGT GCT GCC AAC AGC-3′。
【0085】
【配列表2】
【0086】
オリゴヌクレオチドΔhex1とΔhex2を使って得られる±1100bpの増幅DNA産物をBamHIとFseIで消化した。オリゴヌクレオチドΔhex3とΔhex4を使って得られる±1600bpの増幅DNA産物をBamHIとSbfIで消化した。つぎに、これらの消化したPCR断片をアガロースゲルから精製し、FseIとSbfIで消化したpBr/Ad.Eco-PmeIΔSanDIに、T4リガーゼ酵素を用いる三部分連結反応で連結した。得られた構築物をpBr/Ad.Eco-PmeΔHexonと名付けた。この構築物の一部を配列決定して、正しいヌクレオチド配列とただ1つの制限部位MunIとSpeIの存在を確認した。
【0087】
アデノウイルス血清型からのヘキソン配列の増幅
代替血清型由来のヘキソンタンパク質をコードするDNAを増幅できるようにに、縮重オリゴヌクレオチドを合成した。この目的のために、まず、代替血清型のヘキソンタンパク質をコードする既知のDNA配列を整列して、ヘキソンタンパク質のN末端とC末端の両方で保存された領域を同定した。6つの既知の亜群のうち5つを代表する9種類の血清型のヌクレオチド配列を含むその整列から、(縮重)オリゴヌクレオチドを合成した。これらのオリゴヌクレオチドを、HEX-上流(5′-GGACGTGT AAG ATG GCY ACC CCH TCG ATG MTG-3′)およびHEX-下流(5′-CCA TCG ATG GTT ATG TKG TKG CGT TRC CGG C-3′)と名付けた。増幅反応(50μl)は、1反応につき、2mMの各dNTP、25pmolの各オリゴヌクレオチド、標準1×PCR緩衝液、1.5mM MgCl2および1単位のPwo熱安定性ポリメラーゼ(ベーリンガー社)を含有した。サイクラープログラムは、94℃で30秒、60〜64℃で60秒および72℃で120秒からそれぞれ構成される20サイクルを含んだ。そのPCR産物の10分の1をアガロースゲルで泳動することにより、DNA断片が増幅されたことが証明された。それぞれ異なる鋳型で、2回の独立したPCR反応を行なった後、得られた独立のPCR断片を配列決定してヌクレオチド配列を決めた。9種類の血清型から得られるヌクレオチド配列はゲンバンク中に存在する配列になぞらえることができた。他の全ての血清型のヘキソンタンパク質をコードするヌクレオチド配列は未知である。現在までに、血清型1、8、13および18を除く各血清型のヘキソン配列がPCR増幅されている。血清型34、35、36および41のヘキソンのタンパク質配列を図10に示す。
【0088】
ヘキソンキメラアデノウイルス DNA 構築物の生成
全ての増幅されたヘキソンDNAとベクター(pBr/Ad.Eco-PmeΔHexon)をMunIとSpeIで消化した。つぎに、消化したDNAをアガロースゲルで泳動したあと、各断片をそのゲルから単離し、ジーンクリーンキット(バイオ101社)を使って精製した。つぎに、それらのPCR断片をpBr/Ad.Eco-PmeΔHexonのMunI部位とSpeI部位にクローニングすることにより、pBr/Ad.Eco-PmeΔHexXX(ここにXXはそのファイバーDNAを単離した血清型番号を表わす)を作成した。これまでに血清型2、3、4、5、7、9、10、11、14、15、16、19、20、22、23、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、40、41、42、43、46、47、48、49、50、51のヘキソン配列がpBr/Ad.Eco-PmeΔHexXXにクローニングされている。pBr/Ad.Eco-PmeΔHexXX(XXは20、25、26、28、30、34、35)から、ヘキソン配列を包含する9.6kbのAscI断片をゲル電気泳動とアガロースプロトコル(ベーリンガー マンハイム社、オランダ)によって単離した。つぎに、このAscI断片を、AscIで完全に消化して先に記述したように脱リン酸化したコスミドpWE/Ad.AflII-rITRsp(実施例1参照)にクローニングした。このコスミドクローニングにより、構築物pWE/Ad.AflII-rITR/HexXX(XXはそのヘキソンDNAを単離した血清型番号を表わす)が形成した。
【0089】
ヘキソンタンパク質に関してキメラな組換えアデノウイルスの生成
代替血清型のヘキソンを保持する組換えAd5ウイルスを作成するために、2つの構築物pCLIP.LucとpWE/Ad.AflII-rITR/HexXXをアデノウイルス産生細胞に導入した。トランスフェクションのために、4μgのpCLIP.Lucと4μgのpWE/Ad.AflII-rITR/HexXXを無血清DMEMに希釈して総体積を100μlにした。このDNA懸濁液に、2/3倍希釈リポフェクタミン(ギブコ社)100μlを加えた。室温で30分後に、そのDNA-リポフェクタミン複合体溶液を2.5mlの無血清DMEMに加え、つぎにそれをT25cm2組織培養フラスコに加えた(DNA-リポフェクタミン複合体の添加に先立って5mlの無血清培地で細胞を洗浄)。このフラスコはトランスフェクションの24時間前に播種された3×106個のPER.C6細胞を含んでいた。
【0090】
2時間後に、20%ウシ胎仔血清を補足したDMEM 2.5mlを加えることによって、そのDNA-リポフェクタミン錯複合体体含有培地を倍に希釈した。さらに24時間後に、10%ウシ胎仔血清を補足した新しいDMEMで、培地を置換した。細胞を6〜8日培養したあと、収集し、凍結/融解した。室温、3000rpmで5分間の遠心分離によって細胞片を除去した。その上清(12.5ml)のうち3〜5mlを使って、PER.C6細胞(T80cm2組織培養フラスコ)を再び感染させた。
【0091】
ヘキソンキメラアデノウイルスに対するリダイレクトされた中和
キメラアデノウイルスに対する変化した免疫応答を証明するために、本発明者らはまずヒトの患者(25人のがん患者と50人の慢性関節リウマチ患者)から得た75種類の血清を、ヒト911細胞に対する毒性について調べた。この目的のために、911細胞を96穴マイクロタイタープレートに1ウェルあたり3×104細胞の濃度で播種した。24時間後に、ウェルA1〜H1、A5〜H5およびA9〜H9を除く全ウェルの培地を、5%ウシ胎仔血清を補足した50μlのDMEMで置換した。ウェルA1、A2、B1およびB2には、50μlの患者血清1を加えた。同様にウェルC1、C2、D1およびD2には50μlの患者血清2を加えるなどした。つぎに、ウェルA2〜H2の50μlをA3〜H3に移し、そのあと、ウェルA3〜H3の50μlをA4〜H4に移した。このようにしてこの試験計画により、各患者血清について0倍、2倍、4倍および8倍の血清希釈液が得られた。ウェルA5〜H5ないしA8〜H8およびA9〜H9ないしH12〜H12に同じ処置を行なうと、96穴マイクロタイタープレート1枚につき12種類の血清が試験されることになる。つぎに、試験した全部で75のヒト患者血清のうちヒト911細胞に対して明らかな毒性を持たなかった25の血清を、キメラアデノウイルス感染を中和できる抗体の存在について調べた。この目的のために、96穴マイクロタイタープレートのウェルA1〜H1以外を、5%ウシ胎仔血清を補足した50μlのDMEMで満たした。ウェルA1、A2、B1およびB2に、50μlの患者血清1を加えた。同様にウェルC1、C2、D1およびD2には50μlの患者血清2を加えるなどした。つぎに、ウェルA2〜H2の50μlをウェルA3〜A4に移し、そのあと、ウェルA3〜H3の50mlをA4〜H4に移すなどを、A12〜H12まで行なった(希釈範囲:0〜1/2048)。ウェルA12〜H12から50μlを捨てた。つぎに50μlのウイルスを加えたあと、そのマイクロタイタープレートを37℃で1時間インキュベートした。50μlの911細胞懸濁液(3×104細胞/穴)を添加してから、プレートを7〜9日間インキュベートし、そのあと、中和能をCPEの不在、存在または重篤度によって採点した。対照として、これらの実験中に、血清の不在、ウイルスの不在および血清とウイルスの不在を採用した。これらの実験に基づいて、それに対する中和抗体がヒトによってほとんど生成されないキメラウイルスがいくつか同定される。前述したものと同様の実験をヒトと動物から得られる野生型アデノウイルス血清型で行なうことにより、宿主の防御システムによる中和を受けにくい血清型がスクリーニングされる。これらの実験は類似しているものの、数多くの試料の高スルーフプットスクリーニング(throughput screening)を一度に行ない得るような方法で開発される。この検定を以下に説明する。
【0092】
ヒト血清中の中和活性を検出するための高スルーフプット検定法
大量のヒト血清を全てのアデノウイルス血清型に対する中和抗体の存在についてスクリーニングできるように、自動化された96穴検定法を開発した。
ヒト血清
100個体のパネルを選択した。ボランティア(男性50%、女性50%)は人種に関して制約のない20歳から60歳の健康な個体だった。すべてのボランティアがインフォームドコンセントの書式にサインした。アデノウイルスの研究に職業的に関与している人々は除外した。
【0093】
約60mlの血液を乾燥したチューブに採取した。試料採取後2時間以内に血液を2500rpmで10分間遠心分離した。約30mlの血清をポリプロピレンチューブに移し、さらに使用するまで−20℃で凍結保存した。
【0094】
血清を融解し、56℃で10分間熱失活させたあと、凍結融解サイクルを繰り返さないように小分けにした。一部を使って、約70の96穴プレートを満たすのに十分な量で、培地(DMEM、ギブコBRL社)に5段階の2倍希釈液を作った。無希釈血清と希釈血清の一部を深穴プレート(96穴フォーマット)中でピペッティングし、プログラムされたプレートメイト(platemate)を使って96穴プレートに100μlずつ分注した。この方法で、下記の計画に従って、プレートに8種類の血清を倍にして充填した(100μl/穴)。
【0095】
【表1】
【0096】
ここに第1列と第6列のS1/2〜S8/2は1倍希釈血清を表わし、Sx/4、Sx/8、Sx/16およびSx/32は2倍連続希釈液を表わす。最後のプレートには、陰性対照として、100μlのウシ胎仔血清を満たした4つのウェルも含めた。プレートをさらに使用するまで−20℃で保存した。
【0097】
ヒトアデノウイルスストックの調製
PER.C6細胞(ファラックス(Fallaux)ら、1998年)を播種したT25フラスコに、既知のヒトアデノウイルス全てのプロトタイプを接種し、完全なCPEを示した時に収集した。凍結/融解後に1〜2mlの粗製溶解液を使って、PER.C6細胞を含むT80フラスコへ接種し、完全なCPEを示した時点でウイルスを収集した。接種とCPEの発生の間の時間枠と、新しい培養を再感染するのに必要なウイルスの量は、血清型間で異なった。凍結/融解によってアデノウイルスストックを調製し、それらを使って、PER.C6細胞を含む3〜4個のT175cm2三層フラスコへ接種した。CPEが起こったら、そのフラスコをタッピングすることによって細胞を収集し、細胞をペレット状にし、つぎのように2段階CsCl勾配によってウイルスを単離精製した。細胞ペレットを50mlの10mM NaPO4緩衝液(pH7.2)に溶解し、−20℃で凍結した。37℃で融解したあと、5.6mlのデオキシコール酸ナトリウム(5%w/v)を加えた。その溶液を穏やかに混合し、37℃で5〜15分間インキュベートして、細胞を完全に溶解した。その溶液をホモジナイズしたあと、1875μlの1M MgCl2を加えた。375μlのDNアーゼ(10mg/ml)を添加したあと、その溶液を37℃で30分間インキュベートした。室温、1880×gで30分間、ブレーキなしの遠心分離によって細胞片を除去した。つぎにその上清をフレオンでの抽出(3回)によってタンパク質から精製した。清澄化した上清を1MTris/HCl緩衝塩化セシウムブロック勾配(範囲:1.2/1.4g/ml)にのせ、10℃で21000rpmで2.5時間遠心分離した。ウイルスバンドを単離したあと、1.33g/mlの塩化セシウムの1M Tris/HCl緩衝連続勾配を用いて二回目の精製を行なった。つぎにウイルスを10℃で55000rpmで17時間遠心分離した。ウイルスバンドを単離し、ショ糖(50%w/v)を最終濃度が1%になるように加える。透析スライド(スライド-a-ライザー、カットオフ10000kDa、ピアス社、米国)中で、CaCl2(0.9mM)、MgCl2(0.5mM)および増加する濃度のショ糖(1、2、5%)を補足した1.5リットルのPBSに対して透析(室温で1時間を3回)することにより、過剰の塩化セシウムを除去する。透析後、ウイルスをそのスライド-a-ライザーから取り出し、つぎにそれを25および100μlずつに小分けにして、直ちにそのウイルスを−85℃で保存する。1ミリリットルあたりのウイルス粒子数を決定するために、ウイルスのバッチ50μlをシャブラム(Shabram)ら(1997)が記述しているように高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)にかける。ウイルスは、0mMから600mMまでの範囲のNaCl勾配を使って溶出させた。表Iに示すように、ウイルスが溶出するNaCl濃度は、血清型間で有意に異なった。
【0098】
ほとんどのヒトアデノウイルスは2、3の例外を除いてPER.C6細胞でよく複製した。アデノウイルス8型と40型を911-E4細胞(ヒー(He)ら、1998年)で生育させた。精製したストックは5×1010から5×1012ウイルス粒子/ml(VP/ml)を含んだ。
【0099】
精製ヒトアデノウイルスストックの力価測定
中和検定の期間である5日間で完全なCPEを得るのに必要なウイルスの量を決定するために、アデノウイルスをPER.C6細胞で力価測定した。ここでは100μlの培地を96穴プレートの各ウェルに分注した。前もって104、105、106または107倍希釈したアデノウイルスストック25μlを96穴プレートの第2列に加え、10回上下にピペッティングすることによって混合した。つぎに、25μlを第2列から第3列に移し、再び混合した。これを第11列まで繰り返したあと、第11列から25μlを捨てた。この方法で、予備希釈したストックから始めて5倍ずつの連続希釈液を得た。つぎに、3×104個のPER.C6細胞を100μlの体積に加え、そのプレートを37℃、5%CO2で5または6日間インキュベートした。CPEを顕微鏡でモニターした。リード(Reed)とムエンシェ(Muensch)の方法を使って細胞培養阻害用量50%(CCID50)を計算した。
【0100】
並行して同じプレートを準備し、MTT検定(プロメガ社)を使ってそれらを分析した。この検定では、生細胞を比色法的染色によって定量する。ここでは20μlのMTT(PBS中7.5mg/ml)をウェルに加え、37℃、5%CO2で2時間インキュベートした。上清を除去し、100μlの20:1イソプロパノール/トリトンX-100溶液をウェルに加えた。それらのプレートを96穴振盪機に3〜5分間置いて、沈殿した染色を可溶化した。吸光度を540nmと690nm(バックグラウンド)で測定した。この検定によって、進行中のCPEまたは完全なCPEを伴うウェルを識別できる。
【0101】
中和検定
希釈したヒト血清試料を含む96穴プレートを37℃、5%CO2で融解した。50μlあたり200 CCID50に希釈したアデノウイルスストックを調製し、血清を含む上記プレートの第1〜11列に50μlずつ加えた。プレートを37℃、5%CO2で1時間インキュベートした。つぎに、6×105/mlのPER.C6細胞50μlをすべてのウェルに分注し、37℃、5%CO2で1日インキュベートした。血清の毒性効果を避けるために、上清を各行ごとに新しいピペットチップを使って除去し、200μlの新鮮な培地を全てのウェルに加えた。プレートを37℃、5%CO2でさらに4日間インキュベートした。また、ウサギで生成し、行AおよびBの試験しようとする各血清型に特異的な希釈陽性対照血清と、行CとDの陰性対照血清(FCS)とで、倍の並行対照プレートを用意した。また、行E〜Hのそれぞれでは、試験しようとする各ウイルスの200 CCID50から始まる5倍希釈液を使って、前述のように力価測定を行なった。第5日に対照プレートの一つを顕微鏡で分析すると共に、MTT検定で分析した。実験的力価を顕微鏡で観察した対照力価測定プレートから計算した。CPEが完全であることがわかった場合、すなわちMTTで分析した対照力価測定実験における第一希釈液が明らかな細胞死を示す場合は、全検定プレートを処理した。そうでない場合は、完全なCPEが明らかになるまで1日以上検定を進行させたあと、全プレートを処理した。ほとんどの場合、検定は第5日に終了した。最も高い血清濃度で血清を含まない対照と比較して40%の最大保護がみられる場合、その血清試料は非中和性であるとみなした。
【0102】
実施例9:キメラペントンタンパク質を持つAd5系ウイルスの生成
2つ以上の別個のクローン化アデノウイルス配列の同時トランスフェクションによって組換えアデノウイルスを作成するための後述の方法。つぎに、他のアデノウイルス血清型に由来するDNA配列を容易に導入できる鋳型クローンを作成するために、これらのクローン化アデノウイルス配列を使って特定のアデノウイルス血清型5配列を除去した。それら鋳型クローンの一例として、ペントンタンパク質をコードするDNAの交換を可能にするプラスミドの構築ついて記述する。
【0103】
ペントンをコードする DNA を欠くアデノウイルス鋳型クローンの生成
まず、構築物pWE/Ad.AflII-EcoRI(実施例1に記載)から得られる7.2kbのNheI-EcoRV断片を、同じ酵素で消化したpBr322に挿入することによって、ペントン配列用のシャトルベクターを作成した。得られたベクターをpBr/XNと名付けた。このプラスミドからAd5ペントン配列を除去し、つぎにこれらは他の血清型から得られる新しいペントン配列を導入するために使用されるただ1つの制限部位で置換した。ここではpBr/XN中のペントンの左隣接配列をつぎのプライマ-を用いてPCR増幅した:
【配列表3】
【0104】
DP5-Rは右隣接配列への連結用にBamHI部位(下線部)を持ち、元のAd5ペントン領域の5′端にただ1つのBsrGI部位(太字部分)も導入する。
【0105】
右隣接配列は、
【配列表4】
【0106】
を使って増幅した。DP3-Fは左隣接配列への連結用にBamHI部位(下線部)を持ち、元のAd5ペントン領域の3′端にただ1つのAflII部位(太字部分)も導入する。得られた2つのPCR断片をBamHIで消化し、互いに連結した。つぎにその連結混合物をAvrIIとBglIIで消化した。pBr/XNもAvrIIとBglIIで消化し、そのベクター断片を、消化し連結したPCR断片に連結した。得られたクローンをpBr/Ad.Δペントンと名付けた。Ad5以外の血清型から得られるペントンコード配列を、その5′端と3′端がそれぞれBsrGI部位とAflII部位を含有するようにPCR増幅した。それらの異種ペントン配列をpBr/Ad.Δペントンに導入することにより、pBr/Ad.ペントンXX(ここにXXは挿入されたペントン配列を増幅するために使用した血清型に対応する血清型の番号を表わす)と呼ばれる構築物が生成する。つぎに、それらの新しいペントン配列を、共通するFseI断片を交換することによってpWE/Ad.AflII-rITR構築物に導入する。重要なことに、pWE/Ad.AflII-rITRの代わりに、それぞれ修飾されたヘキソンおよび/またはファイバー配列を持つpWE/Ad.AfllII-rITR/HexXXまたはpWE/Ad.AfllII-rITR/FibXXベクターに、pBr/Ad.ペントンXXから得られるFseI断片を挿入することもできる。このようにして、アデノウイルスを作成するための本プラスミド型システムは、標的細胞への感染の効率と特異性および免疫原性に関して望ましい特徴を持つアデノウイルスの自由度の高い設計を可能にする。
【0107】
アデノウイルス血清型からのペントン配列の増幅
代替血清型由来のペントンタンパク質をコードするDNAを増幅できるように、オリゴヌクレオチドを合成した。各アデノウイルス亜群のうち、現時点でペントン配列が知られているものは一つしかない。したがって、それら既知の配列に基づいてオリゴヌクレオチドを設計した。すなわち、C亜群からペントン配列を増幅するには、オリゴヌクレオチドP5-for(5′-gctcgatgtacaatgcggcgcgcggcgatgtat-3′)とP5-rev(5′-gctcgacttaagtcaaaaagtgcggctcgatag-3′)を使用した。B亜群からペントン配列を増幅するには、オリゴヌクレオチドP3-for(5′-gctcgatgtacaatgaggagacgagccgtgcta-3′)とP3-rev(5′-gctcgacttaagttagaaagtgcggcttgaaag-3′)を使用した。D亜群からペントン配列を増幅するには、オリゴヌクレオチドP17-for(5′-gctcgatgtacaatgaggcgtgcggtggtgtcttc-3′)とP17-rev(5′-gctcgacttaagttagaaggtgcgactggaaagc-3′)を使用した。F亜群からペントン配列を増幅するには、オリゴヌクレオチドPF-for(5′-gctcgatgtacaatgagacgtgcggtgggagtg-3′)とPF-rev(5′-gctcgacttaagttaaaacgtgcggctagacag-3′)を使用した。前述したフォワードオリゴヌクレオチドはすべてBsrGI制限部位をその5′末端に含有し、リバースオリゴヌクレオチドは全てその5′末端にAflII制限部位を含有する。
【0108】
増幅反応(50μl)は、1反応につき、2mMのdNTP、25pmolの各オリゴヌクレオチド、標準1×PCR緩衝液、1.5mM MgCl2および1単位のPwo熱安定性ポリメラーゼ(ベーリンガー社)を含有した。サイクラープログラムは、94℃で30秒、60〜64℃で60秒および72℃で120秒からそれぞれ構成される20サイクルを含んだ。そのPCR産物の10分の1をアガロースゲルで泳動することにより、DNA断片が増幅されたことが証明された。それぞれ異なる鋳型で、2回の独立したPCR反応を行なったあと、得られた独立のPCR断片を配列決定してヌクレオチド配列を決めた。51種類のヒト血清型のうち、20のペントン配列が増幅された。
【0109】
ペントンキメラアデノウイルス DNA 構築物の生成
全ての増幅ペントンDNAとベクター(pBr/Ad.Δペントン)をBsrGIとAflIIで消化した。つぎに、消化したDNAをアガロースゲルで泳動したあと、各断片をそのゲルから単離し、ジーンクリーンキット(バイオ101社)を使って精製した。つぎに、それらPCR断片をpBr/Ad.ΔペントンのBsrGI部位とAflII部位にクローニングすることにより、pBr/Ad.ペントンXX(ここにXXはそのペントンDNAを単離した血清型番号を表わす)を作成した。これまでに血清型2、3、5、6、7、11、21、26、35、39、40、41、42、47、48、49および51のペントン配列がpBr/Ad.ペントンXXにクローニングされている。pBr/Ad.ペントンXXから、ペントン配列を包含する5.1kbのFseI断片をゲル電気泳動とジーンクリーンによって単離した。つぎにこのFseI断片を、1)FseIで完全に消化して先に記述したように脱リン酸化したコスミドpWE/Ad.AflII-rITR(実施例1参照)にクローニングした。このコスミドクローニングにより、構築物pWE/Ad.AflII-rITR/ペントンXX(XXはそのペントンDNAを単離した血清型番号を表わす)が形成した。
【0110】
ペントンタンパク質に関してキメラな組換えアデノウイルスの生成
代替血清型のペントンを保持する組換えAd5ウイルスを作成するために、2つの構築物pCLIP.LucとpWE/Ad.AflII-rITR/PenXXをアデノウイルス産生細胞にトランスフェクトした。
【0111】
トランスフェクションのために、4μgのpCLIP.Lucと4μgのpWE/Ad.AflII-rITR/ペントンXXを無血清DMEMに希釈して総体積を100μlにした。このDNA懸濁液に、1倍希釈リポフェクタミン(ギブコ社)100μlを加えた。室温で30分後に、そのDNA-リポフェクタミン複合体溶液を2.5mlの無血清DMEMに加え、つぎにそれをT25cm2組織培養フラスコに加えた。このフラスコはトランスフェクションの24時間前に播種された2×106個のPER.C6細胞を含んでいた。2時間後に、20%ウシ胎仔血清を補足したDMEM 2.5mlを加えることによって、そのDNA-リポフェクタミン複合体含有培地を倍に希釈した。さらに24時間後に、10%ウシ胎仔血清を補足した新しいDMEMで、培地を置換した。細胞を6〜8日培養したあと、収集し、3回凍結/融解した。室温、3000rpmで5分間の遠心分離によって、細胞片を除去した。その上清(12.5ml)のうち3〜5mlを使って、感染PER.C6細胞(T80cm2組織培養フラスコ)を再び感染させた。この再感染は5〜6日後に完全な細胞変性効果(CPE)をもたらし、そのあと、アデノウイルが前述のように収集される。
【0112】
上記実施例1〜9は、感染宿主域の変化またはアデノウイルスベクターに対する免疫応答の変化をもたらすファイバータンパク質またはヘキソンタンパク質に関してキメラな組換えアデノウイルスベクターの構築を包含する。これらのキメラアデノウイルスベクターは遺伝子導入と組換えDNAワクチンの目的で作成される。実施例1〜9に記述したものと類似する方法で、ペントンに関してキメラアデノウイルスが構築され、またアデノウイルスの組立に必要な小タンパク質をコードするDNAや、アデノウイルスの複製に必要な配列などといった(ただしこれらに限らない)他の全てのアデノウイルスタンパク質に関してキメラアデノウイルスが構築され得ることは、強調されなければならない。さらにまた、この技術を用いることにより、現存するアデノウイルス血清型の一部を組み合わせて任意の与えられた標的細胞または標的疾患にとって好ましい特徴を持つアデノウイルスベクターを作成するという目的で、二重キメラ、三重キメラ、四重キメラ等のキメラアデノウイルスベクターを構築できることも強調されなければならない。
【0113】
表1:赤血球凝集の原理に基づく既知のヒトアデノウイルス血清型の分類の要約。
【0114】
表2:ヒトアデノウイルス血清型とヒトの疾患との関係。
【0115】
表3:代替ヒトアデノウイルス血清型に由来するファイバータンパク質をコードするDNAの増幅に使用されるオリゴヌクレオチドと縮重オリゴヌクレオチド。オリゴヌクレオチドA〜E中の太字はNdeI制限部位を表わす。オリゴヌクレオチド1〜6と8中の太字はNsiI制限部位を表わす。ヌクレオチド7中の太字はPacI制限部位を表わす。
【0116】
表4:ファイバーキメラアデノウイルスの生産結果。1mlあたりのウイルス粒子数はHPLCを用いて決定した。1ミリリットルあたりの感染単位(IU)数はヒト911細胞での力価測定によって決定した。IU/mlは受容体媒介過程を反映するので、感染実験のために1ミリリットルあたりのウイルス粒子数を全てのキメラアデノウイルスから得た。
【0117】
表5:ヒトの細胞株と初代細胞の形質導入結果。A549:ヒト肺癌細胞株(ATCC、CCL-1185)。K562:ヒト赤白血病(ATCC、CCL-243)。SupT1:ヒトリンパ芽球ハイブリッドBおよびT(ATCC 、CRL-1991)。GM09503:ヒト初代線維芽細胞。HEPG2:ヒト肝がん(ATCC、HB8065)。CEM:ヒトリンパ芽球細胞(ATCC、CRL-1992)。HeLa:ヒト子宮頚癌(ATCC、CCL-2)。初代羊膜細胞と絨毛膜絨毛細胞はオランダ・ライデンの人類遺伝学部門(department of antropogenetics)から入手した。初代平滑筋細胞と滑膜細胞はTNO-PG(オランダ・ライデン)から入手した。1細胞あたり5000ウイルス粒子のMOIで感染させた細胞のルシフェラーゼ活性(タンパク質1μgあたりの相対光単位(RLU))測定値を示す。
【0118】
表6:標的細胞の膜でのインテグリンαvβ3およびαvβ5、コクサッキーアデノウイルス受容体(CAR)およびMHCクラスIの発現。表5に記載の細胞に加えて、HUVEC:ヒト臍静脈内皮細胞をTNO-PG(オランダ・ライデン)から入手した。いずれかの分子をその膜上に発現させる細胞の百分率を示す。各亜群の一代表株のファイバーを保持するAd5系ベクターと感染効率を表の右側に示す。ND:未決定。0%とは、その細胞の膜におけるその分子の発現がフローサイトメートリーでは検出できないことを意味する。100%とは、細胞膜におけるその分子の高発現を意味する。
【0119】
【表2】
【0120】
【表3】
【0121】
【表4】
【0122】
【表5】
【0123】
【表6】
【0124】
【表7】
【0125】
[参照文献]
Arnberg N., Mei Y. and Wadell G., 1997. Fiber genes of adenoviruses with tropism for the eye and the genital tract. Virology 227: 239-244.
Bout A., 1997. Gene therapy, p. 167-182. In: D.J.A. Crommelin and R.D. Sindelar (ed.), Pharmaceutical biotechnology, Harwood Academic Publishers.
Bout, A. 1996. Prospects for human hene therapy. Eur. J. drug Met. And Pharma. 2, 175-179.
Blaese et al., Cancer Gene Ther., 2 (1995): 291-297.
Brody and Crystal, Ann. N.Y. Acad. Sci. 716 (1994): 90-101.
Chroboczek J., Ruigrok R.W.H., and Cusack S., 1995. Adenovirus fiber, p. 163-200. In: W. Doerfler and P. Bohm (ed.), The molecular repertoire of adenoviruses, I. Springer-Verlag, Berlin.
Defer C., Belin M., Caillet-Boudin M. and Boulanger P., 1990. Human adenovirus-host cell interactions; comparative study with members of subgroup B and C. Journal of Virology 64 (8): 3661-3673.
De Jong, J.C., Wermenbol, A.G., Verweij-Uijterwaal, M.W., Slaterus, K.W., Wertheim-van Dillen, P., van Doornum, G.J.J., Khoo, S.H., and Hierholzer, J.C. (1998) Adenoviruses from HIV-infected patients, including two new candidate serotypes Ad50 and Ad51 of Subgenus D and B1 respectively. In preparation.
Eisenlohr, L.C., Gerard, W., and Hackett, C.J. (1987). Role of receptor-binding activity of the viral hemagglutin molecule in the presentation of influenza virus antigens to helper T-cells. J. Virol 61, 1375-1383
Eiz B and Pring-0Kerblom P., 1997. Molecular characterization of the type-specific g-determinant located on the adenovirus fiber. Journal of Virology 71: 6576-6581.
Francki, R.I.B., Fauquet, C.M., Knudson, D.L. and Brown, F. (1991) Classification and nomenclature of viruses. Fifth report of the international Committee on taxonomy of viruses. Arch. Virol. Suppl. 2,140-144
Gahネry-Sネgard H., Farace F., Godfrin D., Gaston J., Lengagne R., Tursz T., Boulanger P. and Guillet J., 1998. Immune response to recombinant capsid proteins of adenovirus in humans: antifiber and anti-penton base antibodies have a synergistic effect on neutralizing activity. Journal of Virology 72: 2388-2397.
Gall J., Kass-Eisler A., Leinwand L. and Falck-Pedersen E., 1996. Adenovirus type 5 and 7 capsid chimera: fiber replacement alters receptor tropism without affecting primary immune neutralization epitopes. Journal of Virology 70 (4): 2116-2123.
Greber, U.F., Willets, M., Webster, P., and Helenius, A. (1993). Stepwise dismanteling of adenovirus 2 during entry into cells. Cell 75, 477-486.
Hynes. R.O. (1992) Integrins: versatility, modulation and signalling in cell adhesion. Cell 69, 11-25
Herz and Gerard, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 96 (1993): 2812-2816
Hierholzer, J.C. (1992) Adenovirus in the immunocompromised host. Clin. Microbiol Rev. 5, 262-274.
Hierholzer, J.C., Wigand, R., Anderson, L.J., Adrian, T., and Gold, J.W.M. (1998) Adenoviruses from patients with AIDS: a plethora of serotypes and a description of five new serotypes of subgenus D (types43-47). J. Infect. Dis. 158, 804-813.
Ishibashi, M. and Yasue (1983) in Adenoviruses of Animals, Chapter 12, p497-561
Kay, R., Takei, F., and Humphries, R.K. (1990). Expression cloning of a cDNA encoding M1/69-Jlld heat-stable antigens. J. Immunol. 145 (6), 1952-1959
Khoo, S.H., Bailey, A.S., De Jong, J.C., and Mandal, B.K. (1995). Adenovirus infections in human immunodeficiency virus-positive patients: Clinical features and molecular epidemiology. J. Infect. Dis 172, 629-637
Kidd, A.H., Chrboczek, J., Cusack, S., and Ruigrok, R.W.H. (1993) Adenovirus type 40 virions containtwo distinct fibers. Virology 192, 73-84.
Krasnykh V.N., Mikheeva G.V., Douglas J.T. and Curiel D.T., 1996. Generation of recombinant adenovirus vectors with modified fibers for altering viral tropism. Journal of Virology 70 (10): 6839-6846.
Krasnykh V., Dmitriev I., Mikheeva G., Miller C.R., Belousova N. and Curiel D.T., 1998. Characterization of an adenovirus vector containing a heterologous peptide epitope in the HI loop of the fiber knob. Journal of Virology 72(3): 1844-1852.
Leopold, P.L., Ferris, B., Grinberg, I., Worgall, S., Hackett, N.R., and Crystal, R.G. (1998). Fluorescent virions: Dynamic tracking of the pathway of adenoviral vectors in living cells. Hum. Gene Ther. 9, 367-378.
Levrero, M., Barban, V., Manteca, S., Ballay, A., Balsamo, C., Avantaggiata, M.L., Natoli, G., Skellenkens, H., Tiollais, P., and Perricaudet, M. (1991). Defective and non-defective adenovirus vectors for expression foreign genes in vitro and in vivo. Gene 101, 195-202.
Maltin. K.S., Reggio, H., Helenius, A., and Simons, K. (1981). Infectious entry pathway of influenza virus in a canine kidney cell line. J. Cell Biol. 91, 601-613
Morgan, C., Rozenkrantz, H.S., and Mednis, B. (1969) Structure and development of viruses as observed in the electron microscope. X. Entry and uncoating of adenovirus. J. Virol 4, 777-796.
Roest, P.A.M., Bout, M., van der Tuijn, A.C., Ginjaar, I.B., Bakker, E., Hogervorst, F.B.L., van Ommen, G-J. B., den Dunnen, J.T. (1996) J. Med. Genet. 33, 935-939.
Roest, P.A.M., van der Tuijn, A.C., Ginjaar, I.B., Hoeben, R.C., Hogervorst, F.B.L., Bakker, E, den Dunnen, J.T. van Ommen, G-J. B. (1996). Neuromusc. Disord. 6 (no. 3), 195-202.
Roest, P.A.M., van der Tuijn, A.C., Ginjaar, I.B., Hoeben, R.C., Hogervorst, F.B.L., Bakker, E, den Dunnen, J.T. van Ommen, G-J. B. (1999). Lancet 353, 727-728.
Richman, D.D., Hostetler, K.Y., Yazaki, P.J., and Clark, S.(1986). Fate of influenza A virion proteins after entry into subcellular fractions of LLC cells and the effect of amantadine. Virology 151, 200-210
Stevenson S.C., Rollence M., White B., Weaver L. and McClelland A., 1995. Human adenovirus serotypes 3 and 5 bind to two different cellular receptors via the fiber head domain. Journal of Virology 69 (5): 2850-2857.
Stevenson S.C., Rollence M., Marshall-Neff J. and McClelland A., 1997. Selective targeting of human cells by a chimaeric adenovirus vector containing a modified fiber protein. Journal of Virology 71 (6): 4782-4790.
Signas, G., Akusjarvi, G., and Petterson, U. (1985). Adenovirus 3 fiberpolypeptide gene: Complications for the structure of fiber protein. J. Virol. 53, 672-678.
Stouten, P.W.F., Sander, C., Ruigrok, R.W.H., and Cusack, S. (1992) New triple helical model for the shaft of the adenovirus fiber. J. Mol. Biol. 226, 1073-1084.
Schulick, A.H., Vassalli, G., Dunn, P.F., Dong, G., Rade, J.J., Zamarron, C. and Dichek, D.A. (1997). Established immunity precludes adenovirus-mediated gene transfer inratcarotid arteries.
Schnurr, D and Dondero, M.E. (1993) Two new candidate adenovirus serotypes Intervirol. 36, 79-83
Svensson, V. and Persson, R. (1984). Entry of adenovirus 2 into Hela cells. J. Virol. 51, 687-694.
Varga, M.J., Weibull, C., and Everitt, E. (1991). Infectious entry pathway of adenovirus type 2. J. Virol 65, 6061-6070.
Wickham T.J., Carrion M.E. and Kovesdi I., 1995. Targeting of adenovirus penton base to new receptors through replacement of its RGD motif with other receptor-specific peptide motifs. Gene Therapy 2: 750-756.
Wickham T.J., Segal, D.M., Roelvink, P.W., Carrion M.E., Lizonova, A., Lee, G-M., and Kovesdi, I. (1996). Targeted adenovirus gene transfer to endothelial and smooth muscle cells by using bispecific antibodies. J. Virol. 70 (10), 6831-6838
Wickham, T.J., Mathias, P., Cherish, D.A., and Nemerow, G.R. (1993) Integrins avb3 and avb5 promote adenovirus internalisation but not virus attachment. Cell 73, 309-319
【図面の簡単な説明】
【図1】アダプタープラスミドpMLPI.TKの概略図。
【図2】 アダプタープラスミドpAd/L420-HSAの概略図。
【図3】 アダプタープラスミドpAd5/CLIPの概略図。
【図4】 組換えアデノウイルス生成用の2プラスミドシステムの概略図。
【図5】 組換えアデノウイルス生成用の3プラスミドシステムの概略図。
【図6】 プラスミドpBr/AdBamRDeltaFibの生成の概略図であって、ここではアデノウイルス5型ファイバーDNAがただ1つのNsiI部位を含有する短いDNA区間で置換される。
【図7】 アデノウイルス血清型8、9、13、14、20、23、24、25、27、28、29、30、32、33、34、35、36、37、38、39、42、43、44、45、46、47、48、49および51のファイバータンパク質配列。太字はアデノウイルス血清型5のテール部分を表わす。太字が存在しない場合は、Ad5テールを含有しないPCR断片が配列決定されたことを意味する。配列中に存在するXは、ヌクレオチドが同定されていないために未同定であるアミノ酸を意味する。配列の最後に、ファイバーの停止コドンが点で示されている。
【図8】 I123標識されたアデノウイルス血清型5とファイバータンパク質に関してキメラなアデノウイルスとのインビボ体内分布の比較。放射標識アデノウイルス(1010ウイルス粒子、0.1〜2MBq)を尾静脈に静脈内投与した。対照として、同等量の遊離の標識を対照動物に注射した。1時間後にラットを屠殺し、器官をキャリブレートした。図に示す器官の放射活性をシンチレーションカウンターで測定し、それを組織1グラムあたりのカウント毎分として表わす。
【図9】 プラスミドpBr/Ad.Eco-PmeΔヘキソンの生成の概略図。アデノウイルス血清型5タンパク質のヘキソンをコードするDNAを欠失させるために使用したオリゴヌクレオチド・デルタhex1〜4の配列も示す。
【図10】 アデノウイルス血清型34、35、36および41のヘキソンタンパク質配列。配列中に存在するXは、ヌクレオチドが同定されていないために未同定のアミノ酸を意味する。配列の最後に、ヘキソンの停止コドンが点で示されている。
Claims (4)
- 第2血清型のアデノウイルス由来のファイバータンパク質を含む、アデノウイルス血清型5に基づくキメラアデノウイルスであって、該第2血清型がアデノウイルス血清型12、16、32、40−S、40−L、49および51からなる群より選択されるキメラアデノウイルス。
- 少なくとも1つのITRおよびパッケージングシグナルを含むアデノウイルス血清型5に由来する組換えベクターであって、目的の核酸配列の挿入部位を有し、さらに第2血清型のアデノウイルス由来のファイバータンパク質をアデノウイルス血清型5のファイバータンパク質をコードする配列が除去された部位にコードし、該第2血清型がアデノウイルス血清型12、16、32、40−S、40−L、49および51からなる群より選択される組換えベクター。
- プラスミドである請求項2記載の組換えベクター。
- パッケージング細胞および請求項2または3記載の組換えベクターを含むキットであって、該キットにより本質的に組換えが重複することはなく、該細胞および該ベクター間で複製可能なアデノウイルスを産生するキット。
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
EP98202297 | 1998-07-08 | ||
EP98202297.2 | 1998-07-08 | ||
PCT/NL1999/000436 WO2000003029A2 (en) | 1998-07-08 | 1999-07-08 | Chimaeric adenoviruses |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002520026A JP2002520026A (ja) | 2002-07-09 |
JP4472178B2 true JP4472178B2 (ja) | 2010-06-02 |
Family
ID=8233905
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000559250A Expired - Fee Related JP4472178B2 (ja) | 1998-07-08 | 1999-07-08 | キメラアデノウイルス |
Country Status (10)
Country | Link |
---|---|
US (3) | US20030017138A1 (ja) |
EP (1) | EP0978566B1 (ja) |
JP (1) | JP4472178B2 (ja) |
AT (1) | ATE325200T1 (ja) |
AU (1) | AU765276B2 (ja) |
CA (1) | CA2303477C (ja) |
DE (1) | DE69931112T2 (ja) |
ES (1) | ES2263250T3 (ja) |
NZ (1) | NZ503018A (ja) |
WO (1) | WO2000003029A2 (ja) |
Families Citing this family (68)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE69638058D1 (de) | 1995-06-15 | 2009-11-26 | Crucell Holland Bv | Verpackungssysteme für humane rekombinante Adenoviren zur Gentherapie |
US20030017138A1 (en) | 1998-07-08 | 2003-01-23 | Menzo Havenga | Chimeric adenoviruses |
US6929946B1 (en) | 1998-11-20 | 2005-08-16 | Crucell Holland B.V. | Gene delivery vectors provided with a tissue tropism for smooth muscle cells, and/or endothelial cells |
WO2000052186A1 (en) * | 1999-03-04 | 2000-09-08 | Introgene B.V. | Means and methods for fibroblast-like or macrophage-like cell transduction |
US6869936B1 (en) | 1999-03-04 | 2005-03-22 | Crucell Holland B.V. | Means and methods for fibroblast-like or macrophage-like cell transduction |
US6913922B1 (en) | 1999-05-18 | 2005-07-05 | Crucell Holland B.V. | Serotype of adenovirus and uses thereof |
US20050232900A1 (en) * | 1999-05-18 | 2005-10-20 | Crucell Holland B.V. | Serotype of adenovirus and uses thereof |
US6492169B1 (en) | 1999-05-18 | 2002-12-10 | Crucell Holland, B.V. | Complementing cell lines |
EP1067188A1 (en) * | 1999-07-08 | 2001-01-10 | Introgene B.V. | Infection with chimaeric adenoviruses of cells negative for the adenovirus serotype 5 Coxsacki adenovirus receptor (CAR) |
DE19956763A1 (de) * | 1999-11-25 | 2001-06-13 | Guenter Cichon | Rekombinante Adenoviren mit reduzierter Affinität zu humanen Erythrozyten zur Anwendung in der Gentherapie |
US6867022B1 (en) | 2000-01-21 | 2005-03-15 | Regents Of The University Of Michigan | Replication deficient adenovirus vectors and methods of making and using them |
EP1191105A1 (en) * | 2000-09-25 | 2002-03-27 | Galapagos Genomics B.V. | Gene delivery vectors provided with a tissue tropism for T-lymphocytes |
EP1157999A1 (en) * | 2000-05-24 | 2001-11-28 | Introgene B.V. | Methods and means for enhancing skin transplantation using gene delivery vehicles having tropism for primary fibroblasts, as well as other uses thereof |
EP1285079A2 (en) * | 2000-05-31 | 2003-02-26 | University of Saskatchewan | Modified bovine adenovirus having altered tropism |
US7754201B2 (en) * | 2000-06-02 | 2010-07-13 | GenPhar, Inc | Method of vaccination through serotype rotation |
ATE315095T1 (de) | 2000-08-10 | 2006-02-15 | Crucell Holland Bv | Adenovirenvektoren zur transduktion der chondrozyten |
US7235233B2 (en) | 2000-09-26 | 2007-06-26 | Crucell Holland B.V. | Serotype 5 adenoviral vectors with chimeric fibers for gene delivery in skeletal muscle cells or myoblasts |
EP1195440A1 (en) * | 2000-10-06 | 2002-04-10 | Introgene B.V. | Gene delivery vectors for stem cells |
WO2002029073A2 (en) * | 2000-10-06 | 2002-04-11 | Crucell Holland B.V. | Gene delivery vectors for stem cells |
WO2002083902A2 (en) * | 2001-01-09 | 2002-10-24 | University Of Iowa Research Foundation | Adenovirus serotype 30 (ad30) fiber protein and uses thereof |
US6635466B2 (en) * | 2001-01-09 | 2003-10-21 | University Of Iowa Research Foundation | Adenovirus serotype 30 (Ad30) |
EP1377672A2 (en) | 2001-02-23 | 2004-01-07 | Novartis AG | Vector constructs |
JP2002325573A (ja) * | 2001-04-27 | 2002-11-12 | Japan Science & Technology Corp | ベクター |
EP1256803A1 (en) | 2001-05-07 | 2002-11-13 | Crucell Holland B.V. | Methods for the identification of antiviral compounds |
ATE530672T1 (de) * | 2001-06-22 | 2011-11-15 | Univ Pennsylvania | Rekombinante adenoviren mit affen-adenovirus proteinen und verwendung davon. |
EP1944043A1 (en) * | 2001-11-21 | 2008-07-16 | The Trustees of the University of Pennsylvania | Simian adenovirus nucleic acid and amino acid sequences, vectors containing same, and methods of use |
AU2007201747B2 (en) * | 2001-11-21 | 2010-06-03 | The Trustees Of The University Of Pennsylvania | Simian adenovirus nucleic acid and amino acid sequences, vectors containing same, and methods of use |
BR0214350A (pt) * | 2001-11-21 | 2005-05-10 | Univ Pennsylvania | Sequências de ácido nucleico e aminoácido de adenovìrus de sìmio, vetores contendo as mesmas e métodos de uso |
CA2474763A1 (en) * | 2002-01-24 | 2003-07-31 | The Scripps Research Institute | Fiber shaft modifications for efficient targeting |
JP4495587B2 (ja) | 2002-04-25 | 2010-07-07 | クルセル ホランド ベー ヴェー | 組換えアデノウイルスベクターおよびその使用 |
PL208588B1 (pl) | 2002-04-25 | 2011-05-31 | Crucell Holland Bv | Rekombinowane adenowirusy, wyizolowane kwasy nukleinowe, komórki pakujące oraz sposoby zwiększania stabilności i/lub pojemności upakowania rekombinowanego adenowirusa |
WO2004027073A1 (en) * | 2002-09-20 | 2004-04-01 | Crucell Holland B.V. | Modified adenoviral vectors for use in vaccines and gene therapy |
AU2003288273A1 (en) | 2002-10-23 | 2004-05-13 | Crucell Holland B.V. | New settings for recombinant adenoviral-based vaccines |
US20080153083A1 (en) | 2003-10-23 | 2008-06-26 | Crucell Holland B.V. | Settings for recombinant adenoviral-based vaccines |
SG156535A1 (en) | 2002-12-17 | 2009-11-26 | Crucell Holland Bv | Recombinant viral-based malaria vaccines |
CA2519680A1 (en) * | 2003-03-28 | 2004-11-18 | The Scripps Research Institute | Adenovirus particles with enhanced infectivity of dendritic cells and particles with decreased infectivity of hepatocytes |
JP2007531507A (ja) * | 2003-06-11 | 2007-11-08 | ザ スクリップス リサーチ インスティテュート | 効率的な受容体結合のための修飾型線維タンパク質 |
ES2478625T3 (es) * | 2003-06-20 | 2014-07-22 | The Trustees Of The University Of Pennsylvania | Método de generación de adenovirus quiméricos y usos de tales adenovirus quiméricos |
US7291498B2 (en) | 2003-06-20 | 2007-11-06 | The Trustees Of The University Of Pennsylvania | Methods of generating chimeric adenoviruses and uses for such chimeric adenoviruses |
NZ548495A (en) | 2004-02-23 | 2009-05-31 | Crucell Holland Bv | Virus purification methods |
ATE491799T1 (de) * | 2004-05-26 | 2011-01-15 | Bayer Schering Pharma Ag | Chimäre adenoviren zur verwendung in der krebsbehandlung |
AP2351A (en) | 2004-10-13 | 2012-01-25 | Crucell Holland Bv | Improved adenoviral vectors and uses thereof. |
DK1869171T4 (en) | 2005-04-11 | 2016-01-18 | Crucell Holland Bv | Virus cleaning using ultrafiltration |
EP1948792A4 (en) * | 2005-10-28 | 2010-08-04 | James Michael Mathis | CONDITIONALLY REPLICATIVE VIRUSES AND METHOD FOR CANCER VIRO THERAPY |
EP1998804B1 (en) * | 2006-03-27 | 2014-04-16 | Crucell Holland B.V. | Compositions comprising a recombinant adenovirus and an adjuvant |
JP5770633B2 (ja) | 2008-11-03 | 2015-08-26 | クルセル ホランド ベー ヴェー | アデノウイルスベクターの産生方法 |
BR112012008516B1 (pt) | 2009-10-15 | 2021-10-19 | Janssen Vaccines & Prevention B.V. | Método para purificar partículas de adenovírus a partir de uma suspensão de célula |
AU2010305768B2 (en) | 2009-10-15 | 2015-05-14 | Crucell Holland B.V. | Process for adenovirus purification from high cell density cultures |
WO2012024351A2 (en) * | 2010-08-16 | 2012-02-23 | Salk Institute For Biological Studies | Adenoviral assembly method |
AP3390A (en) | 2010-09-20 | 2015-08-31 | Crucell Holland Bv | Therapeutic vaccination against active tuberculosis |
CA2857087C (en) | 2011-11-28 | 2021-05-25 | Crucell Holland B.V. | Influenza virus vaccines and uses thereof |
EP2855669B1 (en) * | 2012-05-29 | 2018-10-10 | GenVec, Inc. | Modified serotype 28 adenoviral vectors |
EP2971008B1 (en) | 2013-03-14 | 2018-07-25 | Salk Institute for Biological Studies | Oncolytic adenovirus compositions |
EP3046536B1 (en) | 2013-09-19 | 2018-11-28 | Janssen Vaccines & Prevention B.V. | Improved adenovirus formulations |
SG11201602887QA (en) | 2013-10-25 | 2016-05-30 | Psioxus Therapeutics Ltd | Oncolytic adenoviruses armed with heterologous genes |
CN108396015B (zh) | 2015-04-30 | 2022-02-18 | 皮斯奥克斯治疗公司 | 编码b7蛋白质的溶瘤腺病毒 |
US20170067028A1 (en) * | 2015-05-15 | 2017-03-09 | Douglas J. Ballon | Radiolabeling of adeno associated virus |
WO2017060329A1 (en) | 2015-10-06 | 2017-04-13 | Janssen Vaccines & Prevention B.V. | Methods for preventing plastic-induced degradation of biologicals |
KR20180107105A (ko) | 2015-12-17 | 2018-10-01 | 싸이오서스 테라퓨틱스 엘티디. | 항-tcr-복합체 항체 또는 단편을 암호화하는 군 b 아데노바이러스 |
EP3390428B1 (en) | 2016-02-23 | 2019-09-25 | Salk Institute for Biological Studies | High throughput assay for measuring adenovirus replication kinetics |
KR102471633B1 (ko) | 2016-02-23 | 2022-11-25 | 솔크 인스티튜트 포 바이올로지칼 스터디즈 | 바이러스 동역학에 미치는 영향 최소화를 위한 치료용 아데노바이러스의 외인성 유전자 발현 |
GB201713765D0 (en) | 2017-08-28 | 2017-10-11 | Psioxus Therapeutics Ltd | Modified adenovirus |
AU2017375633C1 (en) | 2016-12-12 | 2023-04-27 | Salk Institute For Biological Studies | Tumor-targeting synthetic adenoviruses and uses thereof |
JP7260173B2 (ja) | 2017-04-21 | 2023-04-18 | ベイラー カレッジ オブ メディスン | 腫瘍溶解性ウイルス療法および免疫療法 |
NZ759833A (en) | 2017-05-26 | 2023-01-27 | Epicentrx Inc | Recombinant adenoviruses carrying transgenes |
GB202013940D0 (en) | 2020-09-04 | 2020-10-21 | Synpromics Ltd | Regulatory nucleic acid sequences |
US20230374542A1 (en) | 2020-10-07 | 2023-11-23 | Asklepios Biopharmaceutical, Inc. | Therapeutic adeno-associated virus delivery of fukutin related protein (fkrp) for treating dystroglycanopathy. disorders including limb girdle 21 (lgmd21) |
EP4338727A1 (en) | 2022-09-14 | 2024-03-20 | Roquette Freres | Adenovirus formulations |
Family Cites Families (97)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US4593002A (en) * | 1982-01-11 | 1986-06-03 | Salk Institute Biotechnology/Industrial Associates, Inc. | Viruses with recombinant surface proteins |
US4487829A (en) * | 1982-03-23 | 1984-12-11 | Massachusetts Institute Of Technology | Production and use of monoclonal antibodies against adenoviruses |
US4589881A (en) * | 1982-08-04 | 1986-05-20 | La Jolla Cancer Research Foundation | Polypeptide |
US4792525A (en) * | 1982-08-04 | 1988-12-20 | La Jolla Cancer Research Foundation | Tetrapeptide |
US4578079A (en) * | 1982-08-04 | 1986-03-25 | La Jolla Cancer Research Foundation | Tetrapeptide |
US4517686A (en) * | 1982-08-04 | 1985-05-21 | La Jolla Cancer Research Foundation | Polypeptide |
US4797368A (en) * | 1985-03-15 | 1989-01-10 | The United States Of America As Represented By The Department Of Health And Human Services | Adeno-associated virus as eukaryotic expression vector |
FR2602790B1 (fr) | 1986-08-13 | 1990-06-01 | Transgene Sa | Expression d'un antigene specifique de tumeur par un virus vecteur recombinant et utilisation de celui-ci pour le traitement preventif ou curatif de la tumeur correspondante |
US5166320A (en) * | 1987-04-22 | 1992-11-24 | University Of Connecticut | Carrier system and method for the introduction of genes into mammalian cells |
US4956281A (en) * | 1987-06-03 | 1990-09-11 | Biogen, Inc. | DNA sequences, recombinant DNA molecules and processes for producing lymphocyte function associated antigen-3 |
US5024939A (en) * | 1987-07-09 | 1991-06-18 | Genentech, Inc. | Transient expression system for producing recombinant protein |
US5585254A (en) * | 1987-08-21 | 1996-12-17 | University Of Colorado Foundation, Inc. | Autonomous parvovirus gene delivery vehicles and expression vectors |
US5223409A (en) * | 1988-09-02 | 1993-06-29 | Protein Engineering Corp. | Directed evolution of novel binding proteins |
CA2000048A1 (en) * | 1988-10-03 | 1990-04-03 | Edward F. Plow | Peptides and antibodies that inhibit integrin-ligand bindin g |
US5096815A (en) * | 1989-01-06 | 1992-03-17 | Protein Engineering Corporation | Generation and selection of novel dna-binding proteins and polypeptides |
US5198346A (en) * | 1989-01-06 | 1993-03-30 | Protein Engineering Corp. | Generation and selection of novel DNA-binding proteins and polypeptides |
DE69032841T2 (de) * | 1989-01-23 | 1999-05-12 | Chiron Corp | Rekombinante zellen für therapien von infektionen und hyperprolieferative störungen und deren herstellung |
US5223394A (en) * | 1989-04-10 | 1993-06-29 | Biogen, Inc. | Recombinant dna molecule comprising lymphocyte function-associated antigen 3 phosphatidylinositol linkage signal sequence |
DK0479909T3 (da) | 1989-06-29 | 1997-04-07 | Medarex Inc | Bispecifikke reagenser til AIDS-behandling |
US5240846A (en) * | 1989-08-22 | 1993-08-31 | The Regents Of The University Of Michigan | Gene therapy vector for cystic fibrosis |
US5332567A (en) * | 1989-08-24 | 1994-07-26 | Immunomedics | Detection and treatment of infections with immunoconjugates |
US5436146A (en) * | 1989-09-07 | 1995-07-25 | The Trustees Of Princeton University | Helper-free stocks of recombinant adeno-associated virus vectors |
ES2133139T3 (es) | 1989-10-20 | 1999-09-01 | Medarex Inc | Hetero anticuerpos biespecificos con funciones efectoras dobles. |
EP0496818B1 (en) | 1989-10-20 | 1999-06-23 | Trustees Of Dartmouth College | MONOCLONAL ANTIBODY SPECIFIC FOR IgA RECEPTOR |
AU7906691A (en) * | 1990-05-23 | 1991-12-10 | United States of America, as represented by the Secretary, U.S. Department of Commerce, The | Adeno-associated virus (aav)-based eucaryotic vectors |
US5349053A (en) * | 1990-06-01 | 1994-09-20 | Protein Design Labs, Inc. | Chimeric ligand/immunoglobulin molecules and their uses |
US5246921A (en) * | 1990-06-26 | 1993-09-21 | The Wistar Institute Of Anatomy And Biology | Method for treating leukemias |
GB2246779B (en) | 1990-08-03 | 1994-08-17 | Delta Biotechnology Ltd | Tumour-associated protease inhibitors targeted to tumour cells |
GB9101550D0 (en) | 1991-01-24 | 1991-03-06 | Mastico Robert A | Antigen-presenting chimaeric protein |
DE69233013T2 (de) | 1991-08-20 | 2004-03-04 | The Government Of The United States Of America As Represented By The Secretary Of National Institute Of Health, Office Of Technology Transfer | Adenovirus vermittelter gentransfer in den gastrointestinaltrakt |
FR2681786A1 (fr) | 1991-09-27 | 1993-04-02 | Centre Nat Rech Scient | Vecteurs recombinants d'origine virale, leur procede d'obtention et leur utilisation pour l'expression de polypeptides dans des cellules musculaires. |
IL103059A0 (en) | 1991-09-30 | 1993-02-21 | Boehringer Ingelheim Int | Conjugates for introducing nucleic acid into higher eucaryotic cells |
US5521291A (en) * | 1991-09-30 | 1996-05-28 | Boehringer Ingelheim International, Gmbh | Conjugates for introducing nucleic acid into higher eucaryotic cells |
NZ244306A (en) * | 1991-09-30 | 1995-07-26 | Boehringer Ingelheim Int | Composition for introducing nucleic acid complexes into eucaryotic cells, complex containing nucleic acid and endosomolytic agent, peptide with endosomolytic domain and nucleic acid binding domain and preparation |
JPH073958B2 (ja) * | 1992-01-31 | 1995-01-18 | インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレイション | 終端回路 |
DE69334238D1 (de) | 1992-09-25 | 2008-09-25 | Aventis Pharma Sa | Adenovirus vektoren für die übertragung fremder gene in zellen des zentralen nervensystems, insbesondere im gehirn |
GB9223084D0 (en) | 1992-11-04 | 1992-12-16 | Imp Cancer Res Tech | Compounds to target cells |
ATE307212T1 (de) | 1992-11-18 | 2005-11-15 | Arch Dev Corp | Adenovirus-gelenkter gen-transfer zum herz-und glatten vaskulären muskel |
GB9300686D0 (en) | 1993-01-15 | 1993-03-03 | Imp Cancer Res Tech | Compounds for targeting |
AU6133394A (en) | 1993-02-09 | 1994-08-29 | Scripps Research Institute, The | Targeting and delivery of genes and antiviral agents into cells by the adenovirus penton |
DE4311651A1 (de) | 1993-04-08 | 1994-10-13 | Boehringer Ingelheim Int | Virus für den Transport von Fremd-DNA in höhere eukaryotische Zellen |
EP1211319A2 (en) | 1993-05-10 | 2002-06-05 | The Regents of The University of Michigan | Gene transfer into pancreatic and biliary epithelial cells |
US5543328A (en) | 1993-08-13 | 1996-08-06 | Genetic Therapy, Inc. | Adenoviruses having modified fiber proteins |
US5631236A (en) * | 1993-08-26 | 1997-05-20 | Baylor College Of Medicine | Gene therapy for solid tumors, using a DNA sequence encoding HSV-Tk or VZV-Tk |
EP0716711A1 (de) | 1993-09-03 | 1996-06-19 | Max-Planck-Gesellschaft zur Förderung der Wissenschaften e.V. | Vektor für leber-gentherapie |
US5552311A (en) * | 1993-09-14 | 1996-09-03 | University Of Alabama At Birmingham Research Foundation | Purine nucleoside phosphorylase gene therapy for human malignancy |
US5534423A (en) * | 1993-10-08 | 1996-07-09 | Regents Of The University Of Michigan | Methods of increasing rates of infection by directing motion of vectors |
FR2712812B1 (fr) | 1993-11-23 | 1996-02-09 | Centre Nat Rech Scient | Composition pour la production de produits thérapeutiques in vivo. |
IT1271461B (it) | 1993-12-01 | 1997-05-28 | Menarini Ricerche Sud Spa | Anticorpo monoclonale bispecifico anti-cd3/anti-egfr,processo per la produzione e suo uso. |
US5443953A (en) * | 1993-12-08 | 1995-08-22 | Immunomedics, Inc. | Preparation and use of immunoconjugates |
US5928944A (en) | 1994-02-04 | 1999-07-27 | The United States Of America As Represented By The Department Of Health And Human Services | Method of adenoviral-medicated cell transfection |
US6312699B1 (en) | 1994-03-28 | 2001-11-06 | Uab Research Foundation | Ligands added to adenovirus fiber |
US7252989B1 (en) | 1994-04-04 | 2007-08-07 | Board Of Regents, The University Of Texas System | Adenovirus supervector system |
US5560905A (en) * | 1994-05-13 | 1996-10-01 | The Proctor & Gamble Company | Oral compositions |
ATE200105T1 (de) | 1994-05-13 | 2001-04-15 | Chiron Corp | Verfahren und zusammensetzungen als vehikel zur zielgerichtete einbringen von genen |
US5571531A (en) | 1994-05-18 | 1996-11-05 | Mcmaster University | Microparticle delivery system with a functionalized silicone bonded to the matrix |
US5570975A (en) | 1994-06-27 | 1996-11-05 | Reinert, Sr.; Gary L. | Metal foundation push-it and installation apparatus and method |
FR2721943B1 (fr) | 1994-06-29 | 1996-08-02 | Rhone Poulenc Rorer Sa | Adenovirus comprenant un gene codant pour une superoxyde dismutase |
US5846782A (en) * | 1995-11-28 | 1998-12-08 | Genvec, Inc. | Targeting adenovirus with use of constrained peptide motifs |
US5559099A (en) * | 1994-09-08 | 1996-09-24 | Genvec, Inc. | Penton base protein and methods of using same |
JPH10508743A (ja) | 1994-09-09 | 1998-09-02 | ニューロクライン バイオサイエンシーズ, インコーポレイテッド | インターロイキン−1 タイプ3レセプター |
FR2724846B1 (fr) | 1994-09-27 | 1996-12-20 | Rhone Poulenc Rorer Sa | Methode de traitement des cancers par regulation de l'activite des proteines ras |
FR2725726B1 (fr) | 1994-10-17 | 1997-01-03 | Centre Nat Rech Scient | Vecteurs viraux et utilisation en therapie genique |
US5856152A (en) * | 1994-10-28 | 1999-01-05 | The Trustees Of The University Of Pennsylvania | Hybrid adenovirus-AAV vector and methods of use therefor |
ES2240980T3 (es) * | 1994-10-28 | 2005-10-16 | The Trustees Of The University Of Pennsylvania | Adenovirus mejorado y metodos de utilizacion del mismo. |
WO1996014837A1 (en) | 1994-11-09 | 1996-05-23 | Genetic Therapy, Inc. | Gene therapy for hypercholesterolemia |
EP0795606B1 (en) | 1994-11-29 | 2000-08-16 | Takara Shuzo Co. Ltd. | Process for producing transformed cell |
FR2727867B1 (fr) | 1994-12-13 | 1997-01-31 | Rhone Poulenc Rorer Sa | Transfert de genes dans les motoneurones medullaires au moyen de vecteurs adenoviraux |
AUPN107195A0 (en) | 1995-02-10 | 1995-03-09 | Withers, Graham Rex | Metal matrix forming method and apparatus |
US5770442A (en) * | 1995-02-21 | 1998-06-23 | Cornell Research Foundation, Inc. | Chimeric adenoviral fiber protein and methods of using same |
US6127525A (en) * | 1995-02-21 | 2000-10-03 | Cornell Research Foundation, Inc. | Chimeric adenoviral coat protein and methods of using same |
WO1996035798A1 (en) | 1995-05-10 | 1996-11-14 | Introgene B.V. | Improved retroviral vectors, especially suitable for gene therapy |
DE69638058D1 (de) * | 1995-06-15 | 2009-11-26 | Crucell Holland Bv | Verpackungssysteme für humane rekombinante Adenoviren zur Gentherapie |
US5622699A (en) * | 1995-09-11 | 1997-04-22 | La Jolla Cancer Research Foundation | Method of identifying molecules that home to a selected organ in vivo |
US5837511A (en) | 1995-10-02 | 1998-11-17 | Cornell Research Foundation, Inc. | Non-group C adenoviral vectors |
EP1616961A1 (en) * | 1995-11-28 | 2006-01-18 | Genvec, Inc. | Vectors and methods for gene transfer to cells |
US5871727A (en) * | 1995-12-08 | 1999-02-16 | Uab Research Foundation | Targeted adenovirus vectors |
EP0927044A4 (en) | 1996-04-16 | 1999-09-08 | Immusol Inc | DEFINED TARGET VIRAL VECTORS |
US5877011A (en) * | 1996-11-20 | 1999-03-02 | Genzyme Corporation | Chimeric adenoviral vectors |
US5922315A (en) * | 1997-01-24 | 1999-07-13 | Genetic Therapy, Inc. | Adenoviruses having altered hexon proteins |
EP1017421B1 (en) * | 1997-03-07 | 2005-05-25 | The Wistar Institute Of Anatomy And Biology | Use of adenoviral vectors expressing VEGF or PDGF FOR HEALING TISSUE DEFECTS AND INDUCING HYPERVASCULARITY IN MAMMALIAN TISSUE |
US6100086A (en) * | 1997-04-14 | 2000-08-08 | Genzyme Corporation | Transgene expression systems |
NZ500791A (en) * | 1997-05-08 | 2002-10-25 | Genetic Therapy Inc | Gene transfer with adenoviruses having modified fiber proteins |
US5849561A (en) * | 1997-05-22 | 1998-12-15 | Cornell Research Foundation, Inc. | Method for the production of non-group C adenoviral vectors |
US6287857B1 (en) * | 1998-02-09 | 2001-09-11 | Genzyme Corporation | Nucleic acid delivery vehicles |
AU3358999A (en) | 1998-03-20 | 1999-10-11 | Genzyme Corporation | Chimeric adenoviral vectors for targeted gene delivery |
US20030017138A1 (en) | 1998-07-08 | 2003-01-23 | Menzo Havenga | Chimeric adenoviruses |
CA2342396A1 (en) * | 1998-09-11 | 2000-03-23 | Genvec, Inc. | Alternatively targeted adenovirus |
EP1020529B1 (en) | 1998-11-20 | 2005-06-01 | Crucell Holland B.V. | Gene delivery vectors provided with a tissue tropism for smooth muscle cells, and/or endothelial cells |
EP1016726A1 (en) | 1998-12-30 | 2000-07-05 | Introgene B.V. | Gene therapy to promote angiogenesis |
US6869936B1 (en) * | 1999-03-04 | 2005-03-22 | Crucell Holland B.V. | Means and methods for fibroblast-like or macrophage-like cell transduction |
AU777041B2 (en) | 1999-05-17 | 2004-09-30 | Crucell Holland B.V. | Adenovirus derived gene delivery vehicles comprising at least one element of adenovirus type 35 |
US6492169B1 (en) * | 1999-05-18 | 2002-12-10 | Crucell Holland, B.V. | Complementing cell lines |
EP1067188A1 (en) | 1999-07-08 | 2001-01-10 | Introgene B.V. | Infection with chimaeric adenoviruses of cells negative for the adenovirus serotype 5 Coxsacki adenovirus receptor (CAR) |
EP1157999A1 (en) | 2000-05-24 | 2001-11-28 | Introgene B.V. | Methods and means for enhancing skin transplantation using gene delivery vehicles having tropism for primary fibroblasts, as well as other uses thereof |
ATE315095T1 (de) * | 2000-08-10 | 2006-02-15 | Crucell Holland Bv | Adenovirenvektoren zur transduktion der chondrozyten |
US6905678B2 (en) * | 2001-07-07 | 2005-06-14 | Crucell Holland B.V. | Gene delivery vectors with cell type specificity for mesenchymal stem cells |
-
1999
- 1999-07-07 US US09/348,354 patent/US20030017138A1/en not_active Abandoned
- 1999-07-08 JP JP2000559250A patent/JP4472178B2/ja not_active Expired - Fee Related
- 1999-07-08 NZ NZ503018A patent/NZ503018A/xx not_active IP Right Cessation
- 1999-07-08 EP EP99202233A patent/EP0978566B1/en not_active Expired - Lifetime
- 1999-07-08 WO PCT/NL1999/000436 patent/WO2000003029A2/en active IP Right Grant
- 1999-07-08 ES ES99202233T patent/ES2263250T3/es not_active Expired - Lifetime
- 1999-07-08 CA CA2303477A patent/CA2303477C/en not_active Expired - Fee Related
- 1999-07-08 AT AT99202233T patent/ATE325200T1/de not_active IP Right Cessation
- 1999-07-08 DE DE69931112T patent/DE69931112T2/de not_active Expired - Lifetime
- 1999-07-08 AU AU49356/99A patent/AU765276B2/en not_active Ceased
-
2001
- 2001-09-14 US US09/953,280 patent/US20030073072A1/en not_active Abandoned
-
2005
- 2005-08-18 US US11/207,626 patent/US7749493B2/en not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
WO2000003029A3 (en) | 2000-03-16 |
ATE325200T1 (de) | 2006-06-15 |
US20030073072A1 (en) | 2003-04-17 |
ES2263250T3 (es) | 2006-12-01 |
WO2000003029A2 (en) | 2000-01-20 |
DE69931112D1 (de) | 2006-06-08 |
CA2303477A1 (en) | 2000-01-20 |
CA2303477C (en) | 2010-04-06 |
US20030017138A1 (en) | 2003-01-23 |
AU765276B2 (en) | 2003-09-11 |
US7749493B2 (en) | 2010-07-06 |
JP2002520026A (ja) | 2002-07-09 |
AU4935699A (en) | 2000-02-01 |
US20060014276A1 (en) | 2006-01-19 |
NZ503018A (en) | 2003-06-30 |
DE69931112T2 (de) | 2006-12-07 |
EP0978566B1 (en) | 2006-05-03 |
EP0978566A3 (en) | 2000-04-19 |
EP0978566A2 (en) | 2000-02-09 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4472178B2 (ja) | キメラアデノウイルス | |
US6803234B2 (en) | Gene delivery vectors with cell type specificity for primary human chondrocytes | |
US6913922B1 (en) | Serotype of adenovirus and uses thereof | |
EP1054064B1 (en) | Adenovirus derived gene delivery vehicles comprising at least one element of adenovirus type 35 | |
US7968087B2 (en) | Gene delivery vectors provided with a tissue tropism for smooth muscle cells, and/or endothelial cells | |
US20030096415A1 (en) | Infection with chimaeric adenoviruses of cells negative for the adenovirus serotype 5 Coxsacki adenovirus receptor (CAR) | |
EP1020529B1 (en) | Gene delivery vectors provided with a tissue tropism for smooth muscle cells, and/or endothelial cells | |
AU770780B2 (en) | Gene delivery vectors provided with a tissue tropism for smooth muscle cells, and/or endothelial cells | |
AU2003268608B2 (en) | Chimaeric adenoviruses | |
HAVENGA | Chimeric Adenoviruses | |
AU2001294348B2 (en) | Transduction of chondrocytes using adenoviral vectors | |
AU2001294348A1 (en) | Transduction of chondrocytes using adenoviral vectors |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20060526 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20090310 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20090609 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20090804 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20091029 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20100223 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20100303 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130312 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130312 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140312 Year of fee payment: 4 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |