JP4471521B2 - シールド工法、大断面トンネルおよびその施工方法並びにシールド掘進機 - Google Patents

シールド工法、大断面トンネルおよびその施工方法並びにシールド掘進機 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シールド工法およびそれを利用した大断面トンネルの施工方法、その方法により築造される大断面トンネル、並びに、それらに用いるシールド掘進機に関する。
【0002】
【従来の技術】
地下駐車場等の大断面トンネルを築造する場合、従来一般的な施工方法として、広範囲の地上部分を開削して施工する開削方法が行われてきた。しかし、この方法では、地上の建造物が障害となったり、都市では地上の部分の開削が交通渋滞の原因となるという欠点があった。
また、大型のシールド掘進機を使用して大断面トンネルを構築する方法もあるが、コストが非常に高くなるという欠点がある。
さらに、ボックス断面の小型シールド機や円形の小口径シールド機を組み合わせて外周部を分割して施工し、各トンネルを組み合わせて大断面トンネルを構築する方法も行われているが、覆工費が高いことや、各トンネルの接合部が多いため、止水や構造体としての一体化が困難であるという欠点を有している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、例えば地下駐車場などの大断面トンネルの築造を効率的に行うための施工手段を提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に記載のシールド工法の発明は、シールド掘進機により地山を掘削しつつ、掘進方向後方に外殻覆工体を構築していくシールド工法であって、所定間隔で複数の平行な導坑を構築し、前記シールド掘進機により、隣接する二本の導坑において該導坑の支保構造の一部を切削しつつ、導坑間の地山を掘削して前記二本の導坑を連結するように一つの掘削空間を作るとともに、該掘削空間に外殻覆工体を順次構築していくことを特徴とする。ここで、「支保構造」とは、導坑内周面の吹き付けコンクリートや支保工、シールド施工におけるセグメント等を意味する。
このシールド工法の発明によれば、隣接する二本の導坑の支保構造の一部を切削しつつ、二本の導坑を連結するように一体化した一つの掘削空間を作るので、導坑の数に応じて自由自在に様々な広がりの掘削空間を構築できる。しかも、煩雑な施工手順や大型の機材を必要としないため、低コスト施工を実現できる。このような掘削空間は、地下駐車場等の大断面トンネルの築造に有利に利用できるものであり、また、掘削空間には外殻覆工体が構築されるので、この外殻覆工体部分を大断面トンネルのルーフ部として使用すれば、別途施工する手間を省くことも可能になる。
【0005】
また、請求項2に記載のシールド工法の発明は、請求項1において、各導坑内に前記シールド掘進機の進行をガイドするためのガイドレールを敷設し、前記シールド掘進機が該ガイドレールに沿って掘進することを特徴とする。
この特徴によれば、導坑内に敷設されたガイドレールによりシールド掘進機がガイドされながら掘進するため、通常のシールド掘進機に必要な方向修正が不要で、しかも高精度な掘進が実現できる。
【0006】
請求項3に記載のシールド工法の発明は、請求項2において、前記ガイドレールは、各導坑から地下に向けて構築された止水壁の上部に敷設されていることを特徴とする。
この特徴によれば、ガイドレールは、各導坑から地下に向けて構築された止水壁の上部に敷設されるので、シールド掘進機の荷重に対してガイドレールの強度を十分確保できるとともに、止水壁を基準にして精度の高い掘進を実現できる。また、止水壁は、シールド施工後に外殻覆工体の梁部材と簡易な方法で接合することによって、そのまま地中構造物の壁部として利用できる。
【0007】
請求項4に記載のシールド工法の発明は、請求項1から3のいずれか1項において、前記シールド掘進機が、つばさ型の掘削機構と、前記導坑の支保構造を切削可能な切削機構を備えたシールド掘進機であることを特徴とする。ここで、つばさ型の掘削機構としては、特開2000−45689号公報に記載のつばさ型シールド掘進機を利用できる。
この特徴によれば、つばさ型の掘削機構を採用することにより、様々な断面形状の掘削空間を自由に形成できるとともに、切削機構により導坑の支保構造を切削するので、導坑および導坑間の掘削空間を一体化することができる。
【0008】
請求項5に記載のシールド工法の発明は、請求項1から4のいずれか1項において、前記シールド掘進機によって構築される外殻覆工体が、アーチ形状であることを特徴とする。
この特徴によれば、外殻覆工体がアーチ形状に構築されるので、強度に優れ、地中構造物のルーフ部としての利用に適したものとなる。
【0009】
請求項6に記載のシールド工法の発明は、請求項1から5のいずれか1項において、前記外殻覆工体の構築を、袋詰コンクリート覆工工法により行うことを特徴とする。ここで、袋詰コンクリート覆工工法としては、例えば、特許第2784511号公報および特許第2784512号公報に記載の技術を利用できる。
この特徴によれば、外殻覆工体の構築を、袋詰コンクリート覆工工法により行うので、袋詰コンクリート覆工工法の長所をそのまま備えた外殻覆工体の施工が行われる。例えば、加圧打設したコンクリートの漏れを防止でき、作業環境の改善が図られるとともに、袋内のコンクリートは地山や地下水に直接触れることがないので品質劣化を防止できる。また、加圧脱水により密実で高強度のコンクリートが早期に得られる。さらに、土質条件に応じて覆工形状を変えることが可能であるため、設計および施工の自由度が高く、工期短縮、コストの低減を図ることができる。
【0010】
請求項7に記載のシールド工法の発明は、請求項6において、前記袋詰コンクリート覆工工法が、前記外殻覆工体の主強度部材に外殻覆工体の外表面および内表面を規定する型枠材を接合しておき、該型枠材により形成される空間に袋を配備し、前記主強度部材間に型枠材を固定した後、コンクリートを打設する袋詰コンクリート覆工工法であることを特徴とする。
この特徴によれば、型枠材により外殻覆工体の外表面および内表面を規定するので、型枠材の数や形状を変えることによって、外殻覆工体の全体形状を所望の形で設計できるとともに、外観も整ったものにすることができる。また、主強度部材と主強度部材との間で型枠材を固定した後、内部空間の袋にコンクリートを打設するので、袋の膨張圧力を型枠材が受け止め、コンクリートの打設をシールド掘進機の覆工部で行ってもシールド掘進機にかかる膨張圧力を最小限に抑えることが可能となる。さらに、シールド掘進機を前進させる際には、型枠材によって袋詰コンクリートの外表面と内表面が規定されているため、シールド掘進機の覆工部との間で生じる摩擦を低減でき、覆工部への密着によるシールド掘進機の故障や袋詰コンクリートの破損を防止できる。
【0011】
請求項8に記載のシールド工法の発明は、請求項1から7のいずれか1項において、まず、発進立坑および到達立坑を構築し、次いで前記立坑間に導坑を構築することを特徴とする。
この特徴によれば、最初の工程として発進立坑および到達立坑を構築することにより、施工場所の地形に関わらず導坑の構築が容易になる。
【0012】
請求項9に記載の大断面トンネルの施工方法の発明は、請求項1から8のいずれか1項に記載のシールド工法によって、目的とする地下空間のルーフ部となる外殻覆工体を構築した後、全面掘削および躯体施工を行うことを特徴とする。
この大断面トンネルの施工方法の発明によれば、大断面トンネルの施工において、請求項1から8のいずれか1項に記載のシールド工法における作用効果をそのまま享受できる。特に、導坑間の掘削空間を容易に一体化できるので、導坑の数に応じて自由自在に様々な大きさのトンネルを設計・施工でき、しかも、掘削に引き続いて順次ルーフ部として利用可能な外殻覆工体を構築できるので、別途ルーフ部を施工する手間を省くことも可能である。
従って、従来工法のように広範囲の地上部分を開削する必要はなく、大型の掘進機も必要としない。また、複雑な方法でルーフ部を施工したり、ルーフ部と壁部との接合を別途行う必要がないので、施工能率が良く、低コストを実現できる。
【0013】
請求項10に記載の大断面トンネルの発明は、シールド掘進機により地山を掘削し、外殻覆工体を構築してルーフ部を施工した後、全面掘削および躯体施工を行うことにより築造される大断面トンネルであって、予め構築された複数の平行な導坑のうち隣接する二本の導坑において、該導坑の支保構造の一部を前記シールド掘進機により切削しつつ、導坑間の地山を掘削して前記二本の導坑を連結する一つの掘削空間を作り、該掘削空間に構築された外殻覆工体を繰り返し単位としてルーフ部が施工されてなることを特徴とする。
この大断面トンネルの発明によれば、導坑間に構築された外殻覆工体を繰り返し単位としてルーフ部が施工されるので、設計・施工の自由度が高く、自由自在な大きさで低コストに築造された地中構造物が提供される。
【0014】
請求項11に記載のシールド掘進機の発明は、地山を掘削しつつ、掘進方向後方に外殻覆工体を構築可能なシールド掘進機であって、旋回運動して地山を掘削する掘削機構と、該掘削機構の旋回軸と直交する軸方向に回転し、該シールド掘進機の進行をガイドする導坑の支保構造を切削可能な切削機構とを備えたことを特徴とする。
このシールド掘進機の発明によれば、地山を掘削する掘削機構とは別に切削機構とを備えたので、地山の掘削と同時に導坑の支保構造を破砕することが可能となり、請求項9に記載の大断面トンネルの施工方法において、特に有利に使用できるものである。
【0015】
請求項12に記載のシールド掘進機の発明は、請求項11において、前記掘削機構が、アーチ形状の掘削空間を形成可能なつばさ型の掘削機構であることを特徴とする。
このシールド掘進機の発明によれば、アーチ形状の掘削空間を形成できるため、大断面トンネルの施工において、強度の高いルーフ部の構築に使用できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
図1は、本発明シールド工法に用いるシールド掘削機の一実施形態を説明するための断面構造を示す図面である。図2は、このシールド掘進機によって隣接する二つの導坑間の地山を掘削している状態を説明する図面であり、図3は図2を上側からみた状態を説明する図面である。
【0018】
このシールド掘進機は、掘進方向に向って、前部が掘削機構としてのカッター105を備えた掘削部101、後部が外殻覆工体を構築するための覆工部102という構成になっている。シールド掘進機100の本体は、外表面がスキンプレート103により覆われ、上部外表面が正面視アーチ形をなしている。図1に示すように掘削部101は、機械高さが高くて断面が厚く構成され、覆工部102は掘削部101よりも厚みが薄く形成されている。
【0019】
カッター105は、図示しない固定翼板上に正面視つばさ形状をなすように多数のカッタービット106が配列されて構成され、旋回筒軸109を介してカッター揺動ジャッキ117に連結されている。掘削時には、揺動中心107を支点に固定翼板を旋回させることによって、掘削を行う。このつばさ型掘削機構は、異形断面トンネルの掘削に適したものであり、その構造および掘削動作の詳細は、特開2000−45689号公報に記載されているとおりである。本発明においては、図2に示すように、中央部に二つの大型固定翼板が配置され、その両側に中型固定翼板が一つずつ配置され、さらに両端には小型の固定翼板が配置されており、それぞれの固定翼板につばさ形状をなすように多数のカッタービット106が配列されている。このように大、中、小の固定翼板を組み合わせて、そこにカッタービット106を配列する構成とすることによって、断面が略アーチ形状の掘削空間を形成できる。
【0020】
カッター105が配置された切羽側は、隔壁115によって後方と隔てられており、該隔壁115の下部の切羽側には、掘削面の幅方向に渡って掘削土排出用のスクリューコンベア113が設けられている。また、スクリューコンベア113近傍には、排土シュート129が導坑51に突出するように配備されている。
【0021】
図2に示すように、カッター105の両側には、切削機構としての二基の破砕ロータ111が備えられ、さらにその外側の両端部には、破砕ロータ111を回転駆動させるための駆動モータ27が配備されている。また、スクリューコンベア113よりやや後方のシールド掘進機100本体の側部には、ガイドレール43と係合してシールド掘進機100の進行方向を案内する掘進ガイド部128が設けられている。
【0022】
シールド掘進機100内部には、推進ジャッキ119が備えられ、この推進ジャッキ119の後端は覆工部102内に突出したプレス部121と連結されている。また、シールド掘進機100の両側部には、加圧力調整ジャッキ23が配備され、ガイドレール43と係合することにより、推進ジャッキ119による袋34内のコンクリート35への加圧力を調整している。
【0023】
覆工部102は、梁部材31、型枠33、袋詰コンクリート35等によって外殻覆工体57の構築を行うアーチ形の空間が確保されている。このように、シールド掘進機100は、アーチ形状の外殻覆工体57を構築するために適した構造となっている。
【0024】
次に、本発明シールド工法の一例と、該工法における上記シールド掘進機100の動作について説明する。
【0025】
(1)必要に応じて発進立坑および到達立坑を構築する。
(2)発進立坑から到達立坑まで、任意の距離を隔てて平行に複数の導坑51を施工する。導坑51の施工方法には、例えば山岳トンネル工法(NATM工法など)、シールド工法等が採用できる。ここでは、導坑51の内壁は吹き付けコンクリート56を用いているが、その施工の際には、支保構造55の一部または全部を、切削容易な材料で構築しておくことが好ましく、そのような材料としては、例えば、合成樹脂発泡体を無機繊維で強化した複合材が挙げられる。より具体的には、硬質ウレタン樹脂よりなる合成樹脂発泡体をガラス長繊維よりなる無機繊維で強化したもの、例えば、市販されている軽量耐食構造材であるエスロンネオランバーFFU(商品名:積水化学工業株式会社製)のうち、品種記号FFU−74等を好ましく利用できる。なお、導坑51内には、必要に応じて資材の搬出入や土砂の搬出を行うための軌条61を敷設する。
【0026】
(3)発進立坑から到達立坑までの導坑51内に、必要に応じシールド掘進機100の進行方向をガイドするガイドレール43を敷設する。このガイドレール43には、H形鋼等を利用できる。図2では、予め導坑51内から地下に向けて、導坑51全長に渡り連続した止水壁53を構築しておき、その止水壁53の上部にガイドレール43を敷設している。
【0027】
(4)発進立坑内に、隣接する二本の導坑51内のガイドレール43と接続する発進架台を設置し、この発進架台に本発明のシールド掘進機100を設置する。図2に示すように、シールド掘進機100の掘進ガイド128はガイドレール43に係合するようにセットする。
【0028】
(5)発進立坑からシールド掘進機100を発進させ、導坑51内のガイドレールによってシールド掘進機100の進行方向をガイドしながら二本の導坑51間の地山を掘削していく。地山の掘削と同時に、地山を間に挟んで平行に伸びる二本の導坑51の吹き付けコンクリート56および支保工55’から構成される支保構造55の一部(図2では、二本の導坑51の互いに近接する肩部の支保構造55)をシールド掘進機100に備えた破砕ロータ111によって切削していく。破砕ロータ111は、シールド掘進機100のカッター105の旋回軸と直交する軸方向に回転し、支保構造55を切削する。図2では、破砕ロータ111は、カッター105の旋回軸方向と直交する水平な軸を中心に回転する構造となっているが、これに限るものではなく、例えば、回転中心となる軸は、斜め方向や縦方向であってもよい。掘削ずりはシールド掘進機100のスクリューコンベア113によって排土シュート129を介して導坑51に排出し、ずり鋼車63等の搬送手段によって搬出する。
【0029】
(6)所定の距離を掘進した後、外殻覆工体57の主強度部材としての梁部材31(例えばH型鋼など)をシールド掘進機100後部の覆工部102で組み立てながら、外殻覆工体57を構築していく。外殻覆工体57の構築は、以下に示す袋詰覆工方法によって行うことが好ましい。なお、袋詰覆工方法の詳細は、特許第2784511号公報および第2784512号公報に記載されており、以下に示す方法は、それを利用したものである。
【0030】
イ)図4(a)に示すように、新しく挿入するアーチ形状の梁部材31(ここでは「新リング31b」と記す)には、予め所定長さの鋼管またはみぞ型鋼でできた型枠材33を上側および下側に接合しておき、この上下の型枠材33の端部を、前回組み立てを行った梁部材31(ここでは、「前リング31a」と記す)に向けて順次挿入していくことにより、外殻覆工体57を構築する。つまり、構築後の外殻覆工体57は、図4(b)に示すように、前リング31aと新リング31bとの間で、上下の型枠材33を挟持する格好となり、梁部材31と型枠材33とが所定ピッチで繰り返すように形成される。挿入した梁部材31の端部は、既知の接合手段58により止水壁53と接合する(図2)。
ロ)新リング31bとこれに接合された上下の型枠材33によって形成される空間には、予め透水性を持つ所定内容量の袋34をセットしておき、新リング31bの型枠材33を前リング31aに挿入後、図示しない充填口よりコンクリート35を袋34の中に充填、打設する。ここで、透水性の袋34としては、伸縮性を兼ね備えたものが好ましく、例えばファブリフォーム(商品名:旭化成工業製)等を用いることができる。コンクリート35の充填時には、充填圧力によって袋34が膨張するが、前記鋼管またはみぞ形鋼でできた型枠材33によってコンクリート35の充填圧力を受け止めるため、シールド掘進機100のスキンプレート103への無用な押圧を防止できる。また、外殻覆工体57の左右端部(アーチ形の両端部)においては、妻板等によってコンクリート35の充填圧力を受け止める。
ハ)新リング31bの挿入およびコンクリート35の充填、打設が完了した後、図1に示すように、シールド掘進機100に内蔵した推進ジャッキ119のプレス部121で新リング31bを押圧し、シールド掘進機100を前方に推進させるとともに、袋34内のコンクリート35を加圧・脱水する。この加圧・脱水を行うことにより、密実で高強度、高耐久性を持った外殻覆工体57を構築できる。また、地山の掘削面と外殻覆工体57との間隙には、裏込め注入装置39よりモルタル等の裏込め材37を注入し、隙間を埋める。
図5は、構築された外殻覆工体57の構造を示す図であり、図1のA−A線における要部断面図である。袋詰めコンクリート35は、梁部材31間に渡された上下の型枠材33より支持され、外周には裏込め37が充填されている。
ニ)以上の作業を繰り返しながら、隣接する導坑51間に順次発進立坑から到達立坑まで連続して、薄く、十分な強度を持ったアーチ形状の外殻覆工体57を構築する。なお、ここでは強度の点で有利なアーチ形状の外殻覆工体57を例に述べたが、外殻覆工体57の形状はアーチ形に限らず、例えば水平に真っ直ぐな形状とすることもできる。
【0031】
(7)上記(3)から(6)の工程を、別の導坑51間でも行って、順次外殻覆工体57を構築していく。このように、本発明のシールド工法は、隣接する止水壁53間の上部に構築された外殻覆工体57を一単位として平行に繰り返し造設していくことが容易なため、地下駐車場等の地中構造物のルーフ部を築造する目的に適している。
【0032】
以上を踏まえ、本発明の大断面トンネルの施工方法の一例について図6から図9を参照しながら説明する。なお、大断面トンネルの施工方法に利用するシールド工法およびシールド掘進機100は、上記した内容と同じであるため、同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
(A)導坑工:図6
複数(ここでは4本)の平行な導坑51を、図示しない発進立坑から到達立坑の間に所定間隔で構築する。前記したように、各導坑51の支保構造55には、切削が可能な材料を使用している。また、各導坑51内には、全長に渡り、導坑51内に突出するように止水壁53を構築する。
(B)シールド工:図7
止水壁53の上部にガイドレール43を敷設した後、シールド掘進機100により、導坑51間を掘削して外殻覆工体57の構築を行う。外殻覆工体57の構築は、順次すべての導坑51間で繰り返す。
(C)全面掘削工:図8
パワーショベル等の掘削機械によって、外殻覆工体57下方の地山を全面掘削する。各外殻覆工体57の端部は、接合手段58によって、止水壁53と接合されているため、止水壁53間の地山の掘削は容易に行える。全面掘削時には、不要となる導坑51の支保構造55も除去するが、図8中、隣接する外殻覆工体57と止水壁53の上部およびトンネルの両端に残った導坑51跡の空間(符号Sで示す)は、必要に応じてコンクリート等を打設して補強しておく。
(D)躯体工:図9
常法に従い、トンネルの躯体施工を行う。4本の導坑51を基に構築された外殻覆工体57は、トンネルのルーフ部として利用することもできる。
【0033】
【発明の効果】
本発明のシールド掘進機およびこれを用いたシールド工法によれば、煩雑な施工手順や大型の機材を必要とせずに低コストで、自由自在に、様々な広がりを持つ外殻覆工体の施工が可能であり、得られた外殻覆工体は、大断面トンネルのルーフ部として利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 シールド掘進機の構造を示す図面。
【図2】 シールド掘進機による掘削時の状態を説明する図面。
【図3】 図2を上から見た説明図。
【図4】 梁部材の挿入方法を説明する図面であり、(a)は挿入前の状態、(b)は挿入した状態を示す。
【図5】 図1のA−A線における要部断面図。
【図6】 導坑工の状態を説明する図面。
【図7】 シールド工の状態を説明する図面。
【図8】 全面掘削工の状態を説明する図面。
【図9】 躯体工の状態を説明する図面。
【符号の説明】
31 梁部材
31a 前リング
31b 新リング
33 型枠材
34 袋
35 コンクリート
37 裏込め材
43 ガイドレール
51 導坑
53 止水壁
55 支保構造
57 外殻覆工体
58 接合手段
100 シールド掘進機
101 掘削部
103 スキンプレート
105 カッター
106 カッタービット
107 カッター揺動ジャッキ
109 推進ジャッキ
111 破砕ロータ
113 スクリューコンベア
115 隔壁
129 排土シュート

Claims (12)

  1. シールド掘進機により地山を掘削しつつ、掘進方向後方に外殻覆工体を構築していくシールド工法であって、
    所定間隔で複数の平行な導坑を構築し、
    前記シールド掘進機により、隣接する二本の導坑において該導坑の支保構造の一部を切削しつつ、導坑間の地山を掘削して前記二本の導坑を連結するように一つの掘削空間を作るとともに、
    該掘削空間に外殻覆工体を順次構築していくことを特徴とする、
    シールド工法。
  2. 請求項1において、各導坑内に前記シールド掘進機の進行をガイドするためのガイドレールを敷設し、前記シールド掘進機が該ガイドレールに沿って掘進することを特徴とする、シールド工法。
  3. 請求項2において、前記ガイドレールは、各導坑から地下に向けて構築された止水壁の上部に敷設されていることを特徴とする、シールド工法。
  4. 請求項1から3のいずれか1項において、前記シールド掘進機が、つばさ型の掘削機構と、前記導坑の支保構造を切削可能な切削機構を備えたシールド掘進機であることを特徴とする、シールド工法。
  5. 請求項1から4のいずれか1項において、前記シールド掘進機によって構築される外殻覆工体が、アーチ形状であることを特徴とする、シールド工法。
  6. 請求項1から5のいずれか1項において、前記外殻覆工体の構築を、袋詰コンクリート覆工工法により行うことを特徴とする、シールド工法。
  7. 請求項6において、前記袋詰コンクリート覆工工法が、前記外殻覆工体の主強度部材に外殻覆工体の外表面および内表面を規定する型枠材を接合しておき、該型枠材により形成される空間に袋を配備し、前記主強度部材間に型枠材を固定した後、コンクリートを打設する袋詰コンクリート覆工工法であることを特徴とする、シールド工法。
  8. 請求項1から7のいずれか1項において、まず、発進立坑および到達立坑を構築し、次いで前記立坑間に導坑を構築することを特徴とする、シールド工法。
  9. 請求項1から8のいずれか1項に記載のシールド工法によって、目的とする地下空間のルーフ部となる外殻覆工体を構築した後、全面掘削および躯体施工を行うことを特徴とする、大断面トンネルの施工方法。
  10. シールド掘進機により地山を掘削し、外殻覆工体を構築してルーフ部を施工した後、全面掘削および躯体施工を行うことにより築造される大断面トンネルであって、
    予め構築された複数の平行な導坑のうち隣接する二本の導坑において、該導坑の支保構造の一部を前記シールド掘進機により切削しつつ、導坑間の地山を掘削して前記二本の導坑を連結する一つの掘削空間を作り、
    該掘削空間に構築された外殻覆工体を繰り返し単位としてルーフ部が施工されてなることを特徴とする、大断面トンネル。
  11. 地山を掘削しつつ、掘進方向後方に外殻覆工体を構築可能なシールド掘進機であって、
    旋回運動して地山を掘削する掘削機構と、
    該掘削機構の旋回軸と直交する軸方向に回転し、該シールド掘進機の進行をガイドする導坑の支保構造を切削可能な切削機構とを備えたことを特徴とする、シールド掘進機。
  12. 請求項11において、前記掘削機構が、アーチ形状の掘削空間を形成可能なつばさ型の掘削機構であることを特徴とする、シールド掘進機。
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