JP4469581B2 - 油脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、ジグリセリド含量の高い油脂組成物、及び容器入り食用油脂に関する。
ジグリセリドには、血中コレステロール値を改善する効果(特許文献1参照)や、体脂肪の蓄積を低下させ肥満を防ぐ効果が見出されている(特許文献2及び3参照)。これは、ジグリセリド摂取により、食後の血中中性脂肪の上昇が抑制されるためであると考えられている。また、ジグリセリドを調理油用途に使用すると、油ちょう時の泡立ちが少ない、風味や食感が良好になる等の利点のあることが知られている(特許文献4、5及び6参照)。このほか乳化物にも応用できることが示されている(特許文献7、8及び9参照)。このような観点から、ジグリセリド含量の高い油脂組成物が、家庭用食用油として広く使用されるに至っている。
一方、保存安定性を高める為、ジグリセリドに抗酸化剤、結晶抑制剤を添加する技術が開示されている(特許文献3参照)。このほか有機酸を添加することで、脱臭工程における不均一化反応を抑制する方法が示されている(特許文献10参照)。また、食品用容器については、長期保存安定性を向上するためにバリアー樹脂技術(特許文献11参照)やバリアコーティング技術(特許文献12参照)が開示されている。
このように、ジグリセリドには、優れた健康機能があることから、日本のみならず世界各国で使用したいという要望が高まってきている。
しかし、使用条件や保存状況によっては、ジグリセリドはトリグリセリドに比べ、寒冷地において固化し易く、高湿地においては、濁り易い傾向にあるため、外観が損われてしまうケースがあった。また、吸湿した油脂を用いると、調理時の臭い立ちが強くなり、調理品の風味や食感が損われる場合があった。
国際公開第99/48378号パンフレット 特開平4-300826号公報 特開平10-176181号公報 特開平2-190146号公報 特開平7-16051号公報 特開平9-154494号公報 特許第1915615号公報 米国特許第5879735号明細書 特開平3-8431号公報 特開平4-261497号公報 特開昭51-112694号公報 特開2000-255579号公報
従って本発明の目的は、寒冷地や高湿地においても、外観が良好で、調理時の作業性や調理品の風味、食感が良好であり優れた健康機能を有するジグリセリド含量の高い油脂組成物、及び容器入り食用油脂を提供することにある。
本発明者は、ジグリセリド含有油脂の濁りや固化の発生原因について検討した。寒冷地の固化については、従来の油脂(トリグリセリド)よりジグリセリドの方が水酸基を1分子中に1つ多く有することから、水酸基同士の水素結合により固化し易くなるものと考えられる。また、高湿地の濁りについては、ジグリセリドの水酸基と水分との高親和性により、油脂が吸湿し易くなって濁りが生じるためと考えられる。このような外観の問題は、トリグリセリドよりジグリセリドの方が、極性が高いことに起因する特異な現象である。ジグリセリド含有油脂に特定の有機酸類及び抗酸化剤を配合し、植物ステロール類の含有量を調節することにより、このような外観の問題が顕著に改善され、かつ調理時の異臭の発生が顕著に防止でき、作業性が著しく向上することを見出した。またジグリセリド含有油脂を特定のバリア性能を有する容器に充填することによっても、内容物が保護され、その結果このような外観の問題が著しく改善され、かつ調理時の異臭の発生が顕著に防止でき、作業性が著しく向上することを見出し、上記発明を完成した。
本発明は、次の(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)構成脂肪酸中の不飽和脂肪酸含量が80〜100重量%、トランス酸含量が5重量%以下であるジグリセリドを60〜100重量%含有する油脂 100重量部
(B)炭素数2〜8のヒドロキシカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸、それらの塩及びその誘導体から選ばれるカルボン酸類 0.001〜1重量部
(C)抗酸化剤 0.001〜5重量部
(D)植物ステロール類 0.05〜4.7重量部
を含有する油脂組成物を提供するものである。
また本発明は、飽和溶解水分量が1500ppm以上の部分グリセリドを含有する油脂を、水分透過指数が1.9(g/day・m2)以下かつ、酸素透過指数が0.8(cm3/day・ m2)以下である容器に充填してなる容器入り食用油脂を提供するものである。
本発明によれば、体脂肪の蓄積を低下させ肥満を防ぐ効果を有するジグリセリド含有油脂に、特定の有機酸類と抗酸化剤と植物ステロール類、及び特定の容器を組合せることにより、ジグリセリド特有の外観の問題を顕著に改善するだけでなく、調理時の異臭の発生が顕著に防止でき、調理のし易さ(以下、「作業性」)を著しく向上することができる。
本発明の油脂組成物は、ジグリセリドを60〜100重量%(以下、単に%で示す)含有する油脂を用いるものである。前記のようにジグリセリド高含有油脂は、日本では使用されているが、特に高湿地では使用されていない。このような条件で急激に濁りが発生することは従来全く知られていなかったことである。
本発明の油脂組成物で使用される成分(A)の油脂は、ジグリセリドを60〜100%含有するが、更に70〜100%、特に80〜97%、殊更80〜95%含有するのが生理効果、工業的生産性、外観の点で好ましい。
ジグリセリドの構成脂肪酸の80〜100%が不飽和脂肪酸であるが、好ましくは90〜100%、更に93〜98%、特に94〜98%が炭素数10〜24、好ましく16〜22の不飽和脂肪酸であるのが、外観、生理効果の点で好ましい。
特に、ジグリセリドを構成する脂肪酸のうち、オレイン酸の含有量は20〜65%、好ましくは25〜60%、特に30〜50%、殊更30〜45%であるのが外観、脂肪酸の摂取バランスの点で好ましい。更に生理効果の点から、オレイン−オレインジグリセリド含有量は、45%未満、特に0〜40%が好ましい。
ジグリセリドを構成する脂肪酸のうちリノール酸の含有量は15〜65%、好ましくは20〜60%、特に30〜55%、殊更35〜50%であるのが外観、脂肪酸の摂取バランスの点で好ましい。更に、酸化安定性、生理効果の点から、リノール酸/オレイン酸の含有重量比が0.1〜2.0、好ましくは0.25〜1.8、特に0.3〜1.7であることが好ましい。
ジグリセリドを構成する脂肪酸のうちリノレン酸の含有量は15%未満、好ましくは0〜13%、更に1〜10%、特に2〜9%であるのが外観、脂肪酸の摂取バランス、酸化安定性の点で好ましい。リノレン酸には、異性体としてα−リノレン酸とγ−リノレン酸が知られているが、α−リノレン酸が好ましい。
ジグリセリドを構成する脂肪酸のうち、飽和脂肪酸の含有量は20%以下であるが、0〜15%、更に0〜10%、特に2〜7%、殊更2〜6%であるのが、外観、生理効果、工業的生産性の点で好ましい。飽和脂肪酸としては、炭素数14〜24、特に16〜22のものが好ましく、パルミチン酸、ステアリン酸が最も好ましい。
ジグリセリドを構成する脂肪酸のうち、トランス酸の含有量は5%以下であるが、好ましくは0.1〜5%、更に0.1〜3.5%であるのが、成分(B)とあいまって生理効果、外観、工業的生産性、作業性の点で好ましい。残余の構成脂肪酸は炭素数14〜24、特に16〜22であるのが好ましい。
また、生理効果、保存性、工業的生産性及び風味の点からジグリセリド中の1,3−ジグリセリドの割合は50%以上、より好ましくは60〜100%、更に65〜90%、特に65〜80%であるのが好ましい。
本発明に使用される成分(A)の油脂は、トリグリセリドを0〜40%含有するのが好ましく、更に0〜30%、特に2.9〜20%、殊更4.9〜20%含有するのが生理効果、工業的生産性、外観の点で好ましい。
トリグリセリドの構成脂肪酸の80〜100%、好ましくは90〜100%、更に93〜100%、特に93〜98%、最も好ましくは94〜98%が、炭素数10〜24、好ましくは16〜22の不飽和脂肪酸であるのが生理効果、工業的生産性の点で好ましい。
本発明に使用される成分(A)の油脂において、モノグリセリドの含有量は、風味、外観、乳化、発煙防止、工業的生産性等の点で0〜10%、好ましくは0.1〜5%、より好ましくは0.1〜1.5%、特に好ましくは0.1〜1.3%、殊更0.1〜1%であるのが好ましい。モノグリセリドの構成脂肪酸はジグリセリドと同じ構成脂肪酸であることが、工業的生産性の点で好ましい。
また、本発明に使用される成分(A)の油脂の遊離脂肪酸(塩)は、3.5%以下に低減されるのが好ましく、より好ましくは0〜2%、更に0〜1%、特に0〜0.5%、殊更0.05〜0.2%とするのが風味、発煙防止、工業的生産性の点で好ましい。
本発明に使用される成分(A)の油脂を構成する全脂肪酸中、炭素−炭素二重結合を4つ以上有する脂肪酸の含有量は、酸化安定性、作業性、生理効果、着色等の点で0〜40%、好ましくは0〜20%、更に0〜10%、特に0〜1%であるのがよく、実質的に含まないのが最も好ましい。
本発明で用いる成分(A)の油脂起源としては、植物性、動物性油脂のいずれでもよい。具体的な原料としては、菜種油、ひまわり油、とうもろこし油、大豆油、米油、紅花油、綿実油、牛脂等を挙げることができる。またこれらの油脂を分別、混合したもの、水素添加や、エステル交換反応などにより脂肪酸組成を調整したものも原料として利用できる。
本発明に使用される成分(A)の油脂は、上述した油脂由来の脂肪酸とグリセリンとのエステル化反応、油脂とグリセリンとのエステル交換反応等により得ることができる。反応により生成した過剰のモノグリセリドは分子蒸留法又はクロマトグラフィー法により除去することができる。これらの反応はアルカリ触媒等を用いた化学反応でも行うことができるが、1,3−位選択的リパーゼ等を用いて酵素的に温和な条件で反応を行うのが風味等の点で優れており好ましい。
本発明の油脂組成物には、成分(B)のヒドロキシカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸、それらの塩及びその誘導体から選ばれるカルボン酸類を含有することが必要である。これらカルボン酸類の含有量は、成分(A)100重量部に対して、0.001〜1重量部であるが、0.0012〜0.7重量部、更に0.0015〜0.5重量部、特に0.0025〜0.3重量部であるのが外観、酸化安定性の点で好ましい。該カルボン酸類の炭素数は2〜8であることが必要であるが、好ましくは2〜6、更に好ましくは4〜6である。具体的にはクエン酸、コハク酸、マレイン酸、シュウ酸、アコニット酸、イタコン酸、シトラコン酸、酒石酸、フマル酸、リンゴ酸が好ましく、更に好ましくはクエン酸、酒石酸、リンゴ酸である。
上記の炭素数2〜8のヒドロキシカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸の誘導体としては、例えば、クエン酸モノ脂肪酸グリセリド、クエン酸ジ脂肪酸グリセリド、コハク酸モノ脂肪酸グリセリド、コハク酸ジ脂肪酸グリセリド等のグリセリド誘導体が挙げられる。具体的には、クエン酸(結晶)モノグリセリド(ADM社製)、精製クエン酸結晶モノグリセリド(扶桑化学工業(株)製)、ステップSS(花王(株)製)等が市販品として例示される。該カルボン酸の塩としては、これらのアルカリ金属、アルカリ土類金属塩が挙げられ、ナトリウム塩、カルシウム塩が好ましい。
カルボン酸類として、カルボン酸類を含有するエキス、生薬を用いることもできる。エキス、生薬としては、レモン、ゆず、梅等の実から抽出して製造された粉末、濃縮物等の形態で市販されている製品を用いることができる。エキス、生薬を用いる場合は、そのエキス、生薬に含有されるカルボン酸類が上記範囲となるよう添加すればよい。
炭素数2〜8のヒドロキシカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸又はその塩の含有量は、成分(A)100重量部に対して、0.001〜0.01重量部、更に0.0012〜0.007重量部、特に0.0015〜0.0045重量部、殊更0.0025〜0.0034重量部であるのが外観、酸化安定性、作業性、風味の点で好ましい。
また、炭素数2〜8のヒドロキシカルボン酸、ジカルボン酸又はトリカルボン酸の誘導体の含有量は、成分(A)100重量部に対して、0.01〜1重量部であるのが好ましく、更に0.05〜0.7重量部、特に0.1〜0.5重量部、殊更0.15〜0.3重量部であるのが外観、酸化安定性、作業性、風味、食感の点で好ましい。
炭素数2〜8のヒドロキシカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸又はその塩と、その誘導体とを併用するのが、特に食感、外観、酸化安定性、風味の点で好ましい。
本発明において、油脂組成物中の成分(B)の含有量は、HPLC法、オルトニトロフェニルヒドラジンを用いた比色法等により測定することができる。例えば、クエン酸の比色法による測定は、次法に従って行われる。
60℃に加熱した油脂20gを100mLの分液ロートに入れ、60℃の温水5mLを加えて、2分間激しく振とうする。次いで、静置して分層させ、下層を試料溶液とする。この試料溶液2mL、ONPH溶液(*1)1mL及び、ETC溶液(*2)1mLを10mLメスフラスコに入れ、密栓して40℃で30分間加熱する。次いで、1.5mol/L水酸化ナトリウム溶液を1mL加え、60℃で15分間加熱する。室温に冷却後、540nmの吸光度を測定する。濃度既知のクエン酸水溶液を用いて作成した検量線から、次式によりクエン酸含量を求める。
油脂中のクエン酸含有量=検量線から求めたクエン酸量÷4
*1 ONPH溶液:オルトニトロフェニルヒドラジン塩酸塩(ONPH)53.6mgを0.2mol/Lの塩酸10mLに溶解させた溶液。
*2 ETC溶液:1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(ETC)287.6mgを6%ピリジン水溶液10mLに溶解させた溶液。
また、本発明で用いる油脂組成物には、成分(C)の抗酸化剤を含有することが必要である。抗酸化剤は成分(B)とあいまって、相乗効果を発揮し、調理時の作業性を著しく改善するだけでなく、外観も改善する。
成分(C)の抗酸化剤の含有量は、作業効率、安定性、着色等の点で成分(A)100重量部に対して、0.001〜5重量部であるが、0.004〜0.5重量部であるのが好ましく、更に0.004〜0.4重量部、特に0.008〜0.3重量部であるのが好ましい。
成分(C)の抗酸化剤としては、通常、食品用途のものが好ましい。例えば、ビタミンE、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ターシャルブチルヒドロキノン(TBHQ)、ビタミンC又はその誘導体、リン脂質、ローズマリー抽出物等の天然抗酸化剤が挙げられるが、ビタミンE、ビタミンC又はその誘導体、ローズマリー抽出物が好ましく、これらの2種以上を併用するのが更に好ましい。
より具体的にはビタミンEとしては、α、β、γ、δ−トコフェロール又はこれらの混合物を使用することができる。特に、酸化安定性の観点から、δ−トコフェロールが好ましい。ビタミンEの市販品としては、イーミックスD、イーミックス80(エーザイ(株)製)、MDE−6000((株)八代製)、Eオイル−400(理研ビタミン(株)製)等が挙げられる。
本発明において、ビタミンEの含有量は、成分(A)100重量部に対して、トコフェロールとして0.01〜0.4重量部が好ましく、0.02〜0.3重量部がより好ましく、0.05〜0.2重量部が特に好ましい。
ビタミンC又はその誘導体としては、ジグリセリド含有油脂に溶解するものが好ましく、高級脂肪酸エステル、例えばアシル基の炭素数が12〜22のものがより好ましく、L−アスコルビン酸パルミテート、L−アスコルビン酸ステアレートが特に好ましく、L−アスコルビン酸パルミテートが最も好ましい。
本発明において、ビタミンC又はその誘導体の含有量は、成分(A)100重量部に対して、アスコルビン酸として0.004〜0.1重量部が好ましく、0.006〜0.08重量部がより好ましく、0.008〜0.06重量部が特に好ましい。
本発明の油脂組成物には、成分(D)の植物ステロール類を含有することが必要である。植物ステロール類はコレステロール低下効果を有する成分であるが、成分(B)及び(C)と併用することによりジグリセリド含有油脂の調理作業効率、外観を向上させる。本発明において、植物ステロール類の含量は、成分(A)100重量部に対して、0.05〜4.7重量部、特に0.3〜4.7重量部が好ましい。一般に市販されている蒸留して得られた脂肪酸を原料として製造した油脂組成物中の植物ステロール類量は低下してしまう。このような場合には植物ステロール類を添加して、0.05〜4.7重量部の範囲にすればよい。
ここで植物ステロール類としては、例えばα−シトステロール、β−シトステロール、スチグマステロール、カンペステロール、α−シトスタノール、β−シトスタノール、スチグマスタノール、カンペスタノール、シクロアルテノール等のフリー体、及びこれらの脂肪酸エステル、フェルラ酸エステル、桂皮酸エステル等のエステル体が挙げられる。
本発明の油脂組成物には、更に成分(E)の結晶抑制剤を添加することが低温安定性及び高湿度安定性改善の点で好ましい。結晶抑制剤としては、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル等のポリオール脂肪酸エステルが挙げられる。またポリオール脂肪酸エステルは、HLB(Griffinの計算式、J. Soc. Cosmet. Chem., 1, 311(1949))が4以下、特に0.1〜3のポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルが好ましい。
本発明において、結晶抑制剤は、成分(A)100重量部に対して0.01〜2.5重量部、更に0.02〜0.5重量部、特に0.05〜0.2重量部含有するのが、低温での安定性改善の点で好ましい。
本発明の油脂組成物は、前記組成のジグリセリド含有油脂に、前記成分(B)〜(D)を添加し、適宜加熱、撹拌することにより得ることができる。また、ローズマリー抽出物、ビタミンC誘導体、ビタミンE等は予めエタノール等の溶剤に溶解してから添加してもよい。
かくして得られた油脂組成物は、外観、作業性、風味、食感等の点で良好であるため、食用油脂として各種食品に応用することができる。
食品としては、該油脂組成物を食品の一部として含む油脂加工食品に用いることができる。かかる油脂加工食品としては、例えば特定の機能を発揮して健康増進を図る健康食品、機能性食品、特定保健用食品等が挙げられる。具体的な製品としては、パン、ケーキ、ビスケット、パイ、ピザクラスト、ベーカリーミックス等のベーカリー食品類、スープ、ソース、ドレッシング、マヨネーズ、コーヒークリーム(粉末状の形態も含む)、アイスクリーム、ホイップクリーム等の水中油型乳化物、マーガリン、スプレッド、バタークリーム等の油中水型乳化物、ポテトチップス等のスナック菓子、チョコレート、キャラメル、キャンデー、デザート等の菓子、ハム、ソーセージ、ハンバーグ等の肉加工食品、牛乳、チーズ、ヨーグルト等の乳製品、ドウ、エンローバー油脂、フィリング油脂、麺、冷凍食品、レトルト食品、飲料、ルー等が挙げられる。上記油脂の他に、油脂加工食品の種類に応じて一般に用いられる食品原料を添加し製造することができる。本発明の油脂組成物の食品への配合量は、食品の種類によっても異なるが、一般に0.1〜100%、特に1〜80%が好ましい。
また、揚げ物あるいは炒め物に用いる調理油等の食品素材として用いることができる。特に、コロッケ、天ぷら、とんかつ、唐揚げ、魚フライ、春巻き等の惣菜、ポテトチップス、トルティーヤチップス、ファブリケートポテト等のスナック菓子、揚げせんべい等の揚げ菓子、フライドポテト、フライドチキン、ドーナツ、即席麺等を調理するのに適している。
なお、製剤調製の関係から、食品原料由来の油脂が含まれている場合は、食品原料由来の油脂と本発明の油脂組成物との重量比は、95:5〜1:99が好ましく、95:5〜5:95がより好ましく、更に85:15〜5:95が、特に40:60〜5:95が好ましい。
本発明の油脂組成物を、水中油型乳化物に用いることができる。油相と水相の重量比は、油相/水相=1/99〜90/10、好ましくは10/90〜80/20、特に30/70〜75/25が好ましい。乳化剤を0.01〜5%、特に0.05〜3%含むことが好ましい。乳化剤としては、卵蛋白質、大豆蛋白質、乳蛋白質、これらの蛋白質より分離される蛋白質、これら蛋白質の(部分)分解物等の各種蛋白質類、蔗糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸モノエステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、グリセリン有機酸脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチンあるいはその酵素分解物が挙げられる。安定化剤は0〜5%、特に0.01〜2%含有することが好ましい。安定化剤としては、キサンタンガム、ジェランガム、グアーガム、カラギーナン、ペクチン、トラガントガム、コンニャクマンナン、等の増粘多糖類や澱粉等が挙げられる。また、食塩、糖、食酢、果汁、調味料等の呈味料、スパイス、フレーバー等の香料、着色料、保存料等を使用することができる。これらの原料を用いて、常法によりマヨネーズ、ドレッシング、コーヒークリーム(粉末状の形態も含む)、アイスクリーム、ホイップクリーム、飲料等の水中油型油脂含有食品を調製することができる。
本発明の油脂組成物を、油中水型乳化物に用いることができる。水相と油相の重量比は、水相/油相=85/15〜1/99、好ましくは80/20〜10/90、特に70/30〜35/65が好ましい。乳化剤を0.01〜5%、特に0.05〜3%含むことが好ましい。乳化剤としては、卵蛋白質、大豆蛋白質、乳蛋白質、これらの蛋白質より分離される蛋白質、これら蛋白質の(部分)分解物等の各種蛋白質類、蔗糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸モノエステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、グリセリン有機酸脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチンあるいはその酵素分解物が挙げられる。また、食塩、糖、食酢、果汁、調味料等の呈味料、スパイス、フレーバー等の香料、増粘多糖類や澱粉等の安定化剤、着色料、保存料等を使用することができる。これらの原料を用いて、常法によりマーガリン、スプレッド、バタークリーム等の油中水型油脂含有食品を調製することができる。
また、ジグリセリド高含有油脂の外観の問題は、特定のバリア機能を有する容器に充填することによっても改善できる。また、この特定のバリア機能を有する容器による効果は、飽和溶解水分量が1500ppm以上の部分グリセリドを含有する油脂において発揮される。
この部分グリセリドは、モノグリセリド及びジグリセリドを含有する油脂を指し、下記方法により測定した場合の飽和溶解水分量が、1500ppm以上、好ましくは2000〜50000ppm、より好ましくは3000〜30000ppm、更に好ましくは5000〜20000ppm、特に7000〜15000ppm、殊更8000〜10000ppmである部分グリセリドが好ましい。
ここで、飽和溶解水分量とは、油脂50gと蒸留水30mLとを100mL三角フラスコに入れ、50℃で5時間攪拌した後、室温に放冷し、油脂中に溶解している水分をカールフィッシャー法(「日本油化学協会編、基準油脂分析試験法」中の「水分」2.1.3.4−1996)により測定した値のことである。
この部分グリセリド含有油脂のより具体的な例としては、ジグリセリドを15〜100重量%含有するが、好ましくは35〜100重量%、更に60〜100重量%、特に70〜97重量%、殊更80〜95重量%含有するのが生理効果、工業的生産性、外観の点で望ましい。更にまた、前記成分(A)の油脂が特に好ましい。また、この油脂には、前記成分(B)のカルボン酸類、前記成分(C)の抗酸化剤、前記成分(D)の植物ステロール類、前記成分(E)の結晶抑制剤を単独で又は組み合せて含有していてもよい。これらの成分(B)〜(E)の含有量も前記の場合と同様であるのが好ましい。すなわち、この容器入り食用油脂に充填される油脂は、前記成分(A)〜(D)を含む油脂組成物であるのが外観、作業性、風味、食感、保存性の点で特に好ましい。
本発明において、水分透過指数(単位:g/day・m2)とは、JIS法(Z0208法、防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法))を参考にして測定された、一定時間に単位面積の膜状物質を通過する水蒸気の量のことである。具体的には、温度40℃において防湿包装材料を境界面とし、一方の側の空気を相対湿度90%、他方の側の空気を吸湿剤によって乾燥状態に保ったとき、24時間にこの境界面を通過する水蒸気の質量(g)を、その材料1m2当たりに換算した値である。
本発明に用いる容器は、水分透過指数が1.9以下であることが必要であるが、好ましくは0〜1.5、より好ましくは0.01〜1.0、更に0.01〜0.7、特に0.02〜0.3、殊更0.05〜0.2であるのが外観、作業性、保存性の点で好ましい。
本発明に用いる容器は、上記水分透過指数に加えて、更に酸素透過度が
0.03以下であることが好ましく、より好ましくは0〜0.02、更に好ましくは0〜0.01、更に0.0001〜0.005、特に0.0002〜0.003、殊更0.0005〜0.0015であるのが外観、作業性、保存性の点で好ましい。
本発明において、酸素透過度とは、JIS法(K 7126 B法)により求められた数値のことである(単位:cm3/day・bottle)。具体的には、MOCON社製装置を用いて、試験片(容器)の一方に酸素を供給し、もう一方に等圧で窒素キャリアーガスを流し、透過した酸素を酸素検知器を用いて測定された値(20℃、相対湿度60%)のことである。本発明では、この酸素透過度を容器の表面積で除して、その材料1m2当たりに換算した値を酸素透過指数とする(単位:cm3/day・m2)。本発明に用いる容器は、上記水分透過指数に加えて、更に酸素透過指数が0.8以下であることが好ましく、より好ましくは0〜0.6、更に好ましくは0〜0.4、更に0.01〜0.2、特に0.02〜0.15、殊更0.05〜0.12であるのが、外観、作業性、保存性の点で好ましい。
本発明の容器入り食用油脂は、密栓し、40℃、相対湿度75%の条件下で3ヶ月間保存した後の水分量が、外観、作業性、風味、食感の点で、4000ppm以下であるのが好ましく、更に0〜3000ppm、特に100〜2000ppm、殊更200〜1700ppmであるのが好ましい。
また、本発明に用いる容器は、透明性が高いことが好ましい。透明性は、JIS K 7105 プラスチックの光学的特性試験法(5.5及び6.4)で求められたHAZE値が65以下であることが好ましく、より好ましくは30以下、更に15以下、特に0.1〜10、殊更0.5〜5であるのが透明性、保存性、コストの点で好ましい。特にHAZE値が10以下であると、美感に優れ、また内容物である油脂の変質等を確認し易くなるという点から好ましい。
本発明に用いる容器は、上記バリア性能を有するよう内層/中間層/外層の材質を適宜選択し、必要に応じて接着剤で接着することにより得ることができる。内層及び外層の材質としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン
(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、これらの延伸物、密度変更物、これら素材と他素材とを組合わせた物を用いるのがバリア性、外観、作業性、保存性、使用感、強度の点で好ましい。これらのうち、より好ましくは、ポリプロピレン、延伸ポリプロピレン、ポリエチレン、延伸ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポレエチレン、延伸ポリエチレンテレフタレート、更に好ましくは、ポリプロピレン、延伸ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、特に高密度ポリエチレンを用いるのがよい。
また、上記バリア性能を有するように上記記載の単層樹脂容器や多層樹脂容器の内外部に炭素膜や珪素膜をコーティングしたものでもよい。例えば、ポリエチレンテレフタレートに炭素膜や珪素膜をコーティングしたものが挙げられる。更に、上記バリア性能を有するようにPET樹脂に、メタキシレン基含有ポリアミド樹脂等の各種ナイロン樹脂(例えばMXD −6 ナイロン樹脂(MxD −6 Ny))をドライブレンドして成形した単層プリホームを用いてもよい。
本発明に用いる容器の中間層としては、酸素透過バリア性の高いエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)を用いるのがバリア性、外観、作業性、保存性、使用感の点で好ましい。例えば、エチレン含有量が20〜60モル%、特に25〜50モル%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体を、ケン化度が96モル%以上、特に99モル%以上となるようにして得られる共重合体ケン化物が使用される。このエチレン−ビニルアルコール共重合体ケン化物は、フィルムを十分形成できる分子量を有するのが好ましい。
また、エチレン−ビニルアルコール共重合体以外の例としては、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6/6,6共重合体、メタキシリレンアジパミド、ナイロン6,10、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン13等のポリアミド類が挙げられる。
エチレン−ビニルアルコール共重合体を用いる場合のように、他層との接着性が十分に得られない場合は、接着剤を用いることが好ましい。接着剤としては、カルボン酸、カルボン酸アミド、カルボン酸エステル等に基づくカルボニル基を主鎖又は側鎖にもつ熱可塑性樹脂が挙げられる。具体的には、エチレン−アクリル酸共重合体、イオン架橋オレフィン共重合体、無水マレイン酸グラフトポリエチレン、無水マレイン酸グラフトポリプロピレン、アクリル酸グラフトポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、共重合体ポリエステル、共重合体ポリアミド等の1種又は2種以上の組合せが挙げられる。これらの接着剤樹脂は、同時押出し或いはサンドイッチラミネーション等による積層に有用である。また、予め形成された酸素透過バリア性フィルムと水分透過バリア性フィルムとの接着積層には、イソシアネート系或いはエポキシ系等の熱硬化性接着剤樹脂も使用さ
れる。
これらのうち特に、エチレン−ビニルアルコール共重合体を接着する三井化学社製のアドマーや三菱化学社製のモディックを使用するのが好ましい。
また、本発明に用いる容器に上記バリア性だけでなく透明性も付与するためには、例えば、内層及び外層が透明性の高い配向性熱可塑性樹脂であるポリプロピレン(PP)層からなり、中間層に環状オレフィンポリマー(COP)層とエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)層とを含んだ4層構造とするのが好ましい。また、内層及び外層を構成するPPと、中間層を構成するCOP及びEVOHの各層の間には、接着層が介在している。
ここで、環状オレフィンポリマー(COP)は、透明性及び水分バリア性に優れた樹脂であり、このCOPとしては、例えば日本ゼオン株式会社製のゼオノア(シクロ・オレフィン・ポリマー)や三井化学株式会社製のアベル(環状・オレフィン・コポリマー)等を用いることができる。
本発明に用いる容器は、上記バリア性、及び透明性を有していれば、それ自体公知の方法で製造することができる。例えば、多層押出成形体の製造には、各樹脂層に対応する押出機で溶融混練した後、多層多重ダイスを用いて押出成形を行えばよい。多層射出成形体の製造には、樹脂の種類に応じた数の射出成形機を用いて、共射出法や逐次射出法により射出成形を行えばよい。
本発明の容器入り食用油脂は、外観、作業性、風味、食感、使用感等の点で良好であるため、高湿地においても食用油脂として利用できる。また、特定の機能を発揮して健康増進を図る健康食品、機能性食品、特定保健用食品等にも応用することができる。具体的な製品としては、揚げ物、炒め物、焼き物等に用いる調理油の他、ドレッシングやマヨネーズ、シフォンケーキ等に用いることができる。特に、コロッケ、天ぷら、とんかつ、唐揚げ、魚フライ、春巻き等の惣菜、ポテトチップス、トルティーヤチップス、ファブリケートポテト等のスナック菓子、揚げせんべい等の揚げ菓子、フライドポテト、フライドチキン、ドーナツ、即席麺、やきそば、スパゲティ、チャーハン、出し巻き卵、ステーキ、ハンバーグ、焼き肉、野菜炒め、ムニエル、目玉焼き、お好み焼き、たこ焼き等を調理するのに適している。
実施例1
(1)油脂の調製
次の油脂を製造した。
油脂W
大豆油脂肪酸をウインタリングにより飽和脂肪酸を低減させたもの455重量部と菜種油脂肪酸195重量部とグリセリン107重量部とを、リポザイムIM(ノボ ノルディスクバイオインダストリー社製)を使用して0.07hPaで40℃、5時間エステル化を行った。次いで酵素を濾別し、235℃で分子蒸留し、更に脱色、水洗した。次いでこの油脂150重量部に10%クエン酸水溶液7.5重量部を加え、60℃で20分間攪拌した後、110℃、0.27kPaで脱水した。これを235℃で2時間脱臭して、油脂Wを調製した。
油脂X
菜種油脂肪酸650重量部とグリセリン107重量部とを、油脂Wと同様にエステル化、後処理を行い、油脂Xを調製した。
油脂Y
菜種硬化油(IV=66)を分解して得た脂肪酸650重量部とグリセリン107重量部とを、油脂Wと同様にエステル化、後処理を行い、油脂Yを調製した。
油脂Z
大豆脂肪酸650重量部とグリセリン107重量部とを、油脂Wと同様にエステル化、後処理を行い、油脂Zを調製した。
(2)ジグリセリドの構成脂肪酸分析
カラムクロマトグラフ(和光純薬工業社製、ワコーゲルC−200とヘキサンでトリグリセリド画分を落とした後、ヘキサン/ジエチルエーテル=70/30にてジグリセリド画分を得た)により油脂中のジグリセリド画分を集め、その後「日本油化学協会編、基準油脂分析法」中の「脂肪酸メチルエステルの調整法」、「脂肪酸組成」の方法に従い、ガスクロマトグラフィーにて分析した。得られたチャートのリテンションタイム及びピークエリア比よりジグリセリド中の脂肪酸分布を求めた。分析結果を表1に示す。
Figure 0004469581
本発明品1〜6及び、比較品1〜3
油脂W、油脂X、油脂Yを各100重量部に対し、ビタミンE、ビタミンC、クエン酸、植物ステロール類を加えて本発明品1〜6及び、比較品1〜3を製造した。配合表を表2に示す。
Figure 0004469581
実施例2 調理試験
表2記載の油脂組成物を、40℃/相対湿度75%の環境にて開栓して保管した。カールフィッシャー法により経時的に水分を測定し、水分量0.2%の油脂を調製した。
水分量0.2%の各油脂を用いて、下記の方法により、天ぷら、ヒレカツ、鶏の唐揚げの順で調理を行った。調理時の臭い立ち及び調理品の風味、食感を官能で評価した。
油量:600g(中華鍋)
油温:180℃、ガスコンロ(中火)加熱
<天ぷら>
揚げ種:エビ(ブラックタイガー)8尾
レンコン(スライス)8枚
カボチャ(スライス)8枚
ピーマン(1個を1/2切)8個
ナス(1個を1/2切)8個
衣:小麦粉100g
卵50g
水150g
<ヒレカツ>
揚げ種:豚ヒレ肉(2cm輪切り)
衣:小麦粉、溶き卵、パン粉の順で、揚げ種に付着させた。
上記天ぷら調理を行った油脂を、オイルポットにて、室温1週間保管した。その油脂300gに、表2記載の油脂をそれぞれ300g加え、180℃にてヒレカツ調理を行った。
<鶏の唐揚げ>
揚げ種:鶏モモ肉(一口大)
衣:から揚げ粉(日清製粉)を、揚げ種に付着させた。
上記ヒレカツ調理を行った油脂を、オイルポットにて、室温1週間保管した。その油脂300gに、表2記載の油脂をそれぞれ300g加え、180℃にて唐揚げ調理を行った。
フライ調理終了時の食用油脂の臭い、及び調理品の風味、食感をパネル10名が下記の評価基準で評価した。
(調理時の臭い立ち)
A;不快な異臭や劣化臭がなく、非常に優れている。
B;不快な異臭や劣化臭が殆どなく、優れている。
C;不快な異臭や劣化臭がややある。
D;不快な異臭や劣化臭がある。
(調理品の風味、食感)
A;酸味、渋味等の不快味や油っぽさが全くなく、非常に優れている。
B;酸味、渋味等の不快味や油っぽさがほとんどなく、優れている。
C;酸味、渋味等の不快味や油っぽさがややある。
D;酸味、渋味等の不快味や油っぽさがあり、風味が悪い。
表3に示すように、得られた調理品は、風味・外観等いずれも良好であった。また調理時の食用油脂の臭いについても同様に良好で、作業性に優れていた。本発明の食用油脂は、調理油用途に十分使用できた。
Figure 0004469581
実施例3 低温保存試験
表2に記載の組成の油脂組成物(本発明品4,6、比較品1,3)を、ガラス製サンプル瓶に入れて密栓した。次いで、0℃で24時間保管後、その状態を肉眼で観察した。
Figure 0004469581
その結果、表4に示すように、本発明のように成分(A)、(B)、(C)及び(D)を含有する油脂組成物は、低温保存条件下でも濁りを生じなかった。
実施例4 マヨネーズ
油脂(本発明品6) 65.0(重量部)
卵黄(ホスホリパーゼ処理) 15.0
食酢(酸度10%) 7.0
砂糖 1.0
グルタミン酸ナトリウム 0.4
食塩 0.3
マスタード(粉末) 0.3
増粘剤(キサンタンガム) 0.1
水 10.9
ホモミキサーで油脂以外の原料を攪拌混合した。次いで、油脂を滴下し、ホモミキサーで予備乳化を行った。得られた予備乳化物をコロイドミルで均質化し、マヨネーズを製造した(pH4.0)。得られたマヨネーズは、風味、外観、乳化性等いずれも良好であった。本発明の油脂組成物は、水中油型乳化物用途に十分使用できた。
実施例5 スプレッド
(油相)
油脂(本発明品4) 33.38(重量部)
パーム硬化油(IV=2) 4
大豆硬化油(IV=43) 2
モノグリセリド 0.5
レシチン 0.5
ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル 0.5
フレーバー 0.1
ビタミンE 0.02
(水相)
蒸留水 57.4(重量部)
脱脂粉乳 0.3
食塩 1.3
上記油相と水相を調製し、次いでホモミキサーにより混合・乳化した。得られた乳化物を常法により急冷して可塑化することにより、スプレッドを調製した。得られたスプレッドは、風味、外観、乳化性等いずれも良好であった。本発明の食用油脂は、油中水型乳化物用途に十分使用できた。
実施例6 容器のバリア性評価試験
次の容器a〜gの水分透過指数及び、酸素透過度、及び酸素透過指数を測定した。結果を表5に示す。
容器a:内層・外層;高密度ポリエチレン
中間層;エチレン−ビニルアルコール共重合体
容器b:内層・外層;ポリプロピレン
中間層;エチレン−ビニルアルコール共重合体
容器c:ポリエチレンテレフタレート+炭素膜
容器d:ポリエチレンテレフタレート+珪素膜
容器e:ポリエチレンテレフタレートにMxD−6Ny樹脂を4重量%ドライブレンドして成形した単層プリホーム
容器f:内層・外層;ポリプロピレン
中間層1;エチレン−ビニルアルコール共重合体
中間層2;環状オレフィンポリマー
容器g:ポリエチレンテレフタレート
〔水分透過指数の測定法〕
JIS Z 0208法(防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法))を基準とし、以下の如くして測定した。
吸湿剤(塩化カルシウム(無水))を試験ボトルに入れた(満重容量の20重量%)。試験ボトルの口にヒートシール性アルミフィルムを置いた。アイロンを用いてボトル口部とアルミフィルムをしっかり密封した。試験ボトルを40±0.5℃、90±2%RHの条件に保った恒温恒湿装置中に入れた。16時間以上試験ボトルを恒温恒湿装置中に置いた後、取り出してデシケータ(シリカゲル入り)内に保存し、室温と平衡させ、天秤で質量を測定し、これを初期重量とした。試験ボトルを再び恒温恒湿装置中に入れ、24時間間隔で試験ボトルを取り出して秤量する操作を繰返して、試験ボトルの質量増加を測定した。このとき2つの連続する秤量でそれぞれ単位時間当たりの質量増加を求め、それが5%以内で一定になるまで試験を続けた。
得られた1日(24時間)当たりの試験ボトル重量増加量(g)をボトルの表面積(m2)で除して、水分透過指数を求めた。
〔酸素透過度の測定法〕
JIS K 7126B法に従って酸素透過度を測定した。この値を試験ボトルの表面積で除して、酸素透過指数を求めた。
〔透明性の測定法〕
JIS K 7105法 プラスチックの光学的特性試験法(5.5及び6.4)に従ってHAZE値を求めた。
Figure 0004469581
実施例7 食用油脂1〜4
油脂W、油脂X、油脂Zを各100重量部に対し、ビタミンE、ビタミンC誘導体、有機酸類、植物ステロール類を加えて食用油脂1〜4を製造した。配合表を表6に示す。コーン油(日清製油)を食用油脂5とした。なお、食用油脂1及び5の飽和溶解水分量を求めたところ、8900ppm(食用油脂1)、1000ppm(食用油脂5)であった。
Figure 0004469581
実施例8 高湿度保存試験
実施例6の容器(a、b、g)に、実施例7で製造した食用油脂(1〜5)を充填、密栓し、容器入り食用油脂(I〜VI)を作製した。これらを40℃、相対湿度75%で、3ヶ月間保存し、食用油脂中の水分、過酸化物価(POV)を測定した。また、保存後の油脂をガラス製サンプル瓶に入れて密栓し、室温に放冷後、肉眼で外観を評価した。
その結果、表7に示すように、本発明品は、いずれも吸湿が抑制されて、外観が良好であった。
Figure 0004469581
実施例9 フライ調理試験
実施例8の条件で保存(3ヶ月)した容器入り食用油脂(I〜V)を使用して、下記方法によりフライ調理(天ぷら)を行った。
油量:600g(中華鍋)
油温:180℃、ガスコンロ(中火)加熱
<天ぷら>
揚げ種:エビ(ブラックタイガー)8尾
レンコン(スライス)8枚
カボチャ(スライス)8枚
ピーマン(1個を1/2切)8個
ナス(1個を1/2切)8個
衣:小麦粉100g
卵50g
水150g
フライ調理終了時の食用油脂の臭い立ち、及びフライ調理品の風味、食感をパネル10名が下記評価基準で評価した。結果を表8に示す。
(フライ調理終了時の食用油脂の臭い)
A;不快な異臭や劣化臭がなく、非常に優れている。
B;不快な異臭や劣化臭が殆どなく、優れている。
C;不快な異臭や劣化臭がややある。
D;不快な異臭や劣化臭がある。
(フライ調理品の風味、食感)
A;酸味、渋味等の不快味や油っぽさが全くなく、非常に優れている。
B;酸味、渋味等の不快味や油っぽさが殆どなく、優れている。
C;酸味、渋味等の不快味や油っぽさがややある。
D;酸味、渋味等の不快味や油っぽさがあり、風味が悪い。
本発明の容器入り食用油脂を使用して得られたフライ調理品は、風味、食感等いずれも良好であった。またフライ調理後の食用油脂の臭いについても同様に良好で、作業性に優れていた。
Figure 0004469581

Claims (5)

  1. 飽和溶解水分量が1500ppm以上の部分グリセリドを含有する油脂、及び油脂100重量部に対して、クエン酸0.001〜0.0045重量部を、水分透過指数が0〜1.5(g/day・m2)、かつ酸素透過指数が0〜0.2(cm3/day・m2)である容器に充填してなる容器入り揚げ物あるいは炒め物用油脂。
  2. 飽和溶解水分量が1500ppm以上の部分グリセリドを含有する油脂が、構成脂肪酸中の不飽和脂肪酸含量が80〜100重量%であるジグリセリドを15〜100重量%含有する油脂である請求項1記載の容器入り揚げ物あるいは炒め物用油脂。
  3. 更に、油脂100重量部に対して、抗酸化剤を0.001〜5重量部含有する請求項1又は2記載の容器入り揚げ物あるいは炒め物用油脂。
  4. 更に、油脂100重量部に対して、植物ステロール類を0.05〜4.7重量部含有する請求項1〜3のいずれか1項記載の容器入り揚げ物あるいは炒め物用油脂。
  5. 密栓し、40℃、相対湿度75%の条件下で3ヶ月間保存した後の水分量が、4000ppm以下である請求項1〜のいずれか1項記載の容器入り揚げ物あるいは炒め物用油脂。
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