JP4468084B2 - 緩衝機能付きカートン - Google Patents

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棒状の被収容物を収容するカートンに関するものである。
従来の破損仕易い棒状の被収容物を収容する場合、別途作製した種々の仕切りを設置したカートンに収容したり、断面波形の厚紙や発泡スチロールで保護した状態でカートンに収容し、被収容物を外周部と上からの衝撃を緩和するようにしたカートン等が公知となっている(例えば、特許文献1参照。)。
特開平10-111111号公報
しかしながら、上記公知のカートンのように、別途作製した種々の仕切りを設置したカートンに収容したり、断面波形の厚紙や発泡スチロールで保護した状態でカートンに収容したりする形態の場合、被収容物を包装するための工程が簡便ではなく、コストが高くなるという問題があり、また、開封が容易ではなく、かつ、使用後の廃棄の点でも問題があった。
本発明の目的とするところは、棒状の被収容物を収容するカートンであって、前後、左右、上下からの衝撃を緩和することが可能な緩衝機能付きカートンを提供することである。
本発明は、一枚のブランクから組み立てられた中舟を直方体形状の外箱に収容してなるカートンであって、前記中舟が、矩形の底板の4辺から立ち上がる内側板と外側板からなる2枚以上の側板から構成される前側壁、後側壁、右側壁、左側壁の4側壁からなり、左右側壁において、少なくとも一方の側壁が3枚以上の側板が蛇腹状に内方に重なった状態で形成され、前後側壁において、内側板を横断して底板に至る一対の平行な切れ目線が入れられ、該切れ目線で挟まれた部分を起こすことにより保持部が形成され、前記蛇腹状に重ねられた最内の内側板の両側辺に設けた差し込み片を、前記前後側壁の内側板の所定の位置にそれぞれ設けた差し込み口に差し込み形成したことを特徴とする緩衝機能付きカートンであり、前記外箱が、外箱上板、外箱前板、外箱下板、外箱後板、外箱側板、外箱側板からなる直方体形状であり、前記外箱上板には、摘み部、ジッパーが設けられていることを特徴とする。
本発明の緩衝機能付きカートンにより下記の効果を有している。
(1)棒状の被収容物を収容する中舟と外箱が二重になっている上、中舟において、左右側壁が複数の側板からなっており、前後側壁が一部切り取り起こされて保持部が形成されていることにより、輸送、保管等の流通過程での損傷を防ぐことができる前後、左右、上下に対して高い緩衝機能を有している。
(2)中舟が一枚のブランクから組み立てることができ、全体としても簡単に組み立てることができる。
(3)外箱が易開封性となっていることから、容易に外箱を開封し、中舟に収容されている被収容物を容易に取り出すことができる。
(4)棒状の被収容物の長さが異なる場合にも、左右側壁の一方の側壁が蛇腹状となっていることにより、長さの異なる被収容物に対しても左右の内寸を変化させることができ、長さの異なる被収容物を収容するのに一つのカートンで対応することができ、経済的である。
(5)全て板紙を使用することによって、使用後の再使用と公害を伴わない廃棄処理が可能である。
以下、図面によって本発明による緩衝機能付きカートンをさらに詳細に説明する。
図1は、本発明による緩衝機能付きカートンの一実施形態を示す斜視図である。緩衝機能付きカートンAは、中舟1を外箱2の中に収容した形態であり、細長く傷付き易い棒状の被収容物を収容するのに適したカートンであり、前後、左右、上下の三方向に対する緩衝機能を有し、簡単に組み立てることができる構造を備えている。
外箱2の中に収容される中舟1は、それ自体でも緩衝性を有する形状となっており、底板11と、その底板11の4辺から立ち上がる前側壁12、後側壁13、右側壁14、左側壁15の4側壁からなり、それぞれの側壁は2枚以上の側板から構成されている。すなわち、前側壁12、後側壁13、右側壁14は二重の側板からなり、特に、左右側壁の一方の左側壁15(右側壁14でもよい)は五重の側板からなる蛇腹状となっており、左右方向に対してより高い緩衝性を備えている。
また、左側壁15が蛇腹状になっていることによって、左右側壁に渡って収容する棒状の被収容物の長さが異なる場合にも左右の内寸を変化させることにより対応することができる形状となっている。
さらに、前側壁12および後側壁13では、切れ目線を入れた一部が起立されることにより、それぞれ保持部X、Yが形成され、棒状の被収容物を保持することができ、前後方向の緩衝性を付与している。
中舟1を収容する外箱2は、外箱上板21、外箱前板22、外箱下板23、外箱後板24、外箱側板26、外箱側板26からなる直方体形状であり、外箱上板21には、摘み部Z、ジッパーz、z等が設けられ外箱2に易開封性が付与されている。
図2は、本発明による緩衝機能付きカートンの中舟と外箱のブランク展開図である。中舟のブランク10は、図2−aに示すように、矩形状の底板11の下辺に折れ線aを介して前内側板12aを連設し、その前内側板12aに折れ線bを介して前外側板12bを連設し、底板11の上辺に折れ線cを介して後内側板13aを連設し、その後内側板13aに折れ線dを介して後外側板13bを連設し、底板11の右辺に折れ線eを介して右内側板14aを連設し、その右内側板14aに折れ線fを介して右外側板14bを連設し、底板11の左辺に折れ線gを介して左外側板15aを連設し、その左外側板15aに折れ線hを介して左内側板15bを連設し、その左外側板15bに折れ線iを介して左内側板15cを連設し、その左外側板15cに折れ線jを介して左内側板15dを連設し、その左外側板15dに折れ線kを介して左内側板15eを連設している。また、左内側板15eの両側辺には折れ線l、lに介して差し込み片16、16を設けている。
さらに、この差し込み片16、16を差し込む差し込み口16a、16aを前内側板12aおよび後内側板13aに設け、別の位置に差し込み口16b、16bを設けている。すなわち、この差し込み口16a、16a、および差し込み口16b、16bは、蛇腹状の左内側板15eに設けた差し込み片16、16が差し込める範囲内に設け、その位置により、それぞれ右内側板14aと左内側板15eの距離(左右の内寸)を収容する被収容物に合わせて設定することができる。
また、前内側板12aを横断して底板11に折れ線aに平行に設けた折れ線mに至る一対の平行な切れ目線x、xを設け、そして、折れ線mに平行に前内側板12aと同幅すなわち折れ線aと折れ線bの幅と同幅となるように折れ線nを設けている。同様に、後内側板13aを横断して底板11に折れ線cに平行に設けた折れ線oに至る一対の平行な切れ目線y、yを設け、そして、折れ線oに平行に後内側板13aと同幅すなわち折れ線cと折れ線dの幅と同幅となるように折れ線pを設けている。ブランク10から中舟1に組み立てる時に、それぞれ折れ線n、pを外側に折り曲げて起こすことによって、保持部X、Yが形成され、その保持部Xと保持部Yの間に、棒状の被収容物を収容し保持することができる。
外箱のブランク20は、図2−bに示すように、外箱上板21、外箱前板22、外箱下板23、外箱後板24、外箱上内板25が、折れ線q、r、s、tを介して順次連設され、その外箱下板23両側辺には外箱側板26、26が折れ線u、uを介して連設されている。また、その外箱側板26、26には差し込み片27、27がそれぞれ折れ線v、vを介して連設され、外箱前板22および外箱後板24の両辺には折れ線w、w、w、wを介して外箱折り込み片28、28、28、28が連設されている。さらに、外箱上板21には、切り込みによる摘み部Zと、その摘み部Zから両側に伸びる開封用のジッパーz、zが設けられている。この外箱2のカートン形式はサック式カートンとしているが、特に限定されるものではなく、両側をシールするシールカートン形式とすることもできる。
本発明による緩衝機能付きカートンAの中舟1を成形するには、まず、図3−aに示すように、底板11を基にして、前内側板12aを折れ線aで上方に直角に折り曲げる。この時、切れ目線x、xで保持部Xを切り取って起こし、折れ線mを直角に折り曲げて保持部Xを形成する。
ついで、図3−bに示すように、前外側板12bを前内側板12aの裏面側に折り返して前外側板12bと前内側板12aの二重の側板からなる前側壁12を形成する。同様にして、後内側板13aを折れ線cで上方に直角に折り曲げる。この時、切れ目線y、yで保持部Yを切り取って起こし、折れ線oを直角に折り曲げて保持部Yを形成する。ついで、後外側板13bを後内側板13aの裏面側に折り返して後外側板13bと後内側板13aの二重の側板からなる後側壁13を形成する。
つぎに、図3−cに示すように、右内側板14aを折れ線eで上方に直角に折り曲げ、ついで、右外側板14bを右内側板14aの裏面側に折り返して右外側板14bと右内側板14aの二重の側板からなる右側壁14を形成する。
さらに、左内側板15bを折れ線hで左外側板15aに重ねて内側に折り返し、左内側板15cを折れ線iで左内側板15bに重ねて内側に折り返し、左内側板15dを折れ線jで左内側板15cに重ねて内側に折り返し、左内側板15eを折れ線kで左内側板15dに重ねて内側に折り返して蛇腹状とし、そして、図3−dに示すように、左外側板15aを折れ線gで上方に直角に折り曲げることにより左側壁15を形成する。
最後に左内側板15eの両側辺に設けた差し込み片16、16を前内側板12aおよび後内側板13aの所定の位置に設けた差し込み口16a、16aに差し込んで図1に示すような中舟1の組み立てが完了する。
本発明による緩衝機能付きカートンAの外箱2を成形するには、図4−aに示すように、外箱2のブランク20を折れ線q、sで三つ折りし、外箱上内板25と外箱上板21を接着させて得られる図4−bに示すようなフラットに折り畳まれた外箱2を角柱状に起こせばよい。この時、外箱上内板25と外箱上板21を接着は、開封の際に支障がないように、ジッパーz、zの部分は避けて行う。つぎに、図4−cに示すように、起こした状態で被収容物を収容した中舟1を挿入し、両側の折り込み片28、28、外箱側板27を折り曲げ、外箱差し込み片27をカートンの内側に差し込むことにより両側面を封止することができる。この時、接着剤による貼り合わせ、テープでシール等を行う。このようにして、図1に示すような本発明の緩衝機能付きカートンAを完成することができる。
また、本発明による緩衝機能付きカートンAの中舟1および外箱2の形状としては、上記の形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
つぎに、本発明の緩衝機能付きカートンについて実施例をあげて、さらに具体的に説明する。なお、本発明はこれによって限定されるものではない。
まず、坪量450gの板紙(特板ウルトラH;日本製紙(株)製)を使用して、表面に絵柄、表示等の印刷を行い、ついで、打ち抜き工程で打ち抜いて図2に示すような中舟1用のブランク10と外箱2用のブランク20をそれぞれ作製した。
つぎに、中舟1用のブランク10を用いて、底板11を基にして、前内側板12aを折れ線aで上方に直角に折り曲げ、この時、切れ目線x、xで保持部Xを切り取って起こし、折れ線mを直角に折り曲げて保持部Xを形成し、前外側板12bを前内側板12aの裏面側に折り返して前外側板12bと前内側板12aの二重の側板からなる前側壁12を形成した。同様にして、保持部Yを形成し、後外側板13bと後内側板13aの二重の側板からなる後側壁13を形成し、右外側板14bと右内側板14aの二重の側板からなる右側壁14を形成した。
ついで、左内側板15e、左内側板15d、左内側板15c、左内側板15bを蛇腹状に折り畳んで左外側板15aに重ねて上方に直角に折り曲げることにより左側壁15を形成した。
さらに、左内側板15eの両側辺に設けた差し込み片16、16を前内側板12aおよび後内側板13aの所定の位置に設けた差し込み口16a、16aに差し込んで中舟1の組み立てが完了した。中舟1の形状として、長さが303mm、幅が92mm、高さが30mmで左右内側板間の距離を270mmとした。最後に、被収容物である内袋に入った人口骨を保持部Xと保持部Yの間に収容した。
つぎに、外箱2用ブランク20を用いて、折れ線q、sで三つ折りし、外箱上内板25と外箱上板21を接着してフラットに折り畳まれた外箱2を作製した。この時、外箱上内板25と外箱上板21を接着は、開封の際に支障がないように、ジッパーz、zの部分は避けて行った。起こした状態で被収容物を収容した中舟1を側方から挿入し、両側の折り込み片28、28、外箱側板27を折り曲げ、外箱差し込み片27をカートンの内側に差し込むことにより両側面を封止し、テープでシールし、実際に被収容物が収容された本発明の緩衝機能付きカートンを作製した。外箱2の形状として、長さが309mm、幅が100mm、高さが34mmとした。
実際に輸送、保管等の流通過程で被収容物の破損等が見られず緩衝性の高いものであった。また、実際に使用する時に、図5−aに示すように、外箱2の外箱上板21に設けた摘み部Zを指で摘まんで上方に引き上げ、ジッパーz、zを両方向に引き裂くことにより、外箱2を簡単に開封することができた。さらに、開封された外箱2の前方から、図5−bに示すように、中舟1を引き出して、被収容物である内袋に入った人口骨を容易、かつ、安全に取り出すことができた。
産業上の利用分野
本本発明による緩衝機能付きカートンは、棒状の被収容物を収容するカートンに好適に使用することができ、例えば、照明器具、ガラス製品、人口骨等のカートンとして使用することができる。
本発明による緩衝機能付きカートンの一実施形態を示す斜視図である。 本発明による緩衝機能付きカートンの中舟および外箱のブランクを示す展開図である。 本発明による緩衝機能付きカートンの中舟の組み立てる方法を示す斜視図である。 本発明による緩衝機能付きカートンの外箱の組み立てる方法を示す斜視図である。 本発明による緩衝機能付きカートンを実際に使用する際に、被収容物を取り出す過程を示す斜視図である。
符号の説明
A 緩衝機能付きカートン
1 中舟
10 ブランク(中舟)
11 底板
12 前壁
12a 前内側板
12b 前外側板
13 後壁
13a 後内側板
13b 後外側板
14 右壁
14a 右内側板
14b 右外側板
15 左壁
15a 左外側板
15b 左内側板
15c 左内側板
15d 左内側板
15e 左内側板
16 差し込み片
16a 差し込み口
16b 差し込み口
2 外箱
20 ブランク(外箱)
21 外箱上板
22 外箱前板
23 外箱下板
24 外箱後板
25 外箱上内板
26 外箱側板
27 外箱差し込み片
28 外箱折り込み片
a〜w 折れ線
x 切れ目線
y 切れ目線
z ジッパー
X 保持部
Y 保持部
Z 摘み部

Claims (2)

  1. 一枚のブランクから組み立てられた中舟を直方体形状の外箱に収容してなるカートンであって、
    前記中舟が、矩形の底板の4辺から立ち上がる内側板と外側板からなる2枚以上の側板から構成される前側壁、後側壁、右側壁、左側壁の4側壁からなり、左右側壁において、少なくとも一方の側壁が3枚以上の側板が蛇腹状に内方に重なった状態で形成され、前後側壁において、内側板を横断して底板に至る一対の平行な切れ目線が入れられ、該切れ目線で挟まれた部分を起こすことにより保持部が形成され、前記蛇腹状に重ねられた最内の内側板の両側辺に設けた差し込み片を、前記前後側壁の内側板の所定の位置にそれぞれ設けた差し込み口に差し込み形成したことを特徴とする緩衝機能付きカートン。
  2. 前記外箱が、外箱上板、外箱前板、外箱下板、外箱後板、外箱側板、外箱側板からなる直方体形状であり、前記外箱上板には、摘み部、ジッパーが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の緩衝機能付きカートン。
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