JP4466879B2 - 二層型反射防止膜を用いたフォトレジストパターンの形成方法 - Google Patents

二層型反射防止膜を用いたフォトレジストパターンの形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、半導体装置の製造において使用されるフォトレジストパターンの形成方法に関する。特に、フォトレジスト用現像液に可溶な反射防止膜を二層使用することを特徴とする、フォトレジストパターンの形成方法に関する。
半導体装置の製造において、フォトレジストを用いたリソグラフィーによる微細加工が行われている。微細加工は、シリコンウェハー等の半導体基板上にフォトレジストの薄膜を形成し、その上にデバイスのパターンが描かれたマスクパターンを介して紫外線等の活性光線を照射し、現像し、得られたフォトレジストパターンを保護膜として基板をエッチング処理することにより、基板表面に、前記パターンに対応する微細凹凸を形成する加工法である。ところが、近年、デバイスの高集積度化が進み、使用される露光光もKrFエキシマレーザー(波長248nm)からArFエキシマレーザー(波長193nm)へと短波長化される傾向にある。しかしながら、これらのフォトリソグラフィー工程では基板からの露光光の反射による定在波の影響や、基板の段差による露光光の乱反射の影響によりフォトレジストパターンの寸法精度が低下するという問題が生ずる。そこで、この問題を解決すべく、フォトレジストと基板の間に反射防止膜(bottom anti−reflective coating)を設ける方法が広く検討されている。
これらの反射防止膜は、その上に塗布されるフォトレジストとのインターミキシングを防ぐため、熱架橋性組成物を使用して形成されることが多い。その結果、反射防止膜はフォトレジスト用現像液に不溶となり、半導体基板加工に先立つ反射防止膜の除去は、ドライエッチングによって行なうことが必要である(例えば、特許文献1参照。)。
しかし、反射防止膜のドライエッチングによる除去と同時に、フォトレジストもエッチングにより除去され、そのため、基板加工に必要なフォトレジストの膜厚の確保が難しくなるという問題が生じる。特に、解像性の向上を目的として、薄膜のフォトレジストが使用されるような場合に、これは特に重大な問題となる。
また、半導体装置製造におけるイオン注入工程は、フォトレジストパターンを鋳型として半導体基板に不純物を導入する工程であり、基板表面に損傷を与えることを避けるため、フォトレジストのパターン形成に当たってはドライエッチング工程を行なうことができない。そのため、イオン注入工程のためのフォトレジストパターンの形成においてはドライエッチングによる除去を必要とする反射防止膜をフォトレジストの下層に使用することができなかった。これまでイオン注入工程で鋳型として用いられるフォトレジストパターンは、その線幅が広く、基板からの露光光の反射による定在波の影響や、基板の段差による露光光の乱反射の影響を受けることが少なかったため、染料入りフォトレジストやフォトレジスト上層に反射防止膜を用いることで反射による問題は解決されてきた。しかしながら近年の微細化に伴いイオン注入工程で用いられるフォトレジストにも微細なパターンが必要とされ始め、フォトレジスト下層の反射防止膜が必要となってきた。
このようなことから、フォトレジスト用現像液に溶解し、フォトレジストと同時に現像除去することができる反射防止膜の開発が望まれていた。これまでも、フォトレジストと同時に現像除去することができる反射防止膜についての検討がなされている(例えば、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6参照。)。ところで、これらの反射防止膜は、通常、一層で使用されており、そして、反射防止膜の現像液に対する溶解速度は基本的に均一である。そのため、現像液にさらされている時間が長くなるフォトレジスト下層の反射防止膜の上部ほど、現像によって除去される部分が多くなる傾向がある。すなわち、現像によって、半導体基板上に、共に矩形状のフォトレジスト及び反射防止膜を与えることが望まれるが、反射防止膜を一層で使用した場合には、溶解速度が均一であることから、その上部ほど現像によって除去される部分が多くなり、その結果、フォトレジスト下の反射防止膜の形状が台形となる傾向がある。そのため、これらの反射防止膜は、微細加工への適用性が充分ではなく、また、パターン間に残渣が生じる等の課題を抱えているものであった。
米国特許第6156479号明細書 特許第2686898号公報 特開平9−78031号公報 特開平11−72925号公報 国際公開第03/057678号パンフレット 国際公開第03/058345号パンフレット
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであって、フォトレジストと同時に現像除去することができる反射防止膜を用いた半導体装置の製造に用いられるフォトレジストパターンの形成方法を提供することにある。
詳しくは、フォトレジスト及び反射防止膜が共に矩形状であるパターンの形成方法を提供することにある。また、パターン間に反射防止膜の残渣を生じないパターンの形成方法を提供することにある。
こうした現状に鑑み本発明者等は鋭意研究を重ねた結果、フォトレジスト用現像液に対する溶解速度の異なる二種類の反射防止膜を使用することにより優れたフォトレジストパターンを形成できることを見出し、本発明を完成したものである。
すなわち、本発明は、第1観点として、
半導体基板上に第一の反射防止膜形成組成物を塗布し、焼成することによってフォトレジスト用現像液に可溶な第一の反射防止膜を形成する工程、前記第一の反射防止膜上に第二の反射防止膜形成組成物を塗布し、焼成することによってフォトレジスト用現像液に可溶であり、そしてフォトレジスト用現像液に対する溶解速度が前記第一の反射防止膜より小さい第二の反射防止膜を形成する工程、前記第二の反射防止膜の上にフォトレジストを形成する工程、前記第一の反射防止膜、前記第二の反射防止膜及び前記フォトレジストで被覆された半導体基板を露光する工程、及びフォトレジスト用現像液によって現像する工程を含むことを特徴とする、半導体装置の製造に用いられるフォトレジストパターンの形成方法、
第2観点として、前記第二の反射防止膜のフォトレジスト用現像液に対する溶解速度が、前記第一の反射防止膜のフォトレジスト用現像液に対する溶解速度の0.1〜0.5倍であることを特徴とする、第1観点に記載のフォトレジストパターンの形成方法、
第3観点として、前記第一の反射防止膜の膜厚が、前記第二の反射防止膜の膜厚に対して1〜10倍であることを特徴とする、第1観点に記載のフォトレジストパターンの形成方法、
第4観点として、前記第一の反射防止膜形成組成物及び前記第二の反射防止膜形成組成物が共に、ポリアミド酸、少なくとも二つのエポキシ基を有する化合物、及び溶剤を含む組成物であることを特徴とする、第1観点に記載のフォトレジストパターンの形成方法、
第5観点として、前記ポリアミド酸が、式(1)
Figure 0004466879
(式中、A1は4価の有機基を表し、B1は3価の有機基を表す)
で表される構造、及び式(2)
Figure 0004466879
(式中、A2は4価の有機基を表し、B2は2価の有機基を表す)で表される構造を有するポリアミド酸であることを特徴とする、第4観点に記載のフォトレジストパターンの形成方法、である。
フォトレジスト用現像液に対する溶解速度の違う二種類の反射防止膜を積層させて使用することにより、現像時の反射防止膜の異方性エッチングが可能となる。このためフォトレジスト下層の、二層よりなる反射防止膜のパターン形状を矩形にできる。そして、それにより、解像度、プロセスマージンを向上することができる。また、二層よりなる反射防止膜の下層として現像速度の速い反射防止膜を用いることにより現像後の反射防止膜の残渣を低減することができる。
本発明は、基本的に、
半導体基板上に第一の反射防止膜形成組成物を塗布し、焼成することによってフォトレジスト用現像液に可溶な第一の反射防止膜を形成する工程、前記第一の反射防止膜上に第二の反射防止膜形成組成物を塗布し、焼成することによってフォトレジスト用現像液に可溶であり、そしてフォトレジスト用現像液に対する溶解速度が前記第一の反射防止膜より小さい第二の反射防止膜を形成する工程、前記第二の反射防止膜の上にフォトレジストを形成する工程、前記第一の反射防止膜、前記第二の反射防止膜及び前記フォトレジストで被覆された前記半導体基板を露光する工程、及び、露光された前記半導体基板をフォトレジスト用現像液によって現像する工程を含むフォトレジストパターンの形成方法である。
以下、本発明のフォトレジストパターンの形成方法について説明する。
まず、半導体基板上に第一の反射防止膜形成組成物を塗布し、焼成することによって、フォトレジスト用現像液に可溶な第一の反射防止膜が形成される。
半導体基板としては、シリコン/二酸化シリコン被覆基板、シリコンウエハー基板、シリコンナイトライド基板、ガラス基板及びITO基板等、半導体装置の製造に汎用されている基板を使用することができる。
フォトレジスト用現像液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物の水溶液、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、コリン等の水酸化四級アンモニウムの水溶液、エタノールアミン、プロピルアミン、エチレンジアミン等のアミン水溶液等のアルカリ性水溶液が汎用されている。特に汎用されているフォトレジスト用現像液としては、2.38質量%の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液である。そのため、これらの現像液に溶解する反射防止膜が、第一の反射防止膜として形成される。
第一の反射防止膜のフォトレジスト用現像液に対する溶解速度は、その上に形成される第二の反射防止膜のフォトレジスト用現像液に対する溶解速度より大きいことが必要であり、その溶解速度としては、毎秒0.1nm〜50nmであり、又は毎秒0.2nm〜40nmであり、又は毎秒0.3〜20nmであり、又は毎秒1nm〜15nmであり、又は毎秒2nm〜10nmである。溶解速度がこれより小さい場合には、反射防止膜の除去に必要な時間が長くなり、生産性の低下をもたらすこととなる。また、溶解速度がこれより大きい場合には、フォトレジスト未露光部下層の反射防止膜も溶解しフォトレジストパターンが形成できなくなることが考えられる。
第一の反射防止膜を形成する際の焼成温度は、150℃〜250℃である。また、焼成時間は20〜600秒である。
そして、第一の反射防止膜の膜厚としては、20nm〜300nmであり、又は40nm〜100nmである。
次に、第一の反射防止膜の上に、第二の反射防止膜形成組成物を塗布し、焼成することによって、フォトレジスト用現像液に可溶な第二の反射防止膜が形成される。
第二の反射防止膜のフォトレジスト用現像液に対する溶解速度は第一の反射防止膜のフォトレジスト用現像液に対する溶解速度より小さいことが必要である。その溶解速度としては、毎秒0.05nm〜10nmであり、又は毎秒0.1nm〜5nmであり、又は0.15nm〜2nmであって、前記第一の反射防止膜の溶解速度より小さい値が、適宜選択される。また、形成される反射防止膜のパターン形状の矩形性という点から、第二の反射防止膜の溶解速度としては、第一の反射防止膜の溶解速度に対して、例えば0.1〜0.5倍、又は0.2〜0.4倍であることが好ましい。
第二の反射防止膜を形成する際の焼成温度は、第二の反射防止膜の焼成時に、第一の反射防止膜の溶解速度を低下させないという観点から120℃〜200℃である。また、焼成時間は20〜600秒である。そして、第二の反射防止膜を形成する際の焼成温度は、第一の反射防止膜を形成する際の焼成温度より5℃〜70℃又は10℃〜40℃低いことが好ましい。これは、第一の反射防止膜の焼成温度が第二の反射防止膜の焼成温度より低い場合、第二の反射防止膜の焼成時にも第一の反射防止膜の溶解速度が変化するからである。
また、第二の反射防止膜の膜厚としては、反射防止膜の除去に必要な時間を小さくするという観点から、3nm〜30nmであり、又は5nm〜15nmである。
そして、前記第一の反射防止膜の膜厚と第二の反射防止膜の膜厚との関係としては、第一の反射防止膜の膜厚が、前記第二の反射防止膜の膜厚に対して、例えば1〜10倍、又は2〜5倍であることが好ましい。
次に、第二の反射防止膜の上にフォトレジストが形成される。フォトレジストの形成は、一般的な方法、すなわち、フォトレジスト溶液の反射防止膜上への塗布及び焼成によって行なうことができる。フォトレジストを形成する際の焼成温度は、70℃〜130℃であり、焼成時間は20〜300秒である。焼成温度が、前記温度より大きくなると、第一及び第二の反射防止膜の溶解速度が低下し、反射防止膜の除去に必要な時間が大きくなり、また、パターンの矩形性が低下するということになる。
フォトレジストを形成する際の焼成温度は、前記第一及び第二の反射防止膜を形成する際の焼成温度より低い温度であることが好ましい。フォトレジストの膜厚としては、100〜1000nmである。
形成されるフォトレジストとしては露光に使用される光に感光するものであれば特に限定はない。ネガ型、ポジ型のいずれのフォトレジストも使用できる。ノボラック樹脂と1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルとからなるポジ型フォトレジスト、酸により分解してアルカリ溶解速度を上昇させる基を有するバインダーと光酸発生剤からなる化学増幅型フォトレジスト、酸により分解してフォトレジストのアルカリ溶解速度を上昇させる低分子化合物とアルカリ可溶性バインダーと光酸発生剤とからなる化学増幅型フォトレジスト、酸により分解してアルカリ溶解速度を上昇させる基を有するバインダーと酸により分解してフォトレジストのアルカリ溶解速度を上昇させる低分子化合物と光酸発生剤からなる化学増幅型フォトレジスト等が挙げられる。例えば、シプレー社製商品名APEX−E、住友化学工業(株)製商品名PAR710、及び信越化学工業(株)製商品名SEPR430等が挙げられる。
次に、所定のマスクを通して露光が行なわれる。露光には、KrFエキシマレーザー(波長248nm)、ArFエキシマレーザー(波長193nm)及びF2エキシマレーザー(波長157nm)等を使用することができる。露光後、必要に応じて露光後加熱(post exposure bake)を行なうこともできる。露光後加熱は、温度80〜140℃、時間10〜300秒から、選択された条件で行なうことができる。
次いで、フォトレジスト用現像液によって現像が行なわれる。これにより、例えばポジ型フォトレジストが使用された場合は、露光された部分のフォトレジストとその下層部分の第一及び第二の反射防止膜が現像液によって除去され、フォトレジストパターン、及び第一及び第二の反射防止膜からなるパターンが形成される。
本発明では、フォトレジストの下層に、前述の第一及び第二の反射防止膜が使用されている。フォトレジストがポジ型である場合、露光された部分のフォトレジストが現像液で除去されると、次いで、その下層部分の第二の反射防止膜が除去され始める。それと共に、未露光部のフォトレジストの下層にある第二の反射防止膜の側面の露出も始まる。そして、露光部の第二の反射防止膜が除去され第一の反射防止膜が露出された時点では、未露光部のフォトレジストの下層にある第二の反射防止膜の側面もすべて露出していることになる。引き続き、第一の反射防止膜の除去が行なわれ、それと共に、未露光部のフォトレジストの下層の第一の反射防止膜の側面も露出する。
現像が行なわれている間、未露光部のフォトレジストの下層の反射防止膜は、その上部ほど現像液にさらされている時間が長くなる。そのため、本来、除去されるべきでない未露光部のフォトレジストの下層の反射防止膜についても、その上部ほど現像液による除去が進行する傾向にある。
反射防止膜が一層である場合は、現像液に対する溶解速度が均一であるため、露光部の反射防止膜の現像による除去の進行と共に、未露光部の反射防止膜の上部の除去が進行する。そのため、未露光部の反射防止膜の形状が台形になり、フォトレジストとの接着面積が小さくなる。その結果、フォトレジストパターンの倒壊等のパターン形成不良となる場合がある。
これに対し、本発明では、上述のように、上部に相対的に溶解速度の小さい第二の反射防止膜があり、その下に相対的に溶解速度の大きい第一の反射防止膜があるという二層構造となっている。それゆえ、露光部下部の反射防止膜と未露光部上部の反射防止膜の現像液に対する溶解速度に差が生じる。すなわち、露光部下部の反射防止膜の溶解速度に比して未露光部上部の反射防止膜の溶解速度が小さいこととなる。そのため、未露光部の反射防止膜の上部の除去を少なくすることができる。その結果、反射防止膜が一層である場合に比して、未露光部の反射防止膜の形状を矩形状に近くすることができる。すなわち、反射防止膜とフォトレジストとの接着面積が小さくなることを抑えることができるため、フォトレジストパターンの倒壊等のパターン形成不良を抑えることができる。
フォトレジスト用現像液としては、前記のものが使用できる。さらに、それらの現像液に界面活性剤等を加えることもできる。現像の条件としては、温度5℃〜50℃、時間10〜300秒から適宜選択される。
次いで、形成されたフォトレジスト、第一の反射防止膜及び第二の反射防止膜からなる膜を保護膜として、半導体基板の加工が行なわれる。半導体基板の加工はドライエッチングによって行なうことができる。
本発明で用いられる第一及び第二の反射防止膜は、前述のように、フォトレジスト用現像液に溶解するということの他、第一の反射防止膜形成後、第一の反射防止膜が第二の反射防止膜形成組成物とミキシングしないこと、また、第二の反射防止膜形成後、第二の反射防止膜がフォトレジストとミキシングしないことが必要である。
本発明において使用される第一及び第二の反射防止膜形成組成物としては、前述の特徴を有する第一及び第二の反射防止膜を形成できる組成物であれば、特に制限なく用いることができる。反射防止膜形成組成物は、フォトレジストと同時に現像除去することができる反射防止膜を形成するためにこれまで使用されてきたものから、適宜、選択して使用することができる。
反射防止膜形成組成物の選択は、形成される反射防止膜の溶解速度の点から行なわれる。
まず、ある任意の一つの反射防止膜形成組成物が第一の反射防止膜形成組成物として選択される。ここで、この反射防止膜形成組成物は、前記の第一の反射防止膜を形成する際の焼成条件(温度及び時間)において、溶解速度が毎秒0.1nm〜50nmである反射防止膜を形成できることが必要である。
次に、第二の反射防止膜形成組成物の選択が行なわれるが、これは、第一の反射防止膜を形成する際の焼成条件(温度及び時間)及び第一の反射防止膜の溶解速度を考慮して行なわれる。特に、焼成温度を考慮して行なわれる。焼成時間を同一とし、第一の反射防止膜を形成する際の焼成温度より低い焼成温度で、第一の反射防止膜より溶解速度の遅い反射防止膜を形成できる組成物が第二の反射防止膜形成組成物として選択される。例えば、第一の反射防止膜形成組成物より焼成温度180℃、焼成時間60秒で形成された第一の反射防止膜の現像液(2.38質量%の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液)に対する溶解速度が毎秒5nmであるとする。この場合、焼成時間が60秒、焼成時間が180℃未満、例えば140℃〜170℃、という条件で、現像液に対する溶解速度が毎秒5nm未満、例えば毎秒0.5〜2.5nmである反射防止膜を形成できる組成物が、第二の反射防止膜形成組成物として選択される。
反射防止膜のフォトレジスト用現像液への溶解速度は、例えば、一定時間、現像液にさらしたときの反射防止膜の膜厚の減少量を測定することにより求めることができる。
本発明において使用される第一及び第二の反射防止膜形成組成物としては、前述の特性を有する反射防止膜を形成できる組成物であれば、特に制限はない。特許第2686898号公報、特開平9−78031号公報、特開平11−72925号公報、国際公開第03/057678号パンフレット及び国際公開第03/058345号パンフレットに記載されている組成物をはじめ、フォトレジストと同時に現像除去することができる反射防止膜を形成するために用いられる既存の反射防止膜形成組成物から、前述のようにして第一及び第二の反射防止膜形成組成物を選択して使用することができる。
本発明において使用される第一及び第二の反射防止膜形成組成物としては、式(1)
Figure 0004466879
で表される構造、及び式(2)
Figure 0004466879
で表される構造を有するポリアミド酸、少なくとも二つのエポキシ基を有するエポキシ化合物、吸光性化合物及び有機溶剤を含む組成物(以下、「ポリアミド酸組成物」という。)を使用することができる。ポリアミド酸組成物における固形分の割合は、各成分が均一に溶解している限りは特に限定はないが、例えば0.3〜50質量%であり、又、例えば0.5〜30質量%である。ここで固形分とは、ポリアミド酸組成物の全成分から溶剤成分を除いたものである。
ポリアミド酸組成物について具体的に説明する。
ポリアミド酸組成物は式(1)で表される構造と式(2)で表される構造とを有するポリアミド酸を含む。
式(1)において、A1は4価の有機基を表し、B1は3価の有機基を表す。A1としては、例えば、式(3)〜(11)
Figure 0004466879
(式中、Xは、炭素原子数1〜5のアルキル基、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、水酸基、カルボキシル基、フェノキシ基、トリフルオロメチル基又はニトロ基を表し、m1は0、1又は2の数を表す)で表される基が挙げられる。
炭素原子数1〜5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロペンチル基及びノルマルペンチル基等が挙げられる。炭素原子数1〜5のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、シクロペンチルオキシ基及びノルマルペンチルオキシ基等が挙げられる。
1としては、例えば、式(12)〜(19)
Figure 0004466879
(式中、Yは、炭素原子数1〜5のアルキル基、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、水酸基、カルボキシル基、フェノキシ基、トリフルオロメチル基又はニトロ基を表し、m2は0、1又は2の数を表す)で表される基が挙げられる。
式(2)において、A2は4価の有機基を表し、B2は2価の有機基を表す。A2としては、例えば、前記式(3)〜(11)で表される基が挙げられる。
2としては、例えば、式(20)〜(29)
Figure 0004466879
(式中Zは、炭素原子数1〜5のアルキル基、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、水酸基、カルボキシル基、フェノキシ基、トリフルオロメチル基又はニトロ基を表し、m3は0、1又は2の数を表す)で表される基が挙げられる。
使用されるポリアミド酸の重量平均分子量は、ポリスチレン換算で、例えば1000〜100000であり、又は1500〜50000であり、又は2000〜30000であり、又は5000〜10000である。
式(1)で表される構造と式(2)で表される構造とを有するポリアミド酸を得る方法は特に限定されず、既存の方法で製造することができる。例えば、ジアミン化合物と、テトラカルボン酸又はその誘導体であるテトラカルボン酸二無水物化合物やジカルボン酸ジハロゲン化物等を、反応、重合することによりポリアミド酸を製造することができる。また、ビスシリル化ジアミン化合物とテトラカルボン酸二無水物化合物を用いた重合によりポリアミド酸シリルエステルを合成した後、酸によりシリルエステル部分を分解し、ポリアミド酸を製造することもできる。
前記ポリアミド酸は、(x)テトラカルボン酸二無水物化合物、(y)少なくとも一つのカルボキシル基を有するジアミン化合物、及び(z)ジアミン化合物から製造することができる。
(x)テトラカルボン酸二無水物化合物としては特に限定はない。(x)テトラカルボン酸二無水物化合物は一種の使用でもよく、また、二種以上を同時に使用することもできる。(x)テトラカルボン酸二無水物化合物の具体例としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物及び3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、及び3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物等の脂環式テトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物等の脂肪族テトラカルボン酸二無水物を挙げることができる。
(y)少なくとも一つのカルボキシル基を有するジアミン化合物としては特に限定はない。(y)少なくとも一つのカルボキシル基を有するジアミン化合物としては、例えば、一乃至三個のカルボキシル基を有するジアミン化合物が挙げられる。(y)少なくとも一つのカルボキシル基を有するジアミン化合物は一種の使用でもよく、また、二種以上を同時に使用することもできる。(y)少なくとも一つのカルボキシル基を有するジアミン化合物の具体例としては、2,4−ジアミノ安息香酸、2,5−ジアミノ安息香酸、3,5−ジアミノ安息香酸、4,6−ジアミノ−1,3−ベンゼンジカルボン酸、2,5−ジアミノ−1,4−ベンゼンジカルボン酸、ビス(4−アミノ−3−カルボキシフェニル)エーテル、ビス(4−アミノ−3,5−ジカルボキシフェニル)エーテル、ビス(4−アミノ−3−カルボキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3,5−ジカルボキシフェニル)スルホン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジカルボキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジカルボキシ−5,5’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジカルボキシ−5,5’−ジメトキシビフェニル、1,4−ビス(4−アミノ−3−カルボキシフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−3−カルボキシフェノキシ)ベンゼン、ビス[4−(4−アミノ−3−カルボキシフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノ−3−カルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン、及び2,2−ビス[4−(4−アミノ−3−カルボキシフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン等が挙げられる。
また、(z)ジアミン化合物としては特に限定はない。(z)ジアミン化合物は一種の使用でもよく、また、二種以上を同時に使用することもできる。(z)ジアミン化合物の具体例としては、2,4−ジアミノフェノール、3,5−ジアミノフェノール、2,5−ジアミノフェノール、4,6−ジアミノレゾルシノール、2,5−ジアミノハイドロキノン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−アミノ−3,5−ジヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−アミノ−3,5−ジヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3,5−ジヒドロキシフェニル)スルホン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3,5−ジヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシ−5,5’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシ−5,5’−ジメトキシビフェニル、1,4−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、ビス[4−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェノキシ)フェニル]プロパン、及び2,2−ビス[4−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン等のフェノール性水酸基を有するジアミン化合物、1,3−ジアミノ−4−メルカプトベンゼン、1,3−ジアミノ−5−メルカプトベンゼン、1,4−ジアミノ−2−メルカプトベンゼン、ビス(4−アミノ−3−メルカプトフェニル)エーテル、及び2,2−ビス(3−アミノ−4−メルカプトフェニル)ヘキサフルオロプロパン等のチオフェノール基を有するジアミン化合物、1,3−ジアミノベンゼン−4−スルホン酸、1,3−ジアミノベンゼン−5−スルホン酸、1,4−ジアミノベンゼン−2−スルホン酸、ビス(4−アミノベンゼン−3−スルホン酸)エーテル、4,4’−ジアミノビフェニル)3,3’−ジスルホン酸、及び4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルビフェニル−6,6’−ジスルホン酸等のスルホン酸基を有するジアミン化合物、3,5−ジアミノ安息香酸−tert−ブチルエステル、3,5−ジアミノ安息香酸エトキシメチルエステル、3,5−ジアミノ安息香酸メチルエステル、3,5−ジアミノ安息香酸ノルマルプロピルエステル、及び3,5−ジアミノ安息香酸イソブチルエステル等のカルボン酸エステルを含有するジアミン化合物が挙げられる。また、(z)ジアミン化合物としては、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−メチレン−ビス(2,6−エチルアニリン)、4,4’−メチレン−ビス(2−イソプロピル−6−メチルアニリン)4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジイソプロピルアニリン)、2,4,6−トリメチル−1,3−フェニレンジアミン、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレンジアミン、o−トリジン、m−トリジン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス(4−アニリノ)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アニリノ)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−トルイル)ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、及び2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン等のジアミン化合物を挙げることもできる。
ポリアミド酸の製造において、使用される全ジアミン化合物に占める(y)少なくとも一つのカルボキシル基を有するジアミン化合物の割合は、例えば1〜99質量%であり、又は5〜80質量%であり、又は10〜60質量%であり、又は20〜50質量%であり、又は30〜40質量%である。(y)少なくとも一つのカルボキシル基を有するジアミン化合物の割合がこれより少ない場合には、形成される反射防止膜の現像液に対する溶解性が不十分になる場合がある。
ポリアミド酸が(x)テトラカルボン酸二無水物化合物、(y)少なくとも一つのカルボキシル基を有するジアミン化合物、及び(z)ジアミン化合物から製造される場合において、使用されるジアミン化合物の総モル数とテトラカルボン酸二無水物化合物の総モル数との比は0.8〜1.2であることが望ましい。
ポリアミド酸の製造における、ジアミン化合物とテトラカルボン酸二無水物化合物との反応温度は−20℃〜150℃、好ましくは−5℃〜100℃の任意の温度を選択することができる。高分子量のポリアミド酸を得るには、反応温度5℃〜40℃、反応時間1〜48時間の反応条件が好ましい。低分子量で保存安定性の高いポリアミド酸を得るには、反応温度40℃〜80℃、反応時間10時間以上の反応条件が好ましい。
ジアミン化合物とテトラカルボン酸二無水物化合物との反応は溶剤中で行なうことができる。その際に使用できる溶剤としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N−ビニルピロリドン、N−メチルカプロラクタム、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ピリジン、ジメチルスルホン、ヘキサメチルスルホキシド、m−クレゾール、γ−ブチロラクトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート、エチルセロソルブアセテート、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、及び2−ヘプタノン等を挙げることができる。これらは単独でも、2種類以上を混合して使用しても良い。さらに、ポリアミド酸を溶解しない溶剤であっても、重合反応により生成したポリアミド酸が析出しない範囲で、上記溶剤に混合して使用してもよい。
このようにして得られたポリアミド酸を含む溶液は、ポリアミド酸組成物の調製にそのまま用いることができる。また、ポリアミド酸をメタノール、エタノール等の貧溶剤に投入して、沈殿させ、単離した後、用いることもできる。
ポリアミド酸組成物に含まれるポリアミド酸としては、式(30)
Figure 0004466879
で表される構造、及び式(31)
Figure 0004466879
で表される構造を有するポリアミド酸が挙げられる。式(30)で表される構造及び式(31)で表される構造を有するポリアミド酸は、例えば、(x)テトラカルボン酸二無水物化合物と、3,5−ジアミノ安息香酸及びビス(4−アミノフェニル)スルホンとを反応させることによって得ることができる。
ポリアミド酸組成物に含まれるポリアミド酸としては、また、式(32)
Figure 0004466879
で表される構造、及び式(33)
Figure 0004466879
で表される構造を有するポリアミド酸が挙げられる。式(32)で表される構造及び式(33)で表される構造を有するポリアミド酸は、例えば、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物と、(y)少なくとも一つのカルボキシル基を有するジアミン化合物及び(z)ジアミン化合物とを反応させることによって得ることができる。
ポリアミド酸組成物に含まれるポリアミド酸としては、また、式(34)
Figure 0004466879
で表される構造、及び式(35)
Figure 0004466879
で表される構造を有するポリアミド酸が挙げられる。式(34)で表される構造及び式(35)で表される構造を有するポリアミド酸は、例えば、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物と、(y)少なくとも一つのカルボキシル基を有するジアミン化合物及び(z)ジアミン化合物とを反応させることによって得ることができる。
ポリアミド酸組成物に含まれるポリアミド酸はとしては、その末端部分を除き、基本的に、式(1)で表される構造と式(2)で表される構造とからなるポリアミド酸、又は式(30)で表される構造と式(31)で表される構造とからなるポリアミド酸、又は式(32)で表される構造と式(33)で表される構造とからなるポリアミド酸を好ましく使用することができる。また、ポリアミド酸はとしては、その末端部分を除き、基本的に、式(32)〜式(35)で表される構造からなるポリアミド酸を好ましく使用することができる。
前記ポリアミド酸組成物は少なくとも二つのエポキシ基を有するエポキシ化合物を含む。
このようなエポキシ化合物は、少なくとも二つののエポキシ基を有する化合物であれば特に限定はなく、例えば、二乃至四個のエポキシ基を有する化合物である。少なくとも二つのエポキシ基を有する化合物の具体例としては、例えば、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,2−エポキシ−4−(エポキシエチル)シクロヘキサン、グリセロールトリグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、2,6−ジグリシジルフェニルグリシジルエーテル、1,1,3−トリス[p−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]プロパン、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジグリシジルエステル、4,4’−メチレンビス(N,N−ジグリシジルアニリン)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル及びビスフェノール−A−ジグリシジルエーテル、及びペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル等を挙げることができる。
また、少なくとも二つのエポキシ基を有する化合物としては、エポキシ基を有するポリマーを使用することもできる。このようなポリマーとしては、エポキシ基を有するポリマーであれば、特に制限なく使用することができる。エポキシ基を有するポリマーは、例えば、エポキシ基を有する付加重合性モノマーを用いた付加重合により製造することができる。また、水酸基を有する高分子化合物とエピクロルヒドリン、グリシジルトシレート等のエポキシ基を有する化合物との反応により製造することもできる。エポキシ基を有するポリマーとしては、例えば、ポリグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートとエチルメタクリレートの共重合体、グリシジルメタクリレートとスチレンと2−ヒドロキシエチルメタクリレートの共重合体等の付加重合ポリマーや、エポキシノボラック等の縮重合ポリマーを挙げることができる。このようなポリマーの重量平均分子量は、例えば、500〜200000、又は1000〜50000である。
少なくとも二つのエポキシ基を有するエポキシ化合物として、ポリマー以外の化合物を使用する場合、例えば、二乃至十個、又は二乃至四個、又は二乃至三個、又は三乃至五個のエポキシ基を有する化合物が好ましく使用される。
ポリアミド酸組成物における少なくとも二つのエポキシ基を有するエポキシ化合物の含有量は、ポリアミド酸100質量部に対して例えば5〜70質量部であり、又は、10〜60質量部であり、好ましくは15〜45質量部であり、又は20〜40質量%である。少なくとも二つのエポキシ基を有する化合物の含有量が前記の値より小さい場合には、反射防止膜の硬化度が不足し、フォトレジスト溶剤に溶解し、インターミキシングを起こしてしまう場合がある。少なくとも二つのエポキシ基を有する化合物の含有量が前記の値より大きい場合には、反射防止膜の現像液に対する十分な溶解性が得られなくなることがある。
ポリアミド酸組成物は吸光性化合物を含む。
吸光性化合物としては、フォトレジストの露光に使用される光の波長に吸収をもつ化合物であれば特に限定されるものではない。アントラセン環、ナフタレン環、ベンゼン環、キノリン環、及びトリアジン環等の芳香環構造を有する化合物が好ましく使用される。
波長248nmの光に対して大きな吸収を有するという点から、吸光性化合物として、ナフタレンカルボン酸エステル化合物を使用することができる。ナフタレンカルボン酸エステル化合物としては、例えば、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンカルボン酸メチルエステル、6−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸ベンジルエステル、3−ヒドロキシ−7−メトキシ−2−ナフタレンカルボン酸プロピルエステル、及び3,7−ジヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸エチルエステル等が挙げられる。
また、ナフタレンカルボン酸エステル化合物としては、1−ナフトエ酸、2−ナフトエ酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3,7−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸、1,2−ナフタレンジカルボン酸、1,3−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸、1,7−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、6−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、1−ブロモ−2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸、1−ブロモ−4−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸、1,6−ジブロモ−2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸、3−ヒドロキシ−7−メトキシ−2−ナフトエ酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、3,5−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸、2−エトキシ−1−ナフトエ酸、及び6−アセトキシ−2−ナフトエ酸等のナフタレンカルボン酸化合物をメタノール、エタノール、ノルマルペンタノール、9−ヒドロキシメチルアントラセン、シクロヘキサノール及びベンジルアルコール等のアルコール化合物によってエステル化することによって得られるナフタレンカルボン酸エステル化合物等も挙げられる。
また、ナフタレンカルボン酸エステル化合物としては、前記のナフタレンカルボン酸化合物とエポキシ化合物との反応によって得られるナフタレンカルボン酸エステル化合物が挙げられる。この反応では、ナフタレンカルボン酸化合物のカルボキシル基とエポキシ環との間で反応が起こり、ナフタレンカルボン酸エステル化合物が得られる。
エポキシ化合物としては、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,2−エポキシー4−(エポキシエチル)シクロヘキサン、グリセロールトリグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、2,6―ジグリシジルフェニルグリシジルエーテル、1,1,3−トリス(p−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル)プロパン、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジグリシジルエステル、4,4’−メチレンビス(N,N−ジグリシジルアニリン)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、ビスフェノール−A−ジグリシジルエーテル、及びペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル等の化合物が挙げられる。また、エポキシ化合物としては、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基を有する構造を含むポリマーを挙げることもできる。
ナフタレンカルボン酸化合物とエポキシ化合物との反応は、ベンゼン、トルエン、キシレン、乳酸エチル、乳酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びN−メチルピロリドン等の有機溶剤中で行なうことができる。この反応においては、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、及びテトラエチルアンモニウムブロミド等の四級アンモニウム塩を触媒として用いることも可能である。反応温度、反応時間は使用する化合物、濃度等に依存するものであるが、反応時間0.1〜100時間、反応温度20℃〜200℃の範囲から適宜選択される。触媒を用いる場合、使用する化合物の全質量に対して0.001〜30質量%の範囲で用いることができる。
ナフタレンカルボン酸化合物とエポキシ化合物との反応によって得られる吸光性化合物としては、例えば、式(36)
Figure 0004466879
で表される構造、及び式(37)
Figure 0004466879
で表される構造を有するポリマーや、式(38)
Figure 0004466879
(式中、Npは、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ニトロ基、シアノ基、水酸基、カルボキシル基、フェノキシ基、アセチル基、又は炭素原子数1〜5のアルコキシカルボニル基で置換されていてもよいナフタレン環を表す)で表される化合物等が挙げられる。式(38)で表される化合物は、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートとナフタレンカルボン酸化合物との反応によって得ることができる。
吸光性化合物としては、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートと、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3,7−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸、1,2−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、6−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、1−ブロモ−2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸、1−ブロモ−4−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸、1,6−ジブロモ−2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、3,5−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸、及び1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸等のナフタレンカルボン酸化合物とを反応させて得られるナフタレンカルボン酸エステル化合物が好ましい。
吸光性化合物としては、また、前記の3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3,7−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸、1,2−ナフタレンジカルボン酸等のナフタレンカルボン酸化合物を使用することもできる。
吸収性化合物は、単独で又は二種以上の組合せで使用することができる。吸光性化合物の含有量としては、ポリアミド酸100質量部に対して、例えば1〜300質量部であり、又は3〜200質量部であり、また、例えば5〜100質量部であり、又は、10〜50質量部である。吸光性化合物の種類及び含有量を変えることによって、反射防止膜の減衰係数(k値)を調整することができる。
ポリアミド酸組成物は、必要に応じ、界面活性剤、光酸発生剤、レオロジー調整剤、接着補助剤等を含むことができる。
光酸発生剤としては、上層のフォトレジストがKrFエキシマレーザ(波長248nm)及びArFエキシマレーザ(波長193nm)等によって露光された際に、その光の作用によって酸を発生する化合物であれば、特に制限なく使用することができる。光酸発生剤としては、例えば、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−ノルマルブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロ−ノルマルオクタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムカンファースルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムカンファースルホネート及びビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート等のヨードニウム塩化合物、及びトリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−ノルマルブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムカンファースルホネート及びトリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート等のスルホニウム塩化合物が挙げられる。光酸発生剤の含有量としては、ポリアミド酸100質量部に対して、例えば0.01〜20質量部であり、又は0.05〜10質量部であり、また、例えば0.1〜5質量部であり、又は、0.5〜3質量部である。
界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤、エフトツプEF301、EF303、EF352((株)トーケムプロダクツ製)、メガファックF171、F173(大日本インキ化学工業(株)製)、フロラードFC430、FC431(住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106(旭硝子(株)製)等のフッ素系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)等を挙げることができる。これらの界面活性剤の配合量は、ポリアミド酸組成物の全成分中、通常0.2質量%以下、好ましくは0.1質量%以下である。これらの界面活性剤は単独で添加してもよいし、また2種以上の組合せで添加することもできる。
ポリアミド酸組成物に使用される溶剤としては、固形分を溶解できる溶剤であれば、特に制限なく使用することができる。このような溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、及びN−メチルピロリドン等を用いることができる。これらの溶剤は単独で又は二種以上の組合せで使用することができる。さらに、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等の高沸点溶剤を混合して使用することもできる。
調製されたポリアミド酸組成物の溶液は、孔径が0.2μm乃至0.05μm程度のフィルタを用いて濾過した後、使用することができる。このように調製されたポリアミド酸組成物は、室温で長期間の貯蔵安定性にも優れる。
ポリアミド酸組成物に含まれるポリアミド酸、少なくとも二つのエポキシ基を有するエポキシ化合物及び吸光性化合物等の種類及びそれらの含有割合を変えることによって、形成される反射防止膜の現像液に対する溶解速度を調整することができる。また、同一のポリアミド酸組成物から形成するとしても、焼成条件(温度及び時間)を変えることによって、形成される反射防止膜の現像液に対する溶解速度を調整することができる。そして、前述した特徴を満たすポリアミド酸組成物が、第一の、又は第二の反射防止膜形成組成物として選択される。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、これによって本発明が限定されるものではない。
実施例1
(ポリアミド酸の合成)
4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物17.1g、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物5.32g、3,5−ジアミノ安息香酸4.14g、ビス(4−アミノフェニルスルホン)4.26gをプロピレングリコールモノメチルエーテル189g中80℃で20時間反応することによって、ポリアミド酸を含む溶液[A]を得た。得られたポリアミド酸は、式(39)、式(40)、式(41)及び式(42)
Figure 0004466879
で表される構造を有する。
(吸光性化合物の合成)
3,7−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸38.0g、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート20g、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド1.104gをシクロヘキサノン136g中130℃で24時間反応させることで式(43)
Figure 0004466879
で表される吸光性化合物を含む溶液[a]を得た。
(第一の反射防止膜形成組成物の調製)
ポリアミド酸を含む溶液[A]20.0gに吸光性化合物を含む溶液[a]5.18g、4,4’−メチレンビス(N,N−ジグリシジルアニリン)2.87g、プロピレングリコールモノメチルエーテル55.4g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート85.6g及びシクロヘキサノン3.78gを添加し室温で30分間攪拌することにより第一の反射防止膜形成組成物の溶液[1]を調製した。
(第二の反射防止膜形成組成物の調製)
ポリアミド酸を含む溶液[A]8.00gに吸光性化合物を含む溶液[a]1.51g、4,4’−メチレンビス(N,N−ジグリシジルアニリン)2.30g、3,7−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸0.0394g、プロピレングリコールモノメチルエーテル145.4g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート175.6g及びシクロヘキサノン13.78gを添加し室温で30分間攪拌することにより第二の反射防止膜形成組成物の溶液[2]を調製した。
(反射防止膜形成組成物の評価)
第一の反射防止膜形成組成物の溶液[1]をシリコンウェハー基板上にスピナーを用いて塗布した後、ホットプレート上、185℃で60秒間焼成して膜厚60nmの反射防止膜を形成した。得られた反射防止膜はプロピレングリコール、乳酸エチル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに不溶であった。この反射防止膜をエリプソメーターで測定した結果、波長248nmでの屈折率(n値)は1.79、減衰係数(k値)は0.46、波長193nmでの屈折率(n値)は1.46、減衰係数(k値)は0.38であった。
また、焼成温度を180℃及び190℃として同様に反射防止膜を形成した。そして、これらの反射防止膜がプロピレングリコール、乳酸エチル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに不溶であることを確認した。
次に、フォトレジスト用現像液(東京応化工業(株)製、商品名NMD−3)に対する反射防止膜の溶解速度をレジスト現像アナライザー(リソテックジャパン(株)製)を用いて測定した。焼成温度185℃、焼成時間60秒で形成した反射防止膜の溶解速度は毎秒3.43nmであった。また、焼成温度180℃、焼成時間60秒で形成した反射防止膜の溶解速度は毎秒4.00nm、焼成温度190℃、焼成時間60秒で形成した反射防止膜の溶解速度は毎秒2.67nmであった。この反射防止膜は焼成温度180℃〜190℃、焼成時間60秒で形成後、再び焼成温度150℃〜160℃、焼成時間60秒で焼成しても溶解速度は変化しなかった。
第二の反射防止膜形成組成物の溶液[2]をシリコンウェハー基板上にスピナーを用いて塗布した後、ホットプレート上、160℃で60秒間焼成して膜厚15nmの反射防止膜を形成した。得られた反射防止膜はプロピレングリコール、乳酸エチル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに不溶であった。この反射防止膜をエリプソメーターで測定した結果、波長248nmでの屈折率(n値)は1.81、減衰係数(k値)は0.42、波長193nmでの屈折率(n値)は1.54、減衰係数(k値)は0.40であった。
また、焼成温度を155℃及び165℃として同様に反射防止膜を形成した。そして、これらの反射防止膜がプロピレングリコール、乳酸エチル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに不溶であることを確認した。
次に、現像液(東京応化工業(株)製、商品名NMD−3)に対する反射防止膜の溶解速度をレジスト現像アナライザー(リソテックジャパン(株)製)を用いて測定した。焼成温度160℃、焼成時間60秒で形成した反射防止膜の溶解速度は毎秒0.737nmであった。また、焼成温度155℃、焼成時間60秒で形成した反射防止膜の溶解速度は毎秒0.778nm、焼成温度165℃、焼成時間60秒で形成した反射防止膜の溶解速度は毎秒0.683nmであった。
第一の反射防止膜形成組成物の溶液[1]をシリコンウェハー基板上にスピナーを用いて塗布した後、ホットプレート上、185℃で60秒間焼成して膜厚60nmの第一の反射防止膜を形成した。その上に第二の反射防止膜形成組成物の溶液[2]をシリコンウェハー基板上にスピナーを用いて塗布した後、ホットプレート上、160℃で60秒間焼成して膜厚15nmの第二の反射防止膜を形成した。この二層からなる反射防止膜上にKrF用ポジ型フォトレジスト膜を形成した。次いで、200nmのライン/スペースパターンが形成されるように設定されたマスクを通して、KrFエキシマレーザー(波長248nm)で露光した。110℃で90秒間の露光後加熱を行った後、フォトレジスト用現像液として2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(東京応化工業(株)製、商品名NMD−3)を用いて60秒間パドル現像を行った。フォトレジストとともに反射防止膜も露光部は溶解し、200nmのライン/スペースでも残膜は見られなかった。形成されたパターンはフォトレジスト及び反射防止膜ともに矩形であった。
比較例1
(ポリアミド酸の合成)
ピロメリット酸二無水物4.36g、3,5−ジアミノ安息香酸1.19g、2,2−ビス(3−アミノ−4−トルイル)ヘキサフルオロプロパン4.26gをプロピレングリコールモノメチルエーテル55.6g中60℃で25時間反応することによって、ポリアミド酸を含む溶液[B]を得た。
(反射防止膜形成組成物の調製)
ポリアミド酸を含む溶液[B]14.0gに前記の吸光性化合物溶液を含む[a]4.38g、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート0.630g、プロピレングリコールモノメチルエーテル52.3g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート67.5gを添加し室温で30分間攪拌することにより反射防止膜形成組成物の溶液[3]を調製した。
(反射防止膜形成組成物の評価)
この反射防止膜形成組成物の溶液[3]をシリコンウェハー基板上にスピナーを用いて塗布した後、ホットプレート上、200℃で60秒間焼成して膜厚40nmの反射防止膜を形成した。得られた反射防止膜は乳酸エチル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに不溶であった。この反射防止膜をエリプソメーターで測定した結果、波長248nmでの屈折率(n値)は1.67、減衰係数(k値)は0.39、波長193nmでの屈折率(n値)は1.53、減衰係数(k値)は0.42であった。
また、焼成温度を190℃、210℃及び220℃として同様に反射防止膜を形成した。そして、これらの反射防止膜が乳酸エチル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに不溶であることを確認した。
次に、現像液(東京応化工業(株)製、商品名NMD−3)に対する反射防止膜の溶解速度をレジスト現像アナライザー(リソテックジャパン(株)製)を用いて測定した。焼成温度190℃、焼成時間60秒で形成した反射防止膜の溶解速度は毎秒10.7nmであった。また、焼成温度200℃、焼成時間60秒で形成した反射防止膜の溶解速度は毎秒2.0nm、焼成温度210℃、焼成時間60秒で形成した反射防止膜の溶解速度は毎秒0.9nm、焼成温度220℃、焼成時間60秒で形成した反射防止膜の溶解速度は毎秒0.61nmであった
反射防止膜形成組成物の溶液[3]をシリコンウェハー基板上にスピナーを用いて塗布した後、ホットプレート上、220℃で60秒間焼成して膜厚40nmの反射防止膜を形成した。得られた反射防止膜上にKrF用ポジ型フォトレジスト膜を形成し、200nmのライン/スペースパターンが形成されるように設定されたマスクを通して、KrFエキシマレーザー(波長248nm)で露光した。
110℃で90秒間の露光後加熱を行った後、フォトレジスト用現像液として2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(東京応化工業(株)製、商品名NMD−3)を用いて60秒間パドル現像を行った。フォトレジストとともに反射防止膜も露光部は溶解し、200nmのライン/スペースでも残膜は見られなかった。形成されたパターンは、フォトレジストは矩形であったが、反射防止膜の形状は台形であった。
比較例2
(反射防止膜形成組成物の調製)
前記のポリアミド酸を含む溶液[B]14.0gに前記の吸光性化合物を含む溶液[a]4.38g、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート0.630g、2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニルメチル)−1,3−ベンゼンジオール0.0450g、プロピレングリコールモノメチルエーテル52.8g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート67.5gを添加し室温で30分間攪拌することにより反射防止膜形成組成物の溶液[4]を調製した。
(反射防止膜形成組成物の評価)
この反射防止膜形成組成物の溶液[4]をシリコンウェハー基板上にスピナーを用いて塗布した後、ホットプレート上、200℃で60秒間焼成して膜厚40nmの反射防止膜を形成した。得られた反射防止膜は乳酸エチル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに不溶であった。この反射防止膜をエリプソメーターで測定した結果、波長248nmでの屈折率(n値)は1.67、減衰係数(k値)は0.39、波長193nmでの屈折率(n値)は1.53、減衰係数(k値)は0.42であった。
また、焼成温度を190℃、210℃及び220℃として同様に反射防止膜を形成した。そして、これらの反射防止膜が乳酸エチル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに不溶であることを確認した。
次に、現像液(東京応化工業(株)製、商品名NMD−3)に対する反射防止膜の溶解速度をレジスト現像アナライザー(リソテックジャパン(株)製)を用いて測定した。焼成温度190℃、焼成時間60秒で形成した反射防止膜の溶解速度は毎秒11.7nmであった。また、焼成温度200℃、焼成時間60秒で形成した反射防止膜の溶解速度は毎秒2.3nm、焼成温度210℃、焼成時間60秒で形成した反射防止膜の溶解速度は毎秒1.1nm、焼成温度220℃、焼成時間60秒で形成した反射防止膜の溶解速度は毎秒0.83nmであった
反射防止膜形成組成物の溶液[4]をシリコンウェハー基板上にスピナーを用いて塗布した後、ホットプレート上、220℃で60秒間焼成して膜厚40nmの反射防止膜を形成した。得られた反射防止膜上にKrF用ポジ型フォトレジスト膜を形成し、200nmのライン/スペースパターンが形成されるように設定されたマスクを通して、KrFエキシマレーザー(波長248nm)で露光した。110℃で90秒間露光後加熱を行った後、フォトレジスト用現像液として2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(東京応化工業(株)製、商品名NMD−3)を用いて60秒間パドル現像を行った。フォトレジストとともに反射防止膜も露光部は溶解し、200nmのライン/スペースでも残膜は見られなかった。形成されたパターンは、フォトレジストは矩形であったが、反射防止膜の形状は台形であった。
現像によって、実施例1では図1の(1)に示される様に、半導体基板(c)上に、共に矩形状のフォトレジスト(a)及び反射防止膜(b)を与えるパターンが形成された。しかし反射防止膜(b)を一層で使用した場合には、溶解速度が均一であることから、その上部ほど現像によって除去される部分が多くなる。比較例1及び2では図1の(3)に示される様にフォトレジスト(a)下の反射防止膜(b)の形状が台形となる傾向がある。そのため、比較例1及び比較例2の方法で用いる反射防止膜は、微細加工への適用性が充分ではなく、また、パターン間に残渣が生じる等の問題がある。
現像液に対する反射防止膜の溶解速度が速い場合は、反射防止膜の上部ほど長時間現像液にさらされているため、反射防止膜にアンダーカットを生じ図1の(2)の断面図に見られる状態になる。
また、現像液に対する反射防止膜の溶解速度が遅い場合は、反射防止膜の現像液に対する溶解が充分ではなく、反射防止膜にフッテイングを生じ図1の(3)の断面図に見られる状態になる。
現像液に対する反射防止膜の溶解速度は、反射防止膜の最終焼成温度によって決定されるが、反射防止膜を一層で使用する場合には均一な溶解速度を持った反射防止膜であり、現像液の接触時間の差により不均一な形状を生ずる。しかし、二層の反射防止膜を形成し、現像液に対する溶解速度が下層の反射防止膜より上層の反射防止膜を小さくすることでフォトレジスト及び反射防止膜が共に矩形なパターン形状となる。
図1は、半導体基板(c)上に反射防止膜(b)及びフォトレジスト(a)よりなるパターンを形成した状態の断面図である。

Claims (5)

  1. 半導体基板上に第一の反射防止膜形成組成物を塗布し、焼成することによってフォトレジスト用現像液に可溶な第一の反射防止膜を形成する工程、前記第一の反射防止膜上に第二の反射防止膜形成組成物を塗布し、焼成することによってフォトレジスト用現像液に可溶であり、そしてフォトレジスト用現像液に対する溶解速度が前記第一の反射防止膜より小さい第二の反射防止膜を形成する工程、前記第二の反射防止膜の上にフォトレジストを形成する工程、前記第一の反射防止膜、前記第二の反射防止膜及び前記フォトレジストで被覆された半導体基板を露光する工程、及びフォトレジスト用現像液によって現像する工程を含むことを特徴とする、半導体装置の製造に用いられるフォトレジストパターンの形成方法。
  2. 前記第二の反射防止膜のフォトレジスト用現像液に対する溶解速度が、前記第一の反射防止膜のフォトレジスト用現像液に対する溶解速度の0.1〜0.5倍であることを特徴とする、請求項1に記載のフォトレジストパターンの形成方法。
  3. 前記第一の反射防止膜の膜厚が、前記第二の反射防止膜の膜厚に対して1〜10倍であることを特徴とする、請求項1に記載のフォトレジストパターンの形成方法。
  4. 前記第一の反射防止膜形成組成物及び前記第二の反射防止膜形成組成物が共に、ポリアミド酸、少なくとも二つのエポキシ基を有する化合物、及び溶剤を含む組成物であることを特徴とする、請求項1に記載のフォトレジストパターンの形成方法。
  5. 前記ポリアミド酸が、式(1)
    Figure 0004466879
    (式中、A1は4価の有機基を表し、B1は3価の有機基を表す)
    で表される構造、及び式(2)
    Figure 0004466879
    (式中、A2は4価の有機基を表し、B2は2価の有機基を表す)で表される構造を有するポリアミド酸であることを特徴とする、請求項4に記載のフォトレジストパターンの形成方法。
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