JP4466040B2

JP4466040B2 - バリア性紙カップ

Info

Publication number: JP4466040B2
Application number: JP2003370167A
Authority: JP
Inventors: 順佐久間; 谷口　　正幸
Original assignee: Toppan Inc
Current assignee: Toppan Inc
Priority date: 2003-10-30
Filing date: 2003-10-30
Publication date: 2010-05-26
Anticipated expiration: 2023-10-30
Also published as: JP2005132419A

Description

本発明は、バリア性紙カップに関するものであり、特には、製造工程が比較的簡単で、液状物等の内容物が接触する箇所に紙端面が露出しない構造のバリア性紙カップに関する。

ジュース等の飲料を充填し、上部の開口部を蓋材で密封して使用するバリア性に優れた紙カップは、表側から、例えば、ポリエチレン／紙／ポリエチレン／アルミニウム箔／ポリエチレンテレフタレートフィルム／ポリエチレンからなる積層シートから成形されているのが一般的であった。

そしてバリア性を必要とするため、例えば、紙カップの胴部を構成する胴部材の接合部分の内側は、先端から所定の長さだけ、積層シートの厚みの半分を削除（スカイブ）し、削り取った残りの半分を削除面が内側になるように折り返し（ヘミング）、紙端面の保護を行っている。

しかしながら、この紙端面のスカイブヘミング加工を行うためには、あらかじめ打ち抜いたブランクを紙カップに成形する前に、特別の機械を用いて紙端面のスカイブヘミング加工をする必要があり、そのため複雑な加工工程を経ねばならず、収率の面からも改善が要望されていた。

スカイブヘミング加工を行わずにバリア性紙カップを作製する方法として、端面がフィルムで覆われたブランクから紙カップを製造する方法が提案されている（例えば、特許文献１参照）。
特公昭５８−４３２６４号公報（請求項１）しかし、このバリア性紙カップにおいては、胴部貼り合わせ部の内側の端縁は全体にわたって熱可塑性樹脂層が紙基材からはみ出して作製されているため、特に、胴部材の下部内面に底部材の周縁部の内面を接合させ、さらに周縁部を覆うように胴部材の下端縁部を内方に折り曲げ、底部材の周縁部外面に接合させて環状脚部を形成させる際、紙基材からはみ出して作製されている熱可塑性樹脂層がボトム成形による熱、圧力などにより不規則になり、接着異常による洩れ、外観的に見栄えの悪い仕上がりになる等の問題がある。

本発明は、胴部貼り合わせ部の内側の端縁が全体にわたって熱可塑性樹脂層が紙基材からはみ出して作製されているバリア性紙カップに関する以上のような問題に鑑みてなされたもので、胴部材のコーナーの形状に工夫をこらすことにより成形ムラをなくしたバリア性紙カップを提供することを課題とする。

本発明の請求項１の発明は、少なくとも内面側に熱可塑性樹脂層が設けられた紙を基材とする積層シートから構成され、胴紙の一方の端縁をもう一方の端縁に重ね合わせて胴部貼り合わせ部を形成させて円筒形状の胴部材とし、ほぼ円形状の底紙を周縁部を下向きに起立させて底部材とし、前記胴部材の下部内面に底部材の周縁部の内面を接合させ、さら
に周縁部を覆うように胴部材の下端縁部を内方に折り曲げ、底部材の周縁部外面に接合させて環状脚部を形成させ、胴部材の上部周縁を外方に巻き込み口縁部を形成させた紙カップにおいて、前記胴部貼り合わせ部の内側の端縁は、内方に折り曲げられる下端縁部を除き熱可塑性樹脂層が紙基材よりはみ出して形成され、内方に折り曲げられる胴部材の下端縁部は、一部を除いて積層シートおよび積層シートからはみ出す熱可塑性樹脂層が切り欠かれているとを特徴とするバリア性紙カップである。

このように請求項１記載の発明によれば、胴部貼り合わせ部の内側の端縁は、内方に折り曲げられる下端縁部を除き熱可塑性樹脂層が紙基材よりはみ出して形成され、内方に折り曲げられる胴部材の下端縁部は、一部を除いて積層シートおよび積層シートからはみ出す熱可塑性樹脂層が切り欠かれているので、環状脚部を形成する際、内方に折り曲げる下端縁部は削除されており４層の接合で済むので、成形ムラがなくなり綺麗な成形が可能になる。

また、請求項１の発明は、前記内方に折り曲げられる胴部材の下端縁部に設けられる切り欠きは、胴部貼り合わせ部の開始部分に積層シートの厚み分を加えた部位から胴部材の端部分までであることを特徴とする、バリア性紙カップである。

このように請求項１記載の発明によれば、内方に折り曲げられる胴部材の下端縁部に設けられる切り欠きは、胴部貼り合わせ部の開始部分に積層シートの厚み分を加えた部位から胴部材の端部分までであるので、環状脚部に余分な積層シートや熱可塑性樹脂層がなくなり綺麗な成形が可能になる。

また、請求項２の発明は、請求項１の発明において、前記積層シートの内側面に形成される熱可塑性樹脂層がポリエチレン／バリア層／ポリエチレンの３層構成からなることを特徴とする、バリア性紙カップである。

このように請求項２記載の発明によれば、積層シートの内側面に形成される熱可塑性樹脂層がポリエチレン／バリア層／ポリエチレンの３層構成からなることにより、バリア性に優れた紙カップが作製できる。

また、請求項３の発明は、請求項２の発明において、前記バリア層が無機化合物蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする、バリア性紙カップである。

このように請求項３記載の発明によれば、バリア層が無機化合物蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルムであるので、優れた酸素バリア性が付与できる。

また、請求項４の発明は、請求項２の発明において、前記バリア層が水溶性樹脂と無機層状化合物を含有する被膜又は、金属アルコキシドあるいはその加水分解物とイソシアネート化合物を反応させた被膜を設けた樹脂層であることを特徴とするバリア性紙カップである。

このように請求項４記載の発明によれば、バリア層が水溶性樹脂と無機層状化合物を含有する被膜又は、金属アルコキシドあるいはその加水分解物とイソシアネート化合物を反応させた被膜を設けた樹脂層であるので、特にフィルムを積層する必要がなく、コーティングによりバリア機能が付加できる。

このように本発明のバリア性紙カップは、内方の折り曲げられる胴部材の下端端部は、一部を除いて積層シートおよび積層シートからはみ出す熱可塑性樹脂層が切り欠いてあるので、積層シートが何枚も重なる底部の貼り合わせ部でも安定したボトム成形が可能になり、形状の安定した見栄えの良いバリア性紙カップの作製が可能になった。

本発明のバリア性紙カップを一実施形態に基づいて以下に詳細に説明する。

本発明のバリア性紙カップは、例えば、図１、図２、図３に示すように、扇形状の胴紙（１０）の一方の端縁（１１）をもう一方の端縁（１２）に重ね合わせて胴部貼り合わせ部（１３）を形成させて下方に先細る円筒形状の胴部材（１４）とし、ほぼ円形状の底紙（１５）を周縁部（１６）を下向きに起立させて底部材とし、前記胴部材の下端縁部を内方に折り曲げ、底部材の周縁部外面に接合させて環状脚部（１８）を形成させ、胴部材の上部周縁を外方に巻き込み口縁部（１９）を形成させたバリア性紙カップ（２０）である。

そして、紙カップを形成している胴部貼り合わせ部（１３）の内側の端縁は、内方に折り曲げられる下端縁部（２１）を除いて、熱可塑性樹脂層が紙基材よりはみ出しで形成されており、この積層シートの紙基材からはみ出して形成される熱可塑性樹脂層（１ａ）が紙基材の端面が露出しないようにもう一方の端縁の熱可塑性樹脂層（２）に熱融着されている。

また、環状脚部（１８）を形成するための内方に折り曲げられた胴部材の下端縁部は、一部を除いて積層シートおよび積層シートからはみ出して形成される熱可塑性樹脂層が切り欠かれている。

このところを図３を見ながら分かり易く説明する。

胴紙（１０）の一方の端縁は熱可塑性樹脂層（２）が紙基材（３）より一定長さだけはみ出して形成されている（概略３〜７ｍｍ程度）。

この胴紙の紙基材からはみ出して形成される熱可塑性樹脂層（１ａ）のある方の下部端縁は、胴部材を形成する際に必要となる貼り合わせ幅（Ｗ）に積層シートの厚さ（ｔ）を減じた幅で、内方に折り曲げられる下端縁部（２１）の長さ（Ｌ）だけ切り欠いてあり、切り欠き（５）を形成している。

このような形状の胴紙を使用することにより、紙カップに成形した際に、環状脚部の胴部貼り合わせ部は、図２に示すように、４枚のシートの接合となり、また、紙基材からはみ出して形成される熱可塑性樹脂層（１ａ）も存在しないので、成形状態が安定化し、圧力ムラも少なくなって、形状の安定した見栄えの良い環状脚部が成形できる。

なお、図５は従来のバリア性紙カップの環状脚部の胴部貼り合わせ部を示す断面説明図で、５枚のシートの接合である。

積層シート（１）の内側面に形成される熱可塑性樹脂層（２）は、例えば、ポリエチレン／バリア層／ポリエチレンの３層構成とすることがバリア性の向上につながり好ましい。

バリア層は、一軸ないし二軸延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリオレフィンフィルムなどの延伸フィルム上に、酸化アルミニウムや酸化ケイ素などの無機化合物の薄膜を物理蒸着あるいは化学蒸着などの蒸着法により２０〜１００ｎｍ程度の厚さに設けた無機化合物蒸着プラスチックフィルムが使用できる。なかでもポリエチレンテレフタレートフィルム上に無機化合物の薄膜を蒸着した蒸着フィルム
がより好ましく使用できる。

また、バリア層が水溶性樹脂と無機層状化合物を含有する被膜、または、金属アルコキシドあるいはその加水分解物とイソシアネート化合物を反応させた被膜を設けた樹脂層とすると、ポリエチレンとの密着性がさらに向上する。

また、必要に応じて、紙基材の外側面にポリエチレン樹脂層を設けても良い。紙基材の外側面にポリエチレン樹脂層を設けることにより、胴部材と胴部材、あるいは胴部材と底部材の密着性がさらに向上し、より密封性、バリア性に優れたバリア性紙カップとすることができる。

こうして作製した胴紙と底紙から一般的に公知の紙カップ成形機を用いてバリア性紙カップを作製する。

なお、胴紙は扇形状とは限らず、例えば、長方形状でも，正方形状でも構わない。この場合には、図４に示すような天部と底部の口径が略同じ筒状の紙カップが成形できる。

また、胴部材の上部周縁は、外方に巻き込み口縁部を形成させても良いし、例えば、ほぼ円形状の蓋紙を周縁部を上向きに起立させて蓋部材とし、胴部材の上部内側に前記蓋部材の周縁部の内面を接合させ、さらに周縁部を覆うように胴部材の上部周縁を内方に折り曲げ、蓋部材の周縁部外面に接合させて胴部材と蓋部材を密封シールさせた円筒形状の紙容器としても良い。

本発明のバリア性紙カップの作製手順の一例を示す、模式工程説明図である。本発明のバリア性紙カップの一実施例を示す、（ａ）は部分断面説明図であり、（ｂ）は（ａ）のＡ部拡大説明図であり、（ｃ）は（ａ）のＢ部拡大説明図であり、（ｄ）は（ａ）のＣ部の拡大説明図である。本発明のバリア性紙カップの胴部材切り欠き部分の拡大説明図である。本発明のバリア性紙カップの別の実施例を示す、（ａ）は斜視説明図であり、（ｂ）は（ａ）のＡ部拡大説明図であり、（ｃ）は（ａ）のＢ部拡大説明図であり、（ｄ）は（ａ）のＣ部の拡大説明図である。従来のバリア性紙カップの環状脚部の胴部貼り合わせ部の部分断面拡大説明図である。

符号の説明

１‥‥積層シート
１ａ‥積層シートの紙基材からはみ出して形成される熱可塑性樹脂層
２‥‥熱可塑性樹脂層
３‥‥基材、紙
５‥‥切り欠き
１０‥‥胴紙
１１‥‥一方の端縁
１２‥‥もう一方の端縁
１３‥‥胴部貼り合わせ部
１４‥‥胴部材
１５‥‥底紙
１６‥‥周縁部
１７‥‥底部材
１８‥‥環状脚部
１９‥‥口縁部
２０‥‥バリア性紙カップ
２１‥‥内方に折り曲げられる下端縁部

Claims

少なくとも内側面に熱可塑性樹脂層が設けられた紙を基材とする積層シートから構成され、
胴紙の一方の端縁をもう一方の端縁に重ね合わせて胴部貼り合わせ部を形成させて円筒形状の胴部材とし、ほぼ円形状の底紙を周縁部を下向きに起立させて底部材とし、前記胴部材の下部内面に底部材の周縁部の内面を接合させ、さらに周縁部を覆うように胴部材の下端縁部を内方に折り曲げ、底部材の周縁部外面に接合させて環状脚部を形成させ、胴部材の上部周縁を外方に巻き込み口縁部を形成させた紙カップにおいて、
前記胴部貼り合わせ部の内側の端縁は、内方に折り曲げられる下端縁部を除き熱可塑性樹脂層が紙基材よりはみ出して形成され、
内方に折り曲げられる胴部材の下端縁部は、一部を除いて積層シートおよび積層シートからはみ出す熱可塑性樹脂層が切り欠かれており、
前記内方に折り曲げられた胴部材の下端縁部に設けられた切り欠きは、胴部貼り合わせ部の開始部分に積層シートの厚み分を加えた部位から胴部材の端部分まであることを特徴とする、バリア性紙カップ。
前記積層シートの内側面に形成される熱可塑性樹脂層がポリエチレン／バリア層／ポリエチレンの３層構成からなることを特徴とする、請求項１記載のバリア性紙カップ。
前記バリア層が無機化合物蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルムであるとを特徴とする、請求項２記載のバリア性紙カップ。
前記バリア層が水溶性樹脂と無機層状化合物を含有する被膜又は、金属アルコキシドあるいはその加水分解物とイソシアネート化合物を反応させた被膜を設けた樹脂層であることを特徴とする、請求項２記載のバリア性紙カップ。