以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
本発明の実施の形態に係る切断装置、すなわちシート材の印刷機能及び切断機能を有する印刷装置(以下、単に印刷装置という)は、その印刷装置に装着されるシートカセット(テープカセット)に収容されて供給される、基材シート(基材テープ)と貼着層と剥離シート(剥離テープ)とが積層されてなるシート材(テープ材、あるいは印刷テープ)に対して、その切断機能によってシート材上に設定する領域に対応してシート材の剥離シートのみを切断し、あるいは切断機能による剥離シートの切断と共に印刷機能によってシート材上の設定領域に印刷を行うことにより、対象物の外周に装着して用いるシート物(ラベル)を作成するものである。
(第1実施形態)
図1は本発明の実施形態に係るテープ印刷機能及びテープ切断機能を有する印刷装置1の外観平面図、図2はその印刷装置1に装着されるシートカセット(テープカセット)21の外観斜視図及び印刷装置1の内部構造の一部を示す斜視図である。図に示すように、印刷装置1は、装置本体2の上面にキー入力部3、表示部4、および開閉蓋5を備えている。開閉蓋5の内側には印刷テープ31及びインクリボン35を収容したテープカセット21を装着するためのカセット装着部6が形成されており、テープカセット21は開閉蓋5を開放した状態でカセット装着部6に着脱可能に装着される。
キー入力部3は、印刷する文字列のデータを入力する文字キー、印刷開始を指示する印刷キー、表示部4の表示画面上のカーソルを移動操作するカーソルキー、入力された文字列の編集処理、各種設定処理、印刷処理等に必要な種々の制御キーを備えている。この制御キーには、貼着層により対象物に貼着するラベルを作成する「貼着用ラベルモード」や対象物の外周に装着するラベルを作成する「装着用ラベルモード」などの印刷モードを設定する印刷モードキーの他、かな漢字の変換キー、各種の選択や処理を決定する実行キー、処理を取り消す取消キーなどが含まれている。
表示部4は液晶表示装置であり、入力されたデータや各種設定のための選択メニュー画面や処理に関するメッセージなどが表示されると共に、作成されるラベルの長さや印刷テープの種類や印刷モードの状態などの各種の情報を表示する。
カセット装着部6内には、縦方向に配列された発熱素子を有するサーマルヘッド7と、サーマルヘッド7と対峙するプラテンローラ8と、テープカセット21内にインクリボン35を巻き取るリボン巻取軸9と、テープカセット21を所定の位置に支持するためのカセット受け部10やテープカセット21に嵌合して位置決めする嵌合軸11を備えている。また、カートリッジ収納部6の底面の下部には、プラテンローラ8及びリボン巻取り軸9を回転するためのシート搬送機構が設けられている。
また、装置本体1には、カセット装着部6から装置本体1外に通じるシート排出口12が形成されており、このシート排出口12には、後述する積層構造の印刷テープ31(図6参照)の全層を切除(フルカット)するためのカッタ13が設けられ、さらにその下流側に印刷テープ31の一部の層のみを切断(ハーフカット)するためのカッタ14が設けられている。カッタ13は固定刃13aと可動刃13bとで構成され、またカッタ14はハーフカッタ刃14aと受け台14bとで構成されている。これらのカッタ機構は、例えば、特開2001−277184に開示される印刷装置と同様に構成される。カッタ13は、定位置にある固定刃13aに対して可動刃13bが回動して両刃の間で印刷テープ31の全層を切断し、また、カッタ14は、印刷テープ31の剥離シート(剥離テープ)34側で定位置にあるハーフカッタ刃14aに対して受け台14bを回動させ、受け台14bをハーフカッタ刃14aに押圧して印刷テープ31の剥離シート(剥離テープ)34のみを切断するものである。このため、ハーフカッタ刃14aの刃先が印刷テープ31の基材シート(基材テープ)32及び貼着層33の厚さ分のクリアランスをもって受け台14bに当接することで、剥離シート34のみを切断できるようにしている。また、装置本体2の内部には、カッタ13、14を動作させるための切断機構が設けられている。
また、前記カセット受け部10にはテープカセット21に収容されるカセットの種別(印刷テープの種別)を検出するための複数個のカセット種別検出スイッチ15が設けられている。また、サーマルヘッド7の近傍には印刷テープに設けられる指標(マーク)を検出するためのマーク検出センサ16が設けられている。
一方、テープカセット21は、図2の外観斜視図及び図3の内部構造を示す平面図に示すように、上ケース22aと下ケース22bを組み合わせて構成したカセットケース22を備え、このカセットケース22の内部に、印刷テープ31を巻回したシートコア23、未使用のインクリボン35を巻回したリボン供給コア24、印刷に使用された使用済部分のインクリボン35を巻き取るリボン巻取コア25がそれぞれ収納されている。
シートコア23は、カセットケース22の下ケース22bに一体に形成された起立軸23aに回転可能に嵌合され、リボン供給コア24は下ケース22bに一体に形成された起立軸26に回転可能に嵌合され、またリボン巻取コア25は上ケース22aと下ケース22bとの間に回転可能に支持されている。
カセットケース22には、カセット装着部6内にテープカセット21を装着したときにサーマルヘッド7が配置される凹部27が設けられ、この凹部27に臨んで印刷テープ31およびインクリボン35がカセットケース22外に繰出される繰出し口28aと、インクリボン35がカセットケース22内に引き戻されて回収される回収口28bとが設けられる。
また、カセットケース22の外側部の隅部には、カセット収容部6のカセット受け部10に係合してそれに支持される位置合せ用の突起部29が形成されており、その1つにはカセットケース22内に収容した印刷テープ31の種別に対応した所定の形状を有する識別部30が形成されている。この識別部30はカセット受け部10に設けた複数個のカセット種別検出スイッチ15を選択的に動作させるものであり、印刷装置1では、カセット種別検出スイッチ15の情報によりカセット装着部6に装着されたテープカセット21に収容されている印刷テープ31の種別を判別することができる。
テープカセット21に収容されている印刷テープ31は、図6の印刷用シートの断面図に示すように、基材シート(基材テープ)32と貼着層33と剥離シート(剥離テープ)34とが積層されて構成されており、サーマルヘッド7によりインクリボン35のインクが転写される印字層を表面に有して表面側が印刷面となる基材テープ32の裏面側に貼着層33が施され、その貼着面に剥離テープ34が剥離可能に貼着されている。
この印刷装置1では、カセット装着部6にテープカセット21を装着すると、テープカセット21の位置合せ用の突起部29がカセット装着部6のカセット受け部10に係合すると共に、リボン巻取軸9及び嵌合軸11がそれぞれテープカセット21のリボン巻取コア25及び起立軸26の内側に嵌合し、テープカセット21の凹部27にサーマルヘッド7が配置される。そして、シート搬送機構が作動してサーマルヘッド7との間で印刷テープ31及びインクリボン35を挟持するプラテンローラ8が回転駆動され、サーマルヘッド7が発熱駆動されることによりテープカセット21から繰出された印刷テープ31に対してインクリボン35を介して熱転写印刷が行われる。印刷された基材テープ32の印刷面に印刷が行われた印刷テープ31は下流側に向けて搬送され、シート排出口12を通って装置外に排出される。一方、インクリボン35はリボン巻取軸9によって回転するリボン巻取コア25に巻き取られてカセットケース22内に回収される。印刷が終了すると、印刷テープ31の印刷済部分が切断される。また、印刷処理の過程でカッタ14が作動することにより印刷テープ31の剥離テープ35のみが切断されてハーフカットが行われる。
図4は印刷装置1の電子回路のブロック図を示している。同図に示すように、この印刷装置1の電子回路には、CPUからなる制御部50が備えられ、制御部50は、キー入力部2からのキー操作信号に応じてROM51に予め記憶されているシステムプログラムを起動させ、RAM52をワークメモリとして回路各部の動作を制御するもので、この制御部50には、前記キー入力部3、ROM51、RAM52が接続される他、サーマルヘッド7を印刷データに応じて発熱駆動する駆動回路53、プラテンローラ8及びリボン巻取軸9を駆動するための搬送モータ54の駆動回路55、カッタ13,14を駆動するためのカッタモータ56の駆動回路57が接続され、また、入力された文字データなどを表示するための表示部4が接続される。また、制御部50には、テープカセット21の種別を検出するためのカセット種別検出スイッチ15、印刷テープ31に付されたマークを検出するマーク検出センサ16も接続される。
前記ROM51内には、表示及び印字のための文字や記号のパターンデータを記憶するメモリが設けられ、また「装着用ラベル」を容易に作成するためのデータとして、そのラベルを装着する対象物の名称と、その対象物の外周の一回りの長さのデータが、複数種類の対象物について予め記憶される対象物の外周長データテーブル51aが設けられている。図5は対象物の外周長データテーブル51aの一例を示す図である。
また、前記RAM52には、キー入力された文字データを記憶する入力データメモリ、入力データについて設定される文字サイズ、文字間隔、余白の長さ等の書式データを記憶する書式データメモリ、入力されたデータが対応するパターンデータに展開されて記憶される印刷データメモリ、表示部4に表示されるパターンデータが記憶される表示データメモリの各領域が確保され、さらに、「装着用ラベルモード」においてユーザ選択された作成すべきラベルの種類「第1〜第4のラベル」(図8参照)が記憶される選択ラベル種類レジスタ52a、ユーザ選択されたラベル領域長の設定方法(オート/マニュアル)が記憶される選択領域設定レジスタ52b、ユーザ選択された棒状対象物の種類(対象物名:A〜E)が記憶される選択対象物レジスタ52c、この選択対象物の種類に応じた棒状対象物の外周長と前記ラベル領域長の設定方法に従い計算設定されたラベル領域の設定長さが記憶される領域長さ設定レジスタ52d、印刷テープ31のプラテンローラ8による搬送量(搬送ステップ数)がカウントされるテープ搬送量カウンタ52eなど、その他の処理に必要なデータを一時的に記憶するレジスタやカウンタが設けられる。
また、この印刷装置1では、前記ROM51の対象物外周長データテーブル51aに用意されていない対象物の「装着用ラベル」を繰り返し作成するときに便利なように、ユーザによって対象物の名称と、その対象物の外周長のデータを対応して登録するべくRAM52内に外周長データの登録領域(対象物外周長登録レジスタ52f)が確保されている。
そして、この印刷装置1では、所定の手順により対象物の名称とその対象物の外周長とを対応して前記登録領域である対象物外周長登録レジスタ52fに登録する一方、その登録した対象物の名称を選択することにより外周長のデータを呼び出し出来るようにしている。
次に、印刷装置1の印刷動作について説明する。この印刷装置1では、剥離テープ34を剥して基材テープ32の貼着面を露出させ貼着層33により対象物上に貼着する通常のラベルを作成する「貼着用ラベルモード」と、対象物に当接する部分には剥離テープ34を残して対象物に対して貼着層33を使わずにその外周に巻き付けて装着するラベルを作成する「装着用ラベルモード」とによりラベル作成が可能になっている。以下、本発明の特徴とする「装着用ラベルモード」の印刷モードによる印刷動作について説明する。
図7は、この「装着用ラベルモード」に係るラベル40を示すものである。同図のように、ラベル40は、シート長さ方向に沿って、第1の重合領域40a、巻回領域40b及び第2の重合領域40cの3つの領域を備えている。「ABC」の文字列は、第2の重合領域40cに印刷された文字列を示している。巻回領域40bのシート長さ方向の長さaは、このラベルを装着しようとする対象物の外周の少なくとも一回りの長さであり、同じく第1及び第2の重合領域40a、40cの長さbは、固定長、任意長あるいは印刷するデータの長さに応じて決められる。図7(a)、(b)に図示のように、巻回領域40bのシート長さ方向の両側、すなわち第1の重合領域40aと巻回領域40b、巻回領域40bと第2の重合領域40cの境界部分には、シート幅方向にカッタ14によって剥離テープ34のみが切断されるハーフカットHC1、HC2が施される。図7(c)は、このラベル40を「装着用ラベル」として対象物に使用する場合の状態を示しており、図示のように、第1の重合領域40aおよび第2の重合領域40cの剥離テープ34を除去してその領域部分において基材テープ32の裏面に貼着層33を露出させるものである。このときに、巻回領域40b部分では、剥離テープ34を除去することなく基材テープ32の裏面の貼着層34を露出させずに剥離テープ34で覆ったままにしておく。
しかして、図9は装着用ラベル40を対象物100の外周に装着した状態を示している。まず、図7(c)のようにして準備した装着用ラベル40の巻回領域40bの中央部を対象物100の外周に当接させ、当該巻回領域40bを対象物100の外周に周回させて巻き付け、重合領域40a、40cの貼着面側を突き合わせて重ね合わせて、第1及び第2の重合領域40a、40cを貼着するものである。このように装着ラベルを対象物100に装着することにより、対象物に対するラベル表示を行うことができる。この装着用ラベル40では、対象物100の外周に当接する巻回領域40bの貼着層33が剥離テープ34によって覆われて貼着層33が対象物100の外周に接触することがない。一方、ラベル40が不要になれば、重ね合わせた第1及び第2の重合領域40a、40cの巻回領域40bとの境界部分を手指で摘み、この部分を千切ることでラベル40を取り外すことができる。また、ラベル40を棒状対象物100の端部まで移動させて棒状対象物100から抜き取ってもよい。
なお、前記印刷テープ31の基材テープ32や剥離テープ34には、紙材あるいは樹脂材が使用される。そして、印刷テープ31、あるいは基材テープ32を、例えば、JISP8116に規定する引き裂き強度が200〜750mN程度となるように、材料及び厚さなどを選択すれば、対象物からラベル40を取り外すときに引き千切ることができて好適である。
この印刷装置1では、前述のように、テープ印刷機能及びテープ切断機能を備え、それら両機能を用いて印刷テープへの印刷とテープ切断を行うことで印刷ラベルの作成ができる一方、テープ切断機能だけを用いて印刷のない無地のラベルを作成することができる。前記印刷ラベルは、そのまま対象物に装着し、また前記無地ラベルは対象物に装着すると共に、空白領域に適宜情報を書き込んだり、必要に応じて追加記入するなどして利用できる。
以下、図6に示す印刷テープ31を用いて行う印刷装置1による上記「装着用ラベルモード」の印刷処理について、図10のフローチャート及び関連図面に基づいて詳しく説明する。
キー入力部2の印刷モードキーにより「装着用ラベルモード」の処理が開始されると、まず、この「装着用ラベルモード」で作成すべきラベル40の種類をユーザに選択させるための「ラベル種類選択メニュー」が表示部4に表示され、ラベルの種類の選択が行われる(ステップA1)。ここでは、第1ないし第4のラベルが選択可能である。第1のラベルは、図8(a)に図示のように、第2の重合領域40cにのみ任意の文字列「ABC」を印刷するものであり、第1の重合領域40a及び巻回領域40bの各領域には印刷を行わない。第2のラベルは、図8(b)に図示のように、第1の重合領域40aと第2の重合領域40cの双方に任意の文字列「ABC」を印刷するものであり、巻回領域40bには印刷を行わない。第3のラベルは、図8(c)に図示のように、第1の重合領域40aから巻回領域40bの一方の約3分1の領域に掛けてと第2の重合領域40cから巻回領域40bの他方の約3分1の領域に掛けてとの双方に任意の文字列「ABCD」を印刷するものである。第4のラベルは、印刷を行うことなく、印刷テープの切断のみを行うものである。
こうして、装着用として作成すべきラベルの種類が選択されてRAM52内の選択ラベル種類レジスタ52aに記憶されると(ステップA1)、当該ラベルの領域長さの設定方法(オート/マニュアル)をユーザ選択させる「領域設定方法選択メニュー」が表示部4に表示され、領域長さ設定方法の選択が行われる(ステップA2)。ここでは、3つの領域の長さに関して、それを個別に寸法数値を入力して設定するマニュアル設定を行うか、それに比べて入力操作を簡単にしたオート設定を行うかが選択され、選択された領域設定方法はRAM52内の選択領域設定レジスタ52bに記憶される。
ここで、ラベルの領域長さの設定方法がオート設定されたと判断された場合には、ROM51内の対象物外周長データテーブル51aにて予め記憶されている各種対象物の名称およびRAM52内の対象物外周長登録レジスタ52fに任意登録された対象物とその外周長のデータがある場合には当該任意対象物の名称も加えた「対象物選択メニュー」が表示部4に表示され、対象物の選択が行われてRAM52内の選択対象物レジスタ52cに記憶される(ステップA3→A4)。
そして、この選択対象物レジスタ52cに選択記憶された対象物に応じて、前記対象物外周長データテーブル51aあるいは対象物外周長登録レジスタ52fに記憶されている該当対象物の外周長データから作成すべきラベル40の巻回領域40bの長さが自動設定される(ステップA5)。なお、巻回領域40bの長さの設定では、対象物外周長データテーブル51aのデータに基づいて対象物の外周長とほぼ等しい長さを設定してもいいが、それよりも余裕をもった長さを設定してもよい。あるいは、対象物外周長データテーブル51aに予め記憶するデータを、実際の外周長より適当に余裕をもった長さにしておいてもよい。 次に、前記ステップA1にて選択されて選択ラベル種類レジスタ52aに記憶された作成すべきラベル40の種類に従い、それが印刷を行わない第4のラベルであるか否かが判断される(ステップA6)。
ここで、選択されたラベル40の種類は第4のラベルではなく、第1〜第3の何れかのラベル40であると判断された場合には、印刷データの入力画面が表示される(ステップA6→A7)。そして、キー入力部3の文字入力キーのユーザ操作に応じて印刷すべきユーザ所望のキャラクタ(文字列)が入力されると、この入力キャラクタデータはRAM52内の入力データメモリに記憶される(ステップA7)。
こうして、作成すべきラベル40に対し印刷すべきキャラクタデータが入力されると、「印刷開始?」のメッセージが表示され、キー入力部3の「実行」キーがユーザ操作されることで印刷開始と判断されると、前記RAM52内の入力データメモリに記憶された入力キャラクタデータが印刷パターンデータとして展開生成されて同RAM52内の印刷データメモリに記憶される(ステップA8→A9)。
そして、前記ステップA1にて選択されて選択ラベル種類レジスタ52aに記憶された作成すべきラベル40の種類が、第1〜第3の何れのラベル(図8(a)〜(c)参照)であるか判断され(ステップA10)、第1のラベルであると判断された場合には、作成すべきラベル40の第1及び第2の重合領域40a,40cの長さが前記印刷データメモリに記憶された印刷パターンデータに従い算出された印刷長に基づき設定され、前記ステップA5において自動設定された巻回領域40bの長さと共に、RAM52内の領域長さ設定レジスタ52dに記憶される(ステップA11a)。
すると、カセット装着部6に装着されたテープカセット21に収容されている印刷テープ31及びインクリボン35が、搬送モータ54によるプラテンローラ8およびリボン巻取軸9の回転駆動に応じて搬送開始されるのに伴い、当該印刷テープ31の搬送量が、例えば搬送モータ54によるモータ駆動ステップ数としてRAM52内のテープ搬送量カウンタ52eにてカウントされて、カッタ13,14ならびにサーマルヘッド7に対する印刷テープ31の移動位置が管理される。そして、第1の重合領域40aと巻回領域40bとの境界そして該巻回領域40bと第2の重合領域40cとの境界に対する各ハーフカットHC1,HC2の処理がテープ搬送の一時停止に応じたカッタ14の駆動によって行われると共に、前記印刷データメモリに記憶された印刷パターンデータに従いサーマルヘッド7が発熱駆動され、第2の重合領域40cに対する印刷出力が順次行われる(ステップA12a)。
そして、前記印刷テープ31に対する印刷パターンデータの印刷出力が終了し、さらにテープ搬送量カウンタ52eにてカウントされる印刷テープ31の搬送量が、前記領域長さ設定レジスタ52dに設定記憶された作成すべきラベル40の全領域長さに対応する搬送量の位置、つまり印刷テープ31の切断位置まで到達したと判断されると、搬送モータ54の駆動が停止されて当該印刷テープ31の搬送が停止される。そして、カッタモータ56によりカッタ13が駆動されて印刷テープ31がフルカットFCされ、自動設定された領域長さの装着用ラベル40として切断分離される(ステップA13)。
こうして、印刷テープ31がフルカットされて装着用ラベル40が作成されると、図11に示すように、表示部4に対して対象物100への巻回領域40bに対応するところの剥離テープ34をユーザが誤って剥がさないように喚起するための注意表示画面Gが表示部4に表示される(ステップA14)。
なお、このような表示部4に対する注意表示画面Gだけでなく、例えば図12に示すように、巻回領域40bに対応するところの基材テープ32面に「剥離禁止」などの注意喚起のための文字列46を印刷するものとし、この注意喚起文字列46は前記第2の重合領域40cに対するラベル表記用の文字列45と共に印刷するようにしてもよい。
これにより、ユーザ所望の印刷データが第2の重合領域40cにのみ印刷されてなる、ユーザ所望の選択対象物100に巻回して装着可能な装着用ラベル40が作成される(図9参照)。
一方、前記ステップA10において、選択ラベル種類レジスタ52aに記憶されている作成すべきラベル40の種類が、第2のラベル(図8(b)参照)であると判断された場合には、前記第1のラベルの場合と同様に、作成すべきラベル40の第1及び第2の重合領域40a,40cの長さが前記印刷データメモリに記憶された印刷パターンデータに従い算出された印刷長に基づき設定され、ステップA5において自動設定された巻回領域40bの長さと共に、RAM52内の領域長さ設定レジスタ52dに記憶される(ステップA11b)。
すると、前記同様に、カセット装着部6に装着されたテープカセット21に収容されている印刷テープ31及びインクリボン35が、搬送モータ54によるプラテンローラ8およびリボン巻取軸9の回転駆動に応じて搬送開始されるのに伴い、当該印刷テープ31の搬送量が、例えば搬送モータ54によるモータ駆動ステップ数としてRAM52内のテープ搬送量カウンタ52eにてカウントされて、カッタ13,14ならびにサーマルヘッド7に対する印刷テープ31の移動位置が管理される。そして、第1の重合領域40aと巻回領域40bとの境界そして該巻回領域40bと第2の重合領域40cとの境界に対する各ハーフカットHC1,HC2の処理がテープ搬送の一時停止に応じたカッタ14の駆動によって行われると共に、前記印刷データメモリに記憶された印刷パターンデータに従いサーマルヘッド7が発熱駆動され、第1の重合領域40aと第2の重合領域40cとに対する印刷出力が順次行われる(ステップA12b)。
そして、印刷テープ31のフルカットFCの処理による装着用ラベル40としての切断分離処理(ステップA13)、および剥離テープ34を誤って剥がさないようにするための注意表示画面Gの表示処理が実行され、ユーザ所望の印刷データが第1の重合領域40aと第2の重合領域40cとの双方に印刷されてなる、ユーザ所望の選択対象物100に巻回して装着可能な装着用ラベル40が作成される(図9参照)。
また、前記ステップA10において、選択ラベル種類レジスタ52aに記憶されている作成すべきラベル40の種類が、第3のラベル(図8(c)参照)であると判断された場合には、前記第1,第2のラベルの場合と同様に、作成すべきラベル40の第1及び第2の重合領域40a,40cの長さが前記印刷データメモリに記憶された印刷パターンデータに従い算出された印刷長および前記ステップA5において自動設定された巻回領域40bの長さに基づき設定され、当該巻回領域40bの長さと共に、RAM52内の領域長さ設定レジスタ52dに記憶される(ステップA11c)。
すると、前記同様に、カセット装着部6に装着されたテープカセット21に収容されている印刷テープ31及びインクリボン35が、搬送モータ54によるプラテンローラ8およびリボン巻取軸9の回転駆動に応じて搬送開始されるのに伴い、当該印刷テープ31の搬送量が、例えば搬送モータ54によるモータ駆動ステップ数としてRAM52内のテープ搬送量カウンタ52eにてカウントされて、カッタ13,14ならびにサーマルヘッド7に対する印刷テープ31の移動位置が管理される。そして、第1の重合領域40aと巻回領域40bとの境界そして該巻回領域40bと第2の重合領域40cとの境界に対する各ハーフカットHC1,HC2の処理がテープ搬送の一時停止に応じたカッタ14の駆動によって行われると共に、前記印刷データメモリに記憶された印刷パターンデータに従いサーマルヘッド7が発熱駆動され、第1の重合領域40aから巻回領域40bの一方の約3分の1までの領域と該巻回領域40bの他方の約3分の1の領域から第2の重合領域40cまでとに対する印刷出力が順次行われる(ステップA12c)。
そして、印刷テープ31のフルカットFCの処理による装着用ラベル40としての切断分離処理(ステップA13)、および剥離テープ34を誤って剥がさないようにするための注意表示画面Gの表示処理が前記同様に実行され、ユーザ所望の印刷データが第1の重合領域40aから巻回領域40bの一方の部分までと第2の重合領域40cから巻回領域の他方の部分までとの双方に印刷されてなる、ユーザ所望の選択対象物100に巻回して装着可能な装着用ラベル40が作成される。
一方、前記ステップA6において、選択ラベル種類レジスタ52aに記憶された作成すべきラベル40の種類に従い、それが印刷を行わない第4のラベルであると判断された場合には、作成すべきラベル40の第1及び第2の重合領域40a,40cの長さが所定値に設定され、前記ステップA5において自動設定された巻回領域40bの長さと共に、RAM52内の領域長さ設定レジスタ52dに記憶される(ステップA15)。
すると、前記同様に、カセット装着部6に装着されたテープカセット21に収容されている印刷テープ31及びインクリボン35が、搬送モータ54によるプラテンローラ8およびリボン巻取軸9の回転駆動に応じて搬送開始されるのに伴い、当該印刷テープ31の搬送量が、例えば搬送モータ54によるモータ駆動ステップ数としてRAM52内のテープ搬送量カウンタ52eにてカウントされて、カッタ13,14ならびにサーマルヘッド7に対する印刷テープ31の移動位置が管理される。そして、第1の重合領域40aと巻回領域40bとの境界そして該巻回領域40bと第2の重合領域40cとの境界に対する各ハーフカットHC1,HC2の処理がテープ搬送の一時停止に応じたカッタ14の駆動によって順次行われる(ステップA16)。
そして、印刷テープ31のフルカットFCの処理による装着用ラベル40としての切断分離処理(ステップA13)、および剥離テープ34を誤って剥がさないようにするための注意表示画面Gの表示処理が前記同様に実行され、印刷無しで例えばユーザが自筆で所望の情報を記述してなる、ユーザ所望の選択対象物100に巻回して装着可能な装着用ラベル40が作成される。
一方、前記ステップA3において、ラベルの領域長さの設定方法が対象物の外周長を計測するなどしてマニュアル設定されたと判断された場合には、作成すべき装着ラベル40の第1,第2の重合領域40a,40c及び巻回領域40bそれぞれの領域サイズを任意入力するための「領域サイズ入力画面」が表示部4に表示され、ユーザ入力によって各領域40a,40b,40cの長さがマニュアル設定される(ステップA3→A17)。
すると、前記ステップA1にて選択されて選択ラベル種類レジスタ52aに記憶された作成すべきラベル40の種類に従い、それが印刷を行わない第4のラベルではなく、第1〜第3の何れかのラベル40であると判断された場合には、印刷データの入力画面が表示される(ステップA18→A19)。そして、キー入力部3の文字入力キーのユーザ操作に応じて印刷すべきユーザ所望のキャラクタ(文字列)が入力されると、この入力キャラクタデータはRAM52内の入力データメモリに記憶される(ステップA19)。
すると、「印刷開始?」のメッセージが表示され、キー入力部3の「実行」キーがユーザ操作されることで印刷開始と判断されると、前記RAM52内の入力データメモリに記憶された入力キャラクタデータが印刷パターンデータとして展開生成されて同RAM52内の印刷データメモリに記憶される(ステップA20→A21)。
そして、前記ステップA1にて選択されて選択ラベル種類レジスタ52aに記憶された作成すべきラベル40の種類が、第1〜第3の何れのラベル(図8(a)〜(c)参照)であるか判断され(ステップA22)、第1のラベルであると判断された場合には、前記ステップA17においてマニュアル設定された各領域サイズに対応させて、第1の重合領域40aと巻回領域40bとの境界そして該巻回領域40bと第2の重合領域40cとの境界に対する各ハーフカットHC1,HC2の処理がテープ搬送の一時停止に応じたカッタ14の駆動によって行われると共に、前記印刷データメモリに記憶された印刷パターンデータに従いサーマルヘッド7が発熱駆動され、第2の重合領域40cに対する印刷出力が順次行われる(ステップA22→A12a)。
そして、印刷テープ31のフルカットFCの処理による装着用ラベル40としての切断分離処理(ステップA13)、および剥離テープ34を誤って剥がさないようにするための注意表示画面Gの表示処理が実行され、ユーザ所望の印刷データが第2の重合領域40cのみに印刷されてなる、ユーザ所望の選択対象物100に巻回して装着可能な任意長さの装着用ラベル40が作成される(図9参照)。
また、前記ステップA22において、選択ラベル種類レジスタ52aに記憶された作成すべきラベル40の種類が、第2のラベルであると判断された場合には、前記ステップA17においてマニュアル設定された各領域サイズに対応させて、第1の重合領域40aと巻回領域40bとの境界そして該巻回領域40bと第2の重合領域40cとの境界に対する各ハーフカットHC1,HC2の処理がテープ搬送の一時停止に応じたカッタ14の駆動によって行われると共に、前記印刷データメモリに記憶された印刷パターンデータに従いサーマルヘッド7が発熱駆動され、第1の重合領域40aと第2の重合領域40cとに対する印刷出力が順次行われる(ステップA22→A12b)。
そして、印刷テープ31のフルカットFCの処理による装着用ラベル40としての切断分離処理(ステップA13)、および剥離テープ34を誤って剥がさないようにするための注意表示画面Gの表示処理が実行され、ユーザ所望の印刷データが第1の重合領域40aと第2の重合領域40cとの双方に印刷されてなる、ユーザ所望の選択対象物100に巻回して装着可能な任意長さの装着用ラベル40が作成される(図9参照)。
さらにまた、前記ステップA22において、選択ラベル種類レジスタ52aに記憶された作成すべきラベル40の種類が、第3のラベルであると判断された場合には、前記ステップA17においてマニュアル設定された各領域サイズに対応させて、第1の重合領域40aと巻回領域40bとの境界そして該巻回領域40bと第2の重合領域40cとの境界に対する各ハーフカットHC1,HC2の処理がテープ搬送の一時停止に応じたカッタ14の駆動によって行われると共に、前記印刷データメモリに記憶された印刷パターンデータに従いサーマルヘッド7が発熱駆動され、第1の重合領域40aから巻回領域40bの一方の約3分の1までの領域と該巻回領域40bの他方の約3分の1の領域から第2の重合領域40cまでとに対する印刷出力が順次行われる(ステップA22→A12c)。
そして、印刷テープ31のフルカットFCの処理による装着用ラベル40としての切断分離処理(ステップA13)、および剥離テープ34を誤って剥がさないようにするための注意表示画面Gの表示処理が前記同様に実行され、ユーザ所望の印刷データが第1の重合領域40aから巻回領域40bの一方の部分までと第2の重合領域40cから巻回領域の他方の部分までとの双方に印刷されてなる、ユーザ所望の選択対象物100に巻回して装着可能な任意長さの装着用ラベル40が作成される。
一方、前記ステップA18において、選択ラベル種類レジスタ52aに記憶された作成すべきラベル40の種類に従い、それが印刷を行わない第4のラベルであると判断された場合には、前記ステップA17においてマニュアル設定された各領域サイズに対応させて、第1の重合領域40aと巻回領域40bとの境界そして該巻回領域40bと第2の重合領域40cとの境界に対する各ハーフカットHC1,HC2の処理がテープ搬送の一時停止に応じたカッタ14の駆動によって順次行われる(ステップA18→A16)。
そして、印刷テープ31のフルカットFCの処理による装着用ラベル40としての切断分離処理(ステップA13)、および剥離テープ34を誤って剥がさないようにするための注意表示画面Gの表示処理が前記同様に実行され、印刷無しで例えばユーザが自筆で所望の情報を記述してなる、ユーザ所望の選択対象物100に巻回して装着可能な任意長さの装着用ラベル40が作成される。
なお、カッタ13,14に手動切断機構を採用している場合のステップA12a,A12b,A12c,A16でのハーフカット処理やステップA13でのフルカット処理は、ユーザに対してカッタ13またはカッタ14の手動操作を促すメッセージを表示部4に表示するようにする。
次に、図13は印刷テープの他の例を示している。図13は印刷テープ31aの幅方向の断面図を示しており、図示のように、基材テープ32、貼着層33、剥離テープ34の積層構造を有しているが、この印刷テープ31aの特徴は、基材テープ32の裏面全面に貼着層33が施されるものではなく、基材テープ32の裏面側のシート幅方向の両端部にはシート長さ方向と平行に貼着層33が施されていない非貼着領域38が設けられている点にある。図14は前記印刷テープ31aで作成した装着用ラベル40Aの背面図を示している。このラベル40Aのハーフカットされた第1及び第2の重合領域40a、40c部分で剥離テープ34を除去すると、第1及び第2の重合領域40a、40cの基材テープ32の裏面側には貼着層33と共に非貼着領域38が露出する。図15は装着用ラベル40Aを対象物100に装着した状態を示すものであるが、図示のように、第1及び第2の重合領域40a、40cを重ねて貼着したときに、両重合領域の重ね位置がずれることがある。そして、一旦、位置ずれ状態で貼着すると、それを修正することは困難となる。しかし、図15のように、印刷テープ31aには、シート長さ方向に沿った両端部に非貼着領域38、38が設けてあるため、貼着層33が外部に露出しにくく、ラベルの取り扱い時に貼着層33が付着するなどの不都合を少なくすることができる。
また、図16は印刷装置1によって作成するラベルの他の例を示している。このラベル40Bは、図7に示すラベルの第2の重合領域40cに隣接して折り重ね領域40dを設けるものである。この折り重ね領域40dでは、第2の重合領域40cと共に裏面側の剥離テープ34を除去し、図17に示すように、ラベル40Bを対象物100に装着した後に折り重ね領域40dを第1の重合領域40a上に折り重ねてこれに貼着するものである。このように折り重ね領域40dを設けることで、第1及び第2の重合領域40a、40cの重ね合わせが位置ズレしにくくなり、また、端部から貼着層33のはみ出しも少なくすることができる。
さらにまた、図18は印刷装置1によって作成するラベルの他の例を示している。このラベル40Eは、その基材テープ32及び貼着層33が透明材料によって構成されており、第1又は第2の重合領域40a,40cに対して、正像および鏡像のそれぞれにより文字列「ABC」を印刷する。こうすることで、対象物100への巻回装着に際して、当該第1及び第2の重合領域40a、40cを重ねて貼着したときに、そのいずれの重合領域側から見ても、1つの文字列は正像で表示することができ、文字列の内容を容易に確認することができる。なお、この印刷処理は、図10のステップS9の印刷データ生成処理において、ステップS7で入力された文字列の印刷パターンデータを正像で展開する一方、その入力された同じ文字列の文字の順位を逆にすると共に、所定の演算処理により各文字の鏡像の印刷パターンデータを生成して正像文字の印刷パターンデータと並行して展開する。
さらにまた、図19は印刷装置1によって作成するラベルの他の例を示している。このラベル40Fは、第1の重合領域40aまたは第2の重合領域40cに対する文字列「ABC」の印刷に際して、当該文字列「ABC」をその所定方向及びその所定方向と直交方向に印刷する。こうすることで、対象物100に巻回装着したラベル40Fが縦横のいずれに配置されている場合であっても、印刷した文字をより見やすくすることができる。なお、この印刷処理は、図10のステップS9の印刷データ生成処理において、入力された文字列の印刷パターンデータを印刷テープの長さ方向に沿って出力するべく展開する一方、その入力された同じ文字列の印刷パターンデータを印刷テープの幅方向に沿ってテープ幅内に出力するべく反時計方向に90°回転させて展開する。
なお、前記第1実施形態では、3つの領域第1の重合領域40a、巻回領域40b及び第2の重合領域40cの長さが、ユーザの設定などによって作成するラベルに応じて自在に変更可能であるが、対象物100の種類が限られている場合には、次の第2実施形態において説明するように、これらの各領域の長さを予め決めておいてもよい。
(第2実施形態)
図20は、第2の実施形態に係る印刷テープを示している。この印刷テープ31bは、第1の実施形態の印刷テープと同様に、基材テープ32と貼着層33と剥離テープ34とが積層されて構成されており、表面に印刷が行われる印刷面を有する基材テープ32の裏面側に貼着層33が施され、その貼着面に剥離テープ34が剥離可能に貼着されている。この印刷テープ31bの剥離テープ34には、長さ方向に沿って所定ピッチで位置合せ用のマーク(指標)41が設けられ、そのマーク41に対応して全幅を切断する2つのハーフカットの切断箇所HC1、HC2が長さ方向に沿って所定ピッチで予め形成されている。また、符号FCは、印刷装置1によって印刷テープ31bが切除されるフルカット位置を示しており、マーク41を基準にしてフルカット位置FCで印刷テープ31bが切除されることにより、ハーフカットHC1、HC2によって区画された第1の重合領域40a、巻回領域40b及び第2の重合領域40cを備え、それぞれの領域の長さが決められた1枚のラベルが取り出される。前記マーク41は基材テープ32側に設けてもよい。なお、この印刷テープ31bは、対象物100の種類に対応して前記各領域40a,40b,40cの長さの異なるものが用意されており、その印刷テープ31bの識別をテープカセット21に設けた識別部30によって可能にしている。
図21は、その長さ方向に連続して設定される各ラベル領域の第1,第2の各重合領域40a,40cに予め所定の文字列などがプレ印刷されている印刷テープ31hであり、印刷テープの構成は図20と同一である。
図22は、図20または図21の印刷テープ31bまたは31hを収容したテープカセット21を印刷装置1に装着してラベル40を作成する場合のフローチャートである。図20の印刷テープ31bでは、印刷を行いフルカットして印刷した装着用ラベルを作成する場合と、印刷を行うことなくフルカットして無地の装着用ラベルを作成する場合があり、図21のプレ印刷された印刷テープ31hでは、フルカットのみを行ってプレ印刷の装着用ラベルを作成する。
キー入力部2の印刷モードキーにより「装着用ラベルモード」の処理が開始されると、まず、この「装着用ラベルモード」で作成すべきラベル40の種類をユーザに選択させるための「ラベル種類選択メニュー」が表示部4に表示され、ラベルの種類の選択が行われる(ステップB1)。ここでは、前記第1実施形態同様に、第1ないし第4のラベル(図8参照)が選択可能である。
こうして、装着用として作成すべきラベルの種類が選択されてRAM52内の選択ラベル種類レジスタ52aに記憶されると(ステップB1)、ROM51内の対象物外周長データテーブル51aにて予め記憶されている各種対象物の名称を一覧にした「対象物選択メニュー」が表示部4に表示され、対象物の選択が行われてRAM52内の選択対象物レジスタ52cに記憶される(ステップB2)。
すると、前記選択対象物の外周長に対応した長さの巻回領域40bを有する印刷テープ31b又は31hを収容したテープカセット21の種別が判断されると共に、カセット種別検出スイッチ15の動作信号によってカセット装着部6に装着されているテープカセット21の種別が検出され、当該装着中のテープカセット21が選択対象物に対応した巻回領域40bを有する印刷テープ31b又は31hのテープカセット21であるか否かが判断される(ステップB3)。
ここで、前記ROM51に備える適合判断用のデータテーブルを参照することにより、カセット装着部6に装着されたテープカセット21が選択対象物に対応したテープカセット21ではないと判断された場合には、例えば「テープカセットエラー」の警告メッセージが表示部4に表示される(ステップB3→B4)。
一方、カセット装着部6に装着中のテープカセット21が選択対象物に対応したテープカセット21であると判断された場合には、選択ラベル種類レジスタ52aに記憶された作成すべきラベル40の種類に従い、それが印刷を行わない第4のラベルであるか否か、またはプレ印刷テープ31hによって印刷を要しないプレ印刷ラベルであるか否かが判断される(ステップB5)。
ここで、選択されたラベル40の種類は第4のラベルやプレ印刷ラベルではなく、第1〜第3の何れかのラベル40であると判断された場合には、印刷データの入力画面が表示される(ステップB5→B6)。そして、キー入力部3の文字入力キーのユーザ操作に応じて印刷すべきユーザ所望のキャラクタ(文字列)が入力されると、この入力キャラクタデータはRAM52内の入力データメモリに記憶される(ステップB6)。
こうして、作成すべきラベル40に対し印刷すべきキャラクタデータが入力されると、「印刷開始?」のメッセージが表示され、キー入力部3の「実行」キーがユーザ操作されることで印刷開始と判断されると、前記RAM52内の入力データメモリに記憶された入力キャラクタデータが印刷パターンデータとして展開生成されて同RAM52内の印刷データメモリに記憶される(ステップB7→B8)。
すると、カセット装着部6に装着されたテープカセット21に収容されている印刷テープ31bが、搬送モータ54によるプラテンローラ8の回転駆動に応じて搬送されると共に、この搬送開始された印刷テープ31bの剥離テープ34上に設けられたマーク41が、マーク検出センサ16によって検出された否か判断される(ステップB9,B10)。
この際、印刷テープ31bの搬送量は、例えば搬送モータ54によるモータ駆動ステップ数としてRAM52内のテープ搬送量カウンタ52eにてカウントされ、マーク41の検出時以降のテープ搬送過程において、サーマルヘッド7に対する印刷テープ31bの移動位置は、当該印刷テープ31bの各領域40a,40b,40cの規定の長さに応じて管理される。
そして、前記搬送されている印刷テープ31bのマーク41がマーク検出センサ16によって検出されたと判断されると、選択ラベル種類レジスタ52aに記憶された作成すべきラベル40の種類が、第1〜第3の何れのラベル(図8(a)〜(c)参照)であるか判断される(ステップB11)。そして、第1のラベルであると判断された場合には、印刷テープ31bにおける第2の重合領域40cがサーマルヘッド7の印字位置に移動されたタイミングにおいて、前記印刷データメモリに記憶された印刷パターンデータに従いサーマルヘッド7が発熱駆動され、その第2の重合領域40cに対する印刷出力が行われる(ステップB11→B12a)。
この後、前記印刷テープ31bのマーク41検出時点からのフルカット位置FCがカッタ13の位置に移動される規定のテープ搬送量のカウント時に対応して、印刷テープ31bのフルカットFCの処理による装着用ラベル40としての切断分離処理(ステップB13)が実行され、選択対象物に応じた規定長さの第1の種類の装着用ラベル40が作成される。
また、前記ステップB11において、選択ラベル種類レジスタ52aに記憶された作成すべきラベル40の種類が、第2のラベルであると判断された場合には、印刷テープ31bにおける第1の重合領域40aと第2の重合領域40cがサーマルヘッド7の印字位置に移動されたタイミングのそれぞれにおいて、前記印刷データメモリに記憶された印刷パターンデータに従いサーマルヘッド7が発熱駆動され、その第1及び第2の重合領域40a,40cに対する印刷出力が行われる(ステップB11→B12b)。
この後、前記印刷テープ31bのマーク41検出時点からのフルカット位置FCがカッタ13の位置に移動される規定のテープ搬送量のカウント時に対応して、印刷テープ31bのフルカットFCの処理による装着用ラベル40としての切断分離処理(ステップB13)が実行され、選択対象物に応じた規定長さの第2の種類の装着用ラベル40が作成される。
また、前記ステップB11において、選択ラベル種類レジスタ52aに記憶された作成すべきラベル40の種類が、第3のラベルであると判断された場合には、印刷テープ31bにおける第1の重合領域40aから巻回領域40bの一方の約3分の1までの領域と該巻回領域40bの他方の約3分の1の領域から第2の重合領域40cまでとがサーマルヘッド7の印字位置に移動されたタイミングのそれぞれにおいて、前記印刷データメモリに記憶された印刷パターンデータに従いサーマルヘッド7が発熱駆動され、その第1の重合領域40a、巻回領域40b、第2の重合領域40cに対する印刷出力が順次行われる(ステップB11→B12c)。
この後、前記印刷テープ31bのマーク41検出時点からのフルカット位置FCがカッタ13の位置に移動される規定のテープ搬送量のカウント時に対応して、印刷テープ31bのフルカットFCの処理による装着用ラベル40としての切断分離処理(ステップB13)が実行され、選択対象物に応じた規定長さの第3の種類の装着用ラベル40が作成される。
一方、前記ステップB5において、選択ラベル種類レジスタ52aに記憶された作成すべきラベル40の種類に従い、それが印刷を行わない第4のラベルであるか、またはプレ印刷テープ31hによって印刷を要しないプレ印刷ラベルであると判断された場合には、カセット装着部6に装着されたテープカセット21に収容されている印刷テープ31bまたは31hが、搬送モータ54によるプラテンローラ8の回転駆動に応じて搬送されると共に、この搬送開始された印刷テープ31bまたは31hの剥離テープ34面に設けられたマーク41が、マーク検出センサ16によって検出された否か判断される(ステップB5→B14,B15)。
そして、前記搬送開始された印刷テープ31b(31h)のマーク41がマーク検出センサ16によって検出されたと判断されると、さらに印刷テープ31b(31h)の搬送動作が継続される(ステップB15→B16)。そして、テープ搬送量カウンタ52dにてカウントされる印刷テープ31b(31h)の搬送量が、当該印刷テープ31b(31h)のマーク41が検出されてから所定の搬送量である切断位置まで到達すると、搬送モータ54の駆動が停止されて該印刷テープ31b(31h)の搬送が停止され、カッタモータ56によりカッタ13が駆動されて印刷テープ31b(31h)が選択対象物に対応させた規定長のラベルとして切断分離される(ステップB13)。
これにより、図20に示す印刷テープ31bに基づき、印刷なしで、例えばユーザ自身で所望の手書き文字列を表記するなどして選択対象物に装着可能な規定長の第4(無地)の装着用ラベルが作成されるか、または図21に示すプレ印刷された印刷テープ31hに基づき、ユーザ所望のプレ印刷データが印刷された、選択対象物に装着可能な規定長のプレ印刷装着用ラベルが作成される。
なお、図20、図21で示した印刷テープ31b、31hは、カセットケース22に収容しテープカセット21として印刷装置1に装着して使用するが、カセットケース22に収容することなく、ロール状に巻回した状態で印刷装置1に装着するようにしてもよい。
また、図23に示すように、図20に図示の印刷テープ31bの巻回領域40bに対応する剥離テープ34を残し、第1及び第2の重合領域40a、40cに対応する剥離テープ34を予め除去した印刷テープ31cを使用してもよい。その場合には、貼着層33が露出することになるため、これに当接してシートの搬送を行うプラテンローラ8の表面にシリコンゴムを設けておき貼着層33のローラ表面への付着を防止するようにする。また、印刷装置1及びテープカセット21における貼着層33が接触するテープ搬送経路にも、貼着層33の貼着しないシリコンゴムなどの非接着材料を用いる。また、この場合、印刷テープ31cの裏面側には剥離テープ34の大半が除去されているため、フルカット位置や印刷開始位置の位置合せの基準になるマーク41は基材テープ32側に設ける。
図23の印刷テープ31cは、図22のフローチャートと同様の処理により装着用ラベルを作成することができる。
(第3実施形態)
先の第1実施形態及び第2実施形態ではその何れの実施形態でも、印刷テープの長さ方向に順次ラベル領域を設定しラベルを切り出すものであったが、次の図24に示すような第3実施形態の印刷テープ31dは、テープ長さ方向に沿って所定ピッチでマーク(指標)41を剥離テープ34側に設けると共に、この各マーク41毎にテープ長さ方向と直交する幅方向に装着用ラベルの領域を設定するものである。このため、テープ長さ方向と平行に帯状の第1の重合領域40a、巻回領域40b及び第2の重合領域40cを確保し、第1の重合領域40aと巻回領域40bの境界部分及び巻回領域40bと第2の重合領域40cの境界部分でそれぞれ剥離テープ34に予めハーフカット処理HC1,HC2を行ったものである。図示のように、位置情報検出用のマーク41を基準にして所定距離だけテープ送りして、テープ幅方向に印刷テープをフルカット位置FCで印刷テープ31dを切除することにより、装着用ラベルを切り出すことができる。なお、ラベルの切り出しだけでなく、ラベル領域内には、例えば、そのテープ幅方向に文字列を配して印刷も行う。また、マーク41は必ずしも設けなくともよく、テープ長さ方向の送り長さを所定の長さに設定し、あるいはテープ幅方向又はテープ長さ方向に配して印刷するデータ量に応じてフルカット位置FCを決めるようにしてもよい。
図25の印刷テープ31eは前記図23の場合と同様にして、図25の印刷テープ31dの貼着層33を第1の重合領域40a及び第2の重合領域40cの裏面側で露出させたものである。これらの図24及び図25で示した印刷テープ31d,31eでは、各領域の長さが予め決められているため、その長さに対応した所定の対象物に専用に用いられることになる。
図26は更に他の実施例の印刷テープ31fを示している。この印刷テープ31fは、剥離テープ34をなくすることで構造を簡単にしたものであり、テープ長さ方向に沿って基材テープ32の印刷面側に所定ピッチでマーク41を設けると共に、マーク41に対応してテープ長さ方向に所定の長さを有する貼着層領域を所定ピッチで設けたものである。この印刷テープ31fは、前述の例と同様にして、マーク41を基準にして印刷面側に適宜印刷が行われ、フルカット位置FCでフルカットされる。この印刷テープ31fの前記貼着層領域は、基材テープ32の印刷面の裏面に貼着層33を予め塗布したものであり、前記第1の重合領域40a及び第2の重合領域40cに相当する領域である。また、貼着層33が形成されない領域が前記巻回領域40bに相当する領域になる。なお、貼着層領域は、第1の重合領域40a及び第2の重合領域40cに相当する領域の少なくとも一方でよい。また、位置検出用のマーク41は基材テープ32の印刷面の裏面側に設けてもよい。
図27は更に他の実施例の印刷テープ31gを示している。この印刷テープ31gも剥離テープ34をなくすることで構造を簡単にしたものであり、基材テープ32の印刷面の裏面に第1の重合領域40a及び第2の重合領域40cの少なくとも一方に対応して貼着層33を予め塗布したものである。この印刷テープ31gにもテープ長さ方向(図27の横方向)に沿って所定ピッチで位置情報検出用のマーク41が設けられる。FCはフルカット位置を示す。なお、マーク41は必ずしも設けなくともよく、テープ長さ方向の送り長さを所定の長さに設定し、あるいはテープ幅方向又はテープ長さ方向に配して印刷するデータ量に応じてフルカット位置FCを決めるようにしてもよい。
なお、前記図2、図3に示すテープカセット21では、カセットケース22内に印刷テープ31とインクリボン35を収容するものであるが、印刷テープ31とインクリボン35を夫々のカセットに収容し、それらのカセットを1組として印刷装置1に装着してもよい。
また、印刷テープ31に対してインクリボン35のインクを熱転写して印刷を行う例について説明したが、印刷テープ31の基材テープ32の表面に感熱発色層を設け、それをサーマルヘッド7で発色させて印刷を行うようにしてもよい。その場合にはテープカセット21のインクリボン35は不要になる。
なお、本願発明は、前記各実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。さらに、前記各実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、各実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されたり、幾つかの構成要件が組み合わされても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除されたり組み合わされた構成が発明として抽出され得るものである。