JP4450867B2 - 等温増幅方法およびそれに用いる等温増幅用キット - Google Patents
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Description
(a)配列番号23で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質
(b)配列番号25で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質
(c)配列番号23で表されるアミノ酸配列において、N末端から、1〜334個の任意の個数の連続するアミノ酸残基が欠失したアミノ酸配列からなるタンパク質
(d)前記(a)〜(c)のいずれかのアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入または付加されたアミノ酸配列からなり、且つ、DNAポリメラーゼ活性を有するタンパク質
(X) 標的核酸配列の3’末端部分の配列(A)にハイブリダイズする配列(Ac’)を3’末端部分に含み、且つ、前記標的核酸配列において前記配列(A)よりも5’側に存在する配列(B)の相補配列(Bc)にハイブリダイズする配列(B’)を前記配列(Ac’)の5’側に含むプライマー
(a)配列番号23で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質
(b)配列番号25で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質
(c)配列番号23で表されるアミノ酸配列において、N末端から、1〜334個の任意の個数の連続するアミノ酸残基が欠失したアミノ酸配列からなるタンパク質
(d)前記(a)〜(c)のいずれかのアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入または付加されたアミノ酸配列からなり、且つ、DNAポリメラーゼ活性を有するタンパク質
本発明に用いる等温増幅用DNAポリメラーゼは、前述のように、本発明の等温増幅法に使用するためのDNAポリメラーゼであり、下記(a)〜(d)のいずれかのタンパク質からなることを特徴とする。なお、本発明に用いるDNAポリメラーゼを適用する本発明の等温増幅法については、後述する。
(a)配列番号23で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質
(b)配列番号25で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質
(c)配列番号23で表されるアミノ酸配列において、N末端から、1〜334個の任意の個数の連続するアミノ酸残基が欠失したアミノ酸配列からなるタンパク質
(d)前記(a)〜(c)のいずれかのタンパク質の有するアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列からなり、且つ、DNAポリメラーゼ活性を有するタンパク質
(e)前記(a)〜(c)のいずれか記載のタンパク質の有するアミノ酸配列との相同性が、例えば、50%以上のアミノ酸配列からなり、且つ、DNAポリメラーゼ活性を有するタンパク質
本発明の等温増幅方法は、核酸試料中の標的核酸配列を等温で増幅する等温増幅方法であって、前記(a)〜(d)のいずれかのタンパク質からなる本発明に用いるDNAポリメラーゼの存在下、等温で、下記(X)に示す第一のプライマーを用いて、前記標的核酸配列を増幅することを特徴とする。
(X)標的核酸配列の3’末端部分の配列(A)にハイブリダイズする配列(Ac’)を3’末端部分に含み、且つ、前記標的核酸配列において前記配列(A)よりも5’側に存在する配列(B)の相補配列(Bc)にハイブリダイズする配列(B’)を前記配列(Ac’)の5’側に含むプライマー
等温増幅方法の中でもSMart Amplification Process法は、例えば、優れた特異性で標的核酸配列を増幅できることから、遺伝増幅によって、例えば、遺伝子中における変異、特に一塩基変異の有無や、塩基の欠失または挿入の有無等を判断することが可能である。
前記対称型のプライマーセットは、前述のように、第一のプライマーの形態と第二のプライマーの形態とが同じである対称型の一対のプライマーを有するプライマーセットであり、中でも、前記LAMP法に適用することが好ましい。このプライマーセットを、以下、「LAMP用プライマーセット」ともいう。
本発明の等温増幅用キットは、本発明の等温増幅方法に使用するためのキットであって、本発明に用いる等温増幅用DNAポリメラーゼを含むことを特徴とする。本発明によれば、例えば、容易且つ簡便に、前述の本発明の等温増幅方法を行うことができる。本発明の等温増幅キットは、本発明に用いるDNAポリメラーゼを含んでいればよく、その他の構成等は制限されない。その他の構成等は、前述の等温増幅方法に応じて適宜決定できる。本発明の等温増幅キットは、本発明に用いるDNAポリメラーゼの他に、例えば、プライマーやプライマーセット、使用説明書を含んでもよい。前記プライマーやプライマーセットは、前述のものがあげられる。また、本発明の等温増幅用キットは、さらに、例えば、dNTP mix(dATP、dTTP、dCTPおよびdGTP)等の基質、トリス塩酸バッファー、トライシンバッファー、リン酸ナトリウムバッファー、リン酸カリウムバッファー等の緩衝液;塩化マグネシウム、酢酸マグネシウム、硫酸マグネシウム等の触媒;ジメチルスルホキシド(DMSO)やベタイン(N,N,N-trimethylglycine)等の添加物;国際公開第99/54455号パンフレットに記載の酸性物質、陽イオン錯体;酵素安定剤等を含んでもよい。前記酵素安定剤としては、制限されないが、例えば、グリセロール、ウシ血清アルブミン、糖類等があげられ、中でも、糖類が好ましく、より好ましくは単糖またはオリゴ糖、より好ましくは、トレハロース、ソルビトールもしくはマンニトール、またはこれらの2種以上の混合物である。また、本発明の等温増幅用キットは、さらに、融解温度調整剤を含んでもよい。前記融解温度調整剤としては、例えば、DMSO、ベタイン、ホルムアミドもしくはグリセロール、またはこれらの任意の組合せ等があげられ、好ましくは、DMSOである。また、等温増幅方法に供する核酸試料がRNAを含み、これを鋳型とする場合は、例えば、さらに、逆転写酵素を含むことが好ましい。なお、本発明の等温増幅用キットにおいて、これらの試薬の割合等は、制限されず、当業者であれば適宜決定できる。
近縁のバチルス属微生物では、一般に、DNAポリメラーゼIをコードする遺伝子(polA遺伝子)の上流にphoR遺伝子が、下流にmutM遺伝子が保存されている。そこで、例えば、保存されている遺伝子の塩基配列を決定し、これに基づいてpolAクローニング用プライマーを設計し、遺伝子増幅を行うことによって、例えば、アリシクロバチルス属のDNAポリメラーゼ遺伝子(polA)を単離することができる。以下に具体例を示すが、本発明は、これには制限されない。
(A) 配列番号1および2のいずれかで表される塩基配列からなるプライマーと配列番号3〜5のいずれかで表される塩基配列からなるプライマーとを用い、前記細菌から抽出したゲノムDNAを鋳型として、phoR遺伝子のDNA断片を増幅する工程
(B) 配列番号6〜8のいずれかで表される塩基配列からなるプライマーと配列番号9〜11のいずれかで表される塩基配列からなるプライマーとを用い、前記細菌から抽出したゲノムDNAを鋳型として、mutM遺伝子のDNA断片を増幅する工程
(C) 前記(A)工程および(B)工程で増幅した各DNA断片の塩基配列を決定する工程
(D) 前記工程(C)で決定した塩基配列に基づいて設計した、前記phoR遺伝子のセンス鎖の部分配列からなるプライマーと、前記mutM遺伝子のアンチセンス鎖の部分配列からなるプライマーとを用い、前記細菌から抽出したゲノムDNAを鋳型としてpolA遺伝子を含むDNA断片を増幅する工程
(E) 前記工程(D)で増幅されたDNA断片をクローン化する工程
(a’)配列番号22で表される塩基配列からなるDNA
(b’)配列番号24で表される塩基配列からなるDNA
(c’)配列番号22で表される塩基配列において、5’末端から、1個〜334個の任意の個数の連続するコドンが欠失した塩基配列からなるDNA
(d’)前記(a’)〜(c’)のいずれか記載の塩基配列において、1または数個の塩基が欠失、置換、挿入又は付加された塩基配列からなり、且つ、DNAポリメラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA
(e’)前記(a’)〜(c’)のいずれかで表される塩基配列との相同性が、例えば、80%以上の塩基配列からなり、且つ、DNAポリメラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA
(f’) 前記(a’)〜(c’)のいずれかで表される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであり、且つ、DNAポリメラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA
つぎに、生物からDNAポリメラーゼを単離するために用いるプライマーおよびプローブについて説明する。前記プライマーおよび前記プローブは、例えば、前述の本発明におけるDNAの断片であり、塩基の数は、例えば、5〜50である。塩基数の下限は、例えば、5以上であり、好ましくは10以上、より好ましくは15以上であり、塩基数の上限は、例えば、50以下であり、好ましくは30以下であり、より好ましくは25以下である。また、好ましい範囲の具体例としては、例えば、10〜50であり、より好ましくは10〜30、より好ましくは15〜25である。増幅させる塩基配列の長さは、特に制限されない。本発明のプライマーの具体例としては、例えば、配列番号1〜21のいずれかで表されるプライマーがあげられ、いずれか1種類でもよいし、2種類以上を併用してもよい。中でも、配列番号12〜17で表される少なくとも1つのプライマーをフォワードプライマーとして、配列番号18で表されるプライマーをリバースプライマーとして、それぞれ組み合わせて使用することが好ましい。polA遺伝子の完全長翻訳領域(ORF)を単離する際には、例えば、配列番号19で表されるフォワードプライマーと、配列番号21で表されるリバースプライマーとを組み合わせて使用することが好ましい。さらに、polA遺伝子において、大腸菌のクレノウフラグメントに相当する領域を単離する際には、例えば、配列番号20で表されるフォワードプライマーと、配列番号21で表されるリバースプライマーとを組み合わせて使用することが好ましい。
つぎに、本発明に用いる等温増幅用DNAポリメラーゼの発現に使用できる組換えベクターについて説明する。前記組換えベクターは、本発明における前述のDNAを含むことを特徴とする。前記組換えベクターは、例えば、適当なベクターに本発明のDNAを連結(挿入)することにより得られる。前記DNAを挿入するためのベクターは、例えば、宿主中で複製可能なものであれば特に限定されず、例えば、プラスミドDNA、ファージDNA等が挙げられる。プラスミドDNAとしては、例えば、大腸菌由来のプラスミド(例えば、pBR322、pBR325、pUC118、pUC119等)、枯草菌由来のプラスミド(例えば、pUB110、pTP5等)、酵母由来のプラスミド(例えば、YEp13、YEp24、YCp50等)等が挙げられる。ファージDNAとしては、例えば、λファージ(例えば、Charon4A、Charon21A、EMBL3、EMBL4、λgt10、λgt11、λZAP等)等が挙げられる。さらに、レトロウイルスまたはワクシニアウイルス等の動物ウイルス、バキュロウイルス等の昆虫ウイルスベクター等を用いることもできる。
本発明に用いる等温増幅用DNAポリメラーゼの製造に使用できる形質転換体について説明する。前記形質転換体は、前記組換えベクターを含むことを特徴とする。前記形質転換体は、例えば、本発明に用いる等温増幅用DNAポリメラーゼを発現し得るように、前述のDNAを宿主に導入することにより得られ、具体的には、本発明の組換えベクターを導入することが好ましい。形質転換は、例えば、簡便で効率が良いことから、多くの場合ベクターを用いて行われる。ここで、宿主としては、本発明に用いるタンパク質を発現できるものであれば、特に限定されるものではない。前記宿主としては、例えば、大腸菌(Escherichia coli)等のエッシェリヒア属、バシラス・ズブチリス(Bacillus subtilis)等のバシラス属、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)等のシュードモナス属、リゾビウム・メリロティ(Rhizobium meliloti)等のリゾビウム属に属する細菌等が挙げられる。また、この他に、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)等の酵母、さらに、COS細胞、CHO細胞等の動物細胞等も挙げられる。あるいは、例えば、Sf9、Sf21等の昆虫細胞を用いることもできる。
本発明に用いる等温増幅用DNAポリメラーゼは、例えば、前記形質転換体を培養し、得られた培養物からタンパク質(DNAポリメラーゼ)を採取することにより製造できる。「培養物」とは、例えば、培養上清の他、培養細胞若しくは培養菌体、または、細胞若しくは菌体の破砕物のいずれをも意味する。また、「本発明の形質転換体を培養する方法」は、例えば、宿主の培養に適用される通常の方法に従って行われ、その条件等は、例えば、宿主の種類等に応じて適宜決定できる。
さらに、本発明に用いるDNAポリメラーゼに対する抗体について説明する。前記「抗体」には、例えば、好適な任意のフラグメントまたは誘導体も含まれる。このような広義の抗体としては、例えば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’)2フラグメント、Fvフラグメント、二重特異性抗体(diabody)(融合した同一のFvフラグメントの2つのコピー)、単鎖抗体、および、2以上の抗体フラグメントから形成される多重特異性(multi-specific)抗体等が含まれる。前記抗体は、例えば、本発明に用いる等温増幅用DNAポリメラーゼの精製に用いることができる。前記抗体の製造方法は、制限されず、例えば、従来公知の方法により製造できる。
A.acidocaldarius subsp.Acidocaldarius JCM5260培養菌体より、定法にてゲノムDNAを調製した。次いで、バチルス属の他種のpolAの遺伝子構造では、polAの上流にphoR、polAの下流にmutMが保存されていることから、各々の遺伝子の保存領域より、以下に示すプライマーを合成した。
phoRFwd1(x6144):5'-AARMARYTWGARSARRTKMGVAA-3'(配列番号1)
phoRFwd2(x576):5'-GTHTCYCATGARYTRAARACDCC-3'(配列番号2)
phoRRev1(x1296):5'-HCKRTARAAVCGTTCRAADATVC-3'(配列番号3)
phoRRev2(x1728):5'-GTHCCDCCHGWRTTKCKRCTYCT-3'(配列番号4)
phoRRev3(x6912):5'-RYHARRTGCTTBACRATYGMHAR-3'(配列番号5)
mutMFwd1(x96):5'-TGCCDGAATTACCRGARGTNGAR-3'(配列番号6)
mutMFwd2(x3072):5'-GMMGRGGMAARTTYYTDYTKTTW-3'(配列番号7)
mutMFwd3(x1728):5'-GTBWSHCAYYTKMGDATGGAAGG-3'(配列番号8)
mutMRev1(x288):5'-AAAGAGGTGCATCGTTCCRAAYT-3'(配列番号9)
mutMRev2(x324):5'-TCBACATADATRTTBCCVAGYCC-3'(配列番号10)
mutMRev3(x864):5'-CCBCKYCCBCCAACRACHRTYTT-3'(配列番号11)
Aac cloning F2:TTCGCACCTTCCACTGGCTCTCTGCACCGC(配列番号13)
Aac cloning F3:GACGTACTCTCTCCTTCATGGCCTTCGCTC(配列番号14)
Aac cloning F4:AATTTTGTGAACATCATAATCAATTCGTTG(配列番号15)
Aac cloning F5:CCACAAGACGACGCGGGCCGACAAGGGGAA(配列番号16)
Aac cloning F6:TGGCCTTCGCTCGATGAATTTTGTGAACAT(配列番号17)
Aac cloning R1:GGTGAATGCCCTGCTCCCTCAGCCGCTCGG(配列番号18)
Aac term KpnI:5'-TCCGGCACGCCGgtaCCCCCCTCACTTGGC-3'(配列番号21)
Aac term KpnI:5'-TCCGGCACGCCGgtaCCCCCCTCACTTGGC-3'(配列番号21)
(1)培養、発現、及び粗抽出液調製
pAacまたはpdNAacを有する大腸菌XL1−Blueを、100μg/mlアンピシリンを含むLB培地5mlにて、37℃一晩培養し、これを前培養液とした。この前培養液5mlを、100μg/mlアンピシリンを含むLB培地500mlに植菌し、37℃、200rpmで振盪培養(Orbital Shaking Incubator, FIRSTEK OSI-502LD)を行った。培養液のOD600nm値が0.5付近となった時点で、終濃度1mmol/LとなるようにIPTGを添加した。さらに、37℃、200rpmで1〜2時間振盪培養した。続いて、培養液を遠沈管に移し、4,000×g、10分間の遠心分離を行い、沈殿を得た。この沈殿を1×PBS 30mlに懸濁し、再度、4,000×g、10分間の遠心分離を行い、菌体を洗浄した。沈殿を1×PBS 25mlに懸濁し、一回あたり10秒間として合計6回、超音波による細胞の破砕を行った(MISONIX Astrason Ultrasonic processor XL)。超音波破砕後の試料を、15,000×g、30分間の遠心分離を行い、上清を得た。この上清に、30%ポリエチレンイミン溶液を終濃度0.1%となるように添加して混合し、氷中で30分間放置した後、15,000×g、30分間の遠心分離を行い、上清を得た。得られた上清を粗抽出液とした。
GEヘルスケア社製AKTA Prime(商標)高速液体クロマトグラフィーシステムとGEヘルスケア社製強陰イオン交換カラムHiTrap(商標)Qを用いて、イオン交換クロマトグラフィーを行った。ランニングバッファーとして、10mmol/L 2−メルカプトエタノールを含む50mmol/L Tris−HCl(pH7.6)を用いた。流速1ml/分でカラムを平衡化し、前述の粗抽出液をアプライした後、非吸着画分を前記ランニングバッファーで洗浄した。約15カラム容量の0〜1mol/L塩化ナトリウム濃度勾配により吸着画分を溶出した。溶出画分は、1mlごとに分画し、それぞれをSDS−PAGEに供してタンパク質バンドを確認した。そして、該当する分子量のタンパク質バンドを有する画分を回収した。回収画分を、限外濾過膜を用いて濃縮・脱塩し、これを陰イオン交換画分とした。
GEヘルスケア社製AKTA Prime(商標)高速液体クロマトグラフィーシステムとGEヘルスケア社製ヘパリンアフィニティーカラムHiTrap(商標)Heparinを用いて、ヘパリンアフィニティーカラムクロマトグラフィーを行った。ランニングバッファーとして、前記陰イオン交換カラムクロマトグラフィーと同じ溶液を用いた。流速1ml/分でカラムを平衡化し、前述の陰イオン交換画分をアプライした後、非吸着画分を前記ランニングバッファーで洗浄した。約22カラム容量の0〜1mol/L塩化ナトリウム濃度勾配により吸着画分を溶出した。溶出画分は、1mlごとに分画し、それぞれSDS−PAGEに供してタンパク質バンドを確認した。そして、該当する分子量のタンパク質バンドを有する画分を回収した。前記回収画分を限外濾過膜を用いて、0.2mol/L塩化ナトリウム含有の50mmol/L Tris−HCl(pH8.0)にバッファー置換を行い、さらに濃縮して、これをヘパリン画分とした。
GEヘルスケア社製AKTA 10XT高速液体クロマトグラフィーシステムとGEヘルスケア社製ゲルろ過カラムHiLoad(商標)16/60 Superdex(商標)200 prep gradeを用いて、ゲルろ過カラムクロマトグラフィー行った。ランニングバッファーとして、0.2mol/L塩化ナトリウム含有の50mmol/L Tris−HCl(pH8.0)を用いた。流速1ml/分でカラムを平衡化し、前述のヘパリン画分をアプライした後、前記ランニングバッファーで溶出した。溶出画分は1mlごとに分画し、それぞれをSDS−PAGEに供してタンパク質バンドを確認した後、該当する分子量のタンパク質バンドを有する画分を回収した。回収画分を限外濾過膜を用いて濃縮し、保存バッファーにバッファー交換を行った。これを精製酵素標品とした。なお、前記保存バッファーの組成は、50mmol/L塩化カリウム、10mmol/L Tris−HCl(pH7.5)、1mmol/L DTT、0.1mmol/L EDTA、0.1%Triton(登録商標)X−100、50%グリセロールとした。
インビトロジェン社製Picogreen(登録商標)dsDNA定量試薬を用いて、Seville M. et al. Biotechniques Vol.21, pp.664-668 (1996)を参考に、前記精製酵素標品(AacDNAポリメラーゼラージフラグメント)のDNAポリメラーゼ活性を測定した。具体的には、前記Picogreen(登録商標)dsDNA定量試薬とTE緩衝液とを、体積比1:345となるように混合した。そして、この混合液173μlを、M13mp18一本鎖DNA、プライマー、dNTPおよび前記精製酵素標品の混合物27μlに添加した。この反応液を室温(37℃)で5分間放置した後、励起波長480nm、測定波長520nmにて蛍光を測定した。この際、単位(unit:65℃30分間に10nmolのdNTPを取り込む酵素量)が既知である市販のクレノウフラグメント(市販のBstDNAポリメラーゼ;NEB社製)についても同様に蛍光測定を行い、その測定値より、相対値としての酵素単位を算出した。以下に測定の一例を示す。なお、標準曲線は、測定ごとに作成し、反応温度は37℃とした。市販のBstDNAポリメラーゼ(NEB社製、以下同様)を標準として、Picogreen(登録商標)dsDNA定量試薬により、各希釈倍での蛍光強度を測定した。この結果を表1に示す。
y=8.3717x+55.292(R 2 =0.9671)
前述の非特許文献2(Notomi, T. et al., Nucleic Acids Research, 2000, Vol. 28, No. 12, e63)に記載された方法に従って、活性測定を行った。まず、M13mp18一本鎖DNA、0.8μmol/L FIP、0.8μmol/L BIP、0.2μmol/L F3、0.2μmol/L B3の各合成DNA、1mol/Lベタイン、20mmol/Lトリス塩酸緩衝液(pH8.8)、10mmol/L塩化カリウム、10mmol/L硫酸アンモニウム、0.1%Triton(登録商標)X−100、2−4mmol/L硫酸マグネシウムの混合物20μlを調製した。これを95℃で5分間放置し、次いで、氷上で5分間放置した。これに前述の精製酵素標品5μlを加えて所定の反応温度(60℃〜74℃)で1時間放置した後、アガロースゲル電気泳動に供した。この際、単位が既知であるBstDNAポリメラーゼ(ラージフラグメント)を同様にして電気泳動に供した。そして、精製酵素表品の電気泳動後の精製物のバンドの濃さと、単位が既知のBstDNAポリメラーゼの電気泳動後の精製物のバンドの濃さとを比較することにより、相対値としての酵素単位を算出した。なお、ブランクとして、前記精製酵素標品(AacDNAポリメラーゼラージフラグメント)に代えて、前記トリス塩酸緩衝液を添加したものについても電気泳動を行った。これらの結果を、図2および図3に示す。
SMart Amplification Process法(三谷らの方法。例えば、特許文献4(特許第3867926)、特許文献5参照)に従い、核酸の等温増幅を行った。下記組成を有する反応液10μlを調製し、これを65℃で60分間反応させた。この反応を、Mx3000P(商品名、Stratagene社製)を用いて、リアルタイムでモニタリングした。比較例としては、AacDNAポリメラーゼラージフラグメントに代えて、市販のBstDNAポリメラーゼ(ラージフラグメント)を、下記反応液において終濃度0.32ユニット/μlとなるように添加し、同様にしてリアルタイムでモニタリングを行った。これらの結果を図4に示す。
SMart Amplification Process用プライマーセットとして、以下に示す5種類のプライマーを準備した。第一のプライマーが、Turn-back Primer(TP)、第二のプライマーが、Folding Primer(FP)、第三のプライマーが、野生型検出用のBoost Primer(BPw)、Outer Primer1(OP1)およびOuter Primer2(OP2)である。
TP 5'-CGCTGCACATGGCCTGGGGCCTCCTGCTCA-3'(配列番号26)
FP 5'-tttatatatatataaaCCCCTGCACTGTTTCCCAGA-3'(配列番号27)
BP 5'-ATCCGGATGTAGGATC-3'(配列番号28)
OP1 5'-GATGGTGACCACCTCGAC-3'(配列番号29)
OP2 5'-TGTACCCTTCCTCCCTCG-3'(配列番号30)
ヒトALDH2 Hetero型を含む血液15μlに、50mmol/L NaOHを30μl添加した。これを、98℃で3分間、加熱処理を行った後、氷冷したものを、核酸試料とした。
SMart Amplification Process用プライマーセットとして、以下に示す5種類のプライマーを準備した。第一のプライマーが、Turn-back Primer(TP)、第二のプライマーが、Folding Primer(FP)、第三のプライマーが、野生型検出用のBoost Primer(BPw)、Outer Primer1(OP1)およびOuter Primer2(OP2)である。
TP 5’-CGAGTACGGGCCCACACTCACAGTTTTCAC-3’ (配列番号31)
FP 5’-TTTATATATATATAAACCGGGAGTTGGGCGAG-3’ (配列番号32)
BPw 5’-GCAGGCATACACTGA-3’ (配列番号33)
OP1 5’-CCTGAGCCCCCAGCAGGT-3’ (配列番号34)
OP2 5’-ACAAGATGTCGGGGAGTG-3’ (配列番号35)
下記組成(25μl当たりの組成)の反応液合計75μlを調製し、これを60℃で1時間反応させた。前記反応中、60℃の等温状態を維持しながら、Mx3000P(商品名、Stratagene社製)により、反応液の蛍光強度をリアルタイムでモニタリングした。なお、比較例としては、AacDNAポリメラーゼラージフラグメントに代えて、市販のBstDNAポリメラーゼ(ラージフラグメント)6Uを下記反応液に添加し、同様にしてリアルタイムでモニタリングを行った。なお、反応測定は、前記反応液75μlを25μlずつ3つにわけ、それぞれについて行った。これらの結果を図5に示す。同図は、SMart Amplification Process法による等温増幅反応を行った際の増幅プロフィールを示すグラフであり、●が、AacDNAポリメラーゼラージフラグメントを使用した結果、□が、市販のBstDNAポリメラーゼラージフラグメントを使用した結果である。
ヒトDIO2 Hetero型を含む血液15μlに、50mmol/L NaOHを30μl添加した。これを、98℃で3分間、加熱処理を行った後、氷冷したものを、核酸試料とした。
LAMP用プライマーセットとして、以下に示す5種類のプライマーを準備した。なお、TPwおよびTRFs2が、非対称型の一対のプライマーである。
TPw 5’-tactggagacGTGAAATTGGGTGAGGATGC-3’ (配列番号36)
TPFs2 5’-AGAAGGAGGTgtaccattgccactgtt-3’ (配列番号37)
BP 5’-cacactggaattggggg-3’ (配列番号38)
OP1 5’-tcagctatcttctcctgg-3’ (配列番号39)
OP2 5’-TGTGATATTCTCACCTTC-3’ (配列番号40)
下記組成(25μl当たりの組成)の反応液合計75μlを調製し、これを60℃で2時間反応させた。前記反応中、60℃の等温状態を維持しながら、Mx3000P(商品名、Stratagene社製)により、反応液の蛍光強度をリアルタイムでモニタリングした。なお、比較例としては、AacDNAポリメラーゼラージフラグメントに代えて、市販のBstDNAポリメラーゼ(ラージフラグメント)6Uを下記反応液に添加し、同様にしてリアルタイムでモニタリングを行った。なお、反応測定は、前記反応液75μlを25μlずつ3つにわけ、それぞれについて行った。これらの結果を図6に示す。同図は、LAMP法による等温増幅反応を行った際の増幅プロフィールを示すグラフであり、●が、AacDNAポリメラーゼラージフラグメントを使用した結果、□が、市販のBstDNAポリメラーゼラージフラグメントを使用した結果である。
Claims (22)
- 核酸試料中の標的核酸配列を等温で増幅する等温増幅方法であって、
下記(a)〜(d)のいずれかのタンパク質からなるDNAポリメラーゼの存在下、等温で、下記(X)に示す第一のプライマーを用いて、前記標的核酸配列の増幅反応を行うことを特徴とする等温増幅方法。
(a)配列番号23で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質
(b)配列番号25で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質
(c)配列番号23で表されるアミノ酸配列において、N末端から、1〜334個の任意の個数の連続するアミノ酸残基が欠失したアミノ酸配列からなるタンパク質
(d)前記(a)〜(c)のいずれかのアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入または付加されたアミノ酸配列からなり、且つ、DNAポリメラーゼ活性を有するタンパク質
(X) 標的核酸配列の3’末端部分の配列(A)にハイブリダイズする配列(Ac’)を3’末端部分に含み、且つ、前記標的核酸配列において前記配列(A)よりも5’側に存在する配列(B)の相補配列(Bc)にハイブリダイズする配列(B’)を前記配列(Ac’)の5’側に含むプライマー - 前記DNAポリメラーゼが、25℃〜75℃の範囲における少なくともいずれかの温度において、DNAポリメラーゼ活性を有する、請求項1記載の等温増幅方法。
- 前記DNAポリメラーゼが、前記DNAポリメラーゼ活性として、相補鎖置換複製酵素活性を有する、請求項1または2記載の等温増幅方法。
- 前記DNAポリメラーゼが、前記DNAポリメラーゼ活性として、逆転写酵素活性を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の等温増幅方法。
- 前記DNAポリメラーゼが、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を欠失したポリメラーゼである、請求項1から4のいずれか一項に記載の等温増幅方法。
- 前記DNAポリメラーゼが、3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼである、請求項1から5のいずれか一項に記載の等温増幅方法。
- 前記DNAポリメラーゼが、3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を欠失したポリメラーゼである、請求項1から5のいずれか一項に記載の等温増幅方法。
- 前記増幅反応において、第二のプライマーを併用し、
前記第一のプライマーと第二のプライマーとが、形態が異なる非対称型の一対のプライマーである、請求項1から7のいずれか一項に記載の等温増幅方法。 - 前記第二のプライマーが、前記標的核酸配列の相補配列の3’末端部分の配列(C)にハイブリダイズする配列(Cc’)を3’末端部分に含み、且つ、相互にハイブリダイズする2つの核酸配列を同一鎖上に含む折返し配列(D−Dc’)を前記配列(Cc’)の5’側に含むものである、請求項8記載の等温増幅方法。
- 前記増幅反応において、さらに、第三のプライマーを併用し、
前記第三のプライマーは、前記標的核酸配列またはその相補配列にハイブリダイズし、且つ、標的核酸配列またはその相補配列へのハイブリダイゼーションについて他のプライマーと競合しないプライマーであり、
前記第三のプライマーは、前記第一のプライマーまたは第二のプライマーの増幅産物が部分的に一本鎖の状態になった時に、その一本鎖部分に存在する標的核酸配列にアニーリングすることができ、これにより前記増幅産物中の標的核酸配列に新たな相補鎖合成起点が提供されるプライマーである、請求項8または9記載の等温増幅方法。 - 前記増幅反応において、さらに、第二のプライマーを併用し、
前記第一のプライマーと第二のプライマーとが、形態が同じである対称型の一対のプライマーである、請求項1から7のいずれか一項に記載の等温増幅方法。 - 前記プライマーセットが、LAMP法に使用するプライマーセットである、請求項11記載の等温増幅方法。
- 請求項1から12のいずれか一項に記載の等温増幅方法に使用するための等温増幅用キットであって、
DNAポリメラーゼを含み、
前記DNAポリメラーゼが、下記(a)〜(d)のいずれかのタンパク質からなる等温増幅用DNAポリメラーゼであることを特徴とする等温増幅用キット。
(a)配列番号23で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質
(b)配列番号25で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質
(c)配列番号23で表されるアミノ酸配列において、N末端から、1〜334個の任意の個数の連続するアミノ酸残基が欠失したアミノ酸配列からなるタンパク質
(d)前記(a)〜(c)のいずれかのアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入または付加されたアミノ酸配列からなり、且つ、DNAポリメラーゼ活性を有するタンパク質 - 前記DNAポリメラーゼが、25℃〜75℃の範囲における少なくともいずれかの温度において、DNAポリメラーゼ活性を有する等温増幅用DNAポリメラーゼである、請求項13記載の等温増幅用キット。
- 前記DNAポリメラーゼが、前記DNAポリメラーゼ活性として、相補鎖置換複製酵素活性を有する等温増幅用DNAポリメラーゼである、請求項13または14記載の等温増幅用キット。
- 前記DNAポリメラーゼが、前記DNAポリメラーゼ活性として、逆転写酵素活性を有する等温増幅用DNAポリメラーゼである、請求項13から15のいずれか一項に記載の等温増幅用キット。
- 前記DNAポリメラーゼが、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を欠失した等温増幅用DNAポリメラーゼである、請求項13から16のいずれか一項に記載の等温増幅用キット。
- 前記DNAポリメラーゼが、3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を有する等温増幅用DNAポリメラーゼである、請求項13から17のいずれか一項に記載の等温増幅用キット。
- 前記DNAポリメラーゼが、3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を欠失した等温増幅用DNAポリメラーゼである、請求項13から17のいずれか一項に記載の等温増幅用キット。
- さらに、下記(X)に示す第一のプライマーを含む、請求項13から19のいずれか一項に記載の等温増幅用キット。
(X) 標的核酸配列の3’末端部分の配列(A)にハイブリダイズする配列(Ac’)を3’末端部分に含み、且つ、前記標的核酸配列において前記配列(A)よりも5’側に存在する配列(B)の相補配列(Bc)にハイブリダイズする配列(B’)を前記配列(Ac’)の5’側に含むプライマー - さらに、第二のプライマーを含み、
前記第一のプライマーと前記第二のプライマーとが、形態が異なる非対称型の一対のプライマーである、請求項20記載の等温増幅用キット。 - さらに、第二のプライマーを含み、
前記第一のプライマーと前記第二のプライマーとが、形態が同じである対称型の一対のプライマーである、請求項20記載の等温増幅用キット。
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