(実施の形態1)
(構成)
図1から図11を参照して、本発明に基づく実施の形態1におけるアクティブマトリクス型表示装置およびアクティブマトリクス型表示装置の製造方法について説明する。
本実施の形態におけるアクティブマトリクス型表示装置は、表示素子として有機EL(Electro Luminescence)素子を含む。本実施の形態においては、有機EL表示装置のうち、トップエミッション構造の有機EL表示装置について説明する。
図1に、本実施の形態におけるアクティブマトリクス型表示装置の概略断面図を示す。基板35の表面には、駆動素子としてのTFT31が形成され、TFT31に接続された配線層37が形成されている。配線層37は、基板35の主表面に延びるように形成されている。TFT31は、1つの有機EL素子36に対応するように形成されている。
配線層37の表面には、1つの有機EL素子36に対応するように、第1電極としての配線32が形成されている。本実施の形態においては、断面形状がほぼ長方形になるように、配線32が形成されている。配線32および配線層37の表面には、無機絶縁膜16が形成されている。無機絶縁膜16は、配線層37および配線32の表面に沿うように形成されている。
無機絶縁膜16の表面には、有機絶縁膜11が形成されている。有機絶縁膜11は、有機絶縁膜11の表面の高さが、ほぼ一定になるように形成されている。有機絶縁膜11は、配線32の位置に対応するように形成されたコンタクトホール41を含む。コンタクトホール41は、配線32に向かってその開口が小さくなるように形成されている。配線32の表面において、無機絶縁膜16には、コンタクトホール41と連通するように、貫通孔が形成されている。
無機絶縁膜16および有機絶縁膜11などの絶縁膜は、無機材料または有機材料から形成され、TFT、TFTに接続される配線層、および画素メタル電極などを電気的に絶縁するように形成される。また、TFTなどの表面の凹凸を平坦化するために形成される。絶縁膜は、特開平10−189252号公報、特開2001−356711号公報または、特開2002−83691号公報などに開示されている。無機絶縁膜は、SiO2(酸化シリコン)、PSG(リンシリカガラス)、BSG(ボロンシリカガラス)、Si3N4(窒化シリコン系化合物)、Ta2O5(酸化タンタル)などの無機材料によって形成することができる。また、有機絶縁膜としては、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂などの有機材料によって形成することができる。
無機絶縁膜16の貫通孔の内側において、貫通孔から露出した配線32の表面、貫通孔の表面、およびコンタクトホールの表面には、それぞれの面に沿うように、第2電極としての画素メタル電極1が形成されている。
画素メタル電極1の表面において、コンタクトホール41の内側には、それぞれの画素を分離するための、画素分離絶縁膜24が形成されている。また、有機絶縁膜11の表面の平坦な部分においては、画素メタル電極1の表面に有機EL素子36が配置されている。有機EL素子36の主表面のうち、画素メタル電極1と反対側の主表面には、カソードとして対向電極5が形成されている。対向電極5は、有機EL素子36の表面および画素分離絶縁膜24の表面に形成されている。
このように、有機EL素子36は、画素メタル電極1と対向電極5とに挟まれるように配置され、画素メタル電極1と対向電極5との間に電圧が印加されることにより、発光するように形成されている。
本実施の形態における表示装置には、封止膜や封止基板などの封止に用いられる材料および封止方法によって、封止が行なわれている(図示せず)。また、表示装置においては、直線偏光板と1/4λ板とを組合せた偏光板や封止された内側に乾燥剤が配置されていてもよい。
図2に、図1におけるA部の拡大断面図を示す。本実施の形態においては、第1電極としての配線32の表面に、貫通孔46を含む無機絶縁膜16が形成され、貫通孔46は、配線32の表面の一部を露出するように形成されている。無機絶縁膜16の表面に形成された有機絶縁膜11は、貫通孔46と連通するように形成されたコンタクトホール41を含む。本実施の形態においては、貫通孔46およびコンタクトホール41は、平面形状が正方形になるようにされている。
本実施の形態におけるコンタクトホール41は、表面の断面形状が2段になるように形成されている。コンタクトホール41は、第1段目の第1テーパ部73と第2段目の第2テーパ部74とを含む。第1テーパ部73と第2テーパ部74とは、接続面51を介して連通している。第1テーパ部73および第2テーパ部74は、配線32に向かって開口が小さくなるように形成され、それぞれの平面形状は正方形になるように形成されている。第1テーパ部73は、無機絶縁膜16の表面に接している。コンタクトホール41の接続面51は、無機絶縁膜16の表面とほぼ平行になるように形成されている。
本実施の形態においては、無機絶縁膜16の側の第1段目の径が貫通孔の径より大きくなるように形成され、第2段目の径が第1段目の径よりも大きくなるように形成されている。すなわち、第1テーパ部73の径L2が貫通孔46の径L1よりも大きくなるように形成されている。また、第2テーパ部74の径L3が第1テーパ部73の径L2よりも大きくなるように形成されている。
ここで、本発明における「径」とは、平面視したときの形状において、該形状の任意の2点同士をさしわたした長さのうち最小の長さを示す。たとえば、平面形状が正方形であれば、径の長さは辺の長さと同じになる。また、本実施の形態においては、第1テーパ部73、第2テーパ部74および貫通孔46がテーパ状に形成されている。それぞれの層の厚さ方向において径が異なっているが、本発明においては、長さが最小となる部分の長さを「径」という。たとえば、第2テーパ部74の径は、接続面51における平面形状の正方形の1辺の長さを示す。
有機絶縁膜11は、貫通孔46の周りの無機絶縁膜16を被膜するように形成された被膜部61を含む。被膜部61は、コンタクトホール41の接続面51と無機絶縁膜16に挟まれた部分である。被膜部61は、無機絶縁膜16の端部の上面全体を覆うように形成されている。被膜部61の端面が第1テーパ部73になる。本実施の形態においては、被膜部61の厚さが、無機絶縁膜16の厚さよりも薄くなるように形成されている。
図3に、無機絶縁膜の貫通孔の部分の拡大断面図を示す。本実施の形態においては、無機絶縁膜16の貫通孔46の表面と、有機絶縁膜11の被膜部61の端面との境界は、段差がなく連続的な面になるように形成されている。
貫通孔46は、配線32に向かって開口が小さくなるようなテーパ状に形成されている。図3においては、下側に向かうにつれて、開口が小さくなるように形成されている。本実施の形態においては、配線32の表面と貫通孔46とのなす角度(テーパ角度)αは、80°以下になるように形成されている。また、有機絶縁膜11の被膜部61の端部において、無機絶縁膜16の表面と第1テーパ部73とのなす角度(テーパ角度)βは、80°以下になるように形成されている。また、第2テーパ部74の無機絶縁膜16の表面に対する傾斜角度(テーパ角度)γは、80°以下になるように形成されている。
(作用・効果、製造方法)
図1において、TFT31が駆動することにより、配線層37および配線32を通って、画素メタル電極1に通電される。有機EL素子36は、TFTが駆動することにより、電圧が印加されて発光する。本実施の形態における有機EL表示装置は、トップエミッション構造の表示装置であり、矢印81に示す向きに光が放出される。それぞれの有機EL素子36は、対応するそれぞれのTFT31によって駆動される。
図2に示すように、本実施の形態においては、有機絶縁膜11のコンタクトホール41の表面の断面形状が2段になるように形成され、無機絶縁膜16の側の第1段目の径が貫通孔の径より大きくなるように形成され、第2段目の径が第1段目の径よりも大きくなるように形成されている。この構成を採用することにより、有機絶縁膜11のコンタクトホール41を形成した後の、配線32の表面に残存する有機絶縁膜を除去するためのアッシング工程において、無機絶縁膜16の端部が共にエッチングされることを防止でき、貫通孔46の表面において、画素メタル電極1の断線を防止できる。この結果、画素メタル電極の導通不良を防止して、表示欠陥を防止したアクティブマトリクス型表示装置を提供することができる。
本実施の形態においては、コンタクトホールの第1段目の径が貫通孔の径よりも大きくなるように形成されているが、この形態に限られず、第1段目の径と貫通孔の径とがほぼ同じになるように形成されていても構わない。
本実施の形態においては、有機絶縁膜11の被膜部61の厚さが、無機絶縁膜16の厚さよりも薄くなるように形成されている。有機絶縁膜11の被膜部61が厚いと被膜部61の端面における段差が大きくなり、画素メタル電極1が断線する恐れがあるが、この構成を採用することにより、画素メタル電極1の断線を防止できる。すなわち、有機絶縁膜11の被膜部61の厚さは薄い方が好ましい。被膜部61は、有機絶縁膜11にコンタクトホール41を形成する工程において、後のアッシング工程で一部が除去されることを考慮して厚さが調整されている。
また、本実施の形態においては、図3に示すように、無機絶縁膜16の貫通孔46、有機絶縁膜11の第1テーパ部73および有機絶縁膜11の第2テーパ部74は、第1電極としての配線32に向かって、開口が小さくなるようなテーパ状に形成されている。このように、第2電極としての画素メタル電極1が配置される表面がテーパ状に形成されていることにより、画素メタル電極1を形成する際に、貫通孔46の表面、第1テーパ部73の表面および第2テーパ部の表面において画素メタル電極1の断線を抑制できる。
さらに、図3を参照して、無機絶縁膜16の貫通孔46の表面のテーパ角度αは、80°以下が好ましく、より好ましくは60°以下である。有機絶縁膜11のコンタクトホール41の第1テーパ部73のテーパ角度βも同様に、80°以下が好ましく、より好ましくは60°以下である。画素メタル電極1は、貫通孔46の表面および第1テーパ部73の表面に沿うように形成されるため、それぞれのテーパ角度が大き過ぎると、画素メタル電極1が断線する恐れがある。貫通孔46のテーパ角度αおよび第1テーパ部73のテーパ角度βを、80°以下にすることによって、画素メタル電極1の断線を有効に防止することができる。また、テーパ角を60°以下にすることにより、さらに効果的に画素メタル電極1の断線を防止することができる。
また、コンタクトホール41の第2テーパ部74のテーパ角度γについても同様に80°以下であることが好ましく、さらに好ましくは60°以下である。この構成を採用することにより、第2テーパ部74の表面における画素メタル電極1の断線を抑制することができる。
本実施の形態においては、無機絶縁膜16の端部全体を覆うように有機絶縁膜11の被膜部61が形成されているが、特にこの形態に限られず、無機絶縁膜16の少なくとも一部の表面に被膜部61が形成されていればよい。図3を参照して、被膜部61は、無機絶縁膜16の上面の先端から貫通孔46の外側に向かった長さlaが4.9μm以内の領域まで形成されていることが好ましい。さらに、被膜部61は、無機絶縁膜16の先端を覆うように形成されていても構わない。すなわち、貫通孔46の表面に有機絶縁膜11が配置されていても構わない。このような場合、被膜部61は、貫通孔46の内側に向かった長さlbが1.0μm以内の範囲内であることが好ましい。
コンタクトホール41および貫通孔46の平面形状については、特に制限はなく、四角形などの多角形状であってもよいし、楕円形や円形などの曲線部を含む形状であってもよい。また、コンタクトホール41および貫通孔46の大きさについても特に制限はなく、任意の大きさのものに本発明を適用することができる。
画素分離絶縁膜については、その厚さに特に制限はない。無機絶縁膜の厚さおよび有機絶縁膜の厚さについても、特に制限はないが、絶縁性、応力、TFTの表面の凹凸の平坦化などを考慮すると、無機絶縁膜は、厚さが10nm以上500nm以下であることが好ましく、有機絶縁膜は、その1倍から60倍の厚さを有することが好ましい。
本実施の形態においては、アクティブマトリクス型表示装置のうち、トップエミッション構造を有する有機EL表示装置を例に挙げて説明したが、任意のアクティブマトリクス型表示装置に本願発明を適用することができる。たとえば、本発明は、ボトムエミッション構造を有する有機EL表示装置や、液晶表示装置に対しても適用することができる。
液晶表示装置の場合には液晶表示パネルを含み、有機EL表示装置の場合には有機EL表示パネルを含む。液晶表示パネルや有機EL表示パネルの内部の第1電極と第2電極との接続部分に本願発明を適用することにより、表示欠陥を防止した表示装置を提供することができる。また、それぞれの表示素子を駆動させる能動素子を含む駆動装置については、特にTFTを含むものに制限されるものではなく、任意の駆動装置を適用することができる。
次に、本実施の形態におけるアクティブマトリクス型表示装置の製造方法について説明する。
図1を参照して、TFT、画素メタル、表示パネルの封止、有機EL素子、偏光板、および乾燥剤などについては、たとえば、特開平10−189252号公報、特開2001−356711号公報、および特開2002−83691号公報などに開示されている公知の材料や製造方法によって形成することができる。
図1および図2を参照して、初めに基板35の表面に、TFT31、配線層37、第1電極としての配線32を形成する。次に、配線32および配線層37を覆うように、無機絶縁膜16を形成する。無機絶縁膜16および後に形成する有機絶縁膜11については、スパッタ法、CVD法、塗布法などの公知の方法によって形成する。次に、たとえば、フォトリソグラフィ法によって、配線32の表面の一部を露出するように、貫通孔46を形成する。本実施の形態においては、貫通孔46の断面形状が配線32に向かって開口が小さくなるようなテーパ状に形成する。
無機絶縁膜16のフォトリソグラフィ法においては、貫通孔46のマスクサイズが、有機絶縁膜11のコンタクトホールのマスクサイズよりも小さくなるようなものを用いている。すなわち、無機絶縁膜16に形成される貫通孔46の大きさが、有機絶縁膜11のコンタクトホール41の第2テーパ部74よりも小さくなるようなマスクが用いられている。
次に、貫通孔46から露出する配線32の表面、および無機絶縁膜16の表面を覆うように、有機絶縁膜11を形成する。次に、配線32の貫通孔46の内側の部分を露出するように、フォトリソグラフィ法によって、有機絶縁膜11にコンタクトホール41を形成するコンタクトホール形成工程を行なう。
コンタクトホール形成工程においては、コンタクトホールの表面の断面形状が2段になるように行なう。無機絶縁膜16の表面のうち無機絶縁膜16の端部の領域において、有機絶縁膜が残存するように行なう。コンタクトホール41の接続面51と無機絶縁膜16との間に距離が空くようにコンタクトホール41を形成する。すなわち、図2に示すように、有機絶縁膜11に、被膜部61が形成されるようにコンタクトホール41を形成する。
また、図2を参照して、本実施の形態においては、無機絶縁膜16の側の第1段目の径L2が、貫通孔の径L1より大きくなるように形成して、さらに、第2段目の径L3が、第1段目の径L2よりも大きくなるように形成している。コンタクトホール形成工程においては、無機絶縁膜の側の第1段目の径L2が貫通孔の径L1と同じになるように形成しても構わない。
本実施の形態においては、コンタクトホール形成工程のパターン露光を行なう際に、無機絶縁膜16の貫通孔46を形成するためのマスクよりも開口面積が大きいマスクを使用している。有機絶縁膜11を感光した後に、アルカリ溶液で現像して、コンタクトホール41を形成する際に、現像液の濃度、現像時間、現像液の種類の変更、または現像処理回数などを変更することによって、無機絶縁膜16の端部の表面(貫通孔46の周りの領域)に、有機絶縁膜11の被膜部61を形成することができる。
有機絶縁膜のコンタクトホールを形成するマスクサイズと、無機絶縁膜の貫通孔を形成するマスクサイズとの差は、有機EL表示装置の高精細化の観点から小さいほど好ましく、その差は、パターニングを行なうプロセスの位置決め精度の誤差を考慮すると0.2μm以上5μm以下の範囲内であることが好ましい。
または、フォトリソグラフィ法による有機絶縁膜の被膜部の形成において、コンタクトホールの接続面に対応する領域(貫通孔の周りの領域)がハーフトーンマスクとなっているマスクを用いてもよい。すなわち、被膜部に対応する領域のみが、ハーフトーンマスクになったマスクを用いてもよい。この方法によっても、無機絶縁膜の端部に有機絶縁膜の被膜部を形成することができる。言い換えると、無機絶縁膜の端部の表面に薄く有機絶縁膜が残存するようにパターニングを行なうことができる。
たとえば、有機絶縁膜がポジ型のポリイミドによって形成されている場合、ハーフトーンマスクを用いて光の透過率を下げて露光量を小さくすることによって、有機絶縁膜を多く残すことができる。本発明におけるハーフトーンマスクとは、異なる透過率の複数の領域を有し、露光時に任意のパターンに対して減光した露光を行なうためのマスクをいう。
コンタクトホール41を形成した後に、貫通孔46の内側の配線32の表面に残存する有機絶縁膜11を除去するためのアッシングを行なう。アッシング工程においては、公知の酸化プラズマ処理、紫外線照射オゾン処理、フッ素系プラズマ処理、アルゴンプラズマ処理、またはアルカリ溶液処理などにより行なう。
アッシング工程が行なわれる際には、有機絶縁膜11の被膜部61もエッチングされる。このため、無機絶縁膜16の端部(貫通孔46の周り)がエッチングされることを防止できる。このように、コンタクトホール41の表面の断面形状が2段になるように、有機絶縁膜11にコンタクトホール41を形成して、有機絶縁膜11の被膜部61を形成することによって、被膜部61がエッチングストッパとなり、無機絶縁膜16の端部のエッチングを防止することができる。この結果、有機絶縁膜11の第1テーパ部73と無機絶縁膜16の貫通孔46とにおいて、大きな段差が生ずることを防止でき、画素メタル電極1の断線を防止することができる。
アッシング工程の後に画素メタル電極1を形成する。画素メタル電極1の形成については、公知の方法で形成することができ、その材料や形成方法または厚さなどに制限はなく、導電性の薄膜であればよい。この後に、画素分離絶縁膜24有機EL素子36などを公知の方法で形成して、有機EL表示装置を製造する。
次に、本実施の形態における表示装置のうち、本発明に係る部分を形成したテストパターンについて、効果の試験を行なった結果を説明する。
図4は、本発明に係るテストパターンの平面図である。このテストパターンは、TFTに接続された配線と画素メタル電極との電気的な接続を試験するためのコンタクトチェーンである。このコンタクトチェーンは、実際のアクティブマトリクス型有機EL表示装置を製造する工程のうち一部の工程を抜粋して製造したものである。したがって、以下のコンタクトチェーンの製造方法は、表示装置の製造方法に直接的に適用することができる。
図5は、コンタクトチェーンの概略断面図である。図4および図5に示すように、コンタクトチェーンにおいては、下部配線層38と上部配線層2とがコンタクトホール41を介して、電気的に接続されている。上部配線層2は、有機絶縁膜12の表面に沿って2つのコンタクトホール41を接続するように形成されている。下部配線層38は、基板35の表面に沿って2つのコンタクトホール41を電気的に接続するように形成されている。
上部配線層2が電気的に接続している2つのコンタクトホール41と、下部配線層38が電気的に接続している2つのコンタクトホール41とは、互いにずれるように配置されている。複数のコンタクトホール41が形成されたコンタクトチェーンは、一部が上部配線層2を通って、他の部分が下部配線層38を通して、コンタクトチェーンの端から端までの導通が行なえるように形成されている。
図5に示すように、コンタクトチェーンは、基板35の表面に下部配線層38が形成されている。基板35の表面には、TFTなどは形成されていない。下部配線層38は、本発明における第1電極に対応する。下部配線層38の表面には、無機絶縁膜17が形成されている。無機絶縁膜17には、貫通孔47が形成されている。無機絶縁膜17の表面には、コンタクトホール41を有する有機絶縁膜12が形成されている。貫通孔47、コンタクトホール41、および下部配線層38のうち貫通孔47から露出した表面に沿うように、上部配線層2が形成されている。上部配線層2は、本発明における第2電極に対応する。
下部配線層38には、2つの貫通孔47ごとに切断部66が形成されている。切断部66の内部には無機絶縁膜17が配置され、下部配線層38の絶縁が形成されている。上部配線層2において、下部配線層38の切断部66に挟まれた2つのコンタクトホール41同士の間には、切断部64が形成されている。切断部64は、上部配線層2を電気的に切断するように間隙が形成されている。
このコンタクトチェーンにおいては、第1電極としての下部配線層38と、第2電極としての上部配線層2との電気的な接続を評価することができ、複数個連続して形成することにより、接続の信頼性を確認することができる。このコンタクトチェーンにおいて、一方の端から他方の端までの電気的な接続が確認されない場合や、コンタクト抵抗が高くなった場合には、実際のアクティブマトリクス型表示装置において、有機EL素子などの素子を駆動する電圧が高くなったり、それぞれの素子が発光しなかったりする。
図6から図11を参照して、本実施の形態における第1のコンタクトチェーンの製造方法について説明する。図6に示すように、基板35の表面に、スパッタ法により、下部配線層38を形成する。ここでは、基板35としてガラス基板を用いて、下部配線層38としてCr膜を100nmの厚さで形成する。次に、下部配線層38に対して、公知の方法により、パターニングおよびエッチングを行なう。下部配線層は、この形態に限られず、その材料や形成方法、厚さについて制限はなく、導電性の薄膜であればよい。また、基板35はガラス基板に限られず、たとえば、Si基板やプラスチック基板などでもよい。
次に、下部配線層38の表面に、無機絶縁膜17として、窒化シリコン膜をCVD(Chemical Vapor Deposition)法により100nmの厚さで形成する。
図7に示すように、公知の方法により無機絶縁膜17のパターニングを行なって、貫通孔47を形成する。本実施の形態においては、貫通孔47の平面形状が略正方形になるように形成した。また、貫通孔47は、下部配線層38に向かって、その開口が小さくなるようなテーパ状に形成した。本形態においては、貫通孔47のテーパ角度は40°であった。
次に、図8に示すように、無機絶縁膜17の表面および下部配線層38の貫通孔47から露出した表面に有機絶縁膜12を形成する。ここでは、有機絶縁膜12としては、感光性ポリイミドをスピナーによる塗布法によって、2μmの厚さで形成した。
次に、図9に示すように、貫通孔47の位置に対応するように、有機絶縁膜12にコンタクトホール42を形成するコンタクトホール形成工程を行なう。コンタクトホール42の形成においては、フォトリソグラフィ法によってパターニングを行なった。パターニングにおいては、平面形状の一辺の長さがそれぞれ20μmの正方形の開口を有するマスクを用いた。このマスクを用いて、ポジ型の感光性ポリイミドのコンタクトホール部を感光して、アルカリ溶液で現像してコンタクトホール42を形成した。
コンタクトホール42の形成においては、無機絶縁膜17の貫通孔47の周りの領域において、有機絶縁膜12が残存するように行なった。現像処理において、現像液の濃度、現像時間、現像液の種類の変更および現像処理回数などを調整することにより、コンタクトホール42の断面形状が2段になるように、また、2つの段の接続面52が無機絶縁膜17から離れるように形成した。すなわち、コンタクトホール42が第1テーパ部75および第2テーパ部76を有するように、有機絶縁膜12の被膜部62を形成した。被膜部62の厚さは、約30nmになるように形成した。
コンタクトホール42の形成においては、被膜部62の厚さが無機絶縁膜17の厚さよりも薄くなるように形成した。被膜部62の端面の第1テーパ部75においては、下部配線層38に向かって、開口が小さくなるようなテーパ形状を有するように形成した。本形態におけるテーパ角度は35°であった。
また、被膜部62は、接続面52における端部が無機絶縁膜17の貫通孔47の上面の端部から5μm外側になるように形成した。このように、第1テーパ部75の径が貫通孔47の径よりも大きくなるように形成した。
図9に示すように、貫通孔47から露出した下部配線層38の表面には、有機絶縁膜12が残存している。次に、この有機絶縁膜12を除去するために、アルゴンガスを用いたプラズマ処理によって、下部配線層38に残存する有機絶縁膜(本実施の形態においては感光性ポリイミド)を除去するアッシング工程を行なう。
図10に示すように、アッシング工程を行なうことによって、無機絶縁膜17の貫通孔47の内側において、下部配線層38の表面から有機絶縁膜を除去することができる。アッシング工程において、貫通孔47の内側に残存する有機絶縁膜12が除去されるとともに、コンタクトホール42もエッチングされる。しかし、無機絶縁膜17の端部の表面に被膜部62が形成されていることにより、被膜部62がエッチングされ、無機絶縁膜17の端部がエッチングされることを防止できる。すなわち、被膜部62が、無機絶縁膜のエッチングストッパとしての機能を有し、アルゴンプラズマによって、無機絶縁膜がエッチングされることを防止できる。
下部配線層の表面に残存する有機絶縁膜としての感光性ポリイミドの厚さは、非常に薄い。アルゴンプラズマによるアッシング処理の時間を、感光性ポリイミドを5nm以上25nm以下の範囲で除去する時間に設定することによって、無機絶縁膜17がエッチングされることはなかった。本形態においては、無機絶縁膜が全くエッチングされないような厚さで被膜部を形成したが、特にこの形態に限られず、画素メタル電極の断線が生じない程度であれば、無機絶縁膜の一部がエッチングされてもよい。
この後に、図11に示すように、上部配線層2として、Cr膜を形成する。上部配線層2は、下部配線層38を形成する方法と同様の方法により形成することができる。上部配線層2の形成においては、コンタクトホール42の表面、貫通孔47の表面、および貫通孔47から露出した下部配線層38の表面を覆うように形成する。上部配線層2については、下部配線層38と同様に、その材料や厚さに制限はなく、導電性の薄膜が形成されていればよい。
このように、上部配線層と下部配線層を接続した第1のコンタクトチェーンを形成した。本実施の形態においては、コンタクトホールが1000個連なったコンタクトチェーンを16個形成した。性能試験においては、上部配線層と下部配線層との間に、直流電圧を3.0Vまで徐々に印加して、そのときの抵抗値を測定することによって、電気的な接続状態を確認した。その結果、16個の全てのサンプルについて、良好な電気的な接続を確認することができた。
次に、本実施の形態における第2のコンタクトチェーンとして、有機絶縁膜としての感光性ポリイミドの現像時間を短くしたものを形成した。第2のコンタクトチェーンにおいては、無機絶縁膜の表面に形成される被膜部の厚さが、第1のコンタクトチェーンよりも厚くなるように製造して、被膜部の厚さが約50nmになるように製造した。第2のコンタクトチェーンにおいては、アッシング工程におけるアルゴンプラズマ処理時間を、感光性ポリイミドを20nm以上40nm以下の厚さの範囲で除去できる時間に設定することによって、無機絶縁膜の表面がエッチングされることを回避することができた。それ以外の工程については、第1のコンタクトチェーンの製造方法と同様の方法で第2のコンタクトチェーンを製造した。
第2のコンタクトチェーンにおいて、第1のコンタクトチェーンと同様に抵抗値を測定して、上部配線層と下部配線層との接続状態を確認したところ、16個のサンプル全てについて、電気的な良好な接続を確認することができた。
このように、有機絶縁膜の現像時に残存する被膜部の厚さに対応して、下部配線層の表面に残存する有機絶縁膜を除去するためのアッシング工程を、最適な条件で行なうことによって、上部配線層の段切れを起こさずに、良好な電気的な接続を有する表示装置を提供することができる。
第1および第2のコンタクトチェーンにおいては、有機絶縁膜のコンタクトホールを形成する際の現像方法を調整することによって、無機絶縁膜の表面に有機絶縁膜の被膜部を形成した。第3のコンタクトチェーンにおいては、有機絶縁膜のフォトリソグラフィ法において、被膜部に対応する領域のみがハーフトーンマスクになったマスクを用いて被膜部を形成した。
第3のコンタクトチェーンにおいては、コンタクトホールのうち第1テーパ部の形成するマスクの開口部の端から、5μmの領域がハーフトーンマスクになったマスクを用いて、コンタクトホールを形成した。第3のコンタクトチェーンにおいて、無機絶縁膜の表面に残存する被膜部の感光性ポリイミドの厚さは、約40nmであった。アッシング工程においては、アルゴンプラズマ処理時間を、感光性ポリイミドを30nm以上40nm以下の範囲内で除去できる時間に設定することによって、無機絶縁膜がエッチングされることを回避できた。コンタクトホール形成工程と異なる他の工程については、上記の製造方法と同じ方法でコンタクトチェーンを製造した。
第1のコンタクトチェーンと同様に、第3のコンタクトチェーンの抵抗値を測定したところ、16個のサンプル全てについて、良好な電気的な接続を確認することができた。このように、フォトリソグラフィ法におけるマスクとして、ハーフトーンマスクを用いることによって、無機絶縁膜の表面に所望の形状で有機絶縁膜の被膜部を残すことができる。
図28および図29を参照して、本発明に基づくアクティブマトリクス型表示装置およびその製造方法の第1の比較例について説明する。第1の比較例においては、有機絶縁膜にコンタクトホールを形成するコンタクトホール形成工程において、有機絶縁膜としての感光性ポリイミドの現像時間を、上記の第1のコンタクトチェーンの製造における時間よりも2倍長く設定した。無機絶縁膜の表面には有機絶縁膜の被膜部が形成されないように有機絶縁膜の現像処理を行なった。
図28に、有機絶縁膜の現像処理を行なった後に、アッシング工程を行なったときの概略断面図を示す。有機絶縁膜12には被膜部が形成されない。無機絶縁膜21には、有機絶縁膜12から飛び出して、表面に露出するような突出部58が形成される。アッシング処理により、無機絶縁膜21の突出部58の一部がエッチングされ、断面形状がほぼL字型の切欠き部68が形成されている。切欠き部68は、一の表面が下部配線層38の主表面に対して、ほぼ垂直になるように形成される。
図29に、上部配線層を形成したときの概略断面図を示す。図29に示すように、切欠き部68において、上部配線層3の被膜性が悪くなるため、上部配線層3に断線が生じている。特に、切欠き部68の下部配線層38の主表面に垂直な表面において、上部配線層3が連続的に配置されずに断線が生じている。これは、無機絶縁膜と有機絶縁膜との境界において、段差が大きくなり、上部配線層の段切れが発生したと考えられる。
第1の比較例として製造したコンタクトチェーンについて、本実施の形態における第1のコンタクトチェーンと同様に電気的な抵抗を測定したところ、16個のサンプルに対して、12個において電気的な接続を確認することができなかった。12個のサンプルにおいて、たとえば図29に示すような上部配線層の断線が生じていた。
次に、第2の比較例として、貫通孔の内側の下部配線層の表面の有機絶縁膜を除去するアッシング工程を行なわずに上部配線層を形成した。その他の製造方法については第1のコンタクトチェーンと同様の工程により、コンタクトチェーンを製造した。第2の比較例として製造したコンタクトチェーンについて、第1のコンタクトチェーンと同様に、抵抗値を測定したところ、16個の全てのサンプルについて、電気的な接続を確認できた。しかし、第1のコンタクトチェーンと比べて、コンタクト抵抗値が2桁〜3桁高かった。また、この抵抗値は、16個のサンプルの間でばらつきが大きく、安定した値ではなかった。
これは、アッシング工程を行なわないことによって、有機絶縁膜である感光性ポリイミドが、貫通孔から露出した下部配線層の表面に残存したため、コンタクト抵抗値が高くなったと考えられる。さらに、残存する有機絶縁膜の量がそれぞれのコンタクトホールにおいて異なるため、コンタクト抵抗値がばらついたと考えられる。このように、アッシング工程を行なわない場合には、安定した電気的な接続を有するコンタクトチェーンを形成することが困難であった。
(実施の形態2)
(構成)
図12から図19を参照して、本発明に基づく実施の形態2におけるアクティブマトリクス型表示装置およびアクティブマトリクス型表示装置の製造方法について説明する。
図12は、本実施の形態におけるアクティブマトリクス型表示装置の概略断面図である。本実施の形態においては、アクティブマトリクス型表示装置の例として、実施の形態1と同様に、トップエミッション構造を有する有機EL表示装置について説明する。
基板35の表面に、TFT31、配線層37および第1電極としての配線32が形成され、配線32が第2電極としての画素メタル電極4に接続されていることは、実施の形態1におけるアクティブマトリクス型表示装置と同様である。
図13に、図12におけるB部の拡大図を示す。本実施の形態においては、有機絶縁膜11に被膜部は形成されておらず、コンタクトホール41の底部53が貫通孔46の入口部55よりも大きくなるように形成されている。すなわち、コンタクトホール41の底部の領域に貫通孔46が含まれるように形成されている。
配線層37および配線32の表面に形成された無機絶縁膜18は、表面に改質層25を含む。改質層25は、無機絶縁膜18の表面のうち、画素メタル電極4に接する側に形成されている。本実施の形態においては、改質層25は、無機絶縁膜18の表面全体が表面改質されて形成されている。本実施の形態においては、無機絶縁膜18として窒化シリコン膜が形成され、窒化シリコン膜の表面が酸素プラズマで酸化されて、改質層25として酸化窒化シリコン膜が形成されている。
配線32の周りの表面には、無機絶縁膜18が配置され、無機絶縁膜18は表面に改質層25を含む。配線32の上面において、無機絶縁膜18には貫通孔46が形成されている。貫通孔46の内側における配線32の表面、改質層25の表面および、有機絶縁膜11に形成されたコンタクトホール41の表面には、画素メタル電極4が形成されている。画素メタル電極4の表面には、画素分離絶縁膜24が配置されている。
無機絶縁膜18は、コンタクトホール41の底部53から飛び出すように形成された突出部56を含む。突出部56の端面が貫通孔46になる。貫通孔46は、配線32に向かって開口が小さくなるようなテーパ状に形成されている。貫通孔46の表面に改質層25が形成されている。本実施の形態においては、改質層25の表面と画素メタル電極4とが接している。
その他の構成については、実施の形態1と同様であるので、ここでは説明を繰返さない。
(作用・効果、製造方法)
本実施の形態においては、コンタクトホールの底部が貫通孔の入口部よりも大きくなるように形成され、無機絶縁膜は、少なくともコンタクトホールの内側となる表面に改質層を含む。すなわち、無機絶縁膜は突出部を含み、無機絶縁膜は、少なくとも突出部の有機絶縁膜に向かう面において、表面改質が行なわれた改質層を含む。この構成を採用することにより、コンタクトホールを形成した後のアッシング工程において、無機絶縁膜がエッチングされることを改質層で抑制することができる。この結果、第2電極としての画素メタル電極の段切れなどによる導通不良を防止して、表示欠陥を防止したアクティブマトリクス型表示装置を提供することができる。
改質層の厚さについては、特に限定されるものではないが、アッシング工程におけるエッチングストッパとしての役割を考慮すると1nm以上であることが好ましい。
また、本実施の形態においては、突出部56の先端の貫通孔46の表面にも、改質層25が形成されている。この構成を採用することにより、貫通孔46の表面においても、アッシング工程におけるエッチングを抑制することができ、より確実に、画素メタル電極4の段切れを防止できる。
本実施の形態においては、無機絶縁膜としての窒化シリコンの表面を酸化した改質層が形成されているが、特にこの形態に限られず、貫通孔の内側における第1電極の表面に残存した有機絶縁膜を除去するアッシング工程において、無機絶縁膜のエッチングを抑制することができる表面改質が行なわれていればよい。また、本実施の形態においては、有機絶縁膜に被膜部は形成されていないが、特にこの形態に限られず、有機絶縁膜に被膜部が形成されていてもよい。
次に、図14から図19を参照して、本実施の形態における製造方法について説明する。図14から図19は、テストパターンとしての本実施の形態における第1のコンタクトチェーンの製造方法の説明図であり、本実施の形態におけるアクティブマトリクス型表示装置の製造方法に適用することができる。
初めに、図14に示すように、基板35の主表面に、第1電極としての下部配線層38を形成してパターニングを行なう。次に、下部配線層38の表面に、無機絶縁膜19として窒化シリコン膜を形成する。次に、無機絶縁膜19のパターニングを行なうことによって、下部配線層38の表面の一部を露出するように貫通孔47を形成する貫通孔形成工程を行なう。
次に、図15に示すように、無機絶縁膜19の表面を改質する表面改質工程を行なう。本実施の形態においては、無機絶縁膜19としての窒化シリコン膜の表面改質を行なって、改質層26として酸化窒化シリコン膜を形成した。表面改質工程においては、酸素プラズマを用いて、プラズマ処理を120秒間行なった。
本実施の形態においては、窒化シリコンを酸化プラズマ処理によって、改質を行なう例を示したが、改質層は、アッシングを行なうガスや処理条件に依存して、無機絶縁膜よりもエッチングレートが遅くなるような層であればよい。また本形態においては、酸素プラズマによって、表面改質工程を行なったが、特にこの形態に限られず、任意の方法によって表面を改質することができる。
次に、図16に示すように、無機絶縁膜19の改質層26の表面、および貫通孔47の内側の下部配線層38の表面に、有機絶縁膜12を形成する。
次に、コンタクトホール形成工程を行なう。図17に示すように、フォトリソグラフィ法によって、有機絶縁膜12にコンタクトホール42を形成する。コンタクトホール42の形成においては、コンタクトホール42の底部54が、貫通孔47の入口部59よりも大きくなるように行なう。コンタクトホール42を形成することによって、無機絶縁膜19には突出部58が形成される。
コンタクトホールの形成においては、特にこの形態に限られず、コンタクトホール42の断面形状が2段になるように形成して、有機絶縁膜の被膜部が形成されるように、パターニングを行なっても構わない。
次に、図18に示すように、貫通孔47の内側における下部配線層38の表面から、残存する有機絶縁膜12を除去するためのアッシング工程を行なう。アッシング工程においては、アルゴンプラズマ処理時間を、50nm以上70nm以下の感光性ポリイミドを除去する時間に設定してアッシングを行なった。アッシング工程において、表面改質を行なった改質層26は、エッチングを阻止して無機絶縁膜19の突出部58がエッチングされることを防止できた。
このように、無機絶縁膜19の表面に改質層26が形成されていることによって、アッシング工程において、無機絶縁膜19の突出部58がエッチングされることを抑制できる。また、貫通孔47の表面(無機絶縁膜19の突出部58の端面)においても、改質層26が形成されていることによって、アッシング工程において、突出部58の表面全体において、エッチングが行なわれることを抑制できる。
また、本実施の形態においては、無機絶縁膜のパターニングを行なうことによって、貫通孔を形成する貫通孔形成工程を含み、貫通孔形成工程の後に、無機絶縁膜の表面を改質する表面改質工程を行なっている。この方法を採用することにより、無機絶縁膜の突出部の端部全体に対して、改質層を形成することができる。すなわち、貫通孔の表面にも改質層を形成することができ、無機絶縁膜の突出部全体にわたってエッチングを抑制することができる。
次に、図19に示すように、改質層26の表面、コンタクトホール42の表面および貫通孔47の内側の下部配線層38の表面に、第2電極として上部配線層2を形成する。コンタクトチェーンにおいては、実施の形態1と同様に、コンタクトホールを1000個有するサンプルを16個製造した。
製造した本実施の形態における第1のコンタクトチェーンを用いて、上部配線層と下部配線層とに対して、直流電圧を3.0Vまで徐々に印加して、そのときの抵抗値を計測した。その結果、16個の全てのサンプルに対して、良好な電気的な接続を得ることができた。
さらに、アッシングにおけるアルゴンプラズマ処理時間を、5nm以上25nm以下の感光性ポリイミドを除去する時間に設定して、本実施の形態における第2のコンタクトチェーンを製造した。第2のコンタクトチェーンに対して、直流電圧を3.0Vまで徐々に印加して、そのときの抵抗値を測定した。
その結果、16個のサンプル全てに対して、良好な電気的な接続状態を確認することができた。これは、表面が改質した無機絶縁膜の表面に、有機絶縁膜が残存していても問題ないことを示している。すなわち、無機絶縁膜の突出部の表面に、有機絶縁膜の被膜部が形成されていても、第2電極の断線やコンタクト抵抗の増加を防止できることを示している。
その他の作用、効果および製造方法については、実施の形態1と同様であるので、ここでは説明を繰返さない。
(実施の形態3)
(構成)
図20から図27を参照して、本発明に基づく実施の形態3におけるアクティブマトリクス型表示装置およびアクティブマトリクス型表示装置の製造方法について説明する。
本実施の形態においては、アクティブマトリクス型表示装置のうち、実施の形態1,2と同様に、トップエミッション構造を有する有機EL表示装置を例に挙げて説明する。図20は、本実施の形態における有機EL表示装置の第1電極としての配線と、第2電極としての画素メタル電極との接合部分の拡大図である。
配線32の表面に、画素メタル電極4が接合され、電気的な接続が形成されていることは、実施の形態2と同様である。配線32を取囲むように、無機絶縁膜20が形成され、無機絶縁膜20に貫通孔46が形成されていることも、実施の形態2と同様である。貫通孔46が、テーパ形状を有するように形成されていることも、実施の形態2と同様である。
本実施の形態においては、無機絶縁膜20のうち、表面に改質層27が形成され、突出部56の端部におけるテーパ形状に沿う一部分には、改質層27は形成されていない。すなわち、貫通孔46の表面において、上部のみに改質層27が形成され、その他の部分には、改質層27は形成されていない。
その他の構成については、実施の形態2と同様であるので、ここでは説明を繰返さない。
(作用・効果、製造方法)
図20に示すように、本実施の形態におけるアクティブマトリクス型表示装置においては、無機絶縁膜の表面に改質層27が形成され、突出部56の端部におけるテーパ形状に沿う一部分には、改質層27は形成されていない。このように、無機絶縁膜の貫通孔46の表面において、全ての表面に対して表面改質が行なわれていなくても、第2電極としての画素メタル電極の段切れを防止して、表示欠陥を防止したアクティブマトリクス型表示装置を提供することができる。
図21から図27を参照して、本実施の形態におけるアクティブマトリクス型表示装置の製造方法について説明する。図21から図27は、本実施の形態におけるテストパターンとしてのコンタクトチェーンの製造方法の工程図であり、アクティブマトリクス型表示装置の製造方法に適用することができる。
図21に示すように、基板35の表面に、パターニングを行なった下部配線層38を形成する。下部配線層38の表面に、無機絶縁膜17を形成する。本実施の形態においては、無機絶縁膜17として、窒化シリコン膜を形成している。
次に、図22に示すように、無機絶縁膜20の表面を表面改質して、改質層28を形成する。本実施の形態においては、酸素ガスを用いたプラズマ処理を行なって、窒化シリコン膜の表面に、酸化窒化シリコン膜を形成している。すなわち、酸化によって、表面改質を行なっている。
次に、図23に示すように、無機絶縁膜に貫通孔48を形成する貫通孔形成工程を行なう。貫通孔形成工程は、フォトリソグラフィ法によって、無機絶縁膜20に対して、パターニングを行なう。貫通孔48の表面には、一部分に改質層28が形成され、他の部分に改質層28が形成されていない。
次に、図24に示すように、無機絶縁膜20の改質層28の表面、貫通孔48の表面、および貫通孔48の内側の下部配線層38の表面に、有機絶縁膜12を形成する。
次に、図25に示すように、フォトリソグラフィ法によって、有機絶縁膜12に、コンタクトホール42を形成する。無機絶縁膜20には、突出部58が形成される。コンタクトホール42の形成においては、無機絶縁膜20の突出部58の表面に、有機絶縁膜12の被膜部を形成するようにパターニングを行なっても構わない。
次に、図26に示すように、貫通孔48の内側の下部配線層38の表面に残存した有機絶縁膜12を除去するアッシング工程を行なう。突出部58の表面に形成された有機絶縁膜の被膜部がないか、または、被膜部が薄いと、貫通孔48の表面に切欠き部67が形成されることがある。切欠き部67は、無機絶縁膜20の突出部58の端面(貫通孔48の表面)から主にエッチングされた部分である。改質層28が形成されている面に対しては、改質層28が、エッチングストッパとなって、無機絶縁膜20のエッチングを抑制できる。
次に、図27に示すように、コンタクトホール42の表面、無機絶縁膜20の突出部58の表面、および下部配線層38の貫通孔48から露出した表面を覆うように、第2電極としての上部配線層7を形成する。無機絶縁膜20の突出部58の端部に形成された切欠き部67は、小さな階段状になっているため、第2電極としての上部配線層7が断線することはなかった。
このように製造したコンタクトチェーンを用いて、実施の形態2と同様に、上部配線層と下部配線層との間に、直流電圧を3.0Vまで徐々に印加して、そのときの抵抗値を測定した。この結果、製造した16個全てのサンプルについて、良好な電気的な接続状態を確認することができた。
上記以外の作用、効果および製造方法については、実施の形態2と同様であるので、ここでは説明を繰返さない。
なお、今回開示した上記実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更を含むものである。
1,4 画素メタル電極、2,3,7 上部配線層、5 対向電極(カソード)、11,12 有機絶縁膜、16〜21 無機絶縁膜、24 画素分離絶縁膜、25〜28 改質層、31 TFT、32 配線、35 基板、36 有機EL素子、37 配線層、38 下部配線層、41,42 コンタクトホール、46〜48 貫通孔、51 接続面、53,54 底部、55,59 入口部、56,58 突出部、61〜63 被膜部、64,66 切断部、67,68 切欠き部、73,75 第1テーパ部、74,76 第2テーパ部、81 矢印。