JP7366810B2 - マスクブランクス、ハーフトーンマスク、製造方法、製造装置 - Google Patents
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Description
下置き構造のハーフトーンマスクは、ハーフトーン層と遮光層の積層膜を形成した後で、それぞれの膜を所望のパターンで露光、現像、エッチングすることでマスクを完成させることが可能である。このため、下置き構造のハーフトーンマスクは、短期間にマスクを形成できるという利点を有する。
さらに、Crを用いてハーフトーン層を形成することで透過率の波長依存性が小さくできるという利点も有する。
このように、レジスト層の除去、あるいは、表面状態の維持のために、マスク製造工程では、遮光層および/またはハーフトーン層を洗浄するために、それぞれ、硫酸、硫酸過水やオゾンを用いた洗浄工程が必要である。
この際、ハーフトーン層の透過率が変化してしまうという問題が生じることがわかった。
1.硫酸過水やオゾンを用いた洗浄工程においても光学特性変化の少ない耐薬特性を得る。
2.洗浄工程における透過率変化の発生を抑制する。
3.透過率の波長依存性を小さくする。
4.これらを同時に満たすハーフトーンマスクを提供可能とする。
5.透過率の波長依存性を小さくする。
さらに、ハーフトーン層中において、特に表面の酸素濃度を高くすることで耐薬特性を向上させることが可能であるが、酸素濃度を高くすると透過率の波長依存性が大きくなり、さらに酸素濃度を高くしすぎると逆に耐薬品特性が低下することがわかった。
これに対応して、ハーフトーン層の深さ方向での組成を適切に制御することで薬液耐性が高く、ハーフトーン層の透過率の波長依存性が小さくすることが可能であることがわかった。
さらに、ハーフトーン層のシート抵抗を制御することでも、透過率の波長依存性を抑制できることがわかった。
該透明基板の表面に積層されたCrを主成分とするハーフトーン層と、
前記ハーフトーン層に積層されたエッチングストップ層と、
前記エッチングストップ層に積層されたCrを主成分とする遮光層と、を備えるマスクブランクスであって、
前記ハーフトーン層が、厚さ方向の最表面位置に酸素の組成比がクロムの組成比と窒素の組成比より高い耐薬層と、厚さ方向の前記透明基板に近接する位置に酸素の組成比がクロムの組成比と窒素の組成比より低く光学特性を担保する光学特性層と、を有する
ことにより上記課題を解決した。
本発明の一態様におけるマスクブランクスは、透明基板と、
該透明基板の表面に積層されたCrを主成分とする遮光層と、
前記遮光層に積層されたCrを主成分とするハーフトーン層と、を備えるマスクブランクスであって、
前記ハーフトーン層が、厚さ方向の最表面位置に酸素の組成比がクロムの組成比と窒素の組成比より高い耐薬層と、厚さ方向の前記透明基板に近接する位置に酸素の組成比がクロムの組成比と窒素の組成比より低く光学特性を担保する光学特性層と、を有する
ことにより上記課題を解決した。
本発明の一態様におけるマスクブランクスは、前記ハーフトーン層において、厚さ方向の最表面位置から前記透明基板に近接する位置に向けて酸素の組成比が減少する
ことができる。
本発明の一態様におけるマスクブランクスは、前記ハーフトーン層において、
前記耐薬層における酸素の組成比が、前記光学特性層における最も小さい酸素の組成比に比べて4倍より大きく設定される
ことができる。
本発明の一態様におけるマスクブランクスは、前記ハーフトーン層において、シート抵抗が、
1.3×103Ω/sq以下に設定される
ことができる。
本発明の一態様におけるマスクブランクスの製造方法は、上記のいずれかに記載されたマスクブランクスを製造する方法であって、
Crを主成分とする元ハーフトーン層を積層する成膜工程と、
前記成膜工程において成膜された前記元ハーフトーン層を酸化して前記ハーフトーン層とする酸化処理工程と、を有する
ことができる。
本発明の一態様におけるマスクブランクスの製造方法は、前記酸化処理工程において、励起した酸化処理ガスにより前記元ハーフトーン層の酸化処理をおこなう
ことができる。
本発明の一態様におけるマスクブランクスの製造方法は、前記酸化処理工程の前記酸化処理ガスが窒素酸化物とされる
ことができる。
本発明の一態様におけるマスクブランクスの製造方法は、上記のいずれかに記載されたマスクブランクスを製造する方法であって、
Crを主成分とする前記ハーフトーン層を積層する成膜工程を有する
ことができる。
本発明の一態様におけるハーフトーンマスクの製造方法は、上記のいずれかに記載されたマスクブランクスを用いてハーフトーンマスクを製造する方法であって、
所定のパターンを有するマスクによって前記ハーフトーン層をパターニングする工程と、
前記マスクを除去する洗浄工程と、
を有する
ことができる。
本発明の一態様におけるハーフトーンマスクの製造方法は、前記洗浄工程において、
洗浄液として、硫酸過水、あるいは、オゾン水を用いる
ことができる。
本発明の一態様におけるハーフトーンマスクは、上記のハーフトーンマスクの製造方法により製造された
ことができる。
本発明の一態様におけるマスクブランクスの製造装置は、上記のいずれかに記載されたマスクブランクスの製造方法に用いる製造装置であって、
前記元ハーフトーン層を成膜する成膜部と、
前記元ハーフトーン層を酸化処理する酸化処理部と、を有し、
前記酸化処理部には、酸化処理ガスを励起して供給可能な励起ガス供給部が備えられる
ことができる。
本発明の一態様におけるマスクブランクスの製造装置は、上記のマスクブランクスの製造方法に用いる製造装置であって、
前記ハーフトーン層を成膜する成膜部を有し、
前記成膜部には、酸化処理ガスを励起して供給可能な励起ガス供給部が備えられる
ことができる。
該透明基板の表面に積層されたCrを主成分とするハーフトーン層と、
前記ハーフトーン層に積層されたエッチングストップ層と、
前記エッチングストップ層に積層されたCrを主成分とする遮光層と、を備えるマスクブランクスであって、
前記ハーフトーン層が、厚さ方向の最表面位置に酸素の組成比がクロムの組成比と窒素の組成比より高い耐薬層と、厚さ方向の前記透明基板に近接する位置に酸素の組成比がクロムの組成比と窒素の組成比より低く光学特性を担保する光学特性層と、を有することにより上記課題を解決した。
本発明のマスクブランクスは、前記ハーフトーン層において、厚さ方向の最表面位置から前記透明基板に近接する位置に向けて酸素の組成比が減少することができる。
本発明のマスクブランクスにおいて、前記ハーフトーン層において、
前記耐薬層における酸素の組成比が、前記光学特性層における最も小さい酸素の組成比に比べて4倍より大きく設定されることが好ましい。
また、本発明のマスクブランクスの製造方法は、上記のいずれかに記載されたマスクブランクスの製造方法であって、
前記透明基板に、Crを主成分とする元ハーフトーン層を積層する成膜工程と、
前記成膜工程において成膜された前記元ハーフトーン層を酸化して前記ハーフトーン層とする酸化処理工程と、を有する手段を採用することもできる。
本発明のマスクブランクスの製造方法は、前記酸化処理工程において、励起した酸化処理ガスにより前記元ハーフトーン層の酸化処理をおこなうことが可能である。
本発明のマスクブランクスの製造方法は、前記酸化処理工程の前記酸化処理ガスが窒素酸化物とされることができる。
また、本発明マスクブランクスの製造方法は、上記のいずれかに記載されたマスクブランクスの製造方法であって、
前記透明基板に、Crを主成分とする前記ハーフトーン層を積層する成膜工程を有することができる。
本発明のマスクブランクスの製造方法においては、前記エッチングストップ層を積層する工程と、
前記遮光層を積層する工程と、を有することができる。
また、本発明のハーフトーンマスクの製造方法は、上記の製造方法で製造されたマスクブランクスを用いてハーフトーンマスクを製造する方法であって、
所定のパターンを有するマスクによって前記ハーフトーン層をパターニングする工程と、
前記マスクを除去する洗浄工程と、
を有することが好ましい。
本発明のハーフトーンマスクの製造方法においては、前記洗浄工程において、
洗浄液として、硫酸過水、あるいは、オゾン水を用いることができる。
本発明のハーフトーンマスクは、
上記の製造方法により製造されたことができる。
本発明のマスクブランクスの製造装置においては、上記のいずれかに記載されたマスクブランクスの製造方法に用いる製造装置であって、
前記透明基板に前記元ハーフトーン層を成膜する成膜部と、
前記元ハーフトーン層を酸化処理する酸化処理部と、を有し、
前記酸化処理部には、前記酸化処理ガスを励起して供給可能な励起ガス供給部が備えられることができる。
本発明のマスクブランクスの製造装置においては、上記のマスクブランクスの製造方法に用いる製造装置であって、
前記透明基板に前記ハーフトーン層を成膜する成膜部を有し、
前記成膜部には、酸化処理ガスを励起して供給可能な励起ガス供給部が備えられることができる。
該透明基板の表面に積層されたCrを主成分とするハーフトーン層と、
前記ハーフトーン層に積層されたエッチングストップ層と、
前記エッチングストップ層に積層されたCrを主成分とする遮光層と、を備えるマスクブランクスであって、
前記ハーフトーン層が、厚さ方向の最表面位置に酸素の組成比がクロムの組成比と窒素の組成比より高い耐薬層と、厚さ方向の前記透明基板に近接する位置に酸素の組成比がクロムの組成比と窒素の組成比より低く光学特性を担保する光学特性層と、を有する。
これにより、下置きのハーフトーンマスクとして、耐薬層が酸素の組成比がクロムの組成比と窒素の組成比より高く形成されたことによって、この耐薬層によってマスクの洗浄工程における耐薬性を保持することができる。したがって、洗浄工程におけるハーフトーン層の光学特性の変動を抑制して、マスクブランクスから製造したハーフトーンマスクとしての光学特性の変動を抑制することが可能となる。
同時に、光学特性層が酸素の組成比がクロムの組成比と窒素の組成比より低く形成されたことによって、この光学特性層によって、マスクブランクスから製造したハーフトーンマスクとしての必要な光学特性をハーフトーン層が維持することが可能となる。
該透明基板の表面に積層されたCrを主成分とする遮光層と、
前記遮光層に積層されたCrを主成分とするハーフトーン層と、を備えるマスクブランクスであって、
前記ハーフトーン層が、厚さ方向の最表面位置に酸素の組成比がクロムの組成比と窒素の組成比より高い耐薬層と、厚さ方向の前記透明基板に近接する位置に酸素の組成比がクロムの組成比と窒素の組成比より低く光学特性を担保する光学特性層と、を有する。
これにより、上置きのハーフトーンマスクとして、耐薬層が酸素の組成比がクロムの組成比と窒素の組成比より高く形成されたことによって、この耐薬層によってマスクの洗浄工程における耐薬性を保持することができる。したがって、洗浄工程におけるハーフトーン層の光学特性の変動を抑制して、マスクブランクスから製造したハーフトーンマスクとしての光学特性の変動を抑制することが可能となる。
同時に、光学特性層が酸素の組成比がクロムの組成比と窒素の組成比より低く形成されたことによって、この光学特性層によって、マスクブランクスから製造したハーフトーンマスクとしての必要な光学特性をハーフトーン層が維持することが可能となる。
これにより、洗浄工程における耐薬性と、光学特性の変動抑制とを同時に維持することの可能なハーフトーン層を有するマスクブランクスとすることが可能となる。
前記耐薬層における酸素の組成比が、前記光学特性層における最も小さい酸素の組成比に比べて4倍より大きく設定される。
これにより、洗浄液に曝されるハーフトーン層の表面における充分な耐薬性と、パターン形成にともなう洗浄工程後におけるハーフトーン層としての光学特性の変動抑制とを同時に維持することの可能なハーフトーン層を有するマスクブランクスとすることが可能となる。
1.3×103Ω/sq以下に設定される。
これにより、シート抵抗を設定することで、ハーフトーン層において露光光の波長による透過率の差を小さくすることができる。このように、露光光の波長による透過率の差が発生することを抑制して、複合波長の露光光への対応を容易におこなうことが可能なハーフトーンマスクを提供可能とすることができる。
Crを主成分とする元ハーフトーン層を積層する成膜工程と、
前記成膜工程において成膜された前記元ハーフトーン層を酸化して前記ハーフトーン層とする酸化処理工程と、を有する。
これにより、成膜工程によって、従来から知られているCrを主成分とする膜の成膜条件を用いて、所望の光学特性を有する元ハーフトーン層を容易に形成することができる。その後、酸化処理工程によって、元ハーフトーン層を酸化することで、厚さ方向の最表面位置に酸素の組成比がクロムの組成比と窒素の組成比より高い耐薬層と、厚さ方向の前記透明基板に近接する位置に酸素の組成比がクロムの組成比と窒素の組成比より低く光学特性を担保する光学特性層と、を有するハーフトーン層を形成することができる。
この際、充分な耐薬性を有する耐薬層を形成しつつ、ハーフトーンマスクとしての必要な光学特性を維持したハーフトーン層を形成することが可能となる。
具体的には、厚さ方向の最表面位置に酸素の組成比がクロムの組成比と窒素の組成比より高い耐薬層を形成した際に、厚さ方向の前記透明基板に近接する位置に酸素の組成比が元ハーフトーン層と同程度で光学特性を担保する光学特性層を形成することができる。
さらに、このようなハーフトーン層を遮光層の上に積層する上置きのハーフトーンマスクを提供することもできる。あるいは、このようなハーフトーン層の上にエッチングストップ層と遮光層とを順に積層する下置きのハーフトーンマスクを提供することも可能である。
前記透明基板に、Crを主成分とする元ハーフトーン層を積層する成膜工程と、
前記成膜工程において成膜された前記元ハーフトーン層を酸化して前記ハーフトーン層とする酸化処理工程と、を有する。
これにより、成膜工程によって、従来から知られているCrを主成分とする膜の成膜条件を用いて、所望の光学特性を有する元ハーフトーン層を透明基板に容易に形成することができる。その後、酸化処理工程によって、元ハーフトーン層を酸化することで、厚さ方向の最表面位置に酸素の組成比がクロムの組成比と窒素の組成比より高い耐薬層と、厚さ方向の前記透明基板に近接する位置に酸素の組成比がクロムの組成比と窒素の組成比より低く光学特性を担保する光学特性層と、を有するハーフトーン層を形成することができる。
この際、充分な耐薬性を有する耐薬層を形成しつつ、ハーフトーンマスクとしての必要な光学特性を維持したハーフトーン層を形成することが可能となる。
具体的には、厚さ方向の最表面位置に酸素の組成比がクロムの組成比と窒素の組成比より高い耐薬層を形成した際に、厚さ方向の前記透明基板に近接する位置に酸素の組成比が元ハーフトーン層と同程度で光学特性を担保する光学特性層を形成することができる。
これにより、耐薬層を形成した際に、元ハーフトーン層における厚さ方向の前記透明基板に近接する位置において、酸素の組成比を元ハーフトーン層と同程度となるように維持することが可能となる。したがって、光学特性を担保する光学特性層を形成することができる。
これにより、元ハーフトーン層の酸化状態を制御して、充分な耐薬性を有する耐薬層を形成可能とするとともに、その際、元ハーフトーン層における厚さ方向の前記透明基板に近接する位置において、酸素の組成比を元ハーフトーン層と同程度となるように制御することが可能となる。
また、酸化処理工程における雰囲気ガスを制御することのみで、上記のマスクブランクスを製造することが可能となる。
Crを主成分とする前記ハーフトーン層を積層する成膜工程を有する。
これにより、ハーフトーン層を成膜する工程において、厚さ方向で酸素の組成比を変動させ、耐薬層と光学特性層とを有するハーフトーン層を形成することが可能となる。
この際、成膜工程における雰囲気ガスを制御することのみで、上記のマスクブランクスを製造することが可能となる。
さらに、このようなハーフトーン層を遮光層の上に積層する上置きのハーフトーンマスクを提供することもできる。あるいは、このようなハーフトーン層の上にエッチングストップ層と遮光層とを順に積層する下置きのハーフトーンマスクを提供することも可能である。
前記透明基板に、Crを主成分とする前記ハーフトーン層を積層する成膜工程を有する。
これにより、ハーフトーン層を成膜する工程において、厚さ方向で酸素の組成比を変動させ、耐薬層と光学特性層とを有するハーフトーン層を形成することが可能となる。
この際、成膜工程における雰囲気ガスを制御することのみで、上記のマスクブランクスを製造することが可能となる。
前記遮光層を積層する工程と、を有する
これにより、充分な耐薬性と、所望の光学特性とを有するハーフトーンマスクを製造することが可能となる。
ここで、充分な選択性を有するエッチングストップ層として、エッチングストップ能を呈して、所望のパターン形状を有するハーフトーンマスクを製造することが可能となる。
所定のパターンを有するマスクによって前記ハーフトーン層をパターニングする工程と、
前記マスクを除去する洗浄工程と、
を有する。
これにより、洗浄液に曝されるハーフトーン層の表面における充分な耐薬性と、パターン形成にともなう洗浄工程後におけるハーフトーン層としての光学特性の変動抑制とを同時に維持することの可能な光学特性層とを有するハーフトーン層を備えたマスクブランクスによって、所望のパターンと所望の光学特性層とを有するハーフトーンを製造することができる。
洗浄液として、硫酸過水、あるいは、オゾン水を用いる。
洗浄工程において、耐薬層によって光学特性の変動を抑制した状態を維持することができるとともに、この洗浄工程において必要な洗浄を行ってハーフトーン層の表面における異物やフォトマスクを除去することができる。
これにより、所望の光学特性を有するハーフトーンマスクとすることができる。
前記元ハーフトーン層を成膜する成膜部と、
前記元ハーフトーン層を酸化処理する酸化処理部と、を有し、
前記酸化処理部には、前記酸化処理ガスを励起して供給可能な励起ガス供給部が備えられる。
これにより、耐薬層を形成した際に、元ハーフトーン層における厚さ方向の前記透明基板に近接する位置において、酸素の組成比を元ハーフトーン層と同程度となるように維持するとともに、光学特性を担保する光学特性層を有するマスクブランクスを製造することが可能となる。
前記透明基板に前記元ハーフトーン層を成膜する成膜部と、
前記元ハーフトーン層を酸化処理する酸化処理部と、を有し、
前記酸化処理部には、前記酸化処理ガスを励起して供給可能な励起ガス供給部が備えられる。
これにより、耐薬層を形成した際に、元ハーフトーン層における厚さ方向の前記透明基板に近接する位置において、酸素の組成比を元ハーフトーン層と同程度となるように維持するとともに、光学特性を担保する光学特性層を有するマスクブランクスを製造することが可能となる。
前記ハーフトーン層を成膜する成膜部を有し、
前記成膜部には、酸化処理ガスを励起して供給可能な励起ガス供給部が備えられることができる。
これにより、耐薬層を形成した際に、元ハーフトーン層における厚さ方向の前記透明基板に近接する位置において、酸素の組成比を元ハーフトーン層と同程度となるように維持するとともに、光学特性を担保する光学特性層を有するマスクブランクスの製造することが可能となる。
前記透明基板に前記ハーフトーン層を成膜する成膜部を有し、
前記成膜部には、酸化処理ガスを励起して供給可能な励起ガス供給部が備えられることができる。
これにより、耐薬層を形成した際に、元ハーフトーン層における厚さ方向の前記透明基板に近接する位置において、酸素の組成比を元ハーフトーン層と同程度となるように維持するとともに、光学特性を担保する光学特性層を有するマスクブランクスの製造することが可能となる。
図1は、本実施形態におけるマスクブランクスを示す断面図であり、図において、符号MBは、マスクブランクスである。
マスクブランクスMBは、図1に示すように、透明基板Sと、この透明基板S上に形成されたハーフトーン層11と、ハーフトーン層11上に形成されたエッチングストップ層12と、このエッチングストップ層12上に形成された遮光層13とで構成される。
ハーフトーン層11においては、光学特性層11bによって、ハーフトーンマスクとしての使用に耐えうる特性を有する。
したがって、耐薬層11aと光学特性層11bとの間に、明確な境界面は形成されていない。
ハーフトーン層11において、耐薬層11aにおける最も大きい酸素の組成比が、光学特性層11bにおける最も小さい酸素の組成比に比べて5倍より大きく設定される。
ハーフトーン層11において、耐薬層11aにおける最も大きい酸素の組成比が、光学特性層11bにおける最も小さい酸素の組成比の6倍よりやや小さい程度に設定される。
耐薬層11aにおいても、厚さ方向において、エッチングストップ層12に近接する最表面位置から透明基板Sに近接する位置に向けて、酸素の組成比が減少する。
光学特性層11bにおいても、厚さ方向において、エッチングストップ層12に近接する耐薬層11a位置から透明基板Sに近接する位置に向けて、酸素の組成比が減少する。
また、光学特性層11bにおける酸素の組成比が最も小さい位置は、透明基板Sに近接する位置に設定される。
エッチングストップ層12は、高窒素領域と、高窒素領域よりもハーフトーン層11に近接する低窒素領域とをあわせた膜厚が、15nm以上40nm以下となるように設定されている。
遮光層13は、所定の光学特性が得られる厚み(例えば、80nm~200nm)で形成される。
本実施形態のハーフトーンマスクMは、図2に示すように、マスクブランクスMBにおいて、透過領域M1と、ハーフトーン領域M2と、遮光領域M3と、を有する。
ハーフトーン領域M2は、マスクブランクスMBにおけるハーフトーン層11からパターン形成されたハーフトーンパターン11pのみがガラス基板(透明基板)Sに形成されている領域とされる。
図3は、本実施形態におけるマスクブランクスを製造する製造装置を示す模式図である。
搬送手段S11aは、外部から搬入されたガラス基板Sを成膜室S12へと搬送する。 排気手段S11bは、ロード・アンロード室S11の内部を粗真空引きするロータリーポンプ等とされる。
ロード・アンロード室S11は、密閉手段S17を介して成膜室S12に接続される。
基板保持手段S12aは、また、ガラス基板Sをロード・アンロード室S11から搬入可能とされている。基板保持手段S12aは、また、ガラス基板Sをロード・アンロード室S11へ搬出可能とされている。
電源S12dは、ターゲットS12bを有するカソード電極(バッキングプレート)S12cに負電位のスパッタ電圧を印加する。
高真空排気手段S12fは、成膜室S12の内部を高真空引きするターボ分子ポンプ等である。
これらカソード電極(バッキングプレート)S12c、電源S12d、ガス導入手段S12e、高真空排気手段S12fは、少なくともハーフトーン層11を成膜する材料を供給するための構成である。
成膜室S12は、密閉手段S18を介して酸化処理室S13に接続される。
基板保持手段S13aは、また、ガラス基板Sを成膜室S12から搬入可能とされている。基板保持手段S13aは、また、ガラス基板Sを成膜室S12へ搬出可能とされている。
高真空排気手段S13fは、酸化処理室S13の内部を高真空引きするターボ分子ポンプ等である。
ガス励起手段S13rは、ガス導入手段S13eから酸化処理室S13の内部に供給するガスを励起して、励起酸化ガスとする。
ガス励起手段S13rは、基板保持手段S13aによって保持されたガラス基板Sに励起酸化ガスを向けて噴出可能とされる。
これらガス励起手段S13r、ガス導入手段S13e、高真空排気手段S13fは、元ハーフトーン層11Aを酸化処理するための構成である。
また、ガス励起手段S13r、ガス導入手段S13eは、励起ガス供給部である。
図4に示す製造装置S20は、インライン式のスパッタリング装置および酸化処理可能な装置とされる。製造装置S20は、ロード室S21と、成膜室(真空処理室、成膜部)S22と、酸化処理室(酸化処理部)S23と、アンロード室S25と、を有するものとされる。
搬送手段S21aは、外部から搬入されたガラス基板Sを成膜室S22へと搬送する。 排気手段S21bは、ロード室S21の内部を粗真空引きするロータリーポンプ等とされる。
ロード室S21は、密閉手段S27を介して成膜室(真空処理室)S22に接続される。
基板保持手段S22aは、また、ガラス基板Sをロード室S21から搬入可能とされている。基板保持手段S22aは、また、ガラス基板Sを酸化処理室(酸化処理部)S23へ搬出可能とされている。
カソード電極(バッキングプレート)S22c、電源S22d、ガス導入手段S22e、高真空排気手段S22fは、ハーフトーン層11他等を成膜する材料を供給するための構成である。
ガス導入手段S22eは、成膜室S22の内部にガスを導入する。
高真空排気手段S22fは、成膜室S22の内部を高真空引きするターボ分子ポンプ等である。
成膜室S22は、密閉手段S28を介して酸化処理室(酸化処理部)S23に接続される。
基板保持手段S23aは、また、ガラス基板Sを成膜室S22から搬入可能とされている。基板保持手段S23aは、また、ガラス基板Sをアンロード室S25へ搬出可能とされている。
高真空排気手段S23fは、酸化処理室S23の内部を高真空引きするターボ分子ポンプ等である。
ガス励起手段S23rは、ガス導入手段S23eから酸化処理室S23の内部に供給するガスを励起して、励起酸化ガスとする。
ガス励起手段S23rは、基板保持手段S23aによって保持されたガラス基板Sに励起酸化ガスを向けて噴出可能とされる。
ガス励起手段S23r、ガス導入手段S23eは、励起ガス供給部である。
酸化処理室(酸化処理部)S23は、密閉手段S28を介してアンロード室S25に接続される。
本実施形態におけるマスクブランクスMBの製造方法は、図5に示すように、基板準備工程S00と、元ハーフトーン層成膜工程S01aと、酸化処理工程S01bと、エッチングストップ層成膜工程S02と、遮光層成膜工程S03と、を有する。
ロード室S21では、搬送手段S21aによって透明基板Sを支持し、ロード室S21を密閉した後、排気手段S21bによりロード室S21の内部を粗真空引きする。
成膜室S22では、密閉手段S27を密閉する。
成膜室(真空処理室)S22において、基板保持手段S22aによって透明基板Sを保持する。
このとき、成膜する元ハーフトーン層11Aは、後述の図19に示すように、厚さ方向において、所定の酸素の組成比、炭素の組成比、窒素の組成比、クロムの組成比をそれぞれ有することができる。
透明基板Sには元ハーフトーン層11Aが成膜されている。
酸化処理室S23では、密閉手段S28を密閉する。
酸化処理室S23において、基板保持手段S23aによって、透明基板Sを保持する。
同時に、ガス励起手段S23rによってガス導入手段S23eから酸化処理室S23の内部に供給するガスを励起して、プラズマ、ラジカル、イオン等の励起酸化ガスとする。
励起酸化ガスを吹き付けられた元ハーフトーン層11Aは酸化されて、後述の図20に示すように、厚さ方向において、所定の酸素の組成比、炭素の組成比、窒素の組成比、クロムの組成比をそれぞれ有するハーフトーン層11となる(図8)。
耐薬層11aは、上述したように酸素の組成比がクロムの組成比と窒素の組成比より高く形成される。
また、光学特性層11bは、上述したように酸素の組成比がクロムの組成比と窒素の組成比より低く形成される。
O2> H2O > CO2 > CO > N2O >NO
の順に小さくなるため、クロムの酸化状態を精密に制御するためには、NOガスを用いることが好ましい。
ここで、酸化能がNOガスよりも強いCO2ガスを用いた際の組成比を後述の図21に示す。
図11~図18は、本実施形態におけるマスクブランクスによるハーフトーンマスクの製造工程を示す断面図である。
フォトレジストパターンPR1pは、遮光層13,エッチングストップ層12、ハーフトーン層11のエッチングマスクとして機能し、これらの各層11,12,13のエッチングパターンに応じて適宜形状が定められる。
一例として、フォトレジストパターンPR1pは、ガラス基板Sが露出した透過領域M1を除き、ハーフトーン領域M2と遮光領域M3とに対応した形状に設定される。
このとき、クロムを含有する遮光層13、ハーフトーン層11のエッチングでは、クロムエッチャント、たとえば、硝酸セリウム第2アンモニウムを含むエッチング液を用いることができる。
これにより、遮光層透過パターン13p0、エッチングストップ層透過パターン12p0、ハーフトーンパターン11pを形成する(図13)。
洗浄液として、硫酸過水、あるいは、オゾン水を用いることができる。
この状態のマスクブランクスMBでは、遮光層透過パターン13p0、エッチングストップ層透過パターン12p0、ハーフトーンパターン11pが成膜された領域と、ガラス基板Sが露出した透過領域M1とを有する(図14)。
フォトレジスト層PR2は、ポジ型でもよいしネガ型でもよいが、ポジ型とすることができる。フォトレジスト層PR2としては、液状レジストが用いられる。
フォトレジストパターンPR2pは、遮光層透過パターン13p0、エッチングストップ層透過パターン12p0のエッチングマスクとして機能する。
一例として、フォトレジストパターンPR2pは、ハーフトーン領域M2においては、形成する遮光パターン13p、エッチングストップパターン12pの開口幅寸法に対応した開口幅を有する形状に設定される。
クロムニウムを主成分とする遮光層透過パターン13p0を用いる場合においては、エッチング液としては、硝酸セリウム第2アンモニウムを含むエッチング液を用いることができる。
エッチング液として硝酸第2セリウムアンモニウムと過塩素酸の混合液を用いることが一般的である。
遮光パターン13pは、フォトレジストパターンPR2pに対応した開口幅を有し、ハーフトーン領域M2に対応する形状に除去される。遮光パターン13pは、遮光領域M3に対応する形状に形成される(図17)。
洗浄液として、硫酸過水、あるいは、オゾン水を用いることができる。
このとき、遮光パターン13pの積層された遮光領域M3では、洗浄水がハーフトーンパターン11pに接触しない。これに対し、ハーフトーン領域M2においては、洗浄水がハーフトーンパターン11pに接触する。
耐薬層11aは、上述した酸素等の組成比を有することにより、硫酸過水やオゾン水とされる洗浄液に対して、耐薬性を有する。このため、耐薬層11aは、洗浄工程S05eにおいて、洗浄液による膜厚や光学特性の変化が光学特性層11bに生じることを防止する。
これにより、ハーフトーンパターン11pにおいて、光学特性層11bによって光学特性を担保することができる。
ここで、遮光層透過パターン13p0とエッチングストップ層透過パターン12p0のみをエッチングすることで、ハーフトーン層11のみのパターンを形成することも可能である。
また、元ハーフトーン層成膜工程S01aによって元ハーフトーン層11Aを成膜し、酸化処理工程S01bによって元ハーフトーン層11Aを酸化処理することで、耐薬性と光学特性の変動抑制とを有するハーフトーン層11が形成可能とされることができる。
これにより、従来の製造工程に酸化処理工程S01bを追加するだけで、所望の光学特性を備えたハーフトーンマスクMを製造することができる。
図26~図37は、本実施形態におけるハーフトーンマスクの製造方法を示す工程図であり、図38は、本実施形態におけるマスクブランクス、ハーフトーンマスクの製造方法を示すフローチャートである。
本実施形態において、上述した第1実施形態と異なるのは、ハーフトーン層の積層位置に関する点であり、これ以外の上述した第1実施形態と対応する構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
遮光層13は、遮光パターン13pとされていてもよい。
ハーフトーン層11における組成比は、上述した第1実施形態と同様の構成とされる。
ハーフトーン領域M2は、マスクブランクスMBにおけるハーフトーン層11からパターン形成されたハーフトーンパターン11pのみがガラス基板(透明基板)Sに形成されている領域とされる。
その後、図4に示すアンロード室S25を経て、ガラス基板Sを外部に搬出する。
フォトレジストパターンPR1pは、遮光層13のエッチングマスクとして機能し、遮光層13のエッチングパターンに応じて適宜形状が定められる。
一例として、フォトレジストパターンPR1pは、ガラス基板Sが露出した透過領域M1とハーフトーン領域M2とを除き、遮光領域M3とに対応した形状に設定される。
このとき、クロムを含有する遮光層13のエッチングでは、クロムエッチャント、たとえば、硝酸セリウム第2アンモニウムを含むエッチング液を用いることができる。
この状態のマスクブランクスMBでは、遮光パターン13pが形成された遮光領域M3と、ガラス基板Sが露出した領域M1,M2とを有する(図31)。
図38に示す元ハーフトーン層成膜工程S013aにおいては、図4に示す成膜室(真空処理室)S22において、ガス導入手段S22eから成膜室S22にスパッタガスと反応ガスとを供給し、外部の電源からバッキングプレート(カソード電極)S22cにスパッタ電圧を印加する。また、マグネトロン磁気回路によりターゲットS22b上に所定の磁場を形成してもよい。
このとき、成膜する元ハーフトーン層11Aは、厚さ方向において、所定の酸素の組成比、炭素の組成比、窒素の組成比、クロムの組成比をそれぞれ有することができる。
透明基板Sには元ハーフトーン層11Aが成膜されている。酸化処理室S23において、基板保持手段S23aによって、透明基板Sを保持する。
同時に、ガス励起手段S23rによってガス導入手段S23eから酸化処理室S23の内部に供給するガスを励起して、プラズマ、ラジカル、イオン等の励起酸化ガスとする。
励起酸化ガスを吹き付けられた元ハーフトーン層11Aは酸化されて、厚さ方向において、所定の酸素の組成比、炭素の組成比、窒素の組成比、クロムの組成比をそれぞれ有するハーフトーン層11となる(図33)。
耐薬層11aは、上述したように酸素の組成比がクロムの組成比と窒素の組成比より高く形成される。
また、光学特性層11bは、上述したように酸素の組成比がクロムの組成比と窒素の組成比より低く形成される。
O2> H2O > CO2 > CO > N2O >NO
の順に小さくなるため、クロムの酸化状態を精密に制御するためには、NOガスを用いることが好ましい。
1.3×103Ω/sq以下に設定する。
さらに、ハーフトーン層11のシート抵抗を、
7.0×102Ω/sq以上に設定することもできる。
その後、図4に示すアンロード室S25を経て、ガラス基板Sを外部に搬出する。
フォトレジスト層PR2は、ポジ型でもよいしネガ型でもよいが、ポジ型とすることができる。フォトレジスト層PR2としては、液状レジストが用いられる。
フォトレジストパターンPR2pは、ハーフトーン層11のエッチングマスクとして機能する。
フォトレジストパターンPR2pは、ガラス基板Sを露出する透過領域M1を除き、ハーフトーン領域M2と遮光領域M3とに対応した形状に設定される。
クロムニウムを主成分とするハーフトーン層11を用いる場合においては、エッチング液としては、硝酸セリウム第2アンモニウムを含むエッチング液を用いることができる。
エッチング液として硝酸第2セリウムアンモニウムと過塩素酸の混合液を用いることが一般的である。
ハーフトーンパターン11pは、フォトレジストパターンPR2pに対応した開口形状を有し、ハーフトーン領域M2および遮光領域M3に対応する形状に除去される。ハーフトーンパターン11pは、透過領域M1に対応する形状に形成される(図36)。
洗浄液として、硫酸過水、あるいは、オゾン水を用いることができる。
このとき、遮光領域M3およびハーフトーン領域M2においては、洗浄水がハーフトーンパターン11pに接触する。
耐薬層11aは、上述した酸素等の組成比を有することにより、硫酸過水やオゾン水とされる洗浄液に対して、耐薬性を有する。このため、耐薬層11aは、洗浄工程S014dにおいて、洗浄液による膜厚や光学特性の変化が光学特性層11bに生じることを防止する。
これにより、ハーフトーンパターン11pにおいて、光学特性層11bによって光学特性を担保することができる。
なお、ハーフトーン層11のシート抵抗と、ハーフトーン領域M2における露光光の波長差に起因して生じる透過率の差と、の関係は、後述するように図39に示す。
まず、マスクを形成するためのガラス基板上に、半透過性のハーフトーン膜を形成する。
ここでは、まず従来と同様のクロムニウム、酸素、窒素、炭素等の組成比を有する膜として成膜した後、酸化処理をおこなう。
この際に遮光層の反射率を低減するために酸素濃度を高めた屈折率が低い反射防止層を遮光層表面に形成する。このように、金属シリサイド膜をエッチングストップ層とした下置き構造のハーフトーンマスクブランクスを形成する。
ここでモリブデンシリサイド膜をエッチングするために用いたエッチング液は、フッ化水素酸と酸化剤を含む溶液である。
また、ハーフトーン層11の透過率が40%以上等のように、透過率を高く設定する場合には、ハーフトーン層11の膜厚を薄く設定する必要がある。このために、ハーフトーン層11の薬液耐性が低いと透過率の変化も大きくなってしまうために、より高い薬液耐性が求められる。
FPDにおけるパネルの露光工程においては、露光の処理速度が非常に重要であるので、露光工程においては半導体における露光工程と違い多波長の光が用いられる。
このため、これまでハーフトーン膜として比較的あまり酸化がされていない金属的なクロムニウム膜を用いることが一般的である。
実験例1として、従来用いていたハーフトーン膜と変わらない同じ組成比を有するハーフトーン膜を形成した。
成膜したハーフトーン膜に酸化処理をおこなわないで、このハーフトーン膜をオージェ電子分光法を用いて組成評価を行った。
その結果を図19に示す。
なお、図19に組成評価を示したハーフトーン膜を、上述した元ハーフトーン層11Aとすることができる。
実験例2として、実験例1と同じハーフトーン膜を形成した後に、NOガスを用いて酸化処理を行った。
この場合も、実験例1と同様に、酸化処理した後のハーフトーン膜を、オージェ電子分光法を用いて組成評価を行った。
その結果を図20に示す。
実験例3として、実験例1と同じハーフトーン膜を形成した後に、CO2ガスを用いて酸化処理を行った。
この場合も、実験例1と同様に、酸化処理した後のハーフトーン膜を、オージェ電子分光法を用いて組成評価を行った。
その結果を図21に示す。
なお、実験例2,実験例3のようにNOガスおよびCO2ガスを用いて酸化処理を行うことで、ハーフトーン膜の膜厚が増加しており、対応するハーフトーン膜の厚さ方向位置を図19~図22にそれぞれ矢印で示している。
これはCO2ガスをプラズマで励起した場合の酸化力が、NOガスと比較して高いためであると考えられる。
これらの結果を表1に示す。
実験例4として、ハーフトーン膜における表面酸素濃度を変化させ、ハーフトーン膜の表面酸素濃度と硫酸過水洗浄前後での透過率変化との関係を調査した。
その結果を図22に示す。
実験例5として、ハーフトーン膜の表面窒素濃度と硫酸過水洗浄前後での透過率変化との関係を調査した。
その結果を図23に示す。
なお、好ましい組成比の範囲をそれぞれ図22、図23に示す。
実験例4と同様に、ハーフトーン膜における表面酸素濃度を変化させ、実験例6として、ハーフトーン膜の表面酸素濃度と、g線およびi線でのそれぞれの透過率の差との関係を調査した。
その結果を図24に示す。
実験例5と同様に、ハーフトーン膜における表面窒素濃度を変化させ、実験例7として、ハーフトーン膜の表面窒素濃度と、g線およびi線でのそれぞれの透過率の差との関係を調査した。
その結果を図25に示す。
実験例6,7の結果から検討すると、上記の基準を満たすハーフトーン膜表面の酸素濃度が55%以下、窒素濃度は15%以上が望ましいことがわかった。
なお、好ましい組成比の範囲をそれぞれ図24、図25に示す。
このハーフトーン膜を下置きハーフトーンマスクに適用することでマスク製造工程で必要となる薬液処理を行っても透過率の変化が少なく、かつ透過率の波長依存性の小さいハーフトーンマスクを得ることが可能なことがわかる。
これにより、薬液耐性が強く、かつ、透過率の波長依存性の少ない上置き型のハーフトーンマスクを製造することが可能である。
この場合、成膜室S12,S22に酸化処理ガスを供給可能な酸化処理ガス供給部を設けることが可能であり、酸化処理室S13,S23を設けないことができる。
実験例8として、実験例1~7と同じハーフトーン膜を形成した後に、NOガス等を用いて酸化処理を行った。さらに、酸化処理した後のハーフトーン膜において、シート抵抗を測定した。
この実験例8では、酸化条件を変化させて、シート抵抗を0.7×103Ω/sq~1.3×103Ω/sqの範囲で変化させた。
g線透過率-i線透過率
の差の値(ΔT(g-i line)(%))を算出した。
その結果を図39に示す。
しかも、本発明のハーフトーン膜はウエットエッチングの前後において、透過率差の変化を抑制できることが判明した。
M…ハーフトーンマスク
M1…透過領域
M2…ハーフトーン領域
M3…遮光領域
S…ガラス基板(透明基板)
PR2,PR2…フォトレジスト層
PR1p、PR2p…フォトレジストパターン
11…ハーフトーン層
11a…耐薬層
11b…光学特性層
11A…元ハーフトーン層
11p…ハーフトーンパターン
12…エッチングストップ層
12p0…エッチングストップ層透過パターン
12p…エッチングストップパターン
13…遮光層
13p0…遮光層透過パターン
13p…遮光パターン
Claims (13)
- 透明基板と、
該透明基板の表面に積層されたCrを主成分とするハーフトーン層と、
前記ハーフトーン層に積層されたエッチングストップ層と、
前記エッチングストップ層に積層されたCrを主成分とする遮光層と、を備えるマスクブランクスであって、
前記ハーフトーン層が、厚さ方向の最表面位置に酸素の組成比がクロムの組成比と窒素の組成比より高い耐薬層と、厚さ方向の前記透明基板に近接する位置に酸素の組成比がクロムの組成比と窒素の組成比より低く光学特性を担保する光学特性層と、を有する
ことを特徴とするマスクブランクス。 - 透明基板と、
該透明基板の表面に積層されたCrを主成分とする遮光層と、
前記遮光層に積層されたCrを主成分とするハーフトーン層と、を備えるマスクブランクスであって、
前記ハーフトーン層が、厚さ方向の最表面位置に酸素の組成比がクロムの組成比と窒素の組成比より高い耐薬層と、厚さ方向の前記透明基板に近接する位置に酸素の組成比がクロムの組成比と窒素の組成比より低く光学特性を担保する光学特性層と、を有する
ことを特徴とするマスクブランクス。 - 前記ハーフトーン層において、厚さ方向の最表面位置から前記透明基板に近接する位置に向けて酸素の組成比が減少する
ことを特徴とする請求項1または2に記載のマスクブランクス。 - 前記ハーフトーン層において、
前記耐薬層における酸素の組成比が、前記光学特性層における最も小さい酸素の組成比に比べて4倍より大きく設定される
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のマスクブランクス。 - 前記ハーフトーン層において、シート抵抗が、
1.3×103Ω/sq以下に設定される
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のマスクブランクス。 - 請求項1から5のいずれかに記載されたマスクブランクスの製造方法であって、
Crを主成分とする元ハーフトーン層を積層する成膜工程と、
前記成膜工程において成膜された前記元ハーフトーン層を酸化して前記ハーフトーン層とする酸化処理工程と、を有する
ことを特徴とするマスクブランクスの製造方法。 - 前記酸化処理工程において、励起した酸化処理ガスにより前記元ハーフトーン層の酸化処理をおこなう
ことを特徴とする請求項6に記載のマスクブランクスの製造方法。 - 前記酸化処理工程の前記酸化処理ガスが窒素酸化物とされる
ことを特徴とする請求項7に記載のマスクブランクスの製造方法。 - 請求項1から5のいずれかに記載されたマスクブランクスの製造方法であって、
Crを主成分とする前記ハーフトーン層を積層する成膜工程を有する
ことを特徴とするマスクブランクスの製造方法。 - 請求項1から5のいずれかに記載されたマスクブランクスを用いてハーフトーンマスクを製造する方法であって、
所定のパターンを有するマスクによって前記ハーフトーン層をパターニングする工程と、
前記マスクを除去する洗浄工程と、
を有する
ことを特徴とするハーフトーンマスクの製造方法。 - 前記洗浄工程において、
洗浄液として、硫酸過水、あるいは、オゾン水を用いることを特徴とする請求項10に記載のハーフトーンマスクの製造方法。 - 請求項6から8のいずれかに記載されたマスクブランクスの製造方法に用いる製造装置であって、
前記元ハーフトーン層を成膜する成膜部と、
前記元ハーフトーン層を酸化処理する酸化処理部と、を有し、
前記酸化処理部には、酸化処理ガスを励起して供給可能な励起ガス供給部が備えられる
ことを特徴とするマスクブランクスの製造装置。 - 請求項9に記載されたマスクブランクスの製造方法に用いる製造装置であって、
前記ハーフトーン層を成膜する成膜部を有し、
前記成膜部には、酸化処理ガスを励起して供給可能な励起ガス供給部が備えられる
ことを特徴とするマスクブランクスの製造装置。
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