JP4446556B2 - 架橋複合粒子の製造法及び架橋複合粒子からなる成形体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂粒子中に架橋重合体が粒子状に分散してなる架橋複合粒子の製造法に関するもので、また、本発明は架橋複合粒子を溶融して得られた成形体、特に板状体に関するものである。このような複合粒子は複合材料として、例えば、光拡散板等の用途に利用することができる。
【0002】
【従来の技術】
従来より、懸濁重合により製造された粒子中に他の粒子が分散した複合粒子については、重合中の相分離現象を利用して樹脂粒子中に他の物質を分散させた複合粒子(特開平10−7704号公報、特開平10−60011号公報等)が知られているが、樹脂粒子中の内部分散物質が架橋粒子ではないため、溶融等により樹脂粒子の形態を変化させた場合には、内部分散物質の粒径、形状等が変化し、複合粒子の形態変化を必要とする用途には使用することができない。また、熱可塑性樹脂中に粒子状の熱硬化性樹脂が分散した樹脂組成物については、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂を押出機等で溶融混練し熱硬化性樹脂を粒子状に分散させた技術(特開平9−194741号公報等)が知られているが、相互に分子量分布を有する樹脂間での相分離現象の利用である上に相分離と同時に架橋反応が進行するため、粒度分布は比較的広いものとなり、また、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂との相分離を十分に進行させることができないという問題点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の課題を背景になされたもので、熱可塑性樹脂粒子(A)の原料となる単量体(a)中に、実質的に樹脂粒子(A)とは相溶しない重合体(B1)を溶解分散させることにおいて重合体(B1)の粒径を制御し、また、重合体(B1)に架橋反応可能な官能基を導入しておくことにより、単量体(a)を重合させ、樹脂粒子(A)中に重合体(B1)が分散した複合粒子を作製した後に、樹脂粒子(A)が溶融しない温度以下で重合体(B1)に架橋反応を進行させ架橋重合体(B)とすることによって、樹脂粒子(A)の形態を変化させた場合にも架橋重合体(B)の粒径、形状を変化させることのない架橋複合粒子の製造法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、熱可塑性樹脂粒子(A)の原料となる単量体(a)100質量部に、この単量体(a)には溶解するが熱可塑性樹脂(A)とは相溶しない架橋反応可能な官能基を有する重合体(B1)を0.05〜20質量部溶解し、単量体(a)を重合させ、次いで重合体(B1)を架橋反応させて架橋重合体(B)とする架橋複合粒子の製造法をも提供するものである。
【0005】
本発明はまた、上記架橋複合粒子を溶融して得られる成形体、板状体、また板状体からなる光拡散板をも提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の熱可塑性樹脂粒子(A)を構成する単量体(a)単位は、一般のビニル化合物で、一種以上のビニル化合物が通常用いられる。ビニル化合物を2種以上用いて共重合体とする場合、互いに共重合可能であれば、特に制限はない。本発明で用いられる重合体(A)を構成するビニル化合物の具体例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸トリフルオロエチル、メタクリル酸トリシクロ[5,2,1,02,6]デカ−8−イルなどのメタクリル酸エステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルなどのアクリル酸エステル類、スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物、N−シクロヘキシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどのN−置換マレイミド類、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル類等を挙げることができる。
【0007】
重合体(B1)の分散状態及び粒径に影響を及ぼす因子は多岐にわたり全てを記載することは不可能であるが、例えば、樹脂粒子(A)の組成、分子量、重合温度、重合時間、重合体(B1)の組成、分子量、樹脂粒子(A)の重合前の単量体への重合体(B1)の溶解量等が挙げられ、これらの組み合わせにより、単量体(a)を重合させた樹脂粒子(A)中に球状に分散した重合体(B1)の粒径を制御することができる。
【0008】
樹脂粒子(A)の分子量は特に制限はなく、樹脂粒子(A)中に分散した重合体(B1)が所望の分散状態および粒径となるよう、相分離現象に影響を及ぼす他の因子と組み合わせて適時選択する。重合体(B1)に架橋反応を進行させた後、樹脂粒子(A)の形態を変化させ成形体にする等の必要性がある場合には、溶融性、強度などの点から、例えば、樹脂粒子(A)がポリメタクリル酸メチルである場合において、重量平均分子量が7万〜50万程度であることが好ましく、7〜30万であることがより好ましく、8〜20万であることがさらに好ましい。 本発明で用いられる重合体(B1)としては、樹脂粒子(A)の原料となる単量体(a)には溶解し、樹脂粒子(A)には相溶しないもので、架橋反応可能な官能基を有するものであればよく、特に制限はないが、重合体(B1)の官能基が、懸濁重合の通常の重合温度で反応してしまうと相分離と架橋反応が同時進行するため好ましくなく、重合体(B1)の官能基が熱により反応する場合は、少なくとも100℃以下では実質的に架橋反応が進まない官能基を選択することが必要である。
【0009】
すなわち、重合体(B1)としては、例えば、エポキシ基と酸基あるいは水酸基を有する不飽和単量体の共重合体が挙げられる。また、架橋反応に関与しない他の単量体が共重合されていても、上記の条件を満たす限り特に問題はない。架橋反応に関与しない共重合可能な他の単量体としては、例えば、重合体(A)で例示した単量体を挙げることができる。エポキシ基含有不飽和化合物の具体例としては、メタクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、エポキシ変性シリコーンオイルなど、酸基含有不飽和化合物の具体例としては、メタクリル酸、アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、カルボキシ変性シリコーンオイルなど、水酸基含有不飽和化合物の具体例としては、ヒドロキシスチレン、メタクリル酸−2ーヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチルなどが挙げられ、樹脂粒子(A)との相溶性、樹脂粒子(A)の原料となる単量体(a)への溶解性、架橋反応可能な官能基の組み合わせ等を考慮して、重合体(B1)の構成成分を選択する。また、本発明で用いられる重合体(B1)中の官能基を有する単量体の割合は、樹脂粒子(A)を溶融させた場合などに重合体(B1)の粒径、形状が変化しない程度以上であれば特に制限はないが、官能基を有する単量体の割合が30質量%を越えると架橋反応進行後に残存する未反応官能基が増え、物性に悪影響を及ぼす傾向が増すため好ましくなく、重合体(B1)の全構成成分100質量部に対して、架橋反応に関与しない単量体が70質量%以上共重合されていることが好ましい。架橋反応に関与しない単量体としては、前記の樹脂粒子(A)を構成する単量体(a)単位として挙げられたビニル化合物のなかで、樹脂粒子(A)を構成する単量体(a)単位とは異なるビニル化合物が挙げられる。
【0010】
また、2種以上の異なる官能基の反応により架橋を進行させる場合、重合体(B1)はそれぞれ1種の官能基を有する重合体の混合物でもよいが、重合体(B1)の分子量分布が相分離現象、ひいては樹脂粒子(A)中で分散する重合体(B1)の粒径制御に影響を与えることから、重合体(B1)は架橋反応に必要な官能基を含有した1種の重合体であることが好ましい。
【0011】
重合体(B1)の分子量は特に制限はなく、樹脂粒子(A)中に分散した重合体(B1)が所望の分散状態および粒径となるよう、相分離現象に影響を及ぼす他の因子と組み合わせて適時選択する。但し、重合体(B1)が高分子量になるにつれて、樹脂粒子(A)の原料となる単量体(a)への溶解が困難となり、また、溶解できた場合でも、相分離終了後に重合体(B1)中に樹脂粒子(A)を構成する重合体の一部が残存してしまう割合が高くなるため、重合体(B1)の重量平均分子量は20万以下であることが好ましい。
【0012】
樹脂粒子(A)中の重合体(B1)の含有量は、樹脂粒子(A)100質量部に対して0.05〜20質量部の範囲である。0.1〜18質量部であることがより好ましく、0.2〜15質量部であることがさらに好ましい。重合体(B1)の含有量が低すぎると樹脂粒子(A)中での重合体(B1)の分散が十分でなく、また、架橋反応を十分に進行させることが困難となる。一方、含有量が高すぎると樹脂粒子(A)と重合体(B1)がうまく相分離せず、重合体(B1)の粒径および粒度分布を制御することが困難となり、極端な場合には、重合体(B1)が球状に相分離せず、さらに極端な場合には重合中に樹脂粒子(A)から重合体(B1)がブリードアウトする現象も認められる。従って上記の範囲内で、重合体(B1)の樹脂粒子(A)の原料となる単量体(a)への溶解量を増加するほど重合体(B1)の粒径は大きくなり、また減少するほど重合体(B1)の粒径は小さくなるため、重合体(B1)の粒径制御因子の1つとして溶解量を挙げることができる。
【0013】
樹脂粒子(A)中の重合体(B1)の平均粒径、ひいては架橋複合粒子中の架橋重合体(B)の平均粒径は、1〜15μmであることが好ましく、1〜12μmであることがより好ましく、1〜8μmであることがさらに好ましい。平均粒径を小さくしすぎると、微小粒子の生成を抑制することが困難となり、重合体(B1)の粒度分布がブロードなものとなり、極端な場合には物性に悪影響を及ぼす。一方、平均粒径を大きくしすぎると、相分離終了のタイミングが重合の遅い時期まで及ぶため、重合体(B1)の粒径および粒度分布を制御することが困難となる。
【0014】
本発明の架橋粒子を製造する過程における、架橋される前の複合粒子を製造する、即ち、熱可塑性樹脂粒子(A)の原料となる単量体(a)を重合させる際に用いる重合開始剤は、ビニル系化合物の重合において用いられる公知の重合開始剤であれば特に制限はなく、具体例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)などのアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートなどの有機過酸化物系重合開始剤等が挙げられる。
【0015】
複合粒子を製造する場合、水系懸濁重合法により製造することが好ましい。水系懸濁重合法により製造する際に用いる懸濁安定剤は特に制限はなく、例えば、ポリメタクリル酸及びその塩、ポリアクリル酸及びその塩、メタクリル酸メチルとアクリル酸の塩との共重合体、メタクリル酸メチルとメタクリル酸のスルホン酸塩との共重合体などの(メタ)アクリル酸誘導体、ポリビニルアルコール及びその変性物、メチルセルロース、エチルセルロースなどのセルロース誘導体、リン酸カルシウム、澱粉末シリカなどの無機粉体等、公知のものが挙げられる。
【0016】
複合粒子を水系懸濁重合法にて製造する方法は、特に制限はなく、バッチ式の反応釜内で、粒子形成から重合完結まで行う一般的な方法、連続的に単量体混合物を造粒機に供給し、所望の大きさの液滴群を有する懸濁液を得る工程と、該造粒機から該懸濁液を取り出し、重合槽中に導き、重合反応を完結させて重合体粒子を得る工程とからなる懸濁重合法(特開平6−157619号公報)、単量体混合物の分散を行う工程から該工程で得られた分散化物を水中に添加して重合させる工程を含む懸濁重合法(特開平6−211907)など公知の方法が挙げられる。加圧容器等を用いて、熱可塑性樹脂粒子(A)の重合終了後に引き続いて反応釜内温度を樹脂粒子(A)中に分散した重合体(B1)の架橋反応が進行する程度まで上昇させ、重合体(B1)の粒径、形状を固定する方法を採用することもできる。
【0017】
このような懸濁重合法を用いて得られる複合粒子の粒径は、懸濁重合法を用いて製造可能な通常の粒子と同じ、およそ1〜1000μmであるが、10〜800μmがより好ましく、50〜700μmがさらに好ましい。大き過ぎる粒子を得ようとする場合には、懸濁重合時に粒子が集塊し固化に至る場合がある。また、通常の懸濁重合法では1μmより小さい粒子を得ることは困難である。
【0018】
複合粒子を水系懸濁重合法にて製造する際の重合温度、重合時間については、重合体(B1)の粒径に影響を及ぼすため、樹脂粒子(A)の組成、重合体(B1)の組成、分子量、溶解量などとの組み合わせと、所望する粒径を加味して重合可能な温度範囲から重合温度を選択し、開始剤量などの選択により重合時間の調整を行う。
【0019】
複合粒子中の重合体(B1)の架橋反応のタイミングについては、樹脂粒子(A)の重合終了後であれば特に制限はなく、例えば、重合体(B1)が熱硬化可能な場合には、樹脂粒子(A)の重合反応終了後、引き続き重合釜内温度を上昇させる方法、樹脂粒子(A)を洗浄、乾燥した後、オーブンを利用する方法などの公知の方法を利用して、重合体(B1)の粒径、形状を固定し架橋重合体(B)とすることができる。また、反応温度、反応時間等については適時選択する。
【0020】
本発明の架橋複合粒子の粒径は、およそ1〜1000μmであるが、10〜800μmがより好ましく、50〜700μmがさらに好ましい。
【0021】
本発明の複合架橋粒子には、目的に応じて公知の添加剤、例えば、染料、顔料などの着色剤、可塑剤、離型剤、紫外線吸収剤などの光安定剤等を添加することが可能である。
【0022】
本発明の内部分散物質として架橋重合体(B)を含有した架橋複合粒子を用いて、樹脂粒子(A)を溶融することにより、架橋重合体(B)の粒径、形状を変化させることなく、架橋重合体(B)が分散した成形体を製造することができる。成形体とするには公知の方法を利用することができ、例えば、押出機等でペレット化した後、射出成形により成形する方法、押出成形により板状化する方法、注型した後、加熱し成形品を得る方法などが挙げられる。成形品の形状としては板状体のものが挙げられる。
【0023】
以上のように、熱可塑性樹脂粒子(A)の組成、分子量、重合温度、重合時間、重合体(B1)の組成、分子量、溶解量などの組み合わせにより、樹脂粒子(A)中に球状に分散した重合体(B1)の粒径を制御することが可能であり、重合体(B1)が架橋反応可能なことにより、相分離により生成した重合体(B1)の粒径、形状を維持したまま、樹脂粒子(A)の形態を変化させることが可能になる。
【0024】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例によって制限されるものではない。なお、実施例及び比較例における物性の評価は、以下に示す方法を用いて行った。
(1)複合粒子及び架橋複合粒子の質量平均粒子径
レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置((株)堀場製作所製、LA−910)を用いて測定した。
(2)架橋複合粒子及び複合粒子中の内部分散物質の分散状態及び平均粒子径
熱可塑性樹脂粒子と同じ屈折率の溶媒(フタル酸ジ−n−ブチル)に架橋複合粒子を浸し、生物顕微鏡(日本光学工業(株)製、OPTIPHOT)を用いて観察した。
(3)重合体(B1)及び複合粒子の重量平均分子量
示差屈折計検出器付きゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC、(株)島津製作所製)を用いて、ポリスチレン換算で測定した。
(4)全光線透過率
3窓積分球式ヘイズメーター((株)日本精密工学製、SEP−H−2)を用いて、JIS K 7105−1981に準拠して測定した。
(5)拡散率
変角光度計((株)村上色彩技術研究所製、ゴニオフォトメーター)を用いて透過光分布(輝度分布)を測定し、次式により拡散率を算出した。
【0025】
拡散率(%)={(20°の輝度値+70°の輝度値)/(2×5°の輝度値)}×100
【0026】
また、実施例及び比較例中の略記号は、以下の化合物を表す。
MMA:メタクリル酸メチル
MA :アクリル酸メチル
St :スチレン
GMA:メタクリル酸グリシジル
MAA:メタクリル酸
【0027】
重合体(1)の製造例1
St1500g、架橋反応可能な官能基を有する単量体としてGMA46.5g、MAA28.5gを混合した単量体混合物に、連鎖移動剤としてn−オクチルメルカプタン7.5g、重合開始剤として過酸化ジベンゾイル(純分75%)40gを加え溶解した。別容器で懸濁安定剤としてメタクリル酸メチルとメタクリル酸2−スルホエチルのナトリウム塩の共重合体(純分3.3%)16.4g、懸濁安定助剤として硫酸ナトリウム15gを脱イオン水6000gに溶解した。両混合物を熱電対、冷却管、撹拌翼を備え付けた10Lセパラブルフラスコに一括で仕込んだ。窒素置換しながら撹拌回転数200rpmで10分間撹拌を行った後、撹拌回転数を400rpmに変更し、窒素雰囲気中で75℃に加熱して重合を開始した。重合発熱ピークを温度記録計で確認した後、90℃で30分間加熱した。得られた球状粒子を洗浄、乾燥し、St/GMA/MAA共重合体を得た。共重合体の重量平均分子量は8.4万であった。
【0028】
重合体(B1)の製造例2
単量体混合物をSt1500g、GMA93g、MAA57g、連鎖移動剤であるn−オクチルメルカプタンを15gとした以外は製造例1と同様にして、St/GMA/MAA共重合体を得た。共重合体の重量平均分子量は10.6万であった。
【0029】
重合体(B1)の製造例3
単量体混合物をSt1500gのみとした以外は製造例1と同様にして、St重合体を得た。重合体の重量平均分子量は6.6万であった。
【0030】
実施例1
MMA11820g、MA180gに、製造例1で得たSt/GMA/MAA共重合体120gを加え溶解した。溶液が透明になったことを確認した後、連鎖移動剤としてn−オクチルメルカプタン24g、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル12g、離型剤としてステアリルアルコール24gを加え溶解した。別容器で懸濁安定剤としてメタクリル酸メチルとメタクリル酸2−スルホエチルのナトリウム塩の共重合体(純分3.3%)73g、懸濁安定助剤として硫酸ナトリウム60gを脱イオン水24000gに溶解した。両混合物を撹拌機、熱電対付きの50Lステンレス製オートクレーブに一括で仕込んだ。窒素置換しながら撹拌回転数100rpmで15分間撹拌を行った後、撹拌回転数を200rpmに変更し、窒素雰囲気中で80℃に加熱して重合を開始した。重合発熱ピークを温度記録計で確認した後、110℃で60分間加熱した。得られた球状粒子を洗浄、乾燥し、MMA/MA共重合体粒子中にSt/GMA/MAA共重合体が粒子状に分散した複合粒子を得た。複合粒子の質量平均粒子径はおよそ400μmであり、重量平均分子量は10.1万であった。次いで、複合粒子をギヤオーブン中で140℃、4時間加熱し、MMA/MA共重合体粒子中にSt/GMA/MAA架橋共重合体が粒子状に分散した架橋複合粒子を得た。架橋複合粒子中の様子を顕微鏡で確認したところ、St/GMA/MAA架橋共重合体は2μm程度で粒子状に微分散していた。架橋複合粒子の質量平均粒子径は、架橋前の複合粒子とほぼ同じである。
【0031】
実施例2
重合発熱ピーク確認後、110℃、60分間加熱し、その後さらにオートクレーブ内温度を140℃に加温して4時間保持した以外は実施例1と同様にして、MMA/MA共重合体粒子中にSt/GMA/MAA架橋共重合体が粒子状に分散した架橋複合粒子を得た。架橋複合粒子の質量平均粒子径はおよそ400μmであり、重量平均分子量は10.2万であった。架橋複合粒子中の様子を顕微鏡で確認したところ、St/GMA/MAA架橋共重合体は2μm程度で粒子状に微分散していた。
【0032】
実施例3
製造例1で得たSt/GMA/MAA共重合体の溶解量を360gとしたこと以外は実施例1と同様にして、MMA/MA共重合体粒子中にSt/GMA/MAA共重合体が粒子状に分散した複合粒子を得た。複合粒子の質量平均粒子径はおよそ400μmであり、重量平均分子量は10.2万であった。次いで、複合粒子をギヤオーブン中で140℃、4時間加熱し、MMA/MA共重合体粒子中にSt/GMA/MAA架橋共重合体が粒子状に分散した架橋複合粒子を得た。架橋複合粒子中の様子を顕微鏡で確認したところ、St/GMA/MAA架橋共重合体は5μm程度で粒子状に微分散していた。架橋複合粒子の質量平均粒子径は、架橋前の複合粒子とほぼ同じであった。
【0033】
実施例4
製造例2で得たSt/GMA/MAA共重合体120gを用いたこと以外は実施例1と同様にして、MMA/MA共重合体粒子中にSt/GMA/MAA共重合体が粒子状に分散した複合粒子を得た。複合粒子の質量平均粒子径はおよそ400μmであり、重量平均分子量は10.1万であった。次いで、複合粒子をギヤオーブン中で140℃、4時間加熱し、MMA/MA共重合体粒子中にSt/GMA/MAA架橋共重合体が粒子状に分散した架橋複合粒子を得た。架橋複合粒子中の様子を顕微鏡で確認したところ、St/GMA/MAA架橋共重合体は3μm程度で粒子状に微分散していた。架橋複合粒子の質量平均粒子径は、架橋前の複合粒子とほぼ同じであった。
【0034】
実施例5
連鎖移動剤としてn−オクチルメルカプタン36g、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル14gとした以外は実施例1と同様にして、MMA/MA共重合体粒子中にSt/GMA/MAA共重合体が粒子状に分散した複合粒子を得た。複合粒子の質量平均粒子径はおよそ380μmであり、重量平均分子量は7.1万であった。次いで、複合粒子をギヤオーブン中で140℃、4時間加熱し、MMA/MA共重合体粒子中にSt/GMA/MAA架橋共重合体が粒子状に分散した架橋複合粒子を得た。架橋複合粒子中の様子を顕微鏡で確認したところ、St/GMA/MAA架橋共重合体は2μm程度で粒子状に微分散していた。架橋複合粒子の質量平均粒子径は、架橋前の複合粒子とほぼ同じであった。
【0035】
比較例1
製造例3で得たSt重合体360gを用いたこと以外は実施例1と同様にして、MMA/MA共重合体粒子中にSt重合体が粒子状に分散した複合粒子を得た。複合粒子の重量平均粒子径はおよそ400μmであり、重量平均分子量は10.1万であった。次いで、複合粒子をギヤオーブン中で140℃、4時間加熱した。複合粒子中の様子を顕微鏡で確認したところ、St重合体は5μm程度で粒子状に微分散していた。
【0036】
比較例2
重合により得られた複合粒子をギヤオーブン中で加熱しないこと以外は実施例3と同様にして、MMA/MA共重合体粒子中にSt/GMA/MAA共重合体が粒子状に分散した複合粒子を得た。複合粒子の質量平均粒子径はおよそ400μmであり、重量平均分子量は10.1万であった。複合粒子中の様子を顕微鏡で確認したところ、St/GMA/MAA共重合体は5μm程度で粒子状に微分散していた。
【0037】
比較例3
製造例1で得たSt/GMA/MAA共重合体の溶解量を3600gとしたこと以外は実施例1と同様にして、MMA/MA共重合体粒子中にSt/GMA/MAA共重合体が分散した複合粒子を得た。複合粒子の質量平均粒子径はおよそ500μmであり、重量平均分子量は10.5万であった。次いで、複合粒子をギヤオーブン中で140℃、4時間加熱し、MMA/MA共重合体粒子中にSt/GMA/MAA架橋共重合体が分散した架橋複合粒子を得た。架橋複合粒子中の様子を顕微鏡で確認したところ、St/GMA/MAA架橋共重合体は粒子状には分散しておらず、複雑な網目状の構造を形成していた。
【0038】
実施例6〜10及び比較例4〜6
実施例1〜5、比較例3で得た架橋複合粒子、及び、比較例1、2で得た複合粒子を、二軸押出機((株)池貝製、PCM−30)にて250℃で混練し、ペレット化した。次いで、この樹脂ペレットを用いて以下に示す成形条件で、射出成形により110mm×110mm×2mm(厚さ)の平板(拡散板)を作製した。
【0039】
成形条件
成形機:日精樹脂(株)製、射出成形機 PS−60E
シリンダー設定温度:250℃
金型設定温度:75℃
射出設定圧力:600〜1000kg/cm2
射出設定速度:50%
射出時間:12秒
冷却時間:20秒
全光線透過率及び拡散率の測定結果、透過型電子顕微鏡(日本電子(株)製、JEM−100S)で観察した平板中の内部分散物質の分散状況と平均粒子径を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
【発明の効果】
本発明により、熱可塑性樹脂粒子中に架橋重合体が粒子状に分散した架橋複合粒子を製造することが可能になり、熱可塑性樹脂粒子の形態を変化させた場合にも内部分散物質の粒径を変化させることなく使用することが可能になり、結果として成形物の全光線透過率の低下を防止することができる。また、内部分散物質の平均粒子径を熱可塑性樹脂粒子の組成、分子量、重合温度、重合時間、内部分散物質の組成、分子量、樹脂粒子の重合前の単量体への内部分散物質の溶解量などの組み合わせにより制御することが可能になる。
Claims (6)
- 熱可塑性樹脂粒子(A)の原料となる単量体(a)100質量部に、この単量体(a)には溶解するが熱可塑性樹脂粒子(A)とは相溶しない架橋反応可能な官能基を有する重合体(B1)を0.05〜20質量部溶解し、単量体(a)を重合させ、次いで重合体(B1)を架橋反応させて架橋重合体(B)とする熱可塑性樹脂粒子(A)中に架橋重合体(B)が粒子状に分散してなる架橋複合粒子の製造法。
- 重合体(B1)を熱硬化反応によって架橋させて架橋重合体(B)とすることを特徴とする請求項1記載の製造法。
- 単量体(a)がメタクリル酸メチルを主成分とすることを特徴とする請求項1または2記載の架橋複合粒子の製造法。
- 請求項1から3のいずれかに記載の製造法で得られた架橋複合粒子を溶融して得られた成形体。
- 板状体である請求項4の成形体。
- 板状体が光拡散板である請求項5記載の成形体。
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