JP4445386B2 - ウィルス不活性化トロンビン調製物の製造方法 - Google Patents

ウィルス不活性化トロンビン調製物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ウィルス不活性化トロンビンを調製する方法、および当該方法によって調製した製剤に関する。
トロンビンは、不活性前駆体のプロトロンビン(第II因子としても知られている)が活性化することによって血流内で生成する多機能性の血漿プロテアーゼである。プロトロンビン自体は、活性化した第X因子(第Xa因子)の作用によって活性化される。血漿中での
トロンビンの主要な機能の一つは、血液凝固カスケードの最終段階において、可溶性のフィブリノーゲンを不溶性のフィブリンに転換することである。トロンビン群の作用によって生成しフィブリン単量体は、その後架橋して凝血塊を形成する。トロンビンは、単独で用いられ、またフィブリノーゲンと組み合わせて、いわゆるフィブリンシーラントとして治療に用いられ、止血を達成したり、傷口をふさいだり、組織の接着を制御したりする。
すべての臨床的な用途に対して、例えば他のプロテアーゼの存在、凝固因子、または他の汚染成分に起因する望ましくない副作用を最小にするために、高純度のトロンビンを使用することが重要である。さらに、臨床用途のトロンビンは、ヒトまたは動物由来の場合には特に、例えば肝炎ウィルスまたはHIVなどの存在し得る血液感染性ウィルスを不活性
化するための処理を施すことが非常に望ましい。ウィルスを不活性化する種々の方法が当該技術分野において知られており、そのような方法として低温殺菌、乾熱処理、および溶媒-界面活性剤処理が挙げられる(不安定な血液製剤の病原体不活性化、不安定な血液製
剤の病原体不活性化に関する輸血研究グループにおける欧州専門委員の協議会、Transfusion Medicine, 2001, 11, 149-175)。他の病原体を除去するか、または減らすことも望
ましい。そのような病原体としては、例えば、現在のところプリオンであると考えられている伝達性海綿状脳症(Transmissible Spongiform Encephalopathies: TSE)の原因物質などがある。
乾熱処理は、外被膜を有する(enveloped)ウィルスと外被膜を有しない(non-enveloped)一部のウィルスの両方を不活性化するのに有効である。他方、溶媒-界面活性剤(solvent-detergent)処理は、B型肝炎ウィルスなどの外被膜を有する(すなわち脂質外被膜
で覆われた)ウィルスを不活性化するのに有効であることが知られている。溶媒-界面活
性剤処理は、臨床向け血液製剤のウィルス不活性化のために現在一般的に用いられている方法である。
以前は、トロンビンへのプロトロンビンの活性化は、カルシウムイオンおよびトロンボプラスチン(第III因子)を添加することによって大抵は行われていた。トロンボプラス
チンはヒトまたは動物由来の材料であり、それゆえ最終製剤の汚染源の1つであった。
米国特許5,304,372は、血漿のPPSB画分からのヒトトロンビン濃縮物の調製方法を開示
している。当該調製方法は、塩化カルシウムを添加することによりPPSB画分中のプロトロンビンを活性化してトロンビンを生成し、次いでその生成物を溶媒-界面活性剤処理して
ウィルスを不活性化することを含む。米国特許5,304,372によると、PPSB出発原料に対し
ては溶媒-界面活性剤処理を行うことはできない。なぜなら、そのような処理を行うと、
トロンビンへのプロトロンビンの活性化反応のために必要なリン脂質などの他の因子を除去してしまうからである。
欧州特許出願A-0,378,798は、血漿または血漿画分からの第II因子を固体担体に吸着さ
せて、当該固体担体上の第II因子をトロンビンへと活性化し、その後、トロンビンを溶出するトロンビンの調製方法を開示している。
米国特許5,714,370は、血液凝固活性のある塩を使用することによりプロトロンビンを
トロンビンへと活性化する、ウィルス不活性化プロトロンビンからのトロンビンの調製を開示している。プロトロンビンのウィルス不活性化について開示された唯一の方法は、熱処理である。
CLB(オランダ赤十字輸血サービス中央研究所)の研究に関するKarl Landsteiner博士
記念財団法人の年次報告1993もまた、10ページで、溶媒-界面活性剤処理したプロトロン
ビンをカルシウムイオンで活性化してトロンビンを形成することは、添加したリン脂質の存在下でのみ成功したと報告している。
溶媒-界面活性剤処理によるウィルス不活性化工程を行って外被膜を有するウィルスを
除去したプロトロンビンからトロンビンを調製する方法を提供することは有益であろう。プロトロンビンを活性化するために、他の生物的製剤、特に動物由来の製剤、例えばトロンボプラスチンを使用することを完全に回避することもまた有益となるであろう。なぜならそのような製剤は、製造の過程で感染性ウィルスまたは他の望ましくない汚染物質の供給源となるからである。
本発明はしたがって、ある一つの側面においては、次の工程を含むウィルス不活性化トロンビンを調製する第一の方法を提供する。
(a)プロトロンビンおよび第X因子を含む溶液を溶媒-界面活性剤によるウィルス不活性化
の工程、
(b)工程(a)の生成物をアニオン交換媒体上に載せる(load)する工程、
(c)前記媒体を洗浄して、工程(a)において溶媒-界面活性剤によるウィルス不活性化に使
用した試薬を除去する工程、および
(d)金属イオンを加えることによって前記媒体上のプロトロンビンを活性化してトロンビ
ンを形成する工程。
前記金属イオンはマグネシウムおよび/またはカルシウムイオンなどの二価の金属イオンであることが好ましい。
次いで好ましくはトロンビンが、そのアニオン交換媒体から選択的に溶出させる。
代わりに、プロトロンビンおよび第X因子を含む溶液をアニオン交換媒体上に添加して
、溶媒-界面活性剤によるウィルス不活性化を媒体上で行うことも可能である。本発明は
したがって上記方法に対する代替の方法、すなわち工程(a)および(b)を次に示す工程(a')および(b')に置き換えた方法も提供する。
(a')プロトロンビンおよび第X因子を含む溶液をアニオン交換媒体上に載せる工程
(b')前記媒体上でプロトロンビンおよび第X因子を溶媒-界面活性剤によりウィルス不活性化する工程
この代替方法の残りの工程は、先に述べた第一の方法の残りの工程と同一である。工程(a)および(b)を含む方法は、工程(a')および(b')を含む方法よりも好ましい。なぜなら、媒体上に載せる前であれば、必要な不活性化の状態が得られたことを確認するのがより容易だからである。
本発明による製造方法のための出発原料は、プロトロンビンおよび第X因子を含む任意
の溶液であってよく、そのようなプロトロンビンおよび第X因子としては、血漿画分また
は細胞培養もしくは遺伝子組換え種などにおける遺伝子発現に由来するプロトロンビンお
よび/または第X因子、ならびに何らかの他の合成方法によって製造したプロトロンビン
および/または第X因子が挙げられる。出発原料は、当該技術分野において知られている
適切な方法によって調製することができる。出発原料は、プロトロンビンおよび第X因子
の両方を含む、プロトロンビン複合体またはその誘導体であることが好ましい。プロトロンビン複合体は、当該技術分野において知られている方法によって調製することができる。例えば、寒冷沈降物(cryoprecipigtate)上清から作製したアニオン交換媒体上に吸着させた後、溶出する方法が挙げられる(P. A. Feldman, L. Harris, M. E. Haddon, D. R. Evans and J. K. Smith, Thrombosis Research, 1986, Supplement VI: 36, 参照によ
り本明細書中に取り込まれる)。好ましい実施形態においては、出発原料は、プロトロンビン複合体における凝固因子VIIおよび活性化した凝固因子のレベルを最小限にする条件
下で調製したプロトロンビン複合体濃縮物(prothrombin complex concentrate: PCC)である。いわゆる「3因子PCC」は、それゆえ「4因子PCC」よりも好ましい出発原料である。
溶媒-界面活性剤によるウィルス不活性化工程は、従来技術において知られている試薬
および方法を用いて行う(例えば米国特許4,481,189、米国特許4,613,501および米国特許4,540,573を参照。すべて参照により本明細書中に取り込まれる。)。適切な溶媒として
、リン酸トリ-n-ブチル(tri-n-butylphosphate: TNBP)が挙げられる。適切な洗浄剤と
しては、ポリソルベート(トゥイーン(R))80、ポリソルベート(トゥイーン)20およびトリトン X-100が挙げられる。特に好ましい組み合わせは、ポリソルベート80およびTNBPである。好ましい実施形態において、プロトロンビンおよび第X因子を含有する溶液は
、溶媒‐界面活性剤試薬と共に撹拌される。ウィルス不活性化は、存在するかも知れない外被膜を有するウィルスを不活性化するのに充分な温度および時間で行う。例えば、溶媒-界面活性剤処理は、約4〜約37℃の温度で約1〜約24時間、例えば約23〜27℃
の温度で少なくとも6時間、行ってもよい。
次に、溶媒-界面活性剤処理したプロトロンビンおよび第X因子を含む溶液を、プロトロンビンおよび第X因子がアニオン交換媒体に結合するような条件下で、適切なアニオン交
換体に載せる。必要であれば、溶媒-界面活性剤処理した溶液は、そのイオン強度を、プ
ロトロンビンおよび第X因子がアニオン交換体に結合するのに適した値まで下げるために
まず希釈される。適切なアニオン交換媒体は市販されており、これにはAmersham Biosciences社が提供しているDEAE Sepharose CL6B、およびMerck社が提供しているFractogel EMD DEAE 650 (S)が挙げられる。アニオン交換媒体は、カラム内に入れて洗浄および溶出を容易にすることが好ましい。出発原料を調製する際に、例えば血漿などの原料材料からプロトロンビンおよび/または第X因子を収集する目的で、アニオン交換媒体を用いる場合
には、異なる試薬にさらすことを最小限に抑えるために、同じアニオン交換媒体を本発明の製造方法に用いることが好ましい。
添加後は、そのアニオン交換媒体を、一以上の適切な洗浄緩衝液で洗浄し、結合していないまたはゆるく結合したタンパク質および溶媒-界面活性剤試薬を除去する。洗浄緩衝
液には、結合しているプロトロンビンからトロンビンを生成できる試薬を含むべきではない。
次に、結合したプロトロンビンを、適切な金属イオンを添加することによって活性化し、トロンビンを形成する。金属イオンとして、マグネシウムイオンまたはカルシウムイオンなどの二価の金属イオンが好ましく、カルシウムイオンが最も好ましい。例えばカルシウムイオンおよびマグネシウムイオンの混合物などのように、一種類以上の金属イオンを組み合わせたものを、活性化に用いてもよい。これらの金属イオンは、活性化緩衝液の形態で加えるのがよく、当該緩衝液中で約1〜約40mM、より好ましくは約1.5〜約17mM、最
も好ましくは約2mMの濃度で存在する。
結合したプロトロンビンを、活性化反応が進行するように充分な時間および適切な温度で、金属イオンとともにインキュベートする。温度は、反応が充分に進行するほど高くするべきだが、存在するタンパク質が変性したり、あるいは汚染微生物の成長を促したりするほど高くするべきではない。反応は、約26℃かそれより低い温度で、例えば10〜26℃で、より好ましくはほぼ室温(20℃)か、それより低い温度で約19〜85時間、より好ましくは19〜65時間、一層より好ましくは約40〜65時間行うことが望ましい。例えば適切なインキュベーション条件は、約65時間、約20℃であってよい。
何らかの理論に拘泥することを望むのではないが、トロンボプラスチンなどの追加の活性化剤を添加することを何ら必要とせず、プロトロンビンが活性化してトロンビンとなることを可能とするのは、金属(例えばカルシウム)イオンと、プロトロンビンが結合するアニオン交換媒体との組み合わせであると考えられる。金属イオンは、吸着した画分中の第X因子を活性化して第Xa因子を形成し、第Xa因子が今度はプロトロンビンを活性化して
トロンビンを形成する。溶媒-界面活性剤によりウィルス不活性化した第X因子をアニオン交換媒体上に添加し、プロトロンビンを該アニオン交換媒体に加える前に、金属イオンを加えることによって前記第X因子を活性化して第Xa因子を形成することも可能である。次
に第Xa因子は、媒体上において、プロトロンビンをトロンビンに転換する。
したがって本発明はまた、ウィルス不活性化トロンビンを調製するための第二の方法を提供し、それは次の工程を含む。
(a)第X因子を含む溶液を溶媒-界面活性剤によりウィルス不活性化する工程
(b)工程(a)の生成物をアニオン交換媒体上に載せる工程
(c)前記媒体を洗浄して工程(a)で溶媒-界面活性剤によるウィルス不活性化に使用した試
薬を除去する工程
(d)金属イオンを加えることによって前記媒体上の第X因子を活性化して第Xa因子を形成する工程
(e)ウィルス不活性化したプロトロンビンを前記アニオン交換媒体上に載せて、トロンビ
ンを生成させる工程
その後トロンビンは、アニオン交換媒体から選択的に溶出させることが好ましい。また、金属イオンは、マグネシウムおよび/またはカルシウムイオンなどの二価金属イオンであることが好ましい。
本発明による第二の製造方法用の出発材料は、プロトロンビンおよび第X因子を別々に
含む任意の溶液であってよく、そのようなプロトロンビンおよび第X因子として、血漿画
分、細胞培養もしくは遺伝子組換え種などにおける遺伝子発現に由来する、プロトロンビンおよび/または第X因子、ならびに他の合成方法によって製造したプロトロンビンおよ
び/または第X因子が挙げられる。出発材料は、当該技術分野において知られている適切
な方法によって調製することができる。本発明の第二の方法のための適切なウィルス不活性化、積載(loading)および活性化条件は、本発明の第一方法に関して上述した通りで
ある。
第X因子を活性化して第Xa因子を形成した後、プロトロンビンを加える前に、必要に応
じてアニオン交換媒体を適切な緩衝液を用いて洗浄し、金属イオンを除去してもよい。
プロトロンビンをトロンビンに転換した後、該トロンビンを適切な回収緩衝液で溶出することによって回収することができる。回収緩衝液のイオン強度およびpHは、トロンビンを選択的に溶出し、未転換のプロトロンビンなど、アニオン交換媒体に結合した他のタンパク質を残留させるように選択することが望ましい。使用する回収緩衝液のpHは、トロンビンがアニオン交換体と結合しないように、トロンビンのpIよりも低くあるべきである
。回収緩衝液の適切なpHはPH8である。洗浄、活性化および回収に使う緩衝液には、製造
工程の間に不溶性のリン酸カルシウムが析出することを避けるために、リン酸塩を含まないことが好ましい。
製造されたトロンビンは高純度、かつ高濃度であり、さらに精製することなく直接配合に用いることができる。あるいは所望するならばさらに精製工程を行ってもよい。例えばアニオン交換媒体から得たトロンビン溶液に対して、さらにウィルス低減工程または不活性化工程を行ってもよい。例えば、その溶液をPlanova 15Nフィルターなどのウィルス除
去フィルターでろ過してもよい。そのようなろ過はまた、伝達性海綿状脳症(Transmissible Spongiform Encephalopathies: TSE)の原因物質を除去することに寄与することができる。
トロンビン生成物は、いったんアニオン交換媒体から分離させたら、臨床で使用するまで長期保存用に製剤化してもよい。トロンビン溶液は、必要に応じて、凍結乾燥の間およびその後の加熱処理の間に変性するのを制限するのに役立つ一以上の安定剤の存在下で、凍結乾燥することが好ましい。適切な安定剤として、スクロース、ラフィノースまたはトレハロースなどの炭水化物、およびカルシウムイオンなどの二価金属イオンが挙げられる。カルシウムイオンとスクロースなどの炭水化物とを組み合わせるのが特に好ましい。最終製剤における汚染原因を最小限にするために、アルブミンなどのタンパク質安定剤を使用することは避けるに越したことはない。
適切な凍結乾燥の条件としては、当初約-35℃の温度と約100〜130マイクロバール(10-13 Pa)の減圧で乾燥し、次に約+35℃の温度と約30マイクロバール(3 Pa)の減圧で乾燥する手法が挙げられる。
凍結乾燥したトロンビン生成物に対して、さらに加熱処理によるウィルス不活性化工程を行ってもよい。そのような加熱処理は、例えば約80℃で約72時間、または100℃で24時
間行う。カルシウムイオンとスクロースなどの炭水化物とを併用すると、本発明にしたがって製造したトロンビンが、最後に熱処理してウィルスを不活性化する間、効果的に安定化されることを見出した。
血液由来の製剤には、少なくとも二つの独立したウィルスの不活性化または低減化工程を、製造中に行うことが望ましい。本発明の製造方法の利点は、外被膜を有するウィルスと有しないウィルスの両方、およびTSEの原因物質などの他の病原体を不活性化または低
減化するために、複式の異なるウィルス不活性化または低減化工程を行うことが可能であることにある。溶媒-界面活性剤処理は、外被膜を有するウィルスの脂質外被膜を破壊す
ることが知られており、他方、ろ過はあるサイズを超える粒子を濾別し、熱処理は熱的に不安定なウィルスを不活性化する。できるだけ多種類の病原体を除去または減らすためになる原理に基づいた複式の不活性化または低減化工程を取り入れることが望ましい。好ましい実施形態においては、本製造方法は、溶媒-界面活性剤処理に加えて、さらにウィル
ス不活性化または低減化工程を含む。より好ましい実施形態においては、本製造方法は、溶媒-界面活性剤処理に加えて、さらに二つのウィルス低減化または不活性化工程を含む
。溶媒-界面活性剤処理に加えて、本製造方法は、物理的にウィルスを除去する工程(例
えばナノろ過)およびウィルスの乾熱不活性化工程を含むことが好ましい。
本発明による製造方法の別の利点は、プロトロンビンの活性化と、その結果生成したトロンビンの精製とを、出発原料からのプロトロンビンおよび第X因子を調製するために前
に使用したものと同じ種類のアニオン交換媒体を用いて行えることにある。製剤を処方する際にはまた、調製過程で既に使用した試薬を使用する。これによりトロンビンが多種類の試薬にさらされることが最小限に抑えられ、医薬製剤の製造において有益である。本製造方法のさらなる利点は、他の製造作業でのそのままの状態に対し、極めて強力なトロン
ビンプロテアーゼと接触することによってもたらされる脅威が最小限になることにある。
このような脅威は、通常は、トロンビン製造プラントを工場内の他の設備および作業から隔離することによってのみ避けることができる。そのような隔離は、費用がかかり、集中した労働力を要する。また、ウィルスを不活性化した(例えば溶媒-界面活性剤処理し
た)中間体の加工処理は、分離し、隔離された製造区域で行い、その後の汚染を避けなければならない。溶媒-界面活性剤の処理後にトロンビンを生成することができない従来技
術では、より一層隔離された製造空間を使用することと、工程から工程へと移動する間に製剤を取り扱う上でさらなるリスクを冒すこととが必要だった。加えて製造スタッフにとり、誤って血液循環中にはいり込んだ場合には重大な血栓性の作用をもたらし得るプロテアーゼを取り扱うことに基づく潜在的な危険性があった。これらの問題は、本発明の製造方法を用いることによって最小限に抑えることができる。その理由は、以下のとおりである。
(a)最初に溶媒-界面活性剤処理を行うため、生成したトロンビンを、それぞれが他の作業から隔離しなければならない多数の異なる製造区域で処理する必要がない。
(b)製造工程数(特にプロトロンビンからトロンビンを生成した後)が最少になる。
(c)収率が充分であり、極めて少容量から、かなりの量のトロンビンを供給する。
したがって、製造工程の封じ込めは大幅に単純化される。
製造中に多種多様な試薬に生成物がさらされることを制限することはまた有益である。なぜなら、そのような試薬は、製剤の望ましくない汚染または変性の原因となりうるからである。プロトロンビンからトロンビンを製造するのに必要な試薬および工程の数を最小化することは、本発明の製造方法のさらなる利点である。
本発明の製造方法を用いて調製したトロンビンは、臨床現場で単独でまたはフィブリン・シーラント・キットのフィブリノーゲンと組み合わせて、使用することができる。したがって本発明はまた、治療に使用するために本発明の製造方法に従って得たトロンビンを提供し、フィブリノーゲンと組み合わせて、本発明の製造方法に従って得るトロンビンを含んだ医薬キットを提供する。本発明の製造方法に従って調製したトロンビンと、本出願人の同時係属中のPCT出願(出願番号不明)、名称「フィブリノーゲンの製造方法」、出
願日2003年7月7日、英国特許出願No. 0216001.8(出願日2002年7月10日)の優先権を主張、に従って調製したフィブリノーゲンと、を含むキットが好ましい。なお、このPCT出願
の開示内容は、参照により本明細書中に取り込まれる。
本発明の製造方法のより好ましい態様について、より詳細な説明が以下に与えられる。血漿からの寒冷沈降物の除去
凍結ヒト血漿を−11℃前後に置いて、約+1℃で解凍し、その寒冷沈降物は遠心分離に
より回収する。かかる上清は寒冷沈降物上清(CPS)と呼ぶ。
寒冷沈降物上清からのプロトロンビン複合体の捕捉
寒冷沈降物上清からのプロトロンビン複合体の吸着
DEAEセファロースCL-6Bのようなアニオン交換媒体をCPSに加える。例えば1kgのCPSに対して〜10ml包装のアニオン交換媒体を加えた。その混合物を適切な時間攪拌し、次いで、例えば遠心分離によって、その媒体(吸着タンパク質を含む。)をCPSから回収する。
プロトロンビン複合体の溶出
上記の回収されたアニオン交換媒体を適切な緩衝液中に懸濁し、クロマトグラフィーカラムに充填する。その媒体を低塩の緩衝液で洗浄し、緩く結合したタンパク質および不要なタンパク質を除去する。積載および洗浄の条件は、溶出されたプロトロンビン複合体において凝固因子VIIおよび活性化された凝固因子のレベルを特異的に最小限にするよう厳
密に調節される。次いでその媒体は高塩の溶出緩衝液で洗浄し、プロトロンビン複合体を回収する。活性化された凝固因子によるプロトロンビン複合体の汚染を防ぐために、タン
パク質ピークは選択的に回収する。その溶出液は凍結して乾燥することができる。
溶媒-界面活性剤処理
上記プロトロンビン複合体溶液をポアサイズ0.45μm以下のフィルターで濾過する。次
いで、溶媒-界面活性剤試薬を加え、その混合物を室温で、存在するかもしれない外被膜
を有するウィルスいずれも不活性にすると知られている時間と温度で攪拌する。
プロトロンビン活性化クロマトグラフィー
溶媒-界面活性剤処理されたプロトロンビン複合体の希釈
上記の溶媒-界面活性剤処理されたプロトロンビン複合体を、次いでアニオン交換体に
結合させるために適切なイオン強度まで溶液のイオン強度が低下するように、例えば水で希釈する。
第二のアニオン交換体への積載
上記の希釈したタンパク質溶液を、充填されたアニオン交換媒体を含むカラムに送り込む。好ましくは、これは、CPSまたは他の原料からプロトロンビンおよび第X因子の調製に用いたものと同一の媒体であってもよい。トロンビンが生成する間の微生物汚染は、アニオン交換媒体の適切な清浄化により、ならびに細菌汚染を取り除くための緩衝液の濾過(例えば、0.2μmのフィルターの使用)によって、最小限にする。該媒体は、カラムを平衡化するために使用される緩衝液で洗浄し、緩く結合したタンパク質および溶媒-界面活性
剤試薬を除去し、および緩衝用塩で媒体を平衡化する。そのような緩衝用塩は、次に続く処理工程のためにもっとも好ましいものである。次いでその媒体は、約1カラムボリュー
ムのカルシウムを含む緩衝液で洗浄する。例えば、2mMの塩化カルシウムを加えた平衡化
緩衝液で洗浄する。
活性化インキュベーション
上記カラムは出口を閉め、所定の温度で所定の時間、例えば20℃で65時間保持する。インキュベーションの間に、プロトロンビンはトロンビンに変化する。
トロンビンの回収
インキュベーションの終わりに上記カラムを平衡化緩衝液で洗浄し、トロンビンを回収する。この活性化のインキュベーションによって影響されないタンパク質は、その洗浄に用いられる条件、pH、緩衝液成分およびイオン強度に関して、カラムに載せた後の洗浄に用いられるものと同一である場合には、その媒体に結合したままである。トロンビンは、pHがpIより下ではアニオン交換体に結合せず、緩衝液によって洗い流される。例えば、pHが8ではトロンビンはアニオン交換体に結合しないが、その前駆体であるプロトロンビン
は結合する。
溶出されたピークは、画分に集められる。カラム溶出液のうち、最初のカラムボリューム(Column volume)は低純度のトロンビンについてのものであり、存在するであろう分
解された、または損傷を受けたトロンビンいずれも多く含まれる。次のカラムボリュームは高純度のトロンビンであり、前記の最初のカラムボリュームから分離した場合には、さらに精製を行わずに用いることができる。あるいはすべてのカラム溶出液を集めることもでき、さらに精製することができる。
ウィルス濾過
ウィルスの低減工程をさらに用いることができる。上記トロンビンを含むカラム溶出液をPlanova 15Nフィルターのような有効なウィルス除去フィルターを通して濾過すること
ができる。このような濾過は、他の病原体、例えばTSEの原因となる物質も除去または低
減することができる。
配合
ここで、上記トロンビンは製剤化され、臨床的な使用前の長期保存のためその目標とする効力に合わせられる。推奨される方法は、目的の塩化ナトリウム濃度で、スクロースのような炭水化物およびカルシウムを添加し、次いでその溶液を凍結乾燥することである。凍結乾燥前に、医薬的使用に要求されるように、その配合した製剤を滅菌フィルター(例えば0.2μmのフィルター)で濾過してもよい。
最終加熱処理
凍結乾燥した製剤に、存在するかもしれないウィルスいずれも不活性化するために、最終的に加熱処理をすることができる。
本発明の方法を用いて生成したトロンビンは、単独で臨床用とすることができ、またはフィブリン・シーラントキットにおいてフィブリノーゲンと組み合わせて用いることもできる。したがって本発明は、本発明の方法により得られた臨床治療用のトロンビンのほかに、本発明の方法により得られるトロンビンをフィブリノーゲンとの組み合わせで含有する医薬的キットを提供する。そうしたキットは、本発明の方法により調製されたトロンビン、ならびに2002年7月10日に、「方法および組成物」なる名称で出願された本出願人の
同時係属の英国出願によって調製されたフィブリノーゲンを含むキットが好ましい。 本発明を、以下の限定の意味に解されるべきではない実施例でさらに説明する。
PCCの製造方法は、Feldman P A, Bradbury P I, Williams J D, Sims G E C, McPhee J
W, Pinnell M A, Harris L, Crombie G I, Evans D R, "Large scale preparation and biochemical characterization of a new high purity factor IX concentrate prepared
by metal chelate affinity chromatography.(金属キレートアフィニティークロマトグラフィーによって調製された新しい高純度の第IX因子濃縮物に関する、大規模な製造方法および生化学的キャラクタリゼーション)", Blood Coagulation and Fibrinolysis 1994; 5: 939-948に記載されている。
溶液のpHは、pHを増加するためには適切な濃度の水酸化ナトリウムを使用し、またはpHを低下するためには適切な濃度の塩酸を使用して調整した。
トロンビンは、フィブリノーゲン試料を凝固する時間を測定する凝固アッセイにより測定し、および/または発色団発現アッセイを行った。この発色団発現アッセイ(chromogenic assay)では、トロンビンを介し、合成ペプチドの開裂によって放出される発色団の
吸光度を測定した。このようなアッセイ方法は当業者に知られている。
トロンビンの凝固アッセイ
標準試料は、国際的に承認された標準物質で検定する。その標準試料は、適切な濃度範囲、例えば1から7iu/mlに、50mMトロメタモール、100mM塩化ナトリウム、1%アルブミン
、pH7.5のようなアッセイ用緩衝液で希釈する。試料はこの濃度範囲内に希釈する。
希釈されたトロンビン溶液の凝固時間は、ヒトフィブリノーゲンを一定濃度で添加してから測定する。次いで、試験試料と標準試料の関係から、その試料中のトロンビン濃度の計算ができ、濃度はml当たりの国際単位(iu)表される。
トロンビンの発色アッセイ
標準試料は、国際的に承認された標準物質で検定する。その標準試料は、適切な濃度範囲、例えば0.5から5iu/mlに、50mMトロメタモール、100mM塩化ナトリウム、0.1%アルブ
ミン、pH7.3のようなアッセイ用緩衝液で希釈する。試料はこの濃度範囲内に希釈する。
次いで、希釈されたトロンビンに、発色基質(例えばS-2238、Chromogenix社)を加え
、その混合物を規定された時間インキュベートする。次いで、例えば酢酸を加えて、反応を止める。次いで、その溶液の吸光度を405nm(S-2238の場合)で測定する。トロンビン
の濃度は発現した色に比例し、試料濃度は標準試料の検量線から内挿することができる。
プロトロンビン活性化クロマトグラフィー
トロメタモール緩衝液および20℃で62.5時間のインキュベーション
1.19kgの溶媒-界面活性剤処理済みプロトロンビン複合体を2.50kgの水で希釈し、その
電気伝導度を26.4mS/cmから9.28mS/cmに低減した。次いで、その溶液をpH8.0に滴定した
。この溶液を高さ13cmのベッドにDEAEセファロースCL6Bベッドを充填した直径5cmの外套
菅付きカラムに載せ、10mMトロメタモール、110mMの塩化ナトリウム、pH8.0で平衡化した。積載した後、媒体を15カラムボリュームの10mMトロメタモール、110mM塩化ナトリウム
、pH8.0で洗浄し、溶媒-界面活性剤試薬および弱く結合したタンパク質を除去した。次いで、その媒体を1カラムボリュームの10mMトロメタモール、110mM塩化ナトリウム、2mM塩
化カルシウム、pH8.0で洗浄した。そのカラムの出口を閉じた。20℃の水を外套菅内に循
環させた。
62.5時間後、水の循環を止めた。上記媒体を10mMトロメタモール、110mMの塩化ナトリ
ウム、pH8.0で洗浄し、インキュベーション中に生成したトロンビンを回収した。380万国際単位(iu)のトロンビン凝固活性を含む最初の3カラムボリュームのカラム溶出液は廃
棄した。その比凝固活性が、2000iu/mg全タンパク質未満であったためである。次の11カ
ラムボリュームの溶出液は、比凝固活性2400iu/mgを有する280万iu凝固活性を含んでいた。その溶出液を追加的なタンパク質精製工程を必要としない、次の処理のためにプールした。
プロトロンビン活性化クロマトグラフィー
クエン酸-リン酸緩衝液およびDEAEセファロース
4.4kgの溶媒-界面活性剤処理済みプロトロンビン複合体を6.3kgの水で希釈し、その電
気伝導度を9.3mS/cmに低減した。次いで、その溶液はpH8.0に滴定した。7.1kgのこの溶液を、高さ12.5cmのベッドにDEAEセファロースCL6Bを充填した直径9cmのカラムに載せ、8mMクエン酸、10mMリン酸、68.5mM塩化ナトリウム、pH8.0で平衡化した。積載した後、媒体
を11カラムボリュームの8mMクエン酸、10mMリン酸、68mM塩化ナトリウム、pH8.0で洗浄し、溶媒-界面活性剤試薬および弱く結合したタンパク質を除去した。次いで、その媒体を1カラムボリュームの8mMクエン酸、10mMリン酸、64mM塩化ナトリウム、2mM塩化カルシウム、pH8.0で洗浄した。そのカラムの出口を閉じた。そのカラムは室温で保持した。
64時間後、上記媒体を8mMクエン酸、10mMリン酸、68mM塩化ナトリウム、pH8.0で洗浄し、インキュベーション中に生成したトロンビンを回収した。凝固活性の総量1100万iuをカラムから回収した。その内、380万iuは、比凝固活性>2000iu/mgを有し、追加のタンパク
質精製工程を必要とせず、次の処理のためにプールした。
プロトロンビン活性化クロマトグラフィー
クエン酸-リン酸緩衝液およびフラクトゲルEMD DEAE 650 (S)
148mlの溶媒-界面活性剤処理済みプロトロンビン複合体を121mlの8mMクエン酸、10mMリン酸、pH9.0で希釈し、その電気伝導度を16mS/cmに低減した。次いで、その溶液はpH8.0
に滴定した。111gのこの溶液を10mlのフラクトゲルEMD DEAE 650 (S)を充填した直径1cm
のカラムに載せ、8mMクエン酸、10mMリン酸、137mM塩化ナトリウム、pH8.0で平衡化した
。積載した後、媒体を12カラムボリュームの8mMクエン酸、10mMリン酸、137mM塩化ナトリウム、pH8.0で洗浄し、溶媒-界面活性剤試薬および弱く結合したタンパク質を除去した。次いで、その媒体を1カラムボリュームの8mMクエン酸、10mMリン酸、129mM塩化ナトリウ
ム、2mM塩化カルシウム、pH8.0で洗浄した。そのカラムの出口を閉じた。そのカラムは室温で保存した。
64時間後、上記媒体を8mMクエン酸、10mMリン酸、129mM塩化ナトリウム、2mM塩化カル
シウム、pH8.0で洗浄し、インキュベーション中に生成したトロンビンを回収した。凝固
活性総量40万iuをカラムから回収した。その内、30万iuは比凝固活性>2000iu/mgを有し、追加のタンパク質精製工程を必要とせず、次の処理のためにプールした。
トロメタモール緩衝液ならびに10、14.5および22℃で約64時間のインキュベーション
195gの溶媒-界面活性剤処理済みプロトロンビン複合体を424gの水で希釈し、その電気
伝導度を28.9mS/cmから9.39mS/cmに低減した。次いで、その溶液は1M水酸化ナトリウムでpH8.0に滴定した。約140gのこの溶液を、高さ13cmのベッドにDEAEセファロースCL6Bを充
填した直径1cmの外套菅付きカラム3本に載せ、10mMトロメタモール、110mM塩化ナトリウ
ム、pH8.0で平衡化した。積載した後、媒体を10カラムボリュームの10mMトロメタモール
、110mM塩化ナトリウム、pH8.0で洗浄し、溶媒-界面活性剤試薬および弱く結合したタン
パク質を除去した。次いで、その媒体を1カラムボリュームの10mMトロメタモール、110mM塩化ナトリウム、2mM塩化カルシウム、pH8.0で洗浄した。そのカラムの出口を閉じた。1
本のカラムは室温(21.8℃±0.4℃)で保持した。他のカラムは冷却水をカラムの外套菅
内に循環させ、10℃または14.5℃に保持した。
約64時間後、外套菅内の温度を18℃に変え、外套菅の冷却を止めた。上記媒体を10mMトロメタモール、110mM塩化ナトリウム、pH8.0で洗浄し、インキュベーション中に生成したトロンビンを回収した。その結果は表1に示されている。
Figure 0004445386
トロメタモール緩衝液ならびに15、23および26℃で約64時間のインキュベーション
458gの溶媒-界面活性剤処理済みプロトロンビン複合体を977gの水で希釈し、その電気
伝導度を28.9mS/cmから9.39mS/cmに低減した。次いで、その溶液は1M水酸化ナトリウムでpH8.0に滴定した。約140gのこの溶液をそれぞれ高さ13cmのベッドにDEAEセファロースCL6Bを充填した直径1.6cmの外套菅付きカラム3本に載せ、10mMトロメタモール、110mM塩化ナトリウム、pH8.0で平衡化した。積載した後、媒体を10カラムボリュームの10mMトロメタ
モール、110mM塩化ナトリウム、pH8.0で洗浄し、溶媒-界面活性剤試薬および弱く結合し
たタンパク質を除去した。次いで、その媒体を1カラムボリュームの10mMトロメタモール
、110mM塩化ナトリウム、2mM塩化カルシウム、pH8.0で洗浄した。そのカラムの出口を閉
じた。次いで、水をカラムの外套菅内に15℃、23℃および26℃で循環させた。
65時間後、循環水を止めた。上記媒体を10mMトロメタモール、110mM塩化ナトリウム、pH8.0で洗浄し、インキュベーション中に生成したトロンビンを回収した。その結果は表2
に示されている。
Figure 0004445386
トロメタモール緩衝液ならびに室温で16、40および64時間のインキュベーション
248gの溶媒-界面活性剤処理済みプロトロンビン複合体を523gの水で希釈し、その電気
伝導度を26.9mS/cmから9.33mS/cmに低減した。次いで、その溶液はpH8.0に滴定した。約195gのこの溶液をそれぞれ、高さ13cmのベッドにDEAEセファロースCL6Bを充填した直径1cmのカラム3本に載せ、10mMトロメタモール、110mM塩化ナトリウム、pH8.0で平衡化した。
それぞれのカラムに積載した後、媒体を10カラムボリュームの10mMトロメタモール、110mM塩化ナトリウム、pH8.0で洗浄し、溶媒-界面活性剤試薬および弱く結合したタンパク質
を除去した。次いで、その媒体を1カラムボリュームの10mMトロメタモール、110mM塩化ナトリウム、5mM塩化カルシウム、pH8.0で洗浄した。そのカラムの出口を閉じた。そのカラムは室温で保持した。
上記3本のカラムは、16時間、40時間および64時間保持した。それぞれのインキュベー
ションの最後に、その媒体を10mMトロメタモール、110mM塩化ナトリウム、pH8.0で洗浄し、インキュベーション中に生成したトロンビンを回収した。その結果は表3に示されてい
る。
Figure 0004445386
トロンビン生成の機構
本発明の方法におけるトロンビンへのプロトロンビンの活性化機構を解明するために実験を行った。
材料
精製したウィルス不活性化プロトロンビン
精製したウィルス不活性化第X因子
ウィルス不活性化抗トロンビン
プロトロンビンおよび第X因子は、トリ-n-ブチルリン酸およびポリソルベート80を用いた溶媒-界面活性剤処理によって不活性化した。抗トロンビンは加熱処理によってウィル
ス不活性化した。
方法
3本のクロマトグラフィーカラムにDEAEセファロースCL-6Bアニオン交換ゲルを充填し、トロメタモール-NaCl緩衝液で平衡化した。次いで、その3本のカラムは表4に示すように
使用し、次いでその生成物のトロンビン活性を試験した。
Figure 0004445386
その結果は表5に示されている。
Figure 0004445386
上記の結果は、ウィルス不活性化プロトロンビンからカルシウムだけによってトロンビンを生成できないことを示す(カラム1)。ウィルス不活性化第X因子とのインキュベーションによって、ウィルス不活性化プロトロンビンからトロンビンを生成することができる。そのウィルス不活性化第X因子は、あらかじめカルシウムとインキュベートし、次いで
プロトロンビンと接触させる前にカルシウムが除去される(カラム2)。またカラム3では、ウィルス不活性化プロトロンビンからウィルス不活性化第X因子とのインキュベーシ
ョンによってトロンビンを生成できない。ただし該ウィルス不活性化第X因子は、あらか
じめカルシウムとインキュベートし、次いで第X因子、第Xa因子が抗トロンビンを用いて
不活性化させられ、プロトロンビンと接触させる前に、カルシウムおよび抗トロンビンがともに除去された場合である。
本発明の方法におけるトロンビン生成の機構では、カルシウムによって活性化された第X因子を必要とする。次いで、カルシウムによる直接的な作用よりもむしろ、活性化され
た第X因子(すなわち第Xa因子)の作用によってプロトロンビンはトロンビンに活性化さ
れる。したがって本発明の方法の使用では、単離されたプロトロンビンは適切な出発材料ではない。
精製したプロトロンビンおよびカルシウムのみを使用した場合のトロンビン生成の欠如
プロトロンビン(第II因子)を、溶媒および界面活性剤を用いる殺ウィルス処理後、銅担持キレート化セファロースカラム中を通して、他のプロトロンビン複合体・凝固因子タンパク質から分離した。
このタンパク質溶液は、同時精製の溶媒および溶媒・界面活性剤試薬(SD)の存在下で使用されたか、あるいはDEAEセファロースアニオン交換ゲルの再クロマトグラフィーによって溶媒および界面活性剤試薬から分離された。
溶液のプロトロンビンは、40mM塩化カルシウム緩衝液を用いてpH6.5、25℃で、3時間インキュベートした。次いでトロンビン活性を測定した。
その結果は表6に示されている。
Figure 0004445386
上記の結果から、単離されたヒトプロトロンビンが、溶媒-界面活性剤によるウィルス
不活性化操作を行った後、カルシウムイオンの作用だけでは、トロンビンに転換されなかったことが確認される。これは、カルシウムイオンの添加前にSD剤が除去されたか、または除去されなかったかに拘わらない。したがって本発明の方法において、単離されたプロトロンビンは使用するのに適切な出発材料ではない。
溶媒-界面活性剤を用いる処理中または処理後のプロトロンビン複合体に対するカルシ
ウム作用によってトロンビン生成がないこと
3種の異なるプロトロンビン複合体濃縮試料(第II、IXおよびX因子を含む。)を20mM塩化カルシウム溶液中でインキュベートし、トロンビン活性を3時間および5時間のインキ
ュベーション後にアッセイした。
ヒト血漿由来の上記プロトロンビン複合体(PCC)試料は以下のとおりであった。
A:CPSのアニオン交換クロマトグラフィーからのPCC溶出液
B:1%ポリソルベート80界面活性剤および0.3%リン酸トリ-n-ブチル(TNBP)溶媒を含むPCC溶出液
C:溶媒-界面活性剤が除去された溶媒-界面活性剤処理済みのPCC
これらの実験で用いられるプロトロンビン複合体材料は、活性化された凝固因子についてのNAPTTおよびFCT試験によって測定されたように、意図するかしないかを問わず、いずれも製造中に活性化されなかった。
その結果は表7に示されている。
Figure 0004445386
上記の結果は、溶媒-界面活性剤で処理された後、(非活性化)プロトロンビン複合体
溶液からごくわずかなトロンビンが生成したことを示す(試料Aの結果と、試料BおよびC
の結果との比較)。これは、カルシウムとのインキュベーションの時点で溶媒-界面活性
剤が調製物中に残存していたか否かにかかわらなかった。このことは、カルシウムだけでは溶媒-界面活性剤処理済みプロトロンビン複合体を活性化するには不充分であるという
従来技術の教示を確認した。溶媒-界面活性剤処理済みプロトロンビンを含有する材料を
、トロンビンが生成するようにアニオン交換媒体に載せることが、本発明の方法の本質的な特徴である。
カルシウムまたはマグネシウムイオンを用いる活性化
249mlの溶媒-界面活性剤処理済みプロトロンビン複合体を150mlの脱イオン水で希釈し
、その電気伝導度を16mS/cmに低減した。次いで、その溶液は1M水酸化ナトリウムでpH8.0に滴定した。82から87gのこの溶液を、それぞれ10mlのDEAEセファロースCL6Bを充填した
、それぞれ直径1cmのカラム3本に各々を載せ、8mMクエン酸、10mMリン酸、137mM塩化ナトリウム、pH8.0で平衡化した。積載した後、媒体を10カラムボリュームの8mMクエン酸、10mMリン酸、137mM塩化ナトリウム、pH8.0で洗浄し、溶媒-界面活性剤試薬および弱く結合
したタンパク質を除去した。次いで、その媒体を1カラムボリュームの活性化緩衝液、す
なわち8mMクエン酸、10mMリン酸、129mM塩化ナトリウム、2mM塩化カルシウム、pH8.0(カラム1)、または8mMクエン酸、10mMリン酸、129mM塩化ナトリウム、2mM塩化マグネシウム、pH8.0(カラム2)、または8mMクエン酸、10mMリン酸、129mM塩化ナトリウム、2mM塩化
カルシウム、2mM塩化マグネシウム、pH8.0(カラム3)で洗浄した。そのカラムの出口を
閉じた。そのカラムは室温で保持した。
64時間後、上記媒体を活性化緩衝液で洗浄し、インキュベーション中に生成したトロンビンを回収した。その結果は表8に示されている。
Figure 0004445386
配合
実施例1に従って作成したウィルスを濾過したトロンビン溶液を、10mMトロメタモール、200mM塩化ナトリウム、40mM塩化カルシウム、2%スクロース、pH7.0に配合し、活性を
約500iuトロンビン凝固活性/mlに調整した。この溶液5mlをガラスバイアルに分配し、凍
結乾燥した。その凍結乾燥材料は、80℃で72時間加熱処理した。3回の実施で凍結乾燥を
経るとトロンビン凝固活性の平均回収率98%を達成し、加熱処理を経ると平均回収率98%を達成した。
配合
トロンビン溶液を、約1250iu凝固活性/mlとなるように配合した。すべての配合物は、10mMトロメタモールおよび200mM塩化ナトリウム、pH7.0を含んでいた。さらに、それらは
下記に示す添加成分を含んでいた。その溶液を、バイアルに各々2mlずつ充填した。その
バイアルは凍結乾燥し、80℃で72時間加熱処理した。次いで、そのバイアルを水に溶かして戻し、トロンビン活性を求めるためにアッセイした。トロンビン活性は、凍結乾燥前の試料のトロンビン活性と比較した。その結果は表9に示されている。
Figure 0004445386
上記の結果は、従来のアルブミン安定化剤が凍結乾燥および加熱処理において安定化に寄与しないことを示した。カルシウムおよび炭水化物との他の組み合わせは、凍結乾燥および加熱処理において改善された安定化をもたらした。
トロンビンの配合、凍結乾燥および加熱処理
トロンビン溶液を、500iu/ml(充填量5ml)となるように配合した。すべての配合物は
、10mMトロメタモールおよび200mM塩化ナトリウム、pH7.0を含み、さらに、それらは下記に示す成分を含んでいた。その溶液を、各々5mlずつバイアルに充填した。そのバイアル
を凍結乾燥し、80℃で72時間または100℃で24時間加熱処理した。次いで、そのバイアル
を水に溶かして戻し、トロンビン活性を求めるためにアッセイした。トロンビン活性は、凍結乾燥前の試料のトロンビン活性と比較した。その結果は表10に示されている。
Figure 0004445386
上記の結果から、最適な配合は10mMトロメタモールおよび200mM塩化ナトリウム、pH7.0に加えて、40mM塩化カルシウムおよび2%スクロースを含むものであることが示された。
トロンビンの調製
1.17kgの溶媒-界面活性剤処理済みプロトロンビン複合体を2.58kgの水で希釈し、その
電気伝導度を27.5mS/cmから9.12mS/cmへ低減させた。次いで、その溶液は0.5M水酸化ナ
トリウムでpH8.0に滴定した。この溶液を高さ13cmのベッドにDEAEセファロースCL6Bを充
填した直径5cmの外套菅付きカラムに載せ、10mMトロメタモール、110mM塩化ナトリウム、pH8.0で平衡化した。積載した後、その媒体を15カラムボリュームの10mMトロメタモール
、110mM塩化ナトリウム、pH8.0で洗浄し、溶媒-界面活性剤試薬および弱く結合したタン
パク質を除去した。次いで、その媒体を1カラムボリュームの10mMトロメタモール、110mM塩化ナトリウム、2mM塩化カルシウム、pH8.0で洗浄した。そのカラムの出口を閉じた。20℃の水をカラムの外套菅内に循環させた。
64時間後、循環水を止めた。上記媒体を10mMトロメタモール、110mM塩化ナトリウム、pH8.0で洗浄し、インキュベーション中に生成したトロンビンを回収した。最初の4カラム
ボリュームのカラム溶出液は、比凝固活性が2000iu/mg全タンパク質未満であるトロンビ
ン凝固活性430万国際単位(iu)を含んでいた。次の9カラムボリュームの溶出液は、比凝固活性が2100iu/mgである凝固活性220万iuを含んでおり、−40℃に凍結し、その後の処理のためにプールした。
上記凍結溶出液、900gを解凍し、10mMトロメタモール、110mMの塩化ナトリウム、pH8.0で平衡化しておいたPlanova 15Nウィルス・フィルターを用いて濾過した。トロンビン凝
固活性について測定した回収率は、凍結/解凍を経ると95%、ウィルス濾過後では102%
であった。
次いで、その濾液に適切な緩衝液を加えて、10mMトロメタモール、200mM塩化ナトリウ
ム、40mM塩化カルシウム、2%スクロースに配合した。その溶液を、概算でトロンビン凝
固活性濃度として550iu/mlとなるように、10mMトロメタモール、200mM塩化ナトリウム、40mM塩化カルシウム、2%スクロース、pH7.0を用いて希釈した。次いで、その溶液を0.5M
塩酸でpH7.0に滴定した。
次いでこの溶液を0.2μmの滅菌フィルターで濾過し、次いで各々5gの溶液をバイアルに充填した。そのバイアルを凍結乾燥し、次いで80℃で72時間加熱処理した。トロンビン凝固活性について求めた回収率は、滅菌濾過をまたがると97%、凍結乾燥をまたがると102
%、および加熱処理をまたがると100%であった。
インキュベーション時間
150mlの溶媒-界面活性剤処理済みプロトロンビン複合体を水で希釈し、その電気伝導度を約9.3mS/cmに低減した。次いで、その溶液はpH8.0に滴定した。この量をそれぞれ12.5
〜12.9mlのDEAEセファロースCL6Bを充填したカラム4本に載せた。そのカラムは積載前に10mMトロメタモール、110mM塩化ナトリウム、pH8.0で平衡化しておいた。次いで、そのカ
ラムを同じ緩衝液で洗浄し、溶媒-界面活性剤試薬および弱く結合したタンパク質を除去
した。それからカラムを10mMトロメタモール、110mM塩化ナトリウム、2mM塩化カルシウム、pH8.0で洗浄した。そのカラムの出口を閉じ、室温(約20℃)で35から85時間の間隔離
した。それぞれの保持時間の終わりに、そのカラムの内1本を10mMトロメタモール、110mM塩化ナトリウム、pH8.0で洗浄し、生成したトロンビンを回収した。その結果は表11に示
されている。
Figure 0004445386
インキュベーション時間の増加に伴って、収量(総単位)は増大するが、純度(単位が>2000iu/mg)は減少するという一般的な傾向がある。当業者は、個々のいずれの状況においても、総収量および純度の間で最も好ましいバランスを与えるインキュベーション時間を選択することができる。

Claims (8)

  1. 次の工程を含む、ウィルス不活性化トロンビンを調製する方法:
    (a)プロトロンビンおよび第X因子を含む溶液を溶媒-界面活性剤によりウィルス不活性化する工程、
    (b)工程(a)の生成物をアニオン交換媒体に載せる工程、
    (c)工程(a)において溶媒-界面活性剤によるウィルス不活性化に用いた試薬を除去するために、前記媒体を洗浄する工程、および
    (d)金属イオンの添加によって、前記媒体上でプロトロンビンをトロンビンに活性化する工程。
  2. 前記プロトロンビンおよび第X因子を含む溶液がプロトロンビン複合体であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 次の工程を含む、ウィルス不活性化トロンビンを調製する方法:
    (a)第X因子を含む溶液を溶媒-界面活性剤によりウィルス不活性化する工程、
    (b)工程(a)の生成物をアニオン交換媒体に載せる工程、
    (c)工程(a)において溶媒-界面活性剤によるウィルス不活性化に用いた試薬を除去するために、前記媒体を洗浄する工程、
    (d)金属イオンの添加によって第Xa因子を形成するために、前記媒体上の第X因子を活性化する工程、および
    (e)ウィルス不活性化プロトロンビンをトロンビンが生成するような前記アニオン交換媒体に載せる工程。
  4. 前記金属イオンが2価の金属イオンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 前記2価の金属イオンがマグネシウムおよび/またはカルシウムイオンであることを特徴とする請求項4に記載の方法。
  6. さらに次の工程を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の方法:
    (e)前記アニオン交換媒体からトロンビンを選択的に溶出する工程。
  7. さらに次の工程を含む、請求項6に記載の方法:
    (f)病原体を通さないフィルターに工程(e)の生成物を通す工程、
    (g)工程(f)の生成物に2価の金属イオンおよび炭水化物を添加する工程、および
    (h)工程(g)の生成物に、ウィルスを不活性化するために凍結乾燥および加熱処理を施す工程。
  8. 工程(a)および(b)を工程(a')および(b')によって置き換えることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の方法:
    (a')プロトロンビンおよび第X因子を含む溶液をアニオン交換媒体に載せる工程、および
    (b')前記媒体上のプロトロンビンおよび第X因子の溶媒-界面活性剤によるウィルス不活性化工程。
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