本発明は、たとえば以下の特徴を単独あるいは組み合わせて備えることによって好ましい形態として実現することもできる。
(特徴1)インナースクリューオーガー29(螺旋部の一例)は、回転直径が下方へ行く程徐々に大きく変化した上段羽根部29aと中段羽根部29b並びに下段羽根部29cを具備し、下段羽根部29cだけがパイプケーシング12の下端部から露出ている。
(特徴2)開閉扉Dは、ゴムや合成樹脂などの弾性変形可能な膜材から構成されている。
(特徴3)開閉扉Dには、補強金属骨18と補強布17の少なくとも一方が埋設一体化されている。
(特徴4)アタッチメントは、砕石杭の施工状態(たとえば掘削深度や掘削トルク)を監視し、オペレータに注意を喚起する施工管理装置TC(制御装置の一例)を備えている。
以下では、上述の特徴を踏まえて本発明の作用や効果を明確に説明するために、本発明の実施の形態を、次のような順序に従って説明する。
A.本発明の第1実施例に係る砕石杭形成装置の構成と施工方法:
B.本発明の第2実施例に係る砕石杭形成装置の構成と施工方法:
C.変形例:
A.本発明の第1実施例に係る砕石杭形成装置の構成と施工方法:
図1は、本発明の第1実施例に係る砕石杭形成装置100の構成を示す説明図である。砕石杭形成装置100は、建設機械としての小型地盤改良機Mと、小型地盤改良機Mに装着されたアタッチメントTと、を備えている。小型地盤改良機Mは、図1に示されるように、地盤改良機本体構造1と、運転席としてのキャビン7と、低接地圧で不整地を移動可能な無限軌道であるクローラ6と、施工時において小型地盤改良機Mの揺動を抑制するアウトリガー5と、を備える。
小型地盤改良機Mは、さらに、アタッチメントTを操作するための構成として、アタッチメントTにモーター出力軸27を介して回転駆動力を供給する回転駆動源11と、昇降ガイドレール9を有するリーダー4と、リーダー4を支持するためのリーダー取付ベース2と、リーダー4の傾きを操作する油圧シリンダー3と、リーダー4の下端部においてリーダー4と一体的に形成されている延長脚柱10と、を備えている。
図2は、第1実施例のアタッチメントTを別の角度から見た図を示す説明図である。アタッチメントTは、図1および図2に示されるように、フィン13が設けられたパイプケーシング12(円筒部の一例)と、インナースクリューオーガー29(螺旋部の一例)と、パイプケーシング12の振れ止め用の包囲枠32と、二股のフォーク形状を有するハンガーステー64(図1)と、カム凸子63を有するトップカバーケース55と、砕石投入装置330と、取付プレート37(図1)と、支持アーム39(図1)と、アタッチメントTによる施工状態を管理する施工管理装置TC(図1)と、を備えている。パイプケーシング12には、中込め材受け入れ口14(砕石投入孔の一例)が形成され(図1)、開閉蓋Dによって塞がれているが、その詳細については後述する。
図3は、第1実施例のパイプケーシング12とインナースクリューオーガー29の構成を示す断面図である。インナースクリューオーガー29の構成は、第2実施例に詳細に開示されているが、ここでも簡単に説明する。インナースクリューオーガー29は、回転入力軸26およびコアーロッド22と一体的に構成されている。回転入力軸26は、回転駆動源11のモーター出力軸27に接続されている。回転入力軸26は、モーター出力軸27の回転駆動力に応じて回転し、その回転駆動力を一体的に結合されたコアーロッド22を介してインナースクリューオーガー29に伝達する。
コアーロッド22は、軸受け管23と放射ステー24とでパイプケーシング12に回転可能に結合され、パイプケーシング12と回転軸を共通にしている。一方、パイプケーシング12は、その周囲に螺旋状のフィン13を有している。フィン13は、インナースクリューオーガー29の螺旋と同一方向の螺旋形状を有している。すなわち、掘削する際には、パイプケーシング12とインナースクリューオーガー29は、同一方向に回転することになる。これにより、インナースクリューオーガー29の掘削によって生じた掘削土砂がフィン13によって地表に運搬されることになる。
なお、このような二重回転機構を備える掘削装置として、図示しないドーナツオーガ(ダブルオーガ)が広く知られている。しかし、ドーナツオーガは、ケーシングとケーシング内スクリューを相互に逆回転させることによって、リーダー4や小型地盤改良機Mの負荷を軽減して、鉛直精度の高い杭を施工するために二重反転機構としていることが周知である。したがって、本実施例のように、螺旋形状を同一方向とすることは、当業者の技術常識に反するものである。
さらに、第1実施例のパイプケーシング12およびインナースクリューオーガー29は、以下の点においても従来のドーナツオーガと相違する。すなわち、従来のドーナツオーガでは、パイプケーシング側の先端にも掘削刃が装備されているのに対して、第1実施例のパイプケーシング12の先端部には掘削刃が装備されていない。一方、第1実施例のインナースクリューオーガー29は、その先端の下段羽根部29cがパイプケーシング12から突出して、パイプケーシング12の直径に相当する範囲を掘削可能な径を有している。このように、第1実施例における掘削のメカニズムは、従来のドーナツオーガのものと根底から相違するものであることが分かる。
このようなメカニズムの本質的相違は、パイプケーシング12への中込め材受け入れ口14の形成と有機的な関係を有している。パイプケーシング12の側面への中込め材受け入れ口14の形成は、パイプケーシング12の剛性や強度を低下させるので、パイプケーシング12自体による掘削を極めて困難とする。しかし、本願発明者は、掘削時においては、掘削をインナースクリューオーガー29に担当させるとともに、パイプケーシング12を掘削土砂の運搬に利用することによって、パイプケーシング12に必要とされる剛性や強度を低減させているのである。このように、本構成は、インナースクリューオーガー29が地中を掘削し、この掘削によって生じた土砂をフィン13によってパイプケーシング12の外側を経由させて地表に排出するというユニークな掘削方法を実現しているのである。これにより、パイプケーシング12への中込め材受け入れ口14の形成が実用的に可能となるのである。ただし、パイプケーシング12への掘削刃の装備を完全に排除するものではなく、パイプケーシング12側に補助的な掘削刃を装備するようにしても良い。このようにしても掘削時のパイプケーシング12の負担を軽減することができるからである。
アタッチメントTは、本実施例では、さらに、トップカバーケース55の内部において、回転入力軸26とコアーロッド22との間にワンウエイクラッチ機構(後述)を備えている。ワンウエイクラッチ機構は、掘削時の回転方向の駆動においては、自動的にインナースクリューオーガー29とパイプケーシング12が一体として回転する作動状態となる。これにより、上述のようにインナースクリューオーガー29で掘削した土砂をパイプケーシング12が有するフィン13で地上に掘削土砂を排出することができる。一方、掘削時の回転方向と逆方向の回転駆動においては、インナースクリューオーガー29で砕石に圧力を印加するとともに、パイプケーシング12が自動的に回転を停止して中込め材受け入れ口14の回転方向の位置を固定させることができる。なお、ワンウエイクラッチ機構(回転駆動力伝達部の一例)の詳細については第2実施例で詳述する。
アタッチメントTは、図1に示されるように、以下のような形態で小型地盤改良機Mに装着されている。アタッチメントTが有する包囲枠32と砕石投入装置330は、それぞれ取付プレート37と支持アーム39とによって小型地盤改良機Mの延長脚柱10に結合されている。アタッチメントTのインナースクリューオーガー29は、回転入力軸26とモーター出力軸27とを介して、小型地盤改良機Mの回転駆動源11に接続されている。一方、小型地盤改良機Mのハンガーステー64は、カム凸子63とともに、パイプケーシング12が一方向にのみ回転するようにするための反転防止機構を構成している。このような構成を有する砕石杭形成装置100は、次に説明する工程によって地中に砕石杭を形成することができる。
図4は、本発明の第1実施例に係る砕石杭形成方法の工程を示すフローチャートである。ステップS100では、オペレータは、図1に示される状態において、杭芯位置合わせ工程を実行する。杭芯位置合わせ工程とは、予め設定された砕石杭形成位置に砕石杭を形成することができるように、インナースクリューオーガー29の先端を砕石杭形成位置の中心に合わせる工程である。この位置合わせは、クローラ6の駆動によって小型地盤改良機Mの位置と方向を調整することによって行われる。
杭芯位置合わせ工程では、オペレータは、さらに、アウトリガー5(図1)を操作して小型地盤改良機Mの位置を固定する。これにより、施工時における小型地盤改良機Mの揺動や位置ずれを抑制することができる。オペレータは、アウトリガー5による小型地盤改良機Mの固定を確認した後に、リーダー4の重力方向に対する鉛直性を確認し、必要に応じて微調整を行う。
オペレータは、鉛直性を確認した後に、図5に示されるように、プレス板110(表層保護板の一例)を地表まで下降させて接地させる。プレス板110を接地させるのは、掘削開始時における地表面近傍の表層部のゆるみを抑制するためである。
図6は、第1実施例のプレス板110(下降前)とその近傍の構成を示す拡大図である。アタッチメントTは、さらに、プレス板110を昇降させる油圧アクチュエータ111を備えている。油圧アクチュエータ111は、リーダー4の下端部において一体的に形成されている延長脚柱10に支持されている。プレス板110は、アタッチメントTによって掘削される掘削孔の周囲の地表を加圧することができる。
ステップS200では、オペレータは、図7に示されるように、掘削準備工程を実行する。掘削準備工程とは、掘削するための準備工程であって、基準位置設定工程と、ケーシング下降工程と、砕石予備投入工程と、を含む工程である。基準位置設定工程は、掘削の際の掘削深さの基準となる位置を設定する工程である。基準位置設定工程では、オペレータは、プレス板110が地表に接地した状態において、施工管理装置TCに所定の入力(たとえばボタン(図示せず)を押す。)を行うことによって基準位置を設定することができる。
ケーシング下降工程は、パイプケーシング12の下端が地表に接地するまで下降させる工程である。これにより、図7に示されるように、インナースクリューオーガー29の先端部が地中に侵入して地表にアタッチメントTが固定された状態において、パイプケーシング12の下端が地表によって封鎖されることになる。パイプケーシング12の昇降量は、たとえばリーダー4が有する図示しないポテンショメータによって計測することができる。
砕石予備投入工程は、砕石投入装置330から中込め材受け入れ口14を介して砕石を予備的に投入する工程である。投入される砕石の量は、本発明の発明者の実験によれば、パイプケーシング12の下端から50cm(±10cm)程度とすることが好ましいことが確認されている。投入された砕石は、アタッチメントTによる掘削時にパイプケーシング12の下端を閉塞し、パイプケーシング12の内部への掘削土砂の侵入を防止する。本明細書では、砕石は、広い意味を有し、自然砕石や砂利、砂といった自然物、あるいはコンクリートの破片、廃瓦、鉱津といった人工物などを含む。ただし、自然物を使用すれば、地盤改良に起因する土壌汚染を防止することができるとともに、地中に人工物を残存させないことによって将来的な人工物の撤去の必要性を予め排除することもできるので、土地の資産価値の下落を抑制することができるという利点がある。一方、コンクリートの破片等の廃棄物を使用すれば、地盤改良の材料として廃棄物を有効利用することができるという利点がある。
図8は、砕石予備投入前におけるパイプケーシング12および砕石投入装置330の状態を示す側面図である。図9は、砕石予備投入前におけるパイプケーシング12および砕石投入装置330の状態を示す平面図である。砕石投入装置330は、中込め材収容ホッパー33に供給された中込め材を中込め材投入シュート34(砕石移動樋本体の一例)を介して、パイプケーシング12の内部に投入する。パイプケーシング12の内部への中込め材の投入は、パイプケーシング12の側面に形成された中込め材受け入れ口14から行われる。中込め材受け入れ口14への投入は、砕石投入装置330に装備された開放支持部材331および砕石投入アダプタ332と、を利用して行われる。
パイプケーシング12には、パイプケーシング12の回転軸方向(Z軸方向)を長軸とする長孔(本実施例では矩形)としての中込め材受け入れ口14が形成されている。中込め材受け入れ口14は、弾性体で形成されている平面形状の開閉蓋Dによってパイプケーシング12の外部方向から塞がれている。開閉蓋Dは、パイプケーシング12の螺進方向Fの先行側の中込め材受け入れ口14の端部側の一辺である固定部Dfでパイプケーシング12に締結されているとともに、他の辺で開放されている。これにより、パイプケーシング12の掘削時の回転によって、中込め材受け入れ口14を閉鎖する方向の力が地盤から印加されるので、掘削の際の回転時における土砂や水の浸入を顕著に低減させることができる。
開閉蓋Dは、必ずしも弾性体で構成する必要は無く、また、平坦である必要もない。ただし、弾性体で構成すると、地盤からの圧力で中込め材受け入れ口14の形状や付着した土砂等に沿って変形するので、高い機密性を実現することができることが本願発明者の試験と解析とによって確認された。一方、開閉蓋Dを平坦形状とすれば、3次元形状で形成する場合よりも簡易に製造することができる。なお、開閉蓋Dの構成については、第2実施例で詳しく説明する。
砕石投入装置330は、以下の構成を有する開放支持部材331および砕石投入アダプタ332を使用して中込め材投入シュート34から中込め材受け入れ口14に中込め材を供給する。開放支持部材331は、中込め材投入シュート34に固定された開放支持部材ベース331bと、開放支持部材ベース331bに対してZ軸回りに回転可能にヒンジ(図示省略)で結合された旋回支持部331aと、を備えている。一方、砕石投入アダプタ332は、中込め材投入シュート34に固定された砕石投入アダプタベース332bと、砕石投入アダプタベース332bに対してX軸回りに回転可能にヒンジ(図示省略)で結合された旋回アダプタ部332aと、旋回アダプタ部332aに装着された付勢錘332cと、を備えている。付勢錘332cは、旋回アダプタ部332aが中込め材投入シュート34の出口を閉鎖するように上方方向に付勢されている。
図8および図9から分かるように、砕石予備投入前における砕石投入装置330の状態では、パイプケーシング12は、砕石投入装置330の干渉を受けることなく回転することができる。この状態では、旋回アダプタ部332aは、前述のように付勢錘332cによって中込め材投入シュート34の出口を閉鎖するように上方方向に付勢されている。一方、旋回支持部331aは、パイプケーシング12の回転時において、仮にパイプケーシング12に接触しても自動的に退避するように旋回するように構成されている。なお、付勢は、バネによって行ってもよい。
このように、地盤の掘削に使用するパイプケーシング12を側方向から貫通する中込め材受け入れ口14を形成する構成や、中込め材受け入れ口14を塞ぐ開閉蓋Dを簡易に製造可能な平坦形状とすることによってパイプケーシング12の断面形状を非円形とする構成は、出願時の当業者の技術常識を根底から覆すものである。パイプケーシング12の側方に貫通孔を形成すると、パイプケーシング12の機密性の確保を困難として土砂や水の浸入を防ぐことが困難で、加えてパイプケーシング12の剛性や強度を低下させるので、事実上不可能な構成として検討すらされていなかった。さらに、パイプケーシング12の外径の一部において、たとえば本実施例では、外径の20%以上の部分で螺旋形状のフィンが欠落しているので、土砂の排出も困難になると考えられる。しかも、パイプケーシング12の断面形状を非円形とすると、土砂の排出性とも相俟って掘削時のトルクが過度に上昇するので、掘削自体が困難になると考えられていたからである。
図10は、砕石予備投入時におけるパイプケーシング12および砕石投入アダプタ332の状態を示す側面図である。図11は、砕石予備投入時におけるパイプケーシング12および砕石投入装置330の状態を示す平面図である。なお、図10では、砕石投入アダプタ332の状態を見えやすくするために開放支持部材331の図示が省略されている。砕石予備投入では、オペレータは、前準備として弾性体である開閉蓋Dを手で開けるとともに、開閉蓋Dを旋回支持部331aに係合させて保持させる。
オペレータは、保持状態を確認した後に、中込め材収容ホッパー33に砕石を投入する。投入された砕石は、中込め材投入シュート34に流れ、その重量で旋回アダプタ部332aを押すことになる。旋回アダプタ部332aは、砕石の重量によって旋回し、その先端が中込め材受け入れ口14に挿入されることになる。これにより、砕石は、パイプケーシング12の内部に投入されることになる。
このような構成を採用することによって、掘削時から砕石杭形成時まで砕石投入装置330の中込め材収容ホッパー33を移動させる必要がなくなる。さらに、退避状態と投入状態は、砕石の投入状態に応じて自動的に切り替えられるので、予め操作ミスを防止することができる。これにより、オペレータの負担を顕著に軽減することができるとともに、施工の信頼性を高めることができる。
ステップS300では、オペレータは、図12に示されるように、掘削工程を実行する。掘削工程は、掘削深度を監視しつつ掘削を行う工程である。掘削深度は、本実施例では、プレス板110の下端(地表に接地)の基準位置からのパイプケーシング12の先端位置の突出量として監視される。この基準位置は、ステップS200において、施工管理装置TCで使用される基準として設定された位置である。掘削深度の監視は、プレス板110とパイプケーシング12の相対的な位置の計測として行われ、施工管理装置TCにリアルタイムで入力される。施工管理装置TCは、時系列データとして掘削時のアタッチメントTへの出力トルクと掘削深度とを記録する。
施工管理装置TCは、掘削深度が予め設定された所定の深度(たとえば1m)に達したら、音声でオペレータに注意を喚起する。オペレータは、この音声に応じて、プレス板110を上昇させて地表から離す。掘削開始から所定の深度までの間において、プレス板110を地表に接地させた状態で維持するのは、掘削開始に起因する掘削孔の周囲の地盤の緩みを抑制するためである。
ステップS400では、オペレータは、図13に示されるように、掘削完了工程を実行する。掘削完了工程とは、原則として、予め設定された最大深度への到達に応じて掘削を終了させる工程である。ただし、オペレータは、予め設定された最大深度へ到達する前であっても、比較的に強固な地層への到達に応じて掘削を完了させることもできる。比較的に強固な地層は、地耐力(たとえばN値)が予め設定された以上の大きさを有する地層である。比較的に強固な地層への到達は、たとえば掘削時のアタッチメントTへの出力トルクの上昇や掘削速度(単位時間当たりの掘削深度の量)の低下に応じて検知することができる。
このような掘削完了の方法は、本願発明者によって創作されたもので、掘削孔に形成される砕石杭による地耐力を実質的に顕著に上昇させることができる。具体的には、予め設定された最大深度への到達に応じて掘削を終了させれば、砕石杭の周面摩擦力を十分に大きくすることができる。砕石杭が十分に長くかつ地層変化に応じて直径が変化するからである。一方、比較的に強固な地層への到達に応じて掘削を完了すれば、砕石杭を比較的に強固な地層によって支えることができるので、砕石杭を基礎杭として利用する杭基礎としての考え方に基づく地盤改良の効果をも奏することになる。このような効果は、たとえば要求される長期許容応力度が比較的小さい木造住宅(必要長期許容応力度が20kN/m2乃至30kN/m2程度:木造住宅工事共通仕様書)において得に顕著な効果を奏する。一方、たとえば鉄骨造や鉄筋コンクリートの住宅(必要長期許容応力度が100kN/m2を超える場合を含む。)に対しても、たとえば単位面積当たりの砕石杭の数や砕石杭の直径、砕石杭形成時のインナースクリューオーガー29の駆動トルクといったパラメータの調整によって対応することができるという広い適応性をも有している。
ステップS500では、オペレータは、図14に示されるように、砕石形成工程を実行する。砕石杭形成工程は、掘削によって形成された空間に砕石を投入・加圧して砕石杭を形成する工程である。砕石の投入は、砕石予備投入工程と同様の方法で行うことができる。砕石の投入は、中込め材収容ホッパー33に対して、たとえばベルトコンベアによって継続的に行っても良いし、あるいはパワーショベルによって断続的に行っても良い。砕石の加圧は、インナースクリューオーガー29を掘削時とは逆方向に回転させることによって行われる。
砕石の加圧量は、インナースクリューオーガー29の駆動トルクの大きさを監視することによって間接的に制御される。施工管理装置TCは、インナースクリューオーガー29の駆動トルクが設定された上限トルクに達する毎に、音声でオペレータに注意を喚起する。オペレータは、これに応じて所定量(たとえば10cm)だけインナースクリューオーガー29を上昇させる。インナースクリューオーガー29の上昇は、リーダー4には備えられた無端な伝動チェーンとその回走駆動モーター(図示省略)によって行われる。上昇駆動力は、インナースクリューオーガー29の回転に起因して発生する砕石杭からの反力によって軽減される。パイプケーシング12は、インナースクリューオーガー29に対して回転軸方向の相対的な位置関係を拘束するように結合されているので、インナースクリューオーガー29とともに上昇することになる。このような方法で砕石杭の形成が管理されているので、砕石の投入が継続的であっても断続的であっても、安定した品質の砕石杭を形成することができる。
図15は、砕石杭形成工程における砕石投入装置330の状態を示す説明図である。砕石杭形成工程では、砕石杭の形成に応じてパイプケーシング12およびインナースクリューオーガー29が徐々に上昇するにも拘わらず、中込め材収容ホッパー33を地上付近の位置に固定したままで砕石の投入を連続して行うことができる。中込め材受け入れ口14がパイプケーシング12の回転軸の方向に長軸を有する長孔であるとともに、弾性体の開閉蓋Dで塞がれているからである。中込め材受け入れ口14は、地中においてはパイプケーシング12の外部方向から塞ぐ開閉蓋Dで地中圧を受けて強固に閉鎖されているが、地上に露出して地中圧が消滅するとともに旋回支持部331aによって自動的に開かれるからである。
このような構成は、以下のような利点を有している。
(1)砕石投入位置を低い位置とすることができるので、砕石杭形成装置100の重心位置を低下させるとともに、砕石補給位置を低くすることもできる。これにより、小型軽量な小型地盤改良機Mでの施工と、上方からの砕石補給状態の監視と、安全な砕石補給と、を可能とすることができる。
(2)中込め材収容ホッパー33の位置を固定することができるので、中込め材収容ホッパー33への砕石の補給が容易となる。これにより、たとえば中込め材収容ホッパーを低位置に移動させて砕石を補給し、中込め材収容ホッパーを上昇させて投入といった繰り返し工程を回避することができる。
(3)パイプケーシング12内での砕石の落下量を小さくすることができ、特にパイプケーシング12が上昇して地上に露出するにしたがって、砕石の落下量が小さくなるので、施工時の騒音を顕著に低減させることが可能となる。
このような特徴は、特に狭小地や住宅地での効率的な作業を可能とするという顕著な効果を奏する。さらに、本実施例で形成される砕石杭は、住宅用の地盤改良に顕著な効果を奏するので、本構成は、住宅用の地盤改良に特に適していることが分かる。
このようにして、インナースクリューオーガー29の深度が予め設定された深度(たとえば1m)に達すると、施工管理装置TCは、音声でオペレータに注意を喚起する。オペレータは、この音声に応じて、プレス板110を下降させる。プレス板110は、掘削孔の周囲に形成された掘削土砂を上方から加圧することによって、砕石形成時の地表面近傍の地盤の緩みを予め効果的に防止するとともに、表層付近の十分な砕石の締固めを効果的に実現することができる。これにより、砕石杭形成後において、たとえばランマー転圧といった表層の締固め作業の必要性を低減させることが可能となる。
さらに、インナースクリューオーガー29が上昇し、掘削深度が予め設定された深度(たとえば0.5m)に達すると、インナースクリューオーガー29の回転速度を低下させて砕石杭の形成速度を低下させる。これにより、さらに効果的に砕石形成時の地表面近傍の地盤の緩みを抑制することができる。
ステップS600では、オペレータは、図16に示すように、施工完了工程を実行する。施工完了工程は、各砕石杭の形成後における後処理である。施工完了工程は、プレス板上昇工程と、ケーシング上昇工程と、リーダー傾斜工程と、アウトリガー上昇工程と、を含む工程である。なお、図16では、砕石投入アダプタ332の状態を見えやすくするために開放支持部材331等が省略されている。
プレス板上昇工程は、インナースクリューオーガー29の先端部が地中から露出することを確認した後に、オペレータが油圧アクチュエータ111を操作することによって行われる。ケーシング上昇工程は、パイプケーシング12を上昇させることによってインナースクリューオーガー29の先端部を地表から離す工程である。リーダー傾斜工程とは、地表から離れたアタッチメントTを小型地盤改良機Mの方向に傾斜させることによって、砕石杭形成装置100の重心位置をクローラ6の下面の図心位置に近づける工程である。アウトリガー上昇工程は、アウトリガー5を上昇させてクローラ6による小型地盤改良機Mの移動を可能とする工程である。
このように、第1実施例の砕石杭形成装置100は、中込め材受け入れ口14が側面に形成されたパイプケーシング12を有するので、パイプケーシング12の側面から砕石を投入して地中に砕石杭を形成することができる。中込め材受け入れ口14は回転軸の方向に長軸を有する長孔なので、砕石杭の形成に伴ってパイプケーシング12が上昇しても中込め材受け入れ口14の長軸方向の長さの範囲で砕石投入位置を固定して作業の効率化を図ることができる。なお、本実施例では、中込め材受け入れ口14は、連続した単一の長孔として形成されているが、たとえば途中で分断された複数の長孔として形成してもよい。
一方、パイプケーシング12は、中込め材受け入れ口14をパイプケーシング12の外部方向から塞ぐ開閉蓋を有するので、地中においてはパイプケーシング12の外部の圧力で中込め材受け入れ口14が閉鎖され、土砂の浸入を抑制することができる。これにより、簡易かつ効率的な砕石杭の形成作業を実現させることができる。
B.本発明の第2実施例に係る砕石杭形成装置の構成と施工方法:
図17〜図19はその本発明の第2実施例に係る砕石杭形成装置100a(本明細書では、埋設装置とも呼ばれる。)の概略全体を示しており、(M)は地盤改良用として施工現場に据え付け固定される杭打ち機や建柱車、パワーショベル、バックホー、その他の適当な小型建設機械(ベースマシン)であって、その機体フレーム(1)へリーダー取付ベース(2)と油圧シリンダー(3)により、垂立状態に調整支持される一定の長いリーダー(4)やアウトリガー(5)、走行用クローラ(6)、キャビン(7)などを装備している。なお、第2実施例の砕石杭形成装置100aは、プレス板110と油圧アクチュエータ111とが削除されるとともに、砕石投入装置330の構成が変更されている点で、第1実施例の砕石杭形成装置100と相違し、他の構成において共通する。
上記リーダー(4)には図外の無端な伝動チェーンとその回走駆動モーターが設置されており、伝動チェーンと連結一体化された昇降台(8)が、リーダー(4)側の昇降ガイドレール(9)に沿って昇降作動されるようになっている。(10)はそのリーダー(4)の下端部から一体的に垂下された剛性な延長脚柱、(11)は上記昇降台(8)に組み付け一体化された回転駆動源であって、油圧モーターや電動モーターなどから成り、後述のコアーロッド(芯粁)を直接に回転駆動する。
(12)は砂質などの軟弱な地盤(E)へ予定の掘削穴(G)を造成するためのパイプケーシング(鞘管)であって、一定な長さ(約6m)と直径(約32cm)並びに厚み(約6mm)の鋼管から成り、その円周面からは一定なピッチ(約20cm)のフィン(13)(以下では、アウタースクリューオーガーとも呼ばれる。)が約4cmの一定高さだけ外向き一体的に突設されている。茲に、アウタースクリューオーガー(13)は掘削時の推進力を発揮して、穴径が約40cmの掘削穴(G)を造成すると共に、地盤(E)の掘削した土砂(A)を地表面まで自づと排出する。
但し、上記パイプケーシング(12)の円周面における上端部と下端部とを除くほぼ全体の一定長さ分(L1)(約5.5m)に亘っては、図17〜図23のような約90度(α)だけ拡開する砕石投入孔(14)(以下では、中込め材受け入れ口とも呼ばれる。)が、上下方向に沿い延在するほぼ長方形として切り欠き列設されている。しかも、その開口縁部から扉取付プレート(15)と扉受け止め座(16)との向かい合う左右一対が、内向き一体的に張り出されることにより、上記中込め材受け入れ口(14)の開口幅(W1)が約13.5cmとして狭く限定されている。
(D)は上記中込め材受け入れ口(14)を施蓋する対応的な長方形の開閉扉であって、ゴムや合成樹脂などの弾性変形可能な膜材から成り、図22〜図24のような一定の帯幅(W2)(約22cm)と厚み(t)(約13mm)を有するが、これには引き裂けなどを防ぐ補強布(17)と、折損などを防ぐ複数の平行な補強金属骨(18)とが埋設一体化されている。
そして、このような開閉扉(D)における左右何れか一方の基端部(長辺)が上記扉取付プレート(15)へ、点在分布する複数の固定ボルト(19)とナット(20)を介して枢着されており、上記パイプケーシング(12)がアウタースクリューオーガー(13)の螺進方向(F)へ回転(上方から見て右回転)される地盤(E)の掘削時に、残る他方の先端部(長辺)が上記扉受け止め座(16)によって受け止められ、そのパイプケーシング(12)の中込め材受け入れ口(14)を密閉状態に保つこととなる関係にある。
つまり、上記パイプケーシング(12)における円周面の一部はアウタースクリューオーガー(13)の切り欠かれた長方形な中込め材受け入れ口(14)として、これを施蓋する弾性膜材の開閉扉(D)により扁平化されているのである。(21)は扉押えプレートであり、上記扉取付プレート(15)と平行に延在することは言うまでもない。
他方、(22)は上記パイプケーシング(12)の回転軸線上に沿って、これよりも長く垂立するコアーロッド(芯杵)であり、一定な直径(約8cm)の鋼管から成る。(23)はそのコアーロッド(22)の軸受け管であり、上記パイプケーシング(12)内の中途高さ位置へ図19のように、数段の放射ステー(24)を介して固定支持されている。
茲に、放射ステー(24)はコアーロッド用軸受け管(23)から放射状に張り出しており、上記パイプケーシング(12)に受け入れられた中込め材(25)が、その内部での目詰まり現象やブリッジ現象などを起さないようになっている。尚、中込め材(25)として使用される自然砕石や砂利、コンクリートの破片、廃瓦、鉱津などの平均的な粒度は、約2〜4cmである。
コアーロッド(22)の上端部は回転入力軸(26)として、上記昇降台(8)に組み付けられている回転駆動源(11)のモーター出力軸(27)へ、適当なチャッキング機構(図示省略)によって連結一体化されるようになっており、その不使用時にはコアーロッド(22)を抜き取り分解することも可能である。
上記回転駆動源(11)からの吊持状態にあるコアーロッド(22)の下端部は、錐先(28)として掘削時の先導作用を営なむことになる。(29)は上記コアーロッド(22)の円周面における下端部から一定長さ分(L2)(約40〜60cm)に亘って、約3ピッチだけ外向き一体的に張り出し造形されたインナースクリューオーガーであり、その回転直径が下方へ行く程徐々に大きく変化した上段羽根部(29a)と中段羽根部(29b)並びに下段羽根部(29c)を具備している。
又、インナースクリューオーガー(29)の下段羽根部(29c)だけは上記パイプケーシング(12)の下端部から露出しており、そのパイプケーシング(12)の開口下面を狭く制限する被覆状態にある。しかも、その最大の回転直径(d)が図25〜図28から明白なように、上記パイプケーシング(12)におけるアウタースクリューオーガー(13)のそれとほぼ等しい寸法として、穴径が約40cmの掘削穴(G)を造成できるようになっている。
更に、上記インナースクリューオーガー(29)の下段羽根部(29c)は約20〜40度の逃げ角(β)(又は約100〜140度の刃先角)を有する言わば2枚として、放射対称型に振り分けられていると共に、その2枚羽根からは掘削刃(30)が斜め下向き一体的に突出されてもいる。
つまり、上記パイプケーシング(12)とコアーロッド(22)とをそのスクリューオーガー(13)(29)の螺進方向(F)へ、一緒に回転(上方から見て右回転)させれば、そのコアーロッド(22)におけるインナースクリューオーガー(29)の下段羽根部(29c)が掘削刃(30)と相侯って、地盤(E)を容易に掘削するようになっており、その際パイプケーシング(12)の開口下面はインナースクリューオーガー(29)の下段羽根部(29c)によって、狭く制限された被覆状態にあるため、地盤(E)の掘削された土砂(A)が図25のように、パイプケーシング(12)の内部へ侵入し難く目詰まりし、その侵入した土砂はインナースクリューオーガー(29)の上段羽根部(29a)まで到達するや、自づと落下して、上記パイプケーシング(12)の開口下面を閉塞してしまう結果、地盤(E)の掘削を支障なく進行させることができるのである。
他方、上記パイプケーシング(12)の回転(右回転)を一旦停止させて、その内部へ中込め材(25)を投入し、上記コアーロッド(22)だけを掘削時との逆方向(R)へ回転(上方から見て左回転)させれば、そのインナースクリューオーガー(29)における上記逃げ角(β)を保つ下段羽根部(29c)の下面が、掘削刃(30)の下面も含む全体的な圧密カム面(31)として、その逃げ角(β)に基き中込め材(25)を下方と横方向(径方向)へ押し付けることになり、その中込め材(25)を高密度に締め固めることができる。
その場合、上記パイプケーシング(12)の開口下面を先に閉塞している掘削土砂(A)は、コアーロッド(22)の逆回転により自づと押し出され脱落すると共に、そのパイプケーシング(12)の内部に投入された中込め材(25)は、コアーロッド(22)における回転直径が下方へ行く程徐々に大きくなるインナースクリューオーガー(29)の羽根部(29a)(29b)(29c)に沿って、上記パイプケーシング(12)の開口した下面まで円滑に流れ落ちることとなり、そのコアーロッド(22)がいたづらに過大な回転抵抗を受けることもない。
尚、図例では中込め材(25)の粒径が平均的に約2〜4cm、掘削穴(G)の穴径が約40cm、上記逃げ角(β)が約20〜40度であることとの関係上、コアーロッド(22)におけるインナースクリューオーガー(29)の下段羽根部(29c)を掘削刃(30)付きの2枚羽根として造形しているが、その放射対称分布型の3枚羽根以上に造形しても良い。もっとも、1枚羽根ではコアーロッド(22)の芯振れするおそれがあるため、好ましくない。
地盤改良用となる建設機械(M)のリーダー(4)からは、剛性な延長脚柱(10)が一体的に垂下されている旨を既述したが、その延長脚柱(10)にはパイプケーシング振れ止め用の包囲枠(32)と、中込め材収容ホッパー(33)を搭載した中込め材投入シュート(34)とが付属設置されており、一定な地上高さ(h)(約40〜60cm)での位置決め固定状態にある中込め材投入シュート(34)から、上記パイプケーシング(12)の内部へ中込め材(25)を投入し得るようになっている。
即ち、パイプケーシング振れ止め用の包囲枠(32)は図20、図21や図19〜図31に示すように、平面視のほぼC字形に湾曲された鋼板から成り、横向きに開口する扉逃し切欠(35)を有している。(36)はその包囲枠(32)の胴面補強リブ、(37)は同じく包囲枠(32)の胴面から後向き一体的に張り出す平行な一対の取付プレートであり、複数の固定ボルト(38)を介して上記リーダー(4)の延長脚柱(10)へ、着脱自在に取り付けられている。
又、中込め材投入シュート(34)は一定寸法(y)(約10cm)の段違い傾斜面を有する漏斗形であって、これに上方から図33のような大きい漏斗形の中込め材収容ホッパー(33)が、着脱自在に差し込み嵌合されている。但し、その中込め材(25)の収容ホッパー(33)と投入シュート(34)は、予じめの連続一体的に作成された大型品であっても勿論良い。上記一定寸法(y)の段違い傾斜面は、中込め材(25)の集中による目詰まり現象やブリッジ現象を予防する。
(39)は上記中込め材投入シュート(34)の底部から一体的に張り出し延長された複数の剛性な支持アームであり、複数の固定ピン(40)を介して上記リーダー(4)の延長脚柱(10)へ、やはり着脱自在に取り付けられている。その取付使用状態では図20、図21から明白なように、中込め材投入シュート(34)の角形底筒(41)が上記パイプケーシング振れ止め用包囲枠(32)の扉逃し切欠(35)を正しく指向した横下がりの傾斜姿勢状態に保たれることとなる。その傾斜角度は一例として約35度である。
(42)は上記中込め材投入シュート(34)の角形底筒(41)へ進退自在に差し込み套嵌されたスライド口筒であり、これを作業者が図29〜図32のように、上記パイプケーシング(12)の中込め材受け入れ口(14)へ近づけるか、又は図34、図35のように中込め材受け入れ口(14)の内部へ差し込んで、その開閉扉(D)を開放状態に保つこととなる。
(43)はそのスライド口筒(42)の底面に付属一体化された三角シューであり、開閉扉(D)を滑らかに弾性変形させて、その安定な開放状態を維持する。(44)はスライド口筒(42)の調整フックレバーであり、これに刻成された複数の凹溝(45)を、スライド口筒(42)から突出する係止ピン(46)へ、択一的に係止させることによって、そのスライド口筒(42)の位置決め調整を行なうようになっている。(47)は上記調整フックレバー(44)の枢支ピンである。
尚、図例では中込め材収容ホッパー(33)が搭載された中込め材投入シュート(34)を、リーダー(4)から垂下する延長脚柱(10)へ取り付けているが、パイプケーシング(12)の内部へ中込め材(25)を投入できる限り、その中込め材収容ホッパー(33)並びに中込め材投入シュート(34)を建設機械(M)と別個な運搬車として、地表面を移動できるように定めても良い。
先の図20、図21や図29〜図32に基いて説明したパイプケーシング振れ止め用の包囲枠(32)は、鋼板から平面視のほぼC字形に湾曲形成されているが、これに代えて、図36〜図38の変形実施形態に示すような包囲枠(32)の構成を採用することが好ましい。
つまり、その変形実施形態では包囲枠(32)を、上記リーダー(4)の延長脚柱(10)へ取り付けられる上下一対の固定側包囲枠片(32r)(32r)と、これと向かい合う上下一対の自由側包囲枠片(32f)(32f)に縦割りして、その固定側包囲枠片(32r)(32r)と自由側包囲枠片(32f)(32f)とを上下一対の枢支ピン(48)(48)により、開閉自在に組み付けている。(49)(49)はその閉合状態に保つ上下一対のロックピンであり、これを抜き取れば、枢支ピン(48)(48)の廻りに開くことができるようになっている。
そのため、パイプケーシング(12)に付着した土砂の掻き取り作業や、パイプケーシング(12)とその包囲枠(32)との組立作業などを、容易に便利良く行なえるのである。
更に、上下一対の固定側包囲枠片(32r)(32r)同士や上下一対の自由側包囲枠片(32f)(32f)同士は、各々比較的細い垂立固定杵(50)(50)によって連結一体化されているが、その垂立固定杵(50)(50)に加えて、これより太い鋼管から成る遊転ローラー(51)(51)の2本づつも、上記固定側包囲枠片(32r)(32r)同士や自由側包囲枠片(32f)(32f)同士の上下相互間へ、各々垂立状態に軸支されており、その遊転ローラー(51)(51)が上記パイプケーシング(12)を包囲する状態に臨むため、万一パイプケーシング(12)が振れ動いて、その包囲枠(32)の遊転ローラー(51)(51)に接触するも、上記パイプケーシング(12)の回転に抵抗を与えるおそれや、メタルタッチによる騒音を発生するおそれが一切なく、更に付着した士砂の排除作業もすばやく安楽に行なえる。
その場合、上記遊転ローラー(51)(51)の各個は、その上端ネジ軸部の固定ナット(52)(52)を緩めることにより、固定側包囲枠片(32r)(32r)の切欠き凹溝(53)(53)と自由側包囲枠片(32f)(32f)の落し入れ貫通孔(54)(54)から抜き出し交換することができる。
尚、図36〜図38の変形実施形態におけるその他の構成は、図29〜図32などの上記包囲枠(32)と実質的に同一であるため、その対応的な符号を記入するにとどめて、その詳細な説明を省略する。
上記パイプケーシング(12)とその内部に垂立するコアーロッド(22)とは、ワンウエイクラッチ機構(C)を介して伝動連結されており、地盤(E)の掘削時にはパィプケーシング(12)とコアーロッド(22)とをそのスクリューオーガー(13)(29)の螺進方向(F)へ、一緒に回転(上方から見て右回転)駆動するようになっている一方、中込め材(25)の投入とその締め固め時にはパイプケーシング(12)を回転させず、コァーロッド(22)だけを上記掘削時との逆方向(R)へ、回転(上方から見て左回転)駆動するようになっている。
即ち、そのワンウエイクラッチ機構(C)を抽出して示した図39〜図42において、(55)は上記パイプケーシング(12)の上端部に被着一体化された断面ほぼ倒立U字形のトップカバーケースであり、その水平な上面とこれを貫通するコアーロッド(22)との交叉部には、相対回転を許すベアリング(56)が介挿設置されている。そのため、上記コアーロッド(22)が回転駆動されても、パイプケーシング(12)はこれと一緒に連れ廻らず、そのフリー状態に保たれる。
(57)は上記コアーロッド(22)の上端部付近からパイプケーシング(12)やそのトップカバーケース(55)の直径線上に沿って、横向き一体的に張り出された水平な原動アーム、(58)はその原動アーム(57)の上段位置に臨む関係状態として、上記トップカバーケース(55)の円周面から内向き一体的に張り出された従動リングであり、これには一対の爪受け入れ角孔(59)(59)が開口分布されている。
そして、その従動リング(58)の各爪受け入れ角孔(59)(59)には対応的な角軸形の連結爪(60)(60)が、上方から吊り下げ状態に差し込まれている。(61)(61)はその各連結爪(60)(60)の上端部から一体的に張り出す水平な脱落防止フランジ、(62)(62)は上記トップカバーケース(55)の水平な上面と、その各連結爪(60)(60)との向かい合う上下相互間に介挿セットされた圧縮コイルバネであり、これによる押し下げ付勢力を受けた連結爪(60)(60)の下端部が、常時トップカバーケース(55)の従動リング(58)から下向きに露出している。
しかも、その各連結爪(60)(60)の露出下端部は上記コアーロッド(22)における回転方向性との関係上、その右回転(図40、図41の矢印(F)参照)されるコアーロッド(22)側の原動アーム(57)と接触する前面が、互いに係合する伝動垂直面(60f)(60f)をなすに比して、逆に左回転(図42の矢印(R)参照)されるコアーロッド(22)側の原動アーム(57)と接触する後面は、互いに係合しない非伝動円弧面(60r)(60r)として造形されている。
つまり、既述したように、コアーロッド(22)が右回転された時には、その原動アーム(57)と連結爪(60)(60)との係合作用を介して、パイプケーシング(12)が図40、図41のようにコアーロッド(22)と一緒に右回転する一方、コアーロッド(22)が逆に左回転された時には、その原動アーム(57)が図42のように連結爪(60)(60)を押し上げ通過するため、パイプケーシング(12)は一緒に連れ廻らず、そのフリー状態になる。
更に言えば、そのフリー状態になるパイプケーシング(12)を一旦安定良く停止させて、上記開閉扉(D)による施蓋状態の中込め材受け入れ口(14)と中込め材投入シュート(34)の就中角形底筒(41)とが、自づと正しく対応合致するように位置決め規定するための制動機構(B)も、上記パイプケーシング(12)におけるトップカバーケース(55)の上面に設置されている。
即ち、図43〜図46はそのパイプケーシング(12)の制動機構(B)を示しており、(63)(63)は上記トップカバーケース(55)の直径線上に並ぶ一対として、その水平な上面から一体的に隆起されたカム凸子であり、緩やかな傾斜角度の前面(63f)(63f)と急な傾斜角度の後面(63r)(63r)とを2辺とした非二等辺三角形に造形されている。
又、上記昇降台(8)からはトップカバーケース(55)の上面に向かって、二叉フォーク状をなすハンガーステー(64)(64)の一対が一体的に張り出されている。(65)(65)はその各ハンガーステー(64)(64)の張り出し先端部(下端部)へ、水平な貫通ピン(66)(66)を介して起伏的な回動自在に枢着された逆止爪であり、その爪先部が自重によって上記トップカバーケース(55)側のカム凸子(63)(63)と接触し得るようになっている。
そして、コアーロッド(22)とパイプケーシング(12)がそのスクリューオーガー(13)(29)の螺進方向(F)へ、一緒に回転(右回転)駆動されると、上記トップカバーケース(55)におけるカム凸子(63)(63)の前面(63f)(63f)が図43、図44のように、昇降台(8)側の逆止爪(65)(65)を押し上げて通過し、パイプケーシング(12)は支障なく回転し続け、地盤(E)を掘削することができる。
その地盤(E)を予定深さ(Z)まで掘削し終えたならば、上記パイプケーシング(12)をそのまま同じ方向(F)へ回転(右回転)続行して、そのトップカバーケース(55)におけるカム凸子(63)(63)の前面(63f)(63f)により一旦押し上げられた昇降台(8)側の逆止爪(65)(65)が、図43の仮想線に示す如く自重で下降した時に、上記パイプケーシング(12)の回転(右回転)を停止するのである。
その停止時に、パイプケーシング(12)の中込め材受け入れ口(14)と中込め材投入シュート(34)の就中角形底筒(41)とが、対応合致した位置決め状態となるように予じめ関係設定されているのであり、そのため角形底筒(41)のスライド口筒(42)を図29〜図32のように、上記中込め材受け入れ口(14)の開閉扉(D)へ差し込み係止させる。
そうすれば、上記開閉扉(D)はそのスライド口筒(42)の差し込み係止された高さ位置においてのみ、図29〜図32のような部分的に弾性変形された開放状態となり、中込め材収容ホッパー(33)内の中込め材(25)をその投入シュート(34)から、パイプケーシング(12)の内部へ確実に投入することができる。
その後、コアーロッド(22)が逆方向(R)へ回転(左回転)駆動されると、上記トップカバーケース(55)におけるカム凸子(63)(63)の後面(63r)(63r)が図45、図46のように、昇降台(8)側の逆止爪(65)(65)に受け止められるため、そのパイプケーシング(12)が中込め材(25)を介して、コアーロッド(22)と一緒に回転(左回転)するおそれはない。
更に言えば、中込め材受け入れ口(14)とその開閉扉(D)はパイプケーシング(12)の上下方向に沿って延在しているため、地盤(E)の掘削後、中込め材受け入れ口(14)の開閉扉(D)へ上記中込め材投入シュート(34)のスライド口筒(42)が依然差し込み係止された開扉状態のままで、そのパイプケーシング(12)を昇降台(8)によって引き上げることができ、その過程において中込め材(25)がパイプケーシング(12)の内部へ連続的に投入されることになる。その結果、パイプケーシング(12)の内部へ中込め材(25)を投入するためのシュート(34)やホッパー(33)などを、そのパイプケーシング(12)に沿って昇降作動させる必要がない。
上記シュート(34)やホッパー(33)は一定な地上高さ位置での固定状態にあるため、そのホッパー(33)ヘバックホーなどの荷役機械によって、中込め材(25)を投入・収容させることができる。
尚、図例では中込め材(25)がその投入シュート(34)からパイプケーシング(12)の内部へ、自づと落下するようになっているが、特別なプッシャーやフィーダーなどの機械器具を用いて、その中込め材(25)をパイプケーシング(12)の内部へ強制的に送り込んでも良い。
本発明に係る地盤改良用ドレーン杭の埋設装置は上記構成を備えており、これによってドレーン杭を埋設するに当っては、次の工程順序に従って作業する。
即ち、先ず昇降台(8)からパイプケーシング(12)やコアーロッド(22)が吊持された状態にある建設機械(M)を、図47のように改良すべき軟弱な地盤(E)へ据え付け固定した上、コアーロッド(22)とパイプケーシング(12)とを回転駆動源(11)により、スクリューオーガー(13)(29)の螺進方向(F)へ一緒に回転(右回転)駆動し乍ら下降させて、地盤(E)を掘削し始めるのである。
その掘削過程ではコアーロッド(22)の先端部(下端部)に付属しているインナースクリューオーガー(29)と、パイプケーシング(12)とが同一方向(F)へ一緒に回転するため、土砂はコアーロッド(22)のインナースクリューオーガー(29)により、パイプケーシング(12)の内部へ引き込み上昇されず、そのパイプケーシング(12)の下端部と上記インナースクリューオーガー(29)における下段羽根部(29c)との上下相互間隙を、図25や図48のような目詰まり状態に閉塞することになる。
しかも、その下段羽根部(29c)は掘削刃(30)を備えており、上記パイプケーシング(12)のアウタースクリューオーガー(13)と相侯って、地盤(E)を掘削した土砂(A)が地表面まで排出されることになるため、穴径が約40cmの掘削穴(G)を造成することができる。
又、上記パイプケーシング(12)の円周面には中込め材受け入れ口(14)の開閉扉(D)が、上下方向に沿い延在する長方形として設置されており、その設置部分に限っては上記アウタースクリューオーガー(13)が欠落しているため、ここに落下した掘削土砂(A)を、回転するパイプケーシング(12)のアウタースクリューオーガー(13)によって、周囲へ高密度に押し付け締め固めることができ、図49のような穴径の均一に安定した掘削穴(G)を造成し得る効果もある。
尚、パイプケーシング(12)に付属している弾性膜材の開閉扉(D)は、掘削した土砂の圧力を受けて、中込め材受け入れ口(14)を密閉状態に保っているため、その内部へ土砂や泥水などが侵入するおそれはない。
そして、地盤(E)を予定の設計深さ(Z)(約5m)まで掘削し終えたならば、上記コアーロッド(22)とパイプケーシング(12)の回転(右回転)をそのまま一旦続行することにより、上記パイプケーシング(12)の円周面に列設されている中込め材受け入れ口(14)を、リーダー(4)の延長脚柱(10)に付属固定されている中込め材投入シュート(34)の就中角形底筒(41)と対応合致するように、そのパイプケーシング(12)を位置決め停止させた上、中込め材投入シュート(34)のスライド口筒(42)により上記中込め材受け入れ口(14)の開閉扉(D)を開放状態に保って、図29〜図32や図34、図35のように、そのパイプケーシング(12)の中込め材受け入れ口(14)へ上記スライド口筒(42)を近づけるか又は差し込んで、中込め材(25)をその投入シュート(34)のスライド口筒(42)からパイプケーシング(12)の内部へ投入する。
それから、次にコアーロッド(22)を上記掘削時との逆方向(R)へ回転(左回転)駆動するのであり、そうすればコアーロッド(22)のインナースクリューオーガー(29)も同一方向(R)へ回転するため、上記パイプケーシング(12)との上下相互間隙に目詰まりしていた掘削土砂(A)が脱落し、引き続いてパイプケーシング(12)の内部から中込め材(25)が掘削穴(G)へ放出されることになる。
その際、上記コアーロッド(22)のインナースクリューオーガー(29)を形作っている下段羽根部(29c)は、パイプケーシング(12)のアウタースクリューオーガー(13)とほぼ同じ最大回転直径(d)と、約20〜40度の逃げ角(β)を有し、その掘削穴(G)へ放出された中込め材(25)を、下方と径方向(横方向)へ押し付け締め固めることになる。その結果、掘削穴(G)に中込め材(25)を圧密することができ、高強度なドレーン杭(P)を得られる。
このような中込め材(25)の締め固め度合い(地層での支持力)は、コアーロッド(22)の回転駆動源(11)に作用する回転トルク(例えば約300〜500m−Kg)を、その建設機械(M)のデジタル記録部に表示される数値から知得でき、その所定の締め固め度合いを確認する毎に、上記コアーロッド(22)とパイプケーシング(12)が吊持されている昇降台(8)を、図50のように一定のストローク(約10〜30cm)づつ引き上げ、これを地表面まで繰り返すのである。
つまり、引き上げる毎に上記パイプケーシング(12)内の中込め材(25)が、地盤(E)の掘削穴(G)へ自づと順次落下・放出されることになり、その放出された中込め材(25)はコアーロッド(22)のインナースクリューオーガー(29)を形作っている下段羽根部(29c)の圧密カム面(31)によって、下方と径方向(横方向)へ押し付け締め固められるのであり、このような作用が反復される。
そして、上記コアーロッド(22)におけるインナースクリューオーガー(29)の下段羽根部(29c)が、図51のように地表面まで引き上げられれば、茲に中込め材(29)から成るドレーン杭(P)の埋設作業が完了する。図52はこのようなドレーン杭(P)の多数を所要間隔での分布状態に埋設することにより、住宅の基礎として得られた改良地盤を示している。
第2実施例に係る砕石杭形成装置100aは、たとえば以下の態様として実施することができる。第1の態様は、
アウタースクリューオーガーが突出する円周面の上下方向に沿って切り欠かれた中込め材受け入れ口へ、その施蓋状態に開閉扉を取り付けたパイプケーシングと、
そのパイプケーシングの回転軸線上に沿って垂立する一定長さの下端部が、中込め材締め固め用のインナースクリューオーガーとして張り出し造形されたコアーロッドと、
上記パイプケーシングの中込め材受け入れ口へ一定の地上高さから指向するように据え付け固定された中込め材投入シュートとを備え、
上記パイプケーシングとコアーロッドとをそのスクリューオーガーの螺進方向へ一緒に回転駆動し乍ら、地盤を掘削し、
その後停止させたパイプケーシングの開閉扉を開き、その中込め材受け入れ口へ上記中込め材投入シュートを近づけた状態又は差し込んだ状態に保って、
上記コアーロッドだけを掘削時との逆方向へ回転駆動することにより、上記中込め材投入シュートからパイプケーシングの内部へ投入した中込め材の放出・締め固めと、そのパイプケーシングの引き上げとを繰り返すように定めたことを特徴とする地盤改良用ドレーン杭の埋設装置である。
第2の態様は、地盤改良用となる建設機械が装備したリーダーの下端部から、剛性な延長脚柱を一体的に垂下させて、
その延長脚柱にパイプケーシング振れ止め用の包囲枠と、中込め材投入シュートとを各々取り付け固定すると共に、
その中込め材投入シュートの角形底筒へ進退自在に差し込み套嵌したスライド口筒を、上記包囲枠の扉逃し切欠からパイプケーシングの中込め材受け入れ口へ、横下がりの傾斜状態に指向させたことを特徴とする第1の態様の地盤改良用ドレーン杭の埋設装置である。
第3の態様は、パイプケーシング振れ止め用の包囲枠をリーダーの延長脚柱へ取り付けられる上下一対の固定側包囲枠片と、これと向かい合う上下一対の自由側包囲枠片に縦割りして、
その固定側包囲枠片と自由側包囲枠片とを上下一対の枢支ピンにより開閉状態に組み付けると共に、
上記固定側包囲枠片同士や自由側包囲枠片同士の上下相互間へ、複数本づつの遊転ローラーを垂立状態に軸支したことを特徴とする第2の態様の地盤改良用ドレーン杭の埋設装置である。
第4の態様は、中込め材受け入れ口の開閉扉を弾性変形可能な膜材から、パイプケーシングの上下方向へ延在するほぼ長方形に造形して、
その一方の長辺だけを上記中込め材受け入れ口の対応的な開口縁部へ枢着したことを特徴とする第1の態様の地盤改良用ドレーン杭の埋設装置である。
第5の態様は、コアーロッドのインナースクリューオーガーを約3ピッチだけとして、回転直径が下方へ行く程徐々に大きく変化する上段羽根部と中段羽根部並びに下段羽根部から形作り、
その下段羽根部の最大回転直径をパイプケーシングにおけるアウタースクリューオーガーのそれとほぼ等しい寸法として、そのパイプケーシングの開口下面を狭く制限する被覆状態に露出させると共に、
上記インナースクリューオーガーの下段羽根部を放射対称型に振り分けられた2枚として、約20〜40度の逃げ角を与えたことを特徴とする第1の態様の地盤改良用ドレーン杭の埋設装置である。
第6の態様は、地盤改良用となる建設機械が装備したリーダーに沿う昇降台から、パイプケーシングとコアーロッドとを各々吊持させて、その昇降台に組み付けた回転駆動源のモーター出力軸と、コアーロッドの回転入力軸とを連結一体化すると共に、
地盤の掘削時には上記パイプケーシングとコアーロッドとを同一方向へ回転駆動する一方、パイプケーシングに対する中込め材の投入とその締め固め時には、上記コアーロッドだけを掘削時との逆方向へ回転駆動するワンウエイクラッチ機構を、上記パイプケーシングのトップカバーケースに内蔵させたことを特徴とする第1の態様の地盤改良用ドレーン杭の埋設装置である。
第7の態様は、コアーロッドを地盤の掘削時と逆方向へ回転駆動した時だけ、パイプケーシングを上記コアーロッドと同じ逆方向へ連れ廻らず、その中込め材受け入れ口が中込め材投入シュートと対応合致する関係状態に位置決め停止させるパイプケーシング用制動機構を、
上記パイプケーシングにおけるトップカバーケースの上面に設置したことを特徴とする第1の態様の地盤改良用ドレーン杭の埋設装置である。
第1の態様の構成によれば、パイプケーシングの上下方向に沿って切り欠き延在された中込め材受け入れ口へ、中込め材投入シュートが一定な地上高さ位置から固定状態に臨み、上記パイプケーシングの停止中に中込め材投入シュートをスライド操作して、その中込め材受け入れ口の開閉扉を開放状態に保ち、パイプケーシングの内部へ中込め材を投入するようになっており、その中込め材の投入は上記パイプケーシングの引き上げ中においても、支障なく円滑に行なわれるため、従来技術のスキップバケットやその他の中込め材投入機器を昇降作動させる装置と、そのオペレータによる特別の煩雑な操作とが不要となる。その結果、小型の建設機械を使用して行なう地盤改良作業にとって、著しく有益である。
又、パイプケーシングの円周面には中込め材受け入れ口の開閉扉が、上下方向に沿って取り付けられており、その取付部分ではパイプケーシングがアウタースクリューオーガーのないフラット面をなすため、ここに落下した掘削土砂を、回転するアウタースクリューオーガーによって、周囲へ高密度に押し付け締め固めることができ、その掘削穴の崩壊を予防することに役立つ。
更に、パイプケーシングの停止中に中込め材を投入し、その後コアーロッドだけを掘削時との逆方向へ回転駆動すれば、そのコアーロッドの下端部をなすインナースクリューオーガーも同じ方向へ回転するため、掘削土砂と先の中込め材がパイプケーシングの開口下面から掘削穴へ放出され、そのインナースクリューオーガーによって確実に締め固められる結果となり、高密度なドレーン杭を得られるのである。
特に、第2の態様の構成を採用するならば、建設機械のリーダーに沿って昇降作動される昇降台から吊り下がるパイプケーシングの下端部を、延長脚柱に付属固定された振れ止め用の包囲枠によって、安定な垂直姿勢状態に保つことができるほか、そのパイプケーシングの中込め材受け入れ口に対する中込め材投入シュートも、やはり延長脚柱に固定支持された一定の地上高さとして、これからパイプケーシングの内部へ中込め材を正しく円滑に投入し得る効果がある。
その場合、パイプケーシング振れ止め用の包囲枠として、第3の態様の構成を採用するならば、そのパイプケーシングを包囲する複数本の遊転ローラーが、文字通り遊転作用するため、パイプケーシングのアウタースクリューオーガーと剛性な包囲枠との摩擦による金属音の発生を防止できるほか、自由側包囲枠片を固定側包囲枠片から開放し得ることとも相侯って、付着した土砂の排除作業やパイプケーシングに対する包囲枠の組立て作業を容易に行なえる効果もある。
第4の態様の構成を採用するならば、中込め材受け入れ口の開閉扉が弾性変形可能な膜材から成るため、掘削時の土圧を受けて、パイプケーシングの中込め材受け入れ口を確実な封止状態に施蓋でき、掘削した土砂のみならず、泥水の侵入も防止し得る効果がある。
又、第5の態様の構成を採用するならば、パイプケーシングの下端部とインナースクリューオーガーにおける下段羽根部との上下相互間隙を、地盤の掘削時には一早く土砂により閉塞して、いたづらに過大な掘削土砂が侵入することを防ぐ一方、その後コアーロッドを逆方向へ回転駆動しつつ、掘削穴から引き上げる工程では、そのインナースクリューオーガーの最大回転直径を有する下段羽根部が、パイプケーシングの下端部から放出された中込め材を、その逃げ角に基いて下方と横方向(径方向)へ押し付け締め固めることになり、その中込め材から圧密された高強度なドレーン杭を得られるのである。
第6の態様の構成を採用するならば、回転駆動源がコアーロッドと直接に連結一体化される1個であっても、ワンウエイクラッチ機構によって、パイプケーシングをそのコアーロッドと同一方向へ回転駆動できる効果がある。
更に、第7の態様の構成を採用するならば、コアーロッドを地盤の掘削時と逆方向へ回転駆動した時に限って、パイプケーシングがコアーロッドと同じ逆方向へ連れ廻らないようになっているため、そのパイプケーシングの内部に対する中込め材の投入作用を確実に安定良く営ませることができ、その中込め材を咬み込むことなく掘削穴へ放出して、円滑に締め固め圧密することも可能となり、耐久性の向上に役立つ。
C.変形例:
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数の目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。具体的には、たとえば以下のような変形例も実施可能で-ある。
C−1.第1変形例:上述の各実施例のアタッチメントでは、インナースクリューオーガーの先端29c(下段羽根部)ガパイプケーシングから突出し、インナースクリューオーガー29の後部がパイプケーシング12内に配置されているが、たとえば図53〜図55に示される変形例のようにインナースクリューオーガー29vの全体がパイプケーシング12の外に露出するような構成としてもよい。パイプケーシング12は、インナースクリューオーガー29、29vの回転軸を外周から包囲するように構成されていればよい。ただし、上述の各実施例のように先端のみを突出させる構成は、パイプケーシング12の内部の螺旋構造を利用して効率的な砕石の加圧を実現することができるという利点を有している。
C−2.第2変形例:上述の各実施例では、アタッチメントを使用して掘削から砕石杭の形成までの一貫処理が実現されているが、たとえば水と空気を噴出させて掘削させる方法で別途掘削した後において、アタッチメントで砕石杭を形成するようにしても良い。ただし、上述の各実施例では、パイプケーシングを利用して掘削孔の内壁を加圧平坦化しつつ掘削が行われるので、掘削孔の型崩れを防止して高品質の砕石杭の形成や型崩れを起こしやすい地盤への施工が可能という利点がある。
加えて、上述の各実施例では、アタッチメントを使用して掘削から砕石杭の形成までの一貫処理が実現されるとともに、砕石杭の品質がオペレータの熟練にほとんど依存させずに砕石杭を施工することが可能となっている。これにより、砕石杭の品質を安定させることができるとともに、特殊工程管理(ISO9000)の手法による品質保証(プロセスの妥当性に基づく品質保証)に極めて適合性が高い工法を実現することができる。