JP3530262B2 - 通水孔付き杭の施工方法 - Google Patents

通水孔付き杭の施工方法

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JP3530262B2
JP3530262B2 JP08796995A JP8796995A JP3530262B2 JP 3530262 B2 JP3530262 B2 JP 3530262B2 JP 08796995 A JP08796995 A JP 08796995A JP 8796995 A JP8796995 A JP 8796995A JP 3530262 B2 JP3530262 B2 JP 3530262B2
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英明 岸田
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英明 岸田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、支持杭やドレーン管に
使用できる通水孔付き杭に関し、特に、地盤の液状化を
防止できるようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】図25,26は、従来の既成杭の施工方
法を示すものであって、図25は、地盤を掘孔し、硬化
剤を充填する一工程を示す断面図、図26は、孔内部に
杭を固定した状態を示す断面図である。従来、既成杭10
0の施工方法の一つとして、図25に示すように、その
外径が杭外径より少し大きい中空管の外周面にスパイラ
ル状にスクリューを設けたスクリューオーガー101を、
その上端に配置した回転装置102により、回転させて、
地盤中の土を地上に排出し、杭100を埋設するための孔1
3を形成していた。
【0003】その後、図26に示すように、スクリュー
オーガー101を引き上げる際に、孔13内に硬化剤として
のセメントミルク103を充填していた。つぎに、図26
に示すように、セメントミルク103が充填された孔13内
部に既成杭100を圧入し、沈設させていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の既成杭
100の施工方法では、図26に示すように、既成杭100の
周囲に充填材としてセメントミルク103等の硬化剤を充
填して、既成杭100と硬化剤とが一体化して地盤中に固
定するように形成されていた。このようにして施工した
従来の既成杭100は、地震時に地盤の液状化が発生する
と、杭本来の機能が極端に低下し、既成杭10が傾いて地
上構造物に損傷を与えるおそれがあった。
【0005】また、地上に噴出した泥水(余剰間隙水)
により、周辺が汚損されるおそれもあった。そこで、請
求項1記載の発明は、上記した従来の技術の有する問題
点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところ
は、掘削孔内周面と杭の外周面との間に、ドレーン材を
充填しながら、締め固め、排水効果を有するドレーン層
を形成するとともに、地震時に発生する地盤中の余剰間
隙水を筒状の杭の内部に貯水して、地盤の液状化を低減
できる通水孔付き杭の施工方法を提供しようとするもの
である。
【0006】請求項2記載の発明は、上記した請求項1
記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。すなわ
ち、請求項2記載の発明は、地震が発生した際に、ドレ
ーン層内を地表に向かって上昇する地盤中の余剰間隙水
を、効率よく杭の内部に取り込んで貯水して、地盤の液
状化を低減できる通水孔付き杭の施工方法を提供しよう
とするものである。
【0007】請求項3記載の発明は、上記した請求項2
記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。すなわ
ち、請求項3記載の発明は、杭の内部に取り込んで貯水
した地盤中の水を、再び地盤中に還元して、杭の内部の
貯水の水位を低下させることにより、さらに地震が発生
した場合であっても、地盤中の余剰間隙水を筒状の杭の
内部に貯水することができる通水孔付き杭の施工方法を
提供しようとするものである。
【0008】請求項4記載の発明は、上記した請求項1
〜3のいずれか1項に記載の発明の目的に加え、次の点
を目的とする。すなわち、請求項4記載の発明は、ドレ
ーン層内を上昇してきた地盤中の余剰間隙水を一時的に
貯留できる部位をドレーン層上部に設けて、上昇してき
た地盤中の余剰間隙水を地上に噴出させることなく杭の
内部に取り込んで、地盤の液状化を低減できる通水孔付
き杭の施工方法を提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記した目的
を達成するためのものであり、以下にその内容を図面に
示した実施例を用いて説明する。請求項1記載の発明
は、次の2つの行程を含むことを特徴する。まず、上記
行程に先立ち、次の4つの構成を備えている。
【0010】第1に、オーガー(31)であり、このオーガ
ー(31)は、所要長さの中空管(32)の外周面に、スパイラ
ル状にスクリュー(34)を有し、その下端部には、開閉可
能な先掘刃(33)を有している。第2に、押圧管(50)であ
り、この押圧管(50)は、上記オーガー(31)の内周に配置
され、オーガー(31)とは独立して上下動可能な筒状を成
している。
【0011】第3に、杭(10)であり、この杭(10)は、上
記押圧管(50)の内周に更に配置され、内部に中空部(11)
を有する筒状であって、この中空部(11)と外周面とを連
通する通水孔(12)を備えている。第4に、ドレーン材(2
0)であって、このドレーン材(20)は、上記杭(10)の外周
と前記オーガー(31)の内周との間に供給される。
【0012】上記した第1の行程は、掘削工程であっ
て、この掘削工程では、図13に示すように、前記オー
ガー(31)の先掘刃(33)を閉じた状態で、地盤(90)に掘削
孔(13)を開けている。第2の行程は、回収工程であっ
て、この回収工程では、図15に示すように、前記オー
ガー(31)の先掘刃(33)を開放した後、前記押圧管(50)を
上下動して前記ドレーン材(20)を押圧して締め固め、杭
(10)の外周面と掘削孔(13)の孔内周面との間に排水用の
ドレーン層(14)を形成しながら、オーガー(31)を掘削孔
(13)から引き上げるている。
【0013】請求項2記載の発明は、上記した請求項1
記載の発明の特徴に加え、次の点を特徴する。すなわ
ち、杭(60)の通水孔(62)が、図20に示すように、その
上部に形成されている。請求項3記載の発明は、上記し
た請求項1記載の発明の特徴に加え、次の点を特徴す
る。
【0014】すなわち、杭(60)の通水孔(62)が、図22
に示すように、その下部に形成されている。請求項4記
載の発明は、上記した請求項1〜3のいずれか1項に記
載の発明の特徴に加え、次の点を特徴する。すなわち、
回収工程において形成されるドレーン層(14)の上部に
は、図21に示すように、その外周方向に拡径した張り
出し部(64)が形成されている。
【0015】
【作用】請求項1記載の発明によれば、次のような作用
を奏する。すなわち、杭(10)の外周と掘削孔(13)の内周
との間に、ドレーン材(20)を充填して、掘削孔(13)内径
より小さく、杭(10)の外径より大きい径を有する筒状の
押圧管(50)により、ドレーン材(20)を締め固めている。
【0016】また、掘削孔(13)内に設置する杭(10)は、
図1に示すように、内部に中空部(11)を有する筒状であ
って、この中空部(11)と外周面とを連通する通水孔(12)
を備えている。したがって、ドレーン材(20)は、それら
の間に隙間を有しているので、その隙間内を水等の液体
は自由に移動することができる。
【0017】また、ドレーン材(20)の隙間内を移動して
きた水等の液体は、図2に示すように、通水孔(12)を通
って杭(10)の内部の中空部(11)内に貯水することができ
る。このため、地盤中に含まれる水分の間隙水圧が地震
により上昇しても、ドレーン層(14)内部のドレーン材(2
0)により形成された隙間を通じて水が移動するととも
に、この水は通水孔(12)を通って杭(10)の内部の中空部
(11)内に貯水されるので、地盤中の間隙水圧の上昇を極
力抑えて、地震による液状化現象の発生を抑えることが
できる。
【0018】請求項2記載の発明によれば、上記した請
求項1記載の発明の作用に加え、次のような作用を奏す
る。すなわち、地盤中に含まれる水分の間隙水圧が地震
により上昇しても、この余剰間隙水は、図21に示すよ
うに、ドレーン材(20)の隙間内を通ってドレーン層(14)
上部に向かって移動して、通水孔(62)を通って杭(60)の
内部の中空部(61)内に貯水することができる。
【0019】このため、地震が発生した際に、地盤中の
間隙水圧の上昇を極力抑えて、地震による液状化現象の
発生を抑えることができる。請求項3記載の発明によれ
ば、上記した請求項2記載の発明の作用に加え、次のよ
うな作用を奏する。すなわち、地盤中に含まれる水分の
間隙水圧が地震により上昇しても、この余剰間隙水は、
図23に示すように、ドレーン材(20)の隙間内を通って
ドレーン層(14)上部に向かって移動して、通水孔(72)を
通って杭(70)の内部の中空部(71)内に貯水することがで
きる。
【0020】また、杭(70)の内部の中空部(71)内に貯水
した水は、図23に示すように、水抜き孔(74)を通して
再び地盤中に還元することができ、杭(70)の内部の貯水
の水位を低下させることにより、さらに地震が発生した
場合であっても、地盤中の余剰間隙水を筒状の杭(70)の
内部に貯水することができる。請求項4記載の発明によ
れば、上記した請求項1〜3のいずれか1項に記載の発
明の作用に加え、次のような作用を奏する。
【0021】すなわち、ドレーン層(14)内を上昇してき
た地盤中の余剰間隙水は、図21に示すように、張り出
し部(64)内に一時的に貯留することができ、ドレーン層
(14)内を上昇してきた地盤中の余剰間隙水を地上に噴出
させることなく杭(60)の内部に取り込んで、地盤の液状
化を低減することができる。
【0022】
【実施例】図1〜2は、本発明の第1実施例に使用する
通水孔付き杭を示すものである。図1は、第1実施例に
使用する通水孔付き杭の断面図、図2はこの通水孔付き
杭を地盤中に埋設した状態の断面図、図3は通水孔の他
の実施例を説明するための通水孔付き杭の一部断面図を
各々示す。
【0023】また、図4〜9は地震時における液状化現
象を説明するための概略模式図である。図4は、地盤の
概略断面図、図5はゆるい砂層の粒の状態の概略模式
図、図6は地震発生前後の地盤の概略模式図、図7は地
震発生時における未処理地盤の状態の概略断面図、図8
は地震発生時における処理地盤の状態の概略断面図、図
9は地震発生時における処理地盤及び未処理地盤と間隙
水圧比との関係の概略模式図を各々示す。
【0024】図1中、10は地盤中に建造物の基礎として
埋設される通水孔付き杭10を示すものであって、この通
水孔付き杭10は、その内部に中空部11を有する筒状であ
って、この中空部11と外周面とを連通する通水孔12・・
・を、杭10の上下方向に複数箇所設けてある。なお、杭
10は、節杭でも良い。そして、図2に示すように、この
通水孔付き杭10は、地盤に地表から垂直下方に開けられ
た掘削孔13のほぼ中央に埋設されている。そして、この
杭10の外周面と、掘削孔13の内周面との間には、砂利等
のドレーン材20が押し固められて、充填されたドレーン
層14が形成されている。
【0025】ここで、ドレーン層14の排水効果について
説明する。上記ドレーン層14は、図2に示すように、ド
レーン材20を押し固めて形成したもので、それらの間に
は隙間を有しているので、その隙間内を水等の液体は自
由に移動することができる。このため、地盤中に含まれ
る水分の間隙水圧が地震により上昇しても、図2中、実
線で示すように、ドレーン層14内部のドレーン材20によ
り形成された隙間を通じて水が移動し、この水は通水孔
12を通って、杭10の中空部11内に貯水されたり、ドレー
ン層14内を上昇して地表に排出されるので、地盤中の間
隙水圧の上昇を抑えることができる。
【0026】また、杭10に設ける通水孔12は、図1,2
に示すように、ドレーン材20が通水孔12内部に侵入しな
いような孔径とし、杭10の外周部から杭10の内部に向か
って同一の孔径となるよう形成してある。また、この通
水孔12は、図3に示すように、ドレーン層14を形成する
ドレーン材20が通水孔12内に侵入することを防止すると
ともに、通水孔12内に取り込んだ水等の液体を抵抗なく
中空部11内に取り込むために、杭10の内部の中空部11か
ら杭10の外周面に向かって縮径していることが好まし
い。この場合には、杭10の外周面側の孔径が、ドレーン
材20が通水孔12内部に侵入しないような孔径となるよう
形成されていて、中空部11に向かって徐々に孔径が拡大
している。
【0027】このようにして通水孔12を形成することに
より、通水孔12内にドレーン材20が侵入することを防止
できるとともに、通水孔12内に取り込んだ余剰間隙水を
抵抗なく杭10の内部に取り込むことができる。このた
め、通水孔12が目詰まりしたり、ドレーン材20が杭10の
中空部11内に蓄積して中空部11が閉塞することがなく、
ドレーン層14を通して移動してきた余剰間隙水を効率よ
く杭10の中空部11内に取り込むことができる。
【0028】また、杭10の中空部11内に取り込んで貯水
した水は、図2中、破線で示すように、通水孔12を通っ
てドレーン層14内に浸透し、再び地盤中に還元される。
これにより、杭10の内部の貯水の水位を低下させて、さ
らに地震が発生した場合であっても、地盤中の余剰間隙
水を杭10の中空部11内に貯水することができる。
【0029】また、若干の透水性を有するコンクリート
杭等で杭10を形成した場合には、杭10の中空部11内に取
り込んで貯水した水を、杭10の壁面を通して、徐々にで
はあるが、再び地盤中に還元することができる。ここ
で、地震による地盤の液状化現象に関して説明する。砂
地盤の液状化は、図4に示すように、地下水位面WLが
地表面GLから、約20m以浅にあって、地下水を含ん
だゆるい砂層LSにおいて発生し易い。
【0030】ここで、地盤の液状化現象のメカニズムに
ついて、砂の粒子からなる、ゆるい砂層LSの一部を拡
大して説明する。図5に示すように、砂粒間の隙間を水
で満たし、ゆるく堆積しているゆるい砂層LSに、地震
による繰り返しの横方向の力、いわゆるせん断力τPが
作用すると、砂粒は周りの隙間に落ち込もうとして、地
盤は体積を縮めようとする。
【0031】すなわち、地震発生前の地盤91は、図6に
示すように、地震でせん断力τPが作用して、体積が減
少した地震発生後の地盤92の状態に変化する。ところ
が、砂粒の間には水があるので、地震のような短い時間
では、水は外に逃げ出すことが出来なくなり、一時的に
水圧、いわゆる過剰間隙水圧が発生する。この水圧が、
地表面GLからその深さまでの圧力E(有効土カブリ
圧)まで上昇した時に、地盤は見かけ上液体のような挙
動を示す。
【0032】すなわち、地下水を含んだゆるい砂層LS
が強い地震を受けると、砂層LS間に含まれた間隙水の
圧力の上昇で、砂粒間の摩擦が減り、地盤はせん断抵抗
を失って液状化する現象である。このとき、図7に示す
ように、多量の地下水が砂を伴って、噴砂・噴水93とな
って地表に噴き出すことがある。液状化した地盤は建物
を支える力を失う。また、部分的沈下で建物が損壊した
り、傾斜、転倒することもある。
【0033】この地盤の液状化を発生させるポイントと
して、第1に地盤中の砂の詰まり方がゆるいこと、第2
にその結果として、間隙水圧が上昇することの2つがあ
る。したがって、地盤の液状化を防ぐ対策としてこの2
点に着目すればよいことになる。すなわち、液状化対策
としては、地盤を締め固めるか、図8に示すように、原
地盤の砂よりもずっと透水性の高いドレーン材20、例え
ば砂利の柱からなるドレーン層14を地中に設けて、ゆる
い砂層LS間で発生した水圧Uを砂利等のドレーン材20
からなるドレーン層14ですばやく地表に逃がしてやり、
砂粒間の水圧Uの上昇を抑えてやれば良い。
【0034】さらに、地盤の締め固めとドレーン層14の
両者を併用すれば、より効果的である。ここで、液状化
対策として地盤中に、ドレーン材20からなるドレーン層
14を形成した処理地盤と、ドレーン層14等の対策を施し
ていない未処理地盤とにおける地盤中のA点、B点の間
隙水圧を比較すると、図9に示すように、A点、B点共
に処理地盤の方が未処理地盤より低い値となる。これ
は、ドレーン層14による排水効果によるものである。
【0035】ところで、地上構造物等を施工した地盤
は、地盤表面が構造物により閉塞されているため、液状
化に伴い発生した水を地表に逃がしてやることができな
い。そこで、本発明は、地上構造物等を支える杭10を筒
状とし、液状化に伴い発生した水等の液体を杭10の内部
の中空部11内に貯水できるようにしているのである。本
発明の第1実施例に係る通水孔付き杭10によれば、図1
に示すように、地震によって周辺の砂地盤で発生した余
剰間隙水を、杭10の中空部11内に貯水するとともに、中
空部11内に取り込めなかった余剰間隙水をいちはやく地
表に逃がしてやることができる。
【0036】また、杭10の中空部11内に取り込んで貯水
した水は、通水孔12を通して、再び地盤中に還元して浸
透させることができるので、中空部11内が満水状態とな
ることを防止して、次の地震発生時にも余剰間隙水を取
り込むことができる。これにより、周辺地盤の液状化現
象の発生を抑えることができる。また、杭10の周囲に連
続的にドレーン材20を充填することにより、周面支持力
として杭10本来の摩擦抵抗特性を生かすこともできる。
【0037】さらに、ドレーン材20は杭10の外周面と掘
削孔13の内周面との間に充填する際に、充分押し固め
て、形成されている。このため、水平方向の応力の値が
増加するに伴い、摩擦力が増加するとともに、周辺地盤
も締め固められる。これにより、周面支持力の増加とと
もに、周辺地盤の密度が増加し、周辺地盤が締め固めら
れ、ドレーン層14の排水効果に加えて、地盤の液状化現
象の発生を抑えることができる。
【0038】なお、第1実施例に係る通水孔付き杭10
は、必ずしも地上構造物等を支持するための支持杭であ
る必要はなく、例えば、地盤の液状化によって生じる余
剰間隙水を貯水することのみを目的とするものであって
も良い。また、地上構造物等を支持していない杭である
場合には、杭10の内部の中空部11内に貯水した水を、杭
10の上部の開口部から、ポンプ等を用いて強制的に排水
しても良い。
【0039】つぎに、本発明の第1実施例に係る通水孔
付き杭10の施工方法について説明する。図10〜23は
本発明の第1実施例に係る通水孔付き杭の施工方法及び
これに用いる施工装置を示すものである。図10は、全
外周にスクリューを有するオーガーの概略側面図、図1
1は先端部のみにスクリューを有するオーガーの概略側
面図、図12〜16は施工方法を示すものであって、図
12はオーガーを地盤上にセットした状態の概略断面
図、図13はオーガーを地盤中に貫入させている状態の
概略断面図、図14はオーガー内部に杭を設置した状態
の概略断面図、図15はドレーン材を充填しながらオー
ガーを引き抜いている状態の概略断面図、図16は杭を
地盤中に埋設した状態の概略断面図、図17は押圧管の
先端の概略断面図、図18は他の押圧管の先端の概略断
面図、図19は他の押圧管の先端の概略断面図を各々示
す。
【0040】図10に示すように、本施工装置30は、地
盤中に掘削孔13を形成するオーガー31と、このオーガー
31の内部にあって、オーガー31と独立して上下動可能な
筒状の押圧管50とを備えている。上記オーガー31は、杭
10より大きな内径を有する円筒状であって、その先端下
部には、円錐状であって、先端が開口可能に形成された
先掘刃33と、この先掘刃33に連設され、中空の円筒管状
に形成された中空管32と、この中空管32の外周表面にス
パイラル状に連続して形成されたスクリュー34とを備え
たものを使用する。なお、オーガー31の先端下部は、オ
ーガー31の引き上げ時にオーガー31から分離し、土中に
残る非回収タイプのものでも良い。
【0041】また、オーガー31は、図11に示すよう
に、スクリュー34がその先掘刃33から途中まで外周表面
にスパイラル状に形成されている先端オーガータイプの
ものでも良い。この先端オーガータイプのオーガー31
は、地盤から排出する土の量が少なく、いわゆる低排土
となり、周辺地盤をより締め固める効果がある。このよ
うな先端オーガータイプのものは、特にゆるい砂地盤や
軟弱粘土地盤の場合に、それらが圧縮され、密度が増加
し、周辺地盤を締め固めることができて、周面支持力を
増加させることができ、有効である。
【0042】まず、図12に示すように、上記オーガー
31からなる施工装置30を所定の地盤90上に垂直に設置す
る。本施工装置30は、図12に示すように、外周表面に
スクリュー34を有する上記オーガー31と、このオーガー
31内部に配置された押圧管50と、この押圧管50を上下に
可動させる可動装置40と、この可動装置40とオーガー31
との間にあって、オーガー31を回転させるとともに、オ
ーガー31の内周面と押圧管50の外周面との間にドレーン
材20を圧入可能な回転圧入装置41とを備えている。そし
て、回転圧入装置41の上部には、ドレーン材20を外部か
ら挿入できる投入口42が形成されている。
【0043】上記押圧管50は、図12に示すように、円
筒状であって、その外径がオーガー31の内径より小さく
設定されてあり、その頭部には、押圧管50に振動を与え
ることが可能なバイブレーター43が設置されている。上
記可動装置40は、図12に示すように、回転圧入装置41
の上に配置されているとともに、可動装置40と押圧管50
とは、支持軸44により連結されている。そして、可動装
置40の内部には、図示しないがカムが組み込まれてあ
り、上記支持軸44を繰り返し、上下動することにより、
押圧管50を上下動できるように設定されている。
【0044】つぎに、図13に示すように、回転圧入装
置41によりオーガー31を時計回りに、正回転させながら
所定の深さまで地盤90中に貫入する。つぎに、図14に
示すように、地盤90中の所定の深さまでオーガー31を貫
入させた後、回転圧入装置41によりオーガー31の回転を
停止させる。そして、図14に示すように、オーガー31
の上に設置した可動装置40、支持軸44及び回転圧入装置
41等を取り除き、オーガー31の上部を開口した状態とす
る。
【0045】つぎに、図14に示すように、その開口し
た上方から、砂利等からなるドレーン材20を投入し、オ
ーガー31の先掘刃33にのみ、ドレーン材20を充填する。
なお、上記ドレーン材20は、砂利、砕石、砕砂等のほ
か、建築解体で生じる廃材としてのコンクリートの破砕
等も使用できる。つぎに、図14に示すように、オーガ
ー31の開口した上方から、その内部に杭10を入れ、先端
部30のドレーン材20の上であって、オーガー31及び押圧
管50の中心部に杭10を設置する。なお、押圧管50を、杭
10の設置時に装着しても良い。また、オーガー31及び押
圧管50の中心部に、杭10を予め設定しておいても良い。
【0046】さらに、押圧管50を使用することにより、
副次的な効果として、杭10の鉛直性等の施工精度を容易
に高めることができる。これは、掘削孔13よりもさらに
径が小さな押圧管50の内部に杭10を設置するために、杭
10の傾斜が制限され、その結果として鉛直性が向上する
からである。また、杭10の種類としては、コンクリート
杭、鋼管杭、木杭或いはこれらを複合し、組み合わせた
杭でも良い。
【0047】つぎに、図15に示すように、オーガー31
の上部に、再度、可動装置40、支持軸44及び回転圧入装
置41等を取り付ける。つぎに、図15に示すように、回
転圧入装置41によりオーガー31を反時計回りに逆回転さ
せながら、オーガー31を徐々に引き抜いていく。その
際、回転圧入装置41の投入口42からドレーン材20を投入
して、オーガー31の内周面と杭10の外周面との間にドレ
ーン材20を充填させる。なお、オーガー31の内周面と杭
10の外周面との間に、ドレーン材20を予め投入乃至は充
填しておいても良い。
【0048】さらに、ドレーン材20を充填させると同時
に、可動装置40により、押圧管50を上下に繰り返し移動
させて、充填しているドレーン材20を締め固めていく。
これにより、図15に示すように、ドレーン材20を杭10
の外周表面と掘削孔13の内周表面との間に連続的に充填
することができる。その際、押圧管50の上部に取り付け
たバイブレーター43により、押圧管50を振動させてい
る。
【0049】このため、押圧管50を介して、ドレーン材
20が振動し、粒同士がより密に配置され、粒同士の結合
が強固となり、ドレーン材20をより強固に締め固めるこ
とができる。なお、押圧管50を繰り返し上下させる装置
としては油圧ハンマーでも良い。また、繰り返し上下さ
せる位置としては、上述したように押圧管50全体を上下
させてもよいが、押圧管50の先端部だけでも良い。
【0050】また、バイブレーター43は、押圧管50の上
部に取り付けているが、先掘刃33に取り付けても良い。
バイブレーター43を先掘刃33に取り付けると、振動を先
掘刃33からドレーン材20に直接伝えることができて、よ
り効果的にドレーン材20を締め固めることができる。さ
らに、振動はドレーン材20を介して、周辺地盤90にも伝
わり、周辺地盤90のゆるみを防ぐとともに、周辺地盤90
を締め固めることができる。
【0051】また、押圧管50は、図17に示すように、
その先端下部の肉厚が先細に形成されている。このた
め、ドレーン材20の内部に先端が先細に形成された押圧
管50が上方から押し込まれると、図17に示すように、
押圧管50の先端の両斜面により、ドレーン材20を水平方
向に押し拡げて、水平方向にもドレーン材20を締め固め
ることができる。
【0052】さらに、押圧管50によりドレーン材20を水
平方向に押圧する力は、ドレーン材20を介して、周辺地
盤90にも及び、周辺地盤90のゆるみを防ぎ、周辺地盤90
を締固めることができる。また、押圧管50の先端には、
図18に示すように、 先端下部の肉厚が外周外側に向
かって厚く形成された押圧部51を取り付けても良い。
【0053】上記押圧部51は、耐磨耗性が優れた金属か
らなり、図18に示すように、その全体形状はリング状
であって、押圧管50の先端に固定されている。また、押
圧部51は、その内面側が緩やかに傾斜し、外面側が急勾
配に傾斜して、外周表面より外側に一部突出して形成さ
れている。これにより、押圧管50が上方から押し込まれ
ると、図18に示すように、押圧部51の先端外側の斜面
により、周囲のドレーン材20を水平方向外側に向かって
押し拡げて、ドレーン材20を水平方向により強く締め固
めることができる。
【0054】また、先端が磨耗したら、押圧管50全体を
取り替えることなく、磨耗が激しい先端の押圧部51のみ
取り替えることができて、施工コストを低減させること
ができる。さらに、押圧管50の先端は、図19に示すよ
うに、先端下部の肉厚を外周外側に向かって厚く形成す
るとともに、内周面側に傾斜面を形成せず、外周面側に
のみ傾斜面を形成した押圧部52を取り付けても良い。
【0055】上記押圧部52は、耐磨耗性が優れた金属か
らなり、図19に示すように、その全体形状はリング状
であって、押圧管50の先端下部に固定されている。ま
た、押圧部52は、その内面側には傾斜面を形成せず、外
面側が急勾配に傾斜して、外周表面より外側に一部突出
して形成されている。これにより、押圧管50が上方から
押し込まれると、図19に示すように、押圧部52の先端
外側の斜面により、周囲のドレーン材20を水平方向外側
に向かって押し拡げて、ドレーン材20を水平方向外側に
向かってさらに強く締め固めることができる。
【0056】また、先端が磨耗したら、図18で示した
押圧部51と同様に、磨耗が激しい先端の押圧部52のみ取
り替えることができて、施工コストを低減させることが
できる。なお、図18,19で示したように、押圧部5
1,52は押圧管50の先端に取り付けて使用しているが、も
ちろん、図17に示すように、押圧管50全体を一体物と
して形成しても良い。
【0057】そして、図16に示すように、杭10の全長
にわたって、その外周表面と掘削孔13との間にドレーン
材20が充填され、杭10が締め固められた地盤90中に埋設
され、杭10はドレーン材20及び周辺地盤90により強固に
保持された状態となる。なお、上記第1実施例におい
て、押圧管50の形状は、断面が円形の筒状等のものを使
用しているが、断面形状は特にこれに限定されるもので
はなく、三角形、四角形若しくは多角形の筒状等のもの
でもよく、第1〜3の実施例で得られる効果と同様の効
果を得ることができる。
【0058】つぎに、本発明の第2実施例に係る通水孔
付き杭60について説明する。図20は、本発明の第2実
施例に係る通水孔付き杭の断面図、図21はこの通水孔
付き杭を地盤中に埋設した状態の断面図を各々示す。本
発明の第2実施例に係る通水孔付き杭60は、図20,2
1に示すように、第1実施例と比較して、杭60の外周面
と中空部61とを連通する通水孔62が、杭60の上部にのみ
設けられていることと、通水孔62に網材63を取り付けて
あることのみが異なり、その他は第1実施例と同様であ
り、同様の装置を使用し、ほぼ同様の方法により施工す
る。
【0059】この第2実施例に係る通水孔付き杭60は、
上記したように、杭60の上部にのみ、杭60の外周面と中
空部61とを連通する通水孔62が設けてあり、この通水孔
62には、杭60の外周部に設けたドレーン層14からドレー
ン材20が侵入することを防止するための網材63を取り付
けてある。この網材63は、例えば、金属製のネット等か
らなり、網目の大きさがドレーン材20の外径よりも小さ
くなっていて、ドレーン材20の通過を阻止することがで
きる。
【0060】さらに、杭60の外周部に設けたドレーン層
14の上部には、外周方向に拡径した張り出し部64を形成
してある。先に説明したように、地震が発生した場合に
は、地盤中に含まれる水分の間隙水圧が上昇し、余剰間
隙水となってドレーン層14内へ浸入し、ドレーン層14内
部のドレーン材20により形成された隙間を通じてドレー
ン層14上部へ移動する。
【0061】第2実施例に係る通水孔付き杭60では、こ
のようにしてドレーン層14上部に移動してきた余剰間隙
水を、通水孔62を通して杭60の中空部61内に導いて貯水
するのである。また、通水孔62には、網材63が取り付け
てあるため、通水孔62の孔径をドレーン材20の外径より
大きくしても、通水孔62内にドレーン材20が侵入するこ
とを防止でき、大口径の通水孔62により、効率よく余剰
間隙水を杭60内部の中空部61内に取り込むことができ
る。
【0062】さらに、通水孔62内にドレーン材20が侵入
することを防止できるので、通水孔62が目詰まりを起こ
したり、或いは通水孔62を通して杭60の中空部61内にド
レーン材20が充填されてしまい、杭60の中空部61が貯水
槽としての役目を果たさなくなる等の不都合を防止する
ことができる。この第2実施例に係る通水孔付き杭60
は、第1実施例とほぼ同様の方法により施工されるが、
ドレーン層14上部に張り出し部64を設けるため、オーガ
ー31による掘孔に先立ち、地盤90の表面付近が、オーガ
ー31の外周寸法よりも若干大きく掘削される。このよう
にして掘削する地盤90の深さは、杭60を埋設した際に、
杭60の上部に設けた通水孔62が、張り出し部64により覆
われるような深さとする。
【0063】そして、オーガー31により掘孔するととも
に、掘削孔13内に杭60を設置し、オーガー31を徐々に引
き抜きながら、オーガー31の内周面と杭60の外周面との
間にドレーン材20を充填させ、締め固める。さらに、ド
レーン層14の上層部にもドレーン材20を充填させて、締
め固め、張り出し部64を形成する。
【0064】なお、ドレーン層14の上部に張り出し部64
を形成するための掘孔作業は、杭60を埋設した後に行っ
ても良い。第2実施例に係る通水孔付き杭60では、図2
1中、実線で示すように、地震が発生した場合に発生す
る余剰間隙水は、ドレーン層14内へ浸入し、ドレーン層
14内部のドレーン材20により形成された隙間を通じてド
レーン層14上部へ移動して、張り出し部64内に一時的に
貯留する。
【0065】そして、張り出し部64内に一時的に貯留し
た余剰間隙水は、通水孔62を通って杭60の中空部61内に
導かれ貯水される。このように、ドレーン層14上部に張
り出し部64を設けたため、ドレーン層14内を上昇してき
た余剰間隙水は、杭60の中空部61内への取り込みが間に
合わなかった場合であっても、一気に地上に噴出するこ
となく、一時的に張り出し部64内に貯留して、杭60の中
空部61内へ取り込むことができる。
【0066】なお、この第2実施例に係る通水孔付き杭
60は、中空部61内に貯水した水を、再び地盤中に還元す
るため、若干の透水性を有するコンクリート杭で形成す
ることが好ましい。このように、通水孔付き杭60をコン
クリート杭で形成することにより、図21中、破線で示
すように、杭60の中空部61内に取り込んで貯水した水
を、杭60の壁面を通して、徐々にではあるが、再び地盤
中に還元することができる。
【0067】なお、第2実施例に係る通水孔付き杭60
は、必ずしも地上構造物等を支持するための支持杭であ
る必要はなく、例えば、地盤の液状化によって生じる余
剰間隙水を貯水することのみを目的とするものであって
も良い。また、地上構造物等を支持していない杭である
場合には、杭60の内部の中空部61内に貯水した水を、杭
60の上部の開口部から、ポンプ等を用いて強制的に排水
しても良い。
【0068】つぎに、本発明の第3の実施例に係る通水
孔付き杭70について説明する。図22は、本発明の第3
の実施例に係る通水孔付き杭の断面図、図23はこの通
水孔付き杭を地盤中に埋設した状態の断面図、図24は
水抜き孔の他の実施例を説明するための通水孔付き杭の
一部断面図を各々示す。本発明の第3の実施例に係る通
水孔付き杭70は、図22,23に示すように、第2実施
例と比較して、杭70の下部に、水抜き孔74を設けたこと
のみが異なる。そして、その他は第2実施例と同様であ
り、第1実施例と同様の装置を使用し、ほぼ同様の方法
により施工する。
【0069】この第3の実施例に係る通水孔付き杭70
は、杭70の上部にのみ、杭70の外周面と中空部71とを連
通する通水孔72が設けてあり、この通水孔72には、網材
73を取り付けてある。また、杭70の下部には、杭70の外
周面と中空部71とを連通し、杭70の内部の中空部71内に
貯水した水を、杭70の外部に排水するための水抜き孔74
を設けてある。
【0070】杭70の上部に設けた通水孔72は、上記した
第2実施例に係る通水孔62と同様のもので、ドレーン層
14内を上昇してきた余剰間隙水を、杭70の中空部71内に
導くためのものである。また、通水孔72に設ける網材73
は、上記した第2実施例に係る網材63と同様のもので、
通水孔72内にドレーン材20が侵入することを防止するた
めのものである。
【0071】また、杭70の下部に設けた水抜き孔74は、
ドレーン材20が水抜き孔74の内部に侵入しないような孔
径となっている。この第3の実施例に係る通水孔付き杭
70は、上記した第2実施例に係る通水孔付き杭60と同様
の方法により施工される。すなわち、第1実施例の施工
方法に加えて、ドレーン層14の上部に張り出し部64を形
成するのである。
【0072】先に説明したように、地震が発生した場合
には、地盤中に含まれる水分の間隙水圧が上昇し、余剰
間隙水となってドレーン層14内へ浸入し、ドレーン層14
内部のドレーン材20により形成された隙間を通じてドレ
ーン層14上部へ移動する。第3の実施例に係る通水孔付
き杭70では、図23中、実線で示すように、このように
してドレーン層14上部に移動してきた余剰間隙水を、張
り出し部64内に一時的に貯留するとともに、通水孔72を
通して杭70の中空部71内に導いて貯水することは、上記
した第2実施例と同様である。
【0073】そして、図23中、破線で示すように、杭
70の中空部71内に取り込んで貯水した水を、水抜き孔74
を通して、再び地盤90中に還元する。このように水抜き
孔74を設けたため、例えば、鋼管杭のように浸透性を有
しない杭であっても、杭70の中空部71内に取り込んで貯
水した水を地盤中に還元することができ、杭70の内部の
貯水の水位を低下させて、さらに地震が発生した場合で
あっても、地盤中の余剰間隙水を筒状の杭70の内部に貯
水することができる。
【0074】なお、第3の実施例に係る通水孔付き杭70
は、必ずしも地上構造物等を支持するための杭70である
必要はなく、例えば、地盤の液状化によって生じる余剰
間隙水を排水することのみを目的とするものであっても
良い。また、地上構造物等を支持していない杭70である
場合には、杭70の内部の中空部71内に貯水した水を、杭
70の上部の開口部から、ポンプ等を用いて強制的に排水
しても良い。
【0075】また、図24に示すように、地盤中の水
が、水抜き孔74を通して杭70の中空部71内に浸入してく
るのを防止するため、水抜き孔74には、杭70の中空部71
から杭70の外周面へ向かってのみ通水可能な弁、例えば
逆止弁75を設けることが好ましい。この逆止弁75は、図
24中の実線で示すように、常には水抜き孔74を閉塞し
ている。そして、杭70の中空部71内に水が溜まり、水抜
き孔74の内側から水圧がかかった場合には、図24中の
破線で示すように、杭70の中空部71内からの水圧により
水抜き孔74の外側へ向かって開き、杭70の中空部71内に
貯水した水を杭70の外部へ排出することができる。
【0076】一方、水抜き孔74の外側のドレーン層14内
に水が溜まり、水抜き孔74の外側から水圧がかかった場
合には、この水圧により、逆止弁75が水抜き孔74の内側
へ向かって押圧されて、水抜き孔74を閉塞し、ドレーン
層14内の水が杭70の中空部71内に浸入することを防止す
ることができる。
【0077】
【発明の効果】本発明は、以上のように構成されている
ので、以下に記載されるような効果を奏する。請求項1
記載の発明によれば、次のような効果を奏する。すなわ
ち、請求項1記載の発明によれば、地震時に発生する地
盤中の余剰間隙水を筒状の杭内部に貯水して、地盤の液
状化を低減できる通水孔付き杭の施工方法を提供するこ
とができる。
【0078】請求項2記載の発明によれば、上記した請
求項1記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏す
る。すなわち、請求項2記載の発明によれば、地震が発
生した際に、ドレーン層内を地表に向かって上昇する地
盤中の余剰間隙水を、効率よく杭内部に取り込んで貯水
して、地盤の液状化を低減できる通水孔付き杭の施工方
法を提供することができる。
【0079】請求項3記載の発明によれば、上記した請
求項2記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏す
る。すなわち、請求項3記載の発明によれば、杭内部に
取り込んで貯水した地盤中の水を、再び地盤中に還元し
て、杭内部の貯水の水位を低下させることにより、さら
に地震が発生した場合であっても、地盤中の余剰間隙水
を筒状の杭内部に貯水することができる通水孔付き杭の
施工方法を提供することができる。
【0080】請求項4記載の発明によれば、上記した請
求項1〜3のいずれか1項に記載の発明の効果に加え、
次のような効果を奏する。すなわち、請求項4記載の発
明によれば、ドレーン層内を上昇してきた地盤中の余剰
間隙水を一時的に貯留できる部位をドレーン層上部に設
けて、上昇してきた地盤中の余剰間隙水を地上に噴出さ
せることなく杭内部に取り込んで、地盤の液状化を低減
できる通水孔付き杭の施工方法を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に使用する通水孔付き杭の
断面図である。
【図2】本発明の第1実施例に使用する通水孔付き杭を
地盤中に埋設した状態を示す断面図である。
【図3】通水孔の他の実施例を説明するための通水孔付
き杭の一部断面図である。
【図4】地震時における液状化現象を示すものであっ
て、地盤を示す概略断面図である。
【図5】地震時における液状化現象を示すものであっ
て、ゆるい砂層の粒の状態を示す概略模式図である。
【図6】地震時における液状化現象を示すものであっ
て、地震発生前後の地盤を示す概略模式図である。
【図7】地震時における液状化現象を示すものであっ
て、地震発生時における未処理地盤の状態を示す概略断
面図である。
【図8】地震時における液状化現象を示すものであっ
て、地震発生時における処理地盤の状態を示す概略断面
図である。
【図9】地震時における液状化現象を示すものであっ
て、地震発生時における処理地盤及び未処理地盤と間隙
水圧比との関係を示す概略模式図である。
【図10】本発明の第1実施例に使用する施工装置であ
って、全外周にスクリューを有するオーガーを示す概略
側面図である。
【図11】本発明の第1実施例に使用する施工装置であ
って、先端部のみにスクリューを有するオーガーを示す
概略側面図である。
【図12】本発明の第1実施例に係るものであって、オ
ーガーを地盤上にセットした状態を示す概略断面図であ
る。
【図13】本発明の第1実施例に係るものであって、オ
ーガーを地盤中に貫入させている状態を示す概略断面図
である。
【図14】本発明の第1実施例に係るものであって、オ
ーガー内部に杭を設置した状態を示す概略断面図であ
る。
【図15】本発明の第1実施例に係るものであって、ド
レーン材を充填しながらオーガーを引き抜いている状態
を示す概略断面図である。
【図16】本発明の第1実施例に係るものであって、杭
を地盤中に埋設した状態を示す概略断面図である。
【図17】本発明の第1実施例に係るものであって、押
圧管の先端を示す概略断面図である。
【図18】本発明の第1実施例に係るものであって、他
の押圧管の先端を示す概略断面図である。
【図19】本発明の第1実施例に係るものであって、他
の押圧管の先端を示す概略断面図である。
【図20】本発明の第2実施例に使用する通水孔付き杭
の断面図である。
【図21】本発明の第2実施例に使用する通水孔付き杭
を地盤中に埋設した状態を示す断面図である。
【図22】本発明の第3の実施例に使用する通水孔付き
杭の断面図である。
【図23】本発明の第3の実施例に使用する通水孔付き
杭を地盤中に埋設した状態の断面図である。
【図24】水抜き孔の他の実施例を説明するための通水
孔付き杭の一部断面図である。
【図25】従来の杭の施工方法を示すものであって、地
盤を掘孔し、硬化剤を充填する一工程を示す断面図であ
る。
【図26】従来の杭の施工方法を示すものであって、掘
削孔内部に杭を固定した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
10 通水孔付き杭 11 中空部 12 通水孔 13 掘削孔 14 ドレーン層 20 ドレーン材 30 施工装置 31 オーガー 32 中空管 33 先掘刃 34 スクリュー 40 可動装置 41 回転圧入装置 42 投入口 43 バイブレーター 44 支持軸 50 押圧管 51,52 押圧部 60 通水孔付き杭 61 中空部 62 通水孔 63 網材 64 張り出し部 70 通水孔付き杭 71 中空部 72 通水孔 73 網材 74 水抜き孔 75 逆止弁 90 地盤 91 地震発生前の地盤 92 地震発生後の地盤 93 噴砂・噴水 100 既成杭 101 スクリューオーガー 102 回転装置 103 セメントミルク WL 地下水位面 GL 地表面 LS 砂層 τP せん断力 E 有効土カブリ圧 U 水圧
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−15715(JP,A) 特開 平2−38617(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E02D 5/50 E02D 3/08 E02D 3/10 104

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所要長さの中空管の外周面には、スパイ
    ラル状にスクリューを有し、その下端部には、開閉可能
    な先掘刃を有したオーガーと、 このオーガの内周に配置され、オーガとは独立して上下
    動可能な筒状の押圧管と、 この押圧管の内周に更に配置され、内部に中空部を有す
    る筒状であって、この中空部と外周とを連通する通水孔
    を備えた杭と、 この杭の外周とオーガーの内周との間に少なくとも供給
    されるドレーン材とを有し、 前記オーガーの先掘刃を閉じた状態で、地盤に掘削孔を
    開ける掘削工程と、 前記オーガーの先掘刃を開放した後、押圧管を上下動し
    て前記ドレーン材を押圧して締め固め、前記杭の外周面
    と掘削孔の孔内周面との間に排水用のドレーン層を形成
    しながら、オーガー及び押圧管を掘削孔から引き上げる
    回収工程と、を含むことを特徴とする通水孔付き杭の施
    工方法。
  2. 【請求項2】 杭の通水孔が、その上部に形成されてい
    ることを特徴とする請求項1記載の通水孔付き杭の施工
    方法。
  3. 【請求項3】 杭の通水孔が、その下部に形成されてい
    ることを特徴とする請求項2記載の通水孔付き杭の施工
    方法。
  4. 【請求項4】 回収工程において形成されるドレーン層
    の上部には、その外周方向に拡径した張り出し部が形成
    されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1
    項に記載の通水孔付き杭の施工方法。
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