JP3576259B2 - 通水孔付き杭 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、支持杭やドレーン管に使用できる通水孔付き杭に関し、特に、地盤の液状化を防止できるようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】
図23,24は、従来の既成杭及びこの既成杭の施工方法を示すものであって、図23は、地盤を掘孔し、硬化剤を充填する一工程を示す断面図、図24は、孔内部に杭を固定した状態を示す断面図である。
従来、既成杭100の施工方法の一つとして、図23に示すように、その外径が杭外径より少し大きい中空管の外周面にスパイラル状にスクリューを設けたスクリューオーガー101を、その上端に配置した回転装置102により、回転させて、地盤中の土を地上に排出し、杭100を埋設するための孔14を形成していた。
【0003】
その後、図23に示すように、スクリューオーガー101を引き上げる際に、孔14内に硬化剤としてのセメントミルク103を充填していた。
つぎに、図24に示すように、セメントミルク103が充填された孔14内部に既成杭100を圧入し、沈設させていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の既成杭100では、図24に示すように、既成杭100の周囲に充填材としてセメントミルク103等の硬化剤を充填して、既成杭100と硬化剤とが一体化して地盤中に固定するように形成されていた。
このようにして施工した従来の既成杭100は、地震時に地盤の液状化が発生すると、杭本来の機能が極端に低下し、既成杭100が傾いて地上構造物に損傷を与えるおそれがあった。
【0005】
また、地上に噴出した泥水(余剰間隙水)により、周辺が汚損されるおそれもあった。
そこで、請求項1記載の発明は、杭の外周部に排水効果を有するドレーン層を形成するとともに、地震時に発生する地盤中の余剰間隙水を筒状の杭の内部に貯水して、地盤の液状化を低減できる通水孔付き杭を提供しようとするものである。
【0007】
請求項記載の発明は、上記した請求項1記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。すなわち、請求項記載の発明は、ドレーン層内を上昇してきた地盤中の余剰間隙水を一時的に貯留できる部位をドレーン層上部に設けて、地盤中の余剰間隙水を地上に噴出させることなく杭の内部に取り込んで、地盤の液状化を低減できる通水孔付き杭を提供しようとするものである。
【0008】
請求項記載の発明は、上記した請求項1又は2に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。すなわち、請求項記載の発明は、杭の内部に取り込んで貯水した地盤中の余剰間隙水を、再び地盤中に還元して、杭の内部の貯水の水位を低下させることにより、さらに地震が発生した場合であっても、地盤中の余剰間隙水を筒状の杭の内部に貯水することができる通水孔付き杭を提供しようとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記した目的を達成するためのものであり、以下にその内容を図面に示した実施例を用いて説明する。請求項1記載の発明は、次の点を特徴する。すなわち、本発明の液状化防止杭は、地盤中に設置された内部に中空部を有する筒状の杭 (10) 本体(以下、単に杭 (10) という。)と、その外周部に形成された排水用ドレーン層 (15) とからなり、杭(10)は、図2に示すように、内部に中空部(11)を有する筒状であって、その上部には、中空部(11)と前記ドレーン層(15)とを連通する通水孔(12)を開設している。
【0012】
杭(10)の上部に設けた通水孔(12)には、必要に応じ、図2に示すように、杭(10)の外周部に設けたドレーン層(15)からドレーン材(20)等の固形物が侵入することを防止するためのフィルター(13)を取り付ける
【0013】
請求項記載の発明は、上記した請求項1記載の発明の特徴に加え、次の点を特徴とする。すなわち、杭(10)の外周部に設けたドレーン層(15)の上部には、図2に示すように、外周方向に拡径した張り出し部(16)を形成している。請求項記載の発明は、上記した請求項1又は2に記載の発明の特徴に加え、次の点を特徴とする。
【0014】
すなわち、杭(60)の下部には、図20に示すように、杭(60)の上部に設けた通水孔(62)から杭(60)の中空部内に貯水された水を排水する水抜き孔(64)を設けている。
【0015】
(60)の下部に設けた水抜き孔(64)には、図22に示すように、杭(60)の中空部から杭(60)の外周面に向かって一方向に通水可能な弁( 例えば、逆止弁65) を設けてもよい。
【0016】
また、図3に示すように、杭(10)の上部に設けた通水孔(12)は、杭(10)の中空部から杭(10)の外周面に向かって縮径させてもよい。
【0017】
【作用】
請求項1記載の発明によれば、次のような作用を奏する。
すなわち、予め掘削した掘削孔(14)内に設置する杭(10)は、図2に示すように、杭(10)の上部に、杭(10)の内部の中空部(11)と杭(10)の外周面とを連通する通水孔(12)を開設してある。
【0018】
また、杭(10)を設置した掘削孔(14)内には、杭(10)の外周部にドレーン材(20)からなる排水用のドレーン層(15)を形成する。
したがって、ドレーン材(20)は、それらの間に隙間を有しているので、その隙間内を水等の液体は自由に移動することができる。また、ドレーン材(20)の隙間内を通ってドレーン層(15)上部に向かって移動してきた水等の液体は、通水孔(12)を通って杭(10)の内部の中空部(11)内に貯水することができる。
【0019】
このため、地盤中に含まれる水分の間隙水圧が地震により上昇しても、ドレーン層(15)内部のドレーン材(20)により形成された隙間を通じて、水がドレーン層(15)の上部に向かって移動するとともに、この水は通水孔(12)を通って杭(10)の内部の中空部(11)内に貯水されるので、地盤中の間隙水圧の上昇を極力抑えて、地震による液状化現象の発生を抑えることができる。
【0020】
図2に示すように、杭 (10) の上部に設けた通水孔 (12) にフィルター (13) を取り付けた場合には、杭(10)の外周部に設けたドレーン層(15)からドレーン材(20)等の固形物が侵入することを防止することができる。
【0021】
すなわち、杭(10)の外周部のドレーン材(20)や地盤中の小石等の固形物は、フィルター(13)に阻止されて、通水孔(12)内に侵入することがない。このため、通水孔(12)が目詰まりしたり、ドレーン材(20)が杭(10)の内部の中空部(11)内に蓄積して中空部(11)が閉塞することがなく、ドレーン層(15)を通して移動してきた余剰間隙水を効率よく杭(10)の内部の中空部(11)内に取り込んで、地盤中の間隙水圧の上昇を極力抑えて、地震による液状化現象の発生を抑えることができる。
【0022】
請求項記載の発明によれば、上記した請求項1記載の発明の作用に加え、次のような作用を奏する。すなわち、杭(10)の外周部に設けたドレーン層(15)の上部には、図2に示すように、外周方向に拡径した張り出し部(16)を形成してある。したがって、地盤中に含まれる水分の間隙水圧が地震により上昇しても、ドレーン層内を上昇してきた地盤中の余剰間隙水を張り出し部(16)に一時的に貯留して、余剰間隙水を地上に噴出させることなく、通水孔(12)を通して杭(10)の内部の中空部(11)内に貯水することができる。
【0023】
請求項記載の発明によれば、上記した請求項1又は2に記載の発明の作用に加え、次のような作用を奏する。すなわち、杭(60)の上部には通水孔(62)を設け、杭(60)の下部には、図20に示すように、杭(60)の内部の中空部(61)内に貯水した水を排水するための水抜き孔(64)を設けてある。
【0024】
したがって、杭(60)内部に取り込んで貯水した地盤中の水を、図21に示すように、再び地盤中に還元することができる。
【0025】
上記した請求項3記載の発明の作用に加え、杭 (60) の下部に設けた水抜き孔 (64) に、図22に示すように、杭 (60) の内部の中空部 (72) から杭 (60) の外周面へ向かってのみ通水可能な弁(例えば、逆止弁 65 )を設けた場合には、杭(60)の内部に取り込んで貯水した地盤中の水を杭(60)の外部に排出できるとともに、杭(60)の外部から地盤中の水が逆流してくることを防止することができる。このため、杭(60)の内部の貯水の水位を確実に低下させることにより、杭(60)の内部の中空部(61)が満水状態となることを防止して、さらに地震が発生した場合であっても、地盤中の余剰間隙水を筒状の杭(60)内部に貯水することができる。
【0026】
また、杭(10)の上部に設けた通水孔(12)、図3に示すように、杭(10)内部の中空部(11)から杭(10)の外周面に向かって縮径させた場合には、通水孔(12)の外周部から、通水孔(12)内にドレーン材(20)が侵入することがないとともに、通水孔(12)内に取り込んだ余剰間隙水は、抵抗なく杭(10)内部に取り込まれる。
【0027】
このため、通水孔(12)が目詰まりしたり、ドレーン材(20)が杭(10)の内部の中空部(11)内に蓄積して中空部(11)が閉塞することがなく、ドレーン層(15)を通して移動してきた余剰間隙水を効率よく杭(10)の内部の中空部(11)内に取り込んで、地盤中の間隙水圧の上昇を極力抑えて、地震による液状化現象の発生を抑えることができる。
【0028】
【実施例】
図1〜2は、本発明の第1実施例に係る通水孔付き杭を示すものである。
図1は、第1実施例に係る通水孔付き杭の断面図、図2はこの通水孔付き杭を地盤中に埋設した状態の断面図である。
図3は、通水孔の他の実施例を説明するための通水孔付き杭の一部断面図を各々示す。
【0029】
また、図4〜9は地震時における液状化現象を説明するための概略模式図であって、図4は地盤の概略断面図、図5はゆるい砂層の粒の状態の概略模式図、図6は地震発生前後の地盤の概略模式図、図7は地震発生時における未処理地盤の状態の概略断面図、図8は地震発生時における処理地盤の状態の概略断面図、図9は地震発生時における処理地盤及び未処理地盤と間隙水圧比との関係の概略模式図を各々示す。
【0030】
図1中、10は地盤中に建造物の基礎として埋設される通水孔付き杭10を示すものであって、この通水孔付き杭10は、その内部に中空部11を有する筒状であって、この中空部11と外周面とを連通する通水孔12・・・を、杭10の上部に複数箇所設けてあり、この通水孔12には、網状のフィルター13が取り付けてある。なお、杭10は、節杭でも良い。
【0031】
そして、図2に示すように、この通水孔付き杭10は、地盤に地表から垂直下方に開けられた掘削孔14のほぼ中央に埋設されている。そして、この杭10の外周面と、掘削孔14の内周面との間には、砂利等のドレーン材20が押し固められて、充填されたドレーン層15が形成されている。なお、杭10を、地盤中に打ち込んでも良い。
【0032】
また、杭10の外周部に設けたドレーン層15の上部には、外周方向に拡径した張り出し部16を形成してある。
ここで、ドレーン層15の排水効果について説明する。
上記ドレーン層15は、図2に示すように、ドレーン材20を押し固めて形成したもので、それらの間には隙間を有しているので、その隙間内を水等の液体は自由に移動することができる。
【0033】
このため、地盤中に含まれる水分の間隙水圧が地震により上昇すると、図2中、実線で示すように、ドレーン層15内部のドレーン材20により形成された隙間を通じて水が地表に向かって移動し、張り出し部16内に一時的に貯留される。そして、張り出し部16内に一時的に貯留した水は、通水孔12を通って、杭10の中空部11内に貯水される。したがって、地盤中の間隙水圧の上昇を抑えることができる。
【0034】
また、透水性を有するコンクリート杭等で杭10を構成した場合には、杭10の中空部11内に貯水した水は、図2中、破線で示すように、杭10の壁面を通ってドレーン層15に浸透し、徐々にではあるが、地盤中に還元される。これにより、杭10内部の貯水の水位を低下させて、さらに地震が発生した場合であっても、地盤中の余剰間隙水を杭10の中空部11内に貯水することができる。
【0035】
図1,2に示すように、杭10の上部に設ける通水孔12には、網状のフィルター13が取り付けてある。このフィルター13は、杭10の外周部に設けたドレーン層15からドレーン材20や地盤中の小石等の固形物が侵入することを防止するためのもので、例えば、金属製のネットからなり、網目の大きさがドレーン材20の外径よりも小さくなっていて、ドレーン材20の通過を阻止することができる。
【0036】
このように、通水孔12には、フィルター13を取り付けてあるため、通水孔12の孔径をドレーン材20の外径より大きくしても、杭10の外周部に設けたドレーン層15から通水孔12内にドレーン材20が侵入することを防止でき、大口径の通水孔12により、効率よく余剰間隙水を杭10内部の中空部61内に取り込むことができる。また、通水孔12が目詰まりを起こしたり、或いは通水孔12を通して杭10の中空部11内にドレーン材20が充填されてしまい、杭10の中空部11が貯水槽としての役目を果たさなくなる等の不都合を防止することができる。
【0037】
つぎに、図3に基づき、杭10の上部に設ける通水孔の他の実施例を説明する。
この通水孔17は、図3に示すように、ドレーン層15を形成するドレーン材20が通水孔17内に侵入することを防止するとともに、通水孔17内に取り込んだ水等の液体を抵抗なく中空部11内に取り込むために、杭10内部の中空部11から杭10の外周面に向かって縮径している。そして、杭10の外周面側の孔径が、ドレーン材20が通水孔17内部に侵入しないような孔径となるよう形成されていて、中空部11に向かって徐々に孔径が拡大している。
【0038】
このようにして通水孔17を形成することにより、通水孔17にフィルター13を取り付けなくても、通水孔17内にドレーン材20が侵入することを防止できるとともに、通水孔17内に取り込んだ余剰間隙水を抵抗なく杭10内部に取り込むことができる。
このため、通水孔17が目詰まりしたり、ドレーン材20が杭10の中空部11内に蓄積して中空部11が閉塞することがなく、ドレーン層15を通して移動してきた余剰間隙水を効率よく杭10の中空部11内に取り込むことができる。
【0039】
ここで、地震による地盤の液状化現象に関して説明する。
砂地盤の液状化は、図4に示すように、地下水位面WLが地表面GLから、約20m以浅にあって、地下水を含んだゆるい砂層LSにおいて発生し易い。
ここで、地盤の液状化現象のメカニズムについて、砂の粒子からなる、ゆるい砂層LSの一部を拡大して説明する。
【0040】
図5に示すように、砂粒間の隙間を水で満たし、ゆるく堆積しているゆるい砂層LSに、地震による繰り返しの横方向の力、いわゆるせん断力τPが作用すると、砂粒は周りの隙間に落ち込もうとして、地盤は体積を縮めようとする。
すなわち、地震発生前の地盤91は、図6に示すように、地震でせん断力τPが作用して、体積が減少した地震発生後の地盤92の状態に変化する。
【0041】
ところが、砂粒の間には水があるので、地震のような短い時間では、水は外に逃げ出すことが出来なくなり、一時的に水圧、いわゆる過剰間隙水圧が発生する。この水圧が、地表面GLからその深さまでの圧力E(有効土カブリ圧)まで上昇した時に、地盤は見かけ上液体のような挙動を示す。
すなわち、地下水を含んだゆるい砂層LSが強い地震を受けると、砂層LS間に含まれた間隙水の圧力の上昇で、砂粒間の摩擦が減り、地盤はせん断抵抗を失って液状化する現象である。
【0042】
このとき、図7に示すように、多量の地下水が砂を伴って、噴砂・噴水93となって地表に噴き出すことがある。液状化した地盤は建物を支える力を失う。また、部分的沈下で建物が損壊したり、傾斜、転倒することもある。
この地盤の液状化を発生させるポイントとして、第1に地盤中の砂の詰まり方がゆるいこと、第2にその結果として、間隙水圧が上昇することの2つがある。
【0043】
したがって、地盤の液状化を防ぐ対策としてこの2点に着目すればよいことになる。
すなわち、液状化対策としては、地盤を締め固めるか、図8に示すように、原地盤の砂よりもずっと透水性の高いドレーン材20、例えば砂利の柱からなるドレーン層15を地中に設けて、ゆるい砂層LS間で発生した水圧Uを砂利等のドレーン材20からなるドレーン層15ですばやく地表に逃がしてやり、砂粒間の水圧Uの上昇を抑えてやれば良い。
【0044】
さらに、地盤の締め固めとドレーン層15の両者を併用すれば、より効果的である。
ここで、液状化対策として地盤中に、ドレーン材20からなるドレーン層15を形成した処理地盤と、ドレーン層15等の対策を施していない未処理地盤とにおける地盤中のA点、B点の間隙水圧を比較すると、図9に示すように、A点、B点共に処理地盤の方が未処理地盤より低い値となる。これは、ドレーン層15による排水効果によるものである。
【0045】
ところで、地上構造物等を施工した地盤は、地盤表面が構造物により閉塞されているため、液状化に伴い発生した水を地表に逃がしてやることができない。そこで、本発明は、地上構造物等を支える杭10を筒状とし、液状化に伴い発生した水等の液体を杭10の内部の中空部11内に貯水できるようにしているのである。
本発明の第1実施例に係る通水孔付き杭10によれば、図2に示すように、地震によって周辺の砂地盤で発生した余剰間隙水を、杭10の中空部11内に貯水するとともに、杭10の中空部11内に取り込んで貯水した水は、杭10の壁面を通して、再び地盤中に還元して浸透させることができるので、中空部11内が満水状態となることを防止して、次の地震発生時にも余剰間隙水を取り込むことができる。
【0046】
これにより、周辺地盤の液状化現象の発生を抑えることができる。
また、杭10の周囲に連続的にドレーン材20を充填することにより、周面支持力として杭10本来の摩擦抵抗特性を生かすこともできる。
さらに、ドレーン材20は杭10の外周面と掘削孔14の内周面との間に充填する際に、充分押し固めて、形成されている。
【0047】
このため、水平方向の応力の値が増加するに伴い、摩擦力が増加するとともに、周辺地盤も締め固められる。
これにより、周面支持力の増加とともに、周辺地盤の密度が増加し、周辺地盤が締め固められ、ドレーン層15の排水効果に加えて、地盤の液状化現象の発生を抑えることができる。
【0048】
なお、第1実施例に係る通水孔付き杭10は、必ずしも地上構造物等を支持するための支持杭である必要はなく、例えば、地盤の液状化によって生じる余剰間隙水を貯水することのみを目的とするものであっても良い。
また、地上構造物等を支持していない杭である場合には、杭10の内部の中空部11内に貯水した水を、杭10の上部の開口部から、ポンプ等を用いて強制的に排水しても良い。
【0049】
つぎに、本発明の第1実施例に係る通水孔付き杭10の施工方法について説明する。
図10〜23は本発明の第1実施例に係る通水孔付き杭10を施工する施工装置及び施工方法を示すものである。
図10は、全外周にスクリューを有するオーガーの概略側面図、図11は先端部のみにスクリューを有するオーガーの概略側面図、図12〜16は施工方法を示すものであって、図12はオーガーを地盤上にセットした状態の概略断面図、図13はオーガーを地盤中に貫入させている状態の概略断面図、図14はオーガー内部に杭を設置した状態の概略断面図、図15はドレーン材を充填しながらオーガーを引き抜いている状態の概略断面図、図16は杭を地盤中に埋設した状態の概略断面図、図17は押圧管の先端の概略断面図、図18は他の押圧管の先端の概略断面図、図19は他の押圧管の先端の概略断面図を各々示す。
【0050】
図10に示すように、本施工装置30は、地盤中に掘削孔14を形成するオーガー31と、このオーガー31の内部にあって、オーガー31と独立して上下動可能な筒状の押圧管50とを備えている。
上記オーガー31は、杭10より大きな内径を有する円筒状であって、その先端下部には、円錐状であって、先端が開口可能に形成された先掘刃33と、この先掘刃33に連設され、中空の円筒管状に形成された中空管32と、この中空管32の外周表面にスパイラル状に連続して形成されたスクリュー34とを備えたものを使用する。なお、オーガー31の先端下部は、オーガー31の引き上げ時にオーガー31から分離し、土中に残る非回収タイプのものでも良い。
【0051】
また、オーガー31は、図11に示すように、スクリュー34がその先掘刃33から途中まで外周表面にスパイラル状に形成されている先端オーガータイプのものでも良い。この先端オーガータイプのオーガー31は、地盤から排出する土の量が少なく、いわゆる低排土となり、周辺地盤をより締め固める効果がある。このような先端オーガータイプのものは、特にゆるい砂地盤や軟弱粘土地盤の場合に、それらが圧縮され、密度が増加し、周辺地盤を締め固めることができて、周面支持力を増加させることができ、有効である。
【0052】
まず、図12に示すように、上記オーガー31からなる施工装置30を所定の地盤90上に垂直に設置する。
本施工装置30は、図12に示すように、外周表面にスクリュー34を有する上記オーガー31と、このオーガー31内部に配置された押圧管50と、この押圧管50を上下に可動させる可動装置40と、この可動装置40とオーガー31との間にあって、オーガー31を回転させるとともに、オーガー31の内周面と押圧管50の外周面との間にドレーン材20を圧入可能な回転圧入装置41とを備えている。そして、回転圧入装置41の上部には、ドレーン材20を外部から挿入できる投入口42が形成されている。
【0053】
上記押圧管50は、図12に示すように、円筒状であって、その外径がオーガー31の内径より小さく設定されてあり、その頭部には、押圧管50に振動を与えることが可能なバイブレーター43が設置されている。
上記可動装置40は、図12に示すように、回転圧入装置41の上に配置されているとともに、可動装置40と押圧管50とは、支持軸44により連結されている。そして、可動装置40の内部には、図示しないがカムが組み込まれてあり、上記支持軸44を繰り返し、上下動することにより、押圧管50を上下動できるように設定されている。
【0054】
つぎに、図13に示すように、回転圧入装置41によりオーガー31を時計回りに、正回転させながら所定の深さまで地盤90中に貫入する。
つぎに、図14に示すように、地盤90中の所定の深さまでオーガー31を貫入させた後、回転圧入装置41によりオーガー31の回転を停止させる。
そして、図14に示すように、オーガー31の上に設置した可動装置40、支持軸44及び回転圧入装置41等を取り除き、オーガー31の上部を開口した状態とする。
【0055】
つぎに、図14に示すように、その開口した上方から、砂利等からなるドレーン材20を投入し、オーガー31の先掘刃33にのみ、ドレーン材20を充填する。
なお、上記ドレーン材20は、砂利、砕石等のほか、建築解体で生じる廃材としてのコンクリートの破砕等も使用できる。
つぎに、図14に示すように、オーガー31の開口した上方から、その内部に杭10を入れ、先端部30のドレーン材20の上であって、オーガー31及び押圧管50の中心部に杭10を設置する。なお、押圧管50を、杭10の設置時に装着しても良い。また、オーガー31及び押圧管50の中心部に、杭10を予め設定しておいても良い。
【0056】
さらに、押圧管50を使用することにより、副次的な効果として、杭10の鉛直性等の施工精度を容易に高めることができる。これは、掘削孔14よりもさらに径が小さな押圧管50の内部に杭10を設置するために、杭10の傾斜が制限され、その結果として鉛直性が向上するからである。
また、杭10の種類としては、コンクリート杭、鋼管杭、木杭或いはこれらを複合し、組み合わせた杭でも良い。
【0057】
つぎに、図15に示すように、オーガー31の上部に、再度、可動装置40、支持軸44及び回転圧入装置41等を取り付ける。
つぎに、図15に示すように、回転圧入装置41によりオーガー31を反時計回りに逆回転させながら、オーガー31を徐々に引き抜いていく。
その際、回転圧入装置41の投入口42からドレーン材20を投入して、オーガー31の内周面と杭10の外周面との間にドレーン材20を充填させる。なお、オーガー31の内周面と杭10の外周面との間に、ドレーン材20を予め投入乃至は充填しておいても良い。
【0058】
さらに、ドレーン材20を充填させると同時に、可動装置40により、押圧管50を上下に繰り返し移動させて、充填しているドレーン材20を締め固めていく。
これにより、図15に示すように、ドレーン材20を杭10の外周表面と掘削孔14の内周表面との間に連続的に充填することができる。
その際、押圧管50の上部に取り付けたバイブレーター43により、押圧管50を振動させている。
【0059】
このため、押圧管50を介して、ドレーン材20が振動し、粒同士がより密に配置され、粒同士の結合が強固となり、ドレーン材20をより強固に締め固めることができる。
なお、押圧管50を繰り返し上下させる装置としては油圧ハンマーでも良い。
また、繰り返し上下させる位置としては、上述したように押圧管50全体を上下させてもよいが、押圧管50の先端部だけでも良い。
【0060】
また、バイブレーター43は、押圧管50の上部に取り付けているが、先掘刃33に取り付けても良い。バイブレーター43を先掘刃33に取り付けると、振動を先掘刃33からドレーン材20に直接伝えることができて、より効果的にドレーン材20を締め固めることができる。
さらに、振動はドレーン材20を介して、周辺地盤90にも伝わり、周辺地盤90のゆるみを防ぐとともに、周辺地盤90を締め固めることができる。
【0061】
また、押圧管50は、図17に示すように、その先端下部の肉厚が先細に形成されている。
このため、ドレーン材20の内部に先端が先細に形成された押圧管50が上方から押し込まれると、図17に示すように、押圧管50の先端の両斜面により、ドレーン材20を水平方向に押し拡げて、水平方向にもドレーン材20を締め固めることができる。
【0062】
さらに、押圧管50によりドレーン材20を水平方向に押圧する力は、ドレーン材20を介して、周辺地盤90にも及び、周辺地盤90のゆるみを防ぎ、周辺地盤90を締固めることができる。
また、押圧管50の先端には、図18に示すように、 先端下部の肉厚が外周外側に向かって厚く形成された押圧部51を取り付けても良い。
【0063】
上記押圧部51は、耐磨耗性が優れた金属からなり、図18に示すように、その全体形状はリング状であって、押圧管50の先端に固定されている。また、押圧部51は、その内面側が緩やかに傾斜し、外面側が急勾配に傾斜して、外周表面より外側に一部突出して形成されている。
これにより、押圧管50が上方から押し込まれると、図18に示すように、押圧部51の先端外側の斜面により、周囲のドレーン材20を水平方向外側に向かって押し拡げて、ドレーン材20を水平方向により強く締め固めることができる。
【0064】
また、先端が磨耗したら、押圧管50全体を取り替えることなく、磨耗が激しい先端の押圧部51のみ取り替えることができて、施工コストを低減させることができる。
さらに、押圧管50の先端は、図19に示すように、先端下部の肉厚を外周外側に向かって厚く形成するとともに、内周面側に傾斜面を形成せず、外周面側にのみ傾斜面を形成した押圧部52を取り付けても良い。
【0065】
上記押圧部52は、耐磨耗性が優れた金属からなり、図19に示すように、その全体形状はリング状であって、押圧管50の先端下部に固定されている。また、押圧部52は、その内面側には傾斜面を形成せず、外面側が急勾配に傾斜して、外周表面より外側に一部突出して形成されている。
これにより、押圧管50が上方から押し込まれると、図19に示すように、押圧部52の先端外側の斜面により、周囲のドレーン材20を水平方向外側に向かって押し拡げて、ドレーン材20を水平方向外側に向かってさらに強く締め固めることができる。
【0066】
また、先端が磨耗したら、図18で示した押圧部51と同様に、磨耗が激しい先端の押圧部52のみ取り替えることができて、施工コストを低減させることができる。
なお、図18,19で示したように、押圧部51,52は押圧管50の先端に取り付けて使用しているが、もちろん、図17に示すように、押圧管50全体を一体物として形成しても良い。
【0067】
そして、図16に示すように、杭10の全長にわたって、その外周表面と掘削孔14との間にドレーン材20が充填され、杭10が締め固められた地盤90中に埋設され、杭10はドレーン材20及び周辺地盤90により強固に保持された状態となる。
なお、上記第1実施例において、押圧管50の形状は、断面が円形の筒状等のものを使用しているが、断面形状は特にこれに限定されるものではなく、三角形、四角形若しくは多角形の筒状等のものでもよく、第1〜3の実施例で得られる効果と同様の効果を得ることができる。
【0068】
つぎに、本発明の第2実施例に係る通水孔付き杭60について説明する。
図20は、本発明の第2実施例に係る通水孔付き杭の断面図、図21はこの通水孔付き杭を地盤中に埋設した状態の断面図、図22は水抜き孔の他の実施例を説明するための通水孔付き杭の断面図を各々示す。
本発明の第2実施例に係る通水孔付き杭60は、図20,21に示すように、第1実施例と比較して、杭60の下部に、水抜き孔64を設けたことのみが異なる。そして、その他は第1実施例と同様であり、同様の装置を使用し、ほぼ同様の方法により施工する。
【0069】
この第2実施例に係る通水孔付き杭60は、杭60の上部にのみ、杭60の外周面と中空部61とを連通する通水孔62が設けてあり、この通水孔62には、フィルター63を取り付けてある。また、杭60の下部には、杭60の外周面と中空部61とを連通し、杭60の内部の中空部61内に貯水した水を、杭60の外部に排水するための水抜き孔64を設けてある。
【0070】
杭60の上部に設けた通水孔62は、上記した第1実施例に係る通水孔12と同様のもので、ドレーン層15内を上昇してきた余剰間隙水を、杭60の中空部61内に導くためのものである。また、通水孔62に設けるフィルター63は、上記した第1実施例に係るフィルター13と同様のもので、通水孔62内にドレーン材20が侵入することを防止するためのものである。
【0071】
また、杭60の下部に設けた水抜き孔64は、ドレーン材20が水抜き孔64の内部に侵入しないような孔径となっている。
この第2実施例に係る通水孔付き杭60は、上記した第1実施例に係る通水孔付き杭10と同様の方法により施工され、ドレーン層15の上部に張り出し部16を形成してある。
【0072】
先に説明したように、地震が発生した場合には、地盤中に含まれる水分の間隙水圧が上昇し、図21中、実線で示すように、余剰間隙水となってドレーン層15内へ浸入し、ドレーン層15内部のドレーン材20により形成された隙間を通じてドレーン層15上部へ移動する。
第2実施例に係る通水孔付き杭60では、このようにしてドレーン層15上部に移動してきた余剰間隙水を、張り出し部16内に一時的に貯留するとともに、通水孔62を通して杭60の中空部61内に導いて貯水することは、第1実施例と同様である。
【0073】
そして、図21中、破線で示すように、杭60の中空部61内に取り込んで貯水した水を、水抜き孔64を通して、再び地盤90中に還元する。
このように水抜き孔64を設けたため、例えば、鋼管杭のように浸透性を有しない杭であっても、杭60の中空部61内に取り込んで貯水した水を地盤中に還元することができ、杭60の内部の貯水の水位を低下させて、さらに地震が発生した場合であっても、地盤中の余剰間隙水を筒状の杭60の内部に貯水することができる。
【0074】
なお、第2実施例に係る通水孔付き杭60は、必ずしも地上構造物等を支持するための杭60である必要はなく、例えば、地盤の液状化によって生じる余剰間隙水を排水することのみを目的とするものであっても良い。
また、地上構造物等を支持していない杭60である場合には、杭60の内部の中空部61内に貯水した水を、杭60の上部の開口部から、ポンプ等を用いて強制的に排水しても良い。
また、図22に示すように、地盤中の水が、水抜き孔64を通して杭60の中空部61内に浸入してくるのを防止するため、水抜き孔64には、杭60の中空部61から杭60の外周面へ向かってのみ通水可能な弁、例えば逆止弁65を設けることが好ましい。
【0075】
この逆止弁65は、図22中の実線で示すように、常には水抜き孔64を閉塞している。そして、杭60の中空部61内に水が溜まり、水抜き孔64の内側から水圧がかかった場合には、図22中の破線で示すように、杭60の中空部61内からの水圧により水抜き孔64の外側へ向かって開き、杭60の中空部61内に貯水した水を杭60の外部へ排出することができる。
【0076】
一方、水抜き孔64の外側のドレーン層15内に水が溜まり、水抜き孔64の外側から水圧がかかった場合には、この水圧により、逆止弁65が水抜き孔64の内側へ向かって押圧されて、水抜き孔64を閉塞し、ドレーン層15内の水が杭60の中空部61内に浸入することを防止することができる。
【0077】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
請求項1記載の発明によれば、次のような効果を奏する。
すなわち、請求項1記載の発明によれば、地震時に発生する地盤中の余剰間隙水を筒状の杭内部に貯水して、地盤の液状化を低減できる通水孔付き杭を提供することができる。
【0079】
請求項記載の発明によれば、上記した請求項1記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。すなわち、請求項記載の発明によれば、ドレーン層内を上昇してきた地盤中の余剰間隙水を一時的に貯留できる部位をドレーン層上部に設けて、地盤中の余剰間隙水を地上に噴出させることなく杭内部に取り込んで、地盤の液状化を低減できる通水孔付き杭を提供することができる。
【0080】
請求項記載の発明によれば、上記した請求項1又は2に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。すなわち、請求項記載の発明によれば、杭内部に取り込んで貯水した地盤中の水を、再び地盤中に還元して、杭内部の貯水の水位を低下させることにより、さらに地震が発生した場合であっても、地盤中の余剰間隙水を筒状の杭内部に貯水することができる通水孔付き杭を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る通水孔付き杭の断面図である。
【図2】本発明の第1実施例に係る通水孔付き杭を地盤中に埋設した状態を示す断面図である。
【図3】通水孔の他の実施例を説明するための通水孔付き杭の一部断面図である。
【図4】地震時における液状化現象を示すものであって、地盤を示す概略断面図である。
【図5】地震時における液状化現象を示すものであって、ゆるい砂層の粒の状態を示す概略模式図である。
【図6】地震時における液状化現象を示すものであって、地震発生前後の地盤を示す概略模式図である。
【図7】地震時における液状化現象を示すものであって、地震発生時における未処理地盤の状態を示す概略断面図である。
【図8】地震時における液状化現象を示すものであって、地震発生時における処理地盤の状態を示す概略断面図である。
【図9】地震時における液状化現象を示すものであって、地震発生時における処理地盤及び未処理地盤と間隙水圧比との関係を示す概略模式図である。
【図10】本発明の第1実施例に係る通水孔付き杭を施工する施工装置であって、全外周にスクリューを有するオーガーを示す概略側面図である。
【図11】本発明の第1実施例に係る通水孔付き孔を施工する施工装置であって、先端部のみにスクリューを有するオーガーを示す概略側面図である。
【図12】本発明の第1実施例に係る通水孔付き杭の施工方法であって、オーガーを地盤上にセットした状態を示す概略断面図である。
【図13】本発明の第1実施例に係る通水孔付き杭の施工方法であって、オーガーを地盤中に貫入させている状態を示す概略断面図である。
【図14】本発明の第1実施例に係る通水孔付き杭の施工方法であって、オーガー内部に杭を設置した状態を示す概略断面図である。
【図15】本発明の第1実施例に係る通水孔付き杭の施工方法であって、ドレーン材を充填しながらオーガーを引き抜いている状態を示す概略断面図である。
【図16】本発明の第1実施例に係る通水孔付き杭の施工方法であって、杭を地盤中に埋設した状態を示す概略断面図である。
【図17】本発明の第1実施例に係る通水孔付き杭の施工方法であって、押圧管の先端を示す概略断面図である。
【図18】本発明の第1実施例に係る通水孔付き杭の施工方法であって、他の押圧管の先端を示す概略断面図である。
【図19】本発明の第1実施例に係る通水孔付き杭の施工方法であって、他の押圧管の先端を示す概略断面図である。
【図20】本発明の第2実施例に係る通水孔付き杭の断面図である。
【図21】本発明の第2実施例に係る通水孔付き杭を地盤中に埋設した状態を示す断面図である。
【図22】水抜き孔の他の実施例を説明するための通水孔付き杭の一部断面図である。
【図23】従来の杭の施工方法を示すものであって、地盤を掘孔し、硬化剤を充填する一工程を示す断面図である。
【図24】従来の杭の施工方法を示すものであって、掘削孔内部に杭を固定した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
10 杭 11 中空部
12 通水孔 13 フィルター
14 掘削孔 15 ドレーン層
16 張り出し部 17 通水孔
20 ドレーン材 30 施工装置
31 オーガー 32 中空管
33 先掘刃 34 スクリュー
40 可動装置 41 回転圧入装置
42 投入口 43 バイブレーター
44 支持軸 50 押圧管
51,52 押圧部 60 杭
61 中空部 62 通水孔
63 フィルター 64 水抜き孔
65 逆止弁 90 地盤
91 地震発生前の地盤 92 地震発生後の地盤
93 噴砂・噴水 100 既成杭
101 スクリューオーガー 102 回転装置
103 セメントミルク WL 地下水位面
GL 地表面 LS 砂層
τP せん断力 E 有効土カブリ圧
U 水圧

Claims (3)

  1. 地盤中に設置された内部に中空部を有する筒状の杭本体と、その外周部に形成された排水用ドレーン層とからなり、前記杭本体の上部に前記中空部と前記ドレーン層とを連通させる通水孔を開設し、地震時の間隙水圧の上昇により前記排水用ドレーン層の隙間内を通ってドレーン層の上部に向かって移動してくる水を、前記通水孔から前記中空部内に取り込んで貯水するようにしたことを特徴とする液状化防止杭。
  2. 前記本体の外周部に設けた前記排水用ドレーン層の上部には、外周方向に拡径した張り出し部を形成したことを特徴とする請求項1記載の液状化防止杭。
  3. 前記本体の下部には、杭本体の上部に設けた通水孔から杭本体の中空部内に貯水された水を排水する水抜き孔を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の液状化防止杭。
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