JP3017649B2 - 場所打ちコンクリート杭造成用縦孔土留壁の構造 - Google Patents

場所打ちコンクリート杭造成用縦孔土留壁の構造

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JP3017649B2 JP6332471A JP33247194A JP3017649B2 JP 3017649 B2 JP3017649 B2 JP 3017649B2 JP 6332471 A JP6332471 A JP 6332471A JP 33247194 A JP33247194 A JP 33247194A JP 3017649 B2 JP3017649 B2 JP 3017649B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は場所打ちコンクリート杭
の造成時において、該コンクリート杭の外周壁を形成す
る土留壁の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、地中にコンクリート製の基礎
杭を造成するには、図17に示すように弧状に湾曲したス
キンプレート11の両側直線端縁に継手板12、13を固着す
ると共に湾曲端縁に主桁板14、15を固着してなる鋼製の
土留パネル1を多数枚、円周方向には隣接する土留パネ
ル1、1の継手板12、13同士をボルトで連結すると共に
上下方向には隣接する土留パネル1、1の上下主桁板1
4、15同士をボルトで連結することにより円筒状壁体10
に組み立て、この円筒状壁体10を地盤に圧入すると共に
該円筒状壁体10内部の地盤を水或いは泥水中でグラムシ
ェルバケット(図示せず)で掘削して縦孔Bを形成しな
がら所望深さまで円筒状壁体10を埋設することによって
図18に示すように土留壁Aを形成したのち、この縦孔B
内に鉄筋(図示せず)を建て込み、縦孔B内に図19、図
20に示すようにコンクリートCを打設することによって
造成している。なお、土留壁Aを構成している円筒状壁
体10の内部、即ち、縦孔B内には土留壁Aの背面の土圧
及び水圧に対抗させるために水或いは泥水を貯留してい
る。
【0003】このような基礎杭造成方法において、縦孔
内にコンクリートを打設するには、地上側からトレミー
管Pを縦孔Bの中央底部にまで挿入し、該トレミー管P
を通じて縦孔B内にコンクリートCを流し込むことによ
って行われ、その際、縦孔底部に堆積しているスライム
Sは、打設コンクリートCの高さが上昇していくに従っ
て該コンクリートCの上面で押し上られ、地上まで上昇
した時に除去処理されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような土留壁の構造によれば、円筒状壁体10内の地盤を
泥水中において掘削する際に、グラムシェルバケットが
掘削位置から地上に上昇するまでの間に掘削土砂の一部
が該バケットから漏出して水中に拡散し、その一部が円
筒状壁体10を形成している土留パネル1の下側主桁板15
上に堆積してスライム層を形成することになる。
【0005】さらに、トレミー管Pにより縦孔B内にコ
ンクリートCを打設する場合、トレミー管Pの下端開口
部を打設コンクリートC内に没入させた状態を維持しな
がら打設コンクリートCの高さが上昇するに従ってトレ
ミー管Pを徐々に引き上げていくが、このトレミー管P
によって打設されるコンクリートは、該トレミー管Pに
よる打設部位である縦孔Bの中央部において盛り上が
り、土留壁Aを構成する円筒状壁体10の内周面に向かう
に従って下方に傾斜し、その打設面が略円錐形状とな
る。
【0006】そのため、縦孔Bの底部に堆積しているス
ライムSはコンリートの打設に従ってその円錐形状の傾
斜面c上で押し上げられて土留壁Aの内周面側に集合す
る。そして、この状態で土留壁Aを形成している土留パ
ネル1の上側主桁板14部に達すると、図19、図20に示す
ように、スライムSは該主桁板14の下面によって上方に
押し上げられるのを阻止され、該下面側にスライムSが
滞留した状態となる。さらに打設コンクリートCが上昇
して上記土留パネル1に連結した上側の土留パネル1の
下側主桁板15上に達すると、打設コンクリートCが該下
側主桁板15上に向かって広がり、その際、打設コンクリ
ートCの下傾端上に残存するスライムSが下側主桁板15
上の隅角部に押し込まれて残留したままの状態でコンク
リートが打設される。
【0007】この残留スライムSはコンクリート杭の品
質低下につながり、スライムSが残留する土留壁部分は
荷重の支持体としての役目を果たすことができず、結果
的に該土留壁部分、即ち杭体の外周部分のコンクリート
が無駄になり、コンクリート基礎杭の有効断面が小さく
なるという問題点があった。本発明はこのような問題点
に鑑みてなされたもので、土留壁内にコンクリートを打
設時に、各土留パネルの上下主桁板にスライムが残留し
ないように打設し得る場所打ちコンクリート杭造成用縦
孔土留壁の提供を目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の場所打ちコンクリート杭造成用縦孔土留壁
の構造は、弧状に彎曲したスキンプレートの両側直線端
縁に長方形状の継手板を固着すると共に上下湾曲端縁に
主桁板を固着してなる多数の土留パネルを円周方向及び
上下方向に配して、円周方向には互いに隣接する土留パ
ネルの継手板を連結すると共に上下方向には互いに隣接
する土留パネルの上下主桁板を連結することにより円筒
状壁体を形成し、この円筒状壁体を地中に掘削された縦
孔内に配してその内部にコンクリートを打設することに
より杭を造成するように構成してなる土留壁において、
上記各土留パネルの上側主桁板には該主桁板の先端とス
キンプレートの上部間に亘って傾斜した下向き傾斜面が
形成され、下側主桁板には該主桁板の先端とスキンプレ
ートの下部間に亘って傾斜した上向き傾斜面が形成され
てなる構成を有している。
【0009】なお、土留パネルの上下主桁板の上記上下
傾斜面は、請求項2に記載したように、一端が上下主桁
板の先端にそれぞれ固着し他端がスキンプレートの上下
部内面にそれぞれ固着してなる鋼製傾斜板によって形成
しておいてもよく、請求項3に記載したように、上下主
桁板とスキンプレートの上下部内面との隅角空間部に断
面三角形状のセメント系硬化材を打設することりより形
成しておいてもよい。
【0010】
【作用】上記のように構成したので、水或いは泥水中で
縦孔を掘削しながら円筒状壁体を地中に圧入して土留壁
を形成する際に、掘削土砂の一部が水或いは泥水中に拡
散して沈降中に円筒状壁体を構成している土留パネル側
に移動しても、この土留パネルの下側主桁板の上面は該
パネルから縦孔に向かって下方に傾斜した傾斜面に形成
しているので、該傾斜面上を滑り落ちて縦孔底部へと沈
降し、パネルの主桁板上に堆積することはない。
【0011】さらに、円筒状壁体による土留壁の形成
後、この土留壁内部の縦孔にトレミー管を使用してコン
クリートを打設する際に、該コンクリートの打設に従っ
て縦孔底部に堆積しているスライムは、中央部が盛り上
がった打設コンクリート面で押し上げられながら、土留
壁の内周面側に集合し、コンクリートの打設と共に土留
壁を形成している土留パネルの内面に沿って上昇して該
土留パネルの上側主桁板の下面に達するが、この下面は
土留パネルのスキンプレート内面から該主桁板の先端に
向かって上向きに傾斜した傾斜面に形成されているの
で、コンクリートの打設面が上昇するに従ってスライム
はこの傾斜面を伝って斜め内方に押し上げられながら移
動し、コンクリートが該傾斜面に密着することになる。
【0012】また、コンクリートの打設面が更に上昇し
て上側の土留パネルの下側主桁板上に達すると、コンク
リート打設面上のスライムは該主桁板の上向き傾斜面に
沿って土留パネルの内面側に移動すると共に打設コンク
リートは該傾斜面に密着し、スライムはこの主桁板上に
残留することなく、コンクリートの打設面で持ち上げら
れながら縦孔の上方まで上昇して完全に排除され、荷重
支持力の有効断面が大きいコンクリート製基礎杭を造成
することができる。
【0013】
【実施例】本発明の実施例を図面について説明すると、
図1〜図3において土留壁Aは、多数個の鋼製土留パネ
ル1を円周方向並びに上下方向に接合連結して円筒状壁
体10を組立て形成し、該円筒状壁体10を地盤Gに圧入し
ながらこの円筒状壁体10内の地盤Gを水或いは泥水中で
掘削して地盤Gの所定深さまで埋入することにより形成
してなるものである。
【0014】土留壁を形成した上記円筒状壁体10の各土
留パネル1は、図4に示すように、横長長方形状の鋼板
を弧状に湾曲してなるスキンプレート11と、このスキン
プレート11の両側直線端縁に該スキンプレート11の凹弧
状内面側に向かって突設した継手板12、13と、スキンプ
レート11の上下湾曲端縁に該継手板12、13と同一方向に
向かって突設した主桁板14、15とからなり、これらの継
手板12、13および主桁板14、15には一定間隔毎にボルト
取付孔16を穿設してある。継手板12、13は平帯形状の長
方形鋼板からなり、その一長辺側端面をスキンプレート
11の両側直線端縁に固着する一方、主桁板14、15はこの
継手板12、13と同一幅に形成されていると共にその両長
辺側端縁をスキンプレート11の湾曲面と同一湾曲端面に
形成して一長辺側端縁をスキンプレート11の上下湾曲端
縁に固着し、これらの継手板12、13および主桁板14、15
によって長方形状の周枠を形成している。
【0015】さらに、上記土留パネル1の上下主桁板1
4、15において、土留壁となる円筒状壁体10を組立てた
際に、上側主桁板14には該主桁板14のスキンプレート内
面からの突出端である先端からスキンプレート11の内面
上部間に亘って傾斜した下向傾斜面2が形成されてあ
り、下側主桁板15には該主桁板15のスキンプレート内面
からの突出端である先端からスキンプレート11の内面下
部間に亘って傾斜した上向傾斜面3が形成されている。
【0016】このような土留パネル1を円周方向並びに
上下方向に組み合わせ連結してなる上記土留壁Aを築造
するには、まず、図5に示すように、基礎杭を造成すべ
き場所にアンカー打設装置によって支持地盤に達する深
さまでアースアンカー5のアンカーワイヤ51を打ち込
み、その下端に固着しているアンカー体52を硬質支持地
盤に定着させる。このアンカーワイヤ51は図6に示すよ
うに、一定間隔を存して2本、並設状態に打設されると
共にさらにこの並設アンカーワイヤ51、51から土留壁A
の直径以上の間隔を存した場所に同じく2本のアンカー
ワイヤ51、51を打設する(図7参照)。
【0017】しかるのち、両方の並設アンカーワイヤ5
1、51間の地盤上で複数個の土留パネル1を組み合わせ
て円筒状壁体10を形成する。その形成は、上記図3に示
すように、まず、円周方向に互いに隣接する土留パネル
1、1の継手板12、13の外面を接合してこれらの継手板
12、13に穿設している各ボルト取付孔16、16間をボルト
・ナット17で固着することにより一リング分の壁体部10
a を形成する。この壁体部10a 上に土留パネル1を同じ
く円周方向には隣接する土留パネル1、1の継手板12、
13同士をボルト・ナット17で接合連結することにより一
リング分の壁体部10a を形成する。その際、上下に隣接
する壁体部10a 、10a においては、上下土留パネル1、
1の互いに接合した主桁板14、15同士のボルト取付孔1
6、16間をボルト・ナット17により固着する。なお、上
下壁体部10a 、10a における土留パネル1、1の継手板
12、13同士の連結部を土留パネル1の1/2の長さだけ
周方向にずらせた位置で連結させている。
【0018】また、最下部の壁体部10a の下端には図
6、図7に示すように、リング状刃口体6が一体的に嵌
着している。このリング状刃口体6は図1に示すよう
に、垂直な外周リング部61と該外周リング部61の下端か
ら上端に向かって斜め内方に傾斜している内周リング部
62とからなり、該刃口体6の先鋭な刃先を地表面に設置
してこの刃口体6上で土留パネル1を組み立てて土留パ
ネル1の下端と刃口体6とを溶接一体化し、一リング分
の壁体部10a を形成するものである。そして、複数個の
土留パネル1を上記のように連結して四リング分程度の
壁体部10a からなる短尺の円筒状壁体10を形成したの
ち、各土留パネル1の上下主桁板14、15に傾斜面部材を
固着して上記傾斜面2、3を形成する。
【0019】傾斜面部材は、図8に示すように、土留パ
ネル1のスキンプレート11と同一湾曲度を有する横長長
方形状の鋼製帯板形状の傾斜板21、22であって、上側の
傾斜板21の長辺側上端縁を土留パネル1の上側主桁板14
の先端に溶接することで固着すると共に該傾斜板21の長
辺側下端縁をスキンプレート11の内面上部に溶接によっ
て固着する一方、下側の傾斜板22の長辺側上端縁をスキ
ンプレート11の内面下部に溶接によって固着すると共に
長辺側下端縁を下側主桁板15の先端に溶接することで固
着してなるものである。
【0020】図9は別な傾斜面部材を示すもので、上下
主桁板14、15とスキンプレート11の上下部内面との隅角
部の空間部に連結ボルト・ナット17を埋設するようにし
てセメント系の硬化材23、24を夫々充填、硬化させてそ
の露出面を上記傾斜面2、3に形成してなるものであ
る。なお、傾斜板21、22や硬化材23、24による傾斜面
2、3の形成は、円筒状壁体10の組立前における各土留
パネル1にボルト取付孔16の部分を残して形成してお
き、円筒状壁体10を形成後にボルト・ナット6による連
結部分を板片や上記硬化材により閉塞して面一の傾斜面
に形成してもよい。上下主桁板14、15に対する傾斜面
2、3の傾斜角度は20°以上にして、スキンプレート11
の内面からこれらの傾斜面2、3を緩やかな傾斜度でも
って傾斜させ、爾後におけるコンクリート打設時にコン
クリートの上昇に対する阻止作用をなるべく減少させる
ようにすることが望ましい。
【0021】こうして四リング分程度の壁体部10a から
なる円筒状壁体10を形成のち、この円筒状壁体10を地中
に圧入する作業に移る。その際、まず、図6に示すよう
に、該円筒状壁体10の上端に断面U字状のリングキャッ
プ18を被嵌させる一方、地表面から突出した上記並設ア
ンカーワイヤ51、51の上端に長尺ボルト53の下端を連結
部材54を介して溶接等により一体的に連結し、これらの
長尺ボルト53を上方に並列状態で突出させる。
【0022】さらに、円筒状壁体10の上端に直径方向に
横架材55を架設、載置すると共に円筒状壁体10から上方
に突出する並設長尺ボルト53、53の上端部を受止部材56
の両側部上下方向に貫通している挿通孔に通してこの受
止部材56を並設長尺ボルト53、53間に連結させ、同様に
他方の並設長尺ボルト53、53間を受止部材56によって連
結したのち、横架材55と受止部材56、56との間にそれぞ
れ油圧ジャッキ57を介在させると共に各長尺ボルト53の
上端部に固定ナット58を螺合してその下面を受止部材56
の上面に圧接させ、受止部材56の上動を阻止する。
【0023】この状態にして油圧ジャッキ57のロッドを
伸長させると、その力が受止部材56を介してアースアン
カー5の長尺ボルト53からアンカーワイヤ51に引抜き力
として作用するが、アンカーワイヤ51の下端がアンカー
体52によって硬質地盤に定着しているので、その反力が
受止部材56に受止された状態で油圧ジャッキ57の伸長に
より円筒状壁体10が圧下させられて地中に沈下する。油
圧ジャッキ57のロッドの伸長が限界に達すると、該ロッ
ドを収縮させ、受止部材56を下動させてロッド端に当接
させると共に長尺ボルト53に螺合している固定ナット58
を下方に螺進させて受止部材56に圧接させたのち、再び
油圧ジャッキ57のロッドを伸長させることにより円筒状
壁体10を沈下させる。
【0024】この円筒状壁体10の三リング分程度の壁体
部10a が地中に沈下すると、クラブシェルバケット式掘
削機7(図10参照)を使用して該円筒状壁体10内の地盤
をクラブシェルバケット71により掘削し、掘削土砂を地
上に排出する。この地盤の掘削は、円筒状壁体10内に水
または泥水8を注入、貯留して円筒状壁体10の背面の土
圧及び水圧に対抗させた状態にして行う。この時、クラ
ブシェルバケット71によって掘削された土砂の引き上げ
途上において、一部の土砂がクラブシェルバケット71か
ら漏れて泥水中に拡散し、円筒状壁体10の内面側に沿っ
て沈降する土粒子は土留パネル1のスキンプレート11の
内面から水平に突設している下側の主桁板15上に滞留し
ようとするが該主桁板15の上面は下向き傾斜面3に形成
しているで、この傾斜面3上を滑り落ちてクラブシェル
バケット71で掘削された縦孔Bの底部へと沈降し、主桁
板15上に堆積することはない。
【0025】こうして四リング分程度の短尺の円筒状壁
体10内の地盤を掘削しながら該円筒状壁体10を圧入、沈
下させると、固定ナット58を外すと共に受止部材56、油
圧ジャッキ57、横架材55、リングキャップ18を取外し、
次に圧入した円筒状壁体10上に上記同様にして複数個の
土留パネル1を四リング分程度組み立てて円筒状壁体10
とし、この円筒状壁体10の最下部の土留パネル1の下側
主桁板15と圧入した円筒状壁体10の最上部の土留パネル
1の上側主桁板14とをボルト・ナット17により連結する
と共に圧入すべき円筒状壁体10の各土留パネル1の上下
主桁板14、15に上記同様にして傾斜面2、3を設ける。
【0026】さらに、圧入すべき円筒状壁体10の上端に
上記リングキャップ18を被嵌させると共に横架材55、油
圧ジャッキ57、受止部材56を配設したのち、長尺ボルト
53に固定ナット58を螺着し、再び、上記同様にしてこの
円筒状壁体10の圧入作業を行うと共にクラブシェルバケ
ット71により該円筒状壁体10内の地盤を水或いは泥水中
で掘削して縦孔Bを形成する。このように四リング分程
度の短尺の円筒状壁体10を上記作業を繰り返すことによ
って順次圧入し、内部に縦孔Bを有する所定深さまで達
した長尺の円筒状壁体からなる土留壁Aを造成する。
【0027】次いでこの土留壁A内にコンクリートCを
打設して基礎杭を造成する作業に移る。まず、図11に示
すように土留壁Aの縦孔B内に鉄筋籠Dを挿入して建て
込んだのち、図12、図13に示すように縦孔Bの中心付近
にトレミー管Pを挿入し、このトレミー管Pの開口下端
を縦孔Bの底面中央部に近接させた状態にしてポンプ車
9を駆動し、コンクリートCを該トレミー管Pの上端に
配管を介して供給すると、トレミー管Pの下端から縦孔
Bの底部にコンクリートCが充填される。
【0028】縦孔Bの底部にはスライムSが沈下、堆積
してあり、このスライムSはコンクリートCよりも比重
が軽いので、縦孔B内に供給されるコンクリートCの打
設面c上に移動する。なお、図12〜図16においては理解
を容易にするために鉄筋籠Dの図示を省略している。ト
レミー管Pから縦孔B内にコンクリートCを打設してい
くと、コンクリートCはその高い粘度のためにトレミー
管Pの部分では高く、該トレミー管Pから土留壁Aの内
面に向かってその打設面cは下向きに傾斜した円錐面状
態となる。そのため、スライムSはこの打設面cの外周
方、即ち土留壁Aの内面側に集合した状態でコンクリー
トCの打設に従って押し上げられる。一方、トレミー管
Pはその開口下端を常に打設コンクリートC内に没入さ
せた状態でコンクリートCの打設量に応じて徐々に引上
げていく。
【0029】コンクリートCの打設面cが上昇してその
外周面上のスライムSが土留壁Aを構成している土留パ
ネル1の上側主桁板14の下面に達すると、この下面は土
留パネル1のスキンプレート11の内面から該主桁板14の
先端に向かって上向きに傾斜した傾斜面2に形成されて
いるので、図16に示すように、コンクリートCの打設面
cが上昇するに従ってスライムSは主桁板14の下面に滞
留することがなくこの傾斜面2を伝って斜め内方に押し
上げられながら移動し、コンクリートCが該傾斜面2に
密着することになる。
【0030】縦孔B内に連続的に打設されるコンクリー
トCの打設面cが更に上昇して上側の土留パネル1の下
側主桁板15上に達すると、コンクリート打設面c上のス
ライムSは該主桁板15の上向き傾斜面3上に拡がるコン
クリートCの外周端部によってこの上向き傾斜面3に沿
って土留パネル1の内面側に移動すると共に打設コンク
リートCは該傾斜面3に密着し、スライムSはこの主桁
板15上に残留することなく、コンクリートの打設面cで
持ち上げられる。
【0031】こうして、コンクリートCを土留壁10の縦
孔上端まで打設すると、スライムSはその打設面c上に
滞留した状態で地上まで上昇し、吸引装置(図示せず)
によって排除するか、或いは、コンクリートが硬化して
基礎杭が築造されたのち、ブレーカ等の適宜な破砕機に
よって破砕、除去される。
【0032】
【発明の効果】以上のように本発明の場所打ちコンクリ
ート杭造成用縦孔土留壁によれば、土留壁を構成してい
る土留パネルの上側主桁板には該主桁板の先端とスキン
プレートの上部間に亘って傾斜した下向き傾斜面が形成
され、下側主桁板には該主桁板の先端とスキンプレート
の下部間に亘って傾斜した上向き傾斜面が形成されてい
るので、土留壁造成時における掘削土砂の一部が土留パ
ネルの下側主桁板上に沈下しても、該主桁板の傾斜面に
沿って土粒子が滑り落ちて縦孔底部へと沈降し、パネル
の主桁上に堆積するのを防止することができる。
【0033】さらに、土留壁の縦孔内にコンクリートを
打設して基礎杭を造成する際、縦孔底部に堆積している
スライムはコンクリートの打設面が上昇するに従って中
央部が盛り上がったその打設面の下傾端部上に集合した
状態で土留パネルの内面に沿って押し上げられ、この内
面から突設している土留パネルの上側主桁板の下面に達
するが、上側主桁板の下面は土留パネルのスキンプレー
ト内面から該主桁板の先端に向かって上向きに傾斜した
傾斜面に形成されているので、コンクリートの打設面が
上昇するに従ってスライムはこの傾斜面を伝って斜め内
方に押し上げられながら移動し、該主桁板の下面にスラ
イムが残留するのを確実に防止することができる。
【0034】また、コンクリートの打設面が更に上昇し
て土留壁を構成している上側の土留パネルの下側主桁板
上に達すると、コンクリート打設面上のスライムは該主
桁板の上向き傾斜面に沿って土留パネルの内面側に移動
するので、この主桁板上にも残留することがなく、コン
クリートの打設面で持ち上げられながら縦孔の上方まで
上昇して完全に排除することができる。従って、土留パ
ネルの上下主桁板にはスライムが残留したり堆積するこ
とがなく、打設コンクリートによって完全に充足させる
ことができ、荷重支持力の有効断面を最大限に形成した
コンクリート製基礎杭を造成し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】土留壁の簡略縦断側面図、
【図2】その簡略横断面図、
【図3】一部の拡大正面図、
【図4】土留パネルの簡略斜視図、
【図5】アースアンカを打ち込んでいる状態の簡略縦断
側面図、
【図6】円筒状壁体を圧入している状態の縦断正面図、
【図7】円筒状壁体を形成している状態の簡略縦断側面
図、
【図8】主桁板に傾斜面を形成した土留パネルの縦断面
図、
【図9】その変形例を示す土留パネルの縦断面図、
【図10】地盤を掘削している状態の簡略縦断側面図、
【図11】鉄筋籠を挿入している状態の簡略縦断側面
図、
【図12】コンクリートを打設している状態の簡略縦断
側面図、
【図13】その土留壁内部の簡略縦断側面図、
【図14】コンクリートの打設面を上昇させている状態
の簡略縦断側面図、
【図15】さらに上昇させている状態の簡略縦断側面
図、
【図16】その一部拡大断面図、
【図17】従来例を示す土留パネルの簡略斜視図、
【図18】その土留の簡略縦断側面図、
【図19】コンクリートの打設している状態の簡略縦断
側面図、
【図20】その一部拡大断面図。
【符号の説明】
1 土留パネル 2 下向き傾斜面 3 上向き傾斜面 10 円筒状壁体 11 スキンプレート 12、13 継手板 14、15 主桁板 A 土留壁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−112521(JP,A) 実開 昭48−8904(JP,U) 実開 昭51−109908(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E02D 5/38 E02D 5/18 - 5/20

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 弧状に彎曲したスキンプレートの両側直
    線端縁に長方形状の継手板を固着すると共に上下湾曲端
    縁に主桁板を固着してなる多数の土留パネルを円周方向
    及び上下方向に配して、円周方向には互いに隣接する土
    留パネルの継手板を連結すると共に上下方向には互いに
    隣接する土留パネルの上下主桁板を連結することにより
    円筒状壁体を形成し、この円筒状壁体を地中に掘削され
    た縦孔内に配してその内部にコンクリートを打設するこ
    とにより杭を造成するように構成してなる土留壁におい
    て、上記各土留パネルの上側主桁板には該主桁板の先端
    とスキンプレートの上部間に亘って傾斜した下向き傾斜
    面が形成され、下側主桁板には該主桁板の先端とスキン
    プレートの下部間に亘って傾斜した上向き傾斜面が形成
    されていることを特徴とする場所打ちコンクリート杭造
    成用縦孔土留壁の構造。
  2. 【請求項2】 前記上下傾斜面は、一端が上下主桁板の
    先端にそれぞれ固着し他端がスキンプレートの上下部内
    面にそれぞれ固着してなる鋼製傾斜板によって形成して
    いることを特徴とする請求項1記載の場所打ちコンクリ
    ート杭造成用縦孔土留壁の構造。
  3. 【請求項3】 前記上下傾斜面は、上下主桁板とスキン
    プレートの上下部内面との隅角空間部に打設された断面
    三角形状のセメント系硬化材より形成していることを特
    徴とする請求項1記載の場所打ちコンクリート杭造成用
    縦孔土留壁の構造。
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